特許第6232641号(P6232641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232641
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】固定子鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20171113BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H02K15/02 D
   H02K1/18 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-16343(P2014-16343)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-144499(P2015-144499A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2017年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】太田 智
(72)【発明者】
【氏名】沖津 隆志
(72)【発明者】
【氏名】久光 行正
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−186226(JP,A)
【文献】 特開2008−306854(JP,A)
【文献】 特開昭60−152257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K15/02
H02K 1/06− 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一構成部材に形成した組み付け用の溝部に、第二構成部材に形成した組み付け用の突部を嵌入することにより、分割構造の固定子鉄心を構成する前記第一構成部材と前記第二構成部材とを組み付ける固定子鉄心の製造方法であって、
前記第二構成部材における前記突部の幅が前記第一構成部材における前記溝部の幅よりも小さくなるように前記第二構成部材に湾曲部を形成し、前記第二構成部材における前記突部を前記第一構成部材における前記溝部に嵌入した後、前記第二構成部材における前記突部の幅が大きくなるように前記第二構成部材に圧力を加える
ことを特徴とする固定子鉄心の製造方法。
【請求項2】
前記第二構成部材が、電磁鋼板を複数枚積層することにより構成されるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の固定子鉄心の製造方法。
【請求項3】
前記湾曲部が、前記電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き成形する際に形成されるものである
ことを特徴とする請求項2に記載の固定子鉄心の製造方法。
【請求項4】
前記圧力が、前記第一構成部材および前記第二構成部材における軸方向両側に配した支持部材を介して機械的締結手段によって加えられるものである
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の固定子鉄心の製造方法。
【請求項5】
前記第一構成部材が、略円筒形状のヨークであり、
前記第二構成部材が、前記ヨークの外周側または内周側に向かって放射状に延びるように組み付けられるティースである
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固定子鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子鉄心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータなどの回転電機における固定子は、略円筒形状のヨーク部と当該ヨーク部の外周側または内周側へ向かって放射状に突出する複数のティース部とから成る固定子鉄心と、固定子鉄心におけるティース部に巻線を巻回して成るコイルとから構成される。固定子鉄心は、ヨーク部およびティース部に相当する形状を有する電磁鋼板を当該固定子の軸方向に複数枚積層することにより製造され、固定子は、固定子鉄心を形成した後に当該固定子鉄心のティース部に巻線を巻回することにより製造される。
【0003】
固定子の製造において、固定子鉄心のティース部に巻線を巻回してコイルを形成する作業は手間であり、特に、複数のティース部に巻線を高占積率で巻回するには時間が掛かってしまう。このようなティース部に巻線を巻回してコイルを形成する作業の手間を低減することができる技術としては、固定子鉄心を所定形状に分割した構成とすることが挙げられる。
【0004】
分割構造の固定子鉄心としては、例えば、ヨーク部とティース部とを分割した分割構造の固定子鉄心、すなわち、略円筒形状のヨークの外周側または内周側に複数のティースを組み付けて成る固定子鉄心があり(例えば、特許文献1)、その他の例としては、固定子鉄心を周方向に分割した分割構造の固定子鉄心、すなわち、略円弧形状のヨーク部と当該ヨーク部の外周側または内周側へ向かって延びるティース部とを一体的に備えた分割鉄心を周方向に組み付けて成る固定子鉄心などがある。
【0005】
分割構造の固定子鉄心は、所定の分割形状の電磁鋼板を複数枚積層して複数の分割積層体を形成し、それら複数の分割積層体をそれぞれ組み付けることにより構成される。例えば、所定の分割形状の電磁鋼板に組み付け用の突部および組み付け用の溝部を形成することにより、当該電磁鋼板を複数枚積層させた複数の分割積層体をそれぞれ組み付けることができるようにしている。
【0006】
このような分割構造の固定子鉄心の製造において、電磁鋼板に形成する組み付け用の突部および溝部を同寸法とした場合には、当該組み付け用の突部と溝部とが干渉するので、分割積層体の組み付け作業が大変困難となる。そこで、電磁鋼板に形成する組み付け用の突部および溝部を異なる寸法、すなわち、電磁鋼板に形成する組み付け用溝部を組み付け用の突部よりも大きくすることにより、分割積層体の組み付け部(組み付け用の突部と溝部との間)に隙間を作ることができるので、分割積層体を組み付ける際に組み付け用の突部と溝部とが干渉せずに、当該組み付け作業を容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−199666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、分割積層体の組み付け部における隙間は、組み付け時の作業(組み付け作業)を容易にすることができる一方で、組み付け後の固定子鉄心にガタ(組み付けガタ)となってしまう。このような組み付けガタを有する固定子鉄心を備えた回転電機においては、組み付けガタによる振動音の増大や部材の損傷等を生じてしまう虞がある。
【0009】
なお、電磁鋼板を製作する際に組み付け用の突部および溝部を所定の寸法で形成することにより、分割積層体同士の組み付け作業を容易とし、かつ、固定子鉄心の組み付けガタを小さくすることができる。しかし、この製造方法では、組み付け作業の容易性および組み付けガタの大きさは、電磁鋼板を製作する際の製作誤差の影響を受け易いので、電磁鋼板の精度すなわち公差を厳しく管理しなければならず、製造コストの増大を招来してしまう。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、分割構造の固定子鉄心において、分割積層体同士の組み付け作業を容易にすると共に、組み付けガタを小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する第一の発明に係る固定子鉄心の製造方法は、第一構成部材に形成した組み付け用の溝部に、第二構成部材に形成した組み付け用の突部を嵌入することにより、分割構造の固定子鉄心を構成する前記第一構成部材と前記第二構成部材とを組み付ける固定子鉄心の製造方法であって、前記第二構成部材における前記突部の幅が前記第一構成部材における前記溝部の幅よりも小さくなるように前記第二構成部材に湾曲部を形成し、前記第二構成部材における前記突部を前記第一構成部材における前記溝部に嵌入した後、前記第二構成部材における前記突部の幅が大きくなるように前記第二構成部材に圧力を加えることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第二の発明に係る固定子鉄心の製造方法は、第一の発明に係る固定子鉄心の製造方法において、前記第二構成部材が、電磁鋼板を複数枚積層することにより構成されるものであることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第三の発明に係る固定子鉄心の製造方法は、第二の発明に係る固定子鉄心の製造方法において、前記湾曲部が、前記電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き成形する際に形成されるものであることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第四の発明に係る固定子鉄心の製造方法は、第一から第三のいずれか一つの発明に係る固定子鉄心の製造方法において、前記圧力が、前記第一構成部材および前記第二構成部材における軸方向両側に配した支持部材を介して機械的締結手段によって加えられるものであることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第五の発明に係る固定子鉄心の製造方法は、第一から第四のいずれか一つの発明に係る固定子鉄心の製造方法において、前記第一構成部材が、略円筒形状のヨークであり、前記第二構成部材が、前記ヨークの外周側または内周側に向かって放射状に延びるように組み付けられるティースであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第一の発明に係る固定子鉄心の製造方法によれば、第二構成部材における突部の幅が第一構成部材における溝部の幅よりも小さくなるように第二構成部材に湾曲部を形成し、第二構成部材における突部を第一構成部材における溝部に嵌入したことにより、第二構成部材における突部の幅が第一構成部材における溝部の幅よりも小さいので、第二構成部材における突部と第一構成部材における溝部とが干渉せず、容易に第一構成部材と第二構成部材とを組み付けることができる。また、第二構成部材における突部を第一構成部材における溝部に嵌入した後、第二構成部材における突部の幅が大きくするので、組み付けガタを生じさせることなく第一構成部材と第二構成部材とを組み付けることができる。
【0017】
第二の発明に係る固定子鉄心の製造方法によれば、第二構成部材が電磁鋼板を複数枚積層することにより構成されるものであることにより、薄板の電磁鋼板を湾曲させることにより、容易に湾曲部を形成することができる。
【0018】
第三の発明に係る固定子鉄心の製造方法によれば、湾曲部が電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き成形する際に形成されるものであることにより、固定子鉄心の製造における工程数を増加させる必要がない。
【0019】
第四の発明に係る固定子鉄心の製造方法によれば、圧力が第一構成部材および第二構成部材における軸方向両側に配した支持部材を介して機械的締結手段によって加えられるものであることにより、容易に組付け作業を行うことができると共に、固定子鉄心の構造を簡易なものとすることができる。
【0020】
第五の発明に係る固定子鉄心の製造方法によれば、第一構成部材が略円筒形状のヨークであり、第二構成部材がヨークの外周側または内周側に向かって放射状に延びるように組み付けられるティースであることにより、円筒形状のヨークの内周側に複数のティースを組み付けて成る分割構造の固定子鉄心の製造において、容易にヨークとティースとを組み付けることができ、組み付けガタを生じさせることなくヨークとティースとを組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される製造途中の固定子を示す部分縦断面図(図3におけるI−I矢視断面図に相当)である。
図1B】実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される固定子を示す部分縦断面図(図3におけるI−I矢視断面図)である。
図2】実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される固定子を示す部分縦断面図(図3におけるII−II矢視断面図)である。
図3】実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される固定子示す横断面図である。
図4A】実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される固定子のティース用電磁鋼板を示す平面図である。
図4B】実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される固定子のティース用電磁鋼板を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る固定子鉄心の製造方法の実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施例は、本発明に係る固定子鉄心の製造方法を、円筒形状のヨーク(分割積層体)の内周側に複数のティース(分割積層体)を組み付けて成る分割構造の固定子鉄心および当該固定子鉄心を備えた固定子の製造に適用したものである。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1に係る固定子鉄心の製造方法を用いて製造される固定子鉄心および当該固定子鉄心を備える固定子の構造について、図1Aから図4Bを参照して説明する。なお、図1Aから図4Bにおいては、本実施例における固定子鉄心の製造方法の理解を容易にするために、湾曲状態の電磁鋼板における湾曲部の曲率半径などを誇張して示している。
【0024】
図3に示すように、本実施例における固定子1は、略円筒形状のヨーク10(第一構成部材)と当該ヨーク10の内周側に放射状に組み付けられる複数(本実施例においては八個)のティース20(第二構成部材)とから成る固定子鉄心30と、当該固定子鉄心30のティース20に巻線40aが巻回されて成るコイル40とから構成されている。
【0025】
図2および図3に示すように、ヨーク10は、円環形状から成るヨーク用電磁鋼板11を固定子1の軸方向(図2における上下方向)に複数枚積層することにより形成される。ヨーク用電磁鋼板11には、円環形状の本体部12の内周側に、ティース20を組み付けるための組み付け溝部13を形成している。
【0026】
ティース20は、平板形状から成るティース用電磁鋼板21を固定子1の軸方向に複数枚積層することにより形成される。ティース用電磁鋼板21には、ヨーク10に組み付けるための組み付け突部22と、巻線40aを巻回してコイル40を形成するためのティース部23と、ヨーク10とティース20とを組み付けるための組み付けボルト50(図2参照)を挿通させるためのボルト挿通穴24とを形成している。なお、ティース20すなわちティース用電磁鋼板21は、その内周側の面が図示しないロータの周面と対向するように円弧形状に形成されている。
【0027】
また、図4Aおよび図4Bに示すように、ティース用電磁鋼板21は、組み付け前には固定子1の径方向(図4Aにおける上下方向)に沿った稜線が形成されるように湾曲した(湾曲部が形成された)湾曲状態(図4Aおよび図4Bにおいて実線で示すティース用電磁鋼板21b)であり、組み付け時には当該湾曲状態から平坦状態(図4Aおよび図4Bにおいて二点鎖線で示すティース用電磁鋼板21a)となるように変形させることができるものである。
【0028】
そして、平坦状態のティース用電磁鋼板21aにおける組み付け突部22の幅(固定子1の周方向における長さ)B22aを、ヨーク10の組み付け溝部13の幅(固定子1の周方向における長さ)B13と略同じ長さに形成し、湾曲状態のティース用電磁鋼板21bにおける組み付け突部22の幅(固定子1の周方向における長さ)B22bが、ヨーク10の組み付け溝部13の幅(固定子1の周方向における長さ)B13よりも小さくなるように湾曲させている(図3図4Aおよび図4B参照)。
【0029】
よって、ティース用電磁鋼板21が湾曲状態の場合には、ティース用電磁鋼板21bの組み付け突部22の幅B22bがヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B13よりも小さいので、ヨーク10とティース20との組み付け時に、互いに干渉することなく、容易に組み付け作業を行うことができる。
【0030】
本実施例においては、ティース用電磁鋼板21を、図示しないプレス機によって平板形状の母材から打ち抜き成形した後に図示しないプレス機によって湾曲させることにより、図4Aおよび図4Bに示すような所定寸法の瓦形状としている。もちろん、本発明における電磁鋼板は、これに限定されず、湾曲させた後に打ち抜き成形することにより所定寸法の瓦形状としても良く、一つの金型による成型工程において、打ち抜くと同時に湾曲させることにより所定寸法の瓦形状としても良い。
【0031】
図2に示すように、ヨーク用電磁鋼板11およびティース用電磁鋼板21を、固定子1の軸方向(図2における上下方向)に複数枚積層した状態で、軸方向における両端(図2における上端および下端)にヨーク用電磁鋼板11と同程度の大きさの円環形状を成す支持部材としてのエンドリング60を配し、機械的締結手段としての組み付けボルト50および組み付けナット51によって、両側からヨーク用電磁鋼板11およびティース用電磁鋼板21を締め付けている。ティース用電磁鋼板21は、組み付けボルト50および組み付けナット51の締結力(圧力)によって、平坦状態(固定子1として使用される状態)となる(図1B参照)。
【0032】
平坦状態のティース用電磁鋼板21aにおける組み付け突部22の幅B22aは、ヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B13に対して、略同寸法で形成している(図3図4Aおよび図4B参照)。よって、ヨーク10とティース20とを組み付けて、ティース用電磁鋼板21を平坦状態とした場合に、ティース用電磁鋼板21aの組み付け突部22の幅B22aがヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B13と略同じとなるので、ヨーク10とティース20との組み付けにおいて、組み付けガタが生じることはない(図1B参照)。
【0033】
本実施例における固定子鉄心の製造方法を用いたヨーク10とティース20との組み付け手順について、図1Aから図3を参照して説明する。
【0034】
まず、ヨーク用電磁鋼板11を積層してヨーク10を形成し、ティース用電磁鋼板21を積層してティース20を形成する(図1A参照)。ヨーク10に形成した組み付け溝部13に、ティース20の組み付け突部22を嵌入する(図1Aおよび図3参照)。このとき、ティース用電磁鋼板21は、固定子1の径方向に沿った稜線が形成されるように湾曲した瓦形状であるので、ヨーク10とティース20との組み付け部における組み付け溝部13の幅B13と組み付け突部22の幅B22bには、ティース20の湾曲分の差、すなわち、ヨーク10の組み付け溝部13に対してティース20の組み付け突部22の両側(図1Aにおける左右側)にはそれぞれ隙間dが作られる。
【0035】
よって、ヨーク10の組み付け溝部13にティース20の組み付け突部22を嵌入する際に、ヨーク10とティース20とが干渉することはなく、ヨーク10とティース20との組み付け作業において手間が掛かることはない。もちろん、ティース用電磁鋼板21を一枚または複数枚ずつに分け、ヨーク10の組み付け溝部13に、ティース用電磁鋼板21の組み付け突部22を順次嵌入させるようにしても良い。
【0036】
次に、ヨーク10およびティース20の軸方向両端にエンドリング60を配し、エンドリング60に形成したボルト挿通穴61およびティース20に形成したボルト挿通穴24に組み付けボルト50を一方側から挿通させると共に、他方側に突出した組み付けボルト50の先端部50aに組み付けナット51を螺合させる(図1Aおよび図2参照)。
【0037】
組み付けボルト50および組み付けナット51を所定の締結力で締め付け、エンドリング60がヨーク10の両端面14に接するように、すなわち、ティース20が湾曲形状から平坦形状となって組み付け突部22の幅B22aが大きくなるように、ティース20に軸方向の圧力を加える(図1B参照)。
【0038】
ティース20は、組み付けボルト50および組み付けナット51の締結力によって、湾曲状態から平坦状態に変形されると、ティース20(ティース用電磁鋼板21a)の組み付け突部22の幅B22aがヨーク10の組み付け溝部13の幅B13と略同一となり、組み付けガタのない固定子鉄心30すなわち当該固定子鉄心30を備えた固定子1を製造することができる(図3図4Aおよび図4B参照)。
【0039】
平坦状態のティース用電磁鋼板21aにおける組み付け突部22の幅B22aを、ヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の幅B13よりも大きくなるように形成した場合には、ティース用電磁鋼板21を湾曲状態から平坦状態へと変形させた際に、ティース用電磁鋼板21の組み付け突部22がヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13に密着した状態となるので、ヨーク用電磁鋼板11とティース用電磁鋼板21との結合力を得ることができる。
【0040】
よって、例えば、ヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13にティース用電磁鋼板21の組み付け突部22を配した後に、ティース用電磁鋼板21を固定子鉄心30の軸方向両側からプレス等で圧力を加えることにより、本実施例のような機械的締結手段としての組み付けボルト50および組み付けナット51を使用することなく、ヨーク用電磁鋼板11とティース用電磁鋼板21とを組み付けることができる。
【0041】
また、本発明における電磁鋼板の形状は、本実施例におけるティース用電磁鋼板21のような瓦形状に限定されず、ヨーク10とティース20との組み付け作業を容易にすることができれば良い。つまり、本実施例のように、ティース用電磁鋼板21の全体を湾曲させずに、例えば、組み付け突部22の周方向における幅B22bがヨーク用電磁鋼板11の組み付け溝部13の周方向における幅B13よりも小さくなるように、ティース用電磁鋼板21に湾曲部を形成、すなわち、ティース用電磁鋼板21のティース部23を平坦として組み付け突部22のみを湾曲させても良い。
【0042】
本発明に係る固定子鉄心の製造方法は、本実施例のように、円筒形状のヨーク10の内周側にティース20を組み付けて成る分割構造の固定子鉄心30の製造に適用したものに限定されず、円弧形状のヨーク部とティース部とを一体的に併せ持つ分割鉄心を周方向に組み付けて成る分割構造の固定子鉄心の製造に適用しても良い。
【0043】
つまり、本発明に係る固定子鉄心の製造方法を、円弧形状のヨーク部とティース部とを一体的に併せ持つ分割鉄心を周方向に組み付けて成る分割構造の固定子鉄心の製造に適用した場合には、分割鉄心に組み付け突部と組み付け溝部を形成し、組み付け突部の幅を組み付け溝部の幅よりも小さくなるように分割鉄心における組み付け突部を湾曲させて湾曲部を形成し、周方向における分割鉄心の組み付けを行った後に当該分割鉄心に圧力を加えることにより、本実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 固定子
10 ヨーク(第一構成部材)
11 ヨーク用電磁鋼板
12 ヨーク用電磁鋼板の本体部
13 ヨーク用電磁鋼板の組み付け溝部(組み付け用の溝部)
14 ヨークの端面
20 ティース(第二構成部材)
21 ティース用電磁鋼板
22 ティース用電磁鋼板の組み付け突部(組み付け用の突部)
23 ティース用電磁鋼板のティース部
24 ティース用電磁鋼板の挿通穴
30 固定子鉄心
40 コイル
50 組み付けボルト(機械的締結手段)
50a 組み付けボルトの先端部
51 組み付けナット(機械的締結手段)
60 エンドリング(支持部材)
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B