(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪本発明の一態様の概要≫
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、画素電極と共通電極からなる電極対に有機発光層が介挿されてなる有機EL表示パネルであって、基板と、前記基板上に形成された前記画素電極と、前記基板上に前記画素電極と離間して形成され、前記共通電極に電力を供給する給電層と、前記基板の上方に設けられ、かつ、前記画素電極の上方および前記給電層の上方のそれぞれが開口され、前記有機発光層の形成領域を区画する樹脂隔壁層と、前記画素電極上方の開口にて、当該開口に露出した前記画素電極を覆うように形成された前記有機発光層と、前記樹脂隔壁層を覆うように形成され、前記有機発光層と接するとともに、前記給電層上方の開口に露出した前記給電層と電気的に接続された機能層と、前記機能層上に形成された前記共通電極と、を含み、前記樹脂隔壁層における前記給電層上方の開口側面と前記機能層との間に、無機膜が介挿されている。
【0013】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記無機膜が、さらに、前記給電層上方の開口側面から前記給電層の上面に延在している。
【0014】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記無機膜が、さらに、前記給電層上方の開口側面から前記樹脂隔壁層の上面に延在している。
【0015】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記無機膜を構成する材料は導電性材料であり、前記無機膜が、さらに、前記給電層上方の開口に露出した前記給電層全体を覆うように、前記樹脂隔壁層における前記給電層上方の開口側面から前記給電層の上面に延在している。
【0016】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記無機膜が、さらに、前記給電層上方の開口側面から前記樹脂隔壁層の上面に延在している。
【0017】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記機能層を構成する材料は、易酸化性および吸湿性の少なくとも一方を有しており、前記無機膜における少なくとも前記樹脂隔壁層に接している領域を構成している材料は、前記機能層を構成する材料が易酸化性を有している場合には、当該機能層を構成する材料よりも高い易酸化性を有しており、前記機能層を構成する材料が吸湿性を有している場合には、当該機能層を構成する材料よりも高い吸湿性を有している。
【0018】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記機能層はアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含み、前記無機膜における少なくとも前記樹脂隔壁層に接している領域を構成している材料は、前記機能層を構成している材料よりも、酸素または水分により酸化されやすい。
【0019】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記無機膜における少なくとも前記樹脂隔壁層に接している領域を構成している材料は、アルミニウム、銀、銅、マグネシウムのいずれかである。
【0020】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記機能層は電子注入層である。
【0021】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、さらに、前記画素電極と前記有機発光層との間に正孔注入層が介挿されており、前記給電層は、前記基板上に形成された配線と、当該配線を覆うように形成された、前記正孔注入層と同一材料からなる層と、を含む。
【0022】
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、画素電極と共通電極からなる電極対に有機発光層が介挿されてなる有機EL表示パネルの製造方法であって、基板を準備する工程と、前記基板上に前記画素電極を形成する工程と、前記基板上に、前記画素電極と離間するように、前記共通電極に電力を供給する給電層を形成する工程と、前記基板の上方に、前記画素電極の上方および前記給電層の上方のそれぞれが開口されるように、前記有機発光層の形成領域を区画する樹脂隔壁層を形成する工程と、前記画素電極上方の開口にて、当該開口に露出した前記画素電極を覆うように、前記有機発光層を形成する工程と、前記樹脂隔壁層を覆い、かつ、前記有機発光層と接するとともに、前記給電層上方の開口に露出した前記給電層と電気的に接続されるように機能層を形成する工程と、前記機能層上に前記共通電極を形成する工程と、を含み、前記樹脂隔壁層を形成する工程の後、かつ、前記機能層を形成する工程の前に、前記樹脂隔壁層における前記給電層上方の開口側面と前記機能層との間に介挿されるように、無機膜を形成する工程を含む。
【0023】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を、さらに、前記給電層上方の開口側面から前記給電層の上面に延在させるように形成する。
【0024】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を、さらに、前記給電層上方の開口側面から前記樹脂隔壁層の上面に延在させるように形成する。
【0025】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を構成する材料は導電性材料であり、前記無機膜を、さらに、前記給電層上方の開口に露出した前記給電層全体を覆うように、前記樹脂隔壁層における前記給電層上方の開口側面から前記給電層の上面に延在させるように形成する。
【0026】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を、さらに、前記給電層上方の開口側面から前記樹脂隔壁層の上面に延在させるように形成する。
【0027】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を形成する工程は、前記有機発光層を形成する工程の後に行われる。
【0028】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を形成する工程は、前記有機発光層を形成する工程の前に行われる。
【0029】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記樹脂隔壁層を形成する工程には、前記樹脂隔壁層を加熱する工程が含まれる。
【0030】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を形成する工程において、前記樹脂隔壁層を形成する工程を終えた基板に対し、前記無機膜の形成が予定された領域に対応する部分に開口が設けられたマスクの上方から、前記無機膜を構成する無機材料を蒸着させることにより、前記無機膜を形成する。
【0031】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記無機膜を形成する工程において、前記樹脂隔壁層を形成する工程を終えた基板の上方全体に亘って、前記無機膜を構成する無機材料からなる層を形成した後、前記無機材料からなる層における前記無機膜の形成が予定された領域を除く部分を除去することにより、前記無機膜を形成する。
【0032】
また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、さらに、前記画素電極と前記有機発光層との間に介挿されるように正孔注入層を形成する工程を含み、前記給電層を形成する工程は、前記基板上に配線を形成する工程と、当該配線を覆うように、前記正孔注入層と同一材料からなる層を形成する工程と、を含み、前記画素電極を形成する工程と前記配線を形成する工程が、同一工程で行われる。
【0033】
≪実施の態様1≫
[有機EL表示装置]
図1は、実施の態様1に係る有機EL表示装置1の全体構成を示す図である。
【0034】
図1に示す有機EL表示装置1は、本発明の一態様に係る有機EL表示パネル10、これに接続された駆動制御部20を備えており、ディスプレイ、テレビ、携帯電話等に用いられる。有機EL表示パネル10は、有機材料の電界発光現象を利用したパネルであり、複数の有機EL素子が、XY方向にマトリクス状に配列されてなる。駆動制御部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とから構成されている。なお、実際の有機EL表示装置1では、有機EL表示パネル10に対する駆動制御部20の配置や接続関係については、これに限られない。
【0035】
[有機EL表示パネル]
図2(a)は、実施の態様1に係る有機EL表示パネル10の構造を示す部分断面図である。
【0036】
有機EL表示パネル10は、同図上側を表示面とする、いわゆるトップエミッション型である。有機EL表示パネル10は、赤(R),緑(G),青(B)の何れかの発光色に対応する有機発光層108を有する有機EL素子をサブピクセルとし、サブピクセルがマトリクス状に配設されている。
【0037】
有機EL表示パネル10は、その主な構成として、基板101、画素電極(陽極)104、補助配線105、正孔注入層106、樹脂隔壁層107、有機発光層108、無機膜109、電子注入層110、共通電極(陰極)111を備える。
【0038】
<基板101>
基板101は画素電極が形成された基板に相当し、TFT基板102、層間絶縁膜103からなる。
【0039】
TFT基板102は、有機EL表示パネル10の背面基板であり、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、又はアルミナ等の絶縁性材料の何れかを用いて形成することができる。
【0040】
TFT基板102の表面には、有機EL表示パネル10をアクティブマトリクス方式で駆動するためのTFT(薄膜トランジスタ)が形成されている。TFTは、チャネル材料にシリコンを用いたものでも、インジウムガリウム亜鉛酸化物などの酸化物半導体を用いたものでも、ペンタセン等の有機半導体を用いたものでもよい。
【0041】
層間絶縁膜103は、ポリイミド系樹脂またはアクリル系樹脂等の絶縁材料からなる。
【0042】
<画素電極104>
基板101の上に画素電極(陽極)104が形成されている。画素電極104は、例えば、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等で形成することができる。画素電極104は、サブピクセルに対応するようにXY方向にマトリクス状に形成されている。
【0043】
<補助配線105>
基板101の上には、画素電極104と離間して補助配線105が形成されている。補助配線105は基板上に形成された配線に相当し、補助配線105としては、上記の画素電極104と同様の材料を用いることができる。本実施の態様においては、画素電極104と補助配線105とは同一の材料で形成されており、これらは同一工程内で形成される。補助配線105は、3つのサブピクセルおきに1本設けられており、各補助配線105はY方向(紙面奥方向)に延伸して形成されている。
【0044】
<正孔注入層106>
基板101、画素電極104および補助配線105の上には、正孔注入層106が形成されている。正孔注入層106は、画素電極104から有機発光層108への正孔の注入を促進させる目的で設けられているものである。正孔注入層106としては、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を用いることができる。
【0045】
なお、画素電極104と正孔注入層106との間に、各層間の接合性を良好にする目的でITO層またはIZO層が設けられることもある。補助配線105と正孔注入層106との間についても同様である。
【0046】
さらに、正孔注入層106と補助配線105とで、共通電極に電力を供給する給電層を構成している。また、補助配線105と正孔注入層106との間にITO層(またはIZO層)が設けられている場合には、補助配線105と正孔注入層106とITO層(またはIZO層)の3層で給電層を構成している。
【0047】
<樹脂隔壁層107>
正孔注入層106の上には、樹脂隔壁層107が形成されている。樹脂隔壁層107は、第1に、有機発光層108の形成領域を区画する目的で、第2に、補助配線105と共通電極111とを電気的に接続する接続領域を確保する目的で設けられているものである。樹脂隔壁層107は一定の台形断面を持つように形成されており、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)からなる。
【0048】
図2(b)は、有機EL表示パネル10の樹脂隔壁層107の形状を示す部分平面図である。
図2(a)に示す部分断面図は、
図2(b)におけるA−A’断面図に相当する。
【0049】
図2(a),(b)に示すように、樹脂隔壁層107における画素電極104の上方には、平面視形状が矩形状をした開口部112R,112G,112Bが形成されている。この開口部112R,112G,112Bは、それぞれ、Rの発光色に対応する有機発光層108,Gの発光色に対応する有機発光層108,Bの発光色に対応する有機発光層108が形成される領域である。すなわち、開口部112R,112G,112Bのそれぞれがサブピクセルを規定しており、Rのサブピクセル,Gのサブピクセル,Bのサブピクセルの組み合わせで1画素(1ピクセル)を構成している。
【0050】
また、補助配線105の上方には、Y方向に延伸する開口部113が形成されている。この開口部113内にて、補助配線105と共通電極111とが電気的に接続される。ここで、樹脂隔壁層107に形成された開口部112R,112G,112B,113とは、
樹脂隔壁層107に設けられた開口の開口側面と、開口側面により形成される空間とを指すものとする。また、樹脂隔壁層107に設けられた開口とは、開口側面により形成される空間を指すものとする。
【0051】
<有機発光層108>
図2(a)に戻り、樹脂隔壁層107に形成された開口部112R内には、開口部112Rに露出した画素電極を覆うように有機発光層108が形成されている。有機発光層108は、キャリア(正孔と電子)の再結合による発光を行う部位であり、
図2(a)に示す開口部112に形成された有機発光層108は、Rに対応する有機材料を含むように構成されている。ここで、開口部に露出した画素電極を覆うように形成された有機発光層には、画素電極との間に他の層が介挿されている有機発光層も含むものとする。
【0052】
有機発光層108として用いることが可能な材料としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレンや、例えば、特許公開公報(特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等が挙げられる。
【0053】
<無機膜109>
補助配線105上方における樹脂隔壁層107の開口部113の開口側面には、無機材料からなる無機膜109が形成されている。無機膜109は、樹脂隔壁層107を構成する樹脂材料から発生する水分や有機物質等を含む不純物ガス(いわゆるアウトガス)による電子注入層110の経時的劣化を抑制する目的で設けられており、開口部113の開口側面と電子注入層110との間に介挿されるように形成されている。樹脂隔壁層107と電子注入層110との間に無機膜109が設けられていることで、補助配線と共通電極間におけるコンタクト抵抗の経時的な上昇が抑制できる。ここで、「電子注入層110が経時的に劣化する」とは、例えば、電子注入層110形成工程に後続する製造工程中に徐々に電子注入層の劣化が進行する場合、有機EL表示パネル10を使用しているうちに徐々に電子注入層の劣化が進行する場合等が考えられる。
【0054】
無機膜109に用いる無機材料は封止性に優れるものが望ましく、このような材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミニウム(Al),銀(Ag),銅(Cu),マグネシウム(Mg)等の金属膜、ITO、IZO、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化ナトリウム含有アルミニウム(NaF/Al)等が挙げられる。また、無機膜109に用いる材料は、導体または絶縁体を問わない。
【0055】
無機膜109は、補助配線105に電気的に接続される部分の電子注入層110の劣化を抑制する目的で形成するものである。したがって、電子注入層110のうち、開口部113の開口側面に形成されている電子注入層110を樹脂隔壁層107から隔離することで、電子注入層110の劣化を有効に抑制することができる。そのため、無機膜109は、樹脂隔壁層107における画素電極104上方の開口部112ではなく、補助配線105上方に形成された開口部113の開口側面に設けられている。
【0056】
画素電極104上方の開口部112の開口側面に無機膜109を形成していないもう一つの理由としては、次のことが挙げられる。有機発光層108を形成する工程においては、有機発光層材料と溶媒とを含むインクを画素電極104上方の開口部112内で良好に保持する必要があるため、樹脂隔壁層107は撥水性を有する材料で形成されている。有機発光層108形成領域である、開口部112の開口側面の撥水性を損なわないようにするために、開口部112の開口側面には無機膜109を形成していない。
【0057】
本実施の態様においては、無機膜109が補助配線105上方の開口部113の開口側面から樹脂隔壁層107の上面に延在していることにより、樹脂隔壁層107の上面の一部領域が無機膜109により被覆されている。このようにすることで、開口部112と開口部113との間に相当する樹脂隔壁層107の上面付近から発生したアウトガスにより、この付近に存在する電子注入層110が劣化するのを抑制することができる。その結果、この付近の電子注入層110の劣化が、開口部113の開口側面に形成されている(補助配線105に電気的に接続される部分の)電子注入層110にまで進行することを防止できる。
【0058】
さらに、
図2(a)に示すように、無機膜109が補助配線105上方の開口部113の開口側面から正孔注入層106の上面(給電層の上面)に延在していることにより、樹脂隔壁層107の端部107aが無機膜109により被覆されている。これにより、有機EL表示パネル10の製造工程において、無機膜109が成膜される位置が製造誤差でずれた場合であっても、樹脂隔壁層107の端部107aが電子注入層110と接触することを防止することが可能である。
【0059】
無機膜109の膜厚は、樹脂隔壁層107からのアウトガスを遮断できるような膜厚であれば特に限定されるものではないが、例えば、10〜200[nm]程度とすることができる。
【0060】
<電子注入層110>
樹脂隔壁層107、有機発光層108および無機膜109を覆うように、電子注入層110が形成されている。電子注入層110は機能層に相当する。電子注入層110は、共通電極111から有機発光層108への電子の注入を促進させる目的で設けられているものであるため、電子注入層110は画素電極104上方の開口部112内にて有機発光層108と接している。電子注入層110は、補助配線105上方の開口部113に露出した正孔注入層106と電気的に接続されるように形成されている。
【0061】
ここで、「電子注入層110が正孔注入層106と電気的に接続されるように形成されている」には、電子注入層110と正孔注入層106とが直接接触している場合と、電子注入層110と正孔注入層106との間に導電性材料が介挿されている場合とが含まれる。無機膜109に用いる材料が非導電性である場合には、
図2(a)に示すように、電子注入層110と正孔注入層106とが直接接触している、すなわち、無機膜109が正孔注入層106の上方で分断されている必要がある。無機膜109に用いる材料が導電性である場合には、必ずしも電子注入層110と正孔注入層106とが直接接触している必要はなく、両層の間に例えば無機膜109等の導電性材料が介挿されていてもよい。
【0062】
電子注入層110の材料には、電子注入性を有する有機材料にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を混合させたものが用いられている。本実施の態様においては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属としてバリウム(Ba)が用いられている。また、電子注入性に優れる有機材料としては、例えば、特開平5−163488号公報に記載のニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェキノン誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラキノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリノン誘導体、キノリン錯体誘導体等を用いることができる。
【0063】
<共通電極111>
電子注入層110の上には、その全面に亘って共通電極(陰極)111が形成されている。有機EL表示パネル10はトップエミッション型であるため、共通電極111には前述したITO、IZO等の透光性の導電材料が用いられている。
【0064】
<その他>
共通電極111の上には、有機発光層108が水分や空気等に触れて劣化することを抑制する目的で封止層が設けられる。有機EL表示パネル10はトップエミッション型であるため、封止層の材料としては、例えば、SiN、SiON等の光透過性材料が採用されている。
【0065】
[各種実験と考察]
上述したように、樹脂隔壁層107と電子注入層110の間には無機膜109が介挿されている。この無機膜109により電子注入層110の経時的劣化を抑制できるという知見は、以下の実験により得られた。
【0066】
<実験用デバイス>
具体的には、
図3(a),(b)に示す実験用デバイスを作成し、各種実験を行った。
【0067】
図3(a),(b)は、それぞれ実験用デバイスA,Bの構成を示す部分断面図である。
図3(a)に示す実験用デバイスAは、補助配線201、正孔注入層204、樹脂隔壁層205、電子注入層206、共通電極207、封止層208、封止缶209を有する。補助配線201として、ACL(アルミニウムとコバルトとランタンの合金)層202とIZO層203の積層構造を採用し、ACL層202の膜厚を200[nm]、IZO層203の膜厚を16[nm]とした。正孔注入層204として、酸化タングステン(WOx、xは概ね2<x<3の範囲における実数である。)を用い、その膜厚を5[nm]とした。樹脂隔壁層205としてアクリル系樹脂を用い、その膜厚を1[μm]とした。電子注入層206としては、電子注入性を有する有機材料にバリウムを混合したものを用い、その膜厚を35[nm]とした。なお、バリウムは10[重量%]である。共通電極207にはITOを用い、その膜厚を35[nm]とした。封止層208としてSiNを用い、その膜厚を620[nm]とした。
【0068】
図3(b)に示す実験用デバイスBは、
図3(a)に示す実験用デバイスAにおける樹脂隔壁層205を、SiNからなる無機隔壁層210に置換したものである。(以下、樹脂隔壁層205および無機隔壁層210を総じて、単に「隔壁層」と記載する。)
<実験結果>
図4は、
図3に示す実験用デバイスA,Bにおける、電子注入層206を形成する前の隔壁層に対し所定の処理を施した場合の、補助配線201と共通電極207間のコンタクト抵抗[Ω]を測定した結果を示す表である。
【0069】
entry1〜7では実験用デバイスAを、entry8では実験用デバイスBをそれぞれ用いた。また、隔壁層に対し行った所定の処理とは、具体的にはUV照射処理、窒素雰囲気下でのベーク、および真空下でのベークである。
図4の表において、UV照射処理におけるUV照射時間を「UV照射時間」の行に、窒素雰囲気下でのベークにおけるベーク温度およびベーク時間を「N
2雰囲気下ベーク」の行に、真空下でのベークにおけるチャンバー内の圧力、ベーク温度、およびベーク時間「真空ベーク」の行にそれぞれ示している。なお、「UV照射時間」、「N
2雰囲気下ベーク」、および「真空ベーク」の行において「−」と記されているentryでは、対応する処理は行っていない。
【0070】
そして、各実験用デバイスにおいて、隔壁層に対し上記の処理を行ったのち電子注入層206、共通電極207、封止層208、封止缶209を形成してから24時間後に、補助配線201と共通電極207間のコンタクト抵抗[Ω]を測定した。
【0071】
entry1では、隔壁層に対して90[sec]間のUV照射処理、および窒素雰囲気下でのベークを行っているが、これらの処理はいずれも通常の隔壁層の製造工程に含まれるものである。つまり、entry1の処理を行った隔壁層が、標準状態の隔壁層である。なお、90[sec]間のUV照射処理は、樹脂隔壁層を構成する絶縁性の有機材料を取り除く目的で行われるものであり、窒素雰囲気下でのベークは、樹脂隔壁層を焼成するために行われるものである(詳細は、後述する[製造方法]の項を参照されたい。)。
【0072】
entry2の結果より、UV照射処理および窒素雰囲気下でのベークを行わない場合、entry1と比較してコンタクト抵抗が増大した。また、entry3の結果より、窒素雰囲気下でのベークを行わずに、90[sec]間のUV照射処理のみを行った場合のコンタクト抵抗は、entry1からあまり変化がなかった。さらに、entry4,5の場合のようにUV照射処理の時間を180,300[sec]と長くしても、コンタクト抵抗の減少は見られず、entry4に至ってはコンタクト抵抗が10倍以上に増大した。entry6のように、UV照射処理を180[sec]行い、かつ窒素雰囲気下でのベークを行っても、コンタクト抵抗の減少は見られなかった。
【0073】
しかしながら、entry7のように、180[sec]間のUV照射処理に加え、真空下でのベークを行うことで、コンタクト抵抗を100[kΩ]以下(
図4において二点鎖線で示したライン以下)にまで減少することが分かった。さらに、entry8のように、絶縁性の有機材料からなる樹脂隔壁層205に代えて、SiNからなる無機隔壁層210とした場合には、窒素雰囲気下でのベークおよび真空下でのベークを行わなくても、コンタクト抵抗を100[kΩ]以下にすることができた。
【0074】
entry3とentry8との違いは、隔壁層の材料のみである。つまり、隔壁層の材料を有機材料から無機材料に変更することで、コンタクト抵抗を減少させることができた。このことより、樹脂隔壁層の材料である有機材料が、補助配線201と共通電極207間に介在する層であって、樹脂隔壁層205と接触している層、すなわち、正孔注入層204および電子注入層206の少なくとも一方の層に影響を及ぼしていると推察される。
【0075】
さらに、entry6,7の結果より、ベーク処理を行う条件を窒素雰囲気下から真空下に変更することで、コンタクト抵抗が減少した。このことより、本発明者は、有機材料からアウトガスが、正孔注入層204および電子注入層206の少なくとも一方の層に影響を及ぼしていると推察した。この理由として、アウトガスは樹脂隔壁層205が加熱されることでその放出が促進されるが、真空下でベーク処理を行うことでアウトガスがさらに放出が促進されたものと考えた。そして、60[min]間の真空ベーク終了後には、樹脂隔壁層205内に存在するアウトガスが放出されきったため、真空ベーク終了後には、正孔注入層204および電子注入層206の少なくとも一方の層に対してさほど影響を及ぼさなかったと推察される。
【0076】
次に、正孔注入層204、電子注入層206に用いている材料について見てみる。正孔注入層204の材料としては、化学的に安定な(化学反応を起こしにくい)酸化タングステンが用いられている。なお、酸化タングテンに限らず、上記で挙げた他の材料も同様に化学的に安定な性質を有する。一方、電子注入層206には、化学的に活性で化学反応を起こし易いバリウムが混合されている。これも、バリウムに限られず、アルカリ金属およびアルカリ土類金属一般に言える性質である。ここで、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物等の化合物を形成するが、いずれの化合物も金属単体と比較して電気抵抗が高いことが一般的に知られている。
【0077】
以上のことより、本発明者は、従来の有機EL表示パネルにおいては、電子注入層に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属が、樹脂隔壁層から発生するアウトガスに含まれる水分や有機物質と反応する、すなわち電子注入層が劣化すると考えた。そして、電子注入層が劣化することで電子注入層の電気抵抗が上昇し、その結果、補助配線と共通電極間のコンタクト抵抗が上昇すると推察した。これは電子注入層にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている場合に限られず、電子注入層を構成する材料が易酸化性または吸湿性の少なくとも一方を有している場合に起こる問題である。
【0078】
そこで、本発明者は、
図2(a)に示すように、補助配線105上方における樹脂隔壁層107の開口部113の開口側面と電子注入層110との間に無機膜109を介挿することで、アウトガスによる電子注入層110の劣化を抑制するという発明を考案するに至った。
【0079】
なお、上記の実験結果(entry3とentry8との比較)より、無機材料が電子注入層110に対して悪影響を及ぼすことはないと考えられる。したがって、樹脂隔壁層107と電子注入層110との間に介挿された無機膜109も同様に、電子注入層110に対して悪影響を及ぼすことはないと考えられる。
【0080】
[製造方法]
<第1例>
図5〜7は、実施の態様1に係る有機EL表示パネル10の製造方法の第1例を示す断面図である。
【0081】
まず、
図5(a)に示すように、TFT基板102上に層間絶縁膜103を形成することで基板101を準備する。
【0082】
次に、層間絶縁膜103上に導電性材料からなる薄膜を成膜する。この薄膜の成膜には、スパッタリング法や真空蒸着法などの真空成膜法を用いることができる。薄膜の成膜後、フォトリソグラフィでパターニングすることにより、
図5(b)に示すように、画素電極104と、それに離間した補助配線105を形成する。本実施の態様においては、画素電極104と補助配線105とが同一材料で構成されているため、これらを同一工程内で形成することができる。このようにすることで、画素電極104とは別個に補助配線105を形成する必要がないため、製造工程数を削減することができる。
【0083】
続いて、
図5(c)に示すように、基板101、画素電極104および補助配線105の上面の全体に亘って、正孔注入層106を成膜する。正孔注入層106の成膜には、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法などの真空成膜法を用いることができる。
【0084】
次に、正孔注入層106上に絶縁性の有機材料からなる隔壁材料層を形成する。隔壁材料層の形成は、例えば塗布等により行うことができる。その後、隔壁材料層上に所定形状の開口部を持つマスクを重ね、マスクの上から感光させた後、余分な隔壁材料層を現像液で洗い出す。これにより隔壁材料層のパターニングが完了する。これにより、
図5(d)に示すように、画素電極104の上方および補助配線105の上方に、それぞれ開口部112,113を有する樹脂隔壁層107が形成される。この後、樹脂隔壁層107に対しUV照射処理を行うことで、開口部112,113に露出した正孔注入層106上に存在する絶縁性有機材料の残渣を取り除いた後、窒素雰囲気下でベークすることにより樹脂隔壁層107を焼成する。
【0085】
ここで、樹脂隔壁層107を窒素雰囲気下でベークする代わりに、真空下でベークを行うこととしてもよい。このようにすることによって、焼成終了後に樹脂隔壁層107から発生するアウトガスの量を大幅に減少させることができる。結果として、電子注入層110における経時的劣化の抑制に万全を期すことができる。
【0086】
続いて、
図6(a)に示すように、画素電極104上方の開口部112に、例えば、インクジェット法により有機発光層108を形成する。具体的には、R,G,Bいずれかの色に対応する有機材料と溶媒を含むインクを開口部112に滴下し、溶媒を蒸発乾燥させることにより形成する。
【0087】
有機発光層108の形成後、無機膜109(
図2(a))の形成が予定された領域に対応する部分に開口が設けられたマスク114を重ね、マスク114の上方から、無機膜109を構成する無機材料を蒸着させる(
図6(b))。この結果、樹脂隔壁層107の開口部113の開口側面と、開口部112と開口部113との間に相当する樹脂隔壁層107の上面に無機膜109が形成される(
図6(c))。
【0088】
ここで、樹脂隔壁層107は、上記第1および第2の目的に加え、第3に、有機発光層108を形成する際(
図6(a))、異なる色に対応する有機材料を含むインクが互いに混入することを防止する目的で形成されている。例えば、Rに対応する有機材料を含むインクが開口部112R(
図2(b))を乗り越えて、隣接する開口部112Gに流入することを防ぐ機能を有する。このため、有機発光層108を形成する工程においては、開口部112の間に相当する樹脂隔壁層107の上面が撥液性を有していることが望ましい。
【0089】
そこで、本製造方法においては、
図6に示すように、有機発光層108を形成した後、無機膜109を形成することとしている。すなわち、樹脂隔壁層107を形成した次の工程で有機発光層108を形成している。したがって、樹脂隔壁層107を形成した次の工程で先に無機膜109を形成する場合と比較して、有機発光層108形成時における撥液性を損なわないようにすることができる。
【0090】
次に、樹脂隔壁層107、有機発光層108および無機膜109を覆うように、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法などの真空成膜法により、電子注入層110を形成する。このとき、補助配線105上方の開口部113内にて正孔注入層106と接するように電子注入層110を形成する(
図7(a))。
【0091】
そして、電子注入層110の上面全体に亘って、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法などの真空成膜法により、共通電極111を成膜する(
図7(b))。以上の工程を経ることで、有機EL表示パネル10が完成する。
【0092】
<第2例>
図8,9は、実施の態様1に係る有機EL表示パネル10の製造方法の第2例を示す断面図である。
図5〜7に示した第1例との違いは、無機膜109の形成方法である。
【0093】
樹脂隔壁層107を形成する工程までは、第1例(
図5)と同じである。樹脂隔壁層107を形成する工程を終えた後、
図8(a)に示すように、基板101の上方全体に亘って、無機膜109を構成する無機材料からなる層115を形成する。
【0094】
次に、
図8(b)に示すように、無機膜109の形成が予定された領域に感光性のレジスト116を塗布したのち露光する。本製造方法におけるレジスト116はいわゆるネガ型である。そして、無機材料からなる層115のうち感光しなかった部分(レジスト116が形成されなかった部分)を現像液で洗い出すことにより、無機膜109の形成が予定された領域を除く部分を除去する。これにより、無機膜109がパターニングされる(
図9(a))。
【0095】
その後、
図6(a)で説明した方法に基づき、画素電極104上方の開口部112に有機発光層108を形成する(
図9(b))。以降の製造工程は、第1例と同様である。
【0096】
≪実施の態様2≫
無機膜を構成する材料として、電子注入層を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有する材料を用いた場合には、樹脂隔壁層からのアウトガスによる電子注入層の劣化を、実施の態様1と比較してより効率的に抑制することが可能である。
【0097】
[構成]
本実施の態様における有機EL表示パネルの構成は、
図2に示すものと同様である。実施の態様1で無機膜109の材料として挙げたもののうち、アルミニウム(Al),銀(Ag),銅(Cu),マグネシウム(Mg)は、電子注入層110を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有している。すなわち、これらの材料は電子注入層110を構成している材料よりも、酸素または水分により酸化されやすい。無機膜109として電子注入層110を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有する材料を用いることにより、樹脂隔壁層107からのアウトガスが電子注入層110に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属と反応する前に、無機膜109の方がアウトガスと反応することになる。
【0098】
したがって、無機膜109を構成する材料を、電子注入層110を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有するものとすることで、電子注入層110と樹脂隔壁層107と物理的に隔離する(非接触とする)ことに加え、樹脂隔壁層107で発生したアウトガスを無機膜109において吸着することもできる。したがって、アウトガスから電子注入層110をより確実に保護することが可能である。
【0099】
無機膜109においてアウトガスを吸着する効果を得るためには、無機膜117の膜厚を3[nm]以上とすることが望ましい。このようにすることにより、無機膜117をピンホールのない連続膜とすることが可能である。仮にピンホールが存在してしまうと、アウトガスがこのピンホールを介して電子注入層110に浸入するおそれが生じる。
【0100】
上述した効果を得るためには、無機膜109が電子注入層110を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有していればよく、上記の金属材料に限定されるものではない。また、導電性の有無についても不問である。
【0101】
また、無機膜109を構成する材料は、必ずしも電子注入層110を構成する材料よりも高い易酸化性および吸湿性の両方を有している必要はない。電子注入層110を構成する材料が易酸化性を有している場合には、電子注入層110を構成する材料よりも高い易酸化性を有していればよく、電子注入層110を構成する材料が吸湿性を有している場合には、電子注入層110を構成する材料よりも高い吸湿性を有していればよい。
【0102】
なお、本実施の態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、実施の態様1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0103】
[各種実験と考察]
<実験用デバイス>
図10(a),(b),(c)に示す実験用デバイスを作成し、各種実験を行った。
【0104】
図10は、実験用デバイスC,D,Eの構成を示す断面図である。なお、
図3で説明した実験用デバイスA,Bと同じ層には同符号を付して説明を省略する。
【0105】
図10(a)に示す実験用デバイスCは、補助配線201、正孔注入層204、樹脂隔壁層205、電子注入層211、共通電極212、封止層208、封止缶209を有する。電子注入層211はバリウム層であり、その膜厚を5[nm]とした。共通電極212はアルミニウム層であり、その膜厚を120[nm]とした。
【0106】
図10(b)に示す実験用デバイスDは、
図10(a)に示す実験用デバイスCにおける樹脂隔壁層205と電子注入層211との間に無機膜213を介挿したものである。無機膜213はアルミニウム層であり、その膜厚を200[nm]とした。
【0107】
図10(c)に示す実験用デバイスEは、
図3(a)に示す実験用デバイスAにおける樹脂隔壁層205と電子注入層206との間に無機膜213を介挿したものである。無機膜213は実験用デバイスDと同じく、膜厚が200[nm]のアルミニウム層である。
【0108】
<実験結果>
図11は、
図10に示す実験用デバイスC,Dにおける補助配線201と共通電極212間のコンタクト抵抗、および実験用デバイスEにおける補助配線201と共通電極207間のコンタクト抵抗を測定した結果を示す表である。
【0109】
entry9,10では実験用デバイスCを、entry11では実験用デバイスBを、entry12では実験用デバイスEをそれぞれ用いた。また、
図11の表における、「真空ベーク」の行には真空ベーク処理の有無を記載している。真空ベーク処理の条件は、
図4におけるものと同条件である。「電子注入層の材料」,「無機膜」,「共通電極の材料」の行には、構成材料ならびに膜厚を記載している。なお、実験用デバイスCは無機膜213を含まないため、entry9,10における「無機膜」の行には「−」と記している。
【0110】
各実験用デバイスを形成してから24時間後に、補助配線201と共通電極212との間(実験用デバイスC,D)、または補助配線201と共通電極207との間(実験用デバイスE)のコンタクト抵抗[Ω]を測定した。
【0111】
entry10とentry11との違いは、無機膜213の有無である。無機膜213を樹脂隔壁層205と電子注入層211の間に介挿することにより、コンタクト抵抗の値が100[kΩ]以下にまで低下することが分かった。また、entry10においては、電子注入層211の上方に共通電極212としてのアルミニウム層が形成されているものの、コンタクト抵抗は100[kΩ]を超えている。このことより、樹脂隔壁層205と電子注入層211の間に無機膜213を形成することが、コンタクト抵抗の減少には効果的であることがわかる。ここで、
図11の各entryに示すコンタクト抵抗の値は、同じ実験用デバイス内6地点におけるコンタクト抵抗値をそれぞれ示したものである。entry11においては、entry10と比較して実験用デバイス内におけるコンタクト抵抗値のバラツキも抑制されることがわかった。
【0112】
entry12(実験用デバイスE)と
図4におけるentry1〜7(
図3(a)の実験用デバイスA)との違いは、無機膜213の有無である。樹脂隔壁層205と電子注入層206の間に無機膜213が介挿されていることにより、entry11と同じくコンタクト抵抗が100[kΩ]以下に低下し、また、コンタクト抵抗値のバラツキも抑制されていることがわかった。
【0113】
また、entry11とentry12との違いは、電子注入層の材料および共通電極の材料である。entry11とentry12との比較により、樹脂隔壁層205と電子注入層206の間に無機膜213が介挿されていれば、電子注入層の膜厚、電子注入性を有する有機材料の有無および共通電極の材料に関わらず、コンタクト抵抗の低減効果が得られることがわかった。
【0114】
さらに、entry9とentry10との違いは、真空ベーク処理の有無である。この比較より、実施の態様1におけるentry6とentry7との比較と同様に、真空ベーク処理を行った方がコンタクト抵抗の値は低下する。しかしながら、entry11,12では真空ベーク処理を行っていないものの、樹脂隔壁層205と電子注入層206の間に無機膜213を介挿することで、真空ベーク処理を行った場合よりもコンタクト抵抗値が低下することがわかった。したがって、樹脂隔壁層205と電子注入層206の間に無機膜213を介挿した場合には、真空ベーク処理を行わなくとも、十分な低さのコンタクト抵抗が得ることができる。
【0115】
以上説明したように、無機膜の材料として、封止性に優れかつ電子注入層を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有するものとすることにより、アウトガスの電子注入層への悪影響をより効果的に低減することができる。この結果、電子注入層の経時的劣化をより効率的に抑制することが可能となる。
【0116】
≪実施の態様3≫
無機膜を構成する材料として、導電性材料を用いた場合には、補助配線上方の開口部において、共通電極と補助配線との間の電気的特性の向上を図ることが可能である。
【0117】
[構成]
図12は、実施の態様3に係る有機EL表示パネル100の構造を示す部分断面図である。
図12において、実施の態様1,2と同じ構成には同符号を付しており、また本実施の態様においての説明は省略する。
【0118】
有機EL表示パネル100において、
図2(a)に示す有機EL表示パネル10と異なる部分は、無機膜117の構成である。実施の態様1における無機膜109は、導電性であるか、または非導電性であるかを問わなかった。これに対し、本実施の態様における無機膜117は導電性材料で構成されている。実施の態様1で挙げた無機膜の材料のうち導電性のものは、アルミニウム,銀,銅,マグネシウム、ITO、IZOである。
【0119】
図12に示すように、本実施の態様における無機膜117は、補助配線上方における樹脂隔壁層107の開口部113の開口側面と電子注入層110との間に介挿されている。また、無機膜117は、補助配線上方における樹脂隔壁層107の開口部113の開口側面から樹脂隔壁層107の上面に延在している。これらの点は、
図2(a)に示すものと同じである。さらに、本実施の態様においては、補助配線上方の開口部113に露出した正孔注入層106を覆うように、無機膜117が補助配線上方における樹脂隔壁層107の開口部113の開口側面から正孔注入層106の上面に延在している。
【0120】
なお、実施の態様1で述べたように、無機膜117が導電性材料で構成されている場合には、無機膜117は正孔注入層106の上方で分断されている必要はない。換言すると、電子注入層110と正孔注入層106が直接接触している必要はない。実際、本実施の態様においては両層の間に無機膜117が介挿されている。
【0121】
無機膜117を導電性材料とする場合、無機膜117の膜厚は樹脂隔壁層107からのアウトガスを遮断でき、かつ、有機EL表示パネル製造の効率化の妨げとならないような膜厚であれば特に限定されず、例えば10〜200[nm]程度である。ここで、無機膜117の膜厚を200[nm]程度とすることで、以下に説明するような効果が期待できる。
【0122】
無機膜が非導電性材料で構成されている場合には、共通電極111と補助配線105との電気的接続は、開口部113内に形成された無機膜同士の隙間においてなされる。一方、本実施の態様のように無機膜117が導電性材料で構成されている場合には、補助配線上方の開口部113周辺の樹脂隔壁層107上に形成されている無機膜117も補助配線105と同電位となる。したがって、無機膜117が導電性材料で構成されている場合には、非導電性材料で構成されている場合と比較して、実質的に共通電極111と補助配線105との電気的な接触面積を拡大することができる。
【0123】
実質的に共通電極111と補助配線105との電気的な接触面積が拡大することにより、共通電極111を構成する材料として、無機膜を非導電性材料で構成する場合と比較して多少電気抵抗値が高いものを用いたとしても、有機EL表示パネルの中央領域における電圧降下はさほど問題にはならない。このため、本実施の態様のように、有機EL表示パネル100をトップエミッション型とする場合、電気抵抗値は多少高いものの、光透過性が高い材料を共通電極111の材料として選択することが可能になる。すなわち、共通電極111の材料選択に自由度を持たせる、特に、光学特性を重視した材料選択を行うことが可能となる。
【0124】
以上説明したように、本実施の態様によれば、電子注入層を樹脂隔壁層のアウトガスから遮断する効果に加え、補助配線と共通電極との間の電気的特性を向上させる効果を得ることができる。
【0125】
なお、実施の態様2で説明したように、無機膜を構成する材料を、導電性に加え、電子注入層を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有する材料とすることも可能である。このようにすることで、本実施の態様で説明した効果に加え、樹脂隔壁層で発生したアウトガスを無機膜において吸着するという効果も得ることができる。導電性であり、かつ、電子注入層を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有する材料としては、例えば、実施の態様1で挙げたアルミニウム、銀、銅、マグネシウム等がある。
【0126】
[製造方法]
図13は、実施の態様3に係る有機EL表示パネル100の製造方法の第1例を示す断面図である。
【0127】
有機発光層108を形成する工程までは
図5(a)〜
図6(a)と同様である。
図13(a)に示すように、無機膜117(
図12)の形成が予定された領域に対応する部分に開口が設けられたマスク118を重ねる。そして、マスク118の上方から、無機膜117を構成する無機材料を蒸着させる。この結果、樹脂隔壁層107の開口部113の開口側面、開口部113に露出した正孔注入層106の上面、および開口部112と開口部113との間に相当する樹脂隔壁層107の上面に無機膜117が形成される(
図13(b))。この後の電子注入層110、共通電極111を形成する工程は
図7で説明した通りである。
【0128】
図14は、実施の態様3に係る有機EL表示パネル100の製造方法の第2例を示す断面図である。
図13に示した第1例との違いは、無機膜117の形成方法である。
【0129】
樹脂隔壁層107を形成する工程までは、
図5と同じである。
図14(a)に示すように、基板101の上方全体に亘って、無機膜117を構成する無機材料からなる層119を形成する。次に、
図14(b)に示すように、無機膜117の形成が予定された領域にネガ型の感光性レジスト120を塗布したのち露光する。そして、無機材料からなる層119のうち感光しなかった部分を現像液で洗い出すことにより、無機膜117の形成が予定された領域を除く部分を除去する。これにより、
図14(c)に示すように、無機膜117がパターニングされる。この後、実施の態様1で説明した方法に基づき、有機発光層108、電子注入層110および共通電極111を形成することにより、有機EL表示パネル100が完成する。
【0130】
[変形例・その他]
以上、実施の態様について説明したが、本発明は上記の実施の態様に限られない。例えば、以下のような変形例等が考えられる。
【0131】
(1)上記の実施の態様1においては、開口部113の開口側面、開口部112と開口部113との間に相当する樹脂隔壁層107の上面および補助配線105上方の正孔注入層106上に無機膜109が形成されていることとしたが(
図2(a))、本発明はこれに限定されない。
【0132】
図15は、実施の態様1の変形例に係る有機EL表示パネルの構造を示す部分断面図である。
図15(a)に示す有機EL表示パネル10Aのように、開口部113の開口側面のみに無機膜109Aが形成されていることとしてもよい。また、
図15(b)に示す有機EL表示パネル10Bのように、開口部113の開口側面および補助配線105上方の正孔注入層106上のみに無機膜109Bが形成されていることとしてもよい。さらに、
図15(c)に示す有機EL表示パネル10Cのように、開口部113の開口側面および開口部112と開口部113との間に相当する樹脂隔壁層107の上面のみに無機膜109Cが形成されていることとしてもよい。
【0133】
最低限、補助配線105と共通電極111との主な接続領域となる、開口部113の内に形成されている電子注入層110の劣化を抑制することができれば、補助配線105と共通電極111間のコンタクト抵抗の経時的な上昇を抑制することが可能である。したがって、有機EL表示パネル10A,10B,10Cのような構成であっても、補助配線105と共通電極111間のコンタクト抵抗の経時的な上昇を抑制することができる。
【0134】
(2)上記の実施の態様3においては、無機膜117が開口部113の開口側面と、開口部112と開口部113との間に相当する樹脂隔壁層107の上面に形成されていた。さらに、無機膜117は開口部113に露出した正孔注入層106を覆うように形成されていることとしたが(
図12)、本発明はこれに限定されない。
【0135】
図16は、実施の態様3の変形例に係る有機EL表示パネルの構造を示す部分断面図である。
図16(a)に示す有機EL表示パネル100Aのように、開口部113の開口側面のみに無機膜117Aが形成されていることとしてもよい。また、
図16(b)に示す有機EL表示パネル100Bのように、無機膜117Bが開口部113に露出した正孔注入層106を完全に覆っていない、すなわち、正孔注入層106上で無機膜117Bが分断されていることとしてもよい。
【0136】
さらに、
図16(c)に示す有機EL表示パネル100Cのように、開口部113の開口側面および開口部113に露出した正孔注入層106のみを覆うように無機膜117Cが形成されていることとしてもよい。そして、
図16(d)に示す有機EL表示パネル100Dのように、開口部113の開口側面および開口部112と開口部113との間に相当する樹脂隔壁層107の上面のみに無機膜117Dが形成されていることとしてもよい。
【0137】
変形例(1)と同様に、本変形例においても最低限、開口部113の内に形成されている電子注入層110の劣化を抑制することができれば、補助配線105と共通電極111間のコンタクト抵抗の経時的な上昇を抑制することが可能である。
【0138】
(3)上記の実施の態様では、補助配線と共通電極との接続領域において樹脂隔壁層と電子注入層とを隔離する隔離膜として、無機材料からなる無機膜を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。隔離膜は、封止性に優れるとともにアウトガスを発生せず、かつ、電子注入層を劣化させるおそれのない材料で形成されていればよく、実施の態様のような無機膜である必要はない。
【0139】
(4)上記の実施の態様においては、
図2(b)に示すように、補助配線105が1画素毎に(R,G,Bの3つのサブピクセル毎に)1本、Y方向に延伸して形成されている構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、サブピクセル毎にY方向に延伸して形成されていることとしてもよいし、1画素毎にX方向に延伸して形成されていることとしてもよいし、サブピクセル毎にX方向に延伸して形成されていることとしてもよい。さらに、1画素毎にまたはサブピクセル毎に、XY方向に格子状に形成されていてもよい。
【0140】
(5)本発明において、正孔注入層およびITO層(またはIZO層)は必須の構成要件ではない。正孔注入層およびITO層(またはIZO層)が設けられていない場合には、実施の態様における補助配線105のみが本発明の給電層に相当する。
【0141】
また、上記の実施の態様においては、正孔注入層が基板の上方を覆うように全面に形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、画素電極上および補助配線上のみに形成されていることとしてもよいし、画素電極上のみに形成されていることとしてもよい。また、画素電極(または補助配線)の側面および上面のみを覆うように形成されていることとしてもよい。
【0142】
(6)上記の実施の態様においては、
図2(a)に示すように、画素電極104と補助配線105とが同層に形成されている構成としたが、本発明の適用はこのような構成の有機EL表示パネルに限定されない。例えば、樹脂隔壁層の上面とその上方に形成された電子注入層の間に補助配線105が形成されているような構成でも、樹脂隔壁層と電子注入層とが接して形成されているため、上記の課題は発生し得る。このような構成に対し、樹脂隔壁層の上面と電子注入層との間に無機膜を形成することで、同様に課題の解決を図ることができる。すなわち、本発明は、樹脂隔壁層と電子注入層とが接して形成されている有機EL表示パネルに対し、広く適用することが可能である。
【0143】
また、変形例(5)において述べたように、正孔注入層が本発明の必須の構成要件でない。これに対応して、従来の有機EL表示パネル90においても、正孔注入層904が課題の発生に不可欠な構成ではない。
【0144】
(7)実施の態様1において、電子注入層を構成する材料が易酸化性または吸湿性の少なくとも一方を有している場合に、コンタクト抵抗が経時的に上昇する課題が発生することを述べた。しかし、電子注入層全体が易酸化性または吸湿性の少なくとも一方を有している場合だけでなく、電子注入層における少なくとも樹脂隔壁に接している領域を構成している材料がこれらの性質を有していれば、上記の課題は発生し得る。すなわち、本発明は、易酸化性または吸湿性の少なくとも一方を有している領域が、電子注入層における樹脂隔壁に接している領域のみであっても適用することができるものである。
【0145】
(8)実施の態様2で述べた効果を得るためには、無機膜の全体が電子注入層を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有する材料で構成されている必要はない。最低限、無機膜における少なくとも樹脂隔壁に接している領域を構成している材料が、電子注入層を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有していれば、樹脂隔壁層からのアウトガスを吸着する効果を得ることが可能である。
【0146】
なお、無機膜の全体が電子注入層を構成する材料よりも高い易酸化性または吸湿性を有する材料で構成されている場合には、以下のような効果が期待できる。例えば、共通電極側から浸入した水分や酸素により、電子注入層内に含まれるアルカリ金属等が酸化することが考えられる。このような場合であっても、無機膜が電子注入層と接触していることにより、酸化したアルカリ金属等を再度単体のアルカリ金属等に還元することが可能である。
【0147】
(9)本発明における「樹脂隔壁層を形成する工程を終えた基板」には、[1]樹脂隔壁層を形成する工程を終えた基板であって有機発光層を形成する工程前の基板、[2]樹脂隔壁層を形成する工程および有機発光層を形成する工程を終えた基板であって電子注入層を形成する工程前の基板の2つの基板が含まれる。
図5(d)に示す状態の基板は[1]の基板に相当し、
図6(a)に示す状態の基板は[2]の基板に相当する。上記の製造方法の第1例においては、[2]の基板に対し無機膜109を形成しており、第2例においては、[1]の基板に対し無機膜109を形成していることになる。
【0148】
(10)
図6に示す製造工程においては、有機発光層108を形成した後、無機膜109を形成することとしたが、本発明はこれに限定されない。有機発光層108を形成する前に無機膜109を形成することとしてもよい。また、
図8,9に示す製造工程においては、有機発光層108を形成する前に無機膜109を形成することとしたが、本発明はこれに限定されない。有機発光層108を形成したのち、無機膜109を形成することとしてもよい。このことは、
図13,14に示す製造工程でも同様である。
【0149】
(11)上記の実施の態様で示した有機EL表示パネルの製造方法は単なる一例である。真空成膜法を用いて成膜すると説明した層を、例えばインクジェット法等の塗布法によって形成することとしてもよいし、逆に、インクジェット法を用いて成膜すると説明した層を、例えば真空成膜法によって形成することとしてもよい。
【0150】
(12)上記の実施の態様で使用している、材料、数値等は好ましい例を例示しているだけであり、この態様に限定されることはない。また、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。さらに、各図面における部材の縮尺は実際のものとは異なる。なお、数値範囲を示す際に用いる符号「〜」は、その両端の数値を含む。