(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の駆動装置、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、ロボットハンドおよびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、参照する各図面において、構成を判り易く示すため、各構成要素の寸法の比率、角度等が異なる場合がある。
なお、以下の実施形態では、
図10に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸で規定される平面を「XY平面」と言い、Y軸とZ軸で規定される平面を「YZ平面」と言い、X軸とZ軸で規定される平面を「XZ平面」と言う。また、X軸に平行な方向を「X方向(第1方向)」と言い、Y軸に平行な方向を「Y方向(第2方向)」と言い、Z軸に平行な方向を「Z方向(第3方向)」と言う。また、X方向、Y方向およびZ方向において、矢印先端側を(+)側、矢印基端側を(−)側と言う。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
図2は、第1の実施形態に係る駆動装置に用いる圧電モーターの構成を示す模式図である。
図3は、第1の実施形態に係る駆動装置の構成を示すブロック図である。
図4は、第1の実施形態に係る駆動回路の構成を示すブロック図である。
図5は、第1の実施形態に係る駆動装置の駆動制御方法を説明する図である。
【0024】
<駆動装置>
まず、第1の実施形態に係る駆動装置の概略構成を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る駆動装置100は、3つの駆動ユニット101a、101b、101cで構成される。
【0025】
駆動ユニット101a、101b、101cのそれぞれは、同じ構成を有しており、符号の末尾に付したa、b、cにより、各駆動ユニット101と、各駆動ユニット101が備える可動部50、駆動回路30、断続部としてのリレー21、22、23、24、及び圧電モーター11、12、13、14とを対応させている。
すなわち、駆動装置100は、可動部50a、50b、50cと、駆動回路30a、30b、30cと、圧電モーター11a、11b、11c、12a、12b、12c、13a、13b、13c、14a、14b、14cと、リレー21a、21b、21c、22a、22b、22c、23a、23b、23c、24a、24b、24cと、を備えている。以下では、符号の末尾に付したa、b、cを省略して説明する。
【0026】
各駆動ユニット101において、可動部50には、4個の圧電モーター11、12、13、14が設けられている。リレー21、22、23、24は、圧電モーター11、12、13、14毎に設けられている。すなわち、圧電モーター11、12、13、14は、それぞれリレー21、22、23、24に1対1で接続されており、リレー21、22、23、24を介して、圧電モーター11、12、13、14を駆動する駆動回路30に接続されている。
【0027】
リレー21、22、23、24は、例えば、フォトモス(MOS)リレーで構成されている。リレー21、22、23、24は、駆動回路30から出力されるセレクト信号に基づいて動作し、圧電モーター11、12、13、14のそれぞれと駆動回路30とを電気的に接続又は遮断(断続)する。リレー21、22、23、24の切り替えにより、圧電モーター11、12、13、14のうち駆動回路30と電気的に接続された圧電モーターに対して、駆動回路30からの駆動信号が選択的に供給される。また、圧電モーター11、12、13、14のうち駆動回路30から駆動信号が供給された圧電モーターの動作により、エンコーダー信号が駆動回路30にフィードバックされる。
【0028】
駆動装置100は、3つの駆動ユニット101a、101b、101cのそれぞれにおいて、リレー21、22、23、24の切り替えで、4つ(4軸)の圧電モーター11、12、13、14のいずれかを選択的に駆動回路30に接続して時分割で駆動することにより、3つの可動部50のそれぞれを所望の位置に移動させる12軸の多軸駆動装置である。駆動装置100の駆動制御方法については後述する。
【0029】
なお、本実施形態は、リレー21、22、23、24にフォトモスリレーを用いた構成としているが、メカニカルリレー(電磁リレー)用いた構成としてもよい。しかしながら、フォトモスリレーは、メカニカルリレーに比べて、接続と遮断との動作(応答)時間が短いので切り替えを速く行うことができるとともに、消費電力が小さく長寿命である。したがって、リレー21、22、23、24にはフォトモスリレーを用いることが好ましい。
【0030】
<圧電モーター>
次に、圧電モーター11、12、13、14の構成を説明する。
図2は、第1の実施形態に係る駆動装置に用いる圧電モーターの構成を示す模式図である。
図3は、第1の実施形態に係る駆動装置の構成を示すブロック図である。
圧電モーター11、12、13、14は、同じ構成を有している。
図2に示すように、圧電モーター11、12、13、14のそれぞれは、振動体1と、被駆動体5と、保持部材8と、付勢バネ6と、基台7と、を備えている。振動体1、被駆動体5、保持部材8、及び付勢バネ6は、基台7に設置されている。なお、ここでは、被駆動体5が回転駆動されるローターである場合を例にとり説明する。
【0031】
図2に示す平面視で、振動体1は、短辺1aと長辺1bとを有する略矩形形状である。以下の説明では、短辺1aに沿った方向を短手方向と呼び、長辺1bに沿った方向を長手方向と呼ぶ。振動体1は、例えば、板状に形成された圧電素子で構成されるが、圧電素子と振動板とが積層された積層体であってもよい。
圧電素子は、電気機械変換作用を示す圧電材料からなり、例えば、一般式ABO
3で示されるペロブスカイト構造を有する金属酸化物を材料として形成されている。このような金属酸化物としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O
3:PZT)、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)等があげられる。
【0032】
振動体1の表面には、Ni、Au、Ag等の導電性金属からなる電極3が設けられている。電極3は、振動体1の短手方向の中央部、及び長手方向の中央部に形成された溝部によって、略4等分されている。これにより、電極3は、個別電極として互いに電気的に隔離された電極部3a、3b、3c、3dの4つの電極部に分割されている。また、振動体1の反対側の表面には、共通電極9(
図3参照)が設けられている。
【0033】
電極3の4つの電極部のうち、互いに対角となるように配置され対を成す電極部3a、3dは、第1屈曲振動用電極として機能する。また、電極部3a、3dと交差する対角となるように配置され対を成す電極部3c、3bは、第2屈曲振動用電極として機能する。電極部3a、3dが配置された領域、及び電極部3c、3bが配置された領域が、それぞれ振動体1の短手方向に屈曲振動を励起する屈曲振動励起領域となる。
【0034】
振動体1は、被駆動体5側に突出するように延設され、被駆動体5の側面(円周面)に当接する摺動部(凸部)4を有している。また、振動体1は、短手方向両外側に向かって延設された一対の腕部1cを有している。腕部1cには厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられており、貫通孔を挿通させたネジを介して、腕部1cが保持部材8に固定されている。これにより、振動体1は、保持部材8に対して、腕部1cを基点として屈曲振動が可能な状態で保持される。
【0035】
被駆動体5は、円盤形状を有しており、振動体1の摺動部4が設けられた側に配置されている。被駆動体5は、基台7に立設された棒状の軸5aを回転中心として、回転自在に保持されている。圧電モーター11、12、13、14のそれぞれにおいて、被駆動体5に近い位置には、エンコーダー51、52、53、54(
図3参照)が設けられている。エンコーダー51、52、53、54は、被駆動体5の位置や回転速度に基づくエンコーダー信号E1、E2、E3、E4を駆動回路30にフィードバックする。
【0036】
基台7は、振動体1の短手方向の両外側に、長手方向に沿って延在して配置された一対のスライド部7aを有している。保持部材8は、基台7に対して、スライド部7aに沿ってスライド移動可能に支持されている。
保持部材8の被駆動体5とは反対側と基台7との間には、付勢バネ6が設置されている。付勢バネ6は、保持部材8を介して振動体1を被駆動体5に向けて付勢し、この付勢力により、摺動部4が被駆動体5に所定の力で当接する。付勢バネ6の付勢力は、被駆動体5と摺動部4との間で適切な摩擦力が発生するように適宜設定されている。これにより、振動体1の振動が、摺動部4を介して被駆動体5に効率よく伝達される。
【0037】
駆動回路30(
図1参照)から、共通電極9に対して共通信号(
図3に示すCOM)が供給され、第1屈曲振動用電極である電極部3a、3dに対して駆動信号(
図3に示すDrvA)が供給されると、振動体1に、短手方向に沿って屈曲する屈曲振動が励振される。この屈曲振動により、摺動部4は、時計回りの楕円軌道を描くように摺動する。これにより、被駆動体5が、
図2に矢印で示すように、反時計回りに回転する。
【0038】
一方、共通電極9に対して共通信号(COM)が供給され、第2屈曲振動用電極である電極部3c、3bに対して駆動信号(
図3に示すDrvB)が供給されると、振動体1に、短手方向に沿って屈曲する屈曲振動が励振される。この屈曲振動により、摺動部4は、反時計回りの楕円軌道を描くように摺動する。これにより、被駆動体5が、
図2に示す矢印とは反対の、時計回りに回転する。
【0039】
このように、圧電モーター11、12、13、14は、駆動回路30から共通電極9と電極部3a、3b、3c、3dとの間に駆動信号が供給される際に、第1屈曲振動用電極(電極部3a、3d)を選択する場合と、第2屈曲振動用電極(電極部3c、3b)を選択する場合とを切り替えることにより、被駆動体5を反時計回り及び時計回りの双方向に回転させることが可能である。これにより、可動部50(
図1参照)を移動させる方向を正方向と逆方向とで切り替えることができる。
【0040】
なお、被駆動体5は、上述の回転駆動されるローターに限定されるものではない。被駆動体5は直線駆動されるリニア被駆動体であってもよく、被駆動体5の駆動方向は任意に構成できる。被駆動体5がリニア被駆動体である場合、第1屈曲振動用電極(電極部3a、3d)と第2屈曲振動用電極(電極部3c、3b)とを切り替えることにより、被駆動体5の直動方向を正方向と逆方向とで切り替えることができる。
【0041】
図3に示すように、圧電モーター11、12、13、14のうち、リレー21、22、23、24で駆動回路30に電気的に接続された圧電モーターのみが、屈曲振動用電極の駆動信号(DrvA又はDrvB)及び共通信号(COM)が供給されて駆動される。リレー21、22、23、24で駆動回路30との電気的な接続が遮断された圧電モーターは非駆動状態となる。
【0042】
非駆動状態において、被駆動体5は、摺動部4との間に働く摩擦力により、回転を停止した際の位置で保持される。したがって、圧電モーター11、12、13、14では、電磁モーターやパルスモーターのように非駆動状態において回転子が回転しないようにモーター毎に設けられるブレーキ機構を必要としない。このため、圧電モーター11、12、13、14を用いることで、駆動装置100の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
なお、圧電モーター11、12、13、14は、被駆動体5の回転を増速又は減速して伝達する増減速機構をさらに備えていてもよい。増減速機構を備えていると、被駆動体5の回転速度を増速又は減速して所望の回転速度を容易に得ることができる。
【0043】
<駆動回路>
次に、第1の実施形態に係る駆動回路の概略構成を説明する。
図4は、第1の実施形態に係る駆動回路の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、駆動回路30(30a、30b、30c)は、主制御部40と、副制御部41と、発振器31と、ゲインアンプ32と、PWM部33と、デジタルアンプ34と、インダクターコンデンサー35、36と、リレー37、38と、を備えている。
【0044】
主制御部40は、CPU(Central Processing Unit)で構成される。主制御部40は、駆動装置100を含むシステム全体を制御する制御装置(図示省略)と、CAN(Controller Area Network)を介して接続されている。主制御部40は、制御装置の指示に基づいて、リレー21、22、23、24で圧電モーター11、12、13、14を切り替えて時分割で駆動する等の、駆動装置100の動作の制御を行う。
【0045】
副制御部41は、ロジックICやFPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成される。副制御部41は、主制御部40とSPI(Serial Peripheral Interface)を介して接続されている。副制御部41は、主制御部40の指示に基づいて、発振器31で生成する信号の周波数、ゲインアンプ32の増幅率、リレー37、38の切り替え等の制御を行う。また、副制御部41は、エンコーダー51、52、53、54からフィードバックされたエンコーダー信号(
図3に示すE1、E2、E3、E4)に基づいて、圧電モーター11、12、13、14の被駆動体5の位置や回転速度を検出する。
【0046】
発振器31は、DDS(Direct Digital Synthesizer)等で構成される。発振器31は、圧電モーター11、12、13、14の振動体1に供給する駆動信号のもととなる信号を生成する。発振器31で生成された信号は、DAコンバーターによりアナログ信号に変換される。また、発振器31は、副制御部41の指示に基づいて、駆動信号の周波数を調整する。
【0047】
ゲインアンプ32は、例えば、デジタルポテンショメーターとオペアンプとで構成される。ゲインアンプ32は、発振器31からのアナログ信号をデジタル制御により増幅する。また、ゲインアンプ32は、副制御部41の指示に基づいて、駆動信号の電圧値を調整する。
PWM部33は、PWM(Pulse Width Modulation)回路で構成される。PWM部33は、ゲインアンプ32からの入力信号におけるパルスのデューティー比を変えることにより、等価的なアナログ制御を行なう。
【0048】
デジタルアンプ34は、MOSトランジスターのHブリッジ回路で構成され、PWM部33との併用により、デジタルアンプとして機能する。デジタルアンプ34は、PWM部33からの信号の電力を増幅してスイッチングを行う。なお、主制御部40からの「Sleep」指示があると、電力を増幅してスイッチングを行う機能がOFF状態となる。
インダクターコンデンサー35、36は、デジタルアンプ34から出力される駆動信号の波形を整形して正弦波とする。また、インダクターコンデンサー35、36は、フィルター回路、圧電モーター11、12、13、14の整合回路、昇圧回路等としての機能も兼ねている。
【0049】
インダクターコンデンサー35から、リレー37を介して圧電モーター11、12、13、14の第1屈曲振動用電極(
図2に示す電極部3a、3d)に駆動信号(DrvA)が出力され、リレー38を介して第2屈曲振動用電極(
図2に示す電極部3c、3b)に駆動信号(DrvB)が出力される。インダクターコンデンサー36から、圧電モーター11、12、13、14の共通電極9(
図3参照)に共通信号(COM)が出力される。
【0050】
リレー37、38は、フォトモスリレーで構成されている。リレー37、38は、副制御部41の指示に基づいて動作し、第1屈曲振動用電極(電極部3a、3d)、第2屈曲振動用電極(電極部3c、3b)とインダクターコンデンサー35とが電気的に接続した状態及び電気的に切断した状態を切り替える。リレー37、38を切り替えて、第1屈曲振動用電極(電極部3a、3d)又は第2屈曲振動用電極(電極部3c、3b)を選択することにより、圧電モーター11、12、13、14の被駆動体5は反時計回り又は時計回りに回転する。
【0051】
<駆動制御方法>
次に、第1の実施形態に係る駆動装置の駆動制御方法を説明する。
図5は、第1の実施形態に係る駆動装置の駆動制御方法を説明する図である。
先に
図1を参照して説明したように、駆動ユニット101a、101b、101cのそれぞれにおいて、駆動回路30からリレー21、22、23、24及び圧電モーター11、12、13、14に、セレクト信号及び駆動信号が出力される。
図5(a)は、駆動回路30からリレー21、22、23、24及び圧電モーター11、12、13、14に出力されるセレクト信号及び駆動信号の構成を模式的に示している。
【0052】
図5(a)に示すように、セレクト信号は、時分割で順次現出する信号S1、S2、S3、S4を含んでいる。信号S1は、例えば動作開始等の基準時点から時間T1経過後に現出し、信号S2は時間T1から時間T2経過後に現出する。そして、信号S3は時間T2から時間T3経過後に現出し、信号S4は時間T3から時間T4経過後に現出する。また、駆動信号は、信号S1、S2、S3、S4に同期するとともに、信号S1、S2、S3、S4のそれぞれの持続時間に対応して出力される。
【0053】
信号S1はリレー21を接続状態とする信号であり、同様に、信号S2、S3、S4はそれぞれリレー22、23、24を個別に接続状態とする信号である。リレー21、22、23、24のうち、セレクト信号(信号S1、S2、S3、S4)で指定されたリレーは接続状態となり、それ以外のリレーは切断状態となる。したがって、圧電モーター11、12、13、14のうち、セレクト信号に基づいて接続状態となったリレーに対応する圧電モーターのみが選択的に駆動回路30に電気的に接続される。
【0054】
図5(b)に示すように、時間T1経過後にはセレクト信号(信号S1)で指定されたリレー21が接続状態となり、圧電モーター11のみが駆動回路30に電気的に接続されるので、駆動信号は圧電モーター11のみに供給される。また、
図5(c)に示すように、時間T1から時間T2経過後にはセレクト信号(信号S2)で指定されたリレー22が接続状態となり、圧電モーター12のみが駆動回路30に電気的に接続されるので、駆動信号は圧電モーター12のみに供給される。
【0055】
同様にして、
図5(d)に示す時間T3経過後にはリレー23が接続状態となって駆動信号が圧電モーター13に供給され、
図5(e)に示す時間T4経過後にはリレー24が接続状態となって駆動信号が圧電モーター14に供給される。このようにして、一つの駆動回路30により、4個の圧電モーター11、12、13、14を時分割で順次駆動することができる。また、これにより、駆動回路30と接続する配線を、4個の圧電モーター11、12、13、14で共通とすることができる。
このとき、3つの駆動ユニット101a、101b、101cにおいて、セレクト信号及び駆動信号を同期させて供給することにより、それぞれの圧電モーター11、12、13、14を同期させて駆動することができる。すなわち、
図1に示す可動部50a、50b、50cを同期させて移動させることができる。
【0056】
ここで、4個の圧電モーター11、12、13、14により
図1に示す可動部50(50a、50b、50c)を移動させる方向は、同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。例えば、圧電モーター11、12、13、14のそれぞれによる移動方向を、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向の3方向、及びZ方向を回転軸(回動軸)として回転(回動)するθ方向とすれば、リレー21、22、23、24の切り替えにより圧電モーター11、12、13、14を順次駆動させることで、可動部50をX方向、Y方向、Z方向、θ方向に順次移動させて所望の位置に移動配置することができる。この場合、可動部50を、対象物をX方向に移動する移動部、対象物をY方向に移動する移動部、対象物をZ方向に移動する移動部、対象物をθ方向に移動する移動部で構成し、各移動部に、それぞれ、圧電モーター11、12、13、14を設ける。各移動部は、それぞれ、圧電モーター11、12、13、14の駆動により移動する。
あるいは、増減速機構により、圧電モーター11、12、13、14の順に可動部50を移動させる速度を遅く(移動させる距離を小さく)すれば、リレー21、22、23、24の切り替えにより圧電モーター11、12、13、14を順次駆動させることで、可動部50の位置合わせを段階的に微細に行うことができる。
なお、駆動装置100が備える駆動ユニットの数や、一つの駆動回路30に接続する圧電モーターの数は、上述の数に限定されるものではない。また、一つのリレーに複数の圧電モーターを接続して、これら複数の圧電モーターと駆動回路30との電気的な接続及び切断を一緒に行う構成とすることも可能である。
【0057】
以上述べたように、第1の実施形態に係る駆動装置100の構成によれば、以下の効果が得られる。
(1)圧電モーター11、12、13、14と駆動回路30との間に設けられたリレー21、22、23、24は、圧電モーター11、12、13、14のうちの少なくとも一つと駆動回路30とを電気的に接続又は遮断する。そのため、駆動回路30と電気的に接続する圧電モーターをリレー21、22、23、24で切り替えて選択的に駆動させることにより、共通の駆動回路30で複数の圧電モーター11、12、13、14を時分割で駆動させることができる。これにより、圧電モーター11、12、13、14の数に対して、駆動回路30の数及び配線の数を少なくすることができる。また、圧電モーターを用いるので、電磁モーターやパルスモーターを用いる場合に比べて、モーター毎に設けられるブレーキ機構を不要もしくは制動能力が低いものでも適応可能にできる。この結果、駆動装置100の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。また、圧電モーター11、12、13、14の数に対して配線の数を少なくすることができるので、配線の重量や配線の束による可動部50への負荷を低減できる。これにより、可動部50の位置決め精度を向上させることができる。
【0058】
(2)圧電モーター11、12、13、14のそれぞれによる移動方向を、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向の3方向、及びZ方向を回転軸として回転するθ方向とすれば、リレー21、22、23、24を切り替えることにより、圧電モーター11、12、13、14を個別に駆動させて、可動部50をX方向、Y方向、Z方向、θ方向の異なる方向に移動させる動作を個別に行うことができる。これにより、可動部50を容易に、かつ精度良く所望の位置へ移動させることができる。
【0059】
(3)リレー21、22、23、24が圧電モーター11、12、13、14毎に設けられているので、共通の駆動回路30で複数の圧電モーター11、12、13、14を一つずつ個別に駆動させることができる。
(4)リレー21、22、23、24がフォトモスリレーで構成されるので、メカニカルリレー(電磁リレー)で構成される場合に比べて、接続及び遮断の際の動作時間が短く、消費電力が小さく、長寿命である。これにより、より高性能で信頼性の高い駆動装置100を提供できる。
【0060】
(第2の実施形態)
<駆動装置>
次に、第2の実施形態に係る駆動装置を説明する。第2の実施形態に係る駆動装置は、第1の実施形態に対して、圧電モーターの振動体に屈曲振動だけでなく縦振動が励起される点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。以下、本実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6は、第2の実施形態に係る駆動装置に用いる圧電モーターの構成を示す模式図である。
図7は、第2の実施形態に係る駆動装置の構成を示すブロック図である。
図8は、第2の実施形態に係る駆動回路の構成を示すブロック図である。
【0061】
第2の実施形態に係る駆動装置102は、第1の実施形態に係る駆動装置100と同様に、3つの駆動ユニット(図示省略)を備え、それぞれの駆動ユニットに、駆動回路30と、圧電モーター61、62、63、64と、リレー21、22、23、24と、を備えている。
図6に示すように、圧電モーター61、62、63、64のそれぞれは、振動体2と、被駆動体5と、保持部材8と、付勢バネ6と、基台7と、を備えている。
【0062】
振動体2の電極3の表面は5分割されており、電極部3a、3b、3c、3dに加えて、電極部3eが設けられている。電極部3eは、電極部3a、3bと電極部3c、3dとの間の短手方向中央部に配置されており、電極部3a、3bを合わせた面積(電極部3c、3dを合わせた面積)とほぼ同じ面積を有している。電極部3eは、縦振動用電極として機能する。縦振動とは、振動体2に長手方向に沿って伸縮する振動のことを指す。
【0063】
図7に示すように、圧電モーター61、62、63、64は、それぞれリレー21、22、23、24により、駆動回路30と電気的に接続又は遮断される。駆動回路30に電気的に接続された圧電モーターには、第1屈曲振動用信号(DrvA)又は第2屈曲振動用信号(DrvB)のいずれかと、縦振動用の駆動信号(Drv)とが供給される。
振動体2の電極部3a、3dに第1屈曲振動用の駆動信号(DrvA)が供給され、電極部3eに縦振動用の駆動信号(Drv)が供給されると、振動体2の短手方向に沿って屈曲する屈曲振動とともに長手方向に沿って伸縮する縦振動が励振される。このような屈曲振動と縦振動とが合成されて振動体2が励振されることにより、摺動部4は時計回りの楕円軌道を描くように摺動するので、被駆動体5は反時計回りに回転する。
一方、振動体2の電極部3c、3bに第2屈曲振動用の駆動信号(DrvB)が供給され、電極部3eに縦振動用の駆動信号(Drv)が供給されると、屈曲振動と縦振動とが合成されて振動体2が励振されることにより、摺動部4は反時計回りの楕円軌道を描くように摺動するので、被駆動体5は時計回りに回転する。
【0064】
図8に示すように、第2の実施形態に係る駆動装置102の駆動回路30は、縦振動用の駆動信号(Drv)が出力される点以外は、第1の実施形態と同じ構成を有している。縦振動用の駆動信号(Drv)は、リレー37、38の動作に関わらず、インダクターコンデンサー35から出力される。
このように、第2の実施形態に係る駆動装置102は、振動体2の電極が5分割され屈曲振動用の電極部3a、3b、3c、3dに加えて縦振動用の電極部3eを有する圧電モーター61、62、63、64を備えているが、第1の実施形態と同様に、リレー21、22、23、24により選択的に駆動回路30と電気的に接続される。これにより、第2の実施形態に係る駆動装置102においても、第1の実施形態に係る駆動装置100と同様の効果が得られる。
【0065】
(第3の実施形態)
<電子部品搬送装置及び電子部品検査装置>
次に、第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置を説明する。第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置は、第1の実施形態に係る駆動装置の基本構成と同様の構成を有する位置決め機構を備えている。以下、本実施形態について、前述した各実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0066】
まず、第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置で搬送又は検査する電子部品の一例を説明する。
図9は、第3の実施形態に係る電子部品の一例を示す図である。詳しくは、
図9(a)は電子部品の構造を示す模式側面図であり、
図9(b)及び
図9(c)は電子部品の構造を示す概略斜視図である。
図9(b)は半導体素子が形成された面を示し、
図9(c)は電極のみが形成された面を示している。
【0067】
図9(a)、(b)、(c)に示すように、電子部品70は四角形の基板71を備えている。基板71の一方の面を第1面70aとし、他方の面を第2面70bとする。
図9(b)に示すように、第1面70aには四角形の半導体チップ72が設置され、その周囲に2列に配列された第1電極73aが配置されている。
図9(c)に示すように、第2面70bには第2電極73bが格子状に配置されている。基板71内には配線層と絶縁層とが積層して形成され、半導体チップ72は配線層の配線を介して第1電極73a及び第2電極73bで構成される電極73に接続されている。
なお、ここでは、電子部品の一例として基板71に半導体チップ72が実装された電子部品70を説明したが、電子部品はこの構成に限定されるものではない。電子部品としては、例えば、半導体チップ、LCD等の表示デバイス、水晶デバイス、各種センサー、インクジェットヘッド等が挙げられる。
【0068】
次に、第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置について説明する。
図10は、第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置を示す概略平面図、
図11は、
図10に示す電子部品検査装置が有する検査用個別ソケットの断面図、
図12は、
図10に示す電子部品検査装置が有する供給ロボットのハンドユニットを示す平面図(部分断面図)、
図13は、
図10に示す電子部品検査装置が有する供給ロボットのハンドユニットを示す斜視図、
図14は、
図10に示す電子部品検査装置が有する検査用ロボットのハンドユニットを示す分解斜視図、
図15は、
図10に示す電子部品検査装置が有する検査用ロボットのハンドユニットの移動機構のX方向に垂直な平面で取った断面図、
図16は、
図10に示す電子部品検査装置が有する位置決め機構の概略構成を示すブロック図、
図17〜
図25は、
図10に示す電子部品検査装置による電子部品の検査手順を説明する平面図である。
なお、
図15では、Xブロック220kに圧電モーター300xを取り付けた部分の近傍が拡大して示されている。
【0069】
[電子部品検査装置]
図10に示す電子部品検査装置1kは、電子部品70の電気的特性を検査するための装置である。
電子部品検査装置1kは、供給トレイ2kと、回収トレイ3kと、第1のシャトル4kと、第2のシャトル5kと、検査用ソケット(検査部)6と、供給ロボット7kと、回収ロボット8kと、検査用ロボット9kと、各部の制御を行う制御装置10kと、位置決め機構110と、第1カメラ600kと、第2カメラ500kとを有している。
【0070】
本実施形態の電子部品検査装置1kでは、これら各部のうちの検査用ソケット6kを除く構成、すなわち、供給トレイ2kと、回収トレイ3kと、第1のシャトル4kと、第2のシャトル5kと、供給ロボット7kと、回収ロボット8kと、検査用ロボット9kと、制御装置10kと、位置決め機構110と、第1カメラ600kと、第2カメラ500kとによって、電子部品70の搬送を実行する電子部品搬送装置が構成されている。
【0071】
また、電子部品検査装置1kは、上記各部を搭載する台座11kと、上記各部を収容するように台座11kに被せられた図示しない安全カバーとを有しており、この安全カバーの内側(以下「領域S」と言う)に、第1のシャトル4k、第2のシャトル5k、検査用ソケット6k、供給ロボット7k、回収ロボット8k、検査用ロボット9k、第1カメラ600kおよび第2カメラ500kが配置されているとともに、領域Sの内外に移動可能なように、供給トレイ2kおよび回収トレイ3kが配置されている。また、領域S内にて電子部品70の電気的特性の検査が行われる。
【0072】
(供給トレイ)
供給トレイ2kは、検査を行う電子部品70を領域S外から領域S内に搬送するためのトレイである。
図10に示すように、供給トレイ2kは、板状をなしており、その上面には、電子部品70を保持するための複数(多数)のポケット21kが行列状に形成されている。
【0073】
このような供給トレイ2kは、領域Sの内外を跨るようにY方向へ延びるレール23kに支持されており、例えばリニアモーター等の図示しない駆動手段によって、レール23kに沿ってY方向に往復移動可能となっている。そのため、領域S外にて電子部品70を供給トレイ2kに配置した後、供給トレイ2kを領域S内に移動し、供給トレイ2kからすべての電子部品70が取り除かれた後、領域S内の供給トレイ2kを領域S外へ移動することができる。
【0074】
なお、供給トレイ2kは、直接レール23kに支持されていなくてもよく、例えば、載置面を有するステージがレール23kに支持されており、このステージの載置面に供給トレイ2kを載置するような構成であってもよい。このような構成によれば、供給トレイ2kへの電子部品70の収容を、電子部品検査装置1kとは別の場所にて行うことができ、装置の利便性が向上する。なお、後述する回収トレイ3kについても同様の構成とすることができる。
【0075】
(回収トレイ)
回収トレイ3kは、検査済みの電子部品70を収容し、領域S内から領域S外に搬送するためのトレイである。
図10に示すように、回収トレイ3kは、板状をなしており、その上面には、電子部品70を保持するための複数のポケット31kが行列状に形成されている。
【0076】
このような回収トレイ3kは、領域Sの内外を跨るようにY方向へ延びるレール33kに支持されており、例えばリニアモーター等の図示しない駆動手段によって、レール33kに沿ってY方向に往復移動可能となっている。そのため、領域S内にて検査済みの電子部品70を回収トレイ3kに配置した後、供給トレイを領域S内に移動し、供給トレイ2kからすべての電子部品70が取り除かれた後、回収トレイ3kを領域S外へ移動することができる。
【0077】
なお、前述した供給トレイ2kと同様に、回収トレイ3kは、直接レール33kに支持されていなくてもよく、例えば、載置面を有するステージがレール33kに支持されており、このステージの載置面に回収トレイ3kを載置するような構成であってもよい。
このような回収トレイ3kは、前述した供給トレイ2kに対してX方向に離間して設けられており、供給トレイ2kと回収トレイ3kの間に、第1のシャトル4k、第2のシャトル5kおよび検査用ソケット6kが配置されている。
【0078】
(第1のシャトル)
第1のシャトル4kは、供給トレイ2kによって領域S内に搬送されてきた電子部品70をさらに検査用ソケット6kの近傍まで搬送するため、さらには、検査用ソケット6kによって検査された検査済みの電子部品70を回収トレイ3kの近傍まで搬送するためのものである。
【0079】
図10に示すように、第1のシャトル4kは、ベース部材41kと、ベース部材41kに固定された2つのトレイ42k、43kを有している。これら2つのトレイ42k、43kは、X方向に並んで設けられている。また、トレイ42k、43kの上面には、それぞれ、電子部品70を保持するための4つのポケット421k、431kが行列状に形成されている。具体的には、トレイ42k、43kには、X方向およびY方向にそれぞれ2つずつ並ぶように4つのポケット421k、431kが形成されている。
【0080】
トレイ42k、43kのうち、供給トレイ2k側に位置するトレイ42kは、供給トレイ2kに収容された電子部品70を収容するトレイであり、回収トレイ3k側に位置するトレイ43kは、検査用ソケット6kでの電気的特性の検査を終えた電子部品70を収容するためのトレイである。すなわち、一方のトレイ42kは、未検査の電子部品70を収容するためのトレイであり、他方のトレイ43kは、検査済みの電子部品70を収容するためのトレイである。
トレイ42kに収容された電子部品70は、検査用ロボット9kによって検査用ソケット6kに搬送され、検査のために検査用ソケット6kに配置された電子部品70は、検査終了後、検査用ロボット9kによってトレイ43kに搬送される。
【0081】
このような第1のシャトル4kは、X方向へ延びるレール44kに支持されており、例えばリニアモーター等の図示しない駆動手段によって、レール44kに沿ってX方向に往復移動可能となっている。これにより、第1のシャトル4kがX方向(−)側に移動し、トレイ42kが供給トレイ2kに対してY方向(+)側に並ぶとともに、トレイ43kが検査用ソケット6kに対してY方向(+)側に並んだ状態と、トレイ43kが回収トレイ3kに対してY方向(+)側に並ぶとともに、トレイ42kが検査用ソケット6kに対してY方向(+)側に並んだ状態とをとることができる。
【0082】
(第2のシャトル)
第2のシャトル5kは、前述した第1のシャトル4kと同様の機能および構成を有している。すなわち、第2のシャトル5kは、供給トレイ2kによって領域S内に搬送されてきた電子部品70をさらに検査用ソケット6kの近傍まで搬送するため、さらには、検査用ソケット6kによって検査された検査済みの電子部品70を回収トレイ3kの近傍まで搬送するためのものである。
【0083】
図10に示すように、第2のシャトル5kは、ベース部材51kと、ベース部材51kに固定された2つのトレイ52k、53kを有している。これら2つのトレイ52k、53kは、X方向に並んで設けられている。また、トレイ52k、53の上面には、それぞれ、電子部品70を保持するための4つのポケット521k、531kが行列状に形成されている。
【0084】
トレイ52k、53kのうち、供給トレイ2k側に位置するトレイ52kは、供給トレイ2kに収容された電子部品70を収容するトレイであり、回収トレイ3k側に位置するトレイ43kは、検査用ソケット6kでの電気的特性の検査を終えた電子部品70を収容するためのトレイである。
トレイ52kに収容された電子部品70は、検査用ロボット9kによって検査用ソケット6kに搬送され、検査のために検査用ソケット6kに配置された電子部品70は、検査終了後、検査用ロボット9kによってトレイ53kに搬送される。
【0085】
このような第2のシャトル5kは、X方向へ延びるレール54kに支持されており、例えばリニアモーター等の図示しない駆動手段によって、レール54kに沿ってX方向に往復移動可能となっている。これにより、第2のシャトル5kがX方向(−)側に移動し、トレイ52kが供給トレイ2kに対してY方向(+)側に並ぶとともに、トレイ53kが検査用ソケット6kに対してY方向(−)側に並んだ状態と、第2のシャトル5kがX方向(+)側に移動し、トレイ53kが回収トレイ3kに対してY方向(+)側に並ぶとともに、トレイ42kが検査用ソケット6kに対してY方向(−)側に並んだ状態とをとることができる。
なお、第2のシャトル5kは、前述した第1のシャトル4kに対してY方向に離間して設けられており、第1のシャトル4kと第2のシャトル5kの間に、検査用ソケット6kが配置されている。
【0086】
(検査用ソケット)
検査用ソケット(検査部)6は、電子部品70の電気的特性を検査するためのソケットである。
検査用ソケット6kは、電子部品70を配置するための4つの検査用ソケット61kを有している。また、4つの検査用ソケット61kは、行列状に設けられている。具体的には、4つの検査用ソケット61kは、X方向およびY方向にそれぞれ2つずつ並ぶように設けられている。なお、検査用ソケット61kの数は、4つに限定されず、1〜3つでもよいし、5つ以上であってもよい。また、検査用ソケット61kの配列状態についても特に限定されず、例えば、X方向またはY方向に一列に配置されていてもよい。
【0087】
作業の効率化という観点から見れば、検査用ソケット61kの数は、多いほどよいが、電子部品検査装置1kの小型をさらに考慮すると、4〜20程度であるのが好ましい。これにより、一度の検査によって検査することのできる電子部品70の数が十分に多くなり、作業の効率化を図ることができる。複数の検査用ソケット61kは、行列状に配列しても一列に配列してもよい。すなわち、2×2、4×4、8×2のように行列状に配置してもよいし、4×1、8×1のように一列に配置してもよい。
【0088】
また、前述したトレイ42k(トレイ43k、52k、53kについても同様)に形成されたポケット421kの配列は、検査用ソケット61kの配列と同様とし、配設ピッチもほぼ等しくするのが好ましい。これにより、トレイ42k、52kに収容された電子部品70を円滑に検査用ソケット61kに移し替えることができる。また、検査用ソケット61kに配置された電子部品70を円滑にトレイ43k、53kに移し替えることができる。そのため、作業の効率化を図ることができる。
【0089】
図11に示すように、各検査用ソケット61kは、XY平面に垂直な側面611kを有している。ここで、従来の検査用個別ソケットは、その側面がテーパ状をなしており、これにより、電子部品70を検査用個別ソケットに配置し易くしていた。このように、側面をテーパ状にしたのは、電子部品70の検査用個別ソケットに対する位置決めを高精度に行うことができなかったためである。これに対して、本願発明では、電子部品70の検査用ソケット61kに対する位置決めを従来の装置よりもより高精度に行うことができるため、側面をテーパ状にする必要がない。側面をXY平面に垂直な面で構成することにより、従来のテーパ状のものに対して、検査用ソケット61kにて電子部品70をより確実に保持することができる。すなわち、検査用ソケット61k内での電子部品70の不本意な変位をより確実に防止することができる。
【0090】
また、各検査用ソケット61kには、底部613kから突出する複数のプローブピン62kが設けられている。これら複数のプローブピン62kは、それぞれ、図示しないスプリング等により、上方に付勢されている。また、プローブピン62kは、検査用ソケット61kに電子部品70が配置されると、その電子部品70が有する外部端子と接触する。これにより、プローブピン62kを介して電子部品70と検査制御部101kとが電気的に接続された状態、すなわち、電子部品70の電気的特性の検査を行うことのできる状態となる。
【0091】
なお、検査用ソケット6kの近傍には、さらに、図示しないカメラが設けられており、また、検査用ソケット61kの近傍には図示しないソケットマークが設けられている。これにより、前記カメラによって、検査用ソケット61kの位置とソケットマークの相対位置を認識し、さらにソケットマークと後述する第1ハンドユニット92kが有するデバイスマークの相対位置を認識し、デバイスマークと電子部品70との相対位置を認識し、検査用ソケット61kと電子部品70との位置を精度良く位置決めすることができる。
【0092】
(第1カメラ)
図10に示すように、第1カメラ600kは、第1のシャトル4kと検査用ソケット6kの間であって、検査用ソケット6kに対してY方向(+)側に並んで設けられている。このような第1カメラ600kは、トレイ42kに収容されていた電子部品70を保持した検査用ロボット9kの第1ハンドユニット92kが上方を通過する際に、第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70および第1ハンドユニット92kが有するデバイスマークを撮像する。
【0093】
(第2カメラ)
図10に示すように、第2カメラ500kは、前述した第1カメラ600kと同様の機能を有する。このような第2カメラ500kは、第2のシャトル5kと検査用ソケット6kの間であって、検査用ソケット6kに対してY方向(−)側に並んで設けられている。第2カメラ500kは、後述するように、トレイ52kに収容されていた電子部品70を保持した検査用ロボット9kの第2ハンドユニット93kが上方を通過する際に、第2ハンドユニット93kに保持された電子部品70および第2ハンドユニット93kが有するデバイスマークを撮像する。
【0094】
(供給ロボット)
供給ロボット7kは、領域S内に搬送された供給トレイ2kに収容された電子部品70を、第1のシャトル4kのトレイ42kおよび第2のシャトル5kのトレイ52kに移し替えるためのロボットである。
図10および
図12に示すように、このような供給ロボット7kは、台座11kに支持された支持フレーム72kと、支持フレーム72kに支持され、支持フレーム72kに対してY方向に往復移動可能な移動フレーム(Y方向移動フレーム)73kと、移動フレーム73kに支持され、移動フレーム73kに対してX軸方向に往復移動可能なハンドユニット支持部(X方向移動フレーム)74kと、ハンドユニット支持部74kに支持された4つのハンドユニット75kとを有している。
【0095】
支持フレーム72kには、Y方向に延在するレール721kが形成されており、このレール721kに沿って移動フレーム73kがY方向に往復移動する。また、移動フレーム73kには、X方向に延在する図示しないレールが形成されており、このレールに沿ってハンドユニット支持部74kがX方向に往復移動する。
なお、支持フレーム72kに対する移動フレーム73kの移動、移動フレーム73kに対するハンドユニット支持部74kの移動は、それぞれ、例えばリニアモーター等の駆動手段によって行うことができる。
【0096】
4つのハンドユニット75kは、X方向およびY方向にそれぞれ2つずつ並ぶように行列状に配置されている。このように、トレイ42k、52kに形成された4つのポケット421k、521kの配列に対応するようにハンドユニット75kを設けることにより、供給トレイ2kからトレイ42k、52kへの電子部品70の移し替えを円滑に行うことができる。なお、ハンドユニット75kの数は、4つに限定されず、例えば1〜3つでもよいし、5つ以上であってもよい。また、ハンドユニット75kは、ポケット21kの配列と、ポケット421k、521kの配列に応じて配列を可変できる構造としてもよい。
【0097】
図12に示すように、各ハンドユニット75kは、先端側に位置し、電子部品70を保持する保持部751kと、保持部751kをハンドユニット支持部74kに対してZ方向に往復移動(昇降)させる昇降装置752kとを有している。昇降装置752kは、例えば、リニアモーター等の駆動手段を利用した装置とすることができる。
保持部751kは、電子部品70と対向する吸着面751aと、吸着面751aに開放する吸着孔751bと、吸着孔751b内を減圧する減圧ポンプ751cとを有している。吸着孔751bを塞ぐように吸着面751aを電子部品70に接触させた状態にて、減圧ポンプ751cによって吸着孔751b内を減圧すると、吸着面751aに電子部品70を吸着・保持することができる。反対に、減圧ポンプ751cを停止し吸着孔751b内を解放すれば、保持した電子部品70を放すことができる。
【0098】
このような供給ロボット7kは、次のようにして、供給トレイ2kからトレイ42k、52kへの電子部品70の搬送を行う。なお、供給トレイ2kからトレイ42k、52kへの電子部品70の搬送は、互いに同様の方法で行われるため、以下では、トレイ42kへの電子部品70の搬送について代表して説明する。
まず、第1のシャトル4kをX方向(−)側へ移動させ、トレイ42kが供給トレイ2kに対してY方向に並んだ状態とする。次に、ハンドユニット75kが供給トレイ2k上に位置するように、移動フレーム73kをY方向に移動させるとともに、ハンドユニット支持部74kをX方向に移動させる。次に、昇降装置752kによって保持部751kを降下させ、保持部751kを供給トレイ2k上の電子部品70に接触させて、上述した方法により保持部751kに電子部品70を保持させる。
【0099】
次に、昇降装置752kによって保持部751kを上昇させ、保持した電子部品70を供給トレイ2kから取り除く。次に、ハンドユニット75kが第1のシャトル4kのトレイ42k上に位置するように、移動フレーム73kをY方向に移動させるとともに、ハンドユニット支持部74kをX方向に移動させる。次に、昇降装置752kによって、保持部751kを降下させ、保持部751kに保持された電子部品70をトレイ42kのポケット421k内に配置する。次に、電子部品70の吸着状態を解除し、保持部751kから電子部品70を放す。必要に応じて、このような作業を繰り返してもよい。
これにより、供給トレイ2kからトレイ42kへの電子部品70の搬送(移し替え)が完了する。
【0100】
(検査用ロボット)
検査用ロボット9kは、供給ロボット7kによって、トレイ42k、52kへ搬送された電子部品70をさらに検査用ソケット6kへ搬送するとともに、検査用ソケット6kに配置され、電気的特性の検査を終えた電子部品70をトレイ43k、53kへ搬送する装置である。
【0101】
また、検査用ロボット9kは、トレイ42k、52kから検査用ソケット6kへ電子部品70を搬送する際に、検査用ソケット6k(検査用ソケット61k)に対する電子部品70の位置決めを高精度に行うことができる。
また、検査用ロボット9kは、電子部品70を検査用ソケット6kに配置し、電気的特性の検査を行う際、電子部品70をプローブピン62kに押し付け、電子部品70に所定の検査圧を印加する機能も有している。
【0102】
図10に示すように、検査用ロボット9kは、台座11kに対して固定的に設けられた第1フレーム911kと、第1フレーム911kに支持され、第1フレーム911kに対してY方向へ往復移動可能な第2フレーム912kと、第2フレーム912kに支持された第1ハンドユニット支持部913kおよび第2ハンドユニット支持部914kと、第1ハンドユニット支持部913kに支持された4つの第1ハンドユニット92kと、第2ハンドユニット支持部914kに支持された4つの第2ハンドユニット93kとを有している。
【0103】
第1フレーム911kには、Y方向に延在するレール911akが形成されており、このレール911akに沿って第2フレーム912kがY方向に往復移動する。また、第2フレーム912kには、Z方向に延在する貫通孔912ak、912bkが形成されている。
第1フレーム911kに対する第2フレーム912kの移動は、例えばリニアモーター等の図示しない駆動手段によって行うことができる。
【0104】
第1ハンドユニット支持部913kに支持された4つの第1ハンドユニット92kは、第1のシャトル4kの各トレイ42k、43kと検査用ソケット6kとの間で電子部品70を搬送する装置である。また、未検査の電子部品70をトレイ42kから検査用ソケット6kに搬送する際に、検査用ソケット6k(検査用ソケット61k)に対する当該電子部品70の位置決めを行う装置でもある。
【0105】
同様に、第2ハンドユニット支持部914kに支持された4つの第2ハンドユニット93kは、第2のシャトル5kの各トレイ52k、53kと検査用ソケット6kとの間で電子部品70を搬送する装置である。また、未検査の電子部品70をトレイ52kから検査用ソケット6kに搬送する際に、検査用ソケット6k(検査用ソケット61k)に対する当該電子部品70の位置決めを行う装置でもある。
【0106】
4つの第1ハンドユニット92kは、第1ハンドユニット支持部913kの下側に、X方向およびY方向にそれぞれ2つずつ並ぶように行列状に配置されている。また、4つの第1ハンドユニット92kの配設ピッチは、トレイ42k(トレイ43k、52k、53kについても同様)に形成された4つのポケット421kおよび検査用ソケット6kに設けられた4つの検査用ソケット61kの配設ピッチとほぼ等しい。
【0107】
このように、第1ハンドユニット92kをポケット421kおよび検査用ソケット61kの配列に対応するように配置することにより、トレイ42k、43kと検査用ソケット6kとの間での電子部品70の搬送を円滑に行うことができる。
なお、第1ハンドユニット92kの数は、4つに限定されず、例えば、1〜3つでもよいし、5つ以上であってもよい。
同様に、4つの第2ハンドユニット93kは、第2ハンドユニット支持部914kの下側に、X方向およびY方向にそれぞれ2つずつ並ぶように行列状に配置されている。これら4つの第2ハンドユニット93kの配置や配設ピッチは、前述した4つの第1ハンドユニット92kと同様である。
【0108】
以下、
図13〜
図15に基づいて第1ハンドユニット92kおよび第2ハンドユニット93kの構成について詳細に説明するが、各ハンドユニット92k、93kは、互いに同様の構成であるため、以下では、1つの第1ハンドユニット92kについて代表して説明し、その他の第1ハンドユニット92kおよび各第2ハンドユニット93kについては、その説明を省略する。
【0109】
図13および
図14に示すように、第1ハンドユニット92kは、X方向およびY方向の座標と、Z方向を回転軸(回動軸)として回転(回動)する方向であるθ方向の回転角度とをそれぞれ微調整するための移動機構150kや、Z方向に移動可能なZステージなどを有している。また、第1ハンドユニット92kの先端部には、電子部品70を把持する把持部142kが設けられている。なお、把持部142kの構成は、前述したハンドユニット75kの保持部751kと同様であり、
図13では、減圧ポンプ等の図示は、省略されている。
【0110】
移動機構150kは、最上段に全体を支えるユニットベース(基部)200kが配置されており、このユニットベース200kは第1ハンドユニット支持部913kに取り付けられている。ユニットベース200kの下方には、ユニットベース200kに対してX方向に移動可能にXブロック220kが設けられている。また、Xブロック220kの下方には、Xブロック220kの動きに随伴すると共に、θ方向に回動可能にθブロック240kが設けられている。さらに、θブロック240kの下方には、θブロック240kの動きに随伴すると共に、θブロック240kに対してY方向に移動可能にYブロック260kが設けられている。θブロック240kは、Xブロック220kとYブロック260kとの間に配置されている。なお、図中の破線矢印は、各ブロック(220k、240k、260k)の移動方向を表している。また、本実施形態のXブロック220k、Yブロック260k、θブロック240kは、それぞれ、本発明の「移動部」に相当している。すなわち、Xブロック220kは、本発明の「第1移動部」に相当し、Yブロック260kは、本発明の「第2移動部」に相当し、θブロック240kは、本発明の「第3移動部」に相当している。
【0111】
また、移動機構150kには、Xブロック220kを駆動するX方向用の圧電モーター300xと、θブロック240kを駆動するθ方向用の圧電モーター300θと、Yブロック260kを駆動するY方向用の圧電モーター300yの3つの圧電モーターが設けられている。なお、3つの圧電モーター(300x、300θ、300y)を特に区別する必要がない場合には、これらを単に圧電モーター300kと称することがある。また、圧電モーター300kは、前述した各実施形態と同様のものを用いる。
【0112】
さらに、移動機構150kには、ユニットベース200k、Xブロック220k、θブロック240k、およびYブロック260kを上下方向(Z方向)に貫通するシャフト280kが設けられている。シャフト280kは、Yブロック260kに対してZ方向に移動可能に取り付けられており、Yブロック260kの動きに随伴すると共に、図示しないZステージの動作によってZ方向に移動する。なお、Zステージの移動は、例えばリニアモーター等によって行うことができる。また、シャフト280kの下端には把持部142kが取り付けられている。
【0113】
ユニットベース200kは略矩形の平板形状であり、シャフト280kをZ方向に通す円形断面の貫通孔208kが設けられている。貫通孔208kの大きさは、シャフト280kがYブロック260kの動きに随伴してX方向およびY方向に移動しても内周面に当たることのない大きさに形成されている。また、ユニットベース200kの下面(Xブロック220kと向き合う面)には、下向きの凹形断面に形成された2つのXレール受け202kがX方向と平行に延設されており、これら2つのXレール受け202kはY方向に離間して配置されている。Xレール受け202kの内壁側面には、断面形状が半円形の外溝204kが形成されており、外溝204kに沿って複数のボール206kが配置されている。
【0114】
Xブロック220kの上面(ユニットベース200kと向き合う面)には、ユニットベース200k側の2つのXレール受け202kに対応して2つのXレール222kがX方向と平行に延設されている。Xレール222kの両側面には、Xレール受け202kの外溝204kと向き合う半円形断面の内溝224kが形成されている。Xレール222kを対応するXレール受け202kと嵌め合せた状態では、内溝224kと外溝204kとの間に複数のボール206kが挿入されて、各Xレール222kの両側にボールガイドを形成する。そして、ボール206kが内溝224kおよび外溝204kに沿って転動することにより、Xブロック220kはユニットベース200kに対して円滑に移動する。
【0115】
また、Xブロック220kのY方向を向いた側面の一方(図面手前側)には圧電モーター300xが取り付けられており、他方(図中奥側)には圧電モーター300θが取り付けられている。Xブロック220kを駆動する圧電モーター300xは、振動体1の短手方向をX方向に合わせて、振動体1の摺動部4がユニットベース200kに付勢された状態で取り付けられている。ユニットベース200k側の摺動部4が付勢される部分には、略長方体形状に形成されたセラミックス製の受圧体210kが埋め込まれている。また、θブロック240kを駆動する圧電モーター300θは、振動体1の短手方向をX方向に合わせて、振動体1の摺動部4をθブロック240kに向けて取り付けられている。
さらに、Xブロック220kには、シャフト280kを通す円形断面の貫通孔226kがZ方向に貫通して設けられている。Xブロック220kの貫通孔226kは、ユニットベース200kの貫通孔208kよりも内径が大きく形成されている。
【0116】
θブロック240kの上面(Xブロック220kに向き合う面)からは、シャフト280kを通す貫通孔244kが設けられた円筒形状の案内軸242kが立設されている。案内軸242kの外周面には、断面形状が半円形に形成された2つの内溝246kが上下方向(Z方向)に離間して設けられており、内溝246kに沿って複数のボール248kが配置されている。案内軸242kの外径は、Xブロック220kの貫通孔226kの内径よりも小さく形成されており、貫通孔226kの内周面には、案内軸242kの内溝246kと向き合う2つの外溝(図示せず)が設けられている。案内軸242kをXブロック220kの貫通孔226kに挿通した状態では、案内軸242kの内溝246kと対応する貫通孔226kの外溝との間に複数のボール248kが挿入されて、リング状のボールガイドを形成する。そして、ボール248kが内溝246kおよび外溝に沿って転動することにより、θブロック240kはXブロック220kに対して円滑に回動する。
【0117】
また、θブロック240kの上面には、圧電モーター300θと向き合う位置に受圧台250kが立設されている。この受圧台250kの上面には、セラミックス製の受圧体252kが取り付けられており、圧電モーター300θに内蔵された振動体1の摺動部4が付勢される。
また、θブロック240kには、Yブロック260kを駆動する圧電モーター300yが、振動体1の短手方向をY方向に合わせると共に、振動体1の摺動部4をYブロック260kに向けて取り付けられている。
さらに、θブロック240kの下面(Yブロック260kと向き合う面)には、2つのYレール254kがY方向と平行に延設されており、2つのYレール254kはX方向およびY方向に離間して配置されている。Yレール254kの両側面には、断面形状が半円形の内溝256kが形成されている。
【0118】
Yブロック260kの上面(θブロック240kと向き合う面)には、θブロック240k側の2つのYレール254kに対応して2つのYレール受け262kがY方向と平行に延設されている。Yレール受け262kは、断面形状が上向きの凹形に形成されており、内壁側面には、Yレール254kの内溝256kと向き合う半円形断面の外溝264kが形成され、外溝264kに沿って複数のボール266kが配置されている。Yレール受け262kを対応するYレール254kと嵌め合せた状態では、内溝256kと外溝264kとの間に複数のボール266kが挿入されて、各Yレール254kの両側にボールガイドを形成する。そして、ボール266kが内溝256kおよび外溝264kに沿って転動することにより、Yブロック260kはθブロック240kに対して円滑に移動する。
また、Yブロック260kの上面には、圧電モーター300yと向き合う位置にセラミックス製の受圧体268kが取り付けられており、圧電モーター300yに内蔵された振動体1の摺動部4が付勢される。さらに、Yブロック260kには、シャフト280kをZ方向に移動可能に支持する円筒形状のシャフト支持部270kが設けられている。
【0119】
以上のような構成を有する移動機構150kでは、3つの圧電モーター300kのうち、圧電モーター300xの振動体1に電圧を印加することによって、Xブロック220kをユニットベース200kに対してX方向に移動させることができる。また、圧電モーター300θの振動体1に電圧を印加することによって、θブロック240kをXブロック220kに対してθ方向に回動させることができる。さらに、圧電モーター300yの振動体1に電圧を印加することによって、Yブロック260kをθブロック240kに対してY方向に移動させることができる。
【0120】
第1実施形態で説明したように、圧電モーター300xは、楕円運動を利用してXブロック220kを駆動する。すなわち、
図14に示すように圧電モーター300xは、振動体1の短手方向(屈曲方向)をX方向に合わせてXブロック220k側に固定されており、振動体1の摺動部4がユニットベース200kの受圧体210kに付勢された状態で楕円運動を発生させる。すると、摺動部4は、振動体1が伸長する際には受圧体210kに付勢された状態で屈曲方向の何れか一方に向かって移動し、振動体1が収縮する際には受圧体210kから離れた状態で元の位置まで復帰する動作を繰り返す。この結果、受圧体210kと摺動部4との間に働く摩擦力によって、Xブロック220kは、ユニットベース200kに対して屈曲方向(X方向)の何れか他方に向かって移動する。
【0121】
また、圧電モーター300θは、Xブロック220k側に固定されており、θブロック240k側に設けられた受圧台250kの受圧体252kに振動体1の摺動部4が付勢された状態となっている。このため、圧電モーター300θを動作させると、摺動部4と受圧体252kとの間に働く摩擦力によって、θブロック240kはXブロック220kに対してθ方向に回動する。
【0122】
また、圧電モーター300yは、振動体1の短手方向(屈曲方向)をY方向に合わせてθブロック240k側に固定されており、Yブロック260k側に設けられた受圧体268kに振動体1の摺動部4が付勢された状態となっている。このため、圧電モーター300yを動作させると、摺動部4と受圧体268kとの間に働く摩擦力によって、Yブロック260kはθブロック240kに対してY方向に移動する。従って、電子部品検査装置1kは、移動機構150kの圧電モーター300x、圧電モーター300θ、圧電モーター300yを動作させることにより、把持部142kで把持した電子部品70の位置および姿勢を微調整することが可能である。加えて、こうした圧電モーター300kは、電磁力を利用してローターを回転させる電磁モーターに比べて小型化が容易であると共に、ギアなどを介すことなく直接的に駆動力を伝えることができるので、移動機構150kのアクチュエーターに圧電モーター300kを用いることによって、移動機構150kの小型化を図ることができる。
【0123】
ここで、移動機構150kでは、Xブロック220k、θブロック240k、およびYブロック260kがそれぞれ異なる方向(X方向、θ方向、およびY方向)に移動可能に設けられており、各ブロック(220、240、260)には、荷重などが加わることによってガタつきが発生することがある。特に、移動機構150kの全体を支持するユニットベース200kに近い側のXブロック220kには、θブロック240kやYブロック260kの重量がかかるのでガタつきが生じ易く、Xブロック220kの動きに随伴するθブロック240kやYブロック260kにXブロック220kのガタつきが伝わることにより、移動機構150k全体として大きなガタつきが生じてしまう。そこで、移動機構150kでは以下のようにしてガタつきを抑制している。
【0124】
前述したように、ユニットベース200k側のXレール受け202kに形成された外溝204kと、Xブロック220k側のXレール222kに形成された内溝224kとの間には複数のボール206kが挿入されており、これら複数のボール206kによって、X方向に平行なボールガイドがXレール222kの両側に形成されている(
図15参照)。これら2列のボールガイドに沿って複数のボール206kが転動することでXブロック220kはユニットベース200kに対して円滑に移動する。以下では、2列のボールガイドを含む平面を「移動面」と呼ぶ。なお、ボール206kの円滑な転動のために、ボール206kと内溝224kや外溝204kとの間には若干の隙間(遊び)が設けられている。
【0125】
また、Xブロック220kの側面に取り付けられた圧電モーター300xは、内蔵する振動体1の短手方向(屈曲方向)をX方向に合わせると共に、上端側(摺動部4が設けられた側)をXブロック220kとは反対側に傾けて固定されている。そして、振動体1は、付勢バネ6によって長手方向(伸縮方向)に付勢され、ユニットベース200kの受圧体210kに摺動部4が付勢された状態となっている。このため、振動体1の摺動部4が受圧体210kに付勢される方向(付勢方向)は、移動面に対して所定の角度(図示した例では75度)で傾斜している。
【0126】
なお、受圧体210kは、略直方体形状に形成されており、下面(振動体1の摺動部4が当接する面)が振動体1の付勢方向と直交する状態でユニットベース200kに埋め込まれている。これにより、ユニットベース200kの下面に対して振動体1の摺動部4が斜めに付勢されても、付勢力で受圧体210kの位置が横方向(Y方向)にずれてしまうことはなく、摺動部4と受圧体210kとの間に働く摩擦力によってXブロック220kをユニットベース200kに対して精度良く移動させることができる。また、移動機構150kでは、ユニットベース200kが樹脂材料で形成されているのに対して、受圧体210kがセラミックスや金属材料などの樹脂材料よりも硬度の高い材料で形成されている。このため、摺動部4と受圧体210kとの間に働く摩擦力で受圧体210kが摩耗することを抑制できる。
【0127】
ここで、Xブロック220kは、圧電モーター300xに内蔵された振動体1の摺動部4がユニットベース200kの受圧体210kに付勢されることによって、付勢方向とは反対方向の反力を受ける。この反力には、移動面に平行な図中右方向の成分と、移動面に垂直な図中下方向の成分とが含まれる。そして、Xブロック220kが移動面に平行な反力を受けることによって、Xレール222kの両側のボールガイドのうち、圧電モーター300xから遠い側(図中右側)のボールガイドでは、ボール206kと内溝224kおよび外溝204kとの隙間が詰まり、内溝224kおよび外溝204kでボール206kを挟持した状態となる。
【0128】
また、圧電モーター300xに近い側(図中左側)のボールガイドでは、内溝224kと外溝204kとの間隔が広がるものの、Xブロック220kが移動面に垂直な反力を受けることによって、図中右側の隙間が詰まったボールガイドを軸にXブロック220kを下方に向かって回転させるモーメントが発生し、内溝224kの上端側と外溝204kの下端側とでボール206kを挟持した状態となる。
【0129】
以上のように、この移動機構150kでは、振動体1の付勢方向を移動面に対して傾斜させることにより、Xレール222kの両側のボールガイドの何れにおいても内溝224kと外溝204kとでボール206kを挟持しておくことができる。しかも一方のボールガイドでは移動面と平行な方向にボール206kを挟持し、他方のボールガイドでは移動面に垂直な方向にボール206kを挟持して互いに挟持方向が異なるので、Xブロック220kに任意の方向から荷重が加わっても、Xブロック220kのガタつきを抑制することができる。そして、このようにユニットベース200kに近い側に配置されてθブロック240kおよびYブロック260kの重量がかかるXブロック220kのガタつきを抑制することにより、移動機構150k全体としての剛性を高めることができる。
【0130】
また、移動機構150kでは、X方向に移動するXブロック220kをユニットベース200kに近い上段の位置に配置し、Y方向に移動するYブロック260kをユニットベース200kから遠い下段の位置に配置している。これは次のような理由による。先ず、前述したように電子部品検査装置1kでは、移動機構150kを内蔵した第1ハンドユニット92kが第1ハンドユニット支持部913kに取り付けられており、が第1ハンドユニット支持部913kを支持する第2フレーム912kを移動させることによって第1ハンドユニット92kをY方向に移動させることができる。そして、電子部品70を検査位置まで移動させる際には、第2フレーム912kをY方向に移動させることから、移動機構150kにはY方向の慣性力が働く。Y方向と直交するX方向に移動可能なXブロック220kは、移動方向に慣性力がかからないため、ユニットベース200kに近い上段の位置に配置することによってXブロック220kにθブロック240kおよびYブロック260kの重量がかかっても、慣性力によるXブロック220kの位置ずれ(移動方向への滑り)の発生を防止することができる。
【0131】
一方、Y方向に移動可能なYブロック260kは、移動方向に慣性力がかかるものの、他のブロック(220k、240k)の重量がかかることのない下段の位置に配置しておけば、Yブロック260kに大きな慣性力が働くことはなく、Yブロック260kの位置ずれ(移動方向への滑り)を抑制することができる。結果として、慣性力によるYブロック260kの位置ずれを防止するブレーキ機構などを追加する必要がなく、移動機構150kの小型化を図ることができる。
【0132】
さらに、移動機構150kでは、Xブロック220kとYブロック260kとの間にθブロック240kが設けられており、θブロック240kを駆動する圧電モーター300θは、内蔵する振動体1の短手方向(屈曲方向)をX方向に合わせて配置されている。このように圧電モーター300θを配置しておけば、第2フレーム912kの移動に伴って移動機構150kにY方向の慣性力がかかっても、振動体1の摺動部4と受圧体252kとの間に摩擦力が働く方向(振動体1の屈曲方向)と慣性方向とが重ならないので、慣性力によるθブロック240kの位置ずれ(θ方向への滑り)を抑制することができる。
【0133】
なお、制御装置10kは、位置決め機構110を介して、4つの第1ハンドユニット92kの駆動をそれぞれ独立して制御できるように構成されており、これにより、各第1ハンドユニット92kに保持された4つの電子部品70の位置決め(位置補正)をそれぞれ独立して行うことができる。同様に、制御装置10kは、位置決め機構110を介して、4つの第2ハンドユニット93kの駆動をそれぞれ独立して制御できるように構成されており、これにより、各第2ハンドユニット93kに保持された4つの電子部品70の位置決め(位置補正)をそれぞれ独立して行うことができる。
【0134】
(回収ロボット)
回収ロボット8kは、第1のシャトル4kが有するトレイ43kおよび第2のシャトル5kが有するトレイ53kに収容された検査済みの電子部品70を、回収トレイ3kに移し替えるためのロボットである。
回収ロボット8kは、供給ロボット7kと同様の構成をなしている。すなわち、回収ロボット8kは、台座11kに支持され、Y方向に延在するレール821kを有する支持フレーム82kと、支持フレーム82kに支持され、支持フレーム82kに対してY方向に往復移動可能な移動フレーム(Y方向移動フレーム)83kと、移動フレーム83kに支持され、移動フレーム83kに対してX方向に往復移動可能なハンドユニット支持部(X方向移動フレーム)84kと、ハンドユニット支持部84kに支持された複数のハンドユニット85kとを有している。これら各部の構成は、供給ロボット7kの対応する各部の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0135】
このような回収ロボット8kは、次のようにして、トレイ43k、53から回収トレイ3kへの電子部品70の搬送を行う。なお、トレイ43k、53からの回収トレイ3kへの電子部品70の搬送は、互いに同様の方法で行われるため、以下では、トレイ43kからの電子部品70の搬送について代表して説明する。
まず、第1のシャトル4kをX方向(+)側へ移動させ、トレイ43kが回収トレイ3kに対してY方向に並んだ状態とする。次に、ハンドユニット85kがトレイ43k上に位置するように、移動フレーム83kをY方向に移動させるとともに、ハンドユニット支持部84kをX方向に移動させる。次に、ハンドユニット85kの保持部を降下させて、保持部を供給トレイ2k上の電子部品70に接触させ、保持部に電子部品70を保持させる。
【0136】
次に、ハンドユニット支持部84kの保持部を上昇させ、保持した電子部品70をトレイ43kから取り除く。次に、ハンドユニット85kが回収トレイ3k上に位置するように、移動フレーム83kをY方向に移動させるとともに、ハンドユニット支持部84kをX方向に移動させる。次に、ハンドユニット支持部84kの保持部を降下させ、保持部に保持された電子部品70を回収トレイ3kのポケット31k内に配置する。次に、電子部品70の吸着状態を解除し、保持部から電子部品70を放す。
これにより、トレイ43kから回収トレイ3kへの電子部品70の搬送(移し替え)が完了する。
【0137】
ここで、トレイ43kに収容された検査済みの電子部品70の中には、所定の電気的特性を発揮することのできなかった不良品が存在する場合がある。そのため、例えば、回収トレイ3kを2つ用意し、一方を、所定の電気的特性を満たした良品を収容するためのトレイとして用い、他方を、前記不良品を回収するためのトレイとして用いてもよい。また、1つの回収トレイ3kを用いる場合には、所定のポケット31kを前記不良品を収容するためのポケットとして利用してもよい。これにより、良品と不良品を明確に分別することができる。
【0138】
このような場合、例えば、4つのハンドユニット85kに保持された4つの電子部品70のうちの3つが良品であり、残りの1つが不良品である場合、回収ロボット8kは、3つの良品を良品用の回収トレイに搬送するとともに、1つの不良品を不良品用の回収トレイに搬送する。各ハンドユニット85kの駆動(電子部品70の吸着)が独立しているため、このような作動を簡単に行うことができる。
【0139】
(制御装置)
制御装置10kは、駆動制御部102kと、検査制御部101kとを有している。駆動制御部102kは、例えば、供給トレイ2k、回収トレイ3k、第1のシャトル4kおよび第2のシャトル5kの移動や、供給ロボット7k、回収ロボット8k、検査用ロボット9k、第1カメラ600kおよび第2カメラ500k等の機械的な駆動を制御する。また、検査制御部101kは、図示しないメモリー内に記憶されたプログラムに基づいて、検査用ソケット6kに配置された電子部品70の電気的特性の検査を行う。
【0140】
(位置決め機構)
図16に示すように、位置決め機構110は、第1の実施形態に係る駆動装置100の基本構成を適用した位置決め機構であり、2つの駆動ユニット111a、111bで構成されている。
駆動ユニット111aは、4つの第1ハンドユニット92kのそれぞれを駆動するものであり、駆動ユニット111bは、4つの第2ハンドユニット93kのそれぞれを駆動するものであり、それぞれ、電子部品70を所定の位置に移動配置することができる。
【0141】
駆動ユニット111aは、駆動回路90aと、12個のリレー、すなわち、4つのリレー21x、4つのリレー21y、4つのリレー21θと、12個の圧電モーター、すなわち、4つの圧電モーター300x、4つの圧電モーター300y、4つの圧電モーター300θとを有している。各リレー21xには、それぞれ、対応する圧電モーター300xが接続され、各リレー21yには、それぞれ、対応する圧電モーター300yが接続され、各リレー21θには、それぞれ、対応する圧電モーター300θが接続される。そして、各リレー21x、21y、21θの切り替えにより、それぞれ、圧電モーター300x、300y、300θが駆動回路90aと電気的に接続した状態、又は遮断した状態となる。
【0142】
同様に、駆動ユニット111bは、駆動回路90bと、12個のリレー、すなわち、4つのリレー21x、4つのリレー21y、4つのリレー21θと、12個の圧電モーター、すなわち、4つの圧電モーター300x、4つの圧電モーター300y、4つの圧電モーター300θとを有している。各リレー21xには、それぞれ、対応する圧電モーター300xが接続され、各リレー21yには、それぞれ、対応する圧電モーター300yが接続され、各リレー21θには、それぞれ、対応する圧電モーター300θが接続される。そして、各リレー21x、21y、21θの切り替えにより、それぞれ、圧電モーター300x、300y、300θが駆動回路90bと電気的に接続した状態、又は遮断した状態となる。
【0143】
このように、位置決め機構110の駆動ユニット111bは、共通の駆動回路90aで12個の圧電モーターを駆動し、同様に、共通の駆動回路90bで12個の圧電モーターを駆動するので、圧電モーターの数に対して駆動回路90の数及び配線の数を少なくすることができる。したがって、位置決め機構110の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
また、離れた位置に配置された駆動回路90a、90bと、圧電モーター300x、300y、300θとの間の配線の数が少なくて済むため、配線の重量や配線の束による負荷を小さく抑えられるので、位置決めが行い易くなり、より精密な位置決めを行うことが可能となる。
【0144】
次に、第1ハンドユニット92kが把持した電子部品70の位置決め(ビジュアルアライメント)の方法について説明する。なお、以下で説明する位置決め方法は、一例であり、これに限定されない。また、第2ハンドユニット93kが把持した電子部品70の位決めの方法については、同様であるので、その説明は、省略する。
トレイ42kに収容れた未検査の電子部品70を把持部142kにて把持し、トレイ42kの直上から検査用ソケット6kの直上まで第1ハンドユニット92kが移動する途中、第1ハンドユニット92kは、第1カメラ600kの直上を通過する。第1カメラ600kは、第1ハンドユニット92kが、その直上を通過する際に、第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70および第1ハンドユニット92kが有するデバイスマークを捉える様に撮像する。これにより得られた画像データは、制御装置10kに送信され、制御装置10kによって画像認識処理される。
【0145】
具体的には、画像認識処理では、第1カメラ600kから取得した画像データに所定の処理が施され、第1ハンドユニット92kのデバイスマークと電子部品70との相対位置および相対角度が算出される。そして、同算出された相対位置および相対角度がデバイスマークと電子部品70との適正な位置関係を示す基準位置および基準角度と対比され、相対位置と基準位置との間に生じている「ずれ位置量」と、相対角度と基準角度との間に生じている「ずれ角度量」とがそれぞれ演算される。なお、前記基準位置および前記基準角度は、第1ハンドユニット92kが予め設定されている検査用原点位置に配置されたときに電子部品70の外部端子が検査用ソケット61kのプローブピン62kに好適に接続される位置を言う。
そして、制御装置10kは、求められたずれ位置量およびずれ角度量に基づいて、必要に応じて圧電モーター300x、300y、300θを駆動し、相対位置および相対角度が基準位置および基準角度に一致するように、電子部品70の位置及び姿勢(角度)を補正する。
【0146】
具体的には、相対位置と基準位置との間にズレ位置量が発生している場合、制御装置10kは、圧電モーター300xを駆動し、Xブロック220kをユニットベース200kに対してX方向に移動させるとともに、圧電モーター300yを駆動し、Yブロック260kをθブロック240kに対してY方向に移動させることにより、または、これらXブロック220k、Yブロック260kの移動のうちのいずれか一方を行うことにより、相対位置を基準位置に一致させる。また、相対角度と基準角度との間にズレ角度量が発生している場合、制御装置10kは、圧電モーター300θを駆動し、θブロック240kをXブロック220kに対してθ方向に回動させることにより、相対位置を基準位置に一致させる。以上のような制御によって、把持した電子部品70の位置決めを行うことができる。
【0147】
[検査装置による検査方法]
次に、電子部品検査装置1kによる電子部品70の検査方法について説明する。なお、以下で説明する検査方法、特に電子部品70の搬送手順は、一例であり、これに限定されない。
(ステップ1)
まず、
図17に示すように、各ポケット21kに電子部品70が収容された供給トレイ2kを領域S内へ搬送するとともに、第1、第2のシャトル4k、5kをX方向(−)側に移動させ、トレイ42k、52kがそれぞれ供給トレイ2kに対してY方向(+)側に並んだ状態とする。
【0148】
(ステップ2)
次に、
図18に示すように、供給ロボット7kによって、供給トレイ2kに収容された電子部品70をトレイ42k、52kに移し替え、トレイ42k、52kの各ポケット421k、521kに電子部品70を収容する。
(ステップ3)
次に、
図19に示すように、第1、第2のシャトル4k、5kをともにX方向(+)側に移動し、トレイ42kが検査用ソケット6kに対してY方向(+)側に、トレイ52kが検査用ソケット6kに対してY方向(−)側に並んだ状態とする。
【0149】
(ステップ4)
次に、
図20に示すように、第1、第2ハンドユニット支持部913k、914kを一体的にY方向(+)側に移動させ、第1ハンドユニット支持部913kがトレイ42kの直上に位置するとともに、第2ハンドユニット支持部914kが検査用ソケット6kの直上に位置した状態とする。
その後、各第1ハンドユニット92kがトレイ42kに収容された電子部品70を保持する。具体的には、まず、各第1ハンドユニット92kがZ方向(−)側へ移動し、トレイ42kに収容された電子部品70を吸着・保持する。次に、各第1ハンドユニット92kがZ方向(+)側へ移動する。これにより、各第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70をトレイ42kから取り出す。
【0150】
(ステップ5)
次に、
図21に示すように、第1、第2ハンドユニット支持部913k、914kを一体的にY方向(−)側に移動させ、第1ハンドユニット支持部913kが検査用ソケット6kの直上(検査用原点位置)に位置するとともに、第2ハンドユニット支持部914kがトレイ52kの直上に位置した状態とする。当該移動の最中、第1ハンドユニット支持部913k(各第1ハンドユニット92k)が第1カメラ600kの直上を通過し、この際、第1カメラ600kが各第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70および各第1ハンドユニット92kのデバイスマーク949kを捉える様に撮像する。そして、撮像により得られた画像データに基づいて、制御装置10kが、各電子部品70の位置決め(ビジュアルアライメント)を独立して行う。前記位置決め(ビジュアルアライメント)は、検査用ソケット61kと前記ソケットマークの相対位置の認識、前記ソケットマークとデバイスマーク949kの相対位置の認識、デバイスマーク949kと電子部品70との相対位置の認識と位置決めを行う事であり、検査用ソケット61kと電子部品70との位置決めが行われたことになる。
【0151】
このような第1、第2ハンドユニット支持部913k、914kの移動および電子部品70の位置決めと並行して、次のような作業も行う。まず、第1のシャトル4kをX方向(−)側に移動させ、トレイ43kが検査用ソケット6kに対してY方向に並んだ状態とするとともに、トレイ42kが供給トレイ2kに対してY方向に並んだ状態とする。次に、供給ロボット7kにより、供給トレイ2kに収容された電子部品70をトレイ42kに移し替え、トレイ42kの各ポケット421kに電子部品70を収容する。
【0152】
(ステップ6)
次に、第1ハンドユニット支持部913kをZ方向(−)側に移動させ、各第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70が検査用ソケット6kの各検査用ソケット61k内に配置する。この際、所定の検査圧(圧力)で電子部品70を検査用ソケット61kに押し当てる。これにより、電子部品70の外部端子と検査用ソケット61kに設けられたプローブピン62kとが電気的に接続された状態となり、この状態にて、制御装置10kの検査制御部101kによって各検査用ソケット61k内の電子部品70に対して電気的特性の検査を実施する。当該検査が終了すると、第1ハンドユニット支持部913kをZ方向(+)側に移動させ、各第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70を検査用ソケット61kから取り出す。
このような作業(電子部品70の検査)と並行して、第2ハンドユニット支持部914kに支持された各第2ハンドユニット93kがトレイ52kに収容された電子部品70を保持し、電子部品70をトレイ52kから取り出す。
【0153】
(ステップ7)
次に、
図22に示すように、第1、第2ハンドユニット支持部913k、914kを一体的にY方向(+)側に移動させ、第1ハンドユニット支持部913kが第1のシャトル4kのトレイ43kの直上に位置するとともに、第2ハンドユニット支持部914kが検査用ソケット6kの直上(検査用原点位置)に位置する状態とする。当該移動の最中、第2ハンドユニット支持部914k(各第2ハンドユニット93k)が第2カメラ500kの直上を通過し、この際、第2カメラ500kが各第2ハンドユニット93kに保持された電子部品70および各第2ハンドユニット93kのデバイスマークを捉える様に撮像する。そして、撮像により得られた画像データに基づいて、制御装置10kが、前述したような方法により、各電子部品70の位置決めを独立して行う。
【0154】
このような第1、第2ハンドユニット支持部913k、914kの移動と並行して、次のような作業も行う。まず、第2のシャトル5kをX方向(−)側に移動させ、トレイ53kが検査用ソケット6kに対してY方向に並んだ状態とするとともに、トレイ52kが供給トレイ2kに対してY方向に並んだ状態とする。次に、供給ロボット7kによって、供給トレイ2kに収容された電子部品70をトレイ52kに移し替え、トレイ52kの各ポケット521kに電子部品70を収容する。
【0155】
(ステップ8)
次に、
図23に示すように、第2ハンドユニット支持部914kをZ方向(−)側に移動させ、各第2ハンドユニット93kに保持された電子部品70を検査用ソケット6kの各検査用ソケット61k内に配置する。そして、検査制御部101kによって、各検査用ソケット61k内の電子部品70に対して電気的特性の検査が実施される。当該検査が終了すると、第2ハンドユニット支持部914kをZ方向(+)側に移動させ、第2ハンドユニット93kに保持された電子部品70を検査用ソケット61kから取り出す。
このような作業と並行して次のような作業を行う。
【0156】
まず、各第1ハンドユニット92kが保持する検査済みの電子部品70をトレイ43kの各ポケット431kに収容する。具体的には、まず、各第1ハンドユニット92kをZ方向(−)側へ移動させ、保持する電子部品70をポケット431k内に配置した後、吸着状態を解除する。次に、各第1ハンドユニット92kをZ方向(+)側へ移動させる。これにより、各第1ハンドユニット92kに保持されていた電子部品70がトレイ43kに収容される。
【0157】
次に、第1のシャトル4kをX方向(+)側に移動させ、トレイ42kが検査用ソケット6kに対してY方向に並びかつ第1ハンドユニット支持部913k(各第1ハンドユニット92k)の直下に位置する状態とするとともに、トレイ43kが回収トレイ3kに対してY方向に並んだ状態とする。次に、各第1ハンドユニット92kがトレイ42kに収容された電子部品70を保持する。また、これと並行して、回収ロボット8kにより、トレイ43kに収容された検査済みの電子部品70を回収トレイ3kに移し替える。
【0158】
(ステップ9)
次に、
図24に示すように、第1、第2ハンドユニット支持部913k、914kを一体的にY方向(−)側に移動させ、第1ハンドユニット支持部913kが検査用ソケット6kの直上(検査用原点位置)に位置するとともに、第2ハンドユニット支持部914kがトレイ52kの直上に位置した状態とする。この際も、前述したステップ5と同様に、第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70の位置決めを行う。
【0159】
このような第1、第2ハンドユニット支持部913k、914kの移動と並行して、次のような作業も行う。まず、第1のシャトル4kをX方向(−)側に移動させ、トレイ43kが検査用ソケット6kに対してY方向に並んだ状態となるとともに、トレイ42kが供給トレイ2kに対してY方向に並んだ状態とする。次に、供給ロボット7kによって、供給トレイ2kに収容された電子部品70をトレイ42kに移し替え、トレイ42kの各ポケット421kに電子部品70を収容する。
【0160】
(ステップ10)
次に、
図25に示すように、第1ハンドユニット支持部913kをZ方向(−)側に移動させ、各第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70を検査用ソケット6kの各検査用ソケット61k内に配置する。そして、検査制御部101kによって、各検査用ソケット61k内の電子部品70に対して電気的特性の検査を実施する。そして、当該検査が終了すると、第1ハンドユニット支持部913kをZ方向(+)側に移動させ、各第1ハンドユニット92kに保持された電子部品70を検査用ソケット61kから取り出す。
【0161】
このような作業と並行して次のような作業を行う。まず、各第2ハンドユニット93kが保持する検査済みの電子部品70をトレイ53kの各ポケット531kに収容する。次に、第2のシャトル5kをX方向(+)側に移動させ、トレイ52kが検査用ソケット6kに対してY方向に並びかつ第2ハンドユニット支持部914kの直下に位置する状態とするとともに、トレイ53kが回収トレイ3kに対してY方向に並んだ状態とする。次に、各第2ハンドユニット93kがトレイ52kに収容された電子部品70を保持する。また、これと並行して、回収ロボット8kにより、トレイ53kに収容された検査済みの電子部品70を回収トレイ3kに移し替える。
【0162】
(ステップ11)
これ以降は、前述したステップ7〜ステップ10を繰り返す。なお、この繰り返しの途中にて、供給トレイ2kに収容された電子部品70のすべてを第1のシャトル4kに移し終えると、供給トレイ2kが領域S外に移動する。そして、供給トレイ2kに新たな電子部品70を供給するか、既に電子部品70が収容されている別の供給トレイ2kと交換した後、供給トレイ2kが再び領域S内に移動する。同様に、繰り返しの途中にて、回収トレイ3kの全てのポケット31kに電子部品70が収容されると、回収トレイ3kが領域S外に移動する。そして、回収トレイ3kに収容された電子部品70を取り除くか、回収トレイ3kを別の空である回収トレイ3kを交換した後、回収トレイ3kが再び領域S内に移動する。
【0163】
以上のような方法によれば、効率よく電子部品70の検査を行うことができる。具体的には、検査用ロボット9kが第1ハンドユニット92kと第2ハンドユニット93kとを有しており、例えば、第1ハンドユニット92k(第2ハンドユニット93kについても同様)が保持した電子部品70が検査用ソケット6kにて検査されている状態にて、これと並行して第2ハンドユニット93kが検査を終えた電子部品70をトレイ53kに収容するとともに、次に検査する電子部品70を保持してスタンバイしている。このように、2つのハンドユニットを用いて、それぞれ、異なる作業を行うことにより、無駄な時間を削減でき、効率的に電子部品70の検査を行うことができる。
【0164】
(第4の実施形態)
<ロボットハンド及びロボット>
次に、第4の実施形態に係るロボットハンド及びロボットを説明する。第4の実施形態に係るロボットハンド及びロボットは、関節部の駆動装置として、第1の実施形態に係る駆動装置と同様の構成を有する駆動装置を備えている。以下、本実施形態について、前述した各実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0165】
図26は、第4の実施形態に係るロボットハンド及びロボットの構造を示す模式図である。
図26(a)は、ロボットハンドの構造を示す模式図である。
図26(a)に示すように、ロボットハンド300は、ハンド本体部301と、2つの指部302a、302bと、制御装置307と、を備えている。2つの指部302a、302bは、ハンド本体部301に設置されている。
【0166】
指部302aは、可動部としての3つの関節部304a、305a、306aと、3つの指部材303aと、が交互に接続されて構成されている。関節部304a、305a、306aには、それぞれ圧電モーター11a、12a、13aとリレー21a、22a、23aとが設けられている。指部302bは、可動部としての3つの関節部304b、305b、306bと3つの指部材303bとが交互に接続されて構成されている。関節部304b、305b、306bには、それぞれ圧電モーター11b、12b、13bとリレー21b、22b、23bとが設けられている。
【0167】
制御装置307には、駆動回路30a、30bが配置されている。駆動回路30aには、圧電モーター11a、12a、13a及びリレー21a、22a、23aが接続されている。駆動回路30aからのセレクト信号に基づくリレー21a、22a、23aの切り替えにより、圧電モーター11a、12a、13aが時分割で駆動され、関節部304a、305a、306aが回動する。同様に、駆動回路30bには、圧電モーター11b、12b、13b及びリレー21b、22b、23bが接続されており、駆動回路30bからのセレクト信号に基づくリレー21b、22b、23bの切り替えにより、圧電モーター11b、12b、13bが時分割で駆動され、関節部304b、305b、306bが回動する。これにより、指部302a、302bを人間の指のように所望の形態に変形させることが可能になっている。
【0168】
図26(b)は、ロボットの構造を示す模式図である。
図26(b)に示すように、ロボット310は、ロボット本体部311と、2つの腕部312a、312bと、制御装置317と、を備えている。2つの腕部312a、312bは、ロボット本体部311に設置されている。
腕部312aは、可動部としての3つの関節部314a、315a、316aと2つの腕部材313aとが交互に接続されて構成されている。関節部314a、315a、316aには、それぞれ圧電モーター11e、12e、13eとリレー21e、22e、23eとが設けられている。腕部312aの一端はロボット本体部311に設置され、他端にはロボットハンド300aが設置されている。ロボットハンド300aは、
図26(a)と同様の構成を有する。
【0169】
腕部312bは、可動部としての3つの関節部314b、315b、316bと2つの腕部材313bとが交互に接続されて構成されている。関節部314b、315b、316bには、それぞれ圧電モーター11f、12f、13fとリレー21f、22f、23fとが設けられている。腕部312bの一端はロボット本体部311に設置され、他端にはロボットハンド300bが設置されている。ロボットハンド300bは、
図26(a)と同様の構成を有するが、駆動回路30c、30dのそれぞれに接続された各3つの圧電モーター及びリレー(図示省略)を関節部に備えている。
【0170】
制御装置317には、駆動回路30a、30b、30c、30d、30e、30fが配置されている。駆動回路30eには、圧電モーター11e、12e、13e及びリレー21e、22e、23eが接続されている。駆動回路30eからのセレクト信号に基づくリレー21e、22e、23eの切り替えにより、圧電モーター11e、12e、13eが時分割で駆動され、関節部314a、315a、316aが回動する。
【0171】
同様に、駆動回路30fには、圧電モーター11f、12f、13f及びリレー21f、22f、23fが接続されており、駆動回路30fからのセレクト信号に基づくリレー21f、22f、23fの切り替えにより、圧電モーター11f、12f、13fが時分割で駆動され、関節部314b、315b、316bが回動する。これにより、腕部312a、312bを人間の腕のように所望の形態に変形させることが可能になっている。
【0172】
以上述べたように、第4の実施形態に係るロボットハンド300及びロボット310の構成によれば、以下の効果が得られる。なお、符号の末尾に付したa、b、c、d等は省略する。
(1)第1の実施形態に係る駆動装置100と同様の駆動装置を各関節部に備えているので、圧電モーター11、12、13の数に対して、駆動回路30の数及び配線の数を少なくすることができる。また、圧電モーターを用いるので、電磁モーターやパルスモーターを用いる場合に比べて、モーター毎に設けられるブレーキ機構を不要もしくは制動能力が低いものでも適応可能にできる。この結果、ロボットハンド300及びロボット310の小型化、軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0173】
(2)離れた位置に配置された駆動回路30と圧電モーター11、12、13との間の配線の数が少なくて済むため、指部302及び腕部312を変形させる際の配線の重量や配線の束の抑制力による負荷を小さく抑えられるので、ロボットハンド300の指部302及びロボット310の腕部312において、より精密な動作を行うことが可能となる。
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。変形例を以下に述べる。
【0174】
(第5の実施形態)
<駆動装置>
次に、第5の実施形態に係る駆動装置を説明する。第5の実施形態に係る駆動装置は、第2の実施形態に対して、圧電モーターが、さらに、移動部の移動を制動する制動部を有している点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。以下、本実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0175】
図27は、第5の実施形態に係る駆動装置に用いる圧電モーターの構成を示す模式図である。
第5の実施形態に係る駆動装置103では、圧電モーター610、620、630、640は、それぞれ、さらに、可動部50(
図1参照)の移動を制動する制動部91を有している。なお、各圧電モーター610、620、630、640は、同様であるので、以下では、代表的に、圧電モーター610について説明する。
【0176】
圧電モーター610の制動部91は、基部92と、基部92に対して移動可能に設置された当接部93とを有しており、被駆動体5の近傍に設置されている。この制動部91は、当接部93が被駆動体5の側面(円周面)から離間した第1の状態(
図27(a)参照)と、当接部93が被駆動体5の側面に当接した第2の状態(
図27(b)参照)とをとり得るようになっている。なお、当接部93の移動は、制動部91に内蔵された図示しないモーターの駆動によりなされる。
【0177】
圧電モーター610を駆動する際は、
図27(a)に示すように、制動部91の当接部93を被駆動体5の側面から離間させる。そして、圧電モーター610を停止させる際は、
図27(b)に示すように、制動部91の当接部93を被駆動体5の側面に圧接させる。これにより、被駆動体5が停止し、可動部50(
図1参照)が停止する。なお、圧電モーター610が停止した後は、制動部91を前記第1の状態と前記第2の状態とのいずれの状態にしてもよいが、第2の状態にすることで、その制動部91による制動動作が持続され、可動部50が位置ずれしにくくなる。
以上述べたように、第5の実施形態に係る駆動装置103の構成によれば、圧電モーター610、620、630、640の制動能力に加えた更なる制動能力を得ることができ、大きな外力が加わった場合でも可動部50が位置ずれしにくくなる。
【0178】
(第6の実施形態)
<駆動装置>
次に、第6の実施形態に係る駆動装置を説明する。第6の実施形態に係る駆動装置は、第2の実施形態に対して、フォトモスリレーをロータリースイッチに変更した点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。以下、本実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0179】
図28は、第6の実施形態に係る駆動装置におけるロータリースイッチを示す模式図である。
第6の実施形態に係る駆動装置104では、断続部として、第2実施形態におけるフォトモスリレー21、22、23、24に替えて、ロータリースイッチ400が設けられている。このロータリースイッチ400は、4回路4接点のものであるが、他の形態のものを用いてもよい。また、ロータリースイッチ400は、手動で回転するものであるが、これに限定されず、例えば、モーター等の駆動源により回転するものを用いてもよく、また、手動とモーター等の駆動源とのそれぞれで回転するものを用いてもよい。
【0180】
ロータリースイッチ400は、選択端子411、412、413、414および共通端子415を有する第1段部410と、選択端子421、422、423、424および共通端子425を有する第2段部420と、選択端子431、432、433、434および共通端子435を有する第3段部430と、選択端子441、442、443、444および共通端子445を有する第4段部440とを備えている。そして、ロータリースイッチ400を回転操作すると、第1段部410、第2段部420、第3段部430、第4段部440が連動し、第1段部410では、共通端子415が、順次、選択端子411、412、413、414に電気的に接続される。第2段部420、第3段部430、第4段部440でも同様である。また、第1段部410において、共通端子415が選択端子411に電気的に接続されるときは、第2段部420において、共通端子425が選択端子421に電気的に接続され、第3段部430において、共通端子435が選択端子431に電気的に接続され、第4段部440において、共通端子445が選択端子441に電気的に接続さる。その他の端子についても同様である。
【0181】
また、第1段部410の共通端子415には、駆動回路30から縦振動用の駆動信号(Drv)が入力される。そして、選択端子411には圧電モーター61の電極部3eが電気的に接続され、選択端子412には圧電モーター62の電極部3eが電気的に接続され、選択端子413には圧電モーター63の電極部3eが電気的に接続され、選択端子414には圧電モーター64の電極部3eが電気的に接続されている。これにより、ロータリースイッチ400を回転操作すると、そのロータリースイッチ400を介して、駆動回路30の縦振動用の駆動信号(Drv)の出力部が、順次、圧電モーター61、62、63、64の電極部3eに電気的に接続される。
【0182】
また、第2段部420の共通端子425には、駆動回路30から第1屈曲振動用の駆動信号(DrvA)が入力される。そして、選択端子421には圧電モーター61の電極部3a、3dが電気的に接続され、選択端子422には圧電モーター62の電極部3a、3dが電気的に接続され、選択端子423には圧電モーター63の電極部3a、3dが電気的に接続され、選択端子424には圧電モーター64の電極部3a、3dが電気的に接続されている。これにより、ロータリースイッチ400を回転操作すると、そのロータリースイッチ400を介して、駆動回路30の第1屈曲振動用の駆動信号(DrvA)の出力部が、順次、圧電モーター61、62、63、64の電極部3a、3dに電気的に接続される。
【0183】
また、第3段部430の共通端子435には、駆動回路30から第2屈曲振動用信号(DrvB)が入力される。そして、選択端子431には圧電モーター61の電極部3b、3cが電気的に接続され、選択端子432には圧電モーター62の電極部3b、3cが電気的に接続され、選択端子433には圧電モーター63の電極部3b、3cが電気的に接続され、選択端子434には圧電モーター64の電極部3b、3cが電気的に接続されている。これにより、ロータリースイッチ400を回転操作すると、そのロータリースイッチ400を介して、駆動回路30の第2屈曲振動用信号(DrvB)の出力部が、順次、圧電モーター61、62、63、64の電極部3b、3cに電気的に接続される。
【0184】
また、第4段部440の共通端子445には、駆動回路30から共通信号(COM)が入力される。そして、選択端子441には圧電モーター61の共通電極9が電気的に接続され、選択端子442には圧電モーター62の共通電極9が電気的に接続され、選択端子443には圧電モーター63の共通電極9が電気的に接続され、選択端子444には圧電モーター64の共通電極9が電気的に接続されている。これにより、ロータリースイッチ400を回転操作すると、そのロータリースイッチ400を介して、駆動回路30の共通信号(COM)の出力部が、順次、圧電モーター61、62、63、64の共通電極9に電気的に接続される。
このようにして、ロータリースイッチ400の回転操作により、圧電モーター61、62、63、64のうち駆動回路30と電気的に接続された圧電モーターに対して、駆動回路30からの駆動信号が選択的に供給される。
【0185】
以上述べたように、第6の実施形態に係る駆動装置104の構成によれば、断続部をフォトモスリレーで構成した場合に比べて、例えば、装置のメンテナンスや調整時のようにそのフォトモスリレーを動作させるセレクト信号を出力できない場合でも、ロータリースイッチ400を手動で回転させて、容易に、圧電モーター61、62、63、64のうちのいずれかと駆動回路30とを選択的に接続することができる。
なお、本実施形態では、第2実施形態におけるフォトモスリレーに替えて、ロータリースイッチが設けられているが、本発明では、これに限定されず、例えば、フォトモスリレーと、ロータリースイッチとを併用してもよい。
【0186】
以上、本発明の駆動装置、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、ロボットハンドおよびロボットを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0187】
また、前記第1の実施形態では、圧電モーター11、12、13、14のそれぞれに設けられたエンコーダー51、52、53、54から個別にエンコーダー信号が駆動回路30にフィードバックされる構成であったが、これに限定されるものではない。エンコーダー側にも複数のリレーを設け、リレーでエンコーダー51、52、53、54を切り替える構成としてもよい。あるいは、エンコーダー51、52、53、54にて信号をシリアル化又は符号化して駆動回路30にフィードバックし、駆動回路30にてパラレル化又は復号化する構成としてもよい。このような構成にすれば、駆動回路30とエンコーダー51、52、53、54との間の配線の数を低減することができる。
また、前記第1の実施形態では、駆動回路30にデジタルアンプ34を用いていたが、これに限定されるものではなく、駆動回路30にアナログアンプを用いた構成としてもよい。駆動回路30にアナログアンプを用いる場合、PWM部33及びインダクターコンデンサー35、36は削除される。
【0188】
また、本発明では、駆動ユニットにおける圧電モーターの数は、複数であればよい。
また、本発明では、駆動ユニットにおける駆動回路の数は、圧電モーターの数よりも少なければよく、例えば、複数であってもよい。
また、前記実施形態では、モーターとして、圧電モーターを用いていたが、本発明では、これに限定されず、例えば、各種の直流モーターや交流モーターを用いてもよい。
【0189】
また、前記実施形態では、ロボットの腕部における腕部材の数は2つであるが、本発明では、これに限定されず、ロボットの腕部における腕部材の数は、1つ、または、3つ以上でもよい。
また、前記実施形態では、ロボットは、腕部の数が2つの双腕ロボット(複腕ロボット)であるが、本発明では、これに限定されず、例えば、腕部の数が1つの単腕ロボット、または、腕部の数が3つ以上の複腕ロボットであってもよい。
【0190】
また、本発明のロボットは、アーム型ロボット(ロボットアーム)に限定されず、他の形式のロボット、例えば、スカラーロボット、脚式歩行(走行)ロボット等であってもよい。
また、本発明の駆動装置は、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、ロボットハンド、ロボットに限らず、他の装置、例えば、他の搬送装置、他の検査装置、部品加工装置、移動体等にも適用することができる。