特許第6232672号(P6232672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232672
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】Fe合金を含む金属粉末状触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/60 20060101AFI20171113BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20171113BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20171113BHJP
   C07C 29/17 20060101ALI20171113BHJP
   C07C 33/03 20060101ALI20171113BHJP
   C07C 33/02 20060101ALI20171113BHJP
   C07C 67/283 20060101ALI20171113BHJP
   C07C 69/145 20060101ALI20171113BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171113BHJP
【FI】
   B01J23/60 Z
   B01J37/02 301E
   B01J35/02 H
   C07C29/17
   C07C33/03
   C07C33/02
   C07C67/283
   C07C69/145
   !C07B61/00 300
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-558111(P2014-558111)
(86)(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-513457(P2015-513457A)
(43)【公表日】2015年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2013053513
(87)【国際公開番号】WO2013124393
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年1月22日
(31)【優先権主張番号】12156836.4
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ウェルナー
(72)【発明者】
【氏名】バス, アッシェル
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/001166(WO,A1)
【文献】 特開昭52−115807(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/101603(WO,A2)
【文献】 国際公開第2011/092280(WO,A1)
【文献】 特表2013−518083(JP,A)
【文献】 特開2000−288404(JP,A)
【文献】 特開2004−082106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属合金担体を含む粉末状選択的接触水素化用媒であって、前記金属合金担体は、
(i)前記金属合金の総重量に基づいて60重量%〜80重量%のFeと、
(ii)前記金属合金の総重量に基づいて1重量%〜30重量%のCrと、
(iii)前記金属合金の総重量に基づいて0.5重量%〜10重量%のNiと、
を含み、前記金属合金は、金属酸化物層によって被覆され、且つ、Pdで含浸される、
粉末状接触水素化用媒。
【請求項2】
前記金属合金はステンレス鋼である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記金属合金は更なる金属を含む、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記金属合金は炭素を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記金属合金はステンレス鋼であって、前記ステンレス鋼は、
(i)前記ステンレス鋼の総重量に基づいて60重量%〜80重量%のFeと、
(ii)前記ステンレス鋼の総重量に基づいて12重量%〜25重量%のCrと、
(iii)前記ステンレス鋼の総重量に基づいて1重量%〜8重量%のNiと、
(iv)前記ステンレス鋼の総重量に基づいて1重量%〜8重量%のCuと、
を含み、前記金属合金は、金属酸化物層によって被覆され、且つ、Pdで含浸される、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記金属酸化物層は、塩基性又は両性である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記金属酸化物層は、Zn、Cr、Mn、Cu、及び/又はAlを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記酸化物層は、ZnOを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
前記酸化物層は、ZnOと、Cr、Mn、Mg、Cu、及びAlからなる群から選択される少なくとも1つの更なる金属酸化物とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
前記酸化物層は、ZnO及びAlを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
前記触媒の総重量に基づいて0.1重量%〜50重量%の前記ZnOを含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項12】
前記金属酸化物は、2:1〜1:2のモル比におけるZnOとAlの混合物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項13】
前記Pd−ナノ粒子は、0.5〜20nmの平均粒径を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項14】
前記触媒は、前記触媒の総重量に基づいて0.001重量%〜5重量%の前記Pd−ナノ粒子を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項15】
有機出発材料の選択的接触水素化における請求項1〜14のいずれか一項に記載の触媒の使用であって、
前記有機出発材料は、式(I)
【化1】

(式中、Rは、直鎖型又は分岐型のC〜C35アルキル、又は、直鎖型又は分岐型のC〜C35アルケニル部位であり、炭素鎖は置換されることができ、且つ、Rは、直鎖型又は分岐型のC〜Cアルキルであり、炭素鎖は置換されることができる)の化合物である、使用。
【請求項16】
前記有機出発材料は、以下の式で表される化合物である、請求項15に記載の使用。
【化2】
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、Fe合金を担体として含む新規な金属粉末触媒系(触媒)、その製造、及び水素化プロセスにおけるその使用に関する。
【0002】
粉末状触媒はよく知られており化学反応において使用される。こうした触媒の重要な部類は、例えばリンドラー触媒である。
【0003】
リンドラー触媒は、炭酸カルシウム担体に沈積されたパラジウムからなる不均一触媒であり、又、様々な形態の鉛によって処理される。
【0004】
こうした触媒は重要であることから、その改善が常に必要とされる。
【0005】
本発明の目的は、特性が改善された粉末状触媒を見出すことであった。
【0006】
本発明による粉末状触媒は、炭酸カルシウム担体の代わりに、担体材料として金属(又は金属合金)をまさに有する。
【0007】
この金属合金は、パラジウム(Pd)が沈積される金属酸化物層によって被覆される。
【0008】
更に、本発明による新規な触媒は、鉛(Pb)を含まない。
【0009】
従って、本発明は、
(i)金属合金の総重量に基づいて60重量%〜80重量%のFeと、
(ii)金属合金の総重量に基づいて1重量%〜30重量%のCrと、
(iii)金属合金の総重量に基づいて0.5重量%〜10重量%のNiと、
を含む金属合金担体を含み、この場合に、前記金属合金は、金属酸化物層によって被覆され、且つ、Pdで含浸される、粉末状触媒系(I)に関する。
【0010】
すべてのパーセンテージが、常に合計100になることは明らかである。
【0011】
この新規な触媒は、以下の通り多数の利点を有する。
・触媒は、反応の後、容易に再利用(及び除去)される。これは、例えば濾過によって行われることができる。
・触媒は、2回以上使用可能である(再利用可能)。
・触媒は、そのままで、非常に安定な系である。例えば、酸、並びに、水に対して安定である。
・触媒は、容易に生成される。
・触媒は、容易に処理される。
・水素化は、いかなる溶媒をも用いることなく実行可能である。
・触媒は、鉛を含まない。
・触媒は、水素化反応において高い選択性を示す。
【0012】
触媒系は、粉末の形態である。
【0013】
担体として使用される金属合金は、好ましくはステンレス鋼である。
【0014】
3つの主要な種類のステンレス鋼が知られている。これらは、その結晶構造、オーステナイト系、フェライト系、及びマルテンサイト系によって分類される。
【0015】
最も重要な種類(ステンレス鋼生産量の70%を超える)は、オーステナイト鋼である。オーステナイト鋼は、その主相としてオーステナイトを有する。これらは、合金の総重量に基づいて18重量%〜20重量%のクロム、及び、合金の総重量に基づいて8重量%〜10重量%のニッケルを通常含有する合金である。
【0016】
フェライト鋼は、その主要相としてフェライトを有する。これらの鋼は、鉄、並びに、合金の総重量に基づいて約17重量%のクロムを含有する。
【0017】
マルテンサイト鋼は、特有の斜方晶系マルテンサイト微細構造を有する。マルテンサイト鋼は、低炭素鋼である。
【0018】
従って、本発明は、金属合金が、
(i)ステンレス鋼担体の総重量に基づいて60重量%〜80重量%のFeと、
(ii)ステンレス鋼担体の総重量に基づいて10重量%〜30重量%のCrと、
(iii)ステンレス鋼担体の総重量に基づいて0.5重量%〜10重量%のNiと、
を含むステンレス鋼であり、且つ、ステンレス鋼は、金属酸化物層によって被覆されPdで含浸される、粉末状触媒系(II)に関する。
【0019】
ステンレス鋼は、例えば、Cu、Mn、Si、Mo、Ti、Al、及びNbなどの、更なる金属を含むことができる。
【0020】
更に、ステンレス鋼は、同様に炭素を含むことができる。
【0021】
従って、本発明は、金属合金が、
(i)ステンレス鋼担体の総重量に基づいて60重量%〜80重量%のFeと、
(ii)ステンレス鋼担体の総重量に基づいて12重量%〜25重量%のCrと、
(iii)ステンレス鋼の総重量に基づいて1重量%〜8重量%のNiと、
(iv)ステンレス鋼担体の総重量に基づいて1重量%〜8重量%のCuと、
を含むステンレス鋼であり、且つ、ステンレス鋼は、金属酸化物層によって被覆されPdで含浸される、粉末状触媒系(III)に関する。
【0022】
ステンレス鋼は、多くの製造業者及び取引業者から市販されている。例えば、Sverdrup Hanssen、Nichelcrom Acciai Inox S.p.A、又はEOS GmbHなどの会社から購入可能である。
【0023】
好適な製品は、例えば、EOS GmbH(独国)のEOS StainlessSteel GP1(登録商標)である。
【0024】
金属酸化物層は、金属合金を被覆し、非酸性である(好ましくは塩基性又は両性)。適切な非酸性の金属酸化物層は、Zn、Cr、Mn、Cu、及び/又はAlを含む。好ましくは、酸化物層は、ZnOと、場合により、金属はCr、Mn、Mg、Cu、及びAlからなる群から選択される少なくとも1つの更なる金属酸化物とを含む。
【0025】
従って又、本発明は、金属酸化物層は非酸性である(好ましくは塩基性又は両性)、粉末状触媒系(I)、(II)、及び/又は(III)である、粉末状触媒系(IV)に関する。
【0026】
非酸性の金属酸化物層はZn、Cr、Mn、Cu、又はAlを含む(より好ましくは、酸化物層は、ZnOと、場合により、金属はCr、Mn、Mg、Cu、及びAlからなる群から選択される少なくとも1つの更なる金属酸化物とを含む)、粉末状触媒系(IV)である、粉末状触媒系(IV’)が好ましい。
【0027】
好ましくは、金属合金は、ZnOの薄層(0.5〜3.5μm厚)、並びに、場合により、少なくとも1つの更なる金属(Cr、Mn、Mg、Cu、及びAl)酸化物で被覆される。
【0028】
従って又、本発明は、金属合金はZnOの薄層、並びに、場合により、少なくとも1つの更なる金属(Cr、Mn、Mg、Cu、及び/又はAl)酸化物で被覆される、粉末状触媒系(I)、(II)、(III)、(IV)、及び/又は(IV’)である、粉末状触媒系(V)に関する。
【0029】
非酸性の金属酸化物層は基本的にPbを含まない粉末状触媒系(V)である、粉末状触媒系(V’)が好ましい。
【0030】
金属合金の被覆は、例えば浸漬被覆などの、一般的に周知のプロセスによって行われる。
【0031】
通常、本発明の触媒系(触媒)は、触媒の総重量に基づいて、0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜30重量%、より好ましくは1.5重量%〜10重量%、最も好ましくは2重量%〜8重量%のZnOを含む。
【0032】
従って又、本発明は、触媒は触媒系の総重量に基づいて0.1重量%〜50重量%のZnOを含む(好ましくは0.1重量%〜30重量%、より好ましくは1.5重量%〜10重量%、最も好ましくは2重量%〜8重量%)、粉末状触媒系(I)、(II)、(III)、(IV)、(IV’)、(V)、及び/又は(V’)である、粉末状触媒系(VI)に関する。
【0033】
本発明の好ましい実施態様においては、非酸性の金属酸化物層は、ZnOと、金属はCr、Mn、Mg、Cu、及びAlからなる群から選択される少なくとも1つの更なる金属酸化物とを含む。
【0034】
本発明のより好ましい実施態様においては、非酸性の金属酸化物層は、ZnOとAlとを含む。
【0035】
従って又、本発明は、非酸性の金属酸化物層はZnOとAlとを含む、粉末状触媒系(I)、(II)、(III)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、及び/又は(VI)である、粉末状触媒系(VII)に関する。
【0036】
ZnOとAlの混合物が使用される場合、ZnO:Alの比は:2:1〜1:2(好ましくは1:1)であることが好ましい。
【0037】
従って又、本発明は、ZnO:Alの比は2:1〜1:2(好ましくは1:1)である、粉末状触媒系(VII)である、粉末状触媒系(VII’)に関する。
【0038】
次いで、被覆された金属合金は、Pd−ナノ粒子によって含浸される。ナノ粒子は、例えば前駆体としてPdClを使用することによってなどの、一般的に周知の方法によって合成され、次いで水素によって還元される。
【0039】
通常、Pd−ナノ粒子は、非酸性の金属酸化物層上にあり、0.5〜20nm、好ましくは2〜15nm、より好ましくは5〜12nm、最も好ましくは7〜10nmの平均粒径を有する。(粒径は、光散乱法によって測定される)。
【0040】
従って又、本発明は、Pd−ナノ粒子は0.5〜20nmの平均粒径(好ましくは2〜15nm、より好ましくは5〜12nm、最も好ましくは7〜10nm)を有する、粉末状触媒系(I)、(II)、(III)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VII)、及び/又は(VII’)である、粉末状触媒系(VIII)に関する。
【0041】
本発明による触媒は、触媒の総重量に基づいて、0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.01重量%〜2重量%、より好ましくは0.05重量%〜1重量%のPd−ナノ粒子を含む。
【0042】
従って又、本発明は、触媒は触媒の総重量に基づいて0.001重量%〜5重量%のPd−ナノ粒子(好ましくは0.01重量%〜2重量%、より好ましくは0.05重量%〜1重量%)を含む、粉末状触媒系(I)、(II)、(III)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VII)、(VII’)、及び/又は(VIII)である、粉末状触媒系(IX)に関する。
【0043】
通常、触媒は、使用の前に活性化される。活性化は、Hにおける熱活性化のような周知のプロセスを使用することによって行われる。
【0044】
本発明の触媒は、有機出発材料、具体的には炭素−炭素三重結合を含む有機出発材料、より具体的にはアルキノール化合物の選択的接触水素化に使用される。
【0045】
従って又、本発明は、有機出発材料、具体的には炭素−炭素三重結合を含む有機出発材料、より具体的にはアルキノール化合物の選択的接触水素化における、粉末状触媒系(触媒)(I)、(II)、(III)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VII)、(VII’)、(VIII)、及び/又は(IX)の使用に関する。
【0046】
好ましくは、本発明は、式(I)
【化1】


(式中、Rは、直鎖型又は分岐型のC〜C35アルキル、又は、直鎖型又は分岐型のC〜C35アルケニル部位であり、炭素鎖は置換されることができ、且つ、Rは、直鎖型又は分岐型のC〜Cアルキルであり、炭素鎖は置換されることができる)の化合物を、触媒(I)、(II)、(III)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VII)、(VII’)、(VIII)、及び/又は(IX)の存在下にて、水素と反応させる方法に関する。
【0047】
通常、水素は、Hガスの形態で使用される。
【0048】
式(I)の好ましい化合物は、以下の
【化2】


である。
【0049】
以下の実施例は、本発明を例示するために援用される。特記されていない限り、すべてのパーセンテージは重量に関連し、且つ、温度は摂氏にて供される。
【0050】
[実施例]
[実施例1触媒の合成(Al/ZnO及びPdの沈積によって被覆されたステンレス鋼)]
[ステップ1:熱による前処理]
ステンレス鋼の粉末(EOS GmbH、独国より市販のEOS StainlessSteel GP1(登録商標))に対して、450℃で3時間、熱による前処理を実施した。
【0051】
[ステップ2 ZnO+Alの沈積(金属合金担体の被覆)]
100mlフラスコに、Al(NO9HO20.0g(53.3ミリモル)及び水70mlを加えた。Al(NO・9HOが完全に溶解するまで、混合物を撹拌した。溶液を95℃まで加熱した。次いで、ZnOの粉末4.34g(53.3ミリモル)を反応溶液にゆっくりと加えた。ZnOが完全に溶解するまで、加熱及び撹拌を維持した。次いで、溶液を室温まで冷却し、メンブランフィルターを通して濾過した。
【0052】
ステップ1の酸化したステンレス鋼粉末(23.4g)を前駆体溶液に加え、室温で15分間、混合物を撹拌することによって、ZnO/Alの沈積を実行した。
【0053】
次いで、粉末を、メンブランフィルターによって濾別し、40℃、125ミリバールで2時間、空気乾燥させ、その後、450℃で1時間、焼成ステップを行った。撹拌−乾燥−焼成のサイクルを、3回繰り返した。最後に、粉末の支持体を、550℃で1時間、空気焼成した。
【0054】
被覆されたステンレス鋼粉末22.75gを得た。
【0055】
[ステップ3:Pd−ナノ粒子の調製及び沈積]
モリブデン酸ナトリウム二水和物318mg(1.31ミリモル)と無水パラジウム(II)塩化物212mg(1.20ミリモル)を、加熱下にて(約95℃)、脱イオン水60mlに加えた。混合物を撹拌した。水が完全に蒸発するまで、加熱及び撹拌を継続した(固体の残渣が形成した)。その後、脱イオン水60mlを、攪拌下にて残渣に加えた。蒸発−溶解のサイクルは、PdClを完全に溶解させるために、2回繰り返した。最後に、熱水100mlを、固体の残渣に加えた。濃い茶色の溶液を室温まで冷却し、濾紙を通して濾過した。前駆体溶液の最終的な量が120mLになるまで、フィルターを水で洗浄した。
【0056】
その後、Pd懸濁液を、ガラス筒にて、室温で1時間、前駆体溶液を通して水素をバブリングすることによって形成した。
【0057】
こうして得られたPd懸濁液、及び被覆されたステンレス鋼粉末22.75g(ステップ2の)を200mlフラスコに加えた。混合物を室温で15分間、撹拌した。粉末を濾紙によって濾別し、40℃、125ミリバールで2時間、空気乾燥させた。このプロセスを2回繰り返した。
【0058】
[ステップ4:Hにおける触媒の熱活性化]
ステップ3から得られた粉末触媒に対して、H−Ar気流下にて、300℃で4時間、温度処理を実施した。次いで、同じH−Ar気流下にて、室温まで冷却した。
【0059】
本発明による粉末状触媒20.3gを得た。
【0060】
[実施例2a:MBEへのMBYの選択的水素化]
【化3】


MBY285g(3.38モル)に実施例1の触媒1.5gを撹拌下にて加えた。反応を、45℃、4バールの圧力にて実行した。
【0061】
反応を、同一の条件にて4回繰り返した。
【0062】
反応の終わりにおいては(約23時間後)、反応の選択性は、91.6〜95.6%であり、且つ、変換率は、99.4〜99.9%であった。
【0063】
新規な粉末状触媒は、選択的水素化のための触媒として優れた特性を有することがわかる。
【0064】
[実施例2b:MBEへのMBYの連続選択的水素化]
実施例2aと同一の反応条件を使用した。反応の終わりにおいては(約13〜19時間後)、反応混合物を不活性雰囲気下にて冷却し、反応溶液を新たなMBY(再度285g)で交換し、再度、水素化を開始した。
【0065】
7サイクルを実施した。以下の表は、各サイクルの結果を示す。
【0066】
【表1】

【0067】
7サイクルの後でさえ(各サイクルの後、触媒を処理せずに)、新たな粉末状触媒は、優れた触媒特性を維持することがわかる。
【0068】
[実施例3:デヒドロリナロール(DLL)の選択的水素化]
【化4】


DLL285g(1.87モル)に、実施例1の触媒1.5gを攪拌下にて加えた。反応を、55℃、4バールの圧力にて、約9時間、実行した。
【0069】
反応の終わりにおいては、反応の選択性は94.1%であり、且つ、変換率は98.09%であった。
【0070】
新たな粉末状触媒は、選択的水素化のための触媒として優れた特性を有することがわかる。
【0071】
[実施例4]デヒドロリナリル酢酸塩(DLA)の選択的水素化
【化5】


DLA285g(1.5モル)に、実施例1の触媒1.5gを撹拌下にて加えた。反応を、40℃、4バールの圧力にて、約34時間、実行した。
【0072】
反応の終わりにおいては、反応の選択性は89.53%であり、且つ、変換率は98.67%であった。
【0073】
[実施例5:デヒドロイソフィトール(DIP)の選択的水素化]
【化6】


DIP285g(0.97モル)に、実施例1の触媒1.5gを撹拌下にて加えた。反応を、85℃、4バールの圧力にて、約5.5時間、実行した。
【0074】
反応の終わりにおいては、反応の選択性は87.90%であり、且つ、変換率は94.33%であった。
【0075】
新たな粉末状触媒は、選択的水素化のための触媒として優れた特性を有することがわかる。