(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232669
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両のステップ構造
(51)【国際特許分類】
B62J 25/00 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
B62J25/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-5045(P2014-5045)
(22)【出願日】2014年1月15日
(65)【公開番号】特開2015-131607(P2015-131607A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】脇田 展孝
(72)【発明者】
【氏名】與倉 康文
(72)【発明者】
【氏名】竹中 寛
(72)【発明者】
【氏名】高野 将美
【審査官】
山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−068554(JP,U)
【文献】
特開昭62−091384(JP,A)
【文献】
実開昭54−041053(JP,U)
【文献】
実開昭52−040455(JP,U)
【文献】
特表2002−526322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車用シート(19)に跨がった乗員の足を載せることを可能としたステップ(24,35)が、車体側に基端部が支持される棒状の芯金具(25)と、該芯金具(25)の少なくとも先端部の下面を露出するようにして前記芯金具(25)の少なくとも上部を覆う弾性体(26)とで構成される鞍乗り型車両のステップ構造において、
前記弾性体(26)が、前記芯金具(25)の前記基端部寄りの全周を覆う筒状部(26a)と、下方を開放した横断面逆U字状に形成されるとともに前記筒状部(26a)の一端下部(26c)を前記芯金具(25)の先端側に臨ませるようにしつつ前記芯金具(25)を上方から覆って前記筒状部(26a)に一体に連設されるカバー部(26b)とを一体に有し、
前記芯金具(25)が、車両の前後方向に沿う前記カバー部(26b)の前部および後部に設けられる一対の係止部(27)に係合する係合部(28)を車両の前後方向に沿う前部および後部に有するとともに、前記筒状部(26a)の前記一端下部(26c)に当接する段部(32)を有し、
前記芯金具(25)に、該芯金具(25)の長手方向に沿う前記弾性体(26)の移動が規制されるようにして前記弾性体(26)が着脱可能に装着されることを特徴とする鞍乗り型車両のステップ構造。
【請求項2】
前記係合部(28)が、車両の前後方向に延びるようにして前記芯金具(25)に一体に形成され、前記係止部(27)が、前記係合部(28)を嵌合させるようにして前記カバー部(26b)の内面から凹んだ凹部として形成されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のステップ構造。
【請求項3】
前記芯金具(25)に、前記係合部(28)の下方で前記芯金具(25)の長手方向に延びる前後2つの嵌合溝(29)が、車両の前後方向に沿う前記カバー部(26b)の前後両側の下部(26d)を上方から嵌合するようにして設けられることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両のステップ構造。
【請求項4】
前記芯金具(25)の先端部に、上方に突出しつつ前記芯金具(25)の先端側に向かう突部(30)が突設され、前記カバー部(26b)の前記筒状部(26a)とは反対側の先端部の内面に前記突部(30)を係合させる係止凹部(31)が形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の鞍乗り型車両のステップ構造。
【請求項5】
前記芯金具(25)の先端側への前記弾性体(26)の移動が、前記筒状部(26a)への前記段部(32)の当接と、前記カバー部(26b)の内面の前記係止部(27)への前記係合部(28)の嵌合と、前記芯金具(25)の先端部の前記突部(30)の前記係止凹部(31)への係合とによって規制されることを特徴とする請求4に記載の鞍乗り型車両のステップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車用シートに跨がった乗員の足を載せることを可能としたステップが、車体側に基端部が支持される棒状の芯金具と、該芯金具の少なくとも先端部の下面を露出するようにして前記芯金具の少なくとも上部を覆う弾性体とで構成される鞍乗り型車両のステップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
芯金具に、弾性体が複数のねじ部材で締結されるようにしてステップが構成されるようにしたものが、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−119856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、弾性体が芯金具に締結されており、部品点数が多くなるだけでなく、締結作業が必要となるので組付け工数も多くなる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数および組付け工数を低減して弾性体を芯金具に取付け得るようにした鞍乗り型車両のステップ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、乗車用シートに跨がった乗員の足を載せることを可能としたステップが、車体側に基端部が支持される棒状の芯金具と、該芯金具の少なくとも先端部の下面を露出するようにして前記芯金具の少なくとも上部を覆う弾性体とで構成される鞍乗り型車両のステップ構造において、前記弾性体が、前記芯金具の前記基端部寄りの全周を覆う筒状部と、下方を開放した横断面逆U字状に形成されるとともに前記筒状部の一端下部を前記芯金具の先端側に臨ませるようにしつつ前記芯金具を上方から覆って前記筒状部に一体に連設されるカバー部とを一体に有し、
前記芯金具が、車両の前後方向に沿う前記カバー部の前部および後部に設けられる一対の係止部に係合する係合部を車両の前後方向に沿う前部および後部に有する
とともに、前記筒状部の前記一端下部に当接する段部を有し、前記芯金具に、
該芯金具の長手方向に沿う前記弾性体の移動が規制されるようにして前記弾性体が
着脱可能に装着されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記係合部が、車両の前後方向に延びるようにして前記芯金具に一体に形成され、前記係止部が、前記係合部を嵌合させるようにして前記カバー部の内面から凹んだ凹部として形成されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記芯金具に、前記係合部の下方で前記芯金具の長手方向に延びる前後2つの嵌合溝が、車両の前後方向に沿う前記カバー部の前後両側の下部を上方から嵌合するようにして設けられることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記芯金具の先端部に、上方に突出しつつ前記芯金具の先端側に向かう突部が突設され、前記カバー部の前記筒状部とは反対側の先端部の内面に前記突部を係合させる係止凹部が形成されることを第4の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第4の特徴の構成に加えて
、前記芯金具の先端側への前記弾性体の移動が、前記筒状部への前記段部の当接と、前記カバー部の内面の前記係止部への前記係合部の嵌合と、前記芯金具の先端部の前記突部の前記係止凹部への係合とによって規制されることを第
6の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、弾性体の筒状部が芯金具の基端部寄りの全周を覆
うとともに、
該筒状部に連なって下方を開放した横断面逆U字状に形成されるカバー部
が芯金具を上方から覆
い、該カバー部の前後に設けられた係止部
に芯金具の係合部
が係合
し、且つ前記筒状部の一端下部に芯金具の段部が当接して、芯金具の長手方向に沿う弾性体の移動が規制されるので、
芯金具に着脱可能に装着される弾性体の移動を締結部材を用いることなく
規制することができる。そのため、芯金具の長手方向に弾性体を動かす方向の荷重ならびに芯金具から弾性体を浮かす方向の荷重が乗員から弾性体に作用しても弾性体が芯金具から外れることを防止して弾性体を芯金具に取付けることができ、ねじ部材等の締結部材を不要として部品点数を低減することができるとともに、締結作業を不要として組付け工数を低減することができる。
【0012】
また本発明の第2の特徴によれば、車両の前後方向に沿う芯金具の前後で、芯金具の係合部を凹部として形成された弾性体側の係止部に嵌合し、前記カバー部の下部を芯金具の嵌合溝に上方から嵌合するようにして、弾性体に作用する上下方向の荷重ならびに芯金具周りの回転方向の荷重に対して弾性体の位置を確実に保持することができ、しかも係合部を嵌合するために、係止部を貫通孔ではなく凹部としてカバー部の内面に形成することでカバー部の破損が生じ難くすることができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば、芯金具の前後に設けられる嵌合溝に弾性体のカバー部の前後両側の下部を嵌合することで、カバー部に外部から乗員の足等が引っ掛かってカバー部がめくれ上がってしまうことを防止することができる。
【0014】
本発明の第4の特徴によれば、芯金具の先端部に設けられて上方に突出しつつ芯金具の先端側に向かう突部が、カバー部の先端部の内面の係止凹部に係合することで、芯金具の長手方向に沿う乗員からの荷重が弾性体に作用しても、弾性体の位置を保持することができる。
【0015】
さらに本発明の第5の特徴によれば、芯金具の先端側に臨む筒状部への芯金具の段部の当接と、カバー部の内面の係止部への係合部の嵌合と、芯金具の先端部の突部の係止凹部への係合とによって芯金具の先端側への弾性体の移動を規制することによって、芯金具の長手方向に沿う荷重を分散した複数箇所で弾性体に作用させるようにして、弾性体の一部に荷重が集中することを回避し、弾性体の破損を生じ難くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付の
図1〜
図6を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後および上下は自動二輪車に乗車した乗員から見た方向を言うものとする。
【0018】
先ず
図1において、鞍乗り型車両である自動二輪車の車体フレームFが前端に有するヘッドパイプ11には、前輪WFを軸支するフロントフォーク12およびバー状の操向ハンドル13が操向可能に支承され、前記車体フレームFがその前後方向中間部に有して上下方向に延びる左右一対のピボットフレーム14に、後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム15の前端部がピボット16を介して上下に揺動可能に支承される。
【0019】
前記後輪WRを駆動する動力を発揮する空冷式のエンジンEが、前記前輪WFおよび前記後輪WR間に配置されるようにして前記車体フレームFに搭載されており、前記エンジンEの上方に配置される燃料タンク18が車体フレームFの前部に支持され、該燃料タンク18の後方に配置されるタンデム型の乗車用シート19が車体フレームFの後部に支持され、車体フレームFの後部は左右一対のサイドカバー20で両側方から覆われる。
【0020】
前記ピボットフレーム14の下端部には、後上がりに延びるステップホルダ21が一体に連設されており、そのステップホルダ21の基部に、前記乗車用シート19の前部に跨がった運転者の足を載せることを可能として本発明に従って構成されるステップ24が配設される。
【0021】
図2〜
図6を併せて参照して、前記ステップ24は、車体側に基端部が支持される棒状の芯金具25と、該芯金具25の少なくとも先端部の下面(この実施の形態では先端部および先端部寄りの下面)を露出するようにして前記芯金具25の少なくとも上部を覆う弾性体26とで構成されており、前記芯金具25の基端部は、前記ステップホルダ21の基部に一体に設けられるブラケット22に、後下がりに延びる中心軸線Cを有する支軸23を介して回動可能に支持され、前記ステップ24は、前記ステップホルダ21から外側方に突出した状態から斜め後上方に折り畳む側に回動することを可能として前記ブラケット22に支承されることになる。
【0022】
前記芯金具25は、前記ブラケット22に前記支軸23を介して回動可能に支承されるようにして前記ステップホルダ21側に向かって開放したU字状に形成される被支持部25aと、前記ステップ24が使用位置に在る状態で上方に向かって開いた横断面略U字状となるように形成されるとともに前記被支持部25aから外側方に向かって直線状に延びる金具主部25bと、該金具主部25bから張出す張出し部25cとを一体に有するように形成される。
【0023】
前記張出し部25cは、前記金具主部25bの前記被支持部25a寄り中間部から前記金具主部25bの先端にかけて前記金具主部25bの下部から前方、後方および下方に張り出すように形成されており、この張出し部25cの先端部は、前記金具主部25bの前後両側で該金具主部25bの先端部よりも外側方に突出するように形成される。
【0024】
前記弾性体26は、前記芯金具25の基端部寄りの全周を覆う筒状部26aと、下方を開放した横断面逆U字状に形成されるとともに前記芯金具25を上方から覆って前記筒状部26aに一体に連設されるカバー部26bとを一体に有し、樹脂等の弾性材料によって型成形される。
【0025】
前記筒状部26aは、前記被支持部25aおよび前記張出し部25c間で前記金具主部25bを囲繞するように形成されるものであり、前記カバー部26bは、前記筒状部26aの一端下部26cを前記芯金具25の先端側に臨ませるようにしつつ前記金具主部25bを上方から覆うように形成される。
【0026】
前記カバー部26bの前部および後部には係止部27がそれぞれ設けられ、前記芯金具25の前部および後部には、前記係止部27に係合する係合部28が設けられる。
【0027】
前記係合部28は、前記張出部25cの上方で前後方向に延びるようにして前記芯金具25の前記金具主部25bにおける前部および後部の上部に一体に形成される。一方、前記係止部27は、前記係合部28を嵌合させるようにして前記カバー部26bの内面から凹んだ凹部として形成される。
【0028】
前記芯金具25における前記張出し部25cには、前記係合部28の下方で前記芯金具25の長手方向に延びる前後2つの嵌合溝29が、前記カバー部26bの前後両側の下部26dを上方から嵌合するようにして設けられる。また前記カバー部26bの前後両側には、前記芯金具25における前記張出し部25cの上端に上方から当接する段部26eがそれぞれ形成される。
【0029】
また前記芯金具25の先端部には、上方に突出しつつ前記芯金具25の先端側に向かう突部30が一体に突設され、前記カバー部26bの前記筒状部26aとは反対側の先端部の内面に前記突部30を係合させる係止凹部31が形成される。
【0030】
ところで前記弾性体26における前記筒状部26aの一端下部26cは前記芯金具25の先端側に臨むものであるが、この筒状部26aの前記一端下部26cに当接する段部32が前記芯金具25に設けられており、この段部32は、前記張出し部25cによって形成される。
【0031】
また前記芯金具25における前記金具主部25bの先端部には、自動二輪車が設定バンク角以上の角度で左右に傾いたときに最初に接地する棒状のバンクセンサ33が、前記金具主部25bの前端部下面すなわち前記芯金具25の先端部下面から突出するようにしてねじ込まれる。
【0032】
ところで、前記弾性体26を芯金具25に取付けるにあたっては、前記ステップホルダ21側に取付けられていない状態の前記芯金具25を、前記弾性体25におけるカバー部25bの先端側から該弾性体25に挿入するものであり、この挿入時に前記芯金具25の前記係合部28や前記突部30との干渉を回避するように弾性体25を変形させるのであるが、前記弾性体26における前記筒状部26aの一端下部26cに前記芯金具25の前記段部32が当接することで前記芯金具25および前記弾性体26の相対位置が定まり、この状態で、前記係合部28を前記係止部27にはめ込むとともに、前記突部30を前記係止凹部31にはめ込むことで、前記弾性体26が前記芯金具25に取付けられる。
【0033】
前記芯金具25が前記ステップホルダ21側に取付けられていない状態では、弾性体25の前記筒状部25aを前記芯金具25の被支持部25a側に伸ばすことが可能であるが、前記芯金具25に前記弾性体26が取付けられた状態にある前記ステップ24を前記ステップホルダ21側に取付けた状態では、ブラケット22がストッパとなって前記筒状部25aの伸びが防止される。
【0034】
しかも前記芯金具25に前記弾性体26が取付けられた状態では、前記芯金具25の先端側への前記弾性体26の移動が、前記筒状部26aへの前記段部32の当接と、前記カバー部26bの内面の前記係止部27への前記係合部28の嵌合と、前記芯金具25の先端部の突部30の前記係止凹部31への係合とによって規制されることになり、弾性体26は、前記芯金具25の長手方向に沿う移動が規制されるようにして、前記芯金具25に装着されることになる。
【0035】
また前記ステップホルダ21の前記ブラケット22に支持されて外側方に突出した状態にある前記ステップ24に、折り畳む側に回動する外力が作用したときには、前記弾性体26の前記筒
状部26aが前記ブラケット22に当接して圧縮され、その圧縮によって生じる弾発力で前記ステップ24は元の位置に戻る側に付勢されることになり、従来からよく用いられている金属製の戻しばね等の専用の付勢部材が不要となる。
【0036】
再び
図1において、前記ステップホルダ21の先端部には、前記乗車用シート19の後部に跨がった同乗者の足を載せることを可能としたステップ35が配設されており、このステップ35は、前記バンクセンサ33が設けられていないことを除けば、前記ステップ24と基本的に同一の構造を有するように構成されており、その構造についての説明は省略する。
【0037】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、乗車用シート19の前部に跨がった運転者の足を載せることを可能としたステップ24ならびに前記乗車用シート19の後部に跨がった同乗者の足を載せることを可能としたステップ35が、車体側に基端部が支持される棒状の芯金具25と、該芯金具25の少なくとも先端部の下面を露出するようにして前記芯金具25の少なくとも上部を覆う弾性体26で構成され、前記弾性体26が、前記芯金具25の前記基端部寄りの全周を覆う筒状部26aと、下方を開放した横断面逆U字状に形成されるとともに前記筒状部26aの一端下部26cを前記芯金具25の先端側に臨ませるようにしつつ前記芯金具25を上方から覆って前記筒状部26aに一体に連設されるカバー部26bとを一体に有し、前記カバー部26bの前部および後部に設けられる一対の係止部27に係合する係合部28を車両の前後方向に沿う前部および後部に有する前記芯金具25に、前記芯金具25の長手方向に沿う前記弾性体26の移動が規制されるようにして前記弾性体26が装着されるので、締結部材を用いることなく、芯金具25の長手方向に弾性体26を動かす方向の荷重ならびに芯金具25から弾性体26を浮かす方向の荷重が乗員から弾性体26に作用しても弾性体26が芯金具25から外れることを防止して弾性体26を芯金具25に取付けることができ、ねじ部材等の締結部材を不要として部品点数を低減することができるとともに、締結作業を不要として組付け工数を低減することができる。
【0038】
また前記係合部28が、前後方向に延びるようにして前記芯金具25に一体に形成され、前記係止部27が、前記係合部28を嵌合させるようにして前記カバー部26bの内面から凹んだ凹部として形成されるので、弾性体26に作用する上下方向の荷重ならびに芯金具25周りの回転方向の荷重に対して弾性体26の位置を確実に保持することができ、しかも係合部28を嵌合するために、係止部27を貫通孔ではなく凹部としてカバー部26bの内面に形成することでカバー部26bの破損が生じ難くすることができる。
【0039】
また前記芯金具25に、前記係合部28の下方で前記芯金具25の長手方向に延びる前後2つの嵌合溝29が、前記カバー部26bの前後両側の下部26eを上方から嵌合するようにして設けられるので、カバー部26bに外部から乗員の足等が引っ掛かってカバー部26bがめくれ上がってしまうことを防止することができる。
【0040】
また前記芯金具25の先端部に、上方に突出しつつ前記芯金具25の先端側に向かう突部30が突設され、前記カバー部26bの前記筒状部26aとは反対側の先端部の内面に前記突部30を係合させる係止凹部31が形成されるので、芯金具25の長手方向に沿う乗員からの荷重が弾性体26に作用しても、弾性体26の位置を保持することができる。
【0041】
さらに前記芯金具25の先端側に臨む前記筒状部26aの前記一端下部26cに当接する段部32が前記芯金具25に設けられ、前記芯金具25の先端側への前記弾性体26の移動が、前記筒状部26aへの前記段部32の当接と、前記カバー部26bの内面の前記係止部27への前記係合部28の嵌合と、前記芯金具25の先端部の前記突部30の前記係止凹部31への係合とによって規制されるので、芯金具25の長手方向に沿う荷重を分散した複数箇所で弾性体26に作用させるようにして、弾性体26の一部に荷重が集中することを回避し、弾性体26の破損が生じ難くすることができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0043】
19・・・乗車用シート
24,35・・・ステップ
25・・・芯金具
26・・・弾性体
26a・・・筒状部
26b・・・カバー部
26c・・・筒状部の一端下部
26d・・・カバー部の前後両側の下部
27・・・係止部
28・・・係合部
29・・・嵌合溝
30・・・突部
31・・・係止凹部
32・・・段部