(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
住宅等の外構に設けられたブロック等からなる塀の上部には、塀の保護や装飾等の目的で塀の上端面を覆うように笠木が配設される。
笠木の配設方法としては、例えば樹脂材料や金属材料、コンクリート等で予め形成された笠木を、ブラケットやセメント等を介して塀の上部に固定して配設する方法や、現場で職人がモルタルにより塀の上部に笠木を形成して配設する方法がある。
ここで、笠木および塀の多様なデザインに対応する場合、職人の手作業により笠木が配設されることが多い。
【0003】
職人が手作業により笠木を配設する場合、以下のような流れで施工される。
まず、角材等の幅木を塀の上端面に固定して、笠木形成領域に対応した型枠を形成する。続いて、型枠内にモルタルを充填し、コテ等を用いてモルタルの表面を仕上げる。そして、モルタルが硬化した後、型枠を取り外すことで笠木が形成される。
【0004】
ところで、降雨時の雨水等は、笠木により誘導されて塀の側面よりも外側において下方に落下するようになっている。このとき、土ほこり等の塵埃を含んだ雨水が塀の側面上を流れて塵埃が塀に対して線状に付着するいわゆる雨垂れが発生し、塀の側面を汚損するおそれがある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、上面が外側から内側へ向かって斜め下方へ傾斜するとともに、笠木の両端底面部において上方に凹み形成された水切り部を備えた笠木が記載されている。特許文献1によれば、雨水が勢いよく流下しやすくなるとともに、水切り部により塀へ雨水が伝わるのを効果的に阻止できるので、塀の汚損や劣化を効果的に防止できるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1の構成にあっては、凹み形成された水切り部の表面を雨水等が伝搬して塀の側面に到達し、塀の側面上を流れて塀の側面を汚損するおそれがある。また、外側の水切り部にあっては、塀の側面に近接配置されているため、水切り部から下方に落下した雨水等が、地面に到達する前に塀の側面に付着し、塀の側面上を流れて塀の側面を汚損するおそれがある。
さらに、特許文献1に記載の笠木の施工方法については、具体的に開示されていない。とりわけ、特許文献1に記載の笠木を現場で形成する際には、上面が所定の傾斜角度となるように施工する必要があるため、煩雑な工程が必要となるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、塀の汚損を抑制するとともに、笠木を容易に施工できる笠木施工用部材および笠木施工方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の笠木施工用部材は、塀の上部の笠木を配設するために、塀本体の上端縁部に対応する延設方向に沿って設置される笠木施工用部材であって、前記延設方向に沿って前記塀本体の上端面に配置され、上方に笠木材料が配設される天板部と、前記天板部から前記塀本体の外側に向かって張り出し形成され、上方に前記笠木材料が配設される笠部と、前記天板部と前記笠部との境界部分において、前記塀本体の側面に沿って下方に向かって立設された側板部と、前記笠部の外側端部から下方に向かって立設された笠側部と、前記笠部の外側端部から上方に向かって立設され、下方から上方に向かって前記塀本体の外側に漸次傾斜する傾斜片を有する壁部と、前記壁部の下方において、前記塀本体の外側に向かって張り出し形成され、上方に前記笠木材料が配設される笠木材料受部と、前記笠側部の下方において、前記延設方向に沿って延在するとともに、下方に向かって立設された主水切り板と、を備え、前記主水切り板は、上方から下方に向かって、前記塀の側面から離れるように外側に傾斜し
、前記笠部には、前記延設方向に沿って延在する水返し板が上方に向かって立設され、前記水返し板は、前記塀本体の外側に配置されていることを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、笠側部の下方において下方に向かって立設された主水切り板を備えているので、笠木材料受部の上方に形成された笠木の側面を下方に向かって流れる雨水が、笠木材料受部の下面を伝搬したあと主水切り板によって下方に誘導されて落下することができる。しかも、主水切り板が上方から下方に向かって、塀の側面から離れるように外側に傾斜しているので、塀の側面から離反するように雨水を落下させることができる。したがって、雨水等によって運ばれた塵埃が塀に対して線状に付着する、いわゆる雨垂れ等の発生を効果的に抑制し、塀の汚損を抑制することができる。
また、天板部と側板部とにより隅部が形成されるので、この隅部と、塀本体の上端縁部とを合わせ、塀本体の上端縁部に沿って天板部を配置することにより、塀本体の上端面において塀本体の上端縁部に沿うように笠木施工用部材を簡単に設置できる。また、塀本体の上端縁部に沿うように笠木施工用部材を設置することにより、笠木施工用部材の壁部によって笠木材料を充填する領域を画成できる。したがって、型枠を設置することなく笠木材料を充填して、笠木を施工できる。さらに、笠木施工用部材は、除去されることなくそのまま笠木材料に埋設されるので、笠木の強度が確保できるとともに、従来のように型枠を取り外す工程が不要となる。したがって、簡単な施工作業で笠木を配設できる。
さらに、水返し板が塀本体の外側に配置されているので、塀本体の外側において、水返し板よりも内側に水分が浸透するのを妨げることができる。これにより、笠木の内部に浸透した水分が、塀本体に到達するのを妨げることができるので、塀本体の腐食を抑制できる。
【0011】
また、前記天板部には、貫通孔が形成されていることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、接着剤を用いて塀本体の上端面に天板部を配置する際に、貫通孔に接着剤が入り込むので、塀本体の上端面に天板部を強固に固定できる。したがって、笠木施工用部材の脱落を防止して、笠木の施工作業を安定して行うことができる。
【0015】
また、前記笠部には、前記水返し板と前記壁部との間に、前記笠部を貫通する排水孔が形成されていることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、水返し板により浸透が妨げられた水分を排水孔から排出できるので、水分が塀本体に浸透するのを確実に抑制できる。
【0017】
本発明の笠木施工用部材は、塀の上部の笠木を配設するために、塀本体の上端縁部に対応する延設方向に沿って設置される笠木施工用部材であって、前記延設方向に沿って前記塀本体の上端面に配置され、上方に笠木材料が配設される天板部と、前記天板部から前記塀本体の外側に向かって張り出し形成され、上方に前記笠木材料が配設される笠部と、前記天板部と前記笠部との境界部分において、前記塀本体の側面に沿って下方に向かって立設された側板部と、前記笠部の外側端部から下方に向かって立設された笠側部と、前記笠部の外側端部から上方に向かって立設され、下方から上方に向かって前記塀本体の外側に漸次傾斜する傾斜片を有する壁部と、前記壁部の下方において、前記塀本体の外側に向かって張り出し形成され、上方に前記笠木材料が配設される笠木材料受部と、前記笠側部の下方において、前記延設方向に沿って延在するとともに、下方に向かって立設された主水切り板と、を備え、前記主水切り板は、上方から下方に向かって、前記塀の側面から離れるように外側に傾斜し
、前記壁部の端部には、他の前記笠木施工用部材の前記壁部と係止可能な係止部が設けられていることを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、塀本体の上端縁部に沿うように笠木施工用部材を設置する際に、複数の笠木施工用部材を互いに係止して連設できる。したがって、笠木施工用部材の大型化を抑制しつつ、複数の笠木施工用部材の壁部によって笠木材料を充填する領域を画成できる。
【0019】
また、前記笠部における前記主水切り板と前記側板部との間には、前記延設方向に沿って延在する少なくとも一枚の副水切り板が、下方に向かって立設されていることを特徴としている。
【0020】
本発明によれば、笠部における主水切り板と側板部との間に、少なくとも一枚の副水切り板を備えているので、仮に主水切り板よりも塀の側面側に雨水が回りこんだとしても、副水切り板によって雨水を下方に落下させることができる。したがって、雨水が笠部の下面を伝搬して塀の側面に到達するのを確実に抑制できる。とりわけ、副水切り板が笠部の排水孔よりも塀の側面側に設けられた場合には、排水孔から排水された雨水等が、塀の側面に到達するのを確実に遮断できる。
【0021】
また、本発明の笠木施工方法は、前記塀本体の上端面に第一の前記笠木施工用部材と、第二の前記笠木施工用部材とを前記延設方向に離間して設置する第一設置工程と、第一の前記笠木施工用部材と、第二の前記笠木施工用部材との離間距離に対応して第三の前記笠木施工用部材を切断する切断工程と、第一の前記笠木施工用部材と、第二の前記笠木施工用部材との間に、切断した第三の前記笠木施工用部材を設置する第二設置工程と、を備えたことを特徴としている。
【0022】
本発明によれば、第一の笠木施工用部材と、第二の笠木施工用部材との離間距離に対応して第三の笠木施工用部材を切断する切断工程と、第一の笠木施工用部材と、第二の笠木施工用部材との間に、切断した第三の笠木施工用部材を設置する第二設置工程とを備えているので、所定の位置に第一の笠木施工用部材と、第二の笠木施工用部材とを設置しつつ、両笠木施工用部材の間に、第三の笠木施工用部材を精度よく設置できる。したがって、複数の笠木施工用部材を塀本体の上端面に連設して設置する際に、所定の位置に複数の笠木施工用部材を簡単に設置できる。したがって、笠木施工用部材の寸法誤差に起因する、笠木施工用部材の設置位置のズレを防止できるので、笠木を精度よく配設できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、笠側部の下方において下方に向かって立設された主水切り板を備えているので、笠木材料受部の上方に形成された笠木の側面を下方に向かって流れる雨水が、笠木材料受部の下面を伝搬したあと主水切り板によって下方に誘導されて落下することができる。しかも、主水切り板が上方から下方に向かって、塀の側面から離れるように外側に傾斜しているので、塀の側面から離反するように雨水を落下させることができる。したがって、雨水等によって運ばれた塵埃が塀に対して線状に付着する、いわゆる雨垂れ等の発生を効果的に抑制し、塀の汚損を抑制することができる。
また、天板部と側板部とにより隅部が形成されるので、この隅部と、塀本体の上端縁部とを合わせ、塀本体の上端縁部に沿って天板部を配置することにより、塀本体の上端面において塀本体の上端縁部に沿うように笠木施工用部材を簡単に設置できる。また、塀本体の上端縁部に沿うように笠木施工用部材を設置することにより、笠木施工用部材の壁部によって笠木材料を充填する領域を画成できる。したがって、型枠を設置することなく笠木材料を充填して、笠木を施工できる。さらに、笠木施工用部材は、除去されることなくそのまま笠木材料に埋設されるので、笠木の強度が確保できるとともに、従来のように型枠を取り外す工程が不要となる。したがって、簡単な施工作業で笠木を配設できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態にかかる笠木施工用部材について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の笠木施工用部材により施工された笠木5を備えた塀2の斜視図である。なお、以下では、塀2の幅方向を単に幅方向という。また、上下方向は、鉛直上下方向に相当する。
図1に示すように、塀2は、例えば建物1の外構に用いられるものであって、建物1を囲うように設けられている。
【0026】
図2は、
図1のA−A線に沿った断面図である。
図2に示すように、塀2は、塀本体3と、塀本体3の側面3aを覆って塀2の側面2aを形成する仕上材6と、塀本体3の上部に設置された笠木5とにより構成されている。なお、以下の説明では、塀2の幅方向の中央において塀2に沿う面を仮想面Oとし、塀本体3の側面3aから見て、仮想面O側を内側といい、仮想面Oとは反対側を外側という。
【0027】
塀本体3は、例えばコンクリート等からなるブロック材を複数積み上げることにより形成される。各ブロック材は、上下方向に連通する不図示の孔部が形成されており、不図示の鉄筋が挿通される。各ブロック材の孔部および各ブロック材の間には、モルタルやセメント等が充填されており、ブロック材、鉄筋および各ブロック材同士がモルタルやセメント等により固定される。
塀本体3の側面3aを覆う仕上材6は、例えばモルタルからなり、吹き付け塗装やコテ等により塗布することで形成される。仕上材6の厚さは、例えば10mm程度であり、後述する笠木施工用部材10の側板部15を埋設しつつ配設される。
【0028】
笠木5は、塀本体3の上端面3bに設置される一対の笠木施工用部材10と、笠木5の外形を形成するモルタル等の笠木材料8(上部笠木材料8a、側部笠木材料8b)と、により構成されている。上部笠木材料8aにより形成される笠木5の上面は、幅方向の中間部から両外側に向かって、下方に漸次傾斜する傾斜面となっている。なお、笠木5の上面の傾斜角度はわずかであるため、各図では、平坦面として図示している。また、側部笠木材料8bにより形成される笠木5の側面は、垂直面となっている。
【0029】
笠木施工用部材10は、塀本体3の上部に笠木5を配設するために設置されるものであって、塀本体3の上端面3bの上端縁部3cに沿うように、幅方向の両側に延設されている。なお、以下の説明において、上端縁部3cに対応する笠木施工用部材10の延設される方向を延設方向という。また、一対の笠木施工用部材10は、同一形状をしており、仮想面Oを挟んで対称となるように設置されている。したがって、以下の説明では、一方(
図2における右側)の笠木施工用部材10について説明をし、他方(
図2における左側)の笠木施工用部材10については説明を省略している。
【0030】
笠木施工用部材10は、例えばステンレスやアルミニウム等の耐腐食性に優れた金属や樹脂材料等により形成される板状の長尺部材であり、例えば押し出し成型により形成される。笠木施工用部材10は、主に天板部11と、笠部13と、側板部15と、笠側部16と、壁部17と、笠木材料受部19と、水返し板21と、主水切り板23とにより形成されている。以下に、笠木施工用部材10の各部について詳細に説明する。
【0031】
図3は、笠木施工用部材10の斜視図である。なお、
図3では、笠木材料8および塀2を二点鎖線で図示している。
天板部11は、平板状に形成されており、塀本体3の上端縁部3cに対応する延設方向沿って塀本体3の上端面3bに延設されている。
図3に示すように、天板部11の上面には、凹凸が形成されており、断面視で例えば略波型形状に形成されている。また、天板部11の内側端部は、上方に立ち上がるように形成されている。このように、天板部11の上面を略波型形状に形成するとともに、天板部11の内側端部を上方に立ち上がるように形成することで、天板部11の上面の表面積を増加させることができる。これにより、天板部11の上方に上部笠木材料8aを配設したときに、天板部11の上面と上部笠木材料8aとの密着面積を増大させることができる。したがって、上部笠木材料8aが固化したときに、天板部11と上部笠木材料8aとが互いに良好に密着できる。
【0032】
また、天板部11には、複数の貫通孔11aが形成されている。貫通孔11aは、例えば延設方向に沿って等間隔に、かつ幅方向に2列に並んで設けられている。貫通孔11aを設けることにより、例えばコンクリートボンド等の接着剤を用いて塀本体3の上端面3bに天板部11を配置する際に、貫通孔11aに接着剤が入り込むので、塀本体3の上端面3bに天板部11を強固に固定できる。したがって、笠木施工用部材10の脱落を防止して、笠木5の施工作業を安定して行うことができる。
【0033】
笠部13は、天板部11から塀本体3の外側に向かって張り出し形成されている。笠部13の上面には、天板部11の上面と同様に凹凸が形成されており、断面視で例えば略波型形状に形成されている。笠部13の上方には、上部笠木材料8aが配設される。
また、笠部13には、上下方向に貫通する排水孔13aが複数形成されている。排水孔13aは、例えば延設方向を長軸方向とし、幅方向を短軸方向とする長円形状に形成されている。排水孔13aを設けることにより、笠木材料8に浸透した水分を排出できるようになっている。
【0034】
図2に示すように、側板部15は、天板部11と笠部13との境界部分において、塀本体3の側面3aに沿って下方に向かって立設されている。天板部11と側板部15との間に形成される隅部は、略直角に形成されている。この隅部と、塀本体3の上端縁部3cとを合わせて位置決めしつつ、笠木施工用部材10を配設している。側板部15は、塀本体3に塗布される仕上材6に埋設されて固定される。
笠側部16は、笠部13の外側端部から下方に向かって立設されている。笠側部16は、笠部13と側板部15とともに、下方に開口を有する凹部10aを形成している。この凹部10aにより、雨水等が笠側部16および笠部13を伝搬して塀2に到達するのを抑制している。
【0035】
また、側板部15と笠側部16との間には、笠部13の下面から下方に向かって、マーク板14が立設されている。マーク板14は、塀本体3の側面3aに仕上材6を塗布する際の目印として機能する。具体的には、マーク板14の外側面と面一となるように、塀本体3の側面3aに仕上材6を塗布することにより、仕上材6の厚さの目印とすることができる。
【0036】
壁部17は、基端部が笠部13の外側端部から上方に向かって垂直方向に立設されており、先端部が下方から上方に向かって塀本体3の外側に漸次傾斜する傾斜片17aとなっている。壁部17の傾斜片17aにおける先端部17bは、例えば断面視でT字形状に形成されるとともに、先端面が外側に膨出した凸曲面状に形成されている。
図3に示すように、傾斜片17aには、貫通孔17cが形成されている。貫通孔17cは、例えば延設方向に沿って等間隔に、かつ幅方向に2列に並んで設けられている。貫通孔17cを形成することにより、笠木施工用部材10に笠木材料8を充填した際に、貫通孔17cに笠木材料8が食い込むので、笠木材料8が固化した後に壁部17から剥離するのを抑制できる。
【0037】
壁部17の端部には、クリップ25(請求項の「係止部」に相当。)が設けられている。クリップ25は、例えば樹脂材料等により形成された板状部材であり、延設方向を長軸方向とする長円形状に形成されている。クリップ25の長手方向の両端には、例えば壁部17の傾斜片17aに形成された貫通孔17cに係止可能な不図示の爪部を有している。クリップ25は、一方の爪部が一の笠木施工用部材10における壁部17の貫通孔17cに係止され、他方の爪部が他の笠木施工用部材10における壁部17の貫通孔17cに係止されることにより、一の笠木施工用部材10と他の笠木施工用部材10とを接続する。
【0038】
クリップ25は、壁部17の内側主面および外側主面の少なくともいずれか一方の主面に設けられる。とりわけ、クリップ25は、壁部17の外側主面に設けられるのが好ましい。クリップ25を壁部17の外側主面に設けることにより、笠木5の施工時において、複数の笠木施工用部材10の壁部17よりも内側の領域に上部笠木材料8aを充填したときであっても、笠木施工用部材10が外側に脱落するのを防止できる。したがって、笠木5の施工作業を安定して行うことができる。
【0039】
図2に示すように、笠木材料受部19は、壁部17の下方において、塀本体3の外側に向かって、水平方向に沿うように張り出し形成されている。笠木材料受部19は、笠側部16の下端部から幅方向における壁部17の張り出し位置と略同一の位置まで、水平方向に張り出し形成されている。壁部17と笠木材料受部19との間には、笠木5を形成する側部笠木材料8bが充填される。
笠木材料受部19の外側端部は、上方に突出した鉤部19aとなっている。鉤部19aは断面視でクランク形状に形成されている。鉤部19aは、施工後の側部笠木材料8bに埋設されることにより、側部笠木材料8bが固化した後に、側部笠木材料8bが笠木材料受部19から剥離するのを抑制している。
【0040】
水返し板21は、延設方向に沿って延在するとともに、天板部11と笠部13との境界部分において上方に向かって立設されている。水返し板21の先端部は、外側に屈曲形成されている。水返し板21は、例えば笠木材料8と壁部17との間等から笠木5の内部に浸透した水分が、水返し板21よりも内側に浸透するのを抑制している。これにより、笠木5の内部に浸透した水分が、塀本体3に到達するのを妨げている。
ここで、前述した排水孔13aは、水返し板21と壁部17との間であって、水返し板21よりも外側に設けられている。これにより、水返し板21により内側への浸透が妨げられた水分は、排水孔13aから排出される。
【0041】
主水切り板23は、笠側部16の下方において、延設方向に沿って延在するとともに、下方に向かって立設されている。主水切り板23は、上方から下方に向かって、塀2の側面2aから離れるように外側に傾斜している。主水切り板23の垂直方向に対する傾斜角度は、例えば45°程度に設定されている。主水切り板23は、基端側から先端側に向かって、板厚が漸次狭くなるように形成されている。主水切り板23は、雨水等が笠木5の側面および笠木材料受部19の下面を伝搬して、塀2の側面2aに流れるのを遮断するとともに、遮断した雨水等を下方に滴下している。
【0042】
主水切り板23と側板部15との間であって、マーク板14よりも外側には、副水切り板24が一枚設けられている。副水切り板24は、主水切り板23により遮断できなかった雨水等が塀2に伝搬するのを遮断している。また、本実施形態の副水切り板24は、笠部13の排水孔13aよりも塀2の側面2a側に設けられている。これにより、副水切り板24は、水返し板21により堰き止められて排水孔13aから排水された雨水等が、塀2に伝搬するのを遮断している。
副水切り板24の先端部24aは、上方から下方に向かって塀2から漸次離れる傾斜面となっている。したがって、副水切り板24は、先端部24aのうち塀2から離間した位置において、雨水等を落下させることができる。
【0043】
(笠木施工方法)
図4は、笠木施工方法のフローチャートである。
次に、上記のように形成された本実施形態の笠木施工用部材10を用いた笠木施工方法について説明をする。
図4に示すように、笠木施工用部材10を用いた笠木施工方法は、笠木施工用部材設置工程S101と、笠木材料充填工程S103と、整形工程S105とを備えている。以下に、各工程について説明する。
【0044】
図5および
図6は、笠木施工方法の説明図である。
笠木施工用部材設置工程S101は、第一設置工程S101Aと、切断工程S101Bと、第二設置工程S101Cとを備えている。
まず、
図5に示すように、第一設置工程S101Aを行う。第一設置工程S101Aでは、塀本体3の上端面3bに第一の笠木施工用部材10Aと、第二の笠木施工用部材10Bとを延設方向に離間して設置する。このとき、例えばコンクリートボンド等の接着剤を用いて、塀本体3の上端面3bに第一の笠木施工用部材10Aおよび第二の笠木施工用部材10Bの天板部11(
図2参照)を接着することにより、第一の笠木施工用部材10Aと第二の笠木施工用部材10Bとを設置する。
【0045】
続いて、切断工程S101Bを行う。切断工程S101Bでは、第一の笠木施工用部材10Aと、第二の笠木施工用部材10Bとの離間距離Dに対応して第三の笠木施工用部材10Cを切断する。これにより、長さDを有する第三の笠木施工用部材10Cを得ることができる。なお、
図5においては、第三の笠木施工用部材10Cの切断位置を破線で図示している。
【0046】
続いて、
図6に示すように、第二設置工程S101Cを行う。第二設置工程S101Cでは、第一の笠木施工用部材10Aと、第二の笠木施工用部材10Bとの間に、切断した第三の笠木施工用部材10Cを設置する。第二設置工程S101Cでは、接着剤を用いて、塀本体3の上端面3bに第三の笠木施工用部材10Cの天板部11(
図2参照)を接着するとともに、クリップ25により、第一の笠木施工用部材10Aおよび第二の笠木施工用部材10Bに第三の笠木施工用部材10Cを係止する。
【0047】
続いて、笠木材料充填工程S103を行う。笠木材料充填工程S103は、上部笠木材料充填工程S103Aと、側部笠木材料充填工程S103Bとを備えている。
まず、上部笠木材料充填工程S103Aを行う。上部笠木材料充填工程S103Aでは、複数の笠木施工用部材10の壁部17により画成された充填領域に、上部笠木材料8a(
図2参照)を充填する。
続いて、側部笠木材料充填工程S103Bを行う。側部笠木材料充填工程S103Bでは、複数の笠木施工用部材10の壁部17と、笠木材料受部19との間に、側部笠木材料8b(
図2参照)を充填する。
ここで、笠木材料充填工程S103では、上部笠木材料充填工程S103Aを行った後で側部笠木材料充填工程S103Bを行う。仮に、側部笠木材料充填工程S103Bを先に行った場合には、側部笠木材料8b(
図2参照)の重量により、笠木施工用部材10が塀本体3の上端部から脱落するおそれがあるためである。
【0048】
続いて、整形工程S105を行う。整形工程S105では、充填された上部笠木材料8a(
図2参照)の上面をコテ等で均して笠木5の上面を形成する。このとき、複数の笠木施工用部材10の壁部17の先端部17bにコテを当接させて移動させる。これにより、充填された上部笠木材料8aの上面は、複数の壁部17の先端部17bを接続して形成される仮想面に沿って平坦に形成される(
図2参照)。
また、充填された側部笠木材料8b(
図2参照)の側面をコテ等で均して笠木5の側面を形成する。このとき、複数の笠木施工用部材10の壁部17の先端部17bおよび笠木材料受部19の鉤部19aの先端部にコテを当接させて移動させる。これにより、充填された側部笠木材料8bの側面は、複数の笠木施工用部材10の壁部17の先端部および笠木材料受部19の鉤部19aの先端部を接続して形成される仮想面に沿って平坦に形成される(
図2参照)。
そして、複数の笠木施工用部材10を埋設した状態で、上部笠木材料8aおよび側部笠木材料8bが固化することにより、笠木5が形成される。
【0049】
本実施形態によれば、笠側部16の下方において下方に向かって立設された主水切り板23を備えているので、笠木材料受部19の上方に形成された笠木5の側面を下方に向かって流れる雨水が、笠木材料受部19の下面を伝搬したあと主水切り板23によって下方に誘導されて落下することができる。しかも、主水切り板23が上方から下方に向かって、塀2の側面2aから離れるように外側に傾斜しているので、塀2の側面2aから離反するように雨水を落下させることができる。したがって、雨水等によって運ばれた塵埃が塀2に対して線状に付着する、いわゆる雨垂れ等の発生を効果的に抑制し、塀2の汚損を抑制することができる。
また、天板部11と側板部15とにより隅部が形成されるので、この隅部と、塀本体3の上端縁部3cとを合わせ、塀本体3の上端縁部3cに沿って天板部11を配置することにより、塀本体3の上端面3bにおいて塀本体の上端縁部3cに沿うように笠木施工用部材10を簡単に設置できる。また、塀本体3の上端縁部3cに沿うように笠木施工用部材10を設置することにより、笠木施工用部材10の壁部17によって笠木材料8を充填する領域を画成できる。したがって、型枠を設置することなく笠木材料8を充填して、笠木を施工できる。さらに、笠木施工用部材10は、除去されることなくそのまま笠木材料8に埋設されるので、笠木5の強度が確保できるとともに、従来のように型枠を取り外す工程が不要となる。したがって、簡単な施工作業で笠木5を配設できる。
【0050】
また、天板部11に貫通孔11aを設けることにより、接着剤を用いて塀本体3の上端面3bに天板部11を配置する際に、貫通孔11aに接着剤が入り込むので、塀本体3の上端面3bに天板部11を強固に固定できる。したがって、笠木施工用部材10の脱落を防止して、笠木5の施工作業を安定して行うことができる。
【0051】
また、水返し板21が塀本体3の外側に配置されているので、塀本体3の外側において、水返し板21よりも内側に水分が浸透するのを妨げることができる。これにより、笠木5の内部に浸透した水分が、塀本体3に到達するのを妨げることができるので、塀本体3の腐食を抑制できる。
【0052】
また、水返し板21により浸透が妨げられた水分を排水孔13aから排出できるので、水分が塀本体3に浸透するのを確実に抑制できる。
【0053】
また、壁部17の端部に他の笠木施工用部材10の壁部17と係止可能なクリップ25を設けることにより、塀本体3の上端縁部3cに沿うように笠木施工用部材10を設置する際に、複数の笠木施工用部材10を互いに係止して連設できる。したがって、笠木施工用部材10の大型化を抑制しつつ、複数の笠木施工用部材10の壁部17によって笠木材料8を充填する領域を画成できる。
【0054】
また、笠部13における主水切り板23と側板部15との間に、副水切り板24を備えているので、仮に主水切り板23よりも塀2の側面2a側に雨水が回りこんだとしても、副水切り板24によって雨水を下方に落下させることができる。したがって、雨水が笠部13の下面を伝搬して塀2の側面に到達するのを確実に抑制できる。とりわけ、本実施形態の副水切り板24は、笠部13の排水孔13aよりも塀2の側面2a側に設けられているので、水返し板21により堰き止められて排水孔13aから排水された雨水等が、塀2の側面2aに到達するのを確実に遮断できる。
【0055】
また、第一の笠木施工用部材10Aと、第二の笠木施工用部材10Bとの離間距離Dに対応して第三の笠木施工用部材10Cを切断する切断工程S101Bと、第一の笠木施工用部材10Aと、第二の笠木施工用部材10Bとの間に、切断した第三の笠木施工用部材10Cを設置する第二設置工程S101Cとを備えているので、所定の位置に第一の笠木施工用部材10Aと、第二の笠木施工用部材10Bとを設置しつつ、両笠木施工用部材10A,10Bの間に、第三の笠木施工用部材10Cを精度よく設置できる。したがって、複数の笠木施工用部材10を塀本体3の上端面3bに連設して設置する際に、所定の位置に複数の笠木施工用部材10を簡単に設置できる。したがって、笠木施工用部材10の寸法誤差に起因する、笠木施工用部材10の設置位置のズレを防止できるので、笠木5を精度よく配設できる。
【0056】
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0057】
各実施形態では、笠木材料8としてモルタルを用いていた。しかし、笠木材料8はモルタルに限られず、例えばコンクリートや樹脂材料等であってもよい。
【0058】
実施形態では、塀本体3の外側の上端縁部3cに沿って笠木施工用部材10を直線状に設置していたが、例えば塀本体3の長手方向の端部における塀本体3の上端縁部3cに沿って、U字形状に笠木施工用部材10を設置してもよい(
図5における塀本体3の長手方向の端部に設置された笠木施工用部材10を参照。)。
また、塀2が屈曲している場合についても同様に、屈曲した塀本体3の上端縁部3cに沿って、塀本体3の内側隅部(入隅)および外側角部(出隅)に笠木施工用部材10を設置してもよい。
【0059】
笠木施工用部材10の形状や材質等は、実施形態に限定されない。また、実施形態では、複数の笠木施工用部材10を連設していたが、複数の笠木施工用部材10を一体成形してもよい。
また、仕上材6により塀本体3の側面3aを覆って塀2を形成していたが、仕上材6により塀本体3の側面3aを覆うことなく塀2を形成してもよい。この場合は、塀本体3の側面3aが塀2の側面2aに相当する。
また、実施形態では、副水切り板24を一枚形成していたが、枚数は一枚に限られることはなく、複数枚であってもよい。
【0060】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。