(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
図1は、本発明の第1実施形態に係る投射システムPS1の全体構成を示す図である。投射システムPS1は、プロジェクター1、パーソナルコンピューター2、タブレット端末3、コントローラーRC、およびスクリーンSCを有する。プロジェクター1は、映像信号により示される画像(以下、「入力画像」という)をスクリーンSCに投射する装置である。パーソナルコンピューター2(以下、「PC2」という)は、映像信号をプロジェクター1に出力する。PC2は、画像信号ケーブルおよびUSB(Universal Serial Bus)ケーブルによりプロジェクター1と有線接続されている。PC2は、映像信号源である外部装置の一例である。タブレット端末3は、PC2を操作するためのポインティングデバイス(入力装置)として機能する。タブレット端末3は、Wi−Fi(Wireless Fidelity:登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)を介してプロジェクター1と接続されている。ユーザーが、タブレット端末3のタッチパネル34を操作することにより、PC2に対する入力操作が行われる。具体的には、ユーザーがタッチパネル34を操作すると、PC2において、当該操作に応じた画が入力画像上に描かれる。コントローラーRCは、赤外線通信等の無線でプロジェクター1を制御するための装置、いわゆるリモートコントローラーである。スクリーンSCは、プロジェクター1から投射される画像
(以下、「投射画像」という)を映し出す平面である。
【0012】
図2は、投射システムPS1の機能的構成を示すブロック図である。プロジェクター1は、映像信号取得部101と、画像調整部102と、画像処理部103、投射部104と、座標データ取得部105と、座標変換部106と、座標データ出力部107、画像データ取得部108と、画像圧縮部109と、画像データ出力部110とを有する。映像信号取得部101は、PC2により出力された映像信号を取得する。画像調整部102は、入力画像のサイズ(解像度)を投射部104に応じたサイズに変更(リサイズ)する。以下では、入力画像のサイズを変更する処理を「リサイズ処理」と表現する。画像処理部103は、リサイズされた入力画像(以下、「リサイズ画像」という)に対して、所定の画像処理を施す。投射部104は、画像処理部103により画像処理が施された入力画像を、投射画像としてスクリーンSCに投射する。座標データ取得部105は、タブレット端末3から入力画像上の点の座標を示す座標データを取得する。座標変換部106は、座標データ取得部105により取得された座標データにより示される座標の座標系を、入力画像の座標系に変換する。座標データ出力部107は、座標変換部106により座標系が変換された座標データを、PC2に出力する。画像データ取得部108は、画像調整部102からリサイズ画像を示す画像データを取得する。以下では、説明の便宜上、入力画像のうち座標データに応じた画が描かれていないものを「一次画像」といい、一次画像上に座標データに応じた画が描かれたものを「二次画像」という。画像データ取得部108が取得する画像データは、一次画像または二次画像のリサイズ画像を示す。画像圧縮部109は、画像データ取得部108により取得された画像データを圧縮する。画像データ出力部110は、画像圧縮部109により圧縮された画像データをタブレット端末3に出力する。
【0013】
PC2は、映像信号出力部201と、座標データ取得部202と、描画部203とを有する。映像信号出力部201は、映像信号をプロジェクター1に出力する。座標データ取得部202は、プロジェクター1により出力された座標データを取得する。描画部203は、一次画像上に、座標データ取得部202により取得された座標データに応じた画を描き、二次画像を生成する。
【0014】
タブレット端末3は、座標変換部301と、座標データ出力部302と、画像データ取得部303と、表示制御部304とを有する。座標変換部301は、タッチパネル34上でユーザーが指定した点の座標を、一次画像上の点の座標に変換し、当該座標を示す座標データを生成する。座標データ出力部302は、座標変換部301により生成された座標データを、プロジェクター1に出力する。画像データ取得部303は、プロジェクター1により出力された画像データを取得する。表示制御部304は、画像データ取得部303により取得された画像データが示す画像をタッチパネル34に表示する。
【0015】
図3は、プロジェクター1のハードウェア構成を示すブロック図である。プロジェクター1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)12と、IF(インターフェース)部13と、画像処理回路14と、投射ユニット15と、受光部16と、操作パネル17と、入力処理部18とを有する。CPU10は、制御プログラム11Aを実行することによりプロジェクター1の各部を制御する制御装置である。ROM11は、各種プログラムおよびデータを記憶した不揮発性の記憶装置である。ROM11は、CPU10が実行する制御プログラム11Aを記憶する。RAM12は、データを記憶する揮発性の記憶装置である。RAM12は、フレームメモリー12aおよび12bを有する。フレームメモリー12aは、リサイズ画像の1フレーム分を記憶する領域である。フレームメモリー12bは、1フレーム分の投射画像を記憶する領域である。
【0016】
IF部13は、PC2およびタブレット端末3などの情報処理装置と通信を行なう。I
F部13は、情報処理装置と接続するための各種端子(例えば、VGA端子、USB端子、有線または無線LANインターフェース、S端子、RCA端子、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)端子など)を備える。本実施形態において、IF部13は、VGA端子およびUSB端子を介してPC2と通信を行なう。具体的には、IF部13は、VGA端子を介してPC2から映像信号を取得し、USB端子を介してPC2に座標データを出力する。IF部13は、PC2から取得した映像信号から、垂直・水平の同期信号を抽出する。IF部13は、また、無線LANインターフェースを介してタブレット端末3と通信を行なう。画像処理回路14は、入力画像にリサイズ処理および所定の画像処理を施す。画像処理回路14は、リサイズ画像をフレームメモリー12aに、画像処理後のリサイズ画像(すなわち投射画像)をフレームメモリー12bに書き込む。
【0017】
投射ユニット15は、光源151と、液晶パネル152と、光学系153と、光源駆動回路154と、パネル駆動回路155と、光学系駆動回路156とを有する。光源151は、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、若しくはメタルハライドランプなどのランプ、又はLED(Light Emitting Diode)若しくはレーザーダイオードなどの発光体を有し、液晶パネル152に光を照射する。液晶パネル152は、光源151から照射された光を画像データに応じて変調する光変調装置である。この例で液晶パネル152は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。液晶パネル152は、例えば、XGA(eXtended Graphics Array)の解像度を有し、1024×768個の画素により構成される表示領域を有する。この例で、液晶パネル152は透過型の液晶パネルであり、各画素の透過率が画像データに応じて制御される。プロジェクター1は、RGBの三原色に対応した3枚の液晶パネル152を有する。光源151からの光はRGBの3色の色光に分離され、各色光は対応する液晶パネル152に入射する。各液晶パネルを通過して変調された色光はクロスダイクロイックプリズム等によって合成され、光学系153に射出される。光学系153は、液晶パネル152により画像光へと変調された光を拡大してスクリーンSCに投射するレンズ、投射する画像の拡大・縮小及び焦点の調整を行うズームレンズ、ズームの度合いを調整するズーム調整用のモーター、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用のモーター等を有する。光源駆動回路154は、CPU10の制御に従って光源151を駆動する。パネル駆動回路155は、CPU10から出力された画像データに応じて液晶パネル152を駆動する。光学系駆動回路156は、CPU10の制御に従って光学系153が有する各モーターを駆動する。
【0018】
受光部16は、コントローラーRCから送信される赤外線信号を受光し、受光した赤外線信号をデコードして入力処理部18に出力する。操作パネル17は、プロジェクター1の電源のオン/オフまたは各種操作を行うためのボタンおよびスイッチを有する。入力処理部18は、コントローラーRCまたは操作パネル17による操作内容を示す情報を生成し、CPU10に出力する。
【0019】
プロジェクター1において、プログラムを実行しているCPU10は、座標変換部106、画像データ取得部108、および画像圧縮部109の一例である。プログラムを実行しているCPU10により制御されているIF部13は、映像信号取得部101、座標データ取得部105、座標データ出力部107、および画像データ出力部110の一例である。プロジェクター1において、プログラムを実行しているCPU10により制御されている画像処理回路14は、画像調整部102および画像処理部103の一例である。プログラムを実行しているCPU10により制御されている投射ユニット15は、投射部104の一例である。
【0020】
図4は、PC2のハードウェア構成を示すブロック図である。PC2は、CPU20と、ROM21と、RAM22と、IF部23と、表示部24と、入力部25とを有する。
CPU20は、プログラムを実行することによりPC2の各部を制御する制御装置である。ROM21は、各種のプログラム及びデータを記憶した不揮発性の記憶装置である。RAM22は、データを記憶する揮発性の記憶装置である。IF部23は、プロジェクター1などの情報処理装置と通信を行なう。IF部23は、情報処理装置と接続するための各種端子を備える。表示部24は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置を有する。入力部25は、ユーザーによる入力を受け付ける装置であり、キーボード、マウス、および各種ボタン等を備える。PC2において、プログラムを実行しているCPU20は、描画部203の一例である。プログラムを実行しているCPU20により制御されているIF部23は、映像信号出力部201および座標データ取得部202の一例である。
【0021】
図5は、タブレット端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。タブレット端末3は、CPU30と、ROM31と、RAM32と、IF部33と、タッチパネル34とを有する。CPU30は、プログラムを実行することによりタブレット端末3の各部を制御する制御装置である。ROM31は、各種のプログラム及びデータを記憶した不揮発性の記憶装置である。RAM32は、データを記憶する揮発性の記憶装置である。IF部33は、プロジェクター1などの情報処理装置と通信を行なう。IF部33は、プロジェクター1と接続するための無線LANインターフェースを備える。タッチパネル34は、液晶ディスプレイなどの表示面上に座標を感知するパネルが重ねて設けられた入力装置である。タッチパネル34には、例えば、光学式、抵抗膜方式、静電容量式、または超音波式のタッチパネルが用いられる。タブレット端末3において、プログラムを実行しているCPU30は、座標変換部301および表示制御部304の一例である。プログラムを実行しているCPU30により制御されているIF部33は、座標データ出力部302および画像データ取得部303の一例である。
【0022】
図6は、投射システムPS1において実行される処理を示すシーケンスチャートである。この例で、PC2においては、入力画像(ここでは、表示部24に表示されている画像)上に画を描くための描画プログラムが実行されている。このような状況の下で、入力画像(および投射画像)上に描画を行いたい場合、PC2の入力部25(例えばマウスなど)を操作する方法がある。しかし、プロジェクター1とPC2とは有線接続されているため、プロジェクター1と離れた場所から描画を行うには距離的な制約が生じる。投射システムPS1は、タブレット端末3を、PC2を操作するためのポインティングデバイスとして機能させ、描画を行う際の距離的な制約を抑制する。
図6に示す処理は、例えば、PC2がプロジェクター1に映像信号(ここでは、一次画像を示す映像信号)を出力したことを契機として開始される。
【0023】
ステップSA1において、プロジェクター1のCPU10は、PC2から映像信号を取得する。ステップSA2において、CPU10は、入力画像に対してリサイズ処理を行う。CPU10は、リサイズ処理により、入力画像のサイズを液晶パネル152に応じたサイズに変更する。
【0024】
図7は、リサイズ処理の具体的な処理内容を示すフローチャートである。以下では、入力画像のサイズが液晶パネル152のサイズよりも大きい場合(入力画像を縮小する場合)を例に説明する。ステップSA21において、CPU10は、入力画像のサイズを取得する。ここでいう画像のサイズとは、画像の縦方向と横方向のそれぞれの画素数である。映像信号には、入力画像のサイズを示す信号が含まれており、CPU10は、当該信号に基づいて入力画像のサイズを取得する。CPU10は、取得した入力画像のサイズをRAM12に記憶する。ステップSA22において、CPU10は、液晶パネル152のサイズを取得する。具体的には、CPU10は、ROM11に記憶された、液晶パネル152の解像度を示す情報を読み出して、液晶パネル152のサイズを取得する。
【0025】
ステップSA23において、CPU10は、入力画像のアスペクト比と液晶パネル152のアスペクト比とが等しいか否かを判断する。具体的には、CPU10は、入力画像のサイズおよび液晶パネル152のサイズに基づいて、入力画像のアスペクト比および液晶パネル152のアスペクト比をそれぞれ算出し、これらのアスペクト比を比較する。入力画像のアスペクト比と液晶パネル152のアスペクト比とが等しくないと判断された場合(ステップSA23:NO)、CPU10は、処理をステップSA24に移行する。入力画像のアスペクト比と液晶パネル152のアスペクト比とが等しいと判断された場合(ステップSA23:YES)、CPU10は、処理をステップSA25に移行する。例えば、入力画像のサイズが横1280×縦800である場合、入力画像のアスペクト比は16:10である。また、液晶パネル152のサイズが横1024×縦768である場合、液晶パネル152のアスペクト比は4:3である。したがって、この場合、入力画像のアスペクト比と液晶パネル152のアスペクト比とは等しくないと判断される。
【0026】
ステップSA24において、CPU10は、オフセット値αを算出する。オフセット値とは、リサイズ処理において、入力画像から一律に除かれる画素の横方向の数を示す値である。CPU10は、RAM12から入力画像のサイズおよび液晶パネル152のサイズを読み出して、例えば、以下の式(1)によりオフセット値αを算出する。
【数1】
(L1:入力画像の横方向の画素数、L2:入力画像の縦方向の画素数、L3:液晶パネル152の横方向の画素数、L4:液晶パネル152の縦方向の画素数)
CPU10は、算出されたオフセット値αを、RAM12に記憶する。上述のサイズの例では、L1=1280、L2=800、L3=1024、L4=768であり、オフセット値α=214となる。
【0027】
ステップSA25において、CPU10は、オフセット値αを考慮した入力画像のサイズ(以下、「オフセット後の入力画像」という)と液晶パネル152のサイズとが等しいか否かを判断する。具体的には、CPU10は、入力画像のサイズとオフセット値αとをRAM12からそれぞれ読み出して、入力画像の横方向の画素数からオフセット値αを減算することにより、オフセット後の入力画像のサイズを算出する。そして、CPU10は、液晶パネル152のサイズをROM11から読み出して、オフセット後の入力画像のサイズと液晶パネル152のサイズとを比較する。オフセット後の入力画像のサイズと液晶パネル152のサイズとが等しくないと判断された場合(ステップSA25:NO)、CPU10は、処理をステップSA26に移行する。オフセット後の入力画像のサイズと液晶パネル152のサイズとが等しいと判断された場合(ステップSA25:YES)、CPU10は、処理をステップSA27に移行する。上述のサイズの例では、オフセット後の入力画像のサイズは、横1066×縦800であり、投射画像のサイズは、横1024×縦768である。したがって、オフセット後の入力画像のサイズと液晶パネル152のサイズとは等しくないと判断される。
【0028】
ステップSA26において、CPU10は、変換係数βを算出する。変換係数とは、入力画像のサイズと液晶パネル152のサイズとの比を示す値である。CPU10は、RAM12から入力画像のサイズおよび投射画像のサイズを読み出して、例えば、以下の式(2)により変換係数βを算出する。
【数2】
CPU10は、算出された変換係数βを、RAM12に記憶する。上述の例では、L2
=800、L4=768であり、変換係数β=0.96となる。なお、変換係数βは、オフセット値αを用いて以下の式(3)により算出されてもよい。
【数3】
【0029】
ステップSA27において、CPU10は、オフセット値αと変換係数βとを用いて入力画像をリサイズする。具体的には、CPU10は、以下の式(4)により、入力画像における各画素の座標(x,y)を、座標(X,Y)に変換する。なお、「x」および「X」は、画像の横方向における座標を表し、「y」および「Y」は、画像の縦方向における座標を表す。
【数4】
CPU10は、リサイズ画像を示す画像データをフレームメモリー12aに書き込む。
【0030】
再び
図6を参照する。ステップSA3において、CPU10は、リサイズ画像を示す画像データを圧縮する。具体的には、CPU10は、フレームメモリー12aから画像データを読み出すことにより画像データを取得し、当該画像データを、無線LANの周波数帯域に対応させるために圧縮する。CPU10は、画像データを、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式により圧縮する。画像データの圧縮は、例えば、数フレームごと、または決められた時間ごとに行われる。CPU10は、圧縮後の画像データをRAM12に記憶する。ステップSA4において、CPU10は、RAM12から圧縮後の画像データを読み出して、当該画像データをタブレット端末3に出力する。
【0031】
ステップSA5において、CPU10は、リサイズ画像に対して画像処理を施す。具体的には、CPU10は、フレームメモリー12aから画像データを読み出して、リサイズ画像に対して所定の画像処理(例えば、OSD(On Screen Display)画像を重畳する処理、キーストーン補正処理、フレームレート変換処理、またはオーバードライブ処理など)を施す。CPU10は、画像処理後のリサイズ画像を示す画像データをフレームメモリー12bに書き込む。ステップSA6において、CPU10は、フレームメモリー12bに記憶された画像データに応じて、液晶パネル152を駆動する。具体的には、CPU10は、フレームメモリー12bから画像データを読み出して、パネル駆動回路155に出力する。
【0032】
ステップSA7において、タブレット端末3のCPU30は、プロジェクター1から取得した画像データにより示されるリサイズ画像に応じた画像を、タッチパネル34に表示する。具体的には、CPU30は、画像データにより示されるリサイズ画像のサイズをタッチパネル34に応じたサイズに変更し、サイズが変更されたリサイズ画像をタッチパネル34に表示する。ステップSA7の処理により、タッチパネル34には、投射画像に対応する画像が表示される。ステップSA8において、CPU30は、タッチパネル34上でユーザーが指定した点の物理的な座標を、画像データにより示されるリサイズ画像上の点の座標に変換する。ステップSA8の処理は、タッチパネル34が、ユーザーによる操作を検出したことを契機として行われる。タッチパネル34上の物理的な座標とリサイズ画像上の点の座標との変換は、予め定められた式を用いて行われる。CPU30は、リサイズ画像上の点の座標を示す座標データをRAM32に記憶する。ステップSA9において、CPU30は、RAM32から座標データを読み出して、プロジェクター1に出力する。なお、ステップSA8およびステップSA9の処理は、タッチパネル34が、ユーザーによる操作を検出する度に行われ、複数の座標データが順次プロジェクター1に出力さ
れる。
【0033】
ステップSA10において、プロジェクター1のCPU10は、座標変換処理を行う。座標変換処理とは、座標データにより示される座標の座標系を、入力画像の座標系に変換することをいう。CPU10は、座標変換処理により、タブレット端末3から取得した座標データにより示される、リサイズ画像の座標の座標系を、リサイズ処理がされる前の(元の)入力画像の座標系に変換する。具体的には、CPU10は、RAM12から読み出したオフセット値αと変換係数βとを用いて、以下の式(5)により、タブレット端末3から取得した座標データにより示される座標(Xi,Yi)を、元の入力画像における座標(xi,yi)に変換する。
【数5】
CPU10は、変換後の座標(xi,yi)をRAM12に記憶する。例えば、上述のサイズの例において、タブレット端末3から取得された座標データにより示される座標(Xi,Yi)が(275,480)である場合、元の入力画像における座標(xi,yi)は(500,500)となる。ステップSA11において、CPU10は、RAM12から座標(xi,yi)を読み出して、当該座標を示す座標データをPC2に出力する。
【0034】
ステップSA12において、PC2のCPU20は、入力画像(一次画像)上に、プロジェクター1から取得した座標データに応じた画を描く。具体的には、CPU20は、複数の座標データにより示される座標を補間することにより、タッチパネル34上でユーザーが指定した点の軌跡に応じた画(以下、「軌跡画像」という)を描く。CPU20は、プロジェクター1から順次出力される座標が取得された順序をRAM22に記憶しており、この順序に従って複数の座標を補間して結んだ画像を軌跡画像とする。座標が取得された順序は、CPU20が、プロジェクター1から座標データを取得したときに、座標とともにRAM22に記憶される。そして、CPU20は、軌跡画像と一次画像とを合成し二次画像を生成する。CPU20は、二次画像を示す画像データをRAM22に記憶する。ステップSA13において、CPU20は、RAM22から二次画像を示す画像データを読み出して、当該画像データを示す映像信号をプロジェクター1に出力する。
【0035】
ステップSA14からステップSA18において、プロジェクター1のCPU10は、二次画像に対して、ステップSA2からSA18と同様の処理を行う。ステップSA18の処理により、スクリーンSCには二次画像に基づく投射画像が投射される。ステップSA19において、タブレット端末3のCPU30は、ステップSA7と同様の処理により、二次画像のリサイズ画像に応じた画像をタッチパネル34に表示する。以上の処理により、入力画像(および投射画像)には、タッチパネル34の操作に応じた画が描かれ、タブレット端末3を、PC2を操作するためのポインティングデバイスとして機能させることができる。したがって、PC2およびプロジェクター1(並びにスクリーンSC)から離れた所からでも描画を行うことができ、描画を行う際の距離的な制約を抑制できる。また、PC2の入力部25を操作する場合に比べて、より直感的に描画を行うことができる。投射システムPS1の利用例としては、学校の教室で、教師が生徒にタブレット端末3を操作させ、PC2から離れた所から入力画像に描画をさせることが考えられる。
【0036】
(実施形態2)
図8は、本発明の第2実施形態に係る投射システムPS2の全体構成を示す図である。以下では、投射システムPS2について、投射システムPS1と異なる部分を中心に説明する。投射システムPS2は、上述のPC2に代えて、DVDプレーヤーなどのAV機器が用いられる。DVDプレーヤー4は、映像信号をプロジェクター1に出力する。DVD
プレーヤー4は、ケーブルによりプロジェクター1のHDMI端子と有線接続されている。投射システムPS2において、プロジェクター1は、入力画像上に画を描くための描画プログラムを実行する。タブレット端末3は、プロジェクター1が描画プログラムを実行している場合において、プロジェクター1を操作するためのポインティングデバイスとして機能する。ユーザーがタッチパネル34を操作すると、プロジェクター1において、当該操作に応じた画が入力画像上に描かれる。
【0037】
図9は、投射システムPS2の機能的構成を示すブロック図である。プロジェクター1は、
図2に示した座標変換部106および座標データ出力部107に代えて、描画部111と、画像データ合成部112とを有する。描画部111は、座標データ取得部105により取得された座標データに応じた画を描く。画像データ合成部112は、描画部111により描かれた画と、一次画像のリサイズ画像とを合成し二次画像を示す画像データを生成する。画像処理部103は、画像データ合成部112により生成された画像データが示す二次画像に対して、所定の画像処理を施す。画像データ取得部108は、画像データ合成部112により生成された画像データを取得する。実施形態2におけるプロジェクター1において、プログラムを実行しているCPU10は、画像データ取得部108、画像圧縮部109、描画部111、および画像データ合成部112の一例である。
【0038】
図10は、投射システムPS2において実行される処理を示すシーケンスチャートである。以下の処理は、例えば、DVDプレーヤー4がプロジェクター1に映像信号(ここでは、一次画像を示す映像信号)を出力している状態で、プロジェクター1に描画プログラムを実行させるための指示が入力されたことを契機として開始される。描画プログラムを実行させるための指示は、ユーザーがコントローラーRCを操作することにより入力される。
【0039】
ステップSB1において、プロジェクター1のCPU10は、DVDプレーヤー4から映像信号を取得する。ステップSB2からステップSB9において、CPU10またはタブレット端末3のCPU30は、ステップSA2からステップSA9と同様の処理を行う。
【0040】
ステップSB10において、CPU10は、タブレット端末3から取得した座標データに応じた画を描く。具体的には、CPU10は、複数の座標データにより示される座標(Xi,Yi)を補間することにより、軌跡画像を描く。CPU10は、軌跡画像をRAM12に記憶する。ステップSB11において、CPU10は、軌跡画像と、一次画像のリサイズ画像とを合成し二次画像を生成する。具体的には、CPU10は、フレームメモリー12aから一次画像のリサイズ画像を、RAM12から軌跡画像をそれぞれ読み出して、リサイズ画像上に軌跡画像を合成する。CPU10は、生成された二次画像を示す画像データをフレームメモリー12aに書き込む。
【0041】
ステップSB12からステップSB16において、CPU10およびCPU30は、二次画像に対して、ステップSB3からステップSB7と同様の処理を行う。以上の処理により、入力画像(および投射画像)には、タッチパネル34の操作に応じた画が描かれ、タブレット端末3を、プロジェクター1を操作するためのポインティングデバイスとして機能させることができる。したがって、プロジェクター1(およびスクリーンSC)から離れた所からでも描画を行うことができ、描画を行う際の距離的な制約を抑制できる。
【0042】
<変形例>
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられても良い。
【0043】
(1)変形例1
投射システムにおいて行われる処理は、実施形態で説明した処理に限らない。例えば、画像データの圧縮が、1フレームごとに行われてもよい。
また、上述の実施形態では、画像処理が施される前の画像データがフレームメモリーから読み出され、読み出された画像データがタブレット端末3に出力される例を説明した。この点、画像処理が行われた後の画像データがフレームメモリーから読み出され、読み出された画像データに対して所定の処理が行われた画像データがタブレット端末3に出力されてもよい。例えば、リサイズ画像に対してキーストーン補正処理が行われる場合には、CPU10は、キーストーン補正処理後の画像データに、このキーストーン補正処理の逆変換をする処理を行い、逆変換がされた画像データをタブレット端末3に出力してもよい。なお、この場合には、プロジェクター1のRAM12は、必ずしも2枚のフレームメモリーを有していなくてもよい。
さらに、上述の実施形態では、一次画像上に座標データに応じた画が描かれる例を説明したが、二次画像上に座標データに応じた画がさらに描かれてもよい。
【0044】
(2)変形例2
上述の実施形態では、リサイズ処理において、1フレームごとにオフセット値αおよび変換係数βが算出される例を説明した。この点、プロジェクター1に映像信号が入力されている間は、一度算出されたオフセット値αおよび変換係数βと同じ値を用いて入力画像がリサイズされてもよい。この場合、CPU10は、一度算出されたオフセット値αおよび変換係数βを、映像信号が入力されている間、RAM12に記憶しておき、これらの値を用いて複数の入力画像をリサイズする。
【0045】
(3)変形例3
リサイズ処理および座標変換処理について示した上述の式(1)乃至(5)はあくまで一例であり、これらの式とは異なる式により、リサイズ処理または座標変換処理が行われてもよい。また、上述の実施形態では、リサイズ処理において入力画像が縮小される例を説明したが、リサイズ処理において入力画像が拡大されてもよい。
【0046】
(4)変形例4
投射システムの構成は、実施形態に記載された構成に限らない。例えば、実施形態1においては、プロジェクター1のIF部13が、USB端子を介してPC2に座標データを出力する例を説明したが、IF部13は無線LANインターフェースを介して座標データを出力してもよい。別の例で、複数台のタブレット端末3が投射システムにおいて用いられてもよい。さらに別の例で、DVDプレーヤー4に代えて、ビデオプレーヤーが用いられてもよい。
【0047】
(5)変形例5
プロジェクター1の機能的構成は、
図2および
図9に示した構成のいずれか一方である場合に限らない。プロジェクター1は、
図2および
図9に示した機能的構成の両方を有していてもよい。この場合、プロジェクター1は、映像信号の入力源がPC2である場合には
図6に示した処理を行い、DVDプレーヤー4である場合には
図10に示した処理を行う。
また、プロジェクター1、PC2、およびタブレット端末3のハードウェア構成は、
図3乃至
図5に示した構成に限らない。
図6、
図7、および
図10に示した各ステップの処理を実行できれば、プロジェクター1、PC2、およびタブレット端末3はどのようなハードウェア構成であってもよい。例えば、上述の実施形態では、プロジェクター1が3枚の液晶パネル152を有する例を説明したが、プロジェクター1は、1枚の液晶パネル152とカラーホイールを組み合わせた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を
用いた方式、1枚のDMDとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成されていてもよい。