【実施例】
【0033】
次に、本発明の実施の形態を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
<評価項目>
1、可視光透過率
実施例および比較例で作成した膜材について、JIS Z8722.5.4(条件g)に従いミ
ノルタ分光測色計CM−3600dを用いて可視光(380〜780nm)の透過率
を測定した。
2、耐炎試験
実施例・比較例で作成した膜材について、建築基準法第2条第9号の二のロ(防火戸
その他の政令で定める防火設備)の認定に係る性能評価法に準じて、耐炎性能を評価
した。ただし、試験に供した膜材の大きさは幅200cm×高さ100mとし、
幅190cm×高さ90cmの開口部を有する標準仕様の周壁(木造軸組工法に厚さ
12.5mmの石膏ボードの2枚重ね張り)の、開口部内側(加熱側)に、試料固定
用の鉄枠(枠部幅5cm)を介して隙間がない様固定し、ISO834に準拠した標
準加熱曲線に従って加熱を行い、20分(加熱温度781℃)及び30分(加熱温度
842℃)の時点で、下記の項目についてそれぞれ以下の様に評価・判定した。
(1)非加熱面への火炎の噴出
A1:非加熱側への火炎の噴出がない
A2:非加熱側への火炎の噴出があったが10秒以内であった
B:非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出があった
*判定:A1およびA2を適合とし、Bを不適合とした
(2)非加熱面での発炎の有無
A1:非加熱側に発炎を生じない
A2:非加熱側に発炎を生じたが、10秒以内であった
B:非加熱側に10秒を超えて継続する発炎を生じた
*判定:A1およびA2を適合とし、Bを不適合とした
(3)火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間の有無
A:火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を発生しない
B:火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を発生した
*判定:Aを適合とし、Bを不適合とした
なお、実施例・比較例で作成した膜材のおもてうらに差異がある場合には、それぞれ
の面について評価を行い、差異が無い場合には、一方の面のみ評価を行った。
3、燃焼試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)
実施例及び比較例で得た膜材に対して、輻射電気ヒーターによる50kW/m
2の輻
射熱を20分間照射する発熱性試験を行い、20分間の総発熱量と発熱速度を測定す
るとともに、試験後の膜材外観を観察し、以下の様に判定した。(いずれもAを適合
とし、Bを不適合とした)
(1)総発熱量
A:8MJ/m
2以下
B:8MJ/m
2を越えた
(2)発熱速度
A:10秒以上継続して200kW/m
2を超えない
B:10秒以上継続して200kW/m
2を超えた
(3)外観観察
A:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がない
B:直径0.5mmを超えるピンホール陥没痕が発生した
なお、実施例・比較例で作成した膜材のおもてうらに差異がある場合には、それぞれ
の面について評価を行い、差異が無い場合には、一方の面のみ評価を行った。
4、高周波ウェルダー縫製性
実施例・比較例で作成した膜材より、縦方向(基布の経糸方向)40cm×幅方向
(基布の緯糸方向)20cmの試料を2枚採取し、2枚の試料の端部を
図3の様に、
4cmのラップ幅で、おもて面側とうら面側が接する様に重ね合わせ、4cm×30cm
のウェルドバーを装着した高周波ウェルダー融着機(山本ビニター(株)製YF-7000
型:出力7KW))を用いて、試料のおもて面側から、下記条件で高周波ウェルダー融着
接合を行い、以下の様に評価した。
※ウェルダーバー形状
歯形:凸部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm
凸部高さ:0.5mm・・・凹部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm
凹部深さ:0.5mm
※ウェルダー融着条件:融着時間4秒、冷却時間4秒、陽極電流0.8A、
ウェルドバー温度40〜50℃
評価
A:融着縫製可能
B:スパークを生じ融着縫製不可
5、高周波ウェルダー縫製部強度
高周波ウェルダー縫製性を評価したサンプルから、縫製部(9)を含む3cm×30
cmの短冊状試料(10)を3片採取し、JISL1096 8.14.1(A法)
に準じて
図4に示した方向に引張試験を行い、破断した状態を観察して以下の様に評
価した。
評価
A:3片とも本体部分が破断した。
B:3片の内1片以上が、縫製部剥離により破断した。
【0035】
[実施例1]
<基布1>
1350dtexのガラス(Eガラス)マルチフィラメント糸条(フィラメント単糸直径6μm:デンプンサイジング:撚り回数60回/m)を、経糸及び緯糸に用いた平織布(織密度:経糸29本/インチ×緯糸32本/インチ)を、ヒートクリーニングにより精練した後、エポキシ基含有シランカップリング剤2質量%処理し、基布1として用いた。
基布1の質量は340g/m
2、空隙率は1%未満であった。
<不燃性膜材の形成>
下記配合1の軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物をバスに入れ、基布1をバス中に浸漬し、これを引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行った。これにより基布1の両面への付着、および内部含浸した状態で、両面合わせて100g/m
2の樹脂被覆層を形成した。次に、下記配合2の熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物を用いて、カレンダー成型法により、導電性金属酸化物微粒子、および、透明無色無機粒子を合わせて7.9質量%含む厚さ0.2mmの熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム1を2枚成型した。配合2において、導電性金属酸化物微粒子として平均一次粒子径0.03μmのスズドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を用い、透明無色無機粒子としては、アスペクト比1〜2.5、平均粒子径1.5μmの不定型な硫酸バリウム(バライト粉)を用い、スズドープ酸化インジウム微粒子と硫酸バリウム粒子の質量比は1:4であった。得られた熱線遮蔽層の外観はかすかに青みのある乳白色であった。次に、2枚のフィルム1の中間に、樹脂被覆層を形成した基布1を挿入し、熱圧着により積層した。さらに、両面の熱線遮蔽層上に、下記配合3の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で3分間乾燥した。これによって両面に5g/m
2の防汚層が形成された不燃性膜材が得られた。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表1に示す。なお、実施例1の不燃性膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面のみに対して行った。
<配合1>軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤粒子) 10質量部
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 6質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 3質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
希釈溶剤:トルエン 20質量部
<配合2>熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
スズドープ酸化インジウム微粒子(ITO:平均一次粒子径0.03μm)3質量部
硫酸バリウム粒子(BaSO
4:平均粒子径1.5μm) 12質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
<配合3>防汚層塗工液
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商標:アクリプレンHBS001)
4質量
フッ素系樹脂(ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、
エルフ・アトケム・ジャパン(株)製、商標:カイナー7201) 12質量部
高分子型紫外線吸収剤(一方社油脂工業(株)製、品番:UCI−635L)
〔2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン〕
とメタクリル酸メチルとの50wt%:50wt%共重合体樹脂
1質量部
希釈溶剤(トルエン−メチルエチルケトン50/50質量比) 80質量部
【0036】
[実施例2]
配合2の代わりに下記配合4を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の不燃性膜材を得た。熱線遮蔽層中の導電性金属酸化物微粒子、および、透明無色無機粒子は合わせて7.8質量%であり、両者の質量比は1:4であった。。また、配合4は、配合2に、赤外線に吸収の少ない縮合ジスアゾ系有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー155を加えており、得られた不燃性膜材の熱線遮蔽層は明るい黄色外観であった。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表1に示す。なお、実施例2の不燃性膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合4>熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定) 2質量部
スズドープ酸化インジウム微粒子(ITO:平均一次粒子径0.03μm)3質量部
硫酸バリウム粒子(BaSO
4:平均粒子径1.5μm) 12質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
C.I.ピグメントイエロー155(縮合ジスアゾ系有機顔料) 2質量部
【0037】
[実施例3]
配合2の代わりに下記配合5を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の不燃性膜材を得た。配合5は、導電性金属酸化物微粒子として平均一次粒子径0.02μmのアンチモンドープ酸化スズ(ATO)微粒子を用い、アンチモンドープ酸化錫微粒子と硫酸バリウム粒子の質量比は1:3であり、熱線遮蔽層におけるアンチモンドープ酸化錫微粒子、および、硫酸バリウム粒子の量は合わせて8.3質量%であった。また、配合5は、配合2に、赤外線に吸収の少ないフタロシアニン系有機顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を加えており、得られた不燃性膜材において、熱線遮蔽層の外観は明るい青色外観であった。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表1に示す。なお、実施例3の不燃性膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合5>熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定) 2質量部
アンチモンドープ酸化スズ微粒子(ATO:平均一次粒子径0.02μm)4質量部
硫酸バリウム粒子(BaSO
4:平均粒子径1.5μm) 12質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン系有機顔料) 2質量部
【0038】
[実施例4]
配合1の軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物をバスに入れ、基布1をバス中に浸漬し、これを引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行った。これにより基布1の両面への付着、および内部含浸した状態で、両面合わせて100g/m
2の樹脂被覆層を形成した。次に、配合5を用いて、カレンダー成型法により、厚さ2.0mmの熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム4−1を成型した。次いで、下記配合6の導電性金属酸化物微粒子および透明無色無機粒子を含まない軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物を用いて、カレンダー成型法により厚さ0.20mmの軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム4−2を成型した。次に、得られたフィルム4−1とフィルム4−2の中間に、樹脂被覆層を形成した基布1を挿入し、熱圧着により積層した。さらに、両面の熱線遮蔽層上に、配合3の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で3分間乾燥した。これによって両面に5g/m
2の防汚層が形成された不燃性膜材が得られた。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表1に示す。なお、実施例4の不燃性膜材は、おもてうらに差異があるため、フィルム4−1の側をおもて面として、おもてうらそれぞれに対して耐炎試験および燃焼試験を行った。
<配合6>軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 30質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 30質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン系有機顔料) 2質量部
【0039】
【表1】
【0040】
実施例1〜4の不燃性膜材はいずれも本発明の要件を満たし、耐炎試験、燃焼試験において各評価項目にいずれも適合していた。また、いずれも高周波ウェルダー縫製でスパークを生じず、縫製部を含む試料の引張試験において全ての試料が本体部分から破断したことから、高周波ウェルダーでの縫製が可能な膜材であった。実施例1は熱線遮蔽層に平均一次粒子径0.03μmのスズドープ酸化インジウム微粒子と平均粒子径1.5μmの硫酸バリウム粒子を含む、かすかに青みのある乳白色外観の不燃性膜材であり、高い採光性を示すものであった。実施例2は熱線遮蔽層に有彩色の着色剤としてC.I.ピグメントイエロー155を含むものであり、熱線遮蔽層は導電性金属酸化物微粒子と透明無色無機粒子を含むにも関わらず、着色剤により有効に彩色されており、明るい黄色の色相を有していた。着色剤を含むことで採光性は実施例1より劣るものの、赤外線領域に吸収の少ない有機顔料が用いられている為、耐炎試験、燃焼試験について、実施例1と同等の結果であった。実施例3は、導電性金属酸化物微粒子としてスズドープ酸化インジウム微粒子の代わりにアンチモンドープ酸化スズ微粒子を用いており、実施例1に比べて導電性金属酸化物微粒子の割合が高くなっているが、本発明の要件の範囲内であり、高周波ウェルダーによる縫製が可能であり、C.I.ピグメントブルー15:3により有効に彩色され、明るい青色の色相を有していた。また、赤外線領域に吸収の少ない有機顔料が用いられている為、耐炎試験、燃焼試験について、実施例1と同等の結果であった。実施例1〜3の不燃性膜材は、いずれも高い強度を有しており、防火地区、準防火地区に設置されるテント倉庫などの膜構造建築物の屋根部や壁面を構成する材料に適しており、実施例1の様に熱線遮蔽層に彩色しなければ、明り取り部分に好適に用いる事ができ、実施例2および3の様に顔料を加えて彩色すれば、本体部分に用いることもできる。実施例4は、一方の面にのみ熱線遮蔽層を設けた不燃性膜材であり、耐炎試験において、裏面側から加熱した際に20分の時点までに発炎を認めたが、10秒以内であった。
【0041】
[実施例5]
<基布2>
675dtexのガラス(Eガラス)マルチフィラメント糸条(フィラメント単糸直径9μm:デンプンサイジング:撚り回数60回/m)を、織密度たて35本/インチ よこ28本/インチに製織した平織布を、ヒートクリーニングにより精練した後、エポキシ基含有シランカップリング剤2質量%処理し、基布2として用いた。基布2の質量は165g/m
2、空隙率は5%であった。
<不燃性膜材の形成>
配合1の軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物をバスに入れ、基布2をバス中に浸漬し、これを引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行った。これにより基布2の両面への付着、および内部含浸した状態で、両面合わせて60g/m
2の樹脂被覆層を形成した。次に、下記配合7の熱線遮蔽層形成用軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物を用いて、カレンダー成型法により、導電性金属酸化物微粒子、および、透明無色無機粒子を合わせて8.4質量%含む厚さ0.12mmの熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム5を2枚成型した。配合7において、導電性金属酸化物微粒子として平均一次粒子径0.03μmのスズドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を用い、透明無色無機粒子としては、脂肪酸で表面被覆したアスペクト比1〜2.5、平均粒子径1.8μmの不定型な重質炭酸カルシウム粒子を用い、スズドープ酸化インジウム微粒子と重質炭酸カルシウム粒子の質量比は1:7であった。次に、2枚のフィルム5の中間に、樹脂被覆層を形成した基布2を挿入し、熱圧着により積層した。さらに、両面の熱線遮蔽層上に、配合3の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で3分間乾燥した。これによって両面に5g/m
2の防汚層が形成された不燃性膜材が得られた。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表2に示す。なお、実施例5の不燃性膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面のみに対して行った。
<配合7>熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定) 2質量部
スズドープ酸化インジウム微粒子(ITO:平均一次粒子径0.03μm)2質量部
炭酸カルシウム粒子(CaCO
3:平均粒子径1.8μm) 14質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
【0042】
[実施例6]
配合1の軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物をバスに入れ、基布2をバス中に浸漬し、これを引き上げると同時にマングルロールで圧搾し、150℃で1分間ゲル化した後、190℃で1分間熱処理を行った。これにより基布2の両面への付着、および内部含浸した状態で、両面合わせて60g/m
2の樹脂被覆層を形成した。次に、下記配合8の軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物を用いて、カレンダー成型法により、導電性金属酸化物微粒子、および、透明無色無機粒子を合わせて8.3質量%含む厚さ1.2mmの熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム6−1を成型した。次いで、配合7を用いて、カレンダー成型法により厚さ0.12mmの軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム6−2を成型した。次に、得られたフィルム6−1とフィルム6−2の中間に、樹脂被覆層を形成した基布2を挿入し、熱圧着により積層した。さらに、両面の熱線遮蔽層上に、配合3の防汚層塗工液をグラビアコーターによりコーティング加工し、120℃で3分間乾燥した。これによって両面に5g/m
2の防汚層が形成された不燃性膜材が得られた。なお、配合8には赤外線に吸収の少ない有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー155(縮合ジスアゾ系有機顔料)を用いた事により、フィルム6−1は明るい黄色外観であった。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表2に示す。なお、実施例6の不燃性膜材は、おもてうらに差異があるため、フィルム6−1の側をおもて面として、おもてうらそれぞれに対して耐炎試験および燃焼試験を行った。
<配合8>熱線遮蔽層用軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定) 2質量部
スズドープ酸化インジウム微粒子(ITO:平均一次粒子径0.03μm)2質量部
炭酸カルシウム粒子(CaCO
3:平均粒子径1.8μm) 14質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
C.I.ピグメントイエロー155(縮合ジスアゾ系有機顔料) 2質量部
【0043】
[実施例7]
配合8において、脂肪酸で表面被覆したアスペクト比1〜2.5、平均粒子径1.8μmの不定型な重質炭酸カルシウム粒子のかわりに、脂肪酸で表面被覆したアスペクト比1〜2.5、平均粒子径1.0μmの不定型な重質炭酸カルシウム粒子を用い、C.I.ピグメントイエロー155で彩色されたフィルム7−1を形成した以外は、実施例6と同様にして、実施例7の不燃性膜材を得た。フィルム7−1は、フィルム6−1に比べてやや白みを帯びた明るい黄色外観であった。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表2に示す。なお、実施例7の不燃性膜材は、おもてうらに差異があるため、フィルム7−1の側をおもて面として、おもてうらそれぞれに対して耐炎試験および燃焼試験を行った。
【0044】
[実施例8]
配合3のかわりに下記配合9の防汚層塗工液を形成した以外は、実施例5と同様にして実施例8の不燃性膜材を得た。配合9の防汚層塗工液は、導電性金属酸化物微粒子として平均一次粒子径0.03μmのスズドープ酸化インジウム(ITO)微粒子と、透明無色無機粒子として脂肪酸で表面被覆したアスペクト比1〜2.5、平均粒子径1.8μmの不定型な重質炭酸カルシウム粒子を含み、スズドープ酸化インジウム微粒子と重質炭酸カルシウム粒子の質量比は1:7であり、防汚層には導電性金属酸化物微粒子、および、透明無色無機粒子を合わせて8.8質量%含んでいた。この不燃性膜材について、各種評価を行った結果を表2に示す。なお、実施例8の不燃性膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面のみに対して行った。
<配合9>防汚層塗工液
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商標:アクリプレンHBS001)
4質量
フッ素系樹脂(ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、
エルフ・アトケム・ジャパン(株)製、商標:カイナー7201) 12質量部
高分子型紫外線吸収剤(一方社油脂工業(株)製、品番:UCI−635L)
〔2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン〕
とメタクリル酸メチルとの50wt%:50wt%共重合体樹脂 1質量部
スズドープ酸化インジウム微粒子(ITO:平均一次粒子径0.03μm)0.2質量部
炭酸カルシウム粒子(CaCO
3:平均粒子径1.8μm) 1.4質量部
希釈溶剤(トルエン−メチルエチルケトン50/50質量比) 80質量部
【0045】
【表2】
【0046】
実施例5〜7の不燃性膜材はいずれも本発明の要件を満たし、耐炎試験において、実施例1〜4より耐炎試験の30分時点でわずかに劣る(10秒以下の発炎を生じた)結果を示したものの適合し、燃焼試験には全ての項目で適合していた。また、いずれも高周波ウェルダー縫製でスパークを生じず、縫製部を含む試料の引張試験において全ての試料が本体部分から破断したことから、高周波ウェルダーでの縫製が可能な膜材であることが確認された。実施例5は、熱線遮蔽層に平均一次粒子径0.03μmのスズドープ酸化インジウム(ITO)微粒子と、脂肪酸で表面被覆したアスペクト比1〜2.5、平均粒子径1.8μmの不定型な重質炭酸カルシウム粒子を含み、かすかに青みのある乳白色外観の不燃膜材であり、可視光透過率は実施例1よりも高く、透視性は無いものの膜材の向こう側の様子を伺うことができ、工場やオフィスなどの間仕切りに好適に用いることのできる不燃性膜材であった。実施例6は、実施例5の一方の面側の熱線遮蔽層にのみ彩色した不燃膜材である。熱線遮蔽層は導電性金属酸化物微粒子と透明無色無機粒子を含むにも関わらず、着色剤により有効に彩色されており、明るい黄色の色相を有し、工場やオフィスなどの間仕切り、あるいはオーニングとして好適に用いることのできる不燃性膜材であった。実施例7は彩色された側の熱線遮蔽層に含まれる重質炭酸カルシウムの平均粒子径が実施例5の1.8μmに対して1.0μmであるが、本発明の要件を満たしており、耐炎試験、燃焼試験の全てに適合していた。フィルム7−1の色調がフィルム6−1の比べてやや白みを帯びていたのは、透明無色無機粒子として含まれる重質炭酸カルシウムの平均粒子径がフィルム6−1に含まれる重質炭酸カルシウムよりも小さく、可視光線領域の波長に近かった為、粒子径に依存した散乱の影響を多少受けたためであると考えられる。実施例8は、実施例5の防汚層を導電性金属酸化物微粒子と無機化合物微粒子を含む防汚層に変更した構成を有し、そのため、耐炎試験においても実施例1〜4と同等の結果を示した。
【0047】
[比較例1]
配合2のかわりに下記配合10を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の薄い乳白外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表3に示す。なお、比較例1の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合10>軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
【0048】
比較例1の膜材は、導電性金属酸化物微粒子と透明無色無機粒子を含む熱線遮蔽層を有さないため、耐炎試験において20分以内に10秒を超える非加熱面への火炎の噴出、および非加熱面での発炎を生じ、燃焼試験においては、発熱速度が10秒以上継続して200kW/m
2を超えた。
【0049】
[比較例2]
配合2のかわりに下記配合11を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の乳白外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表3に示す。なお、比較例2の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合11>軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 20質量部
水酸化アルミニウム(難燃剤) 100質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
【0050】
比較例2の膜材は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物に無機難燃剤を多量に含むため、燃焼試験においては全ての項目で適合したが、耐炎試験においては30分以内に10秒を超える非加熱面での火炎の噴出および発炎を生じた。また、可視光透過率が低く、実施例1に比べて採光性が大きく劣っていた。
【0051】
[比較例3]
配合1のかわりに下記配合12を、配合2のかわりに下記配合13を、それぞれ用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表3に示す。なお、比較例2の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合12>軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(数平均分子量1700) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 200質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
ポリエステル系ポリオール(固形分100%) 6質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「ニッポラン1004」)
イソシアヌレート化HDI(固形分100%) 3質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製:商品名「コロネートHX」)
安定剤:Ba−Zn系 2質量部
<配合13>軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 50質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 50質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
【0052】
比較例3の膜材は、難燃性の可塑剤であるリン酸トリクレジルを、ペースト組成物およびフィルム組成物に多量に含むことで、燃焼試験においては全ての項目で適合したが、耐炎試験においては20分以内に10秒を超える非加熱面での火炎の噴出および発炎を生じた。また、可塑剤を多量に含むため、樹脂強度が弱く、高周波ウェルダー縫製部が接合部剥離により破断し、高い強度を要求される膜構造建築物には用いることのできない膜材であった。
【0053】
[比較例4]
配合2から硫酸バリウム粒子を除いた以外は実施例1と同様にして、比較例4の薄い乳白外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表3に示す。なお、比較例4の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
【0054】
比較例4の膜材は、熱線遮蔽層中に透明無色無機粒子を含まず、導電性金属酸化物微粒子のみ含み、しかも3質量%未満(1.7質量%)であるため、耐炎試験において20分以内に10秒を超える非加熱面での発炎を生じた。
【0055】
[比較例5]
配合2のかわりに下記配合14を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例5の青みの乳白外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表3に示す。なお、比較例5の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合14>軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
スズドープ酸化インジウム微粒子(ITO:平均一次粒子径0.03μm)10質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
【0056】
比較例5の膜材は、熱線遮蔽層に導電性金属酸化物微粒子を5.4質量%含むことで、耐火試験、燃焼試験の各項目に適合した。しかし、透明無色無機粒子を含まないため、樹脂層に導電性を生じ、高周波ウェルダー縫製においてスパークして、縫製することができなかった。
【0057】
[比較例6]
配合5のかわりに下記配合15を用いた以外は実施例2と同様にして、比較例6の淡い黄色外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表4に示す。なお、比較例6の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合15>軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
硫酸バリウム粒子(BaSO
4:平均粒子径1.5μm) 60質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
C.I.ピグメントイエロー155(縮合ジスアゾ系有機顔料) 2質量部
【0058】
比較例6の膜材は、熱線遮蔽層に透明無色無機粒子のみ25.4質量%含むが、導電性金属酸化物微粒子を含まなかった為、熱線を充分に反射することができず、耐炎試験において20分以内に10秒を超える非加熱面での発炎を生じた。また、透明無色無機粒子を多量に含むため、黄色の顔料を加えても淡い色彩にしかならず、実施例2に比べて彩色性に劣っていた。
【0059】
[比較例7]
配合4において、硫酸バリウム粒子のかわりに、平均粒子径1.0μmのルチル型酸化チタン粒子を用いた以外は実施例2と同様にして、比較例7の淡い黄色外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表4に示す。なお、比較例7の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
【0060】
比較例7の膜材は、熱線遮蔽層にスズドープ酸化インジウム微粒子と酸化チタン粒子を合わせて7.8質量%含み、耐火試験、燃焼試験の各項目に適合した。しかし、酸化チタンの屈折率が2.71であったため、可視領域の光が拡散されて色相に影響を及ぼし、黄色の顔料を加えても淡い黄色にしかならず、実施例2と比べて彩色性が劣っていた。
【0061】
[比較例8]
配合2において、平均粒子径1.5μmの硫酸バリウム粒子のかわりに、平均粒子径5.0μmの硫酸バリウム粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例8の青みの乳白外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った。結果を表4に示す。なお、比較例8の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
【0062】
比較例8の膜材は、熱線遮蔽層に含まれる透明無色無機粒子の平均粒子径が2.2μmを超え、5.0μmであったため、熱線を散乱して反射することができず、耐炎試験において20分以内に10秒を超える非加熱面での発炎を生じた。
【0063】
[比較例9]
配合2において、平均粒子径1.5μmの硫酸バリウム粒子のかわりに、平均粒子径0.3μmの硫酸バリウム粒子を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例9の乳白外観の膜材を得た。この膜材について、各種評価を行った結果を表4に示す。なお、比較例9の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
【0064】
比較例9の膜材は、熱線遮蔽層に含まれる透明無色無機粒子の平均粒子径が0.3μmであったため、熱線を散乱して反射することができず、耐炎試験において20分以内に10秒を超える非加熱面での発炎を生じた。また、可視領域の光が散乱され、実施例1に比べて採光性が劣っていた。
【0065】
[比較例10]
配合2のかわりに下記配合16を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例10の乳白色外観の膜材を得た。配合16では、導電性金属酸化物微粒子として平均一次粒子径0.30μmのスズドープ酸化インジウム微粒子を用いた。この膜材について、各種評価を行った結果を表4に示す。なお、比較例10の膜材は、おもてうらに差異が無いため、耐炎試験および燃焼試験は一方の面からのみ行った。
<配合16>軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成物
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 40質量部
リン酸トリクレジル(可塑剤) 20質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
スズドープ酸化インジウム微粒子(ITO:平均一次粒子径0.30μm)3質量部
硫酸バリウム粒子(BaSO
4:平均粒子径1.5μm) 12質量部
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系 0.5質量部
【0066】
比較例10の膜材は、熱線遮蔽層に含まれるスズドープ酸化インジウム微粒子の平均一次粒子径が0.20μmを超えて、0.30μmであったため、可視領域の光線が散乱され、実施例1より採光性が劣っていた。また、スズドープ酸化インジウム微粒子の粒子径が大きかった為、質量比で4倍の硫酸バリウム粒子を含んでも導電性を有し、高周波ウェルダーでスパークを生じ縫製することができなかった。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】