【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される固定子鉄心および当該固定子鉄心を備える固定子の構造について、
図1Aから
図4Bを参照して説明する。なお、
図1Aから
図4Bにおいては、本実施例における固定子鉄心の製造方法の理解を容易にするために、湾曲状態の電磁鋼板における湾曲部の曲率半径などを誇張して示している。
【0024】
図3に示すように、本実施例における固定子1は、略円筒形状のヨーク10(第一構成部材)と当該ヨーク10の内周側に放射状に組み付けられる複数(本実施例においては八個)のティース20(第二構成部材)とから成る固定子鉄心30と、当該固定子鉄心30のティース20に巻線40aが巻回されて成るコイル40とから構成されている。
【0025】
図2および
図3に示すように、ヨーク10は、円環形状から成るヨーク用電磁鋼板11を固定子1の軸方向(
図2における上下方向)に複数枚積層することにより形成される。ヨーク用電磁鋼板11には、円環形状の本体部12の内周側に、ティース20を組み付けるための組み付け溝部13を形成している。
【0026】
ティース20は、平板形状から成るティース用電磁鋼板21を固定子1の軸方向に複数枚積層することにより形成される。ティース用電磁鋼板21には、ヨーク10に組み付けるための組み付け突部22と、巻線40aを巻回してコイル40を形成するためのティース部23と、ヨーク10とティース20とを組み付けるための組み付けボルト50(
図2参照)を挿通させるためのボルト挿通穴24とを形成している。なお、ティース20すなわちティース用電磁鋼板21は、その内周側の面が図示しないロータの周面と対向するように円弧形状に形成されている。
【0027】
また、
図4Aおよび
図4Bに示すように、ティース用電磁鋼板21は、組み付け前には固定子1の径方向(
図4Aにおける上下方向)に沿った稜線が形成されるように湾曲した(湾曲部が形成された)湾曲状態(
図4Aおよび
図4Bにおいて実線で示すティース用電磁鋼板21b)であり、組み付け時には当該湾曲状態から平坦状態(
図4Aおよび
図4Bにおいて二点鎖線で示すティース用電磁鋼板21a)となるように変形させることができるものである。
【0028】
そして、平坦状態のティース用電磁鋼板21aにおける組み付け突部22の幅(固定子1の周方向における長さ)B
22aを、ヨーク10の組み付け溝部13の幅(固定子1の周方向における長さ)B
13と略同じ長さに形成し、湾曲状態のティース用電磁鋼板21bにおける組み付け突部22の幅(固定子1の周方向における長さ)B
22bが、ヨーク10の組み付け溝部13の幅(固定子1の周方向における長さ)B
13よりも小さくなるように湾曲させている(
図3、
図4Aおよび
図4B参照)。
【0029】
よって、ティース用電磁鋼板21が湾曲状態の場合には、ティース用電磁鋼板21bの組み付け突部22の幅B
22bがヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B
13よりも小さいので、ヨーク10とティース20との組み付け時に、互いに干渉することなく、容易に組み付け作業を行うことができる。
【0030】
本実施例においては、ティース用電磁鋼板21を、図示しないプレス機によって平板形状の母材から打ち抜き成形した後に図示しないプレス機によって湾曲させることにより、
図4Aおよび
図4Bに示すような所定寸法の瓦形状としている。もちろん、本発明における電磁鋼板は、これに限定されず、湾曲させた後に打ち抜き成形することにより所定寸法の瓦形状としても良く、一つの金型による成型工程において、打ち抜くと同時に湾曲させることにより所定寸法の瓦形状としても良い。
【0031】
図2に示すように、ヨーク用電磁鋼板11およびティース用電磁鋼板21を、固定子1の軸方向(
図2における上下方向)に複数枚積層した状態で、軸方向における両端(
図2における上端および下端)にヨーク用電磁鋼板11と同程度の大きさの円環形状を成す支持部材としてのエンドリング60を配し、機械的締結手段としての組み付けボルト50および組み付けナット51によって、両側からヨーク用電磁鋼板11およびティース用電磁鋼板21を締め付けている。ティース用電磁鋼板21は、組み付けボルト50および組み付けナット51の締結力(圧力)によって、平坦状態(固定子1として使用される状態)となる(
図1B参照)。
【0032】
平坦状態のティース用電磁鋼板21aにおける組み付け突部22の幅B
22aは、ヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B
13に対して、略同寸法で形成している(
図3、
図4Aおよび
図4B参照)。よって、ヨーク10とティース20とを組み付けて、ティース用電磁鋼板21を平坦状態とした場合に、ティース用電磁鋼板21aの組み付け突部22の幅B
22aがヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B
13と略同じとなるので、ヨーク10とティース20との組み付けにおいて、組み付けガタが生じることはない(
図1B参照)。
【0033】
本実施例における固定子鉄心の製造方法を用いたヨーク10とティース20との組み付け手順について、
図1Aから
図3を参照して説明する。
【0034】
まず、ヨーク用電磁鋼板11を積層してヨーク10を形成し、ティース用電磁鋼板21を積層してティース20を形成する(
図1A参照)。ヨーク10に形成した組み付け溝部13に、ティース20の組み付け突部22を嵌入する(
図1Aおよび
図3参照)。このとき、ティース用電磁鋼板21は、固定子1の径方向に沿った稜線が形成されるように湾曲した瓦形状であるので、ヨーク10とティース20との組み付け部における組み付け溝部13の幅B
13と組み付け突部22の幅B
22bには、ティース20の湾曲分の差、すなわち、ヨーク10の組み付け溝部13に対してティース20の組み付け突部22の両側(
図1Aにおける左右側)にはそれぞれ隙間dが作られる。
【0035】
よって、ヨーク10の組み付け溝部13にティース20の組み付け突部22を嵌入する際に、ヨーク10とティース20とが干渉することはなく、ヨーク10とティース20との組み付け作業において手間が掛かることはない。もちろん、ティース用電磁鋼板21を一枚または複数枚ずつに分け、ヨーク10の組み付け溝部13に、ティース用電磁鋼板21の組み付け突部22を順次嵌入させるようにしても良い。
【0036】
次に、ヨーク10およびティース20の軸方向両端にエンドリング60を配し、エンドリング60に形成したボルト挿通穴61およびティース20に形成したボルト挿通穴24に組み付けボルト50を一方側から挿通させると共に、他方側に突出した組み付けボルト50の先端部50aに組み付けナット51を螺合させる(
図1Aおよび
図2参照)。
【0037】
組み付けボルト50および組み付けナット51を所定の締結力で締め付け、エンドリング60がヨーク10の両端面14に接するように、すなわち、ティース20が湾曲形状から平坦形状となって組み付け突部22の幅B
22aが大きくなるように、ティース20に軸方向の圧力を加える(
図1B参照)。
【0038】
ティース20は、組み付けボルト50および組み付けナット51の締結力によって、湾曲状態から平坦状態に変形されると、ティース20(ティース用電磁鋼板21a)の組み付け突部22の幅B
22aがヨーク10の組み付け溝部13の幅B
13と略同一となり、組み付けガタのない固定子鉄心30すなわち当該固定子鉄心30を備えた固定子1を製造することができる(
図3、
図4Aおよび
図4B参照)。
【0039】
平坦状態のティース用電磁鋼板21aにおける組み付け突部22の幅B
22aを、ヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B
13よりも大きくなるように形成した場合には、ティース用電磁鋼板21を湾曲状態から平坦状態へと変形させた際に、ティース用電磁鋼板21の組み付け突部22がヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13に密着した状態となるので、ヨーク用電磁鋼板11とティース用電磁鋼板21との結合力を得ることができる。
【0040】
よって、例えば、ヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13にティース用電磁鋼板21の組み付け突部22を配した後に、ティース用電磁鋼板21を固定子鉄心30の軸方向両側からプレス等で圧力を加えることにより、本実施例のような機械的締結手段としての組み付けボルト50および組み付けナット51を使用することなく、ヨーク用電磁鋼板11とティース用電磁鋼板21とを組み付けることができる。
【0041】
また、本発明における電磁鋼板の形状は、本実施例におけるティース用電磁鋼板21のような瓦形状に限定されず、ヨーク10とティース20との組み付け作業を容易にすることができれば良い。つまり、本実施例のように、ティース用電磁鋼板21の全体を湾曲させずに、例えば、組み付け突部22の周方向における幅B
22bがヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の周方向における幅B
13よりも小さくなるように、ティース用電磁鋼板21に湾曲部を形成、すなわち、ティース用電磁鋼板21のティース部23を平坦として組み付け突部22のみを湾曲させても良い。
【0042】
本発明に係る固定子鉄心の製造方法は、本実施例のように、円筒形状のヨーク10の内周側にティース20を組み付けて成る分割構造の固定子鉄心30の製造に適用したものに限定されず、円弧形状のヨーク部とティース部とを一体的に併せ持つ分割鉄心を周方向に組み付けて成る分割構造の固定子鉄心の製造に適用しても良い。
【0043】
つまり、本発明に係る固定子鉄心の製造方法を、円弧形状のヨーク部とティース部とを一体的に併せ持つ分割鉄心を周方向に組み付けて成る分割構造の固定子鉄心の製造に適用した場合には、分割鉄心に組み付け突部と組み付け溝部を形成し、組み付け突部の幅を組み付け溝部の幅よりも小さくなるように分割鉄心における組み付け突部を湾曲させて湾曲部を形成し、周方向における分割鉄心の組み付けを行った後に当該分割鉄心に圧力を加えることにより、本実施例と同様の作用効果を得ることができる。