(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の抽選処理を行う内部抽選手段を含むメイン基板と、前記メイン基板からコマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記サブ基板からのデータに基づいて所定の演出を行う演出装置とを備える遊技機において、
前記メイン基板の前記内部抽選手段は、
それぞれ異なる内容をもつ複数の抽選テーブルと、
前記複数の抽選テーブルからひとつを選択するための設定値を記憶する設定値記憶部と、
前記設定値に従って前記抽選テーブルを選択する抽選テーブル選択部と、
選択された前記抽選テーブルに基づき抽選処理を行う抽選処理部とを備え、
前記サブ基板は、
前記メイン基板の前記内部抽選手段の抽選処理により得られる当選役に対応する値数を予め記憶するとともに、前記メイン基板から受けた前記当選役に基づき前記値数を出力する演出抽選テーブルと、
前記メイン基板から受けた前記設定値(以下「現在の設定値」と表記する)に基づき所定の係数を出力する係数記憶部と、
前記メイン基板から受けた前記当選役に基づき前記演出抽選テーブルから出力された前記値数に対して前記係数記憶部から出力された前記係数に基づき演算を行い(この演算の結果により得られた値を「実際の値数」と表記する)、前記実際の値数を出力する演出頻度安定化部と、
前記演出頻度安定化部から出力された前記実際の値数に基づき演出に係る抽選処理を行う演出抽選処理部とを備え、
前記係数記憶部は、前記当選役ごとに、(基準となる設定値における当選確率)÷(前記現在の設定値における当選確率)に基づき算出された値を前記係数として記憶し、
前記演出頻度安定化部は、(前記演出抽選テーブルから出力された前記値数)×(前記係数記憶部から出力された前記係数)に基づき算出された値を前記実際の値数として出力することを特徴とする遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
詳細は後述するが、スロットマシンなどの遊技機は、所定の抽選処理を行う内部抽選手段とを含むメイン基板と、メイン基板からコマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板と、サブ基板からのデータに基づき、液晶表示装置などの演出を行うためのデバイスを制御するデバイス制御基板とを備える。
【0006】
サブ基板は、メイン基板の内部抽選手段による抽選結果に対応して演出を選択する。すなわち、メイン基板から抽選結果(当選役)を受けてこれに対応する複数の演出からいずれかを抽選で選択するようにしている。
【0007】
スロットマシンは、基本的に図柄が揃ったときに賞品としてメダルを払い出すものであるが、図柄が揃うかどうかは内部のコンピュータによる抽選の結果に従う。また、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役などのさまざまな賞も内部のコンピュータによる抽選の結果に従う。この抽選はメイン基板で行われるが、抽選の処理の内容は所定の範囲内で設定の変更(以下、設定変更)が可能であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。設定変更は、遊技機の扉を開け、電源部に設けられた設定キースイッチをオンにした後に電源スイッチをオフからオンにし、設定変更可能なモードに移行した後、設定変更スイッチを押す等の所定の操作手順により設定値を設定することにより行われた。
【0008】
上記設定値はメイン基板に記憶され、これに基づき複数の抽選テーブルからひとつが選択され、選択された抽選テーブルに基づき抽選が行われる。したがって、設定値に応じて当選役の出現確率は変化する。
【0009】
しかし、サブ基板における演出に係る従来の抽選は設定値が違っても同じように行っており、メイン基板の抽選処理による当選役の出現確率の変化に伴い、同じ当選役であってもサブ基板による演出頻度が変化していた。
【0010】
この課題について、
図11及び
図12を参照して説明を加える。なお、これらの図に示されている各要素については
図3、
図6及び
図7に示されたものと同じ符号を付しているので、それらの説明も参照されたい。
【0011】
図11の1201は抽選に用いられる抽選テーブルである。設定値が1〜6の6つであるとすると、抽選テーブル1201は、設定値1用抽選テーブル1201−1〜設定値6用抽選テーブル1201−6の6つのテーブルを含む。これら6つの抽選テーブルは、それぞれ異なる内容をもつ。
【0012】
1202は、複数の抽選テーブル1201−1〜1201−6からひとつを選択するための設定値を記憶する設定値記憶部である。
【0013】
1203は、設定値記憶部1202の設定値に従って複数の抽選テーブル1201−1〜1201−6のいずれかを選択する抽選テーブル選択部である。
【0014】
1204は、選択された抽選テーブルに基づき抽選処理を行う抽選処理部である。
【0015】
20aは、サブ基板20において演出抽選を行う演出抽選手段である。
【0016】
図12は演出抽選手段20aのブロック図を示す。
【0017】
2001は、メイン基板10の内部抽選手段1200の抽選処理により得られる当選役に対応する値数を予め記憶するとともに、メイン基板10から受けた当選役に基づき値数を出力する演出抽選テーブルである。
【0018】
2002は、抽選テーブル2001から出力された値数に基づき演出に係る抽選処理を行う演出抽選処理部である。
【0019】
なお、値数に基づく抽選処理そのものは公知であるので、その処理内容の説明は省略する。
【0020】
図12からわかるように、演出抽選手段20aは設定値を入力としていないので、設定値によらず同じ抽選結果(演出種類)を出力する。
【0021】
ここで、演出抽選テーブル2001が予め定められた設定値A(Aは1〜6のいずれか)を基準として当選確率が定められているものとする。ベル(小役)を例に取ると、
図9(a)のように5種類のベル演出1〜5があり、値数がいずれも100である。一例として、抽選に用いる乱数値が15ビットであるとすれば、基準となる設定値におけるベル当選時に(言い換えれば、演出抽選手段20aに入力された当選役がベルであるとして)、ベル演出1〜5のいずれかが選択される確率は500/32768である。
【0022】
また、基準となる設定値に設定されている場合において、メイン基板10の抽選において、(基準となる設定値のベル当選確率)=1/10であるとする。
【0023】
上記の条件のもとで、演出抽選手段20aの抽選による演出頻度は、(ベル演出1〜5が選択される確率)×(設定値Aのベル当選確率)=(500/32768)×(1/10)=50/32768となる。
【0024】
しかし、設定値がAからB(Bは1〜6のいずれか、ただしA≠B)に変更されたとする。この結果、例えば、メイン基板10の抽選による確率が、(現在の設定値のベル当選確率)=1/9のように変化する。
【0025】
設定値Bにおける演出抽選手段20aの抽選による演出頻度は、(ベル演出1〜5が選択される確率)×(設定値Bのベル当選確率)=(500/32768)×(1/9)≒55.6/32768となる。これは基準である設定値Aにおける演出頻度とは異なっている(この例では増加している)。
【0026】
このように、従来の遊技機では、設定値の変更に伴い演出頻度が変化してしまっていた。
【0027】
設定値が異なったときでも演出頻度が一定になるようにするには、メイン基板と同様にサブ基板にも設定値ごとに複数の抽選テーブルを設ければよいが、これでは設定値の数に応じたメモリ領域が必要となり、メモリの使用量が増えてしまう。これではコストの増加を招き、好ましくない。
【0028】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、メモリの使用量を増やすことなく、メイン基板の設定値が異なったときでもサブ基板による演出頻度を一定にすることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この発明は、所定の抽選処理を行う内部抽選手段を含むメイン基板と、前記メイン基板からコマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記サブ基板からのデータに基づいて所定の演出を行う演出装置とを備える遊技機において、
前記メイン基板の前記内部抽選手段は、
それぞれ異なる内容をもつ複数の抽選テーブルと、
前記複数の抽選テーブルからひとつを選択するための設定値を記憶する設定値記憶部と、
前記設定値に従って前記抽選テーブルを選択する抽選テーブル選択部と、
選択された前記抽選テーブルに基づき抽選処理を行う抽選処理部とを備え、
前記サブ基板は、
前記メイン基板の前記内部抽選手段の抽選処理により得られる当選役に対応する値数を予め記憶するとともに、前記メイン基板から受けた前記当選役に基づき前記値数を出力する演出抽選テーブルと、
前記メイン基板から受けた前記設定値(以下「現在の設定値」と表記する)に基づき所定の係数を出力する係数記憶部と、
前記メイン基板から受けた前記当選役に基づき前記演出抽選テーブルから出力された前記値数に対して前記係数記憶部から出力された前記係数に基づき演算を行い(この演算の結果により得られた値を「実際の値数」と表記する)、前記実際の値数を出力する演出頻度安定化部と、
前記演出頻度安定化部から出力された前記実際の値数に基づき演出に係る抽選処理を行う演出抽選処理部とを備えるものである。
【0030】
例えば、前記係数記憶部は、前記当選役ごとに、(基準となる設定値における当選確率)÷(前記現在の設定値における当選確率)に基づき算出された値を前記係数として記憶し、
前記演出頻度安定化部は、(前記演出抽選テーブルから出力された前記値数)×(前記係数記憶部から出力された前記係数)に基づき算出された値を前記実際の値数として出力する。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、サブ基板に、現在の設定値に基づき所定の係数を出力する係数記憶部と、メイン基板から受けた当選役に基づき演出抽選テーブルから出力された値数に対して前記係数に基づき演算を行い、実際の値数として出力する演出頻度安定化部とを備え、設定値の違いを前記係数により調整するようにしたので、ひとつの抽選テーブルを使用して複数の設定値に対応することができ、メモリ容量の増加を防ぎつつ、設定毎に当選確率が異なる場合でも当該当選役の演出頻度の変化を少なく、安定化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、
図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0034】
図1及び
図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、
図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、
図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0035】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCD(演出装置)が設けてある。
【0036】
スロットマシン本体120の内部には、
図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0037】
前記前扉130の裏面には、
図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0038】
また、メダルセレクタ1の下側には、
図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0039】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0040】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0041】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0042】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0043】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(デバイス制御基板)が接続されている。周辺基板とは、サブ基板20により制御されるものであり、主に映像、光、音響により演出を行うものである。なお、以下の説明では、便宜上、液晶制御基板200とその他の周辺基板を区別して説明を行う。
【0044】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0045】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0046】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0047】
投入受付手段1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0048】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0049】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0050】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブルを選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う(
図6及びその説明参照)。
【0051】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブルのうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0052】
複数の抽選テーブルのいずれを選択するかに用いられるのが設定値である。設定値は、例えば1〜6のいずれかであり、この数値に対応してメイン基板10のROM内に予め記憶されている6つの抽選テーブルからいずれかひとつが選択される。
【0053】
設定値は、遊技機の扉を開け、電源部205に設けられた設定キースイッチをオンにした後に電源スイッチをオフからオンにし、設定変更可能なモードに移行した後、設定変更スイッチを押す等の所定の操作手順により設定される。設定値は、メイン基板10に記憶される。
【0054】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段1100から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0055】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0056】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0057】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0058】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0059】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0060】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0061】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0062】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0063】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップボタン140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0064】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0065】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0066】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0067】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0068】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0069】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0070】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0071】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0072】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0073】
次に、遊技機における遊技処理について
図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
【0074】
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、
図4の処理が開始される。
【0075】
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
【0076】
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
【0077】
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
【0078】
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
【0079】
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
【0080】
ステップS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
【0081】
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
【0082】
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0083】
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
【0084】
図5は、サブ基板20とその周辺基板(デバイス制御基板)の接続の説明図である。
図3に示すように、サブ基板20には、液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202が接続されている。これらは、サブ基板20の周辺基板と言うべきものである。
【0085】
これら複数の周辺基板は、
図5のように接続されている。すなわち、複数の周辺基板が共通のバスに接続され、当該バスを通じてサブ基板20と通信を行う。当該バスを流れる信号は、パラレル信号(例えば8ビットの線で信号を伝送するもの)あるいはシリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。なお、
図5の例ではサブ基板20から出た信号がサブ基板20に戻っているが、これは一例であり、一般的なバス構造のように接続端の反対側の端が開放されていてもよい。
【0086】
サブ基板20から周辺基板へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板としての液晶制御基板200へデータを送る場合は、液晶制御基板200に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。液晶制御基板200は、アドレスにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチに取り込む。取り込んだデータに従って所定の動作を行う。取り込んだデータが、液晶制御基板200で取得したあるいは取得可能なデータをサブ基板20へ送信するコマンドであれば、当該データをサブ基板20へ送信する(所定のデータ受信後は、予め定められたデータを常にサブ基板20へ送信するようにすることもできる)。
【0087】
図6は、発明の実施の形態に係る遊技機のブロック図である。本発明の実施の形態の動作説明に必要な部分のみを示し、他の要素は省略している。
【0088】
1201は抽選に用いられる抽選テーブルである。設定値が1〜6の6つであるとすると、抽選テーブル1201は、設定値1用抽選テーブル1201−1〜設定値6用抽選テーブル1201−6の6つのテーブルを含む。これら6つの抽選テーブルは、それぞれ異なる内容をもつ。
【0089】
抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。
【0090】
1202は、複数の抽選テーブル1201−1〜1201−6からひとつを選択するための設定値を記憶する設定値記憶部である。
【0091】
1203は、設定値記憶部1202の設定値に従って複数の抽選テーブル1201−1〜1201−6のいずれかを選択する抽選テーブル選択部である。
【0092】
1204は、選択された抽選テーブルに基づき抽選処理を行う抽選処理部である。
【0093】
抽選処理部1204は、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段1100から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について、抽選テーブル選択部1203で選択された抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0094】
20bは、サブ基板20において演出抽選を行う演出抽選手段である。演出抽選手段20bは、設定値が変更された場合でも演出頻度が一定になるように(安定化されるように)するための演出頻度安定化手段20cを含んでいる。演出頻度安定化手段20cは、
図7の係数記憶部2003と演出頻度安定化部2004が相当する。
【0095】
図7は演出抽選手段20bのブロック図を示す。
【0096】
2001は、メイン基板10の内部抽選手段1200の抽選処理により得られる当選役に対応する値数を予め記憶するとともに、メイン基板10から受けた当選役に基づき値数を出力する演出抽選テーブルである。
【0097】
2002は、演出頻度安定化部2004により補正された値数に基づき演出に係る抽選処理を行う演出抽選処理部である。
【0098】
なお、値数に基づく抽選処理そのものは公知であるので、その処理内容の説明は省略する。
【0099】
2003は、予め定められた基準となる設定値をメイン基板10から受けた設定値(以下「現在の設定値」と表記する)と比較し、これらが一致しないときに現在の設定値に基づき所定の係数を出力する係数記憶部である。
【0100】
図8は、係数記憶部2003が記憶する内容の説明図である。設定値1〜6それぞれに係数c1〜c6が対応して記憶されている。係数c1〜c6は所定の当選役、例えばベル(小役)についてのものである。
図8はひとつの当選役(ベル)についての例を示す。
【0101】
係数は、所定の当選役について、(基準となる設定値の当選確率)÷(基準以外の設定値の当選確率)に基づき計算される。例えば設定値1を基準となる設定値とし、設定値2を係数を求めようとする設定値とした場合、当該当選役について、係数c2=(設定値1の当選確率)÷(設定値2の当選確率)で求められる。(設定値1(基準)の当選確率)=1/10、(設定値2(現在)の当選確率)=1/9であるとき、係数c2=1/10÷1/9=9/10となる。
【0102】
係数記憶部2003は、基準となる設定値をメイン基板10から受けた設定値(以下「現在の設定値」と表記する)と比較し、これらが一致しないときにのみ係数を出力する(係数が出力されたとき演出頻度安定化部2004が動作する、
図10参照)。
【0103】
なお、基準となる設定値と現在の設定値を比較して、これらが一致しないときのみ係数を出力することに代えて、基準となる設定値に対して係数(値は1)を対応付け、基準となる設定値と現在の設定値を比較することなしに、一律に係数を出力するようにしてもよい。
【0104】
2004は、メイン基板10から受けた当選役に基づき演出抽選テーブル2001から出力された値数に対して係数記憶部2003から出力された係数に基づき演算を行い(この演算の結果により得られた値を「実際の値数」と表記する)、実際の値数を出力する演出頻度安定化部である。
【0105】
図6及び
図7の遊技機によれば、演出抽選手段20bは設定値に応じて補正を行っているので、設定値が変化しても演出頻度は同じになる。
【0106】
図9を参照して、
図6及び
図7の遊技機の動作を具体的に説明する。当選役としてベル(小役)を例に取る。
【0107】
図9(a)はベル当選における演出抽選テーブル2001の例である。ベル演出1〜ベル演出5の5種類の演出があり、値数はいずれも100である。
【0108】
(基準となる設定値のベル当選確率)=1/10、(現在の設定値のベル当選確率)=1/9であるとする。すると上述の係数算出式から、係数=(基準となる設定値の小役当選確率)÷(現在の設定値の小役当選確率)=9/10となる。係数記憶部2003は、9/10を出力する。この係数はベル演出1〜ベル演出6について共通である。
【0109】
演出頻度安定化部2004は、実際の値数=(演出抽選テーブル2001の出力の値数)×(係数)を計算する。演出抽選処理部2002は、演出抽選テーブル2001に設定されている値数に、上記のように算出した係数を掛けたものを「実際の値数」として抽選に使用する。
【0110】
演出頻度安定化部2004の処理により演出頻度が一定になる(安定化する)ことについて説明する。
【0111】
演出抽選テーブル2001が予め定められた設定値A(例えばA=1)を基準として当選確率が定められているものとする。
図9(a)では5種類のベル演出1〜5について値数がいずれも100であるから、演出抽選処理部2002において、ベル演出1〜5のいずれかが当選する確率は、抽選に用いる乱数値が15ビットであり補正がなされていないとして、100×5/32768=500/32768である。
【0112】
基準となる設定値においてベル演出1〜5が選択される確率が500/32768であるとして(係数=1である、あるいは補正が行われないため)、基準となる設定値のベル当選の確率は1/10であるから、このときの演出頻度は、(ベル演出1〜5が選択される確率)×(ベル当選確率)となる。したがって、基準となる設定値におけるベル演出1〜5の演出頻度=500/32768×1/10=50/32768である(演出頻度安定化部2004の処理がない場合と同じ)。
【0113】
次に、設定値A以外である現在の設定値B(例えばB=2)について検討する。現在の設定値においては、演出抽選処理部2002は、係数記憶部2003から出力された係数=9/10に基づき演出頻度安定化部2004で補正された実際の値数=90に基づき抽選を行う。現在の設定値においてベル演出1〜5が選択される確率は、90×5/32768=450/32768である。
【0114】
このときの演出頻度は、(ベル演出1〜5が選択される確率)×(ベル当選確率)=450/32768×1/9=50/32768である。これは、基準となる設定値における演出頻度と同じである。
【0115】
他の当選役についても同様に基準となる設定値と現在の設定値の当選確率から係数を算出し、同様の処理を行う。
【0116】
以上説明したように、発明の実施の形態によれば、基準となる設定値と現在の設定値の演出頻度は同じになる。したがって、設定値が変化しても演出頻度は同じになる(安定化される)。
【0117】
図10は、発明の実施の形態に係る処理フローチャートである。
図7は、
【0118】
S10:係数記憶部2003は、メイン基板10からの現在の設定値と基準となる設定値を比較する。
両者が一致したら
図10の処理を終了する。不一致であればS11に進む。
【0119】
S11:係数記憶部2003は、現在の設定値に基づき係数を取得し、出力する。
【0120】
S12:演出抽選テーブル2001は、メイン基板10からの当選役に基づき、当該当選役に対応する値数を取得する。
【0121】
S13:演出頻度安定化部2004は、演出抽選テーブル2001からの値数に係数記憶部2003からの係数を掛ける。
【0122】
S14:演出頻度安定化部2004は、S13の結果を実際の値数として出力する。
演出抽選処理部2002は、演出頻度安定化部2004からの実際の値数に基づき抽選を行う。抽選処理は公知であるので説明は省略する。
【0123】
発明の実施の形態によれば、設定毎の当選確率が異なる遊技機において発生していた演出頻度の設定差を無くすことができる。同一の抽選テーブルを用いているので、メモリ容量の増加を防ぐこともできる。
【0124】
以上の説明において、スロットマシンを例に取り説明を加えたが、本発明の実施の形態はパチンコ機のような他の遊技機にも適用することができる。
【0125】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。