(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
幼児期あるいは小学生や中学生時代に学習した内容やその本質に触れて得られた知見や感性は、その人の財産として養われ、成人後においても種々の課題に対応する基礎的な能力として重要な役割を果たすことがある。こうした知見や感性は、この時期に義務教育として習得する基礎的な知識等だけではなく、さらに家庭や塾等を通じて、質的にあるいは量的に学習を支援する機会が与えられ、学習者が知得することが多い。また、こうした学習支援は、多くの学習者に対して一律に行われても、各学習者にとって真に効果が上がるものとはいえず、近年、学習者の個性にあった学習支援システムが求められている。具体的には、ユーザ(学習者)の学習意欲を従来よりも刺激することができることを目的として、例えば
図8(A),(B)に示す学習支援システム110等が提案されている(例えば特許文献1参照)。
図8(A)において、学習支援サーバ114は、ユーザの学習状況を示す学習状況データを取得する。学習支援装置112は、
図8(B)に示すように、ユーザの学習状況に応じた学習状況対応画像132、及び、所定の操作の受付に応じてユーザの学習状況に応じた問題が提供される学習開始アイコン画像130と、が含まれる画像を表示部に表示させる。ここで、図中116はコンピュータネットワーク、134は背景画像、136はキャラクタ画像を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来の学習支援システムにおいては、以下のような課題を克服する必要があった。
(i)従前、学習能力を知識習得能力として捉え、その効率的な能力向上を図るために学習状況データを利用することに主眼が置かれ、学習者が一生涯役に立つ総合力を身に付けることができる教材および支援方法が検討がされることが殆どなかった。
(ii)従前の支援方法においては、1の学習単元終了後に、予め用意された複数の学習単元から次の段階の学習単元が設定されることから、リアルタイムに学習中の学習状態に対応した次の段階の学習内容を提供することができなかった。
(iii)また、学習者へのアドバイスを含むフォローアップについて、従前は学習終了後所定時間(日)を経過してから提供されることが殆どであり、学習中の学習状態に対応したフォローアップをリアルタイムに受けることができなかった。
(iv)従前、学習支援システムの課金について予め支援提供者と学習者あるいは保護者等の関係者の間において取り決めされることが多いが、学習者の学習レベルの向上等を含む成果の客観的な基準あるいは学習レベルの客観的な評価基準が明確でないことから、学習支援の成果に対する適正な課金の設定が重要な課題となっていた。
【0005】
そこで、この発明の目的は、こうした要請に対応し、学習者が一生涯役に立つ総合力を身に付けることができる教材を提供し、個別に学習支援することができるような、学習用教材が内蔵された電子出版物および該電子出版物を用いた学習支援システムを提供することにある。また、学習者の研鑚が成果として明確になり評価される学習支援システムを提供することによって、さらに一層支援の効果を上げるとともに、その学習支援の成果に対する適正な課金の設定することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す学習用教材が内蔵された電子出版物および該電子出版物を用いた学習支援システムによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
本発明に係る学習用教材が内蔵された電子出版物(電子機器)は、
オンライン経由でオンラインの一方(回答者側)とオンラインの他方(提供者側)が通信可能で、オンラインの一方(回答者側)の送受信を担う通信部と、
各設問の難易度が設定されて作成された複数の設問およびその正答が、複数の学習用科目または教育用項目に分類されて収容されたデータベースと、
前記設問の中から関連ある設問ごとにグループが設定され、該グループ内において、各設問の難易度から学習レベルが設定されるとともに、難易度の傾斜を設けて選ばれた複数の設問から構成される複数の設問シートが設定される設問設定部と、
前記学習用科目若しくは教育用項目,グループ,設問シートまたは設問のいずれかのアイテムが1または複数表示され、該アイテムの選択および選択された設問に対する回答の入力が可能
で、提供者からの回答に対する判定内容および学習内容のアドバイスを含むフォローアップが表示される表示部と、
該表示部に表示されたアイテムに対する選択および入力が、回答者ごとに、時間情報および入力された回答に対する正答とともに記憶される回答情報部と、
を備え、
回答者が選択した設問シートAにおける設問に回答した場合、該回答および正答が前記表示部に表示されるとともに
前記回答情報部に記憶され、該設問シートAにおける回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間に応じて、同一または異なる難易度の傾斜を有する次なる設問シートBが設定されて該設問シートBに係る前記アイテムが表示され、該設問シートBにおける設問の回答に対して、順次設問シートC,D・・に係る前記アイテムが表示され、各設問シートおける設問に対する回答を入力することが可能なアイテムが表示
されるとともに、前記回答情報部に記憶された1または複数の設問シートについての全回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間に基づくフォローアップ
の材料とされ、
前記設問設定部において回答に対する判定内容が設定され、前記表示部に表示・提供される
とともに、前記回答情報部に記憶された情報(回答情報)が回答者側からオンライン経由でオンラインの他方(提供者側)に送信され、オンライン経由で
前記回答に対する判定内容および学習内容のアドバイスを含むフォローアップが、オンラインの他方
(提供者側)からオンラインの一方
(回答者側)に対して提供
され、前記表示部に表示され、
さらに、予め設問の難易度から該設問の教育学年における学習レベルおよひ時間経過に伴う該学習レベルの向上曲線が設定され、前記回答者の過去および現時点での前記アイテムについての全回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間に基づき、前記回答者に対する現時点での前記判定内容と該回答者の教育学年における学習レベルが対比される
ことを特徴とする。
ここでいう「電子出版物」とは、通信機能を有する電子機器をいい、例えばタブレットやスマートフォンあるいはノートPC等のようなモバイル機器のみならず、卓上PC等の固定式の電子機器を含む。また「難易度の傾斜」とは、同一設問シート内の複数の設問に難易度の相違があることをいい、直線的に順次難易度を上げて設問1〜nを設定する場合にみを意味するものではなく、回答を判定する時に、特定の難易度あるいは特定範囲の難易度における正答率から回答者の学習レベルを評価することができるものをいう。
【0008】
本発明は、上記
電子機器を用いた学習支援システムであって、
該電子出版物において選択された学習用科目若しくは教育用項目,グループ,設問シートまたは設問に係るアイテムについての回答者の入力に対して、
選択された第1設問シートにおける設問の回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間を基に、
第1設問シート中の設問と同レベルの難易度の設問を一部含む第2設問シートの設問の難易度および難易度の傾斜を選定するためのロジック情報が提供され、該ロジック情報に基づき第2設問シートの設問が設定され、順次第3,第4・・の設問シートの設問が設定されるとともに、
選択された各設問シートにおける設問の回答に対する誤答および正答,該設問シートに係る正答率および難易度,および選択された前記アイテムにおける学習レベルが表示され、選択された前記アイテムについての全回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間に基づき、回答者の学習レベルの判定,回答者に対する判定内容および学習内容のアドバイスを含むフォローアップが、前記提供者から前記回答者に対して前記表示部またはオンライン経由で提供されることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記学習支援システムであって、
予め設問の難易度から該設問の教育学年における学習レベルおよび時間経過に伴う該学習レベルの向上曲線が設定されるとともに、前記回答者の過去および現時点での前記アイテムについての全回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間に基づき、前記回答者に対する現時点での判定内容と該回答者の教育学年における学習レベルが対比され、前記回答者の学習レベルの向上速度あるいは該学習レベルと前記教育学年における学習レベルとの乖離度に応じて、
前記提供者が予め設定していた学習レベルの向上速度を超える場合には、ボーナスとして「がんばりポイント」あるいは前記回答者が好ましいと考える景品のプレゼントや支援内容のレベルアップを付与するとともに、前記提供者に対する成果報酬として課金が設定されることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[本発明に係る電子出版物]
本発明に係る学習用教材が内蔵された電子出版物(以下「本出版物」という)10は、
図1に例示するように、設問およびその正答が収容されたデータベース1と、設問シートが設定される設問設定部2と、アイテムの選択および回答の入力が可能な表示部3と、回答者20の選択および回答の入力,時間情報および正答を記憶する回答情報部4と、提供者30から回答者20へのフォローアップが提供可能な通信部5と、を備える。
【0012】
(1)データベース1において、各設問の難易度が設定されて作成された複数の設問およびその正答が、複数の学習用科目または教育用項目に分類されて収容される。また、選択可能なアイテムとして、予め設定された複数の、学習用科目,教育用項目,グループおよび設問シートが収容される。
例えば、学習用科目「算数」またはさらに細目として教育用項目「足し算」に分類された設問が600題収容され、各設問について難易度が設定された状態で収容される。
【0013】
(2)設問設定部2において、設問の中から関連ある設問ごとにグループが設定され、該グループ内において、各設問の難易度から学習レベルが設定されるとともに、難易度の傾斜を設けて選ばれた複数の設問から構成される複数の設問シートが設定される。設定は、予め回答者20の入力に対応して用意されたロジック、または回答者20の入力に対応して通信部5を介して提供されるロジックに基づき行われる。また、回答者20が選択するアイテムに応じてデータベース1に収容されるアイテム,回答時間,後述する復習モードあるいはチャレンジモードが設定され、表示部3に表示される。
例えば、教育用項目「足し算」に設定された設問の中から、グループ「学習レベル小学1年4〜6月期」の問題60題について、6題ずつを難易度順に配列して設問シートAが設定されて表示される。また、設問シートAに対する回答の正否パタ−ンに応じて次に提供される設問シートBが用意されて表示される。復習モードの場合には、再度設問シートAが設定されて表示される。詳細は後述する。
【0014】
(3)表示部3において、学習用科目若しくは教育用項目,グループ,設問シートまたは設問のいずれかのアイテムが1または複数表示される。回答者20は、表示部3において該アイテムの選択および選択された設問に対する回答の入力とともに、双方向の通信機能の窓口として要望や疑問等の入力ができる。このとき、複数の異なるアイテムが同時に表示されることによって素早く入力することが可能となる。また、提供者30からの回答に対する判定内容および学習内容のアドバイスを含むフォローアップが表示される。
例えば、最初に表示された学習用科目「算数」から教育用項目「足し算」を選択し、さらに表示されたグループ「学習レベル小学1年4〜6月期」から選択された設問シートA「2桁の足し算」(例えば
図2に例示される設問シート)が表示され、回答者20は、設問シートAに表示された各設問について、回答入力を行う。また、回答者20が希望する場合には、回答時間や後述する復習モードの設定等フォローアップの時期(例えば1日や1週間等の定時あるいは回答者20の入力による随時等)の設定を入力することが好ましい。
【0015】
(4)回答情報部4において、回答者20ごとに、表示部3に表示されたアイテムに対する選択および入力が、回答に係る時間情報および入力された回答に対する正答とともに記憶される。また、記憶された回答情報部4の情報(以下「回答情報」ということがある)は、通信部5を介して提供者30に送信され、判定あるいはアドバイスを含むフォローアップの材料とされる。
例えば、アイテム「学習用科目」に対する「算数」,アイテム「教育用項目」に対する「足し算」,アイテム「グループ」に対する「小学1年4〜6月期」,アイテム「設問シートA」に対する「2桁の足し算」,アイテム「設問A1・・A6,A7・・」に対する「回答a1・・a6,a7・・」と「正答r1・・r6,r7・・」,および各アイテムの選択あるいは入力された時間が、回答者20ごとの情報として回答情報部4に整理されて記憶される。
【0016】
(5)通信部5において、回答情報が提供者30に送信されるとともに、回答に対する判定内容および学習内容のアドバイスを含むフォローアップが、オンライン経由で回答者20に対して提供される。また、回答者20からの疑問や要望等を提供者30へ送信することによって、双方向の通信機能を確保し、回答者20は、リアルタイムに学習中の学習状態に対応した個別的なフォローアップを受けることができる。
例えば、回答が全て正答の場合、提供者30から判定内容「100点」および学習意欲の刺激となる「がんばりポイント」の付与等のフォローアップが、オンライン経由で回答者20に提供される。不正解が多い場合には、再度同様の設問の復習を行い(復習モード)、その結果を確認した提供者30から、回答者20の弱点およびその克服方法について、個別にフォローアップが提供される。
【0017】
[本発明に係る学習支援システム]
本発明に係る学習支援システム(以下「本システム」ということがある)は、本出版物10,回答者20および提供者30から構成され、上記のような本出版物10の機能を用いることによって、回答者20に対して総合的に学習レベルの向上を図ることができる。具体的に、回答者20は、以下のような学習支援を受けることができる。
【0018】
(1)回答者20は、表示部3において、自己の希望に沿ってアイテム「学習用科目」,「教育用項目」,「グループ」および「設問シート」を選択することができる。
例えば、回答者20が、学習用科目「算数」、教育用項目「足し算」、グループ「学習レベル小学1年4〜6月期」および「設問シートA:2桁の足し算」を選択することによって、設問設定部2において設定された各アイテム(図示せず)や設問シートA(例えば
図2)が表示される。こうして選択されたアイテムは、時間情報とともに回答者20の選択情報として回答情報部4において記憶される。
【0019】
(2)回答者20が、設問シートAに表示された各設問について回答入力を行うことによって、回答内容および正答が表示部3に表示されるとともに、回答情報が、提供者30に送信される。回答に対する判定あるいはアドバイスを含むフォローアップの材料とされる。フォローアップは、各設問シートの回答後あるいは複数の設問シートの回答後のいずれかあるいは両方を選択することができるように設定することが好ましい。客観的な評価を得ることができ、回答者(学習者)20の研鑚が成果として明確になり、生涯役に立ちうる総合的な評価能力を身に付けることができる。
例えば、
図2に例示される設問シートAにおける設問について全て正答の場合、
図3のように回答に対する判定内容「100てん」および「がんばりポイント+10」が付与されたフォローアップが提供されることによって、さらなる学習意欲の刺激となる。不正解が多い場合には、例えば
図4に例示するような短時間の復習を行い、その結果を確認した提供者30から、回答者20の弱点およびその克服方法について、個別にオンライン経由でフォローアップが提供される。「がんばりポイント」は、学習レベルの向上速度や後述するオプショナルな設問シート(チャレンジシート)への挑戦等に付与することによって学習意欲を促すことができる。
【0020】
(3)回答者20が、選択した設問シートAにおける設問をクリアした場合には、設問設定部2において、設問シートAにおける回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間に応じて、同一または異なる難易度の傾斜を有する次なる設問シートBが設定され、表示部3に、設問シートBに係るアイテムが表示される。さらに、設問シートBにおける設問をクリアした場合には、順次設問シートC,D,E・・が設定され、表示部3に、各設問シートに係るアイテムが表示される。回答者20は、各設問シートおける設問に対する回答を入力することが可能となる。
具体的には、例えば
図5(a),(b)に例示されるような、回答に対応した設問シートの設定を挙げることができる。無論このパターンに限定されないことはいうまでもない。
(a−1)設問シートAを1回でクリアした場合(本図では、クリアの基準値が全問正解の場合を例示したが、80%以上等適宜基準値を設定することが可能である)、
(a−2)設問シートBとして、設問シートA中の難易度の高い設問A5,A6と同レベルの難易度の設問B1,B2、およびさらにそれ以上の難易度を有する他の設問が設定される。図のように、設問シートBにおける回答に不正解が多い場合、
(a−3)再度設問シートBによる復習モードが設定される。これをクリアした場合、
(a−4)設問シートCとして、設問シートB中の難易度の高い設問B5,B6と同レベルの難易度の設問C1,C2、およびさらにそれ以上の難易度を有する他の設問が設定される。
さらに、これをクリアした場合、順次設問シートD,E・・が設定され(図示せず)、その回答内容によって回答者20の学習レベルおよびその上昇度を判定することができる。
一方、
(b−1)設問シートAにおける回答に不正解が多い場合、
(b−2)再度設問シートAによる復習モードが設定される。これをクリアした場合、
(b−3)難易度の高い設問シートBが設定される。これをクリアした場合、
(b−4)さらに難易度の高い設問シートCが設定され、その回答内容によって回答者20の学習レベルおよびその上昇度を判定することができる。
これらの回答は、設問シートおよび経過時間とともに回答情報部4に記憶され、提供者30に送信された1または複数の設問シートについての全回答についての、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間に基づき、フォローアップが表示部3またはオンライン経由で回答者20に提供される。
【0021】
(4)回答者20に対するフォローアップには、回答者20の学習レベルの判定,回答者20に対する判定内容および学習内容のアドバイスにとどまらず、回答者20の学習意欲を間接的に促すことも含まれる。また、フォローアップは、本出版物10からだけではなく、通信部5を介してオンライン経由で直接提供者30から受けることができる。リアルタイムに学習中の学習状態に対応し、総合的かつ客観的に判断されたフォローアップを直接受けることによって、より深く学習内容を習得し一生涯役に立つ総合力を身に付けることができる。さらに双方向の通信によって、共通認識をもった現状の課題や今後の学習の進め方についてのアドバイスを含む個別的なフォローアップを受けることができる。
具体的には、
図6に例示するように、予め特定の回答者20用に準備されたグループだけではなく、さらに難易度の高い設問シートあるいは高低幅の大きな設問シートを「チャレンジシート」として設定し、回答者20の選択の幅を広げるとともに、これに対する「がんばりポイント」を付与することによって、学習意欲を促すことができる。また、提供者が予め設定していた学習レベルの向上速度を超える場合には、ボーナスとして「がんばりポイント」を付与することも学習意欲を促すことができる。さらに、こうして付与された「がんばりポイント」を、
図7に例示するフィードバックモードのように、回答者20が好ましいと考える景品のプレゼントや支援内容のレベルアップ(学習レベルの飛び級等)に変換することによって、一層学習意欲を促すことができる。
【0022】
[本システムの態様]
本システムにおいては、
図5に例示するように、選択された第1設問シート(例えば設問シートA)における設問の回答の、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間の情報を基に、第2設問シート(例えば設問シートB)の設問の難易度および難易度の傾斜が設定され、第2設問シートの設問が設定され、順次第3設問シート(設問シートC),第4・・の設問シートの設問が設定される。ここでは、同一難易度の設問に対する正答が複数の場合に該難易度の学習レベルがクリアしたと判定し、当該設問シート内のクリアした設問中最も難易度の高い設問を、次なる設問シートの最も低い難易度の設問として選定するというロジックを例示した。設問シートの選定には、こうしたロジックではなく、例えば接近する難易度の設問を続けて正答した場合に、新たな設問シートを選定するというロジック等種々のロジックの選定が可能である。提供者30は、こうしたロジックを設定する情報(ロジック情報)を、予めオンライン経由で、あるいは回答者20の回答内容を基に判断して、設問設定部2に提供することによって、該ロジック情報に基づき設問シートの設問が設定され、回答者20の学習意欲に対応したタイムリーな設問の提供を行うことができる。
【0023】
また、本システムは、回答者20に対する学習意欲を促し、回答者(学習者)20が一生涯役に立つ総合力を身に付けることができる教材を提供することができると同時に、提供者30に対して、学習支援の成果に対する適正な課金の設定することが可能となる。具体的には、以下のような構成が可能となる。
(1)例えば、各学習科目について「学習指導要綱」を基に、教育学年における学習レベルおよび時間経過に伴う該学習レベルの向上曲線を設定することができる。本システムにおいては、予め設問の難易度から該設問の教育学年における学習レベルおよび時間経過に伴う該学習レベルの向上曲線が設定される。学習レベルの判断基準が設定される。
(2)実際に本システムを用いた回答者20において、その過去および現時点での選択された学習用科目若しくは教育用項目,グループあるいは設問シートについての全回答が、各アイテムに分類されて回答情報部4に記憶される。
(3)こうした回答情報についての、正答率,難易度/正答率および正答率/回答時間を算出し、回答者20に対する現時点での判定内容と回答者20の教育学年における学習レベルを想定することができる。
(4)上記(1)の判断基準となる学習レベルと、上記(3)の想定された回答者20の学習レベルが対比され、回答者20の学習レベルの向上速度あるいは(3)の学習レベルと(1)の学習レベルとの乖離度に応じて、本システムにおける回答者20に対する教育支援の成果を評価することができる。
(5)こうした本システムを用いたことによる客観的な評価は、提供者30の貢献するところであり、これに対する正当な課金の設定が可能となる。
例えば、実学年3年生の回答者20が、6月間で3.5年生の学習レベルの習得を基準とした場合を標準報酬として、本システムによる学習支援によって6月間で6年生の学習レベルとなった場合には、提供者30に対して成果報酬として所定の金額が課金される。提供者30の貢献に応じた客観的な評価がされることによって、より公平かつ効果的な学習支援システムが形成される。