特許第6232766号(P6232766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232766
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ロービング集積物梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B65D85/00 301
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-124176(P2013-124176)
(22)【出願日】2013年6月12日
(65)【公開番号】特開2014-240302(P2014-240302A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162020
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】國友 晃
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0017650(US,A1)
【文献】 特開平08−002549(JP,A)
【文献】 実開昭55−156064(JP,U)
【文献】 特開平11−278535(JP,A)
【文献】 実開昭54−102475(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3083295(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
B65D 85/67−85/677
B65D 71/00−71/04
B65B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
該基台上において、複行複列に配列された複数個のロービングからなるロービング群を複数段に段積みすることにより構成されるロービング集積物と、
該ロービング集積物の上面に載置される上面保護板と、
を備えるロービング集積物梱包体であって、
前記上面保護板は、
前記ロービング集積物の上面と略同一形状の矩形板状に形成される天板部と、
前記天板部の周囲の各側縁部から外側へ向かって延出し、前記側縁部に沿って各々折曲可能に形成される複数の帯状の耳片部と、
を有し、
互いに隣り合う耳片部において、
一方の耳片部における他方の耳片部側の端部には、前記一方の耳片部における前記側縁部に沿った方向へ延長する延出端部が形成され、
前記一方の耳片部、および前記他方の耳片部は、前記天板部に対して各々同一方向側に曲折され、
前記一方の耳片部の延長された延出端部が、前記ロービング集積物の周囲に沿って密着するように湾曲されて前記他方の耳片部と固定され、
前記上面保護板は、
前記ロービング集積物を構成する、全てのロービング群の上面に各々載置される
ことを特徴とするロービング集積物梱包体。
【請求項2】
前記上面保護板における、
前記一方の耳片部の延長された延出端部は、
前記他方の耳片部との固定箇所において、
重ね代を有する程度の長さをもって形成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のロービング集積物梱包体。
【請求項3】
前記上面保護板における、
前記天板部の四隅は、
ロービング集積物の平面視四隅に配置される、各々のロービングの外周面に沿った円弧状に形成される、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のロービング集積物梱包体。
【請求項4】
前記各耳片部には、
それぞれ、前記耳片部における前記側縁部に沿った方向の一方側に、前記延出端部が形成されている、
ことを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のロービング集積物梱包体。
【請求項5】
前記ロービング集積物の周囲には、ストレッチフィルムが巻着される、
ことを特徴とする、請求項1〜請求項の何れか一項に記載のロービング集積物梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数のガラス繊維巻糸体(以下、「ロービング」と記載する)からなる被梱包物を備えるロービング集積物梱包体に関し、より詳しくは、所定個数のロービングを安定した形態に集積しつつ梱包することが可能であり、複数のロービングの運搬に適したロービング集積物梱包体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、複数のロービングからなる被梱包物を集積しつつ梱包する、ロービング集積物梱包体が知られている。
前記ロービング集積物梱包体は、主に以下の手順に従って構築される。
先ず始めに、物流用のパレット(荷役台)上において、所定個数のロービングが複行複列に配列され、且つ複数段に段積みされて、ロービング集積物が構成される。
次に、構成されたロービング集積物の周囲に、ポリエチレン樹脂等からなるストレッチフィルムが被覆され、該ロービング集積物は、該ストレッチフィルムによって密着包装されることとなり、ロービング集積物梱包体が構築される。
【0003】
ここで、従来のロービング集積物梱包体においては、各ロービングの段ずれや潰れ等を防止するための手段として、例えば、ロービング集積物の角部に支柱を配置し、且つ該ロービング集積物の上面に上蓋を載置する技術が開示されている(例えば、「特許文献1」および「特許文献2」を参照)。
しかし、前記「特許文献1」および「特許文献2」における技術では、支柱や上蓋など、ロービング集積物の形態を保持するための梱包部材の点数が多く、該ロービング集積物を梱包するのに手間がかかり、梱包コストが嵩むという欠点があった。
そこで、このような欠点を克服し、より簡易、且つロービングの保護に適した梱包を実現するための手段として、周囲四辺に折り曲げ可能な耳片部を有しつつ四隅が切り欠かれた、上面保護板からなる梱包部材を用いて、ロービング集積物の上部周辺を保護する技術が開示されている(例えば、「特許文献3」を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭57−18302号公報
【特許文献2】実公昭57−18303号公報
【特許文献3】特開平8−2549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記「特許文献3」の技術によれば、ロービング集積物の梱包作業にかかる手間が減り、梱包コストを削減することができる。
しかし、その一方で、前記「特許文献3」における上面保護板の四隅は切り欠かれており、ロービング集積物の四隅に位置する各ロービングにおいては、前記切欠のために十分に保護されず、輸送中に外層が損傷する場合があった。
また、前記「特許文献3」における上面保護板においては、単に耳片部を折り曲げるだけの構造からなるため、上面保護板のみによってロービング集積物の形態を保持することは困難であり、該ロービング集積物にストレッチフィルムを被覆する際には、拘束バンドなどを用いて前記上面保護板の耳片部を折り曲げた状態で仮止めし、前記ロービング集積物の上部の周囲を拘束する必要があった。
従って、前記「特許文献3」によって示される従来のロービング集積物梱包体においては、梱包コストの削減を図るうえで、未だ改善の余地が残されていた。
【0006】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、ロービング集積物の段ずれや潰れや外層の損傷などを防止するとともに、該ロービング集積物の梱包作業の手間を減らし、梱包コストを削減することが可能なロービング集積物梱包体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1に係る発明は、基台と、該基台上において、複行複列に配列された複数個のロービングからなるロービング群を複数段に段積みすることにより構成されるロービング集積物と、該ロービング集積物の上面に載置される上面保護板と、を備えるロービング集積物梱包体であって、前記上面保護板は、前記ロービング集積物の上面と略同一形状の矩形板状に形成される天板部と、前記天板部の周囲の各側縁部から外側へ向かって延出し、前記側縁部に沿って各々折曲可能に形成される複数の帯状の耳片部と、を有し、互いに隣り合う耳片部において、一方の耳片部における他方の耳片部側の端部には、前記一方の耳片部における前記側縁部に沿った方向へ延長する延出端部が形成され、前記一方の耳片部、および前記他方の耳片部は、前記天板部に対して各々同一方向側に曲折され、前記一方の耳片部の延長された延出端部が、前記ロービング集積物の周囲に沿って密着するように湾曲され、前記他方の耳片部と固定され、前記上面保護板は、前記ロービング集積物を構成する、全てのロービング群の上面に各々載置される、ことを特徴とするロービング集積物梱包体に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記上面保護板における、前記一方の耳片部の延長された延出端部は、前記他方の耳片部との固定箇所において、重ね代を有する程度の長さをもって形成される、ことを特徴とする、ロービング集積物梱包体に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記上面保護板における、前記天板部の四隅は、ロービング集積物の平面視四隅に配置される、各々のロービングの外周面に沿った円弧状に形成される、ことを特徴とするロービング集積物梱包体に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記各耳片部には、それぞれ、前記耳片部における前記側縁部に沿った方向の一方側に、前記延出端部が形成されている、ことを特徴とするロービング集積物梱包体に関する。
【0013】
請求項に係る発明は、前記ロービング集積物の周囲には、ストレッチフィルムが巻着される、ことを特徴とするロービング集積物梱包体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、ロービング集積物の段ずれや潰れや外層の損傷などを防止するとともに、該ロービング集積物の梱包作業の手間を減らし、梱包コストを削減することができる。
即ち、本発明におけるロービング集積物梱包体によれば、互いに隣り合う耳片部の内、一方の耳片部の延長された延出端部が、ロービング集積物の周囲に沿って密着するように湾曲され、他方の耳片部の短縮された端部と固定されることから、ロービング集積物の上部の周囲を堅固に結束することが可能となり、ロービング集積物の段ずれなどを効果的に防止することができる。
また、これらの耳片部を含む上面保護板によって、ロービング集積物の上部の周囲、および上面を確実に保護することが可能となり、輸送時の接触による各ロービングの外層部の糸切れや潰れなどによる損傷を効果的に防止することができる。
さらに、本発明におけるロービング集積物梱包体によれば、互いに隣り合う耳片部の端部同士が予め固定された上面保護板を用いることから、拘束バンドなどを用いて上面保護板の耳片部を仮止めし、ロービング集積物の上部の周囲を拘束する必要もなく、梱包資材が削減されることから、該ロービング集積物の梱包作業にかかる手間を減らし、梱包コストを削減することができる。
また、請求項1に記載された発明によれば、全てのロービング群の上面に上面保護板を載置することにより、ロービング集積物の形態をより堅固に保持することができる。
【0017】
請求項2に記載された発明によれば、例えば、ロービング集積物の上部の周長に寸法誤差が発生しても、「重ね代」を調整しながら、一方の耳片部、および他方の耳片部の折り曲げ位置を、各々適宜変更することができる。
従って、ロービング集積物の上部の周囲において、これらの一方の耳片部、および他方の耳片部を容易に密着させることが可能であり、より確実にロービング集積物の周囲を結束することができる。
【0018】
請求項3に記載された発明によれば、ロービング集積物の周囲にストレッチフィルムが巻着される際、天板部の隅部によって、該ストレッチフィルムの巻き締め作用を、受圧させることが可能となる。
従って、ロービング集積物の平面視四隅に配置されるロービングに対する、ストレッチフィルムへの過剰な巻き締め作用を緩和させることが可能となり、これらの前記ロービングの潰れを効果的に防止することができる。
【0019】
請求項4に記載された発明によれば、上面保護板に備えられる複数の耳片部が、天板部の周囲の各側縁部に沿いつつ、該周囲を廻る一方側に向かって各々延出するようにして配設されることとなる。
従って、ロービング集積物の周囲にストレッチフィルムを巻着する際の巻き方向を、これらの耳片部の延出する方向に合わせることで、より堅固に上面保護板を固定することができる。
【0021】
請求項に記載された発明によれば、ストレッチフィルムの巻き締め作用によって、ロービング集積物の形態をより堅固に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態におけるロービング集積物梱包体の全体的な構成を示した斜視図。
図2】本実施形態におけるロービング集積物梱包体の構成要素を示した分解図。
図3】本実施形態におけるロービング集積梱包体に備えられる、上面保護板の形状を示した展開図。
図4】別実施形態における上面保護板の形状を示した展開図。
図5】他の別実施形態における上面保護板の形状を示した展開図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0025】
[ロービング集積物梱包体1]
先ず、本発明を具現化するロービング集積物梱包体1の全体構成について、図1および図2を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1および図2の上下方向をロービング集積物梱包体1の上下方向と規定して記述する。
また、図1および図2においては、矢印Aの方向を前方と規定して記述する。
【0026】
本実施形態におけるロービング集積物梱包体1は、複数のガラス繊維巻糸体(以下、「ロービング」と記載)を安定した形態に集積しつつ梱包したものであって、図1に示すように、主に、基台2やロービング集積物3や上面保護板4やストレッチフィルム5などにより構成される。
【0027】
基台2は、ロービング集積物梱包体1の基部となるものである。
基台2は、例えば、木材、金属、合成樹脂、またはFRP(強化プラスチック)など、適宜選択される最適材料からなり、フォークリフトの運搬用の爪を挿入可能なパレット(荷役台)として構成される。
【0028】
なお、基台2の構成については、本実施形態のものに限定されず、例えば、後述するロービング集積物3を載置するのに十分な面積を有し、且つ該ロービング集積物3を堅固に支持できる剛性を備えるものであれば、何れのような構成であってもよい。
【0029】
次に、ロービング集積物3について説明する。
ロービング集積物3は、複数個のロービング31a・31a・・・により構成される。
ここで、ロービング31aは、例えば、繊維径が数[μm]〜数十[μm]であるガラス繊維のモノフィラメントを数百本集束させてストランドを形成し、該ストランドを引き揃えて円筒状に巻き取ることにより形成される。
【0030】
そして、基台2上において、複数個のロービング31a・31a・・・が複行複列(例えば、本実施形態においては、四行四列)に配列され、ロービング群31が構成される。
また、複数の前記ロービング群31・31・・・が、さらに複数段(例えば、本実施形態においては、四段)に段積みされ、ロービング集積物3が構成される。
【0031】
次に、上面保護板4について説明する。
上面保護板4は、被梱包物であるロービング集積物3の形態を保持するための梱包部材である。
上面保護板4は、一方の面が開口された箱形状に構成され、後述するように、ロービング集積物3の上面(即ち、各ロービング群31・31・・・の上面)と略同一形状からなる天板部41や、該天板部41の縁部に沿って立設または下垂される一対の第一耳片部42・42、および一対の第二耳片部43・43などにより構成される。
【0032】
そして、上面保護板4は、本実施形態においては、各ロービング群31・31・・・の上面に被着するようにして載置される。また、上面保護板4は、最下層のロービング群31・31・・・の下部を覆うように配置されている。
これにより、各ロービング群31・31・・・の周囲は、第一耳片部42および第二耳片部43によって結束され、各ロービング群31・31・・・の形態が堅固に保持されることとなる。その結果、前記ロービング集積物3の形態が全体的に堅固に保持される。
【0033】
次に、ストレッチフィルム5について説明する。
ストレッチフィルム5は、基台2上に段積みされた複数のロービング群31・31・・・にて構成されるロービング集積物3を全体的に保持するためのものである。
ストレッチフィルム5は、ポリエチレン製のフィルム素材により構成される。但し、ストレッチフィルム5の材質については、これに限定されることはなく、例えば、塩化ビニルなどのような他の材質からなるフィルム素材を用いてもよい。
【0034】
そして、ストレッチフィルム5は、基台2上において複数段に段積みされたロービング群31・31・・・の周囲に巻着される。
これにより、前記複数のロービング群31・31・・・は、ストレッチフィルム5を介して互いに保持し合うこととなり、これらのロービング群31・31・・・によって構成されるロービング集積物3の形態が、堅固に保持されるのである。
【0035】
ところで、ロービング集積物3の周囲にストレッチフィルム5を巻着する際は、例えば、ストレッチフィルム5に一定の張力を加えつつ、ロービング集積物3の各部に対して一様に、ストレッチフィルム5を被覆させていくのが一般的である。
【0036】
ここで、ロービング集積物3の周囲にストレッチフィルム5を巻着する際の巻付け力が強すぎると、ロービング集積物3を構成するロービング31aに潰れが発生し易くなり、また前記巻付け力が弱すぎると、ロービング集積物3を構成するロービング群31に段ずれが発生し易くなる傾向が見られる。
このような傾向を踏まえた上で、ストレッチフィルム5の巻着条件は、ロービング集積物3におけるロービング群31・31・・・の段数や、各ロービング群31におけるロービング31a・31a・・・の配置個数や、各ロービング31aの物理的性質などを考慮しつつ、ロービング集積物3に段ずれや潰れなどが発生しないように適宜設定される。
【0037】
以上のような構成からなるロービング集積物梱包体1は、以下の手順に従って構築される。
先ず始めに、図2に示すように、基台2の上面に上面保護板4(以下、必要に応じて「第一上面保護板4A」と記載)を載置する。
この際、第一上面保護板4Aは、天板部41を下方に向けつつ、上方に開口するようにして載置される。
【0038】
基台2の上面に第一上面保護板4Aを載置した後、該第一上面保護板4Aの内部に所定個数のロービング31a・31a・・・を複行複列(例えば、本実施形態においては、四行四列)に配列し、ロービング群31(以下、必要に応じて「第一ロービング群31A」と記載)を構成する。
これにより、第一ロービング群31Aの下部の周囲は、第一上面保護板4Aの第一耳片部42および第二耳片部43によって結束されることとなり、前記第一ロービング群31Aの形態が保持される。
【0039】
第一上面保護板4A内にて第一ロービング群31Aが構成された後、該第一ロービング群31Aの上面に、上面保護板4(以下、必要に応じて「第二上面保護板4B」と記載)を被着する。
これにより、第一ロービング群31Aの上部の周囲は、第二上面保護板4Bの第一耳片部42および第二耳片部43によって結束されることとなり、前記第一ロービング群31Aの形態が、さらに堅固に保持される。
【0040】
第一ロービング群31Aの上面に第二上面保護板4Bを被着した後、該第二上面保護板4Bの上面にて所定個数のロービング31a・31a・・・を複行複列に配列し、ロービング群31(以下、必要に応じて「第二ロービング群31B」と記載)を構成する。
【0041】
第二上面保護板4B上にて第二ロービング群31Bが構成された後、該第二ロービング群31Bの上面に、上面保護板4(以下、必要に応じて「第三上面保護板4C」と記載)を被着する。
これにより、第二ロービング群31Bの上部の周囲は、第三上面保護板4Cの第一耳片部42および第二耳片部43によって結束されることとなり、前記第二ロービング群31Bの形態が保持される。
【0042】
第二ロービング群31Bの上面に第三上面保護板4Cを被着した後、該第三上面保護板4Cの上面にロービング群31をさらに構成し、その後、該ロービング群31の上面に上面保護板4を被着する。
こうして、基台2上におけるロービング群31・31・・・の段数が、所定の段数(例えば、本実施形態においては四段)に到達するまで、ロービング群31の構成、および該ロービング群31への上面保護板4の被着を繰り返し行って、ロービング集積物3を構築する。
【0043】
そして、基台2上にてロービング集積物3を構築した後に、該ロービング集積物3の周囲にストレッチフィルム5を巻着する。
これにより、ロービング集積物3は、基台2上に堅固に保持され、ロービング集積物梱包体1の構築が完了する。
【0044】
このように、本実施形態におけるロービング集積物梱包体1においては、ロービング集積物3を構成する全てのロービング群31・31・・・の上面に、上面保護板4・4・・・が各々載置されており、ロービング集積物3の形態をより堅固に保持可能な構成となっている。
【0045】
なお、上面保護板4の配置については、本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、作業効率や経済性などを考慮して、ロービング集積物3の上面、即ち最上段のロービング群31の上面のみに配置することとしてもよい。
この場合、最上段のロービング群31の形態が上面保護板4によって直接的に保持され、さらに、上面保護板4によって最上段のロービング群31の形態が保持されることにより、最上段のロービング群31が所望の位置に配置される、最上段のロービング群31よりも下方のロービング群31の形態が間接的に保持されることとなり、ひいてはロービング集積物3の形態が全体的に保持されることとなる。
【0046】
[上面保護板4]
次に、上面保護板4の構成について、図3を用いて詳述する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図3の矢印Aの方向を前方と規定して記述する。
【0047】
上面保護板4は、例えば段ボールなどの板紙によって一体的に形成され、主に天板部41や、一対の第一耳片部42・42や、一対の第二耳片部43・43などにより構成される。
なお、上面保護板4の材質については、これに限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂等で構成される板状樹脂部材を用いてもよい。
【0048】
天板部41は、上面保護板4の基部となる部位である。
天板部41は、ロービング集積物3を構成する各ロービング群31(図2を参照)の上面と略同一形状の矩形板状に形成される。
【0049】
そして、天板部41の四隅(以下、「隅部41a」と記載)は、ロービング群31の平面視四隅に位置する、各々のロービング31a・31a・・・の外周面に沿った円弧状に形成される。
【0050】
このように、本実施形態においては、天板部41の各隅部41aが、ロービング31a・31a・・・の外周面に沿った円弧状に形成されているため、前述したように、ロービング集積物3の周囲にストレッチフィルム5が巻着される際、前記隅部41aに、ストレッチフィルム5の巻き締め力を、受圧させることが可能となり、天板部41の各隅部が折れ曲がり、折れ曲がり箇所に過度の圧力が加わることがない。
従って、ロービング集積物3の平面視四隅に配置されるロービング31a・31a・・・へのストレッチフィルム5の巻き締めの作用を、緩和させることが可能となり、これらの前記ロービング31a・31a・・・の潰れを防止することができる。
【0051】
次に、第一耳片部42について説明する。
第一耳片部42は、後述する第二耳片部43とともに、ロービング群31の周囲を結束するための部位である。
第一耳片部42は、天板部41の前後両側の各側縁部41bからそれぞれ外側(前方向および後方向)へ向かって延出する帯状に形成される。
【0052】
第一耳片部42の外側への延出寸法は、天板部41の前後両側の各側縁部41bの長さよりも小さく形成されており、天板部41の前後両側の各側縁部41bに沿った方向が第一耳片部42の長手方向となっている。
また、第一耳片部42・42は、天板部41の前後両側の側縁部41b・41bに沿って折り曲げ可能に構成されている。
【0053】
なお、天板部41の前後両側の側縁部41b・41bは、それぞれ天板部41の前後両側における左端から右端までの外周縁部のうち、左右の隅部41aの部分を除いた直線部のことをいう。
また、第一耳片部42の長手方向の寸法は、天板部41の隅部41a・41a・・・を除く、前側(矢印Aの方向側)の側縁部41bの寸法(図3における「寸法Z1」)、または後側(矢印Aとの対向方向側)の側縁部41bの寸法(図3における「寸法Z2」)と、同程度に設定されている。
【0054】
そして、第一耳片部42・42は、天板部41の前後両側の側縁部41b・41bに沿って各々配置されるようにして、該天板部41と一体的に形成される。
換言すると、第一耳片部42・42は、それぞれ天板部41の前後両側の側縁部41b・41bに沿って形成され、天板部41の前後両側の側縁部41b・41bから外側(前側および後側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向寸法は、天板部41の左右寸法(図3における上下方向の寸法)に対して、天板部41の左右両端の隅部41a・41aの分だけ短縮された寸法とされている。
また、第一耳片部42・42における、天板部41の前後両側の側縁部41b・41bからの外側(前側および後側)への突出寸法(第一耳片部42・42の短手方向の寸法)は、ロービング31aの軸方向寸法よりも小さく構成されており、例えばロービング31aの軸方向寸法の半分程度から3分の1程度までの寸法に構成されている。
【0055】
なお、後述するように、これらの第一耳片部42・42は、側縁部41b・41bに沿って折曲げられ、上面保護板4が箱形状に構築される際には、これらの第一耳片部42・42が、天板部41に対して同一方向側に折り込まれる。
よって、このような第一耳片部42の折り込み作業を容易にするために、天板部41と第一耳片部42・42との接続箇所である、該天板部41の前後両側の側縁部41b・41bに沿って、折目を予め形成しておくことが好ましい。
【0056】
次に、第二耳片部43について説明する。
第二耳片部43は、前述した第一耳片部42とともに、ロービング群31の周囲を結束するための部位である。
第二耳片部43は、天板部41の左右両側の各側縁部41cからそれぞれ外側(左方向および右方向)に延出する帯状に形成される。
【0057】
第二耳片部43の外側への延出寸法は、天板部41の左右両側の各側縁部41cの長さよりも小さく形成されており、天板部41の左右両側の各側縁部41cに沿った方向が第二耳片部43の長手方向となっている。
また、第二耳片部43・43は、天板部41の左右両側の側縁部41c・41cに沿って折り曲げ可能に構成されている。
【0058】
なお、天板部41の左右両側の側縁部41c・41cは、それぞれ天板部41の左右両側における前端から後端までの外周縁部のうち、前後の隅部41aの部分を除いた直線部のことをいう。
また、第二耳片部43の長手方向の寸法は、天板部41の右側(矢印Aとの直交方向の一方側)の側縁部41cの寸法(図3における「寸法Z3」)、または左側(矢印Aとの直交方向の他方側)の側縁部41cの寸法(図3における「寸法Z4」)に比べて、十分長くなるように設定されている。
さらに、第二耳片部43の幅方向(短手方向)の寸法は、第一耳片部42の幅方向(短手方向)の寸法と、同程度となるように設定されている。
【0059】
そして、第二耳片部43・43は、自身の長手方向の中央部において、天板部41の左右両側の側縁部41c・41cに沿って各々配置されるようにして、該天板部41と一体的に形成される。
これにより、各第二耳片部43の長手方向の両端部(以下、「延出端部43a・43a」と記載)は、天板部41の右側または左側の側縁部41cの延出方向に向かって延出される。
換言すると、各第二耳片部43・43は、それぞれ天板部41の左右両側の側縁部41c・41cに沿って形成され、天板部41の左右両側の側縁部41c・41cから外側(左側および右側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向における両端部は、第二耳片部43・43の長手方向寸法が、天板部41の前後寸法(図3における左右方向の寸法)よりも長くなるように、第二耳片部43・43の長手方向(天板部41の左右両側の側縁部41c・41cに沿った方向)に沿って延長されている。
つまり、各第二耳片部43・43は、その長手方向の寸法が天板部41の左右両側の側縁部41c・41cの寸法(図3における「寸法Z3、Z4」)に形成される本体部と、前記本体部から前後方向に所定寸法(図3における「寸法X1」)だけ延出する延出端部43a・43aとを有している。
【0060】
ここで、第二耳片部43の各延出端部43aにおける長手方向の寸法(図3における「寸法X1」)は、天板部41の各隅部41a(より具体的には、各延出端部43aの最も近傍に位置する隅部41a)における円弧の長さ寸法(図3における「寸法Y1」)に比べて、長くなるように設定されている(X1>Y1)。
【0061】
なお、後述するように、これらの第二耳片部43・43は、側縁部41c・41cに沿って折曲げられ、上面保護板4が箱形状に構築される際には、これらの第二耳片部43・43が、前記第一耳片部42・42とともに、天板部41に対して同一方向側に折り込まれる。
よって、このような第二耳片部43の折り込み作業を容易にするために、天板部41と第二耳片部43との接続箇所である、該天板部41の左右両側の側縁部41c・41cに沿って、折目を予め形成しておくことが好ましい。
【0062】
また、同様に、上面保護板4が箱形状に構築される際には、第二耳片部43の各延出端部43aが、天板部41の隅部41aの円弧に沿って湾曲される。
よって、このような延出端部43aの湾曲作業を容易にするために、該延出端部43aの平面上には、幅方向に延出する複数の折目43b・43b・・・を、予め平行に形成しておくことが好ましい。
【0063】
このように、本実施形態における上面保護板4は、天板部41の周囲の各側縁部41c(または41b)から外側へ向かって延出し、前記側縁部41c(または41b)に沿って各々折曲可能に形成される複数の帯状の耳片部(より具体的には、第一耳片部42・42または第二耳片部43・43)を有し、互いに隣り合う第一耳片部42および第二耳片部43において、第二耳片部(一方の耳片部)43における第一耳片部(他方の耳片部)42側の端部には、前記第二耳片部(一方の耳片部)43における前記側縁部41cに沿った方向へ延長する延出端部43aが形成されている。
【0064】
そして、このような構成からなる上面保護板4は、以下の手順に従って箱形状に構築される。
先ず始めに、基台2上に載置されたロービング群31の上面に上面保護板4を載置し、載置した上面保護板4の第一耳片部(他方の耳片部)42・42および第二耳片部(一方の耳片部)43・43を、側縁部41b・41bおよび側縁部41c・41cに沿って、天板部41に対して同一方向側(下側)に折り込む。
これにより、第一耳片部42・42および第二耳片部43・43が、天板部41の前後両側および左右両側の側縁部41b・41b・41c・41cに沿って、各々下垂される。
【0065】
天板部41に対して、第一耳片部42・42および第二耳片部43・43をそれぞれ折り曲げて下垂した後、各第二耳片部(一方の耳片部)43の延出端部(延長された端部)43a・43aを、ロービング群31の上部における隅部の周囲、換言すると天板部41の隅部41a・41a・・・に沿って密着するように各々湾曲させる。
この際、前述したように、第二耳片部43の各延出端部43aの長さ寸法は、天板部41の各隅部41aの円弧の長さ寸法に比べて長いため、延出端部43aの先端部が隅部41aより幾分かはみ出すこととなる。
【0066】
そして、第二耳片部43の各延出端部43aにおいて、天板部41の各隅部41aよりはみ出した領域(以下、「重ね代」と記載)については、前記延出端部43aと隣り合う第一耳片部42の端部の裏面(第一耳片部42の折り込まれた方向側の面)に重ね合わせる。
【0067】
なお、前記「重ね代」の調整については、各ロービング31aの外周面に実際に沿わせつつ、第二耳片部43の各延出端部43aを湾曲させながら行うことが好ましい。
【0068】
こうして、第一耳片部42の端部に第二耳片部43の「重ね代」が重ね合わされた状態において、これらの第一耳片部42および第二耳片部43の重ね合わせ箇所を、粘着テープなどによって堅固に固定する。これにより、上面保護板4が箱形状に構築される。
【0069】
このように、本実施形態における上面保護板4においては、第二耳片部(一方の耳片部)43の延出端部(延長された端部)43aが、前記第一耳片部(他方の耳片部)の端部との重ね合わせ箇所(固定箇所)において、「重ね代」を有する程度の十分な長さをもって形成される。
よって、例えば、ロービング集積物3の上部の周長に寸法誤差が発生しても、前記「重ね代」を調整しながら、第一耳片部42・42および第二耳片部43・43の折り曲げ位置を、各々適宜変更することができる。
従って、ロービング集積物3の上部の周囲に、第一耳片部42・42および第二耳片部43・43を容易に密着させることが可能であり、より確実にロービング群31の周囲を結束することができるのである。
【0070】
なお、ロービング集積物3の下端部に配置される上面保護板4(即ち、基台2上に直接載置され、最下段のロービング群31の下部を結束する上面保護板4)を箱形状に構築する際には、基台2上に載置した上面保護板4上にロービング群31を配置したうえで、第一耳片部42・42および第二耳片部43・43を上方に折り曲げて直立させ、折り曲げた第一耳片部42および第二耳片部43の重ね合わせ箇所を、粘着テープなどによって固定することにより、上面保護板4を箱形状に構築することができる。
【0071】
[上面保護板104]
次に、別実施形態における上面保護板104の構成について、図4を用いて詳述する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図4の矢印Aの方向を前方と規定して記述する。
【0072】
別実施形態における上面保護板104は、前述した上面保護板4と略同等な構成を有する一方、第一耳片部142および第二耳片部143の構成について、前記上面保護板4と相違する。
よって、以下の説明においては、主に上面保護板4との相異点について記載し、該上面保護板4との同等な構成についての記述は省略する。
【0073】
第一耳片部142は、後述する第二耳片部143とともに、ロービング群31(図2を参照)の周囲を結束するための部位である。
第一耳片部142は、天板部141の前後両側の各側縁部141bからそれぞれ外側(前方向および後方向)一方に延出する帯状に形成される。
【0074】
第一耳片部142の外側への延出寸法は、天板部141の前後両側の各側縁部141bの長さよりも小さく形成されており、天板部141の前後両側の各側縁部141bに沿った方向が第一耳片部142の長手方向となっている。
また、第一耳片部142・142は、天板部141の前後両側の側縁部141b・141bに沿って折り曲げ可能に構成されている。
【0075】
なお、天板部141の前後両側の側縁部141b・141bは、それぞれ天板部141の前後両側における左端から右端までの外周縁部のうち、左右の隅部141aの部分を除いた直線部のことをいう。
また、第一耳片部142の長手方向の寸法は、天板部141の前側(矢印Aの方向側)の側縁部141bの寸法(図4における「寸法Z11」)、または後側(矢印Aとの対向方向側)の側縁部141bの寸法(図4における「寸法Z12」)に比べて、十分長くなるように設定されている。
【0076】
そして、第一耳片部142・142は、天板部141の前後両側の側縁部141b・141bに沿って各々配置されるようにして、該天板部141と一体的に形成される。
この際、天板部141の前側の第一耳片部142(以下、必要に応じて「前側第一耳片部142A」と記載)において、その長手方向の一方側(本実施形態においては、右側)の端部(以下、「延出端部142a」と記載)は、前記天板部141の前側の側縁部141bの延出方向の一方側(本実施形態においては、右側)に向かって延出される。
換言すると、前側第一耳片部142Aは、天板部141の前側の側縁部141bに沿って形成され、天板部141の前側の側縁部141bから外側(前側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向における右側端部が、前側の側縁部141bの範囲(図4における寸法Z11の範囲)よりも右方へ延長されている。
【0077】
また、天板部141の後側の第一耳片部142(以下、必要に応じて、「後側第一耳片部142B」と記載)において、その長手方向の他方側(本実施形態においては、左側)の延出端部142aは、前記天板部141の後側の側縁部141bの延出方向の他方側(本実施形態においては、左側)に向かって延出される。
換言すると、後側第一耳片部142Bは、天板部141の後側の側縁部141bに沿って形成され、天板部141の後側の側縁部141bから外側(後側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向における左側端部が、後側の側縁部141bの範囲(図4における寸法Z12の範囲)よりも左方へ延長されている。
【0078】
一方、第二耳片部143は、前述した第一耳片部142とともに、ロービング群31の周囲を結束するための部位である。
第二次片部143は、前記第一耳片部142と同様に、天板部141の左右両側の各側縁部141cからそれぞれ外側(左方向および右方向)に延出する帯状に形成される。
【0079】
第二次片部143の外側への延出寸法は、天板部141の左右両側の各側縁部141cの長さよりも小さく形成されており、天板部141の左右両側の各側縁部141cに沿った方向が第二次片部143の長手方向となっている。
また、第二次片部143・143は、天板部141の左右両側の側縁部141c・141cに沿って折り曲げ可能に構成されている。
【0080】
なお、天板部141の左右両側の側縁部141c・141cは、それぞれ天板部141の左右両側における前端から後端までの外周縁部のうち、前後の隅部141aの部分を除いた直線部のことをいう。
また、第二耳片部143の長手方向の寸法は、天板部141の右側(矢印Aとの直交方向の一方側)の側縁部141cの寸法(図4における「寸法Z13」)、または左側(矢印Aと直交方向の他方側)の側縁部141cの寸法(図4における「寸法Z14」)に比べて、十分長くなるように設定されている。
【0081】
そして、第二耳片部143・143は、天板部141の左右両側の側縁部141c・141cに沿って各々配置されるようにして、該天板部141と一体的に形成される。
この際、天板部141の右側の第二耳片部143(以下、必要に応じて「右側第二耳片部143A」と記載)において、その長手方向の一方側(本実施形態においては、後側)の端部(以下、「延出端部143a」と記載)は、前記天板部141の右側の側縁部141cの延出方向の一方側(本実施形態においては、後側)に向かって延出される。
換言すると、右側第二耳片部143Aは、天板部141の右側の側縁部141cに沿って形成され、天板部141の右側の側縁部141cから外側(右側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向における後側端部が、右側の側縁部141cの範囲(図4における寸法Z13の範囲)よりも後方へ延長されている。
【0082】
また、天板部141の左側の第二耳片部143(以下、必要に応じて「左側第二耳片部143B」と記載)において、その長手方向の他方側(本実施形態においては、前側)の延出端部143aは、前記天板部141の左側の側縁部141cの他方側(本実施形態においては、前側)に向かって延出される。
換言すると、左側第二耳片部143Bは、天板部141の左側の側縁部141cに沿って形成され、天板部141の左側の側縁部141cから外側(左側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向における前側端部が、左側の側縁部141cの範囲(図4における寸法Z14の範囲)よりも前方へ延長されている。
【0083】
以上のように、別実施形態における上面保護板104は、天板部141の周囲の各側縁部141c(または141b)から外側へ向かって延出し、前記側縁部141c(または141b)に沿って各々折曲可能に形成される複数の帯状の耳片部(より具体的には、第一耳片部142および第二耳片部143)を有し、互いに隣り合う第一耳片部142および第二耳片部143において、例えば、右側第二耳片部(一方の耳片部)143Aにおける一方側である後側第一耳片部(他方の耳片部)142B側の端部に、該右側第二耳片部(一方の耳片部)143Aの長手方向に沿って延長する延出端部143aが形成されている。
また、前側第一耳片部(一方の耳片部)142Aにおける一方側である右側第二耳片部(一方の耳片部)143A側の端部に、前側第一耳片部(一方の耳片部)142Aの長手方向に沿って延長する延出端部142aが形成されている。
さらに、左側第二耳片部(一方の耳片部)143Bにおける一方側である前側第一耳片部(他方の耳片部)142A側の端部に、左側第二耳片部(一方の耳片部)143Bの長手方向に沿って延長する延出端部143aが形成されている。
また、後側第一耳片部(一方の耳片部)142Bにおける一方側である左側第二耳片部(他方の耳片部)143B側の端部に、後側第一耳片部(一方の耳片部)142Bの長手方向に沿って延長する延出端部142aが形成されている。
【0084】
即ち、別実施形態における上面保護板104においては、第一耳片部142の延出端部142a、および第二耳片部143の延出端部143aの何れもが、天板部141の各側縁部141c(または141b)の延出方向に向かって延出される。
そして、第一耳片部142の延出端部142aは、該延出端部142aに近設される第二耳片部143における、該第二耳片部143の延出端部143aとは反対側の端部に隣接して位置するように配設される。
また、第二耳片部143の延出端部143aは、該延出端部143aに近設される第一耳片部142における、該第一耳片部142の延出端部142aとは反対側の端部に隣接して位置するように配設される。
【0085】
換言すると、これらの第一耳片部142・142の延出端部142a・142aおよび第二耳片部143・143の延出端部143a・143aは、それぞれ第一耳片部142・142および第二耳片部143・143から、天板部141の周囲の各側縁部141b・141b・141c・141cに沿いつつ、該周囲を廻る一方側(図4においては、時計回り方向側)に向かって各々延出するようにして配設される。
【0086】
そして、このような構成からなる上面保護板104は、以下の手順に従って箱形状に構築される。
先ず始めに、基台2上に載置されたロービング群31の上面に上面保護板104を載置し、載置した上面保護板104の第一耳片部(他方の耳片部)142・142および第二耳片部(一方の耳片部)143・143を、側縁部141b・141bおよび141c・141cに沿って天板部141に対して同一方向側(下側)に折り込む。
これにより、第一耳片部142・142および第二耳片部143・143が、天板部141の前後両側および左右両側の側縁部141b・141b・141c・141cに沿って、各々下垂される。
【0087】
天板部141に対して、第一耳片部142・142および第二耳片部143・143をそれぞれ折り曲げて下垂した後、各第一耳片部(他方の耳片部)142および各第二耳片部(一方の耳片部)143の延出端部(延長された端部)142a・143aを、ロービング群31の上部における隅部の周囲、換言すると天板部141の隅部141a・141a・・・に沿って密着するように各々湾曲させる。
この際、第一耳片部142および第二耳片部143の各延出端部142a・143aの長さ寸法は、天板部141の各隅部141aの円弧の長さ寸法に比べて長いため、延出端部142a・143aの先端部が隅部141aより幾分かはみ出すこととなる。
【0088】
そして、前側第一耳片部142Aの延出端部142aにおいて、天板部141の隅部141aよりはみ出した領域(以下、「第一の重ね代」と記載)については、前記延出端部142aと隣り合う右側第二耳片部143Aの端部の裏面(右側第二耳片部143Aの折り込まれた方向側の面)に重ね合わせる。
また、前記右側第二耳片部143Aの延出端部143aにおいて、天板部141の隅部141aよりはみ出した領域(以下、「第二の重ね代」と記載)については、前記延出端部143aと隣り合う後側第一耳片部142Bの端部の裏面(後側第一耳片部142Bの折り込まれた方向側の面)に重ね合わせる。
また、前記後側第一耳片部142Bの延出端部142aにおいて、天板部141の隅部141aよりはみ出した領域(以下、「第三の重ね代」と記載)については、前記延出端部142aと隣り合う左側第二耳片部143Bの端部の裏面(左側第二耳片部143Bの折り込まれた方向側の面)に重ね合わせる。
さらに、前記左側第二耳片部143Bの延出端部143aにおいて、天板部141の隅部141aよりはみ出した領域(以下、「第四の重ね代」と記載)については、前記延出端部143aと隣り合う前側第一耳片部142Aの端部の裏面(前側第一耳片部142Aの折り込まれた方向側の面)に重ね合わせる。
【0089】
なお、前記「第一乃至第四の重ね代」の調整については、各ロービング31aの外周面に実際に沿わせつつ、第一耳片部142の延出端部142a、および第二耳片部143の延出端部143aをそれぞれ湾曲させながら行うことが好ましい。
この際、本実施形態における上面保護板104であれば、全ての延出端部142a・142a・143a・143aに対して、各ロービング31aの外周面に沿わせる際の方向を同一方向(例えば、本実施形態においては、平面視時計回り方向)に統一することができるため、前記重ね代の調整作業も容易になる。
【0090】
こうして、前側第一耳片部142Aの端部に左側第二耳片部143Bの「第四の重ね代」が重ね合わされ、左側第二耳片部143Bの端部に後側第一耳片部142Bの「第三の重ね代」が重ね合わされ、後側第一耳片部142Bの端部に右側第二耳片部143Aの「第二の重ね代」が重ね合わされ、右側第二耳片部143Aの端部に前側第一耳片部142Aの「第一の重ね代」が重ね合わされた状態において、これらの第一耳片部142A・142Bおよび第二耳片部143A・143Bの重ね合わせ箇所が、粘着テープなどによって堅固に固定する。
これにより、上面保護板104が箱形状に構築されるのである。
【0091】
[上面保護板204]
次に、他の別実施形態における上面保護板204の構成について、図5を用いて詳述する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図5の矢印Aの方向を前方と規定して記述する。
【0092】
他の別実施形態における上面保護板204は、前述した上面保護板4と略同等な構成を有する一方、天板部241の構成について、前記上面保護板4と相違する。
よって、以下の説明においては、主に上面保護板4との相異点について記載し、該上面保護板4との同等な構成についての記述は省略する。
【0093】
天板部241は、上面保護板204の基部となる部位である。
天板部241は、ロービング集積物3を構成する各ロービング群31(図2を参照)の上面形状と略同一な、矩形板状に形成される。
【0094】
ここで、他の別実施形態における天板部241の四隅(隅部241a・241a・・・)については、前述した上面保護板4の天板部41に見られる隅部41a・41a・・・ように円弧状に加工されることはなく、直角形状となっている。
よって、本実施形態における上面保護板204によれば、天板部241の四隅(隅部241a・241a・・・)を円弧状に加工する際の工数を省くことができるため、前記上面保護板204の製造コストの低減化を図ることができる。
【0095】
次に、第一耳片部242について説明する。
第一耳片部242は、後述する第二耳片部243とともに、ロービング群31の周囲を結束するための部位である。
第一耳片部242は、天板部241の前後両側の各側縁部241bからそれぞれ外側(前方向および後方向)に延出する帯状に形成される。
【0096】
第一耳片部242の外側への延出寸法は、天板部241の前後両側の各側縁部241bの長さよりも小さく形成されており、天板部241の前後両側の各側縁部241bに沿った方向が第一耳片部242の長手方向となっている。
また、第一耳片部242・242は、天板部241の前後両側の側縁部241b・241bに沿って折り曲げ可能に構成されている。
【0097】
なお、天板部241の前後両側の側縁部241b・241bは、それぞれ天板部241の前後両側における左端から右端までの外周縁部のうち、左右の隅部241aの部分を除いた直線部のことをいう。
また、第一耳片部242の長手方向の寸法は、ロービング群31の平面視四隅の前側(矢印Aの方向側)または後側(矢印Aとの対向方向側)に位置する、二個のロービング31a・31a間の中心距離(図5における「寸法Z21」または「寸法Z22」)と、同程度となるように設定されている。
【0098】
そして、第一耳片部242・242は、天板部241の前後両側の側縁部241b・241bの中央部において、該側縁部241b・241bに沿って各々配置されるようにして、前記天板部241と一体的に形成される。
換言すると、第一耳片部242・242は、それぞれ天板部241の前後両側の側縁部241b・241bに沿って形成され、天板部241の前後両側の側縁部241b・241bから外側(前側および後側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向寸法は、天板部241の左右寸法(図5における上下方向の寸法)に対して、天板部241の左右両端の隅部241a・241aの分だけ短縮された寸法とされている。
また、第一耳片部242・242における、天板部241の前後両側の側縁部241b・241bからの外側への突出寸法は、第一耳片部42・42と同様である。
【0099】
次に、第二耳片部243について説明する。
第二耳片部243は、前述した第一耳片部242とともに、ロービング群31の周囲を結束するための部位である。
第二耳片部243は、天板部241の左右両側の各側縁部241cからそれぞれ外側(左方向および右方向)に延出する帯状に形成される。
【0100】
第二耳片部243の外側への延出寸法は、天板部241の左右両側の各側縁部241cの長さよりも小さく形成されており、天板部241の左右両側の各側縁部241cに沿った方向が第一耳片部242の長手方向となっている。
また、第二耳片部243・243は、天板部241の左右両側の側縁部241c・241cに沿って折り曲げ可能に構成されている。
【0101】
なお、天板部241の左右両側の側縁部241c・241cは、それぞれ天板部241の左右両側における前端から後端までの外周縁部のうち、前後の隅部241aの部分を除いた直線部のことをいう。
また、第二耳片部243の長手方向の寸法は、天板部241の右側(矢印Aとの直交方向の一方側)の側縁部241cの寸法、または左側(矢印Aとの直交方向の他方側)の側縁部241cの寸法に比べて、十分長くなるように設定されている。
【0102】
そして、第二耳片部243・243は、自身の長手方向の中央部において、天板部241の左右両側の側縁部241c・241cに沿って各々配置されるようにして、該天板部241と一体的に形成される。
これにより、各第二耳片部243の長手方向の両端部(以下、「延出端部243a」と記載)は、天板部241の右側または左側の側縁部241cの延出方向に向かって延出される。
換言すると、各第二耳片部243・243は、それぞれ天板部241の左右両側の側縁部241c・241cに沿って形成され、天板部241の左右両側の側縁部241c・241cから外側(左側および右側)へ向かって所定寸法だけ突出する帯状の耳片部であり、その長手方向における両端部は、第二耳片部243・243の長手方向寸法が、天板部241の前後寸法(図5における左右方向の寸法)よりも長くなるように、第二耳片部243・243の長手方向(天板部241の左右両側の側縁部に沿った方向)に沿って延長されている。
つまり、各第二耳片部243・243は、その長手方向の寸法が天板部241の左右両側の側縁部241c・241cの寸法(図5における「寸法Z23、Z24」)に形成される本体部と、前記本体部から前後方向に所定寸法(図5における「寸法X21」)だけ延出する延出端部243a・243aとを有している。
【0103】
ここで、天板部241の左右両側の側縁部241c・241cにおいて、第二耳片部243・243の延出端部243a・243aと天板部241の隅部241a・241aとの間には切込部が形成される。
これにより、天板部241と第二耳片部243との接続箇所である、該天板部241の左右両側の側縁部241c・241cの長さ寸法は、ロービング群31の前右側の隅部241aおよび後右側の隅部241aに位置する二個のロービング31a・31a間の中心距離(図5における「寸法Z23」)、またはロービング群31の前左側の隅部241aおよび後左側の隅部241aに位置する二個のロービング31a・31a間の中心距離(図5における「寸法Z24」)同程度となっている。
また、第二耳片部243の各延出端部243aにおける長手方向の寸法(図5における「寸法X21」)は、ロービング群31の平面視四隅に配置される、各ロービング31aの外周面の周長を四等分した長さ寸法(図5における「寸法Y21」)に比べて、十分長くなるように設定されている(X21>Y21)。
【0104】
このように、他の別実施形態における上面保護板204は、天板部241の周囲の各側縁部241c(または241b)から外側へ向かって延出し、前記側縁部241c(または241b)に沿って各々折曲可能に形成される複数の帯状の耳片部(より具体的には、第一耳片部242および第二耳片部243)を有し、互いに隣り合う第一耳片部242および第二耳片部243において、第二耳片部(一方の耳片部)243における第一耳片部(他方の耳片部)242側の端部には、前記第二耳片部(一方の耳片部)243における前記側縁部に沿った方向へ延長する延出端部243aが形成されている。
【0105】
そして、このような構成からなる上面保護板204は、以下の手順に従って箱形状に構築される。
先ず始めに、基台2上に載置されたロービング群31の上面に上面保護板204を載置し、載置した上面保護板204の第一耳片部(他方の耳片部)242・242および第二耳片部(一方の耳片部)243・243を、側縁部241b・241bおよび側縁部241c・241cに沿って、天板部241に対して同一方向側(下側)に折り込む。
これにより、第一耳片部242・242および第二耳片部243・243が、天板部241の前後両側および左右両側の側縁部241b・241b・241c・241cに沿って、各々下垂される。
【0106】
天板部241に対して、第一耳片部242・242および第二耳片部243・243をそれぞれ折り曲げて下垂した後、各第二耳片部(一方の耳片部)243の延出端部(延長された端部)243a・243aを、ロービング群31の上部における隅部の周囲に沿って密着するように各々湾曲させる。
この際、前述したように、第二耳片部243の各延出端部243aの長さ寸法は、前記各ロービング31aの外周面の周長を四等分した長さ寸法に比べて長いため、延出端部243aの先端部が、四等分された各ロービング31aの外周面より幾分かはみ出すこととなる。
【0107】
そして、第二耳片部243の各延出端部243aにおいて、四等分された各ロービング31aの外周面よりはみ出した領域(以下、「重ね代」と記載)については、前記延出端部243aと隣り合う第一耳片部242の端部の裏面(第一耳片部242の折り込まれた方向側の面)に重ね合わせる。
【0108】
こうして、第一耳片部242の端部に第二耳片部243の「重ね代」が重ね合わされた状態において、これらの第一耳片部242および第二耳片部243の重ね合わせ箇所を、粘着テープなどによって堅固に固定する。
これにより、上面保護板204が箱形状に構築されるのである。
【符号の説明】
【0109】
1 ロービング集積物梱包体
2 基台
3 ロービング集積物
4 上面保護板
31 ロービング群
31a ロービング
41 天板部
42 第一耳片部(他方の耳片部)
43 第二耳片部(一方の耳片部)
43a 延出端部
図1
図2
図3
図4
図5