特許第6232682号(P6232682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232682
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20171113BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20171113BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20171113BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H02G3/22
   B60R16/02 622
   F16L5/02 A
   H01B17/58 C
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-216010(P2013-216010)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-161202(P2014-161202A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2013-8891(P2013-8891)
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】松井 良夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 浩司
【審査官】 中木 努
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−114717(JP,U)
【文献】 特開平07−282667(JP,A)
【文献】 特開2010−268572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
B60R 16/02
F16L 5/02
H01B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象部材に対し水密に係合する水密係合部と、前記取付対象部材を貫通する線状部材の外側を覆う外装筒部とを有するグロメットにおいて、
前記水密係合部は、平坦な面の壁を有するとともに、該壁にハーネス貫通孔を有し、
前記外装筒部は、屈曲筒部と、該屈曲筒部に連続する蛇腹筒部とを有し、
前記屈曲筒部は、一端が前記ハーネス貫通孔の縁部に連続し且つ他端が前記壁の垂直軸に交差する方向に向くように屈曲した状態に予め形成され、
前記蛇腹筒部には、前記垂直軸に沿ってのび且つ前記水密係合部の前記壁に向けてのび且つ該壁の前記平坦な面に一体化して前記外装筒部を支えるような角度方向規制部を設け
前記角度方向規制部の軸に直交し前記屈曲筒部へ向かう方向で前記角度方向規制部を見ると、該角度方向規制部は、前記蛇腹筒部に一体化する部分から前記水密係合部に一体化する部分の間に略三角となる形状の部分を有するリブであり、
さらに、前記角度方向規制部は、内側に空洞部を有する中空のリブであ
ことを特徴とするグロメット。
【請求項2】
請求項1に記載のグロメットにおいて、
前記角度方向規制部は、前記蛇腹筒部に形成される複数の山部及び谷部のうち一部に一体化してな
ことを特徴とするグロメット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水密係合部と外装筒部とを有するグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のパネルに形成された開口部に対しワイヤハーネス(線状部材)を挿通する際、開口部とワイヤハーネスとの接触を防止し、さらには、パネル内への水分の浸入を防止するためにグロメットが用いられる(例えば下記特許文献1参照)。以下、従来のグロメットの構成及び構造について説明をする。
【0003】
図10において、グロメットは一物体のものと、二物体のもが知られる。先ず、図10(a)に示す如くの一物体のグロメット101について説明をすると、グロメット101は、ゴムの成型品であって、一端が自動車のパネル102に取り付けられ、他端は開閉動をする図示しないバックドアに取り付けられる。グロメット101は、パネル102とバックドアとに跨って配索されるワイヤハーネス103を外装するために設けられる。グロメット101は、パネル係合部104と、このパネル係合部104に連続する外装筒部105とを有する。
【0004】
パネル係合部104は、パネル102に対し水密に係合する部分として形成される。一方、外装筒部105は、ワイヤハーネス103を覆って外装する部分として形成される。このような外装筒部105には、パネル係合部104に対し図示の如く屈曲状態で連続する屈曲筒部106が形成される。また、この屈曲筒部106に連続するように蛇腹筒部107も形成される。
【0005】
下記特許文献1の開示技術によれば、屈曲筒部106の外面には、リブ108が複数形成される。このリブ108は、蛇腹筒部107との境界部分近傍に配置形成される。また、リブ108は、円環形状に突出するように形成される。
【0006】
次に、図10(b)に示す如くの二物体のグロメット121は、樹脂製のインナー部材122と、このインナー部材122の外側に取り付けられるゴム製のアウター部材123とを備えて構成される。インナー部材122は、自動車のパネル124に係止される係止部125を有し、アウター部材123のパネル係合部126の内側に取り付けられる。アウター部材123は、上記パネル係合部126と、このパネル係合部126に連続する外装筒部127とを有する。
【0007】
外装筒部127には、パネル係合部126に対し図示の如く屈曲状態で連続する屈曲筒部128と、この屈曲筒部128に連続する蛇腹筒部129とが形成される。
【0008】
下記特許文献1の開示技術によれば、屈曲筒部128の内面には、リブ130が複数形成される。このリブ130は、円環形状の部分と、管軸に沿ってのびる部分とから構成される。円環形状の部分は、蛇腹筒部129との境界部分近傍、パネル係合部126との境界部分近傍、及びこれらの中間部分に配置形成される。
【0009】
尚、下記特許文献1には、管軸に沿ってのびる一本のリブを蛇腹筒部に付加する例も開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−211809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記従来技術にあっては、円環形状のリブ108、複数のリブ130により補強されるものの、外装筒部105、127に不必要な変形が発生してしまうという虞がある。不必要な変形は、倒れや曲がりであり、パネル102、124への嵌合時に引っ張る等の外力が加わった場合に、又は、ワイヤハーネス103に余長がある場合に発生してしまう。仮に不必要な変形が発生した場合には、成形時の外装筒部105、127の角度や方向通りに、ワイヤハーネス103を配索することができなくなってしまう虞があり、車両への干渉や開閉体(バックドア等)に挟まれてしまうという不具合につながってしまうことになる。
【0012】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、不必要な変形を抑えて角度や方向を確保することが可能なグロメットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明は、取付対象部材に対し水密に係合する水密係合部と、前記取付対象部材を貫通する線状部材の外側を覆う外装筒部とを有するグロメットにおいて、前記水密係合部は、平坦な面の壁を有するとともに、該壁にハーネス貫通孔を有し、前記外装筒部は、屈曲筒部と、該屈曲筒部に連続する蛇腹筒部とを有し、前記屈曲筒部は、一端が前記ハーネス貫通孔の縁部に連続し且つ他端が前記壁の垂直軸に交差する方向に向くように屈曲した状態に予め形成され、前記蛇腹筒部には、前記垂直軸に沿ってのび且つ前記水密係合部の前記壁に向けてのび且つ該壁の前記平坦な面に一体化して前記外装筒部を支えるような角度方向規制部を設け、前記角度方向規制部の軸に直交し前記屈曲筒部へ向かう方向で前記角度方向規制部を見ると、該角度方向規制部は、前記蛇腹筒部に一体化する部分から前記水密係合部に一体化する部分の間に略三角となる形状の部分を有するリブであり、さらに、前記角度方向規制部は、内側に空洞部を有する中空のリブであることを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、取付対象部材に対し水密係合部を係合させると、水密係合部は動かない状態になる。また、外装筒部は角度方向規制部にて、動かない状態にある水密係合部と接続される。従って、外装筒部は角度方向規制部にて支えられた状態になることから、例えば外装筒部に外力が加わったとしても不必要な変形を抑えることができる。外装筒部の不必要な変形を抑えることができれば、外装筒部の角度や方向を確保することができ、干渉するといった不具合を防止することができる。また、開閉体がある部分に取り付けられるのであれば、挟まれるといった不具合も防止することができる。
【0020】
また、本発明によれば、角度方向規制部を上記方向から見て、略三角となる形状の部分を有するリブにすることから、例えば外装筒部に外力が加わったとしても屈曲筒部の不必要な変形を形状的に抑えることができる。本発明のように、略三角となる形状の部分を有するリブとして角度方向規制部を設けることで、屈曲筒部での応力集中や、屈曲筒部と水密係合部との連続部分での応力集中を抑制することができる。従って、強度や耐久性を向上させることができる。また、本発明によれば、略三角となる形状の部分を有するリブであることから、複雑な形状でなく、成形性を良好にすることもできる。
【0022】
また、本発明によれば、内側に空洞部を有する中空のリブであることから、角度方向規制部自体の曲げをし易くすることができる。従って、例えば取付対象部材に対する水密係合部の係合作業の際に曲げて、この作業をし易くすることもできる。
【0023】
請求項に記載の本発明は、請求項1に記載のグロメットにおいて、前記角度方向規制部は、前記蛇腹筒部に形成される複数の山部及び谷部のうち一部に一体化してなることを特徴とする。
【0024】
このような特徴を有する本発明によれば、蛇腹状筒部に形成される複数の山部及び谷部のうち一部に角度方向規制部を一体化させることから、蛇腹筒部の機能を確保することができる。また、本発明によれば、略柱状のリブ又は略壁状の板リブとなる角度方向規制部を上記一部に一体化させることから、この一体化部分の反対側に位置する山部及び谷部に伸縮性(若しくは伸長性)を持たせることができる。伸縮性(伸長性)を持たせることができれば、この部分を応力吸収部分として機能させることもできる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載された本発明によれば、角度方向規制部を設けて外装筒部と水密係合部とを接続し外装筒部を支えた状態にすることから、例えば外力が加わったとしても外装筒部の不必要な変形を抑えることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、外装筒部の角度や方向を確保することができ、以て干渉や挟まれるといった不具合を防止することができるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明によれば、角度方向規制部のより良い形状を提供することができるという効果を奏する。
【0027】
請求項に記載された本発明によれば、請求項1に記載の効果に加え次のような効果も奏する。すなわち、蛇腹筒部に角度方向規制部を設けても、蛇腹筒部の機能を確保することができるという効果や、蛇腹筒部に応力吸収部分としての機能を持たせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のグロメットに係る構成図である(実施例1)。
図2】グロメットの斜視図である。
図3】グロメットの斜視図である。
図4】比較例となるグロメットの斜視図である。
図5】他の例となるグロメットの斜視図である(実施例2)。
図6】他の例となるグロメットの斜視図である(実施例3)。
図7】他の例となるグロメットの斜視図である(実施例4)。
図8】他の例となるグロメットの斜視図である(実施例5)。
図9】他の例となるグロメットの斜視図である(実施例6)。
図10】従来例のグロメットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
グロメットは、取付対象部材に対し水密に係合する水密係合部と、屈曲筒部及び蛇腹筒部を有する外装筒部と、外装筒部から水密係合部に向けてのび且つ水密係合部に一体化する角度方向規制部とを含んで構成される。
【実施例1】
【0030】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明のグロメットに係る構成図である。また、図2及び図3はグロメットの斜視図、図4は比較例となるグロメットの斜視図である。
【0031】
図1において、グロメット1は、特に限定するものでないが二物体のものとして設けられ、また、自動車等の車両用のものとして設けられる。グロメット1は、樹脂製で硬質になるインナー部材2と、このインナー部材2の外側に取り付けられるゴム製(例えばEPDM。又はエラストマー製)で軟質になるアウター部材3とを備えて構成される。グロメット1は、本実施例において、パネル(取付対象部材。図示省略)及び開閉体(取付対象部材。図示省略)に取り付けられるとともに、これらに跨って配索されるワイヤハーネス(線状部材。図示省略)を外装するために設けられる。
【0032】
尚、上記開閉体としては、ドアやトランク等が挙げられるものとする。この開閉体は、可動体と読み替えてもよいものとする。また、上記パネルの他に車体フレーム等も挙げられるものとする。
【0033】
インナー部材2は樹脂の成型品であって、このようなインナー部材2には、ワイヤハーネスを固定するためのハーネス固定部4と、図示しない係止部とが形成される。インナー部材2は、アウター部材3の後述するパネル係合部5の内側や、後述する開閉体係合部の内側に本体部分が取り付けられ、上記係止部によって車両のパネルや開閉体に係止される構造を有する。ここでは、インナー部材2を公知の構造であるものとし、詳細な説明は省略するものとする。
【0034】
図1及び図2において、アウター部材3は、所謂グロメット本体に相当し、パネル係合部5(水密係合部)と、このパネル係合部5に一端が連続する外装筒部6と、外装筒部6の他端に連続する図示しない開閉体係合部(水密係合部)とを含んで構成される。また、アウター部材3は、本発明の特徴部分となる角度方向規制部7を含んで構成される。
【0035】
パネル係合部5は、車両のパネルに対し水密に係合する形状に形成される。また、パネル係合部5は、この内側にインナー部材2を保持する形状にも形成される。パネル係合部5は、平坦な上面の上壁8を有する。この上壁8の略中央位置には、図示しないハーネス挿通孔が形成される。ハーネス挿通孔の縁部には、外装筒部6の一端が連成される。上壁8は、アウター部材3の内側にインナー部材2が取り付けられると、恰も剛性が付加された状態の部分になる。
【0036】
外装筒部6は、ワイヤハーネスの外側を覆う円筒状の部分であって、開閉体の開閉動に配慮した長さに形成される。また、外装筒部6は、アウター部材3がゴム製(又はエラストマー製)のものであることから、開閉体の開閉動に追従可能な形状にも形成される。外装筒部6は柔軟性を有し、このような外装筒部6のパネル係合部5側には、屈曲筒部9と、蛇腹筒部10と、ストレート筒部11とが形成される。
【0037】
屈曲筒部9は、パネル係合部5に対し屈曲した状態で連続するように形成(成形)される。具体的には、屈曲筒部9の一端がパネル係合部5のハーネス挿通孔の縁部に連続し、他端が上壁8の垂直軸に交差する方向に向くように屈曲した状態に形成される。外装筒部6の角度θや方向Dは、屈曲筒部9の屈曲状態にて決定される。
【0038】
蛇腹筒部10は、外装筒部6における曲げ部分であって、複数の山部12及び谷部13を有する公知の蛇腹管形状に形成される。蛇腹筒部10は、この一端が屈曲筒部9の上記他端に連続し、そして、所定長さで真っ直ぐにのびるように形成される(蛇腹筒部10は、本実施例において山部12が七つある長さに形成される)。
【0039】
ストレート筒部11は、外装筒部6における直管部分であって、この一端が蛇腹筒部10の他端に連続し、そして、所定長さで真っ直ぐにのびるように形成される。また、ストレート筒部11の他端は、開閉体係合部側の蛇腹筒部に連続するように、又は開閉体係合部に対し直接連続するように形成される。尚、ストレート筒部11は、これを設けずに蛇腹筒部10にて代替してもよいものとする。
【0040】
角度方向規制部7は、外装筒部6の不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保する部分であり、蛇腹筒部10からパネル係合部5の上壁8へと真っ直ぐのびて一体化するように、また、外装筒部6を支えることができるように形成される。具体的には、上壁8の垂直軸に沿って真っ直ぐにのびる略柱状(ここでは四角柱状)のリブ形状に形成される(形状は一例であるものとする)。また、角度方向規制部7は、比較的太く形成される。
【0041】
尚、角度方向規制部7の太さは、外装筒部6に加わる外力やワイヤハーネスの余長による影響に配慮して適宜設定されるものとする。角度方向規制部7は、中実、中空のいずれであってもよいものとする(本実施例においては中実が採用される。中空の場合は実施例3〜6にて後述する)。
【0042】
角度方向規制部7は、本実施例において七つある山部12のうちの三つに一体化するとともに、この三つの山部12の間にある二つの谷部13にも一体化するように配置形成される。角度方向規制部7は、上記のような配置であることから、蛇腹筒部10はこの機能を十分に確保することができる。
【0043】
角度方向規制部7は、蛇腹筒部10に対し一体化することにより、この一体化部分の反対側を蛇腹伸長部14に、また、蛇腹伸長部14よりもストレート筒部11側を蛇腹屈曲部15にすることができる。すなわち、図3に示す如く、外装筒部6の曲げ(例えば開閉体の開閉動に伴う曲げ)に対し蛇腹伸長部14は山部12の間隔がのびるように、また、蛇腹屈曲部15は外装筒部6の曲げに応じて伸縮して所定の屈曲状態になるようにすることができる。山部12の間隔がのびることから、蛇腹伸長部14を応力吸収部分として機能させることができる。
【0044】
以上のような角度方向規制部7を設けることで、外装筒部6の不必要な変形(屈曲筒部9での倒れや曲がり)を抑えて角度θや方向Dを確保することができるという効果を奏する。角度θや方向Dを確保することができれば、車両への干渉や開閉体に挟まれるといった不具合を防止することもできるという効果を奏する。
【0045】
また、角度方向規制部7を設けることで、屈曲筒部9での応力集中や、屈曲筒部9とパネル係合部5との連続部分での応力集中を抑制することもできるという効果を奏する。さらに、応力集中を抑制することができれば、耐久性の向上を図ることもできるという効果を奏する。
【0046】
この他、角度方向規制部7を設けることで、外装筒部6の破断を防止することもできるという効果を奏する。
【0047】
尚、角度方向規制部7を設けない場合には、図4で比較例として示すグロメット201のように屈曲筒部202で倒れたり曲がったりしてしまう虞がある。すなわち、角度θや方向D(図2参照)を確保することができなくなることから、車両への干渉や開閉体に挟まれてしまうといった不具合が懸念される。
【0048】
以上、図1ないし図4を参照しながら説明してきたように、本発明のグロメット1は、不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保することができるという効果を奏する。
【0049】
ここで、上記構成及び構造の場合でのグロメット1の特徴をまとめてみる。
【0050】
(1)係止部を有し且つ硬質材からなるインナー部材2と、このインナー部材2の外側に取り付けられ且つ軟質材からなるアウター部材3とを備えるグロメット1であって、
アウター部材3は、インナー部材2の前記係止部を取付対象部材に係止させることにより取付対象部材に対し水密に係合する水密係合部(パネル係合部5)と、前記取付対象部材を貫通する線状部材の外側を覆う外装筒部6とを有するグロメット1において、
外装筒部6は、水密係合部に対し屈曲状態で連続する屈曲筒部9と、この屈曲筒部9に連続する蛇腹筒部10とを有し、
蛇腹筒部10には、水密係合部に向けてのび且つこの水密係合部に一体化する角度方向規制部7を設ける
ことを特徴とするグロメット1。
【0051】
(2)上記(1)のグロメット1において、
角度方向規制部7は、略柱状に形成されるリブであり、また、角度方向規制部7は、蛇腹筒部10に形成される複数の山部12及び谷部13のうち一部に一体化してなる
ことを特徴とするグロメット1。
【0052】
(3)上記(1)〜(2)のグロメット1において、
当該グロメット1は、車両に設けられるパネル(前記取付対象部材)及び開閉体に跨って取り付けられ、且つ、前記硬質材は樹脂材料であるとともに、前記軟質材はエラストマー又はこのエラストマーに区分されるゴムであり、前記線状部材はワイヤハーネスである
ことを特徴とするグロメット1。
【実施例2】
【0053】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図5は他の例となるグロメットの斜視図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
図5において、グロメット31は、特に限定するものでないが一物体のものとして設けられ、また、自動車等の車両用のものとして設けられる。さらに、グロメット31は、ゴム製(例えばEPDM。又はエラストマー製)で軟質なものとして設けられる。このようなグロメット31は、パネル係合部5と、このパネル係合部5に一端が連続する外装筒部6と、外装筒部6の他端に連続する図示しない開閉体係合部とを含んで構成される。また、グロメット31は、本発明の特徴部分となる角度方向規制部32を含んで構成される。
【0055】
角度方向規制部32は、外装筒部6の不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保する部分であって、蛇腹筒部10からパネル係合部5の上壁8へと真っ直ぐのびて一体化するように、また、外装筒部6を支えることができるように形成される。具体的には、上壁8の垂直軸に沿って真っ直ぐにのびる略壁状の板リブ形状に形成される(形状は一例であるものとする)。
【0056】
角度方向規制部32は、板リブ本体32aと、蛇腹一体化部32bとを有する図示形状に形成される。蛇腹一体化部32bは、本実施例において七つある山部12のうちの三つに一体化するとともに、この三つの山部12の間にある二つの谷部13にも一体化するように配置形成される。
【0057】
角度方向規制部32は、実施例1の角度方向規制部7(図1図3参照)と形状が異なるものの同じ機能を発揮させることができる。従って、グロメット31も不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保することができるという効果を奏する。
【実施例3】
【0058】
以下、図面を参照しながら実施例3を説明する。図6は他の例となるグロメットの斜視図、及び角度方向規制部の断面図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図6において、グロメット41は、特に限定するものでないが二物体のものとして設けられ、また、自動車等の車両用のものとして設けられる。さらに、グロメット41は、ゴム製(例えばEPDM。又はエラストマー製)で軟質なものとして設けられる。このようなグロメット41は、パネル係合部5と、このパネル係合部5に一端が連続する外装筒部6と、外装筒部6の他端に連続する図示しない開閉体係合部とを含んで構成される。また、グロメット41は、本発明の特徴部分となる角度方向規制部42を含んで構成される。
【0060】
角度方向規制部42は、外装筒部6の不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保する部分であって、蛇腹筒部10からパネル係合部5の上壁8へとのびて一体化するように、また、外装筒部6を支えることができるように形成される。角度方向規制部42は、上壁8の垂直軸に沿ってのびるリブ形状に形成される。尚、垂直軸は、角度方向規制部42の軸(矢印P参照)と平行であるものとする。
【0061】
ここで、矢印Pに直交して屈曲筒部9を見るような方向の矢印をQとすると、角度方向規制部42はこの矢印Q方向から見て、次のような特徴のある形状に形成される。すなわち、角度方向規制部42は、蛇腹筒部10に一体化する蛇腹一体化部42aからパネル係合部5に向けて略三角に広がる形状で且つ内側に空洞部42bを有する中空のリブ形状に形成される。
【0062】
角度方向規制部42における引用符号42cは三角支持壁、42dは傾斜側壁、42eはパネル係合部5に一体化するパネル一体化部をそれぞれ示す。三角支持壁42cの頂部は、蛇腹筒部10に一体化する蛇腹一体化部42aを構成する。角度方向規制部42は、各壁の厚みが適宜設定される。その厚みに応じて内部空間である空洞部42bが形成される。空洞部42bは、これを形成することにより、ある程度の曲げを許容することができるようになる。尚、蛇腹一体化部42aは、実施例1の蛇腹一体化部32bと同様に、三つの山部12と二つの谷部13とに跨って一体化するように配置形成される。
【0063】
以上、角度方向規制部42は、矢印P方向から見て略三角となる形状の部分、すなわち三角支持壁42cを有するリブであることから、例えば外装筒部6に外力が加わったとしても、屈曲筒部9の不必要な変形を形状的に抑えることができる。本実施例のように三角支持壁42cを有するリブとして角度方向規制部42を設けることで、屈曲筒部9での応力集中や、屈曲筒部9とパネル係合部5との連続部分での応力集中を抑制することができる。従って、強度や耐久性を向上させることができるという効果を奏する。本実施例は、上記実施例1、2と同様、グロメット41の不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保することができるという効果を奏する。
【0064】
また、本実施例の角度方向規制部42は、複雑な形状でないことから、グロメット41の成形性を良好にすることができるという効果も奏する。さらに、本実施例の角度方向規制部42は、内側に空洞部42bを有する中空のリブであることから、曲げを許容することができ、以てパネル係合部5を取り付ける際の係合作業をし易くすることができるという効果も奏する。
【実施例4】
【0065】
以下、図面を参照しながら実施例4を説明する。図7は他の例となるグロメットの斜視図、及び角度方向規制部の断面図である。尚、上記実施例3と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
図7において、グロメット51は、実施例3のグロメット41の変形例であり、角度方向規制部52のみが異なる。角度方向規制部52は、矢印Q方向から見て、蛇腹筒部10に一体化する蛇腹一体化部52aからパネル係合部5に向けて略三角となる形状の部分と、この形状の部分に連続してパネル係合部5に一体化する四角形の部分とを有し、且つ、内側に空洞部52bを有する。角度方向規制部52は、中空のリブ形状に形成される。
【0067】
角度方向規制部52における引用符号52cは三角支持壁、52dは傾斜側壁、52eは四角支持壁、52fは四角側壁、52gはパネル係合部5に一体化するパネル一体化部をそれぞれ示す。三角支持壁52cの頂部は、蛇腹筒部10に一体化する蛇腹一体化部52aを構成する。角度方向規制部52は、各壁の厚みが適宜設定される。その厚みに応じて内部空間である空洞部52bが形成される。
【0068】
本実施例は、上記実施例3の変形例であり同様の効果を奏するのは勿論である。すなわち、角度方向規制部52は、矢印P方向から見て略三角となる形状の部分を有するリブであることから、実施例3と同様に強度や耐久性を向上させることができるという効果を奏する。また、グロメット51の不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保することができるという効果も奏する。さらに、成形性を良好にすることや、パネル係合部5を取り付ける際の係合作業をし易くすることができるという効果も奏する。
【実施例5】
【0069】
以下、図面を参照しながら実施例5を説明する。図8は他の例となるグロメットの斜視図、及び角度方向規制部の断面図である。尚、上記実施例3、4と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図8において、グロメット61は、実施例3、4のグロメット41、51の変形例であり、角度方向規制部62のみが異なる。角度方向規制部62は、矢印Q方向から見て、蛇腹筒部10に一体化する蛇腹一体化部62aからパネル係合部5に向けて一対の略三角となる形状の部分を有し、且つ、内側に空洞部62bを有する。角度方向規制部62は、中空のリブ形状に形成される。
【0071】
角度方向規制部62における引用符号62cは三角支持壁、62dは側壁、62eは側壁62dに形成された、くびれ部、62fはパネル係合部5に一体化するパネル一体化部をそれぞれ示す。一対の三角支持壁62cは、この頂部同士が連続するように配置形成される。角度方向規制部62は、各壁の厚みが適宜設定される。その厚みに応じて内部空間である空洞部62bが形成される。
【0072】
本実施例は、上記実施例3、4の変形例であり同様の効果を奏するのは勿論である。すなわち、角度方向規制部62は、矢印P方向から見て略三角となる形状の部分を一対有するリブであることから、実施例3、4と同様に強度や耐久性を向上させることができるという効果を奏する。また、グロメット61の不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保することができるという効果も奏する。さらに、成形性を良好にすることや、パネル係合部5を取り付ける際の係合作業をし易くすることができるという効果も奏する。
【実施例6】
【0073】
以下、図面を参照しながら実施例6を説明する。図9は他の例となるグロメットの斜視図、及び角度方向規制部の断面図である。尚、上記実施例3〜5と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
図9において、グロメット71は、実施例3〜5のグロメット41、51、61の変形例であり、角度方向規制部72のみが異なる。角度方向規制部72は、矢印Q方向から見て、蛇腹筒部10に一体化する蛇腹一体化部72aからパネル係合部5に向けて一対の略三角となる形状の部分(形状について後述する)を有し、且つ、内側に空洞部72bを有する。角度方向規制部72は、中空のリブ形状に形成される。
【0075】
角度方向規制部72における引用符号72cは三角支持壁、72dは側壁、72eは側壁72dに形成された膨らみ部、72fはパネル係合部5に一体化するパネル一体化部をそれぞれ示す。一対の三角支持壁72cは、この底辺同士が連続するように配置形成される。尚、一対の三角支持壁72cは、本実施例において、蛇腹一体化部72a及びパネル一体化部72fが図示の如く大きく形成されることから、矢印Q方向から見て一対の略三角でなく、むしろ略台形に近い形状になっている。つまり、強度的に良好であれば、厳密な三角に限定されなくてもよいものとする。
【0076】
角度方向規制部72は、各壁の厚みが適宜設定される。その厚みに応じて内部空間である空洞部72bが形成される。
【0077】
本実施例は、上記実施例3〜5の変形例であり同様の効果を奏するのは勿論である。すなわち、角度方向規制部72は、矢印P方向から見て略三角となる形状の部分を一対有するリブであることから、実施例3〜5と同様に強度や耐久性を向上させることができるという効果を奏する。また、グロメット71の不必要な変形を抑えて角度θや方向Dを確保することができるという効果も奏する。さらに、成形性を良好にすることや、パネル係合部5を取り付ける際の係合作業をし易くすることができるという効果も奏する。
【0078】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1…グロメット、 2…インナー部材、 3…アウター部材、 4…ハーネス固定部、 5…パネル係合部(水密係合部)、 6…外装筒部、 7…角度方向規制部、 8…上壁、 9…屈曲筒部、 10…蛇腹筒部、 11…ストレート筒部、 12…山部、 13…谷部、 14…蛇腹伸長部、 15…蛇腹屈曲部、 31…グロメット、 32…角度方向規制部、 32a…板リブ本体、 32b…蛇腹一体化部、 41、51、61、71…グロメット、 42、52、62、72…角度方向規制部、 42b、52b、62b、72b…空洞部、 42c、52c、62c、72c…三角支持壁(略三角となる形状の部分)
図1
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図10