(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、第一の実施の形態及び第二の実施の形態に分けて、図面に基づき説明する。
(第一の実施の形態)
(スロットマシン10)
第一の実施の形態におけるスロットマシン10は、
図1に示すように、正面側が開口する方形箱状の筐体11と、この筐体11の正面開口を開閉自在かつロック可能な前扉3を有している。
前記筐体11の内部において、開口上部には、3個の回転リール40を有するリールユニット60が設置され、開口下部には、ホッパーユニット65と、電源装置5が設けられている。また、前記リールユニット60の上方には、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20が配置されている。
【0019】
前記前扉3は、筐体11にヒンジ(図示せず)を介して水平方向に回動自在に取り付けられた板状の扉である。そして、前記前扉3には、
図1に示すように、遊技者側に向かって臨む正面パネル12が設けられており、正面パネル12には、3個の回転リール40の図柄を視認可能な図柄表示窓13が形成されている。そして、この図柄表示窓13の下方であってスロットマシン10の高さ方向略中央部は、スロットマシン10を作動させるための操作スイッチが設けられたカウンター状の操作部3Aとなっており、操作部3Aの右端にはメダル投入口14が設けられている。前扉3の下部には、ホッパーユニット65から払い出されたメダルを受ける下皿3Bが設けられている。また、メダル投入口14の下方であって前扉3の裏側には、投入メダルを検知しメダルを判別するためのメダルセレクター4が設けられている。
【0020】
前記リールユニット60は、筐体11の内部に収納される枠体に固定された3個のステッピングモータ(図示せず)と、各ステッピングモータの出力軸に取り付けられた3個の回転リール40から構成されている。ここで、3個の回転リール40について、個々の回転リール40を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置する回転リール40を左リール41と称し、中央に位置する回転リール40を中リール42と称し、右側に位置する回転リール40を右リール43と称するものとし、個々の回転リール40を特定しない場合には、単に回転リール40というものとする。
各回転リール40は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、
図3に示すように、「赤7」、「白7」、「黒BAR」、「赤BAR」「リプレイa」、「リプレイb」「スイカa」、「スイカb」「ベル」、「チェリー」などの図柄が、1つの回転リール40につき21個ずつ、表示されている。なお、
図3において左端の数字は、各図柄を特定するための図柄番号を示している。
【0021】
そして、スロットマシン10を正面視したとき、図柄表示窓13からは、各回転リール40の図柄がそれぞれ3個ずつ視認できるようになっている。具体的には、図柄表示窓13の左側には、左リール41の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができ、図柄表示窓13の中央には、中リール42の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができ、図柄表示窓13の右側には、右リール43の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができる。
また、特に図示しないが、各回転リール40には、リールユニット60に設けられたインデックスセンサ60A(
図2参照)に検知される検知部としてのスタートインデックスが設けられている。スタートインデックスは、例えば回転ドラムの内側や回転ドラムとリールモータをつなぐスポークに設けられた突片とすることができる。
【0022】
前記ホッパーユニット65は、
図1に示すように、筐体11の内部に設けられた払い出し装置であって、遊技の結果に基づいて、遊技者にメダルを払い出すためのものである。前記電源装置5は、スロットマシン10の主電源のON/OFFを行うためのものである。
ここで、前記操作スイッチとしては、
図1に示すように、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50が設けられている。なお、操作スイッチとしては、その操作によりスロットマシン10により行われる演出に関わる選択を行うことができる演出選択スイッチが設けられていてもよい。
前記ベットスイッチ16は、カウンター状の操作部3Aの上面左側に設けられたボタンスイッチであって、クレジットをメダル投入に代えるためのものである。ここで、クレジットとは、次遊技以降に使用するためのメダルをあらかじめ遊技機内部に貯留しておくことであり、スロットマシン10は、メダル投入口14から投入された遊技メダル、又は遊技結果に基づき払い出される遊技メダルを、最大50枚まで、遊技機内部に貯留する扱いができるように形成されている。
【0023】
前記精算スイッチ17は、操作部3Aの上面左端に設けられたボタンスイッチであって、クレジットを払い戻すためのものである。
前記スタートスイッチ30は、操作部3Aの正面左側に設けられたレバー状のスイッチであって、回転リール40を回転開始させるためのものである。スタートスイッチ30の筐体内部側には、特に図示しないが、レバーの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサが設けられており、センサの検出信号がスタートスイッチ30の操作信号として扱われるようになっている。
ストップスイッチ50は、操作部3Aの正面中央部に設けられた3個のボタンスイッチであって、回転中の回転リール40を停止させるためのものである。ここで、3個のストップスイッチ50について、個々のストップスイッチ50を特定して説明する場合には、正面視したときに左側に位置するストップスイッチ50を左停止スイッチ51と称し、中央に位置するストップスイッチ50を中停止スイッチ52と称し、右側に位置するストップスイッチ50を右停止スイッチ53と称するものとし、個々のストップスイッチ50を特定しない場合には、単にストップスイッチ50というものとする。3個のストップスイッチ50は、それぞれ、3個の回転リール40に対応して設けられている。具体的には、左リール41には左停止スイッチ51が対応し、中リール42には中停止スイッチ52が対応し、右リール43には右停止スイッチ53が対応している。各ストップスイッチ50の筐体内部側には、特に図示しないが、ボタンの位置移動を検出する接触センサあるいは遮光センサがそれぞれ設けられており、センサの検出信号が各ストップスイッチ50の操作信号として扱われるようになっている。そして、左停止スイッチ51の操作により左リール41を停止させることができ、中停止スイッチ52の操作により中リール42を停止させることができ、右停止スイッチ53の操作により右リール43を停止させることができる。
【0024】
(制御装置20)
上記制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。ここでCPUは、1個に限定されず、二個以上のCPUで制御するようにしてもよい。また、CPU、ROM、RAM及びI/O等は一体化されてワンチップを構成してもよい。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、
図2に示すように、メイン制御装置21及びサブ制御装置22を構成する。
ここで、メイン制御装置21の制御に基づくスロットマシン1の作動状態をメイン状態といい、サブ制御装置22の制御に基づくスロットマシン1の作動状態をサブ状態という。また、メイン状態とサブ状態とにより特定されるスロットマシン1の全体としての作動状態を遊技状態というものとする。
【0025】
そして、制御装置20の入力側には、
図2に示すように、メダルセンサ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50、インデックスセンサ60Aの各パーツが接続されている。ここで、メダルセンサ15は、
図1に示すように、メダルセレクター4に内蔵された検知センサであって、投入された遊技メダルの通過を検知するものである。インデックスセンサ60Aは、特に図示しないが、リールユニット60の枠体に設けられた検知部であって、回転リール40の回転を検知するためのものである。
一方、制御装置20の出力側には、
図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、画像表示部67、ランプ68、スピーカ69の各パーツが接続されている。画像表示部67、ランプ68、スピーカ69は、演出を実行するための演出装置である。ここで、画像表示部67は、
図1に示すように、図柄表示窓13の上側に設けられた窓部であり、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出画像を表示するためのものである。なお、画像表示部67としては上記のものに限られず、例えば演出専用の回転リールを設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしてもよい。ランプ68は発光体の点灯又は点滅により入賞等を報知するためのものであり、スピーカ69は、BGMや操作音等、所定の音声を出力するためのものである。
【0026】
(メイン制御装置21)
メイン制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものである。そして、メイン制御装置21は、
図2に示すように、役抽選手段70、メイン状態移行制御手段80、リール制御手段90、遊技結果判定手段100、ホッパー制御手段110の各手段として機能する。
(役抽選手段70)
役抽選手段70は、複数の図柄から構成される図柄組合せが対応付けられた所定の「役」について、当選したか否かを抽選により決定するものであり、図示しないが、役抽選テーブルと、判定手段とを備えている。そして、スタートスイッチ30の操作信号受信のタイミングで、図示しないカウント抽出手段が、図示しないループカウンタの数値を読み取り、判定手段がこの数値と役抽選テーブルとを比較して、当選の有無を判定するものである。
【0027】
役抽選テーブルは、前記ループカウンタがカウントする数値(例えば0〜65535)を全領域として各当選項目の当選領域を規定したものである。なお、役抽選テーブルの詳細については後述する。判定手段は、カウント抽出手段がピックアップしたカウントデータと、前記役抽選テーブルの当選判定領域データとを照合し、カウントデータが所定の当選領域に属する場合には当該当選領域に対応する当選を決定し、カウントデータがいずれの当選領域にも属さない場合には、「ハズレ」の決定をするものである。
ここで、スロットマシン10は、ストップスイッチ50の操作によって所定の当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に揃って表示される(以下、このことを入賞という)と、役に応じた利益が付与されるようになっている。前記役としては、入賞により所定枚数のメダルが払い出される小役と、入賞により次ゲームにおいて遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行える再遊技役と、入賞により次ゲームからボーナス状態に移行するボーナス役とを備えている。
【0028】
なお、有効ラインとは、3個の回転リール40にそれぞれ表示されている図柄のうち図柄表示窓13から視認可能な図柄を各回転リール40につき1個ずつ繋いでできるライン(入賞ライン)のうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。入賞ラインは、規定数のメダルをベットすることにより有効ラインになる。ここで、規定数とは、1回の遊技を行うために掛けることができるメダル数である。本実施の形態においては、
図1に示すように、左リール41の中段に位置する図柄、中リール42の中段に位置する図柄、右リール43の中段に位置する図柄を繋いでできる中段ラインLが入賞ラインとして設定されている。そして、本実施の形態では、1回の遊技につき、メダルを3枚ベットすることが可能となっており、3枚のメダルをベットすると、中段ラインLが有効になる。
【0029】
本実施の形態においては、
図4に示すように、ボーナス役として、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せが対応付けられたBB(ビッグボーナス)と、「白7・白7・白7」の図柄組合せが対応付けられたRB(レギュラーボーナス)が設けられている。
前記小役としては、入賞により9枚のメダルが払い出されるベル1〜ベル10までの10個のベル役と、入賞により5枚のメダルが払い出されるスイカ1〜スイカ4までの4個のスイカ役と、入賞により4枚のメダルが払い出されるチェリー役が設けられている。各ベル役には、ベル図柄、リプレイa図柄とリプレイb図柄(合わせてリプレイ図柄という)、黒BAR図柄、スイカa図柄とスイカb図柄(合わせてスイカ図柄という)、チェリー図柄のいずれかにより構成される図柄組合せが対応付けられている。例えばベル1は「リプレイa・黒BAR・スイカa」の図柄組合せが対応付けられている。ちなみに、ベル1が入賞すると、ベル図柄が図柄表示窓13の上段に揃って表示される。また、各スイカ役には、スイカ図柄、ベル図柄、赤BAR図柄、リプレイb図柄のいずれかにより構成される図柄組合せが対応付けられている。例えば、スイカ1は、「ベル・リプレイa・赤BAR」の図柄組合せが対応付けられている。ちなみに、スイカ1が入賞すると、スイカ図柄が図柄表示窓13の上段に揃って表示される。そして、チェリー役には、「チェリー・ANY・ANY」(ANYは何の図柄でもよい)の図柄組合せが対応付けられている。
【0030】
前記再遊技役としては、リプレイ1〜リプレイ11までの11個のリプレイ役が設けられている。各リプレイ役には、回転リール40に表示されている全ての図柄のうちのいずれかにより構成される図柄組合せが対応付けられている。例えば、リプレイ1は、「リプレイa・リプレイa・リプレイa」「リプレイa・リプレイa・リプレイb」などの、リプレイa図柄とリプレイb図柄の順列からなる8個の図柄組合せが対応付けられている。いずれかの再遊技役が入賞すると、再遊技が作動し、当該遊技終了後の遊技において、ベットすることなくスタートスイッチ30が操作可能となる。
BBが入賞すると、次ゲームからボーナスゲームであるビッグボーナスゲーム(BBゲーム)が開始される。BBゲームは、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)が連続して行われる遊技期間である。RBゲームとは、通常遊技に比べて小役の当選確率が高く設定された遊技期間であり、所定回数の入賞又は所定回数のゲーム消化により終了する。なお、RBゲームに移行した場合には投入メダルの規定数を1枚に変更するように形成してもよい。そして、BBゲームに移行すると、RBゲームが無条件で、すなわちRBゲームに移行させるための図柄(RB図柄)を揃えることなく開始され、1回のRBゲームが終了すると、再び無条件で次のRBゲームが開始される。そして、BBゲームは、払い出しメダルの総数があらかじめ定められた一定枚数を超えた場合に終了する。
【0031】
なお、BBゲーム中に、所定のRB図柄を揃えた場合にRBゲームが開始されるようにしてもよい。また、ボーナス役が入賞した場合に、所定枚数(例えば15枚)のメダルを払い出した後に、ボーナス状態に移行するようにしてもよい。また、BBゲーム、RBゲームの終了条件を、他の条件(例えばゲーム回数)としてもよい。
抽選の結果、いずれかの役が当選すると、当選に対応する当選フラグが成立する。当選役が小役の場合には小役フラグ(ベルフラグ、スイカフラグなど)が、ボーナス役の場合にはボーナスフラグ(BBフラグ、RBフラグ)が、再遊技役の場合にはリプレイフラグ(リプレイ1フラグ、リプレイ2フラグなど)がそれぞれ成立する。小役フラグ及びリプレイフラグは当該遊技限りでリセットされるが、ボーナスフラグは、当該ボーナス役が入賞するまでリセットされない。すなわち、ボーナス役当選の場合には、当選の権利が次ゲーム以降に持ち越されるようになっている。また、ボーナスフラグが持ち越されている間(ボーナス内部中)は、ボーナス役の当選判定は行われない。また、本実施の形態では、以下に述べるように、役抽選テーブルには、複数の役が同時に当選となる重複当選領域が設けられており、カウント抽出手段が抽出したループカウンタのカウントデータが前記した重複当選領域に属する場合には、当該領域に含まれる役の全てについて、それぞれに対応する当選フラグを成立させることになる。
【0032】
(役抽選テーブル)
本実施の形態における役抽選テーブルの概念図を
図5に示す。ここで、
図5は、不当選領域を省略し、複数の役抽選テーブルに設定されている当選領域の有無を示したものであり、左欄に示した当選領域が含まれているものを丸印で表している。
役抽選テーブルとしては、
図5に示すように、通常状態において用いられる通常テーブルと、RT状態において用いられるRT1テーブル及びRT2テーブルと、ボーナス内部中において用いられる内部中テーブルと、ボーナス作動中において用いられるボーナス中テーブルとが設けられている。
【0033】
ここで、通常状態とは、スロットマシン10の初期状態(工場出荷時又は設定変更後もしくはリセット後)のメイン状態をいうものである。RT状態とは、再遊技役の当選確率が通常状態とは異なるように設定されているメイン状態であり、いわゆるリプレイタイムと呼ばれるものである。RT状態としては、RT1とRT2が設けられている。ボーナス内部中とは、ボーナスフラグが持ち越されているメイン状態であり、ボーナス作動中とはボーナスゲームが行われるメイン状態である。RT状態、ボーナス内部中、ボーナス作動中は、メイン特定状態に該当する。
各役抽選テーブルには、
図5に示す所定の当選の領域と、図示しないハズレの領域とが設定されている。当選の領域としては、一の役に対応付けられた当選領域である単独当選領域の他に、複数種類の役に対応付けられた重複当選領域が設定されている。
図5において、「BB」、「RB」、「チェリー」の当選領域は、それぞれ、BB、RB、チェリーの単独当選領域である。一方、当選領域の「リプレイA」〜「リプレイI」は所定のリプレイ役の重複当選領域であり、「ベルA」〜「ベルM」までの当選領域は所定のベル役の重複当選領域であり、「スイカ」は所定のスイカ役の重複当選領域となっている。
【0034】
ここで、上記した「ベルA」〜「ベルL」の12個の重複当選領域に対しては、3個のストップスイッチ50に基づく3通りの操作順序(押し順)が、それぞれ割り当てられている。具体的には、「ベルA」〜「左ベルD」の各当選領域に対しては、左停止スイッチ51を最初に操作する押し順(左第一停止)が、「ベルE」〜「ベルH」の各当選領域に対しては、中停止スイッチ52を最初に操作する押し順(中第一停止)が、「ベルI」〜「ベルL」の各当選領域に対しては、右停止スイッチ53を最初に操作する押し順(右第一停止)が、それぞれ割り当てられている。割り当てられている押し順が、各当選領域の当選に対する正解の押し順となる。そして、前記重複当選領域のいずれかが当選した場合、正解の押し順で、ストップスイッチ50が操作(停止操作)されたか否かによって、ベル役が入賞し得るか否かが変化するようになっているが、これについては後述する。なお、押し順の設定は、上記した3通りを設定する場合に限られない。例えば、各当選領域に、3個のストップスイッチ50に基づく6通りの押し順(左中右、左右中、中左右、中右左、右中左、右左中)をそれぞれ割り当てることもできる。
【0035】
また、「リプレイA」〜「リプレイD」の4個の再遊技役の重複当選領域に対しては、3個のストップスイッチ50に基づく左第一停止以外の4通りの押し順が、それぞれ割り当てられている。具体的には、「リプレイA」には、ストップスイッチ50を「中、左、右」の順で操作する押し順が、「リプレイB」には、ストップスイッチ50を「中、右、左」の順で操作する押し順が、「リプレイC」には、ストップスイッチ50を「右、左、中」の順で操作する押し順が、「リプレイD」には、ストップスイッチ50を「右、中、左」の順で操作する押し順が、それぞれ割り当てられている。そして、割り当てられている押し順で停止操作したか否かにより、入賞する再遊技役が変化するようになっているが、この詳細については後述する。
【0036】
なお、当選領域「ベルA」〜「ベルL」を総称して「押し順ベル」といい、当選領域「リプレイA」〜「リプレイD」を総称して「押し順リプレイ」というものとする。
さて、
図5では明記していないが、各役抽選テーブルにおける小役の当選領域の全領域に対する割合(以下当選確率という)は、通常テーブル、RT1テーブル、RT2テーブル及び内部中テーブルにおいては、同等に設定されている。ボーナス中テーブルでは、「ベルM」、「スイカ」及び「チェリー」の当選確率の合計が他のテーブルに比べて非常に高く、例えば約1/1.1に設定されている。また、各役抽選テーブルにおける再遊技役の当選確率(合算値)は、RT2テーブルが最も高く、RT1テーブル及び通常テーブルが最も低く、内部中テーブルがその中間に位置するように設定されている。例えば、RT1テーブル及び通常テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/7.3に設定されており、RT2テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/1.5に設定されており、内部中テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/3に設定されている。これにより、メイン状態がRT2である遊技、ボーナス内部中である遊技は、遊技メダルを新たに投入することなく遊技を行える再遊技の回数が増えるとともに、小役の当選確率は変化しないので、手持ちのメダルの目減りが少なくなる。
【0037】
なお、上記した役抽選テーブルの構成や当選確率は一例であって、上記した態様や数値に限られるものではない。
(メイン状態移行制御手段80)
メイン状態移行制御手段80は、所定条件に応じて、メイン状態の移行を制御するためのものである。
具体的には、メイン状態移行制御手段80は、役抽選手段70の抽選結果に基づいてボーナス内部状態への移行を決定し、遊技結果判定手段100の判定結果に基づいて、ボーナス内部状態の終了、ボーナス状態への移行、再遊技の作動、所定のRT状態への移行又は終了(他のRT状態への移行又は通常状態への復帰)を決定し、図示しない遊技カウンタの計測値に基づいて、ボーナス状態の終了(通常状態又は所定のRT状態への復帰)、所定のRT状態の終了などを決定するようになっている。なお、メイン状態の移行の具体例については後述する。
【0038】
そして、メイン状態移行制御手段80の決定に応じて、役抽選手段70が決定に対応する役抽選テーブルを選択し役抽選を行うことにより、通常状態、ボーナス状態、RT状態などの所定の遊技状態が発動する。すなわち、役抽選手段70は、状態フラグが成立していない場合には通常テーブル(
図5参照)を選択し、ボーナス内部中フラグが成立している場合には、内部中テーブルを選択し、ボーナス作動フラグが成立している場合にはボーナス中テーブルを選択し、所定のRTフラグが成立している場合には対応するRTテーブル(
図5のRT1、RT2テーブル)を選択する。
(リール制御手段90)
リール制御手段90は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作信号に基づいて、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものであり、
図2に示すように、回転制御手段91と、停止制御手段92とを少なくとも備えている。
【0039】
(回転制御手段91)
回転制御手段91は、スタートスイッチ30の有効な操作信号を受信した場合に、リールユニット60のステッピングモータを駆動させて回転リール40を回転させるためのものである。具体的には、規定数のベットがされている状態でスタートスイッチ30の操作信号を入力した場合には、前遊技における回転リール40の回転開始から一定時間(4.1秒、いわゆるウエイト時間)が経過していることを条件に、各ステッピングモータに駆動信号を出力することにより、全ての回転リール40の回転を一斉に、あるいは所定の順番で開始させる。そして、全ての回転リール40の回転速度が所定の定常回転速度(例えば80rpm)に達すると、この定常回転速度で定速回転を行わせるものとなっている。
【0040】
(停止制御手段92)
停止制御手段92は、リールユニット60に設けられた回転リール40の回転を検知するためのインデックスセンサ(図示せず)の検知信号に基づき、現時点における回転リール40の回転角度を把握し、ストップスイッチ50が操作された時点での回転リール40の回転角度から、所定の有効ライン上に位置している図柄を特定することができるようになっている。そして、特定された図柄を基準として、この基準図柄から回転方向にあらかじめ定められた個数(最大スベリコマ数、例えば4コマ)移動したときの図柄までの範囲で、対応する回転リール40を停止させるように形成されている。換言すれば、停止制御手段92は、ストップスイッチ50が操作された時点から対応する回転リール40が停止するまでに、この回転リール40が回転する回転量があらかじめ定められたコマ数の範囲内となるように、ステッピングモータの駆動停止を制御するものである。具体的には、前記基準図柄をその位置に停止させてもよい場合にはそのまま回転リール40を停止させ、その位置に停止させてはいけない場合には、回転リール40が停止するまでの時間を遅らせて、有効ライン上からその当選図柄を蹴飛ばして停止させる。また、最大スベリコマ数の範囲内に、当選図柄が含まれている場合には、回転リール40が停止するまでの時間を遅らせて、有効ライン上にその当選図柄を引き込んで停止させる。
【0041】
ここで、停止制御手段92は、複数の当選フラグが同時に成立している場合に、引き込み制御において、当選した複数の役のうちいずれの役を優先して引き込むかをあらかじめ設定している。例えば、異種役が同時当選している場合の引き込み優先順位を、再遊技役>小役>ボーナスに設定している。具体的には、ボーナス役と小役が同時に当選している場合には小役の図柄を優先して引き込み、ボーナス役と再遊技役が同時に当選している場合には再遊技役の図柄を優先して引き込む。
上記した制御は、優先度に基づいて停止位置候補を特定するための優先度判定データと、基準図柄から図柄何コマ分回転させて回転リール40を停止させるかを役抽選の結果及び停止スイッチ50の操作タイミングに応じて各当選図柄ごとにテーブル上に規定した停止テーブルとに基づいて行われる。また、停止図柄の情報は所定の記憶部に記憶される。
【0042】
次に、押し順が設定された当選領域が当選した場合の引き込み制御について詳述する。
まず、「押し順ベル」のいずれか、すなわち
図5に示す「ベルA」〜「ベルL」のいずれかの当選領域が当選した場合の停止制御について説明する。
本実施の形態においては、「ベルA」〜「ベルD」の領域に共通して含まれるベル10の図柄組合せを構成する図柄、「ベルE」〜「ベルL」の領域に共通して含まれるベル9の図柄組合せを構成する図柄は、いずれも、全ての回転リール40において最大スベリコマ数の範囲内に配置されている(
図3、
図4参照)。つまり、ベル9、ベル10は、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず入賞可能な設定となっている。一方、各「押し順ベル」に含まれる、ベル9、ベル10以外のベル役の図柄組合せを構成する図柄は、全ての回転リール40において最大スベリコマ数の範囲内に配置されているわけではない。つまり、ベル9、ベル10以外のベル役は、目押しをしないと入賞できない設定となっている。そして、停止制御手段92は、役抽選により、いずれかの「押し順ベル」が当選した場合には、ストップスイッチ50の操作態様に応じて、当該領域に含まれるいずれかのベル役に対応する図柄組合せ、又は他のいずれの役に対応付けられた図柄組合せにも該当しない特定のハズレの図柄組合せであるブランク図柄(ベルブランク)を有効ライン上に停止表示させるように停止制御を行う。
【0043】
具体的には、役抽選により「押し順ベル」が当選した場合に、当選した当選領域に対して割り当てられている正解の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、ベル9又はベル10の図柄組合せを構成する図柄を、他のベル役の図柄組合せを構成する図柄に優先して、有効ライン上に引き込んで、ベル9又はベル10を入賞させる。一方、その正解の押し順以外の押し順(不正解の押し順)で各ストップスイッチ50が操作された場合には、ベル9又はベル10以外のベル役の図柄組合せを構成する図柄を、ベル9又はベル10の図柄組合せを構成する図柄に優先して、有効ライン上に引き込む制御を行う。ストップスイッチ50の操作のタイミングが、ベル9又はベル10以外のいずれかのベル役に対応する図柄を有効ライン上に引き込み可能な場合には、その図柄を有効ライン上に引き込んで、そのベル役を入賞させることができる。しかし、それらのベル役に対応する図柄のうちのいずれも有効ライン上に引き込むことができない場合には、ベルブランクを有効ライン上に停止表示させ、この場合には入賞はしない。
【0044】
このように、「押し順ベル」が当選した場合には、当該当選領域に設定された正解の押し順でストップスイッチ50が操作された場合には、必ずベル9又はベル10が入賞し、正解の押し順でストップスイッチ50が操作されなかった場合には、他のベル役が入賞するか、あるいは何の役も入賞しないようになっている。すなわち、ベル9及びベル10が正解役であり、それ以外のベル役は不正解役として位置付けられている。
なお、本実施の形態では、正解役と不正解役の配当が同じ設定となっているが、不正解役は正解役よりも払い出しが少ない(不正解の押し順で操作すると払い出しの少ない不正解役が入賞する)ように設定してもよい。また、この場合には、不正解役についても、当選していれば必ず引き込める設定にしてもよい。また、同時当選している役の配当は同じだが、正解押し順だと複数役が重複して入賞し、不正解押し順だと単独の役しか入賞しないかいずれの役も入賞しないように形成してもよい。
【0045】
次に、「押し順リプレイ」のいずれか、すなわち、
図5に示す「リプレイA」〜「リプレイD」のいずれかの当選領域が当選した場合の停止制御について説明する。
ここで、「押し順リプレイ」に含まれる再遊技役のうち、リプレイ4〜11は、その入賞がメイン状態移行の契機となる移行契機役として位置付けられている。具体的には、リプレイ4は通常状態からRT1への移行契機役であり、リプレイ5〜11は通常状態からRT2への移行契機役となっている(
図4参照)。以下、RT1への移行契機役となっている再遊技役をRT1リプレイといい、RT2への移行契機役となっている再遊技役をRT2リプレイというものとする。
【0046】
本実施の形態では、「押し順リプレイ」の領域には、対応する図柄組合せを構成する図柄が、全ての回転リール40において最大スベリコマ数の範囲内となるよう配置されている再遊技役(リプレイ1、リプレイ9)が、少なくとも1つ必ず含まれている(
図3、
図4参照)。つまり、ストップスイッチ50の操作のタイミングにかかわらず、上記したいずれかの再遊技役が入賞可能な設定となっている。そして、停止制御手段92は、役抽選により上記した「押し順リプレイ」のいずれかが当選した場合には、ストップスイッチ50の操作態様に応じて、有効ライン上に停止表示させる再遊技役に対応する図柄組合せを異なるものとなるように停止制御を行う。
【0047】
具体的には、停止制御手段92は、「リプレイA」〜「リプレイD」の当選時に、正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイに対応する図柄組合せを有効ライン上に停止させる制御を行う。RT2リプレイのうちのリプレイ9は、ストップスイッチ50の操作タイミングにかかわらず入賞可能であるが、正解の押し順かつ特定のタイミングで停止操作すると、リプレイ10が入賞しうる。一方、不正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイ以外(具体的にはリプレイ1〜4)に対応する図柄組合せを有効ライン上に停止させる制御を行う。したがって、通常状態中において「リプレイA」〜「リプレイD」の当選時に正解の押し順でストップスイッチ50を操作すると、メイン状態がRT2に移行し、不正解の押し順でストップスイッチ50を操作すると、メイン状態がRT1に移行するか、もしくは移行しないことになる。
【0048】
(遊技結果判定手段100)
遊技結果判定手段100は、ストップスイッチ50の操作によって回転リール40が全て停止したときに、当該遊技の結果を判定するためのものである。
具体的には、図柄判定手段93の記憶している停止図柄の情報に基づき、有効ライン上に揃った図柄の組合せが、所定の役に対応付けられたものか否か、あるいは遊技状態の移行契機となっているものか否かを判断する。そして、所定の役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示されたと判断した場合には入賞と判定し、遊技状態の移行契機となっている図柄組合せ(例えば所定の当選役を取りこぼしたときに表示されるブランク図柄)が有効ライン上に表示されたと判断した場合には遊技状態の移行を判定し、その判定結果情報を、ホッパー制御手段110及び遊技状態移行制御手段80に送信する。判定結果情報を受信したホッパー制御手段110は、入賞メダルの払い出し処理を行い、遊技状態移行制御手段80は、ボーナス状態やRT状態への移行処理、あるいは再遊技作動処理を行う。さらに、サブ制御装置22に所定の信号出力を行うことにより、液晶表示装置67やランプ68やスピーカ69により、入賞やボーナスゲームの開始際して所定の演出が行われるようにすることもできる。
【0049】
(ホッパー制御手段110)
ホッパー制御手段110は、遊技結果判定手段100の判定結果及び精算スイッチ17の操作に基づいて、ホッパーユニット65を作動させメダルを払い出させるものである。すなわち、遊技結果判定手段100が払い出し小役の入賞を判定した場合には、当該小役入賞に応じたメダルを払い出し、クレジットが1以上ある場合に精算スイッチ17が操作されたときには、クレジットとして貯留されているメダルを払い出すようになっている。
(メイン状態の移行)
ここで、上記したメイン状態移行制御手段80の制御に基づくメイン状態の移行について、
図6を参照しつつ説明する。本実施の形態では、上述したように、メイン状態として、通常状態、ボーナス内部中、ボーナス作動中、RT状態を有しているとともに、RT状態として、RT1、RT2の、2つの状態を有している。
【0050】
本実施の形態におけるスロットマシン10は、初期状態(工場出荷時)のメイン状態は、通常状態となっている。すなわち、役抽選手段70は、役抽選に用いる役抽選テーブルとして通常テーブル(
図5参照)を取得している。そして、通常状態中に、既述したRT2リプレイ(リプレイ5〜11のうちのいずれか)が入賞した場合には、RT2に移行する。また、RT2中において、既述したベルブランクが表示された場合には、通常状態に移行する。
通常状態中において、RT1リプレイ(リプレイ4)が入賞すると、RT1に移行する。RT1中において、ベルブランクが表示された場合には通常状態に移行する。
【0051】
なお、通常状態中、RT状態中において、ボーナスが当選した場合にはボーナス内部中に移行し、ボーナス内部中においてボーナス役が入賞した場合には、ボーナス作動中に移行する。そして、払い出しメダル数が所定値を超えてボーナスゲームが終了することによりボーナス作動中が終了すると、RT1に移行するようになっている。
ここで、RT2中においては、所定条件の下で、後述するAT制御手段170の制御に基づき、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順を報知(ナビ)する報知演出(ベルナビ)が行われるようになっている。また、通常状態中においては、所定条件の下で、RT2リプレイを入賞させるための正解の押し順を報知する報知演出(移行ナビ)が行われるようになっているが、これについては後述する。
【0052】
(サブ制御装置22)
サブ制御装置22は、メイン制御装置21からの出力信号に基づいて、演出装置6としての画像表示部67やランプ68やスピーカ69等を制御するためのものである。そして、サブ制御装置22は、
図2に示すように、少なくとも、サブ状態移行制御手段200、演出データ記憶手段210、演出実行制御手段220、AT制御手段170を備えている。
(サブ状態移行制御手段200)
サブ状態移行制御手段200は、現在のサブ状態を記憶するとともに、所定条件に応じて、サブ状態の移行を制御するためのものである。
【0053】
サブ状態には、ATの実行が決定されている状態であるAT状態と、それ以外の状態である非AT状態があり、非AT状態には、ボーナス状態と、サブ通常状態と、サブ高確率状態とが設けられている。また、AT状態には、ART待機状態と、ART状態とが設けられている。ここで、AT(アシストタイム)とは、当選役に関する情報を遊技者に報知する特定報知演出を実行可能なATゲームが行われる遊技期間であり、ART(アシストリプレイタイム)とは、メイン状態がRT状態中にATゲームが行われる遊技期間である。
前記ボーナス状態は、メイン状態がボーナス状態である場合のサブ状態である。ART待機状態は、ATの実行が決定されており、かつメイン状態が通常状態又はRT1である場合のサブ状態である。ART状態は、ATが実行される状態であり、メイン状態がRT2である場合のサブ状態である。サブ高確率状態は、AT状態への移行確率が高く設定された所定期間のサブ状態である。サブ通常状態は、上記したいずれの状態にも該当しないサブ状態である。
【0054】
そして、サブ状態移行制御手段200は、遊技状態が上記した各サブ状態の条件に該当するか否かを判断して、それぞれのサブ状態を記憶する。サブ状態移行制御手段200の記憶に応じて、AT制御手段230の制御に基づく報知内容が変化する。
(サブ状態の移行)
ここで、サブ状態の移行の具体例を、
図7に基づき説明する。
前述したように、スロットマシン1は、初期状態(工場出荷時等)においては、メイン状態は通常状態であり、サブ状態もサブ通常状態となっている。そして、サブ通常状態中において、所定契機に行われるART抽選に当選すると、ART待機状態に移行する。
【0055】
ART待機状態中であって、メイン状態が通常状態である場合には、RT2リプレイの当選時に移行ナビが行われる。具体的には、RT2リプレイを入賞させるための正解の押し順が報知される。ART待機状態中に所定のRT2リプレイが入賞すると、ART状態に移行する。
また、サブ通常状態中に、所定の契機、例えば特定役の当選又は入賞時に行われる抽選に当選すると、サブ高確率状態に移行する。サブ高確率状態は、ART抽選が高確率で行われる所定ゲーム数の期間である。所定のゲーム数の間にART抽選に当選した場合には所定のゲーム数の消化後にART待機状態又はART状態に移行し、ART抽選が不当選の場合には所定のゲーム数の消化後にサブ通常状態に移行する。なお、サブ高確率状態中において、ART抽選に当選した場合には、実行が決定されたATのゲーム数等の上乗せ抽選が行われるようにしてもよい。
【0056】
また、サブ通常状態中であってメイン状態が通常状態である場合に、RT2リプレイが当選(「リプレイH」が当選・
図5参照)した場合には、ART状態に移行する。なお、遊技の結果、RT2リプレイのうちの特定の再遊技役(特定の図柄組合せが対応付けられた目押しの必要な再遊技役、例えばリプレイ8の赤BAR揃い)が入賞した場合には、ART確定演出が行われる。
ART状態中においては、所定のゲーム数が保証されており、後述する上乗せ抽選で当選した場合にはさらに所定回数のゲームが上乗せされる。そして、設定された回数のゲームが終了すると、ART状態は終了してサブ通常状態に戻る。ART状態中に転落図柄組合せ(ベルブランク)が表示された場合には、メイン状態が通常状態に転落してART状態が終了する。なお、設定された回数のゲーム終了後に滞在可能な所定ゲーム数の転落待機期間を設け、転落待機期間中に行われる継続抽選に当選した場合には、ARTを継続可能としてもよい。この場合には、転落待機期間中に継続抽選に当選しなかった場合にART状態は終了してサブ通常状態に戻る。
【0057】
前記サブ通常状態、サブ高確率状態、ART待機状態、ART状態の各状態中にボーナスが入賞した場合には、ボーナス状態に移行する。ボーナス状態は、メイン状態のボーナスが終了(所定枚数を超える払い出しの終了)することにより終了するが、ボーナス中に所定の契機、例えば特定役の当選又は入賞時に行われるART抽選に当選(ART即発動当選)すると、ボーナス状態終了後ただちにART待機状態に移行する。また、ボーナス中に所定の契機、例えば特定役の当選又は入賞時に行われる高確移行抽選に当選(サブ高確率即発動当選)すると、ボーナス状態終了後ただちにサブ高確率状態に移行する。
(演出データ記憶手段210)
演出データ記憶手段210は、演出データとして、演出装置6を作動させるためのデータ、具体的には、画像表示部67に所定の動画や静止画を表示されるための画像データ、ランプ68を所定の態様で点灯点滅させるための発光パターンデータ、スピーカ69から所定の音声を出力させるための音声データなどを記憶するためのものである。
【0058】
ここで、演出は、その内容に応じて、複数のステージに分けられている。具体的には、
図8に示すように、大別すると、通常ステージと、特殊ステージとが設定されている。通常ステージは、少なくともサブ状態がサブ通常状態の場合に実行されるものであり、
図8(A)に示すように、例えばA、B、C、Dの4つの個別ステージが設けられている。また、特殊ステージは、サブ状態又はメイン状態が通常状態でない場合(特殊状態の場合)に実行されるものであり、
図8(B)に示すように、遊技状態がボーナス状態である場合に対応するボーナスステージ、遊技状態がART状態である場合に対応するARTステージ、サブ状態がサブ高確率状態である場合(メイン状態は通常又はRT1状態)に対応する高確ステージなどの個別ステージが設けられている。図示した以外に、メイン状態が通常又はRT1状態でサブ状態がART待機状態である場合に対応するART待機ステージ又はART移行決定ステージや、メイン状態がボーナス内部中である場合に対応するボーナス確定ステージなどがある。各個別ステージは、演出態様、例えば、画像表示演出で表示されるシチュエーションなどがそれぞれ異なっている。なお、特殊状態でない場合には、上記した通常ステージA〜Dのいずれかに滞在するようになっている。
【0059】
ステージ演出に係る演出データとしては、前記個別ステージを定めた演出ステージデータと、各個別ステージに含まれる複数の演出データ群が設けられている。演出ステージデータとしては、ステージA、Bなど(
図8(A)参照)が設けられ、演出データ群としては、例えば、ステージAに対応する演出データ群a1、a2、a3、ステージBに対応する演出データ群b1、b2、b3などが設けられている。そして、滞在している演出ステージに応じて、各演出ステージデータに対応する演出データ群の中から、ゲームごとの演出抽選により、当該ゲームで実行される個別演出データが選択され決定されるようになっている。
【0060】
なお、上記した演出データの数及び種類は一例であって、これらに限定されるものではない。また、演出データ記憶手段210は、上記したステージ演出に係る演出データ以外の演出データ、例えば後述するAT制御手段230の制御に基づくATゲームに関する報知用のデータなども備えているが、説明は省略する。
ここで、本実施の形態においては、遊技状態が特殊状態である場合は、各特殊状態に応じた特殊ステージが選択され、それ以外の場合には、通常ステージが選択されるようなっている。また、遊技状態が特殊状態以外である場合には、ステージ演出の開始あるいは変更の契機となる所定の抽選契機役が当選したこと、又は直前にボーナス状態が終了したことを条件に、通常ステージ中の個別ステージの種類を決定するステージ抽選が行われる。そして、ステージ抽選により決定された個別ステージ基づいて、ゲームごとに実行される演出が決定されるようになっている。なお、スロットマシン10の初期状態においては、通常ステージのうちの予め定められた個別ステージ(例えば
図8(A)のステージD)が選択されるようになっている。前記抽選契機役は、その当選に基づいて、当該当選後のゲームにおいて所定の特典が付与され得る役であって、具体的には、後述するAT上乗せ抽選やART抽選などのATに関する抽選(AT抽選)の契機となっている役(例えばスイカ役やチェリー役などの所定の小役)とすることができる。すなわち、本実施の形態おけるステージ演出は、ATやARTなど、ボーナス以外の有利状態への移行可能性を示唆する演出として位置付けられる。なお、AT抽選の抽選契機役として、役抽選結果のハズレ(不当選当選)を設定してもよい。
【0061】
抽選契機役はそれぞれ、遊技者に付与し得る利益に関する有利さの程度、すなわち、当選に起因して付与され得る特典の有無及び大小が異なっている。例えば、AT抽選の当選確率や上乗せされるゲーム数が多い設定となっている役の方が、利益獲得の可能性(以下期待度という)が高い。そして、本実施の形態においては、抽選契機役の当選時にステージ抽選の対象となる演出ステージデータに優先順位が設定されており、期待度の高い抽選契機役の当選時に選択されやすい演出ステージデータほど優先順位が上位となる設定となっている。
(演出実行制御手段220)
演出実行制御手段220は、前記演出データ記憶手段210の記憶している演出データに基づき、演出装置6の作動を制御するためのものであり、
図2に示すように、ステージ演出情報記憶手段222、ステージ決定手段223、実行演出決定手段224、演出データ出力手段225の各手段を備えている。
【0062】
(ステージ演出情報記憶手段221)
ステージ演出情報記憶手段221は、ステージ演出に関する情報を記憶(保存)するとともに、保存した情報の管理を行うためのものである。
本実施の形態においては、ステージ情報記憶手段221は、抽選契機役の当選時に、抽選契機役の種類を特定可能な情報(契機役情報)を、保存契機役情報として所定の記憶部に記憶する。また、いずれかの通常ステージに滞在中である場合において、ボーナスが当選した場合には、滞在中の演出ステージの種類を特定可能な情報(ステージ情報)を、保存ステージ情報として所定の記憶部に記憶する。
【0063】
そして、ステージ演出情報記憶手段221は、ステージ抽選の終了時、又は、ボーナス終了後にART状態が即発動する場合にはそのときに、保存契機役情報及び保存ステージ情報を消去する。また、ARTの開始が確定したとき(RT2リプレイ入賞時)にも、保存ステージ情報を消去する。
(ステージ決定手段222)
ステージ決定手段222は、所定のステージ抽選の実行契機に該当した場合に、前記ステージ演出情報記憶手段221の記憶している保存契機役情報及び保存ステージ情報に基づいて、演出ステージデータの優先順位を判定しつつステージ抽選を行い、実行する、又は移行先の演出ステージを決定するためのものである。
【0064】
具体的には、ステージ決定手段222は、図示しないが、ステージ抽選判定手段と、優先順位判定手段と、ステージ抽選手段とを備えている。
前記ステージ抽選判定手段は、抽選契機役の当選以外の抽選契機でのステージ抽選を行うか否かを判定するためのものである。すなわち、ステージ抽選判定手段は、1ゲーム終了時、具体的には3個のストップスイッチ50が全て操作されたとき(遊技結果判定時)に、そのゲームがボーナス終了に係るゲームであった(第三停止で小役が入賞して払い出しが所定の枚数を超えることになった)ことにより通常状態に移行する場合に、ステージ抽選を行う決定をする。ただし、この場合において、ボーナス中に、ART即発動抽選に当選していた場合には、ステージ抽選を行う決定はしない。また、ボーナス中に、サブ高確率即発動抽選に当選していた場合には、抽選予約フラグをセットしておき、サブ高確率状態の終了後に、ステージ抽選の実行を決定する。さらに、ステージ抽選判定手段は、ART終了時にも、ステージ抽選を行う決定をする。すなわち、そのゲームがART終了に係るゲームであった(ATゲーム数が0になった)ことにより通常状態に移行する場合に、ステージ抽選を行う決定をする。なお、ART終了後には、ステージ抽選によらず、通常ステージのうちのあらかじめ定められた個別ステージに移行するようにしてもよい。あらかじめ定められた個別ステージは、初期状態の場合と同一のステージでもよいし初期状態とは異なるステージとしてもよい。
【0065】
優先順位判定手段は、演出ステージデータの優先順位を判定するためのものである。
具体的には、ステージ抽選を行う際に、前記ステージ情報記憶手段221が記憶している保存ステージ情報に基づく演出ステージデータの優先順位と、抽選契機役当選時にステージ抽選により選択され得る演出ステージデータの優先順位とを対比して、優先順位の高低を判定する。そして、優先順位判定手段の判定に基づき、ステージ抽選において、保存ステージ情報よりも優先順位の低い演出ステージデータは選択されないようになる。なお、ステージ情報記憶手段221が保存ステージ情報を有していない場合には、ステージ抽選において、そのゲームで当選した抽選契機役に基づく演出ステージデータ、すなわち保存契機役情報に基づく契機役の期待度に応じた演出ステージデータが選択されるものとなる。
【0066】
前記ステージ抽選手段は、図示しないステージ抽選テーブルを用いて、通常ステージ中の個別ステージを決定するステージ抽選を実行するためのものである。具体的には、ステージ抽選手段は、そのゲームで所定の抽選契機役が当選した場合、すなわちステージ演出情報記憶手段221が保存契機役情報を有している場合に、ステージ抽選を実行するとともに、前記ステージ抽選判定手段がステージ抽選の実行を決定した場合には、ステージ抽選を実行する。ステージ抽選の方法は、前述した役抽選手段70の役抽選と同様に、所定の契機でピックアップした演出抽選用の乱数を、所定の演出抽選テーブルと対比することにより行われる。
【0067】
ステージ抽選テーブルは、各個別ステージ(
図8(A)参照)の領域が規定されたものであり、抽選契機役に応じて、テーブル構成の異なるステージ抽選テーブルが設けられている。具体的には、期待度の最も高い抽選契機役に対しては、ステージAの当選確率が極めて高くなるように設定された抽選テーブルが用いられ、次に期待度が高い抽選契機役に対しては、ステージAとステージBの当選確率が高くなるように設定された抽選テーブルが用いられ、それよりも期待度の低い抽選契機役に対しては、ステージBとステージCの当選確率が高くなるように設定された抽選テーブルが用いられる。さらに、最も期待度の低い抽選契機役に対しては、ステージDの当選確率が高くなるように設定された抽選テーブルが用いられる。これにより、ステージAは相対的に期待度が高く、ステージDは相対的に期待度が低くなるように形成されている。
【0068】
ステージ抽選手段は、所定の抽選契機役の当選に基づくステージ抽選を行う場合には、保存契機役情報を参照して、上記した抽選契機役ごとに設けられたステージ抽選テーブルを用いてステージ抽選を行う。一方、ボーナス終了又はサブ高確率状態の終了に基づくステージ抽選を行う場合には、保存ステージ情報を参照して、保存ステージ情報に基づく演出ステージデータの優先順位よりも優先順位の低い演出ステージデータが選択されないような制御を行うようになっている。例えば、保存ステージ情報よりも優先順位の低い演出ステージデータが含まれないステージ抽選テーブルを用いて、ステージ抽選を行う。あるいは、全ての演出ステージデータが所定の確率(例えば同等の確率)で設定されたステージ抽選テーブルを用いてステージ抽選を行い、抽選結果と、保存ステージ情報とを対比して、優先順位が上位の演出ステージデータに係る演出ステージの開始又は移行を決定するようにしてもよい。なお、ART終了に基づくステージ抽選を行う場合には、保存契機役情報も保存ステージ情報も有していない状態であるので、それらの情報とは無関係にステージ抽選が行われる。
【0069】
また、前述したように、遊技状態が特殊状態に移行した場合には、ステージ決定手段222は、状態に対応した特殊ステージへの移行を決定する。
ここで、演出ステージに期待度を付与する手法としては、上記したように、当選した抽選契機役の期待度に応じてステージ抽選テーブルの構成を変えることの他に、滞在しているステージに応じて、抽選契機役の当選時に行われるART抽選の当選確率を変化させる手法を用いてもよい。すなわち、同じ抽選契機役が当選した場合でも、滞在している演出ステージが、期待度が高いという設定になっているステージAの場合には、ART当選確率が相対的に高く設定された抽選テーブルが用いられ、逆に、期待度が低いという設定になっているステージDに滞在中は、ART当選確率が相対的に低く設定された抽選テーブルが用いられるようにしてもよいものである。また、同一ステージ中においては、抽選契機役の期待度に応じて、ART当選確率の異なる抽選テーブルを用いるようにすることもできる。
【0070】
(実行演出決定手段223)
実行演出決定手段223は、メイン制御装置21からの遊技制御情報などに基づき、当該ゲームで実行する演出内容を決定するためのものである。実行演出決定手段223は、演出抽選を行うための演出抽選手段(図示せず)を備えている。なお、演出抽選の方法は、前述したステージ抽選と同様に、所定の契機でピックアップした演出抽選用の乱数を、所定の演出抽選テーブルと対比することにより行われる。
演出抽選手段は、いずれかのステージに滞在中、すなわちステージ抽選の結果が保持されている間(前ゲームで契機役が当選してステージ抽選に当選した場合も含まれる)は、滞在しているステージに応じた個別演出抽選テーブルを用いて、ゲーム開始(スタートスイッチ30の操作)ごとに、実行演出抽選を行う。例えば、滞在している演出ステージがステージAである場合には、演出データ群a1、a2、a3の領域(
図5(A)参照)が規定された個別演出抽選テーブルにより、当該ゲームで実行する演出を決定する。なお、個別演出抽選テーブルは、役抽選の結果等に応じて複数設けられており、同一ステージ中でも遊技状態に応じた様々な個別演出が選択され実行される。
【0071】
実行演出決定手段223は、実行に係る演出を決定した場合には、演出データ出力手段224にその決定情報を送信する。
(演出データ出力手段224)
演出データ出力手段224は、演出実行手段であって、実行演出決定手段223の決定情報に基づき、所定の演出データを取得して、ゲーム中の所定のタイミングで、演出装置6に出力するものである。演出装置6は、入力した演出データに基づき、画像表示や発光体の点灯点滅や音声の出力を行い、演出を実行する。
(AT制御手段230)
AT制御手段170は、特定報知演出が行われるATを制御する手段である。本実施の形態における特定報知演出は、具体的には、押し順が設定された当選領域の当選時に押し順を報知する、いわゆる押し順ナビである。押し順ナビは、画像表示部67に、停止操作すべきストップスイッチ50の位置を左、中、右などの文字で表示させたり、それらをスピーカ69から音声により指示したり、ストップスイッチ50のボタンの内部に設けた発光体の発光色を変化させて、最初に操作すべきストップスイッチ50を示すことなどにより行われる。
【0072】
AT制御手段170は、図示しないが、AT抽選手段、報知実行手段を備え、メイン制御装置21から出力される遊技制御情報やサブ状態等に基づき、ATの開始及び終了を制御する。
AT抽選手段は、ATの実行の有無及びゲーム数を抽選により決定するためのものである。本実施の形態においては、遊技中の所定契機、例えばボーナス当選時や、ボーナス中の特定役の当選時又は入賞時、サブ高確率状態中などに、ARTを実行するか否かのART抽選を行う。ART抽選では、所定ゲーム数(例えば30ゲーム)を1セットとしたARTのセット数を、例えば1〜7セットの範囲で決定する。ART抽選に当選した場合にはAT実行フラグをセットして抽選結果を記憶し、ARTが実行された場合にはAT実行フラグをリセットする。AT実行フラグは複数ストックすることができ、AT実行フラグを有している間は、ARTの実行が決定されている状態となる。また、AT抽選手段は、所定の契機役当選時に、ゲーム数の上乗せ抽選を行う。上乗せ抽選の抽選結果もストック可能である。さらに、遊技中の所定時に、サブ高確率状態への移行の有無を抽選により決定する。
【0073】
報知実行手段は、特定報知演出を実行させるためのものであり、図示しないATカウンタを備えている。
ATカウンタは、ART状態で行われるATのセット数及びゲーム数をカウントするものである。具体的には、ART抽選に当選すると、ARTのセット数を、当選に係る数だけ加算して記憶するとともに、ART移行後は、1セット(30ゲーム)終了ごとに、記憶値を1だけ減算する。また、上乗せ抽選に当選すると、当選に係るゲーム数を加算する。ATカウンタがゲーム数を有している間は、ART状態が継続する。
ここで、特定報知演出には、上述したように、ベルナビと、移行ナビとが設けられている。そして、報知実行手段は、サブ状態がAT状態でメイン状態が通常状態ある場合にはRT2への移行ナビを行い、サブ状態がART状態である場合にはベルナビを行うように形成されている。
【0074】
ベルナビは、「押し順ベル」が当選した場合に正解の押し順を報知するものである。前述したように、正解の押し順で停止操作された場合には、正解役であるベル役が必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作された場合には、不正解役であるベル役が入賞するか、何の役も入賞しない。非入賞の場合には、ベルブランクが表示される。
移行ナビは、「押し順リプレイ」が当選した場合に、RT2リプレイを入賞させるための正解の押し順を報知するものである。正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイのいずれかが必ず入賞し、不正解の押し順で停止操作された場合には、RT2リプレイは入賞せず、RT1リプレイ又は移行契機役となっていない再遊技役(維持リプレイ、例えばリプレイ1など)のいずれかが必ず入賞する。
【0075】
なお、ATの態様としては、上記したものに限られず、正解の押し順で停止操作がされた場合と、不正解の押し順で停止操作がされた場合とで、入賞し得る小役は同一であるものの、正解の押し順で停止操作した場合には必ず所定の役が入賞し、不正解の押し順で停止操作がされた場合には、ストップスイッチ50の操作タイミングによっては所定の役が入賞するように形成してもよい。あるいは、正解の押し順で停止操作した場合には、所定の役に対応する図柄組合せが複数の有効ライン上に停止して(条件によっては必ず)重複入賞するが、不正解の押し順で停止操作がされた場合には、所定の役に対応する図柄組合せが単一の有効ライン上に停止して単独入賞し得るように形成してもよい。
【0076】
また、ATは、押し順を報知するものに限られず、指標図柄(当選役に対応する図柄組合せを構成する図柄)を報知するものとしてもよい。この場合には、例えば、役として、「白7・ベル・ベル」「赤7・ベル・ベル」「青7・ベル・ベル」の図柄配列からなる小役を設け、「白7」「赤7」「青7」は左リール41において同時に狙えない位置に配置する。また、ベル図柄はストップスイッチ50の操作タイミングにかかわらず有効ライン上に引き込み可能に配置する。そして、当選している小役に応じて「白7」「赤7」「青7」のいずれかの図柄や色彩を、画像表示部67に表示させ、遊技者が当選図柄を狙って停止操作できるように報知するように形成することができる。このように形成した場合にも、報知に従って停止操作をすることにより、当選役を入賞させ、より有利な結果を得ることができるものとなる。
【0077】
(スロットマシン10の作動)
次に、上記構成を有するスロットマシン10の、メイン制御装置21の制御に基づく1ゲームにおける作動の概略について、
図9のフローに基づき説明する。
まず、
図9に示すステップ100において、遊技を行うためのメダルがベットされたか否かが判断される。ベットには、メダルの投入、ベットスイッチ16の操作の他、再遊技作動による自動ベットも含まれる。ベットがされない場合にはステップ100に戻り、ベットがされた場合には、次のステップ101に進む。
ステップ101において、スタートスイッチ30がONとなったか否かが判断される。スタートスイッチ30がONにならない場合には、ステップ101に戻り、スタートスイッチ30がONとなった場合には、次のステップ102に進む。
【0078】
ステップ102において、役抽選手段70により役抽選処理が行われる。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、回転リール40の回転開始処理が行われる。そして、次のステップ104に進む。
ステップ104において、いずれかのストップスイッチ50がONとなったか否かが判断される。ストップスイッチ50がONとならない場合には、ステップ104に戻り、いずれかのストップスイッチ50がONとなった場合には、次のステップ105に進む。
ステップ105において、回転リール40の回転停止処理が行われる。そして、次のステップ106に進む。
【0079】
ステップ106において、全ての回転リール40が停止したか、すなわち3個の回転リール40に対応するストップスイッチ50の操作が行われたか否かが判定される。全ての回転リール40が停止していない場合にはステップ104に戻り、全ての回転リール40が停止した場合には、次のステップ107に進む。
ステップ107において、遊技結果判定処理が行われる。そして、次のステップ108に進み、遊技結果に応じた処理が行われる。すなわち、所定の役が入賞した場合には、入賞メダルの払い出しや、再遊技作動や、ボーナスゲームへの移行処理が行われて、1回のゲームが終了する。所定の役は入賞しないものの、遊技状態や演出状態の移行契機となる図柄組合せが表示された場合には、メイン状態の移行処理が行われる。何の役も入賞せず、かつメイン状態やサブ状態の移行契機となる図柄組合せも表示されない場合には、そのまま1回のゲームが終了する。なお、遊技結果判定に関する情報は、演出制御装置21に出力される。
【0080】
次に、演出実行制御手段220の制御に基づく1ゲームにおけるサブ処理について、
図10のフローに基づき説明する。なお、役抽選の結果などのメイン状態は、メイン制御装置21から遊技の進行に応じて出力される情報信号の入力に基づき判断される。また、
図10のフローは、サブ処理のうちステージ演出に関する制御を説明するためのものであり、これ以外の演出、例えばART中のナビや、入賞報知等に関しては省略している。
まず、
図10のステップ200において、特殊ステージ中か否かが判断される。すなわち、ボーナス状態、ART状態又はART高確率状態など、所定の特殊状態中であるか否かが判断される。この判断は、スタート操作時(スタートスイッチ30の操作時)に行われる。特殊ステージ中であると判断された場合には、ステップ220に進み、特殊ステージ中の処理が行われる。なお、特殊ステージ中の処理についての詳細な説明は省略するが、滞在している特殊ステージに対応した演出が実行される。特殊ステージ中でないと判断された場合には、次のステップ201に進む。
【0081】
ステップ201において、所定の抽選契機役が当選したか否かが判断される。抽選契機役が当選したと判断された場合には、次のステップ202において、契機役情報保存処理が行われる。すなわち、ステージ情報記憶手段222が抽選契機役に関する情報を記憶する。そして、次のステップ203に進む。
ステップ203において、ステージ抽選処理が行われる。そして、次のステップ204に進む。
ステップ204において、ステージ情報記憶手段222が記憶している保存契機役情報が消去される。そして、次のステップ205に進む。
【0082】
前記ステップ201において、抽選契機役が当選していないと判断された場合には、ステップ202から204までを飛び越してステップ205に進む。
ステップ205において、ボーナスが当選したか否かが判断される。ボーナスが当選したと判断された場合には、次のステップ206に進み、ステージ情報保存処理が行われる。すなわち、ステージ情報記憶手段222が現在滞在中の演出ステージに関する情報を記憶する。そして、次のステップ207に進む。
前記ステップ205においてボーナスが当選していないと判断された場合には、ステップ206を飛び越してステップ207に進む。
【0083】
ステップ207において、演出実行処理が行われる。すなわち、現在滞在中の演出ステージ(
図5(A)のステージA〜D)に対応する個別演出の抽選テーブルを用いて、役抽選の結果等の遊技状態を参照しつつ、実行に係る個別演出や演出の実行時期を決定し、抽選により決定された個別演出データに基づく演出が実行される。なお、実行演出抽選により演出無しが決定された場合には、特に演出は実行しない。演出がランプ68の点灯点滅やスピーカ69からの音声出力によるものである場合にはそれらは行わず、画像表示部67による画像演出である場合には、例えば、滞在中の個別ステージの背景だけを表示させるなどして、特別な表示を行わせないようにする。そして、次のステップ208に進む。
【0084】
ステップ208において、遊技状態が特殊状態に移行するか否かが判断される。この判断は、1ゲーム終了時(第三停止時又は遊技判定時)に行われ、遊技の結果、ボーナスが入賞している場合や、RT2リプレイが入賞している場合(ARTが開始される場合)や、サブ高確率状態への移行が決定されている場合には、特殊状態に移行すると判断される。また、ボーナス終了時であってART即発動が当選している場合や、サブ高確率即発動が当選している場合や、サブ高確率状態中にARTが当選した場合にも、特殊状態に移行すると判断される。特殊状態に移行すると判断された場合には、次のステップ209に進み、特殊ステージの設定が行われる。すなわち、状態に応じた特殊ステージの演出ステージデータが取得される。なお、前述したように、ARTが開始される場合において保存されている保存ステージ情報は、消去される。そして、次のステップ210に進む。特殊状態に移行しないと判断された場合には、ステップ209を飛び越してステップ210に進む。
【0085】
ステップ210において、ステージ抽選判定処理が行われる。ステージ抽選判定処理とは、ステージ決定手段222のステージ抽選判定手段が、抽選契機役当選以外の契機でのステージ抽選を実行するか否かを判定するとともにステージ抽選を実行させる処理であり、この処理は、1ゲーム終了後に行われる。所定条件に該当する場合にはステージ抽選実行決定がなされるようになっている。そして、1ゲームにおけるサブ処理を修了する。
続いて、前記ステップ210のステージ抽選判定処理について、
図11のフローに基づき説明する。
まず、
図11のステップ300において、サブ高確率状態の終了時か否かが判断される。サブ高確率状態の終了時でないと判断された場合には、ステップ302に進む。
【0086】
ステップ302において、ART終了時か否かが判断される。ART終了時でないと判断された場合には、次のステップ303に進む。
ステップ303において、ボーナス終了時か否かが判断される。ボーナス終了時でないと判断された場合には、ステージ抽選実行決定を行わずに、そのままステージ抽選判定処理を終了する。一方、ボーナス終了時であると判断された場合には、次のステップ304に進む。
ステップ304において、ART即発動が当選しているか否かが判断される。ART即発動が当選していないと判断された場合には、次のステップ305に進む。
【0087】
ステップ305において、サブ高確率即発動が当選しているか否かが判断される。サブ高確率即発動が当選していると判断された場合には、ステップ306に進む。
ステップ306において、抽選予約フラグがセットされる。抽選予約フラグとは、当該サブ高確率状態の終了後にステージ抽選を行う予定であることを記憶しておくためのものである。そして、ステージ抽選実行決定を行わずに、そのままステージ抽選判定処理を終了する。
前記ステップ300において、サブ高確率状態の終了時であると判断された場合には、次のステップ301に進む。
【0088】
ステップ301において、抽選予約フラグがセットされているか否かが判断される。抽選予約フラグがセットされていないと判断された場合には、ステージ抽選実行決定を行わずに、そのままステージ抽選判定処理を終了する。一方、抽選予約フラグがセットされていると判断された場合には、ステップ307に進む。
前記ステップ302においてART終了時であると判断された場合、及び前記ステップ305において、サブ高確率即発動が当選していないと判断された場合にも、ステップ307に進む。
ステップ307において、ステージ抽選処理が行われる。なお、このとき、抽選予約フラグをリセットする。そして次のステップ308に進む。
【0089】
前記ステップ304において、ART即発動が当選していると判断された場合にも、ステップ308に進む。
ステップ308において、保存ステージ情報が消去される。そして、ステージ抽選判定処理を終了する。
以上のようにして、ボーナス状態の終了時であってART即発動当選又はサブ高確率即発動当選でない場合、及びサブ高確率状態の終了時において抽選予約フラグがセットされている場合、及びART状態の終了時に、ステージ抽選が実行されるものとなる。
次に、
図10のステップ203及び
図11のステップ307におけるステージ抽選処理について、
図12のフローに基づき説明する。ここで、ステージ抽選の方法としては、
図12(A)(B)の2通りがある。本実施の形態においては、(A)(B)のうち、予め定めたいずれかの方法を用いて、ステージ抽選が行われる。
【0090】
図12(A)の抽選方法は、保存ステージ情報に応じて、ステージ抽選テーブルを変更するものである。
まず、ステップ400において、保存契機役情報又は保存ステージ情報が参照される。そして、次のステップ401に進む。
ステップ401において、ステージ決定手段222の優先判定手段の判定に基づき、保存ステージ情報に係る個別ステージの優先順位と同等か、それよりも優先順位が高い(上ランクの)個別ステージに対応する領域が規定されたステージ抽選テーブルが取得される。なお、保存ステージ情報を有していない場合(抽選契機役の当選に基づいてステージ抽選を行う場合)には、保存契機役情報に基づき、抽選契機役に応じた所定の個別ステージに対応する領域が規定されたステージ抽選テーブルが取得される。また、保存契機役情報を有していない場合には保存ステージ情報に係る個別ステージの優先順位と同等以上のステージ抽選テーブルが取得される。さらに、保存ステージ情報も保存契機役情報も有していない場合(ART終了後のステージ抽選の場合)には、全ての個別ステージに対応する領域が規定されたステージ抽選テーブルが取得される。そして、次のステップ402に進む。
【0091】
ステップ402において、判定処理が行われる。すなわち、取得したステージ抽選テーブルと、所定の契機でピックアップした演出用の乱数とを対比して、乱数値の属するステージ抽選テーブルの領域に設定されている個別ステージを特定する。そして、ステップ403に進む。
ステップ403において、判定の結果選択された個別ステージを、抽選後に滞在する個別ステージとして決定する。そして、ステージ抽選処理を終了する。
一方、
図12(B)の抽選方法は、ステージ抽選の判定結果を保存ステージ情報と対比して、優先順位が同等か又は上ランクの個別ステージを選択するものである。
【0092】
まず、ステップ450において、保存契機役情報又は保存ステージ情報に基づき所定のステージ抽選テーブルが取得される。具体的には、保存ステージ情報を有していない場合には、保存契機役に基づき、抽選契機役に応じた所定の個別ステージに対応する領域が規定されたステージ抽選テーブルが取得される。また、保存契機役情報を有していない場合及び保存ステージ情報も保存契機役情報も有していない場合には、全ての個別ステージに対応する領域が規定されたステージ抽選テーブルが取得される。そして、次のステップ451に進み、判定処理が行われる。すなわち、取得したステージ抽選テーブルと、所定の契機でピックアップした演出用の乱数とを対比して、乱数値の属するステージ抽選テーブルの領域に設定されている個別ステージを特定する。そして、ステップ452に進む。
【0093】
ステップ452において判定結果が一時記憶され、次のステップ453において、保存ステージ情報との対比が行われる。なお、保存ステージ情報を有していない場合には、このステップは省略される。そして、次のステップ454に進む。
ステップ454において、ステージ決定手段222の優先判定手段の判定に基づき、優先順位の高い方の個別ステージを、抽選後に滞在する個別ステージとして決定する。なお、優先順位が同等の場合、及び保存ステージ情報を有していない場合には、には、今回のステージ抽選の抽選結果に係る個別ステージを抽選後に滞在する個別ステージとして決定する。そして、ステージ抽選処理を終了する。
【0094】
なお、ボーナス当選時の滞在ステージが、例えば
図8(A)のステージD(優先順位が最も低いステージ)であった場合や、D又はC(優先順位が所定順位以下のステージ)であった場合には、ステージ情報を保存しないようにしてもよい。その上で、ボーナス終了時やサブ高確率状態終了時のステージ抽選において、保存ステージ情報がない場合には、優先順位が最も低いステージや優先順位が所定順位未満のステージに対応する領域を含まないステージ抽選テーブルを用いてステージ抽選を行うようにしても、ステージ抽選による格下げを防止することができる。この場合において、ボーナス当選時の滞在ステージがステージCであり、ステージDが選択される可能性のあるステージ抽選テーブルを用いて抽選を行うと、格下げが発生することになる。しかし、ステージCとステージDの期待度が同一であったり、あるいはほとんど変わらないような場合には、格下げを許容することも可能である。このように形成しても、もともと期待度の低かったステージと同じようなステージに移行したということであれば、遊技者も最初から過度な期待をしているわけではないので、遊技意欲を大幅に減退させることもないと考えられるからである。
【0095】
(まとめ)
以上のように、第一の実施の形態によれば、実行演出決定手段211は、サブ通常状態(第一状態)中におけるART状態(第二状態のうちの第二有利状態)への移行可能性を示唆するステージ演出の実行中に、ボーナスが当選(第二状態のうちの第一有利状態の発生が決定)した場合は、当選時の演出ステージ情報を保存ステージ情報として記憶しておき、ボーナス終了後のステージ抽選において、保存ステージ情報に基づく演出ステージよりも期待度の低い演出ステージが選択されないようにしている。これにより、実はARTが当選していないのにART移行の期待度が高いステージ状態でボーナスへ移行したものの、ボーナスが終了したら、その後の(ARTに当選していない状態での)ステージ抽選によって、期待度の低いステージに移行してしまうことがなくなる。これより、遊技者をがっかりさせることなく、ボーナス終了後の遊技にも期待を抱かせることができる。
【0096】
また、本実施の形態おいては、ボーナス当選時のステージ情報を保存し、ボーナス終了後に保存ステージ情報を参照したステージ抽選が行われた場合には、保存ステージ情報を消去するとともに、ボーナス終了直後に、保存ステージにより示唆されていたARTの発動が確定した場合にも、保存ステージ情報を消去するようにしているので、余分な情報を保持する必要がなく、最新の情報に基づいて簡易かつ確実に処理を行うことができる。
また、本実施の形態においては、ボーナス終了直後に、ART抽選が高確率で行われるサブ高確率状態(第三有利状態)が発生した場合には、ART抽選に当選しないままサブ高確率状態が終了し通常状態に戻るのを待って、ステージ抽選を行うようにしている。すなわち、サブ高確率状態中においては、ART抽選に当選する可能性が高く、ARTが当選した場合には、ART待機ステージに移行することになるため、サブ高確率状態の前に行ったステージ抽選の結果が無駄になってしまうので、本来はボーナス終了後に行うステージ抽選の実行時期をずらしているものである。これにより、遊技状態に即した演出ステージを効率よく選択することができる。
【0097】
なお、上記した実施の形態では、ステージ演出抽選の抽選契機役が、ATやARTに関する利益付与に関するものとなっていたが、所定の抽選契機役の当選又は入賞に基づいて、ボーナス当選に関する期待度が異なる演出ステージが選択され得る構成としてもよい。例えば、特定の小役とボーナス(BB)とを同時当選可能に形成し、特定の小役が単独当選している場合と、ボーナスと重複当選している場合とで、ステージ演出の期待度が異なるように形成する。そして、期待度の高い演出ステージ滞在中に、ARTへの移行が決定又はARTが発動した場合には、その時点での演出ステージを保存しておき、ART終了後のステージ抽選において、保存ステージ情報よりも期待度の低いステージが選択されないような配慮をしてもよい。
【0098】
また、ステージ抽選の実行契機を、ボーナス終了時と、所定の抽選契機役当選時に設定していたが、ステージ抽選の実行契機は、これらに限られず、例えば、複数ゲームにわたる連続演出や、予め演出実行ゲーム数が設定されるシナリオ演出の終了時に、ステージ抽選を行うようにしてもよい(第二の実施の形態においても同様)。
さらに、ボーナス終了直後に移行する特殊状態としての第三有利状態は、サブ高確率状態に限られず、他の有利状態であってもよい。例えば、再遊技役の当選確率が極めて高く(例えば1/1.1)設定されたRTとしてもよい。このRTは、ボーナス終了を契機に開始され、所定回数のゲーム消化により通常状態に移行するもので、RTに移行すると、特殊ステージに係るステージ演出が行われる。このように形成した場合には、RT終了後、通常状態に戻る際に、ボーナス当選時のステージ情報を参照して、ステージ抽選が行われることとなる。
【0099】
(第二の実施の形態)
図13乃至
図16は、本発明の第二の実施の形態を示す図である。ここで、第一の実施の形態を示す
図1、
図2、
図3、
図9、
図12は、本実施の形態にも共通する。なお、第二の実施の形態における符号は、第一の実施の形態と同じ構成には同一の符号を用いている。第二の実施の形態に係るスロットマシン10の基本的構成は第一の実施の形態と同様であるので、重複する部分は説明を省略し、本実施の形態の特徴点のみ説明する。
(役抽選テーブル)
第二の実施の形態に係るスロットマシン10は、役として、入賞により所定枚数のメダルが払い出される小役と、入賞により次ゲームにおいて遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行える再遊技役とを備えている(
図14参照)。本実施の形態においては、役抽選の結果に基づき行われるボーナスは設けられていないが、ARTの一態様として、擬似ボーナスが設けられている。
【0100】
小役の構成は、第一の実施の形態と同様である。本実施の形態では、再遊技役として、リプレイ1〜リプレイ14までの14個のリプレイ役が設けられている。このうち、リプレイ1〜リプレイ11の構成は、第一の実施の形態と同様である。リプレイ12には、「ベル・リプレイa・スイカa」などの図柄組合せが対応付けられており、リプレイ13には、「リプレイa・ベル・スイカa」などの図柄組合せが対応付けられている。リプレイ14には、「赤7・赤7・赤7」「赤7・リプレイa・赤7」などの図柄組合せが対応付けられている。
また、メイン状態として、通常状態と、RT1、RT2、RT3の3つのRT状態を有している(
図13(A)参照)。すなわち、役抽選テーブルとして、通常状態中に用いられる通常テーブル、RT1中に用いられるRT1テーブル、RT2中に用いられるRT2テーブル、RT3中に用いられるR3テーブルを備えている(
図15参照)。各役抽選テーブルにおける小役の当選確率は、通常テーブル、RT1テーブル、RT2テーブル及びRT3テーブルの全てにおいて、同等に設定されている。また、各役抽選テーブルにおける再遊技役の当選確率(合算値)は、RT2及びRT3テーブルが最も高く、RT1テーブルが最も低くなるように設定されている。通常テーブルは、RT1テーブルよりも高くあるいは同等に設定されている。例えば、RT1テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/7.3に設定されており、RT2及びRT3テーブルでは、再遊技役の当選確率が約1/1.2に設定されている。これにより、メイン状態がRT2、RT3である遊技は、遊技メダルを新たに投入することなく遊技を行える再遊技の回数が増えるとともに、小役の当選確率は変化しないので、手持ちのメダルの目減りが少なくなることから、メイン状態が通常状態又はRT1である遊技よりも遊技者にとって有利な遊技となっている。なお、上記した当選確率は一例であって、上記した数値に限られるものではない。
【0101】
第二の実施の形態における役抽選テーブルを
図15に示す。本実施の形態における役抽選テーブルには、所定のリプレイ役の重複当選領域として「リプレイA」〜「リプレイI」の他に、「リプレイJ」「リプレイK」が設けられている。
ここで、「ベルA」〜「ベルL」の12個のベル役の重複当選領域に対しては、第一の実施の形態と同様に、3個のストップスイッチ50に基づく3通りの操作順序(押し順)が、それぞれ割り当てられている。また、「リプレイA」〜「リプレイD」の4個の再遊技役の重複当選領域に対しては、第一の実施の形態と同様に、3個のストップスイッチ50に基づく左第一停止以外の4通りの押し順が、それぞれ割り当てられている。そして、「リプレイJ」「リプレイK」の2個の再遊技役の重複当選領域に対しては、3個のストップスイッチ50に基づく左第一停止以外の2通りの押し順が、正解の押し順としてそれぞれ割り当てられている。具体的には、「リプレイJ」には、ストップスイッチ50を中第一停止で操作する押し順が、「リプレイK」には、ストップスイッチ50を右第一停止で操作する押し順が、それぞれ割り当てられている。
【0102】
(停止制御)
ここで、「押し順リプレイ」に含まれる再遊技役のうち、リプレイ4〜14は、その入賞がメイン状態移行の契機となる移行契機役として位置付けられている。第一の実施の形態と同様に、リプレイ4は通常状態からRT1への移行契機となっているRT1リプレイであり、リプレイ5〜11は通常状態からRT2への移行契機となっているRT2リプレイである(
図14参照)。そして、リプレイ12〜14は、通常状態からRT3への移行契機となっている。以下、リプレイ12〜14をRT3リプレイという。
上記した「押し順リプレイ」のうち、
図15に示す「リプレイJ」「リプレイK」のいずれかの当選領域が当選した場合の停止制御について説明する。
【0103】
停止制御手段92は、役抽選により上記した「リプレイJ」又は「リプレイK」が当選した場合において、各当選領域に割り当てられた正解の押し順(中第一停止又は右第一停止)で停止操作された場合には、RT3リプレイに対応する図柄組合せのうち、リプレイ14に対応付けられている図柄組合せを優先的に有効ライン上に停止させる制御を行う。また、リプレイ14に対応付けられている図柄組合せを構成する各回転リール40図柄のうち、「赤7」以外の図柄に優先して、「赤7」を引き込むような制御を行う。ストップスイッチ50の操作タイミングによっては、赤7図柄を引き込めない場合もあるが、その場合には、リプレイ12、13に対応付けられている図柄組合せを構成する図柄(中リール42のリプレイ図柄、右リール43のスイカ図柄)を引き込んで停止させる。また、第二停止以降において、赤7図柄を有効ライン上に引き込めない場合には、リプレイ14に対応付けられているいずれかの図柄組合せを構成する図柄を引き込んで停止させる。一方、不正解の押し順で停止操作された場合には、リプレイ12、13に対応する図柄組合せを優先的に有効ライン上に停止させる制御を行う。
【0104】
ここで、リプレイ12、13に対応付けられている図柄組合せの構成図柄と、リプレイ14に対応付けられている図柄組合せの構成図柄のうち、赤7以外の図柄は、対応する回転リール40において全て最大スベリコマ数の範囲に配置されている。したがって、RT3リプレイは、ストップスイッチ50の操作タイミングにかかわらず入賞可能であり、「リプレイJ」又は「リプレイK」が当選した場合には、必ずRT3に移行可能である。そして、正解の押し順で、かつ所定のタイミングで停止操作した場合には、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せを表示させて、RT3に移行可能である。
なお、通常テーブルにおいて、「リプレイJ」と「リプレイK」を合わせた当選確率は、リプレイ「A」〜「D」を合わせた当選確率よりも低く設定されている。
【0105】
また、
図15に示すように、RT3テーブルにも、「リプレイJ」及び「リプレイK」の当選領域が設けられている。これにより、RT3中においても、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せを含むリプレイ14が入賞し得るようになっている。RT3中において、リプレイ14が赤7揃いで入賞した場合には、ART抽選などの、所定の特典が付与されるようにしてもよい。
(メイン状態の移行)
第二の実施の形態におけるメイン状態の移行を、
図13(A)に基づき説明する。まず、スロットマシン10は、初期状態においては、通常状態となっており、通常状態中に、RT1リプレイが表示されると、RT1に移行する。RT1中においては、RT2リプレイが入賞すると、RT2に移行し、ベルブランクが表示された場合には、通常状態に戻るようになっている。
【0106】
また、通常状態中に、RT2リプレイが入賞すると、RT2に移行する。RT2中にベルブランクが表示された場合には、通常状態に戻る。さらに、通常状態中に、RT3リプレイが入賞すると、RT3に移行する。そして、RT2中にベルブランクが表示された場合には、通常状態に戻る。
(サブ状態の移行)
第二の実施の形態におけるサブ状態には、
図13(B)に示すように、サブ通常状態、ART待機状態、ART状態、転落待機状態、及び擬似ボーナス状態が設けられている。ART待機状態は、ART状態への移行が決定している状態である。ART状態は、第二有利状態であるARTが行われる状態であり、転落待機状態はARTの終了後に滞在する所定ゲーム数の期間である。擬似ボーナス状態は、第一有利状態である擬似ボーナスが行われる状態であり、サブ通常状態は、上記のいずれにも該当しない状態である。また、ART待機状態には、メイン状態が通常状態又はRT1である場合に滞在し、ART状態には、メイン状態がRT2である場合に滞在する。擬似ボーナス状態には、メイン状態がRT3である場合に滞在する。
【0107】
ART状態は、ベルナビが実行される期間であり、設定されたゲーム数の終了により終了する。擬似ボーナス状態は、ART状態と同様に、ベルナビが実行されるものであるが、所定枚数を超えるメダル払い出しにより終了する設定となっている。すなわち、擬似ボーナス状態においては、AT制御手段230のATカウンタは、払出メダル数のカウントを行うものとなる。
次に、第二の実施の形態におけるサブ状態の移行について、
図13(B)に基づき説明する。前述したように、スロットマシン10は、初期状態においては、メイン状態は通常状態であり、サブ状態もサブ通常状態となっている。サブ通常状態中に、所定の契機(所定の抽選契機役の当選)で行われるART抽選に当選すると、ART待機状態に移行する。
【0108】
ART待機状態中であって、メイン状態が通常状態である場合には、RT2リプレイの当選時に移行ナビが行われる。具体的には、ART待機状態中に所定のRT2リプレイが入賞すると、ART状態に移行する。
ART状態には、第一の実施の形態と同様に、所定のゲーム数が保証されており、後述する上乗せ抽選で当選した場合にはさらに所定回数のゲームが上乗せされる。そして、設定された回数のゲームが終了すると、転落待機状態に移行する。
転落待機状態は、所定のゲーム数の間、例えばゲームごとに、ARTを再開させるか否かの継続抽選が行われる。継続抽選に当選した場合には、所定のゲーム数が設定されて、ARTを継続可能となる。この場合、継続抽選の当選を契機にART状態に移行してもよいし、予め定められた転落待機状態の期間の経過後に、ART状態に移行してもよい。転落待機期間中において、継続抽選に当選しなかった場合には、ART状態は終了してサブ通常状態に戻る。
【0109】
なお、ART状態中にベルブランクが表示された場合には、メイン状態が通常状態に転落するとともに、ART状態は終了してサブ通常状態に戻る。
さて、ARTは、ART抽選に当選することにより発生が決定され、メイン状態がRT2に移行することにより開始されるものであるが、擬似ボーナスは、RT3リプレイの当選により発生が決定され、メイン状態がRT3に移行する(RT3リプレイが入賞する)ことにより開始されるようになっている。また、RT3が当選した場合に、擬似ボーナス当選報知が行われるようにしてもよい。例えば、リプレイ14を入賞させるための正解の押し順が報知されるとともに、「赤7」を狙うように示唆する演出が行われる。RT3リプレイが入賞すると、擬似ボーナス状態に移行する。RT3リプレイの当選時に赤7図柄を揃えられなくても、いずれかのRT3リプレイが必ず入賞するので、RT3リプレイが当選すれば、擬似ボーナス状態へは必ず移行する。
【0110】
擬似ボーナス状態においては、ART状態中と同様に、ベルナビが行われる。そして、予め設定された払出枚数を超える払出が終了した場合には、擬似ボーナス状態は終了し、サブ通常状態に戻る。サブ通常状態に戻ると、ベルナビが行われないので、ベルブランクの表示によってメイン状態が通常状態に戻る。
(演出ステージ)
ここで、本実施の形態における演出ステージとしては、図示しないが、ART状態中に対応する特殊ステージと、特殊ステージ以外の通常ステージとが設けられている。特殊ステージは、ART状態、擬似ボーナス状態にそれぞれ対応するARTステージと擬似ボーナスステージである。また、通常ステージとして、サブ通常状態、ART待機状態において実行される複数の個別ステージが設けられている。ステージ抽選では、サブ状態が、サブ通常状態、ART待機状態と進むにつれ、ART状態への移行に関する期待度の高い個別ステージが選択されるようになっている。例えば、期待度の高い順にABCDの4つの個別ステージがある場合(
図5(A)参照)、サブ通常状態ではステージCDが選択されやすく、ART待機状態ではステージABが選択されやすいようになっている。
【0111】
(サブ処理)
第二の本実施の形態におけるサブ処理のうち、通常ステージ中の演出実行処理を、
図16に基づき説明する。
図16のステップ500において、特殊ステージ中か否かが判断される。この判断は、スタートスイッチ30の操作を契機に行われる。特殊ステージ中であると判断された場合には、ステップ520に進み、特殊ステージ中の処理が行われる。特殊ステージ中には、滞在している特殊ステージに対応した演出が実行される。特殊ステージ中でないと判断された場合には、次のステップ501に進む。
【0112】
ここで、ステップ501からステップ504までの流れは、
図10のステップ201からステップ204までの流れと同様であるので説明を省略する。
ステップ505において、RT3リプレイが当選したか否かが判断される。RT3リプレイが当選したと判断された場合には、次のステップ506に進み、ステージ情報保存処理が行われる。そして、ステップ507に進む。
ステップ507〜510までの流れは、
図10のステップ207〜210までと同様であるので説明を省略する。
ここで、本実施の形態におけるステージ抽選判定処理では、擬似ボーナス終了時か否かが判断され、擬似ボーナス終了時であると判断された場合には、ステージ抽選が行われる。また、擬似ボーナス終了時でないと判断された場合には、ステージ抽選は行われない。
【0113】
(まとめ)
以上のように、第二の実施の形態においては、ATが行われるRT状態を2つ設け、一方のRT状態(RT2)への移行契機となる再遊技役(RT2リプレイ)が入賞した場合にはART状態(第一有利状態)に移行し、他方のRT状態(RT3)への移行契機となる再遊技役(RT3リプレイ)が入賞した場合には、擬似ボーナス状態(第二有利状態)に移行するように設定し、ART状態又は擬似ボーナス状態への移行前(第一状態)において、ART状態への移行可能性を示唆するステージ演出が行われるようなっている。そして、擬似ボーナス状態への移行確定時、すなわちRT3リプレイ当選時において、滞在している演出ステージのステージ情報を保存し、擬似ボーナス状態終了時のステージ抽選においては、保存ステージ情報に基づく演出ステージよりも期待度の低い演出ステージが選択されないようにしている。すなわち、ARTへの移行可能性を示唆するステージ演出中に、擬似ボーナス状態が発動した場合、擬似ボーナス状態終了後のステージ抽選では、擬似ボーナス開始前に滞在していた演出ステージ以下の期待度の演出ステージは選択されない。これにより、擬似ボーナス状態が終了した後も、期待感を失うことなく遊技を行うことができる。
【0114】
(変形例)
上記した実施の形態では、RT3リプレイが当選すると必ずRT3リプレイが入賞して擬似ボーナス状態に移行するように形成してあったが、RT3リプレイの当選時に、「赤7・赤7・赤7」が表示されることを条件に、擬似ボーナス状態に移行させるように形成してもよい。この場合、赤7揃いを表示できなくても、いずれかのRT3リプレイが入賞するようにしておき、メイン状態はRT3に移行させるものの、演出ステージとしては、「擬似ボーナス内部中」の設定とすることができる。例えば、赤7揃いが表示されるまで、画像表示部67に擬似ボーナス確定画面を表示させておくようにしてもよい。あるいは、RT3リプレイの当選時に、所定の押し順で操作しないと(あるいはナビに従わないと)、RT3リプレイ以外の再遊技役(例えばメイン状態の移行契機となっていない再遊技役や、他の状態例えばRT1への移行契機となっている再遊技役)が入賞するように形成してもよい。このように形成した場合には、ステージ情報保存処理は、RT3リプレイの入賞時に行うようにする。
【0115】
また、上記した実施の形態においては、擬似ボーナスによって遊技者が獲得可能な利益量(獲得メダル数)と、ARTによって獲得可能な利益量の差には特に触れていないが、両者は同等であってもよいし、いずれか一方が多く設定されているのであってもよい。また、擬似ボーナス状態中とART状態中では、同様のベルナビが行われる設定となっていたが、両者において行われるATの態様は異なるものであってもよい。例えば、ナビする役が異なるようにしたり、一方は押し順ナビを行い、他方は指標図柄(押下タイミング)のナビを行うようにしてもよい。さらに、擬似ボーナス状態中とART状態中とでは滞在するRTの再遊技役の当選確率が異なるように設定してもよい。
【0116】
さらに、上記した実施の形態では、ART状態として、通常のARTと、ARTをボーナスゲームに見立てた擬似ボーナスとを設けていたが、それぞれ態様の異なるARTを複数種類設けるようにしてもよいものである。例えば、基本のゲーム数が設定されており、ART中に行われるゲーム数の上乗せ抽選に当選するとゲーム数が増加していくタイプの第一ARTと、基本のゲーム数が設定されており、ART中に行われるループ率アップの抽選によってループ回数(セット数)が増加していくタイプの第二ARTを設けることができる。この場合において、第一ART状態と第二ART状態のメイン状態は、同一であっても異なっていてもよい。メイン状態を同一にする場合には、いずれのART状態に移行するかを、サブ制御装置22の抽選により決定するようにしてもよいし、RTへの移行契機となっている再遊技役の入賞時に表示される図柄組合せによって発動するARTが変わるようにしてもよい。また、ART状態への移行前(第一状態)においては、2つのART状態のうちいずれかの状態への移行可能性を示唆するステージ演出が行われるようにすることができる。いずれのステージが選択されるかは、抽選契機役の期待度等により変化させることができる。そして、いずれかのART状態への移行確定時において、滞在している演出ステージのステージ情報を保存する。このとき、移行が確定したART状態への移行可能性を示唆するステージ演出が実行されている場合はそのステージ情報は保存せず、他のART状態への移行可能性を示唆するステージ演出が実行されている場合に、そのステージ情報を保存する。そして、ARTの終了時のステージ抽選においては、保存ステージ情報に基づく演出ステージよりも期待度の低い演出ステージが選択されないようにすることができる。これにより、例えば、第一ARTへの移行可能性を示唆するステージ1中に、第二ARTが発動した場合、第二ARTの終了後のステージ抽選では、ステージ1以下の期待度のステージは選択されない。このように形成することにより、ひとつのARTが終了した後も、期待感を失うことなく遊技を行うことができる。
【0117】
なお、本発明は、スロットマシン以外の遊技機にも応用することができる。例えば、遊技媒体として遊技球を用い、スロットマシンと同等の遊技機を行わせるパロット遊技機にも利用可能である。
さら、本発明は、遊技領域に発射された遊技球が始動入賞口に入賞することに基づいて変動表示ゲームが開始され、変動表示ゲームが所定の当たり(特別遊技状態)となると特別変動入賞装置が遊技球を受け入れ易い状態となって、特別変動入賞装置への多くの遊技球の入賞に基づいて遊技者が大量の遊技球を獲得可能となるようにしたパチンコ遊技機に利用することもできる。この場合、ステージ演出は、変動表示ゲームの1変動を単位期間として、1又は複数の変動表示ゲームにおいて行われる演出(例えば液晶画面に表示される演出)とすることができ、ステージ演出の抽選契機は始動入賞口への入球とすることができる。また、利益を獲得可能な抽選結果は、大当たり、当たり、小当たり、確変付き当たり、時短付き当たりなどとすることができる。