特許第6232745号(P6232745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6232745-複動型押出プレス 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232745
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】複動型押出プレス
(51)【国際特許分類】
   B21C 23/08 20060101AFI20171113BHJP
   B21C 25/04 20060101ALI20171113BHJP
   B21C 31/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B21C23/08 A
   B21C25/04
   B21C31/00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-109786(P2013-109786)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-226711(P2014-226711A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】宇部興産機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 武治
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−147916(JP,A)
【文献】 実開昭61−205606(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/08
B21C 25/04
B21C 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシリンダにより軸方向に押動自在に設けられ、先端に加圧ステムを配したメインクロスヘッドと、
マンドレルを前記加圧ステム及び前記メインクロスヘッドの中で摺動可能とする前記メインシリンダ内に設けたピアサシリンダのピアサシリンダロッドを有して、
マンドレルシリンダにより駆動されるマンドレルストップロッドで、押出行程時にマンドレルシリンダのマンドレルストップロッドが前進限になるようにヘッド側に圧油をかけ
かつ、マンドレルシリンダはメインシリンダの外周部に固定されており、マンドレルストップロッドおよびマンドレルシリンダが、マンドレルと並行になるように、ピアサクロスヘッドへ接続されており、マンドレルシリンダの前進限がマンドレルの位置決めにな
り、
かつ、ピアサシリンダがメインクロスヘッドに固定され、マンドレルストップロッドがピアサクロスヘッドに固定されたこと、ピアサクロスヘッドがメインクロスヘッドの内部を進退自在に移動可能である複動型押出プレスにおいて、
マンドレルストップロッドと結合したピアサクロスヘッドにメインラム内に設けたピアサシリンダロッドを接続固定し、ピアサシリンダのロッド側に油圧力をかけることによりマンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を押出力として補完することを特徴とする複動型押出プレス装置。
【請求項2】
メインシリンダにより軸方向に押動自在に設けられ、先端に加圧ステムを配したメインクロスヘッドと、
マンドレルを前記加圧ステム及び前記メインクロスヘッドの中で摺動可能とする前記メインシリンダ内に設けたピアサシリンダのピアサシリンダロッドを有して、
マンドレルシリンダにより駆動されるマンドレルストップロッドで、押出行程時にマンドレルシリンダのマンドレルストップロッドが前進限になるようにヘッド側に圧油をかけ
かつ、マンドレルシリンダはメインシリンダの外周部に固定されており、マンドレルストップロッドおよびマンドレルシリンダが、マンドレルと並行になるように、ピアサクロスヘッドへ接続されており、マンドレルシリンダの前進限がマンドレルの位置決めにな
り、
かつ、ピアサシリンダがメインクロスヘッドに固定され、マンドレルストップロッドがピアサクロスヘッドに固定されたこと、ピアサクロスヘッドがメインクロスヘッドの内部を進退自在に移動可能である複動型押出プレスにおいて、
マンドレルストップロッドと結合したピアサクロスヘッドにメインラム内に設けたピアサシリンダロッドを接続固定し、ピアサシリンダのロッド側に油圧力をかけることによりマンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を押出力として補完することを特徴とする複動型押出プレス装置において、
マンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を検知する手段を設け、その作用力に対して予め決められた相当力の油圧力になるように圧力設定を随時定め、油圧ポンプと該設定圧力でその油圧力を制御することで押出力として失われるマンドレルプル力を補完することを特徴とする複動型押出プレスの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインラム内に装備したピアサシリンダのロッド側に油圧力をかけることによりマンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を押出力として補完する複動型押出プレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば銅、アルミニウム及びその合金等を用いて複動押出方法により管状製品の押出加工を行う押出プレスは、シリンダプラテンとエンドプラテンが対向して配置され、シリンダプラテンにはメインシリンダ、メインラム、加圧ステム及びマンドレルが、エンドプラテンにはダイスが設けられ、加圧ステムとダイスとの中間にはコンテナシリンダにより進退自在とするコンテナを有した公知の構成となっている。
加圧ステムは、その先端にダミーブロックを配し、シリンダプラテンに設けられたメインシリンダ内に組み込まれたメインラムに、メインクロスヘッドを介して取り付けられるものであり、前記加圧ステムの中心位置にはマンドレルがピアサシリンダロッドとともに、加圧ステムと同行及び進退自在に配置される。そして、加圧ステムに対向してダイスがエンドプラテンに取り付けられている。
【0003】
加圧ステムとダイスの中間には、進退自在にコンテナが配置され、そして、コンテナ内にビレットが収納される。コンテナ内に収納されたビレットに対し、加圧ステムがダイス側へ移動することによってビレットが押圧されてアプセットが完了する。アプセット後に
マンドレルが前進してビレットに対するピアシングが行われ、マンドレルはダイスの所定の前進位置で停止するとともに、加圧ステムが再び前進することにより、ビレットは管状製品として複動押出される。
【0004】
複動型の押出プレスでは、マンドレルの先端部をダイスのベアリング部の所定位置に停
止させて製品を押出すに際し、マンドレルとダイスのベアリング部との相対位置が製品に
引っ張られても停止位置がズレないようマンドレルの位置が保持される構成となっている

特許文献1には、メインシリンダ内に設けたピアサシリンダと、押出プレス軸芯から外
れてマンドレルと強制的に連結された止め金具とを備え、この止め金具は油圧パイロット
弁に作用して、ダイスのベアリン部の所定の軸方向位置(停止位置)を保持するようにピ
アサシリンダのロッド側室へ一定量の圧油媒体を供給することを開始させる。そして、圧
油媒体の供給量が、マンドレルが静止しかつメインラムが前進する際のピアサシリンダロ
ッド側室の容積増大量に一致するようにして位置保持制御する複動型の押出プレスが開示
されている。
(特許文献1参照)
【0005】
ところで、前記従来型の複動型の押出プレスでは機械的に止め金具と連接棒を介して油
圧パイロット弁を切り替え、一定量の圧油媒体を供給することにより、マンドレルをダイ
スのベアリング部の所定位置に保持する構成となっているので、油圧パイロット弁のスプ
ールのランドに相当する移動ストローク分だけ制御に遅れが生じ、押出成形中にマンドレ
ルの先端部が所定の停止位置に対し数ミリメートル前後動することになる。
そのため、押出された管状製品の肉厚にばらつきがあり、安定した品質の管状製品を得ることができなかった。
【0006】
さらには、従来の複動型押出プレスにおいては、以下のような問題があった。
コンテナ内にビレットを加圧ステムで押して挿入後、ビレットのアプセットして、ビレット内部にマンドレルでピアシングした後、フィックスマンドレルで押出する場合、ビレットとマンドレル表面に摩擦力が発生し押出中にマンドレルにプル力が作用する。これによりダイスに作用する押出力がその分減少したこととなり、最も押出所要力の必要とする押し始めにおいて押出力が有効に活用できないということがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭49−26188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ビレットとマンドレル表面の間で発生する摩擦力により押出中に作用するマンドレルプル力により減少する押出力を、ピアサクロスヘッドに接続固定したピアサシリンダロッドによって補完する複動型押出プレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
メインシリンダにより軸方向に押動自在に設けられ、先端に加圧ステムを配したメインクロスヘッドと、
マンドレルを前記加圧ステム及び前記メインクロスヘッドの中で摺動可能とする前記メインシリンダ内に設けたピアサシリンダのピアサシリンダロッドを有して、
マンドレルシリンダにより駆動されるマンドレルストップロッドで、押出行程時にマンドレルシリンダのマンドレルストップロッドが前進限になるようにヘッド側に圧油をかけ
かつ、マンドレルシリンダはメインシリンダの外周部に固定されており、マンドレルストップロッドおよびマンドレルシリンダが、マンドレルと並行になるように、ピアサクロスヘッドへ接続されており、マンドレルシリンダの前進限がマンドレルの位置決めにな
り、
かつ、ピアサシリンダがメインクロスヘッドに固定され、マンドレルストップロッドがピアサクロスヘッドに固定されたこと、ピアサクロスヘッドがメインクロスヘッドの内部を進退自在に移動可能である複動型押出プレスにおいて、
マンドレルストップロッドと結合したピアサクロスヘッドにメインラム内に設けたピアサシリンダロッドを接続固定し、ピアサシリンダのロッド側に油圧力をかけることによりマンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を押出力として補完することを特徴とする。
【0010】
メインシリンダにより軸方向に押動自在に設けられ、先端に加圧ステムを配したメインクロスヘッドと、
マンドレルを前記加圧ステム及び前記メインクロスヘッドの中で摺動可能とする前記メインシリンダ内に設けたピアサシリンダのピアサシリンダロッドを有して、
マンドレルシリンダにより駆動されるマンドレルストップロッドで、押出行程時にマンドレルシリンダのマンドレルストップロッドが前進限になるようにヘッド側に圧油をかけ
かつ、マンドレルシリンダはメインシリンダの外周部に固定されており、マンドレルストップロッドおよびマンドレルシリンダが、マンドレルと並行になるように、ピアサクロスヘッドへ接続されており、マンドレルシリンダの前進限がマンドレルの位置決めにな
り、
かつ、ピアサシリンダがメインクロスヘッドに固定され、マンドレルストップロッドがピアサクロスヘッドに固定されたこと、ピアサクロスヘッドがメインクロスヘッドの内部を進退自在に移動可能である複動型押出プレスにおいて、
マンドレルストップロッドと結合したピアサクロスヘッドにメインラム内に設けたピアサシリンダロッドを接続固定し、ピアサシリンダのロッド側に油圧力をかけることによりマンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を押出力として補完することを特徴とする複動型押出プレス装置において、
マンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を検知する手段を設け、その作用力に対して予め決められた相当力の油圧力になるように圧力設定を随時定め、油圧ポンプと該設定圧力でその油圧力を制御することで押出力として失われるマンドレルプル力を補完することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
マンドレルシリンダロッドはメインクロスヘッド内に摺動自在に動作するピアサクロスヘッドに連結され、さらにはマンドレルシリンダがメインクロスヘッドに固定されている為、ピアサシリンダのロッド側に油圧力を作用させるとピアサシリンダを後退させる力が作用し、その反力はメインクロスヘッドに作用し、加圧ステム先端へと荷重伝播してビレットを押出すことになる。
そのため、押出中の加圧ステムに従来よりも大きな押出力が作用することとなり、従来では押出せなかった薄肉の管状製品や長いビレットを押出せるようになる。また、同じ管径の押出製品を押出すにも、小型の複動型押出プレスで押出すことができるようになる。そのため、生産性の向上、省エネ化、省力化を図ることができる。
【0017】
加圧ステムがビレットを押して押出方向に移動するとき、マンドレルストップロッドに作用するマンドレルプル力を検知する手段を設け、その作用力に対して予め決められた相当力の油圧力になるように圧力設定を随時定め、油圧ポンプと該設定圧力とその油圧力を制御することで押出力として失われるマンドレルプル力を補完するという構成になっているので、押出操作中に押出力が変動しても、ピアサシリンダに供給する作動油圧力や供給量をその都度調整する必要がなく、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の複動型押出プレスの概略を示す立面の断面図である。
図2】本発明の複動型押出プレスの概略を示す正面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る複動型押出プレス10を、図1を参照して説明する。
図1に示すように押出プレス10は、エンドプラテン11とシリンダプラテン15が対向して配置され、エンドプラテン11にはダイス12が、シリンダプラテン15にはメインシリンダ25、メインラム24、メインクロスヘッド23と加圧ステム22が設けられ、エンドプラテン11とシリンダプラテン15との間にはエンドプラテン11に配した図示しないコンテナシリンダにより進退自在とするコンテナ13を有する構成となっている。
【0020】
加圧ステム22は、シリンダプラテン15に設けられたメインシリンダ25内に組み込まれたメインラム24に、メインクロスヘッド23を介して取り付けられたものであり、
加圧ステム22の中心位置にはマンドレル31がサブマンドレル32、マンドレルホルダ39を介してピアサクロスヘッド33に取り付けられ、加圧ステムと同行及び進退自在に配置されている。ダイス12は、加圧ステム22と対向してエンドプラテン11に設けられている。
そしてビレット14は、ダイス12とシリンダプラテン15側へ移動したコンテナ13との間にダミーブロック21とともに図示しないビレットローダにより供給される。ダミーブロック21はビレット14の供給を円滑に行うためビレット14のみコンテナ13に挿入した後、加圧ステム22を後退させて図示しないダミーブロック供給装置により押出プレス中心へ移動させてコンテナ13に挿入してもよい。

メインシリンダ25にはマンドレルシリンダ38が固定されており、前記マンドレルシリンダ38のマンドレルストップロッド37にはピアサクロスヘッド33が取り付けられており、メインクロスヘッド23の内部を進退自在に配置されている。
さらにピアサクロスヘッド33には接続部品34を介してピアサシリンダロッド35が取り付けられており、またピアサシリンダ36はメインラム24の内部でメインクロスヘッド23にボルトなどで接合して取り付けられた構成になっている。
【0021】
次に、複動型押出プレス装置10の動作について説明する。図示しないビレットローダに載置されたビレットを、コンテナの中心に位置するようにさせるとともに、メインラム24を前進させて加圧ステム22の先端をダミーブロック21の端面に接触させた状態でコンテナ13内に挿入する。次いで、加圧ステム22を一旦後退させた後、マンドレルシリンダ38のヘッド側に圧油を導入してビレットをピアシングしながらマンドレル31を前進させ、マンドレル31の先端をダイス12のベアリング部の所定位置に停止させて保持する。
この時マンドレルシリンダ38のマンドレルストップロッド37が前進限になるように、ヘッド側に圧油をかけることにより、以後の押出工程においてもマンドレル31の位置がずれないような構成になっている。
また、マンドレルストッパー装置42によりマンドレルストップロッド37の長さが自由に調整でき、ダイス12のサイズが変わってベアリング部の位置が変わっても、マンドレル31の先端の位置固定ができるようになっている。
以上の動作が行われた後に加圧ステム22を前進させて押出を開始する。
【0022】
押出終了後、メインラム24を前進側に押圧する圧油の圧力を降下させるとともに、ピアサシリンダ36とマンドレルシリンダ38のロッド側ポートに圧油を作用させてマンドレル31を後退させ、サイドシリンダ27のロッド側とラムシリンダ本体25に圧油を供給してメインクロスヘッド23及び加圧ステム22を後退させる。そして、コンテナをダイス12から離間させ、図示しないシャー装置によりディスカードを切断除去する。又、ダミーブロック21は図示しないダミーブロック回収装置で、機外へ搬出させ、新たにプレスに図示しないダミーブロック投入装置でプレス中心に供給するようにして、次の押出操作に備える。
この後、再びコンテナ13を前進移動させてダイス12と当接させるとともに、コンテナ13と加圧ステム22との中間位置にビレットを供給してコンテナ13内にビレットを挿入し、前記動作を繰り返して行う。
【0023】
以上のような複動型押出プレスにおいて、マンドレルプル力を押出力に補完するピアサシリンダ36の機能について図1で説明する。
押出を開始すると、ビレット14の内壁とマンドレル31との間には摩擦力により、マンドレル31には押出方向にプル力が働く一方、押出力はこの力の大きさだけ失われる。このプル力に対して、メインラム24の内部に固定されたピアサシリンダ36のロッド側40に圧油をかけるとピアサシリンダロッド35に反押出方向に力Fが働くと同時にメインクロスヘッド23には、その反力として押出方向に力Fが働く。
この力Fはメインクロスヘッド23に押出方向に働く為、その先端の加圧23ステムまで荷重伝播して押出力に力Fが加えられたことになり、押出力が増加する。
【0024】
以上述べたマンドレルプル力を押出力に補完するピアサシリンダの制御方法について図1で説明する。
マンドレル31に働くプル力は、サブマンドレル32、サブマンドレルホルダ39、ピアサクロスヘッド33に荷重伝播し、マンドレルストップロッド37の押出方向に引張り力が働くようになる。この引張り力を荷重センサー50で検知し、得られた信号を増幅器51で増幅しコントローラ52で力―圧力変換を行い、比例電磁リリーフ55の圧力を制御する。可変吐出型油圧ポンプ56から送られる圧油は電磁弁53がオン(図1ではオンの状態を示している。)したのちに前記比例電磁リリーフ55の圧力設定値の圧力値でピアサシリンダ36のロッド側40に送られる。例えば油の圧力値は押出開始時には31MPaなどである。この圧油により、前記押出力を増加することができる。
【0025】
まとめると、予め決められた油圧力に応じて圧力設定弁を設定変更して押出直後に初期の圧力設定を決める。押出中は、常時マンドレルプル力を検知しながらその値がゼロに近付くように圧力制御をし、マンドレルプル力によるダイスに作用する押出力の低下を防ぎ、所定の押出力がダイスに常時作用することが可能となるように制御する。
【0026】
次にマンドレル31の先端の位置決めについて説明する。
マンドレル31の先端はサブマンドレル32、サブマンドレルホルダ39、ピアサクロスヘッド33、マンドレルストップロッド37を介してマンドレルシリンダ38によって位置決めするようになっている。マンドレルシリンダ38はシリンダプラテン15に固定されており、またシリンダプラテン15は図示しないタイロッドによってエンドプラテン11と固定されている。ダイス12はエンドプラテン11に配置されているため、マンドレル31の先端の位置は前記、マンドレルシリンダ38によって決められることになる。さらにマンドレルストップロッド37が押出方向の前進限に位置するときに、ダイス12のベアリング部と位置が一致するような構成になっている。
さらには、マンドレルストッパー装置42のネジを調整することにより、様々なマンドレル31長さに合わせて、マンドレル31先端の位置の微調整をすることができる。
【0027】
上述した本発明の実施形態では直接複動型押出プレスのコンベンショナルプレスの構成にしたが、この構成に限られるものではなく、直接複動型押出プレスのフロントローディングプレスまたは、間接複動型押出プレスでも実施できる構成になっている。
【0028】
以上説明したように、本発明の複動型押出プレスはマンドレルに働くプル力を検知し、そのプル力により低減した押出力を、予め決められた相当力の油圧力になるように圧力設定された圧油をピアサシリンダのロッド側に可変吐出型油圧ポンプで送ることにより、押出力を補完することによって、従来では押出しできなかった薄肉の管状製品や、また長いサイズのビレットを押出すことができるようになり、複動押出プレスの小型化を図ることができるとともに、生産性の向上、省エネ、省力化を達成することができる。また、押出操作中に押出力が変動しても、ピアサシリンダに供給する作動油圧力や供給量をその都度調整する必要がなく、操作性を向上させることができる。
更には、マンドレルの先端位置を正確に位置決めすることができるようになり、作動油や油量をその都度調整する必要がなくなり、操作性が向上する効果を奏する。
【符号の説明】
【0029】
11 エンドプラテン
12 ダイス
14 ビレット
15 シリンダプラテン
22 加圧ステム
23 メインクロスヘッド
24 メインラム
26 サイドシリンダロッド
27 サイドシリンダ
31 マンドレル
32 サブマンドレル
33 ピアサクロスヘッド
35 ピアサシリンダロッド
36 ピアサシリンダ
37 マンドレルストップロッド
38 マンドレルシリンダ
50 荷重センサー
51 増幅器
52 コントローラ
55 比例電磁リリーフ
56 可変吐出型油圧ポンプ
図1
図2