(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る非接触給電システムの構成を模式的に示すブロック図である。非接触給電システムは、地上側ユニットである給電装置100と、車両側ユニットを含む車両200とを備え、給電装置100から非接触で電力を供給し、車両200に設けられるバッテリ28を充電するシステムである。
【0011】
給電装置100は、車両200の駐車スペースを備える充電スタンドなどに設置されており、車両200に対して電力を供給する。この給電装置100は、電力制御部11と、送電コイル12と、無線通信部14と、制御部15とを主体に構成されている。
【0012】
電力制御部11は、交流電源300から送電される交流電力を、高周波の交流電力に変換し、送電コイル12に送電するための回路である。この電力制御部11は、整流部111と、PFC(Power Factor Correction)回路112と、インバータ113と、センサ
114とを備えている。
【0013】
整流部111は、交流電源300に電気的に接続され、交流電源からの出力交流電流を整流する。PFC回路112は、整流部111からの出力波形を整形することで力率を改善するための回路であり、整流部111とインバータ113との間に接続されている。インバータ113は、平滑コンデンサやIGBT等のスイッチング素子、PWM制御回路等を含む電力変換装置であり、制御部15からの制御信号に基づいて、直流電流を高周波の交流電流に変換し、送電コイル12に供給する。センサ114は、PFC回路112とインバータ113との間に接続され、電流や電圧を検出する。
【0014】
送電コイル12は、車両200側の受電コイル22に対して非接触で電力を供給するためのコイルであり、金属等の導電体からなる導線を巻回して構成されている。この送電コイル12は、車両200を駐車する駐車スペースといった目的箇所に設けられており、コイルの保護や保安上の観点から、筐体120(
図2参照)の内部に収容されている。なお、本実施形態では、
図2に示すように、駐車スペースへの駐車形態が後ろ向き駐車であることを前提に説明することとし、車両200が規定の駐車位置Cpに駐車すると、車両200側の受電コイル22は送電コイル12の下方に対峙することとなる。
【0015】
無線通信部14は、車両200側に設けられた無線通信部24と双方向に通信を行う。無線通信部14と無線通信部24との間の通信周波数には、インテリジェントキーなどの車両周辺機器で使用される周波数より高い周波数が設定されているため、無線通信部14と無線通信部24との間で通信を行っても、車両周辺機器は、当該通信による干渉を受けにくい。無線通信部14及び無線通信部24との間の通信には、例えば各種の無線LAN方式が用いられ、遠距離に適した通信方式が用いられている。
【0016】
制御部15は、給電装置100を総括的に制御する機能を担っている。例えば、制御部15は、電力制御部11、送電コイル12及び無線通信部14を制御する。制御部15は、無線通信部14と無線通信部24との間の通信により、電力供給を開始する旨の制御信号を車両200側に送信したり、車両200側からの電力を受給したい旨の制御信号を受信したりする。制御部15は、センサ114の検出電流に基づいて、インバータ113のスイッチング制御を行い、送電コイル12から供給される電力を制御する。この制御部15としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0017】
また、本実施形態との関係において、制御部15は、後述する監視センサ16を利用して、送電コイル12と受電コイル22との位置合わせを監視したり、送電コイル12と受電コイル22との間に接近する物体を監視したりする。
【0018】
車両200は、受電コイル22と、無線通信部24と、充電制御部25と、整流部26と、リレー部27と、バッテリ28と、インバータ29と、モータ30と、通知部32とを備えている。
【0019】
受電コイル22は、給電装置100側の送電コイル12から非接触で電力を受けるためのコイルであり、金属等の導電体からなる導線を巻回して構成されている。この受電コイル22は、例えば、車体底部における左右の後車輪RR,RL間に搭載されており、コイルの保護や保安上の観点から、筐体220(
図4乃至
図7参照)の内部に収容されている。受電コイル22は、車両200が駐車スペースの規定位置に駐車されると、給電装置100側の送電コイル12の上方に対峙する。
【0020】
無線通信部24は、給電装置100側に設けられた無線通信部14と、双方向に通信を行う。
【0021】
整流部26は、受電コイル22に接続され、受電コイル22で受電された交流電力を直流に整流する整流回路により構成されている。
【0022】
リレー部27は、充電制御部25の制御によりオン及びオフが切り変わるリレースイッチを備えている。リレー部27は、当該リレースイッチをオフにすることで、バッテリ28側と、充電回路部側となる受電コイル22及び整流部26とを切り離すことができる。
【0023】
バッテリ28は、車両200の電力源であり、例えば複数の二次電池を電気的に接続して構成されている。
【0024】
インバータ29は、IGBT等のスイッチング素子、PWM制御回路等を含む電力変換装置であり、制御信号に基づいて、バッテリ28から出力される直流電流を交流電流に変換し、当該交流電力をモータ30に供給する。モータ30は、例えば三相の交流電動機により構成され、車両200を駆動させるための駆動源である。
【0025】
通知部32は、警告ランプ、ナビゲーションシステムのディスプレイ又はスピーカ等により構成され、車室内のインストルメントパネル等に配置されている。この通知部32は、充電制御部25による制御に基づいて、ユーザに対して光、画像又は音等を出力する。
【0026】
充電制御部25は、バッテリ28の充電を制御する機能を担っている。例えば、充電制御部25は、無線通信部24及び通知部32を制御する。充電制御部25は、無線通信部24及び無線通信部14の通信により、電力供給を開始する旨の制御信号を給電装置10
0側から受信したり、電力を受給したい旨の制御信号を車両200側に送信したりする。
【0027】
また、図示を省略しているが、充電制御部25は、車両200全体を制御するコントローラとCAN通信網で接続されている。当該コントローラは、インバータ29のスイッチング制御や、バッテリ28の充電状態(SOC)を管理している。充電制御部25は、コントローラから得られるバッテリ28のSOCに基づいて満充電を判断した場合に、充電を終了する旨の制御信号を給電装置100側に送信する。
【0028】
本実施形態に係る非接触給電システムでは、送電コイル12と受電コイル22との間で、電磁誘導作用により非接触状態で高周波電力の送電を行う。すなわち、送電コイル12に電圧が加わると、送電コイル12と受電コイル22との間に磁気的な結合が生じ、送電コイル12から受電コイル22へ電力が供給される。
【0029】
以下、本実施形態の特徴の一つである監視センサ16の構成について説明する。
図2に示すように、給電装置100側の送電コイル12(筐体120)の周囲には、一対の側壁17L,17Rが設けられている。一方の側壁17Lは、規定の駐車位置Cpに駐車する車両200を基準として、車両200の左後輪RLの左側方に配置されており、他方の側壁17Rは、駐車位置Cpに駐車する車両200を基準として、車両200の右後輪RRの右側方に配置されている。これらの側壁17L,17Rは、車両200が駐車位置Cpへと駐車する際に、車幅方向(左右方向)の位置を規制する部材として機能するものであり、送電コイル12と受電コイル22との車幅方向の位置合わせを行うことができる。また、これらの側壁17L,17Rは、監視センサ16を取り付けるための取付部材としても機能する。
【0030】
監視センサ16は、前側監視部160と、後側監視部161とで構成されている。前側監視部160は、規定の駐車位置Cpを基準として、その後輪RL,RRよりも内側(本実施形態では、前側)に存在する車体底部と地面との間の空間に検出光を設定し、当該検出光により監視を行うものである。一方、後側監視部161は、規定の駐車位置Cpを基準として、その後輪RL,RRよりも外側(本実施形態では、後側)に存在する車体底部と地面との間の空間に検出光を設定し、当該検出光により監視を行うものである。
【0031】
ここで、
図3乃至
図7は、規定の駐車位置Cpに駐車する車両200と、監視センサ16との関係を示す説明図である。ここで、
図3は、前側監視部160及び後側監視部161の構成を車両左側から示すものである。また、
図4は、前側監視部160の構成を示すものであり、
図5は、後側監視部161の構成を示すものである。さらに、
図6は、前側監視部160及び後側監視部161の構成を車両内側から示すものであり、
図7は、前側監視部160及び後側監視部161の構成を車両底面側から示すものである。
【0032】
前側監視部160は、3つの検出ユニットを備えている。個々の検出ユニットは、検出光を出力する発光器160aと検出光を受光する受光器160bとを備えており、発光器160aと受光器160bとを相対峙させることで、車両200を車幅方向に跨いで検出光を配置している。
【0033】
3つの検出ユニットは、車高方向(上下方向)の位置が異なるように配設されている。下段に位置する検出ユニットは、車両200が駐車位置Cpに存在する場合に、発光器160aから受光器160bに至る検出光が後輪RL,RRによって遮断されない位置に設定されている。一方、上段に位置する検出ユニットは、車両200が駐車位置Cpに存在する場合に、発光器160aから受光器160bに至る検出光が後輪RL,RRによって遮断される位置に設定されている。中段に位置する検出ユニットは、下段の検出ユニットと上段の検出ユニットとの間にあれば足りるが、本実施形態では、車両200が駐車位置
Cpに存在する場合に、発光器160aから受光器160bに至る検出光が後輪RL,RRによって遮断されない位置に設定されている。これらの検出ユニットは、3つの検出ユニットに係る検出光の状態(遮断・非遮断)の組み合わせから、後輪RL,RRの輪郭位置を検出することとなる。
【0034】
なお、本実施形態では、3つの検出ユニットは、車高方向に沿って直線状に配列されているが、前述したような条件を満たすものであれば、前後方向にオフセットしていてもよい。
【0035】
また、前側監視部160において、3つの検出ユニットは、検出光の向きが互い違いとなるように設定されている。具体的には、上段及び下段の検出ユニットは、検出光の向きが一致するが、中段の検出ユニットは、上段及び下段の検出ユニットと較べて、検出光の向きが逆を向くこととなる。このため、上段及び下段の検出ユニットは、車両200の左側に発光器160aを配置し、その右側に受光器160bを配置する。一方、中段の検出ユニットは、車両200の右側に発光器160aを配置し、その左側に受光器160bを配置している。
【0036】
これに対して、後側監視部161は、2つの検出ユニットを備えている。個々の検出ユニットは、検出光を出力する発光器161aと検出光を受光する受光器161bとを備えている。一方の検出ユニットに係る発光器161aは、車両200の左側に配置され、他方の検出ユニットに係る発光器161aは車両200の右側に配置され、それぞれ後輪RL,RRの近傍に配置されている。
【0037】
また、個々の検出ユニットにおいて、受光器161bは、発光器161aよりも後側にずらした位置に設けられているとともに、発光器161aよりも上側にずらした位置に設けられている。そして、受光器161bは、発光器161aと相対峙させることにより車両200を車幅方向に跨いで検出光を配置している。
【0038】
図3乃至7に示すように、一対の検出ユニットによって配設される検出光は互いに交差する関係、具体的には、X字状に設定される。また、一対の検出光によって規定される平面は、後輪RL,RRに近い側が低く、後輪RL,RRから遠い側が高くなるように三次元的に設定されている。
【0039】
このような構成の監視センサ16を備える非接触給電システムにおいて、制御部15は、車両200のバッテリ28の充電に伴う給電装置100から車両200への給電時には、その給電動作に先駆けて監視動作を行う。具体的には、制御部15は、車両200が駐車位置Cpへの接近する際に、各監視部160,161の検出ユニットが備える発光器160a,161aを動作させるとともに、対応する受光器160b,161bの検出信号を読み込む。
【0040】
まず、制御部15は、前側監視部160に係る3つの検出ユニット(受光器160b)において検出光が遮断された状態であることを判定する。この場合、制御部15は、車両200が後退して、後輪RL,RLが前側監視部160を通過していることを判定する。つぎに、制御部15は、上段の検出ユニットにおいて検出光が遮断されたまま、下段及び中段の検出ユニットにおいて検出光が遮断状態から非遮断状態へと変化すると、後輪RL,RRが適正位置まで進められたと判断することができる。すなわち、車両200の後退が適切になされ、規定の駐車位置Cpよりも前側に止まったままの状態から脱したことを判定することができる。
【0041】
つぎに、制御部15は、後側監視部161に係る2つの検出ユニット(受光器161b
)において検出光が遮断されていない状態であることを判定する。この場合、制御部15は、後輪RL,RRが適正位置に存在していると判断することができる。すなわち、かかる状態では、規定の駐車位置Cpよりも車両200が後退し過ぎる状態へと至っていないことを判定することができる。
【0042】
なお、車両200が規定の駐車位置Cpより後退しすぎると、前側監視部160に係る上段の検出ユニットが遮断状態から非遮断状態へと切り換わる。あるいは、後側監視部161に係る各検出ユニットが非遮断状態から遮断状態へと切り換わる。制御部15は、このような状態変化に基づいて、車両200の駐車位置が不適当であることを判定することができる。
【0043】
制御部15は、車両200が規定の駐車位置Cpに存在している状態が所定時間だけ継続していることを判断すると、車両200が駐車位置Cpに適切に駐車していることを判断する。そして、制御部15は、充電動作を開始するとこれが終了するまで、コイル間に接近する物体を監視する。具体的には、制御部15は、前側監視部160及び後側監視部161に係る検出ユニットにおいて、非遮断状態にある検出光が遮断状態へと切り換わったことを条件に、コイル間に物体が接近したことを判定する。
【0044】
制御部15は、物体の接近を判定した場合には、充電を停止したり、給電動作時における送電コイル12からの出力を制限したりすることができる。また、制御部15は、無線通信部14と無線通信部24との間で通信を行い、車両200の通知部32を動作させることもできる。
【0045】
このように本実施形態において、前側監視部160に係る検出ユニットにより、後輪RL,RRの前側に検出光が配設される。ここで、検出光は、車両を車幅方向に跨いで配置される。
【0046】
かかる構成によれば、後輪RL,RRの前側に配置される検出光により、車両200の駐車時には、規定の駐車位置Cpに対して車両200の後退が足りないことを監視することができ、また、充電時には、検出光が車体底部と地面との間の空間に存在するため、その空間を通じて物体がコイル間へ接近することを監視することができる。これにより、車両前後方向におけるコイル間の位置合わせを図りつつ、物体がコイル間に進入することを監視することができる。
【0047】
また、本実施形態において、検出ユニットは、車高方向の位置が異なるように複数設けられている。かかる構成によれば、車高方向の異なる位置を検出することで、後輪RL,RRの円弧状の輪郭を検出することができるので、これを通じて、規定の駐車位置Cpと車両200とに関する車長方向の位置の適否を判定することができる。これにより、コイル間の位置合わせを適切に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態において、複数の検出ユニットは、検出光の向きが互い違いとなるように設定されている。個々の検出光の向きを同じとした場合、受光器161bも同一方向を向いて配置されるため、ノイズ光などが存在している場合には、全ての検出ユニットに影響がでてしまう。しかしながら、本実施形態によれば、受光器161bの配置も互い違いとすることができるので、ノイズの影響が全ての検出ユニットに波及してしまうといった事態を抑制することができる。
【0049】
さらに、本実施形態において、後側監視部161に係る一対の検出ユニットにより、後輪RL,RRの後側に検出光がそれぞれ配設される。ここで、一対の検出光は、それぞれが車両200を車幅方向に跨いで配置される一方、互いに交差するように設定されている
。
【0050】
かかる構成によれば、後輪RL,RRの後側に配置される一対の検出光により、車両200の駐車時には、規定の駐車位置Cpよりも車両200が後に下がり過ぎてしまうことを監視することができ、また、充電時には、検出光が車体底部と地面との間の空間に存在するため、その空間を通じて物体がコイル間へ接近することを監視することができる。特に、後輪RL,RRの後側は、前輪が存在する後輪RL,RRの前側と比較して、物体が進入し易い構造となっているが、一対の検出光を交差して配置することでその空間内を有効に監視することができる。これにより、車両前後方向におけるコイル間の位置合わせを図りつつ、物体がコイル間に進入することを監視することができる。
【0051】
また、本実施形態において、検出ユニットのそれぞれは、発光器161aを受光器161bよりも車長方向の後側にずらした位置に設けるとともに車高方向の上側にずらした位置に設けている。
【0052】
かかる構成によれば、物体の進入経路となる空間を、三次元的に配設される検出光によりカバーすることができる。これにより、コイル間に接近する物体を適切に監視することができる。また、送電コイル12に近い側に配置される発光器161aが、低い位置に配置されることとなるので、背の低い物体も、送電コイル12の直前で最終的に検出することができる。
【0053】
また、本実施形態では、受光器161bよりも低い位置に発光器161aを設定して両者を対峙させることにより、受光器161bは、発光器161aに向けて下方を臨むように配置されることとなる。このため、照明や太陽光といった外乱光が受光器161bに入射し難くなるので、検出ユニットによる検出精度の低下を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態において、発光器161aは、後輪RL,RRの近傍に配置されている。かかる構成によれば、
図7に示すように、交差した検出光を、コイル間に生じる磁束の範囲A1,A2を取り囲むように設定することができる。これにより、コイル近傍に近づく物体を有効に監視することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、左右の後輪RL,RRの間に受電コイル22を配置する関係上、後輪RL,RRの前側と後側とに分けて監視部を設けている。しかしながら、前輪間に受電コイル22を配置する場合に、前述の監視部を適用してもよく、この場合、車輪に対して内側(すなわち、前輪に対する後側)と外側(すなわち、前輪に対する前側)との領域で監視部をそれぞれ設ければ足りる。
【0056】
また、非接触給電システムの車両200側のユニットは電気自動車に搭載されるが、ハイブリッド車両等の車両でもよい。
【0057】
以上、非接触充電システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。