(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
磁気浮上式鉄道の軌道に沿って配置される、走行に必要な磁界を一般の列車の超電導コイルに対して与える地上コイルの配置位置の評価を、通常走行しつつ行う磁気浮上式鉄道の地上コイル位置測定システムであり、
前記列車の車両の左右両側の各々における前記超電導コイルが格納された外槽の外側表面に貼着され、当該超電導コイルと前記地上コイルとの間の磁束の変化及び磁界強度を測定するループコイルからなる誘起電圧測定回路が上下2段に配置された磁界測定回路シートと、
上下2段の前記誘起電圧測定回路各々の測定値に基づき、前記地上コイルの配置位置の評価値を、予め設定された演算により算出する演算部と
を備え、
前記磁界測定回路シートが、前記車両の左側及び右側で同様に構成され、通常運行時における前記列車を推進する前記超電導コイルに対して与えられる、前記地上コイルからの当該超電導コイルを鎖交する磁束に基づいて、前記磁界の強度及び磁束の変化の測定を行い、かつ前記ループコイルが平面視で前記超電導コイルに含まれるように設けられている ことを特徴とする磁気浮上式鉄道の地上コイル位置測定システム。
磁気浮上式鉄道の軌道に沿って配置される、走行に必要な磁界を一般の列車の超電導コイルに対して与える地上コイルの配置位置の評価を通常走行しつつ行う磁気浮上式鉄道の地上コイル位置測定方法であり、
前記列車の車両の左右両側の各々における超電導コイルが格納された外槽の外側表面に貼着された磁界測定回路シートに、ループコイルからなる上下2段の誘起電圧測定回路が、当該超電導コイルと前記地上コイルとの間の磁束の変化及び磁界強度を測定する地上コイル位置測定過程と、
演算部が、上下2段の前記誘起電圧測定回路各々の測定値に基づき、前記地上コイルの配置位置の評価値を予め設定された演算により算出する演算過程と
を備え、
前記磁界測定回路シートが、前記車両の左側及び右側で同様に構成され、通常運行時における前記列車を推進する前記超電導コイルに対して与えられる、前記地上コイルからの当該超電導コイルを鎖交する磁束に基づいて、前記磁界の強度及び磁束の変化の測定を行い、かつ前記ループコイルが平面視で前記超電導コイルに含まれるように設けられている ことを特徴とする磁気浮上式鉄道の地上コイル位置測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態による地上コイル磁気測定システムを図面を参照して説明する。
図1は第1の実施形態における磁気浮上式鉄道に用いられる列車に搭載される地上コイル位置測定システムを説明するための図である。
図1(a)は、磁気浮上式鉄道に用いられる列車の左側面を示す図である。ここで、列車の側面の左右は、列車がH方向に進行している際、進行方向に対しての左右として設定されている。この
図1(a)において、列車100の左側面100Lには、外槽101Lが設けられている。この外槽101Lの外壁の表面(外槽101Lの外壁の外側の面)には磁界測定回路シート1Lが配置されている。
【0016】
図1(b)は、
図1(a)における実線A−Aで切断した、進行方向のH方向に対して垂直な断面を示している。進行方向に対して列車100の右側面100Rには外槽101Rが設けられている。この外槽101Rには、超電導コイルSCRが内部に設けられている。また、外槽101Rの外壁の表面には磁界測定回路シート1Rが設けられている。
一方、すでに
図1(a)で示したように、進行方向に対して列車100の左側面100Lには外槽101Lが設けられている。この外槽101Lには、超電導コイルSCLが内部に設けられている。また、外槽101Lの外壁の表面には磁界測定回路シート1Lが設けられている。
【0017】
図2は、超電導コイルSCR及びSCLの各々と、浮上案内コイル及び推進コイルを有する地上コイルとの対応関係を示す図である。
図2(a)は、地上コイルを含めて、
図1(a)における実線A−Aで切断した、走行方向Hに対して垂直な断面構造を示す図である。列車100の右側面100Rと対向する右側面の軌道300Rには地上コイル200Rが設けられている。地上コイル200Rは、列車100を浮上させる浮上案内コイル201Rと、列車100を進行方向に対して推進させる推進コイル202Rとを有している。ここで、超電導コイルSCRの地上コイル200Rとの対向面がN極の場合、浮上案内コイル201Rは下部側のコイルがN極であり、上部側がS極になるように、各々のコイルに電流が流れている。
【0018】
同様に、列車100の左側面100Lと対向する左側面の軌道300Lには地上コイル200Lが設けられている。地上コイル200Lは、列車100を浮上させる浮上案内コイル201Lと、列車100を進行方向に対して推進させる推進コイル202Lとを有している。ここで、超電導コイルSCLの地上コイル200Lとの対向面がS極の場合、浮上案内コイル201Lは下部側のコイルがS極であり、上部側がN極になるように、各々のコイルに電流が流れている。
図2(b)、地上コイル200R及び地上コイル200Lの各々における浮上案内コイル201R、浮上案内コイル201Lそれぞれの構成を示している。
図2(b)に示されるように、浮上案内コイル201R及び浮上案内コイル201Lの各々は、案内側から見ると(列車100の進行方向Hに対して直角方向から見ると)、8の字の形状をしている。そして、浮上案内コイル201R及び浮上案内コイル201Lの各々は、8の字の交差部分近傍がヌルフラックス線211及びヌルフラックス線212それぞれにより接続されている。そして、浮上案内コイル201Rの上部のループにおいて列車100に対向する側がN極となり、浮上案内コイル201Rの下部のループにおいて列車100に対向する側S極となり、一方、浮上案内コイル201L上部のループにおいて列車100に対向する側がN極となり、浮上案内コイル201Lの下部のループにおいて列車100に対向する側がS極となるように、印加される電流が制御される。
【0019】
このように、地上コイル200R及び200Lの各々は、磁束をそれぞれ超電導コイルSCR、SCLに流れる電流に鎖交させることで得られるローレンツ力により、列車100を浮上させ、軌道(軌道300Rと軌道300Lとで形成される磁気浮上式鉄道における軌道)内を案内する。このため、推進コイル(202R及び202L)の極性を順次変化させ、磁束をそれぞれ超電導コイルSCR、SCLに流れる電流に鎖交させることで得られるローレンツ力により、列車100を軌道内において進行方向に推進する。
本実施形態においては、地上コイル200R及び超電導コイルSCRの各々の間の磁界強度と、地上コイル200L及び超電導コイルSCLの各々の間の磁界強度とを測定する。そして、本実施形態においては、測定した磁界強度により、地上コイル200R及び地上コイル200Lの各々の配置状態あるいは異常の検知を行う。
【0020】
図3は、超電導コイルSCLと磁界測定回路シート1Lとにおける重なりの位置関係を示す平面視の図である。超電導コイルSCLは、例えば、超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4の各々を有している。すなわち、超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4の各々は、例えば、列車100の右側面100Lに設けられた外槽内101Lに配置されている。同様に、図示しないが、超電導コイルSCLは、例えば、超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4の各々を有している。すなわち、超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4の各々は、例えば列車100の左側面100Lに設けられた外槽内に配置されている。これら外槽は断熱のための真空環境保持や電磁的/機械的な支持および保護のために設置されている。
【0021】
図3に示すように、外槽101Lの外壁の表面に貼着された磁界測定回路シート1Lには、ループ状のコイル(サーチコイル)からなる磁界(誘起電圧)測定回路が2行15列の配置で30個設けられている。磁界測定回路シート1Lの1行目(上段)には、磁界測定回路UCL1〜UCL15が配置され、2行目(下段)には磁界測定回路DCL1〜DCL15が設けられている。
通常、4個の超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4は、推進コイル202Lによる3相交流の周期に対するまたは浮上案内コイル201Lの発生する基本空間磁界分布に対応して配置されている。しかしながら、これら磁界は定常磁界であり本構成のようなサーチコイルでは基本的に検出されないため、本実施形態においては、浮上案内コイルが主に生成する空間5次高調波に対応して配置している。一方、本実施形態においては、磁界の測定の際、時間に関して第3次または第6次高調波により生成された磁界を基本的に検出している。しかしながら、3相交流の周期に対するまたは浮上案内コイル201Lの発生する基本空間磁界分布も超電導磁石が浮上案内コイルに対して動揺すると本構成でも検出でき、本発明は左記物理量の利用を排除するものではない。
【0022】
図3においては、例えば、空間的に、超電導コイルSCL1に対して、誘起電圧測定回路UCL1〜UCL4と、誘起電圧測定回路DCL1〜DCL4とが平面視で重なるように、外槽101Lの外壁を介して対向している。同様に、空間的に、超電導コイルSCL2に対して、誘起電圧測定回路UCL4及びDCL4の一部と、誘起電圧測定回路UCL5〜UCL7と、誘起電圧測定回路DCL5〜DCL7と、誘起電圧測定回路UCL8及びDCL8の一部とが平面視で重なるように、外槽の外壁を介して対向している。空間的に、超電導コイルSCL3に対して、誘起電圧測定回路UCL8及びDCL8の一部と、誘起電圧測定回路UCL9〜UCL11と、誘起電圧測定回路DCL9〜DCL11と、誘起電圧測定回路UCL12及びDCL12の一部とが平面視で重なるように、外槽の外壁を介して対向している。空間的に、超電導コイルSCL4に対して、誘起電圧測定回路UCL12及びDCL12の一部と、誘起電圧測定回路UCL13〜UCL15と、誘起電圧測定回路DCL13〜DCL15とが平面視で重なるように、外槽の外壁を介して対向している。
【0023】
また、
図3において、誘起電圧測定回路の各々の下部に記載されている「U」、「W」及び「V」は、三相交流における3つの位相交流を示している。すなわち、三相交流に対応した誘起電圧測定コイル、例えば、U相の誘起電圧測定コイルUi、W相の誘起電圧測定コイルWi、V相の誘起電圧測定コイルViがそれぞれ組となって、外槽表面に沿って順次配設されている。ここで、iは整数であり、1≦i≦nである。誘起電圧測定回路の1周期が、空間5次高調波に対応して配置されていることを示している。
【0024】
誘起電圧測定回路UCL1から誘起電圧測定回路UCL15の各々は、列車100が進行方向に推進されているため、それぞれ軌道に配設された地上コイル200Lの主として上側のコイルと対向しつつ通過することになる。このとき、地上コイル200Lの磁界の強度に対応した電圧値(サーチコイルに発生する誘起電圧)の測定電圧が誘起電圧測定回路シート1Lの誘起電圧測定回路毎に出力される。また、地上コイル200Lの磁界を超電導コイルSCLが横切ることになるため、この測定電圧はパルスとして供給されることになる。このパルスの電圧を時間積分したものがサーチコイル貫通する磁束(=磁界×サーチコイルの面積)となる。
【0025】
同様に、誘起電圧測定回路DCL1から誘起電圧測定回路DCL15の各々は、列車100が推進されているため、それぞれ軌道に配設された地上コイル200Lの主として下側のコイルと対向しつつ通過することになる。このとき、地上コイル200Lの間の磁界の強度に対応した電圧値の測定電圧が誘起電圧測定回路シート1Lの誘起電圧測定回路毎に出力される。また、地上コイル200Lの磁界を超電導コイルSCLが横切ることになるため、この測定電圧はパルスとして供給されることになる。このパルスの電圧を時間積分したものがサーチコイル貫通する磁束(=磁界×サーチコイルの面積)となる。
【0026】
また、列車100の右側面100Rの外槽101Rの外部表面に設けられた誘起電圧測定回路シート1Rにおける誘起電圧測定回路も、上述した左側面100Lの外槽101Lに設けられた誘起電圧測定回路シート1Lと同様の構成である。すなわち、誘起電圧測定回路シート1Rの磁界測定回路の各々は、超電導コイルSCR(SCR1、SCR2、SCR3及びSCR4)と同様の位置関係となっており、それぞれが地上コイル200Rとの間の磁界を測定する。
【0027】
図4は、他の構成における超電導コイルSCLと誘起電圧測定回路シート1Lとにおける重なりの位置関係を示す平面視の図である。超電導コイルSCLは、
図4と同様に、超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4の各々を有している。また、図示しないが、超電導コイルSCLは、例えば、
図3と同様に、超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4の各々を有している。
【0028】
図4に示すように、外槽101Lの外壁の表面に貼着された誘起電圧測定回路シート1Lには、ループ状のコイルからなる誘起電圧測定回路が2行30列の配置で60個設けられている。磁界測定回路シート1Rの1行目(上段)には、誘起電圧測定回路UCL1〜UCL30が配置され、2行目(下段)には誘起電圧測定回路DCL1〜DCL30が設けられている。
通常、4個の超電導コイルSCL1、SCL2、SCL3、SCL4は、推進コイル202Lによる3相交流の周期に対するまたは浮上案内コイル201Lの発生する基本空間磁界分布に対応して配置されている。一方、本実施形態においては、空間5次高調波に対応して配置している。さらに、本実施形態においては、磁界の測定の際、時間第6次高調波により生成された磁界を検出している。この構成の場合、外槽101Rの外壁の表面に貼着された磁界測定回路シート1Rにも、磁界測定回路シート1Lと同様に、ループ状のコイルからなる磁界測定回路が2行30列の配置で60個設けられている。
【0029】
図5は、
図3及び
図4の各々に示す磁界測定回路シート1Lにおける誘起電圧測定回路UCL1〜UCLn(実施形態においてはn=15または30)の各々の等価回路を示す図である。誘起電圧測定回路UCL1〜UCLnの各々は、各コイルの検出する磁界を測定電圧として、測定電圧VUL1からVULnそれぞれを出力する。図示はしないが、誘起電圧測定回路DCL1〜DCLnの各々も、誘起電圧測定回路UCL1〜UCLnと同様の等価回路であり、各コイルの検出する測定電圧VDR1からVDRnそれぞれを出力する。ここで、本実施形態においては、
図3におけるnは15であり、
図4におけるnは30である。
また、図示はしないが、磁界測定回路シート1Rにおける磁界測定回路UCR1〜UCRn、DCR1〜DCRnの各々も、磁界測定回路シート1Lと同様に、各コイルの検出する測定電圧VUR1からVURn、VDR1からVDRnそれぞれを出力する。
【0030】
図6は、本発明の一実施形態による磁気浮上式鉄道に用いられる地上コイル位置測定システム10の構成例を示す図である。地上コイル位置測定システム10は、制御部11、地上コイル特定部12、演算部13、判定部14、テーブルデータベース15、測定値データベース16、評価データベース17を備えている。
制御部11は、誘起電圧測定回路UCR1〜UCR15、誘起電圧測定回路DCR1〜DCR15の各々の出力する測定電圧VUR1からVUR15、測定電圧VDR1からVDR15それぞれを、磁界測定回路シート1Rから入力する。すなわち、制御部11は、測定電圧情報として測定電圧VUR1からVUR15及び測定電圧VDR1からVDR15を含む情報入力する。ここで、各測定電圧はパルスとして供給される。また、制御部11は、測定電圧情報における測定電圧VUR1からVUR15、VDR1からVDR15それぞれをノイズフィルタを通した後、所定のサンプリング周期(パルスの形状を再現できる程度の分解能を有する)によりA/Dコンバータにより、パルス波形を示すデジタルデータに変換し、内部の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。
【0031】
同様に、 制御部11は、誘起電圧測測定回路UCL1〜UCL15、誘起電圧測測定回路DCL1〜DCL15の各々の出力する測定電圧VUL1からVUL15、VDL1からVDL15それぞれを、磁界測定回路シート1Lから入力する。すなわち、制御部11は、測定電圧情報として測定電圧VUL1からVUL15及び測定電圧VDL1からVDL15を含む情報を入力する。ここで、各測定電圧はパルスとして供給される。また、制御部11は、測定電圧VUL1からVUL15、VDL1からVDL15それぞれをノイズフィルタを通した後、所定のサンプリング周期(パルスの形状を再現できる程度の分解能を有する)によりA/Dコンバータにより、パルス波形を示すデジタルデータに変換し、内部の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。また、測定電圧を磁束密度に変換するための積分などもこの制御部11で行う。
また、制御部11は、列車100における超電導磁石SCRまたは超電導磁石SCRを固定する台車100に配置されたジャイロからのジャイロ情報を入力する。このジャイロ情報は、外槽の絶対位置及び姿勢(上下(y軸)方向、左右(x軸)方向、ロー、ピッチ、ヨーなど)の測定値である。制御部11は、上記サンプリング周期により、上記測定電圧情報とともに、内部の内部記憶部に一旦書き込んで記憶させる。
後述するが、上記ジャイロ情報は、演算部13が行う下記の演算において用いられる。
地上コイルの真の取り付け位置(誤差)=本発明で測定した台車から見た相対的な地上オイルの位置−ジャイロなどで測定した台車の絶対位置
【0032】
地上コイル特定部12は、現在超電導コイルSC1RからSC4Rの各々が通過している浮上案内コイル201R、推進コイル202Rの各々の位置を検出し、検出結果を制御部11に対して出力する。
また、現在超電導コイルSC1LからSC4Lの各々が通過している浮上案内コイル201L、推進コイル202Lの各々の位置を検出し、検出結果を制御部11に対して出力する。
【0033】
図7は、テーブルデータベース15に記憶されている、軌道に配置された地上コイル200の各々の位置情報と、その位置情報にある地上コイルを識別する地上コイル番号とが対応した地上コイル位置テーブルの構成を示す図である。
図7(a)は、地上コイル200における推進コイル202R、202Lの位置情報と、その位置にある推進コイル202R、202Lを識別する推進コイル番号との対応を示す推進コイル位置テーブルの構成を示している。ここで、mは、例えば列車100が経由する駅間毎の軌道に配置された推進コイル202R、202Lの全数を示す数である。この推進コイル番号は、例えば、駅間における上りの出発駅から次の駅まで、推進コイル202R、202Lの配置順に割り付けられている。
【0034】
一方、
図7(b)は、地上コイル200における浮上案内コイル201R、201Lの位置情報と、その位置にある浮上案内コイル201R、201Lを識別する浮上案内コイル番号との対応を示す浮上案内コイル位置テーブルの構成を示している。ここで、qは、例えば列車100が経由する駅間毎の軌道に配置された浮上案内コイル201R、201Lの全数を示す数である。この浮上案内コイル番号は、例えば、駅間における上りの出発駅から次の駅まで、浮上案内コイル201R、201Lの配置順に割り付けられている。
【0035】
図6に戻り、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Rにおける磁界測定回路の各々に設けられたGPS(Global Positioning System)回路から、磁界測定回路シート1Rにおける磁界測定回路の位置を位置情報(GPS情報)により検出する。そして、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Rにおける磁界測定回路の各々が検出している磁界がいずれの浮上案内コイル201R、推進コイル202Rによるものであるかの判定を行う。
【0036】
すなわち、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したGPS回路からの位置情報により、テーブルデータベース15における浮上案内コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する浮上案内コイル201Rの浮上案内コイル番号を抽出し、磁界を検出している浮上案内コイル201Rの特定を行う。同様に、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したGPS回路からの位置情報により、テーブルデータベース15における推進コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する推進コイル202Rの推進コイル番号を抽出し、磁界を検出している推進コイル202Rの特定を行う。
【0037】
一方、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Lにおける磁界測定回路の各々に設けられたGPS回路から、磁界測定回路シート1Rの場合と同様に、磁界測定回路シート1Lにおける磁界測定回路の位置を位置情報により検出する。そして、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Lにおける磁界測定回路の各々が検出している磁界がいずれの浮上案内コイル201L、推進コイル202Lによるものであるかの判定を行う。
【0038】
すなわち、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したGPS回路からの位置情報により、テーブルデータベース15における浮上案内コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する浮上案内コイル201Lの浮上案内コイル番号を抽出し、磁界を検出している浮上案内コイル201Lの特定を行う。同様に、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したGPS回路からの位置情報により、テーブルデータベース15における推進コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する推進コイル202Lの推進コイル番号を抽出し、磁界を検出している推進コイル202Lの特定を行う。ここで、位置情報は、推進コイル及び浮上案内コイルの各々の設置範囲、すなわち推進コイル及び浮上案内コイルの各々の長さを示している。
【0039】
制御部11は、地上コイル特定部12が特定した推進コイル番号に対応させ、測定した測定電圧(例えば、各誘起電圧測定回路のパルスの波形の測定電圧における最大値)を、測定値データベース16に書き込んで記憶させる。すなわち、制御部11は、内部記憶部に記憶した測定電圧において位置情報の範囲内で最大の電圧値を、その推進コイル番号の示す推進コイルの電界の強度値として、推進コイル番号に対応させて、測定電圧を測定値データベース16に書き込んで記憶させる。
【0040】
同様に、地上コイル特定部12が特定した浮上案内コイル番号に対応させ、測定した測定電圧(例えば、各磁気測定回路のパルスの波形の測定電圧における最大値)を、測定値データベース16に書き込んで記憶させる。すなわち、制御部11は、内部記憶部に記憶した測定電圧において位置情報の範囲内で最大の電圧値を、その浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイルの磁界の強度値として、浮上案内コイル番号に対応させて、測定電圧を測定値データベース16に書き込んで記憶させる。
【0041】
図8は、測定値データベース16に記憶されている、軌道に配置された推進コイル202の各々の推進コイル番号と、その推進コイル番号に対応した磁界測定回路シートにおける磁界測定回路毎の測定電圧とが対応した推進コイル測定電圧テーブルの構成を示す図である。
図8(a)は、地上コイル200における推進コイル202Lの推進コイル番号と、その推進コイル番号の示す推進コイル202Lの磁界強度を測定した測定電圧との対応を示す推進コイル測定電圧テーブルの構成を示している。すなわち、推進コイル番号の各々に対応付けられて、磁界測定回路UCL1からコイル回路UCL15の各々の測定電圧VUL1からVUL15と、磁界測定回路DCL1からコイル回路DCL15の各々の測定電圧VDL1からVDL15とが、測定値データベース16における推進コイル測定電圧テーブルに対して書き込んで記憶される。
【0042】
図8(b)は、地上コイル200における推進コイル202Rの推進コイル番号と、その推進コイル番号の示す推進コイル202Rの磁界強度を測定した測定電圧との対応を示す推進コイル測定電圧テーブルの構成を示している。すなわち、推進コイル番号の各々に対応付けられて、磁界測定回路UCR1からコイル回路UCR15の各々の測定電圧VUR1からVUR15と、磁界測定回路DCR1からコイル回路DCR15の各々の測定電圧VDR1からVDR15とが、測定値データベース16における推進コイル測定電圧テーブルに対して書き込んで記憶される。
【0043】
図9は、測定値データベース16に記憶されている、軌道に配置された浮上案内コイル201の各々の浮上案内コイル番号と、その浮上案内コイル番号に対応した磁界測定回路シートにおける磁界測定回路毎の測定電圧とが対応した浮上案内コイル測定電圧テーブルの構成を示す図である。
図9(a)は、地上コイル200における浮上案内コイル201Lの浮上案内コイル番号と、その浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイル201Lと超電導コイルSCLとの電界強度を測定した測定電圧との対応を示す推進コイル測定電圧テーブルの構成を示している。すなわち、浮上案内コイル番号の各々に対応付けられて、磁界測定回路UCL1からコイル回路UCL15の各々の測定電圧VUL1からVUL15と、磁界測定回路DCL1からコイル回路DCL15の各々の測定電圧VDL1からVDL15とが、測定値データベース16における浮上案内コイル測定電圧テーブルに対して書き込んで記憶される。
【0044】
図9(b)は、地上コイル200における浮上案内コイル201Rの推進コイル番号と、その浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイル202Rと超電導コイルSCRとの電界強度を測定した測定電圧との対応を示す浮上案内コイル位置テーブルの構成を示している。すなわち、浮上案内コイル番号の各々に対応付けられて、磁界測定回路UCR1からコイル回路UCR15の各々の測定電圧VUR1からVUR15と、磁界測定回路DCR1からコイル回路DCR15の各々の測定電圧VDR1からVDR15とが、測定値データベース16における浮上案内コイル測定電圧テーブルに対して書き込んで記憶される。
【0045】
図6に戻り、判定部14は、測定値データベース16の浮上案内コイル測定電圧テーブルから、測定電圧VUL1からVUL15及びVDR1からVDR15をそれぞれ読み出す。そして、判定部14は、読み出した測定電圧VUL1からVUL15及びVDR1からVDR15の各々が、予め設定された正常電圧範囲に含まれているか否かの判定を行う。判定部14は、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル異常テーブルに対して判定結果を書き込んで記憶させる。
【0046】
すなわち、判定部14は、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル異常テーブルに対して、予め設定された正常電圧範囲外にある測定電圧に対応する浮上案内コイル番号の判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込んで記憶させる。一方、判定部14は、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル異常テーブルに対して、予め設定された正常電圧範囲内にある測定電圧に対応する浮上案内コイル番号の判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込んで記憶させる。
【0047】
図10は、軌道に配置されている推進コイルの各々が異常あるいは正常であるかを示す、評価データベース17に記憶されている推進コイル異常テーブルの構成を示す図である。
図10(a)は、軌道において列車100の進行方向に対して左側の軌道300Lに設置されている推進コイルを示す推進コイル番号と、この推進コイル番号の示す推進コイルの異常及び正常のいずれかであるかの判定結果とが対応して記載された推進コイル異常テーブルの構成を示している。
【0048】
同様に、
図10(b)は、軌道において列車100の進行方向に対して右側の軌道300Rに設置されている推進コイルを示す推進コイル番号と、この推進コイル番号の示す推進コイルの異常及び正常のいずれかであるかの判定結果とが対応して記載された推進コイル異常テーブルの構成を示している。
【0049】
図6に戻り、判定部14は、測定値データベース16の推進コイル測定電圧テーブルから、測定電圧VUL1からVUL15及びVDR1からVDR15をそれぞれ読み出す。そして、判定部14は、読み出した測定電圧VUL1からVUL15及びVDR1からVDR15の各々が、予め設定された正常電圧範囲に含まれているか否かの判定を行う。判定部14は、評価データベース17に記憶されている推進コイル異常テーブルに対して判定結果を書き込んで記憶させる。
【0050】
すなわち、判定部14は、評価データベース17に記憶されている推進コイル異常テーブルに対して、予め設定された正常電圧範囲外にある測定電圧に対応する推進コイル番号の判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込んで記憶させる。一方、判定部14は、評価データベース17に記憶されている推進コイル異常テーブルに対して、予め設定された正常電圧範囲内にある測定電圧に対応する推進コイル番号の判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込んで記憶させる。
【0051】
図11は、軌道に配置されている浮上案内コイルの各々が異常あるいは正常であるかを示す、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル異常テーブルの構成を示す図である。
図11(a)は、軌道において列車100の進行方向に対して左側の軌道300Lに設置されている浮上案内コイルを示す浮上案内コイル番号と、この浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイルの異常及び正常のいずれかであるかの判定結果とが対応して記載された浮上案内コイル異常テーブルの構成を示している。同様に、
図10(b)は、軌道において列車100の進行方向に対して右側の軌道300Rに設置されている浮上案内コイルを示す浮上案内コイル番号と、この浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイルの異常及び正常のいずれかであるかの判定結果とが対応して記載された浮上案内コイル異常テーブルの構成を示している。
【0052】
図6に戻り、演算部13は、測定値データベース16における浮上案内コイル測定電圧テーブルから、測定電圧を読み出し、浮上案内コイル201の各々の配置状態及び異常の検知を行うための演算を行う。
例えば、演算部13は、軌道300Lにおける浮上案内コイル201Lの高さを検出するため、以下の演算を行う。
演算部13は、測定値データベース16における浮上案内コイル測定電圧テーブルから、浮上案内コイル番号毎に、測定電圧VUL1から測定電圧VUL15を順次読み出し、測定電圧VUL1から測定電圧VUL15の平均値である平均測定電圧VULを求める。
【0053】
また、演算部13は、測定値データベース16における浮上案内測定電圧テーブルから、浮上案内コイル番号毎に、測定電圧VDL1から測定電圧VDL15を順次読み出し、測定電圧VDL1から測定電圧VDL15の平均値である平均測定電圧VDLを求める。
そして、演算部13は、浮上案内コイル毎に、平均測定電圧VULから平均測定電圧VDLを減算し、減算結果を時間的に平均した平均値と、瞬時瞬時の測定電圧VDL1から測定電圧VDL15の平均値と比較することにより、上下誤差値VUDLを求める。
【0054】
同様に、演算部13は、軌道300Rにおける地上コイルにおける浮上案内コイル2021Rの高さを検出するため、以下の演算を行う。
演算部13は、測定値データベース16における浮上案内コイル測定電圧テーブルから、浮上案内コイル番号毎に、測定電圧VUR1から測定電圧VUR15を順次読み出し、測定電圧VUR1から測定電圧VUR15の平均値である平均測定電圧VURを求める。
【0055】
また、演算部13は、測定値データベース16における浮上案内測定電圧テーブルから、浮上案内コイル番号毎に、測定電圧VDR1から測定電圧VDR15を順次読み出し、測定電圧VDR1から測定電圧VDR15の平均値である平均測定電圧VDLを求める。
演算部13は、浮上案内コイル毎に、平均測定電圧VURから平均測定電圧VDRを減算し、減算結果を時間的に平均した平均値と、瞬時瞬時の測定電圧VDL1から測定電圧VDL15の平均値と比較することにより、上下誤差値VUDRを求める。本演算処理により、短い波長成分の浮上案内コイルの狂いが推定可能である。一方、より長波長の浮上案内コイルの狂いを求めることが可能である。より長波長の浮上案内コイルの狂いを求める場合において、平均測定電圧VURや平均測定電圧VDRそのものと、ジャイロで求めた列車100の台車の絶対位置を直接に比較することにより可能である。
【0056】
また、テーブルデータベース15には、上下誤差値の電圧値と、ずれた距離(例えば、cm単位)との対応を示す上下誤差値テーブルが記憶されている。
演算部13は、テーブルデータベース15における上下誤差値テーブルを参照して、上下誤差値の電圧値に対応するずれた距離を求め、軌道300Lにおける浮上案内コイル201Lの上下ずれとして評価データベース17に書き込んで記憶させる。軌道300Rにおける浮上案内コイル201Rの上下ずれも、上述したように演算を行い、軌道300Lにおける浮上案内コイル201Lの上下ずれとして評価データベース17に書き込んで記憶させる。また、演算部13は、同様の演算を行い、軌道300Rにおける地上コイルにおける浮上案内コイル201Rの上下ずれを求め、評価データベース17に書き込んで記憶させる。
【0057】
図12は、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル評価テーブルの構成を示す図である。
図12において、浮上案内コイル評価テーブルは、浮上案内コイル番号と、この浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイルに対する演算部13の演算結果及び判定部14の判定結果との対応を示すテーブルである。
図12(a)は、浮上案内コイル番号と、この浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイル201Lに対する演算部13の演算結果(上下ずれ、絶対位置としての高さ、取付誤差)及び判定部14の判定結果との対応を示す浮上案内コイル評価テーブルである。
図12(b)は、浮上案内コイル番号と、この浮上案内コイル番号の示す浮上案内コイル201Rに対する演算部13の演算結果(上下ずれ、絶対位置としての高さ、取付誤差)及び判定部14の判定結果との対応を示す浮上案内コイル評価テーブルである。
【0058】
図6に戻り、演算部13は、演算により求めた浮上案内コイル201Lの上下ずれを、
図12(a)に示す浮上案内コイル評価テーブルの浮上案内コイル番号に対応して書き込んで記憶させる。
同様に、演算部13は、演算により求めた浮上案内コイル201Rの上下ずれを、
図12(b)に示す浮上案内コイル評価テーブルの浮上案内コイル番号に対応して書き込んで記憶させる。
【0059】
次に、演算部13は、予め内部の内部記憶部に記憶している理想的な位置(軌道の下面からの高さ)から、このずれた距離を減算し、列車100の磁気測定回路シート1Lから見た相対的な浮上案内コイルの位置(軌道の下面からの高さ)を求める。
また、演算部13は、ジャイロなどから得られる磁気測定回路シート1Lの絶対的な位置情報を、相対的な浮上案内コイル201の位置から減算し、浮上案内コイル201の取付位置の誤差(取付誤差)を求める。このジャイロの位置情報を用いた補正は、誘起電圧測定回路の各々が測定する測定電圧に、列車100の絶対位置の変異による誤差成分も含まれるために行う必要がある。
【0060】
また、演算部13は、軌道300Rにおける地上コイルにおける浮上案内コイル201Rの高さを、上述した浮上案内コイル201Lと同様の演算を行い検出する。ジャイロは、図示していないが、絶対位置情報として、並進加速度や回転方向各々の加速度を測定して、この加速度に対して積分の演算を行うことにより浮上案内コイル201L及び浮上案内コイル201Rの各々の絶対位置としての高さを求める。
演算部13は、求めた浮上案内コイル201L及び浮上案内コイル201Rの各々の絶対位置としての高さを、評価データベース17の浮上案内コイル評価テーブルに対し、浮上案内コイル番号に対応して書き込んで記憶させる。
【0061】
そして、演算部13は、浮上案内コイル201Lの相対的な高さから浮上案内コイル201Lの絶対位置としての高さを減算し、減算結果を取付誤差とする。演算部13は、算出した浮上案内コイル201Lの取付誤差を、評価データベース17の浮上案内コイル評価テーブルに対し、浮上案内コイル番号に対応して書き込んで記憶させる。
同様に、演算部13は、浮上案内コイル201Rの相対的な高さから浮上案内コイル201Rの絶対位置としての高さを減算し、減算結果を取付誤差とする。演算部13は、算出した浮上案内コイル201Rの取付誤差を、評価データベース17の浮上案内コイル評価テーブルに対し、浮上案内コイル番号に対応して書き込んで記憶させる。
【0062】
判定部14は、評価データベース17の浮上案内コイル評価テーブルから、取付誤差を読み出し、読み出した取付誤差の絶対値を自身内部の記憶部に記憶されている取付誤差閾値と比較する。そして、判定部14は、取付誤差の絶対値が取付誤差閾値以上の場合、評価データベース17の浮上案内コイル評価テーブルの判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込む。一方、判定部14は、取付誤差の絶対値が取付誤差閾値未満の場合、評価データベース17の浮上案内コイル評価テーブルの判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込む。
【0063】
また、演算部13は、評価データベース17の推進コイル評価テーブルから、対応する推進コイル番号各々の絶対値としての高さを読み出す。例えば、演算部13は、推進コイル番号202L1及び推進コイル番号202R1の各々の絶対値としての高さを読み出す。演算部13は、推進コイル番号202L1の絶対値としての高さから、推進コイル番号202R1の絶対値としての高さを減算する。
【0064】
演算部13は、減算結果を左右ずれとし、評価データベース17の推進コイル左右ずれテーブルに対し、推進コイル番号の組に対応して書き込んで記憶させる。推進コイル番号の組は、列車100の進行方向に対して左側の軌道に配置された推進コイルを示す推進コイル番号と、列車100の進行方向に対して右側の軌道に配置された推進コイルを示す推進コイル番号との組である。例えば、推進コイル番号の組としては、推進コイル番号202L1及び推進コイル番号202R1の各々の組がある。
【0065】
図13は、評価データベース17に記憶されている推進コイル左右ずれテーブルの構成を示す図である。
図13において、推進コイル左右ずれテーブルは、推進コイル番号の組と、この推進コイル番号の組の示す推進コイル各々の絶対値としての高さの差である左右ずれと、判定部14における判定結果との対応を示すテーブルである。
【0066】
図6に戻り、判定部14は、評価データベース17の推進コイル左右ずれテーブルから、左右ずれを読み出し、読み出した左右ずれの絶対値と、自身内部の記憶部に記憶されている左右ずれ差閾値(推進コイルに対応した閾値)とを比較する。そして、判定部14は、左右ずれの絶対値が左右ずれ閾値以上の場合、評価データベース17の推進コイル左右ずれテーブルの判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込む。一方、判定部14は、左右ずれの絶対値が左右ずれ閾値未満の場合、評価データベース17の推進コイル左右ずれテーブルの判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込む。
【0067】
また、演算部13は、評価データベース17の浮上案内コイル評価テーブルから、対応する浮上案内コイル番号各々の絶対値としての高さを読み出す。例えば、演算部13は、浮上案内コイル番号が201L1及び浮上案内コイル番号が201R1の浮上案内コイルの各々の絶対値としての高さを読み出す。演算部13は、浮上案内コイル番号が201L1の浮上案内コイルの絶対値としての高さから、浮上案内コイル番号が201R1の浮上案内コイルの絶対値としての高さを減算する。
【0068】
演算部13は、減算結果を高さずれとし、評価データベース17の浮上案内コイル高さずれテーブルに対し、浮上案内コイル番号の組に対応して書き込んで記憶させる。浮上案内コイル番号の組は、列車100の進行方向に対して左側の軌道に配置された浮上案内コイルを示す浮上案内コイル番号と、列車100の進行方向に対して右側の軌道に配置された浮上案内コイルを示す浮上案内コイル番号との組である。例えば、浮上案内コイル番号の組としては、浮上案内コイル番号が201L1及び浮上案内コイル番号が201R1の浮上案内コイル各々の組がある。
【0069】
図14は、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル高さずれテーブルの構成を示す図である。
図14において、浮上案内コイル高さずれテーブルは、浮上案内コイル番号の組と、この浮上案内コイル番号の組の示す浮上案内コイル各々の絶対値としての高さの差である高さずれと、判定部14における判定結果との対応を示すテーブルである。
【0070】
図6に戻り、判定部14は、評価データベース17の浮上案内コイル高さずれテーブルから、高さずれを読み出し、読み出した高さずれの絶対値と、自身内部の記憶部に記憶されている高さずれ差閾値(浮上案内コイルに対応した閾値)と比較する。そして、判定部14は、高さずれの絶対値が高さずれ閾値以上の場合、評価データベース17の浮上案内コイル高さずれテーブルの判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込む。一方、判定部14は、高さずれの絶対値が高さずれ閾値未満の場合、評価データベース17の浮上案内コイル高さずれテーブルの判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込む。
【0071】
また、演算部13は、推進コイル毎に、平均測定電圧VULと平均測定電圧VDLとを加算し、加算値VSUMLを求める。
同様に、演算部13は、推進コイル毎に、平均測定電圧VURと平均測定電圧VDRとを加算し、加算値VSUMRを求める。
演算部13は、加算値VSUMLから加算値VSUMRを減算し、減算結果を軌間誤差VRLとする。演算部13は、減算結果である軌間誤差VRLを、評価データベース17の推進コイル軌間テーブルに対し、推進コイル番号の組に対応して書き込んで記憶させる。
この軌間誤差により、軌道300Lあるいは軌道300Rの対応する推進コイルの配置状態の判定を行うことができる。例えば、軌道300Lあるいは軌道300Rのいずれか一方の推進コイルが飛び出して配置あるいは断線していたりなど、左右の対応する推進コイルのアンバランスな配置状態の判定を行うことができる。
【0072】
図15は、評価データベース17に記憶されている推進コイル軌間テーブルの構成を示す図である。
図15において、推進コイル軌間テーブルは、推進コイル番号の組と、この推進コイル番号の組の示す推進コイル各々の軌間距離の違いの大きさを示す軌間誤差と、判定部14における判定結果との対応を示すテーブルである。
【0073】
図6に戻り、判定部14は、評価データベース17の推進コイル軌間テーブルから軌間誤差VRLを読み出す。そして、判定部14は、読み出した軌間誤差VRLと、予め設定された軌間誤差閾値とを比較する。
判定部14は、推進コイルにおける軌間誤差VRLが軌間誤差閾値以上の場合、列車100の進行方向に対して左右の軌間の距離の誤差である軌間誤差VRLが正常範囲を超えた異常の状態であると判定する。そして、判定部14は、左右の軌間の距離の誤差である軌間誤差VRLが正常範囲外の場合、評価データベース17の浮上案内コイル軌間テーブルの判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込む。
【0074】
一方、判定部14は、推進コイルにおける軌間誤差VRLが軌間誤差閾値未満の場合、列車100の進行方向に対して左右の軌間の距離の誤差である軌間誤差VRLが正常範囲内にある正常の状態であると判定する。そして、判定部14は、軌間誤差VRLが正常範囲内の場合、評価データベース17の浮上案内コイル軌間テーブルの判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込む。
【0075】
また、演算部13は、浮上案内コイル毎に、平均測定電圧VULと平均測定電圧VDLとを加算し、加算値VSUMLを求める。
同様に、演算部13は、浮上案内コイル毎に、平均測定電圧VURと平均測定電圧VDRとを加算し、加算値VSUMRを求める。
演算部13は、加算値VSUMLから加算値VSUMRを減算し、減算結果を軌間誤差VRLとする。演算部13は、減算結果である軌間誤差VRLを、評価データベース17の浮上案内コイル軌間テーブルに対し、浮上案内コイル番号の組に対応して書き込んで記憶させる。
【0076】
この軌間誤差により、軌道300Lあるいは軌道300Rの各々に対応する浮上案内コイル201L、201Rそれぞれの配置状態の判定を行うことができる。例えば、軌道300Lあるいは軌道300Rのいずれか一方の浮上案内コイルが飛び出して配置あるいは断線していたり、ヌルフラックス線の断線あるいは誤配線など、左右の対応する浮上案内コイルのアンバランスな配置状態の判定を行うことができる。
【0077】
図16は、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル軌間テーブルの構成を示す図である。
図16において、浮上案内コイル軌間テーブルは、浮上案内コイル番号の組と、この浮上案内コイル番号の組の示す浮上案内コイル各々の軌間距離の違いの大きさを示す軌間誤差と、判定部14における判定結果との対応を示すテーブルである。
【0078】
図6に戻り、判定部14は、評価データベース17の浮上案内コイル軌間テーブルから軌間誤差VRLを読み出す。そして、判定部14は、読み出した軌間誤差VRLと、予め設定された軌間誤差閾値とを比較する。
判定部14は、浮上案内コイルにおける軌間誤差VRLが軌間誤差閾値以上の場合、列車100の進行方向に対して左右の軌間の距離の誤差である軌間誤差VRLが正常範囲を超えた異常の状態であると判定する。そして、判定部14は、左右の軌間の距離の誤差である軌間誤差VRLが正常範囲外の場合、評価データベース17の浮上案内コイル軌間テーブルの判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込む。
【0079】
一方、判定部14は、浮上案内コイルにおける軌間誤差VRLが軌間誤差閾値未満の場合、列車100の進行方向に対して左右の軌間の距離の誤差である軌間誤差VRLが正常範囲内にある正常の状態であると判定する。そして、判定部14は、軌間誤差VRLが正常範囲内の場合、評価データベース17の浮上案内コイル軌間テーブルの判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込む。
【0080】
演算部13は、加算値VSUMLから加算値VSUMRを加算し、加算結果を左右誤差VGRLとする。演算部13は、加算結果である左右誤差VGRLを、評価データベース17の浮上案内コイル左右テーブルに対し、浮上案内コイル番号の組に対応して書き込んで記憶させる。
図17は、評価データベース17に記憶されている浮上案内コイル左右テーブルの構成を示す図である。
図17において、浮上案内コイル左右テーブルは、浮上案内コイル番号の組と、この浮上案内コイル番号の組の示す浮上案内コイル各々の左右誤差と、判定部14における判定結果との対応を示すテーブルである。
【0081】
図6に戻り、判定部14は、評価データベース17の浮上案内コイル軌間テーブルから左右誤差VGRLを読み出す。そして、判定部14は、読み出した左右誤差VGRLと、予め設定された左右誤差閾値とを比較する。
判定部14は、浮上案内コイルにおける左右誤差VGRLが左右誤差閾値以上の場合、列車100の進行方向に対して左右の磁界の強度の誤差である左右誤差VGRLが正常範囲を超えた異常の状態であると判定する。そして、判定部14は、左右の磁界の強度の誤差である左右誤差VGRLが正常範囲外の場合、評価データベース17の浮上案内コイル左右テーブルの判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込む。
【0082】
一方、判定部14は、浮上案内コイルにおける左右誤差VGRLが左右誤差閾値未満の場合、列車100の進行方向に対して左右の磁界強度の誤差である左右誤差VGRLが正常範囲内にある正常の状態であると判定する。そして、判定部14は、左右誤差VGRLが正常範囲内の場合、評価データベース17の浮上案内コイル左右テーブルの判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込む。
【0083】
以下は超電導コイル振動を演算する方法の一例である。演算部13は、測定値データベース16における浮上案内測定電圧テーブル(
図4に対応するもの)から、例えば、浮上案内コイル番号毎に、測定電圧VUR1から測定電圧VUR8と、測定電圧VDR1から測定電圧VDR8を読み出す。そして、演算部13は、測定電圧VUR1から測定電圧VUR4と、測定電圧VDR5から測定電圧VDR8の各々を加算し、加算結果をバランス電圧VUDRB1とする。同様に、演算部13は、測定電圧VUR5から測定電圧VUR8と、測定電圧VDR1から測定電圧VDR4の各々を加算し、加算結果をバランス電圧VUDRB2とする。
【0084】
演算部13は、浮上案内コイル毎に、バランス電圧VUDRB1からバランス電圧VUDRB2を減算し、振動振幅値VUDRB12を求める。この振動振幅値VUDRB12は、超電導コイルSCL1のねじれ振動の大きさを示しており、走行方向に対する超電導コイルSCR1の振動強度を示している。
演算部13は、算出した振動振幅値VUDRB12を、評価データベース17の浮上案内コイル振動テーブルに対し、浮上案内コイル番号に対応して書き込んで記憶させる。
【0085】
図6に戻り、判定部14は、評価データベース17の超電導コイル振動テーブルから振動振幅値VUDRB12を読み出す。そして、判定部14は、読み出したVUDRB12と、予め設定された振動振幅値閾値とを比較する。
判定部14は、超電導コイルSCRにおける振動振幅値VUDRB12が振動振幅値閾値以上の場合、列車100の進行方向に対する超電導コイルSCRの振動の振幅値である振動振幅値VUDRB12が正常範囲を超えた異常の状態であると判定する。そして、判定部14は、超電導コイルSCRの振動の振幅値である振動振幅値VUDRB12が正常範囲外の場合、評価データベース17の超電導コイル振動テーブルの判定結果の欄に「異常」を示すデータを書き込む。
【0086】
一方、判定部14は、浮上案内コイルにおける振動振幅値VUDRB12が振動振幅値閾値未満の場合、列車100の進行方向に対する超電導コイルSCRの振動の振幅値である振動振幅値VUDRB12が正常範囲内にある正常の状態であると判定する。そして、判定部14は、超電導コイルSCRの振動の振幅値である振動振幅値VUDRB12が正常範囲内の場合、評価データベース17の超電導コイル振動テーブルの判定結果の欄に「正常」を示すデータを書き込む。
上述したように、この判定結果により、走行方向に対して列車100の右側面が振動していることが解り、列車100の走行方向に対して左側の軌道、すなわち軌道300Lに配置された浮上案内コイル201Lの配列が異常か否か、あるいは超電導磁石SCLに異常振動が発生しているか否かを判定することができる。本実施形態は各超電導コイルのねじれ振動を検出することに主眼を置いた方法であるが、他の超電導コイル振動モードや超電導磁石振動モードに対応した変更を排除するものではない。
【0087】
上述したように、本実施形態は、列車100の右側面100R及び左側面100Lの双方に搭載されている、超電導コイルSCR、SCLが格納される外槽101R、101Lの外側表面に対し、磁界測定回路シート1R、1Lが設けられている。このため、本実施形態によれば、超電導コイルSCR、SCLの各々と地上コイルとの間の磁界を、上記磁界測定回路シート1R、1Lの各々の磁界測定回路により、非接触及び非破壊でリアルタイムに検出することができる。したがって、本実施形態によれば、通常運行の一般の列車100により、列車100に搭載された超電導コイルに対して与えられる、地上コイルからの磁界の強度と磁束の変化の測定を容易に行うことが可能となる。このため、本実施形態によれば、列車100に搭載された超電導コイルと、軌道に配置された地上コイルとの間の磁界の磁界強度及び磁束の変化から、地上コイルの配置状態(断線及び層間短絡を含めた状態)を求めることができる。また、本実施形態によれば、推進コイルの異常として口出し部短絡について、この短絡が高抵抗短絡であっても列車100上からリアルタイムに検知することができる。本実施形態によれば、列車100を構成する各々の車両に対して、本実施形態の地上コイル位置測定システムを搭載することにより、それぞれの車両の地上コイルに対する測定結果を比較することにより、各々の車両の個体としての運動挙動の個性を把握することができる。
また、超電導コイルの振動の計測のために、一般的には種々の振動計測のセンサが組み込まれているが、センサによる外槽に対する熱進入などの問題があり簡便な測定方法が求められている。本実施形態によれば、センサを特別に設ける構成を必要とせず、外槽に対する熱進入を防止できるため、超電導磁石の異常振動を簡易に検知することができる。
この結果、本実施形態によれば、従来に比較して地上コイルの配置状態の測定のコストを低減させ、かつリアルタイムに地上コイル200の位置の測定及び障害の検出を容易に行うことができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、磁界測定回路シート1L及び磁界測定シート1Rの各々が外槽101L及び101Rそれぞれの外部表面に設けられているため、外槽表面保護のための簡便な防護膜を兼ねており、超電導コイルSCR、SCLの各々の内挿された外槽101L、101Rそれぞれを、列車100の走行中における跳石などが超電導コイルの外槽に対して衝突した際、この衝突による損壊から外槽を防護することができる。
また、本実施形態における磁界測定回路シート1L及び磁界測定シート1Rの各々は、軽量化及び機械ギャップ(地上コイルから発生される磁界のギャップ)を確保するため、できる限り薄くかつ軽く形成する必要があり、例えば、シート状の薄い絶縁体表面に対して、誘起電圧測定回路の回路素子(サーチコイルなど)及び配線を印刷(プリント)するなどして制作しても良い。また、磁界測定回路シート1L及び磁界測定シート1Rの各々は、常時において外槽に貼着させても良いし、随時、外槽に対して取り外しが可能な構成としてもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、地上コイル特定部12が、磁界測定回路に対応したGPS回路からの位置情報により、テーブルデータベース15における地上コイルである推進コイル及び浮上案内テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する各地上コイルの地上コイル番号を抽出して、磁界が検出されている地上コイルの特定を行うとして説明した。
しかしながら、磁界測定回路の各々が検出する磁界により発生するパルスの数をカウント(計数)することにより、通過したコイルの数をコイルカウント数として示し、地上コイルの特定を行う構成としても良い。
【0090】
すなわち、地上コイル特定部12は、磁界測定回路UCL1からUCL15の各々からのパルス(測定電圧)をカウントし、磁界測定回路UCL1からUCL15それぞれに対応したコイルカウント数を求める。この構成の場合、テーブルデータベース15には、
図17に示す地上コイル位置テーブル(推進コイル位置テーブル及び浮上案内コイル位置テーブル)が予め書き込まれて記憶されている。
【0091】
図17は、テーブルデータベース15に記憶されている、軌道(300L、300R)に配置された地上コイル200の各々の位置情報と、その位置情報にある地上コイルを識別する地上コイル番号(浮上案内コイル番号、推進コイル番号)とが対応した地上コイル位置テーブルの構成を示す図である。
図17(a)は、地上コイル200における推進コイル202R、202Lのコイルカウント数と、そのコイルカウント数にある推進コイル202R、202Lを識別する推進コイル番号との対応を示す推進コイル位置テーブルの構成を示している。ここで、mは、例えば列車100が経由する駅間毎の軌道に配置された推進コイル202R、202Lの全数を示す数である。この推進コイル番号は、例えば、駅間における上りの出発駅から次の駅まで、推進コイル202R、202Lの配置順に割り付けられている。
【0092】
一方、
図17(b)は、地上コイル200における浮上案内コイル201R、201Lのコイルカウント数と、そのコイルカウント数にある浮上案内コイル201R、201Lを識別する浮上案内コイル番号との対応を示す浮上案内コイル位置テーブルの構成を示している。ここで、qは、例えば列車100が経由する駅間毎の軌道に配置された浮上案内コイル201R、201Lの全数を示す数である。この推進コイル番号は、例えば、駅間における上りの出発駅から次の駅まで、浮上案内コイル201R、201Lの配置順に割り付けられている。
【0093】
図6に戻り、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Rにおける磁界測定回路の各々からパルスが得られる毎に、内部の磁界測定回路のそれぞれに対応して設けられたカウンタをインクリメント(「1」を加算する)する。そして、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Rにおける磁界測定回路の各々に対応したカウンタの示すコイルカウント数が検出している磁界がいずれの浮上案内コイル201R、推進コイル202Rによるものであるかの判定を行う。
【0094】
すなわち、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したカウンタのコイルカウント数により、テーブルデータベース15における浮上案内コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する浮上案内コイル201Rの浮上案内コイル番号を抽出し、磁界を検出している浮上案内コイル201Rの特定を行う。同様に、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したカウンタのコイルカウント数により、テーブルデータベース15における推進コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する推進コイル202Rの推進コイル番号を抽出し、磁界を検出している推進コイル202Rの特定を行う。
【0095】
一方、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Lにおける磁界測定回路の各々に対応して設けられたカウンタのコイルカウント数により、磁界測定回路シート1Rの場合と同様に、磁界測定回路シート1Lにおける磁界測定回路の位置を位置情報により検出する。そして、地上コイル特定部12は、磁界測定回路シート1Lにおける磁界測定回路の各々が検出している磁界がいずれの浮上案内コイル201L、推進コイル202Lによるものであるかの判定を行う。
【0096】
すなわち、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したカウンタのコイルカウント数により、テーブルデータベース15における浮上案内コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する浮上案内コイル201Lの浮上案内コイル番号を抽出し、磁界を検出している浮上案内コイル201Lの特定を行う。同様に、地上コイル特定部12は、磁界測定回路に対応したカウンタのコイルカウント数により、テーブルデータベース15における推進コイル位置テーブルを参照し、磁界測定回路の位置に対応する推進コイル202Lの推進コイル番号を抽出し、磁界を検出している推進コイル202Lの特定を行う。
【0097】
また、本実施形態においては、浮上案内コイル及び推進コイルの各々の配置状態の検出処理を、列車100が軌道を走行する際に行うが、異なる走行においてそれぞれの配置状態の走行を行う。
例えば、浮上案内コイルの配置状態の検出を行う際、軌道300Lにおける浮上案内コイル201L及び超電導コイルSCRの磁界測定を行う際、測定タイミングで推進コイル202Lの駆動を停止し、推進コイル202Lの磁界の影響を排除して行う。この測定タイミングにおいては、列車100の走行に対して影響を与えない程度の微少な時間範囲で推進コイルの駆動を停止させる。
【0098】
また、
図6における地上コイル位置測定システム10の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより磁気浮上式鉄道の軌道に配置された地上コイルの管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0099】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0100】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。