特許第6232776号(P6232776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000002
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000003
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000004
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000005
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000006
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000007
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000008
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000009
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000010
  • 特許6232776-電気部品パックの冷却装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232776
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】電気部品パックの冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20171113BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20171113BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B60K11/06
   B60K1/04 Z
   B60L3/00 S
   B60L3/00 J
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-134159(P2013-134159)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-9588(P2015-9588A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 亨
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−149647(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/073465(WO,A1)
【文献】 実開平05−012233(JP,U)
【文献】 実開昭58−154820(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00− 6/12
B60K 7/00−15/10
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
F01P 1/00−11/20
H01M 10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され電気部品を収容した電気部品パックと、
吸気開口から吸入した車両内の空気を冷却風として吸気路に沿って流動させ、該冷却風を前記吸気開口よりも低位置に配備した前記電気部品パックに供給するダクトとを備えた電気部品パックの冷却装置において、
前記吸気路の底面には、前記冷却風の流動方向下流側に向かうに従い前記吸気開口の上部に向けてその最上部が近付くように形成され、異物を通過させる貫通穴が形成された複数の段部を有することを特徴とする電気部品パックの冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気部品パックの冷却装置において、
前記複数の段部よりも前記流動方向下流側には、前記複数の段部と同様の傾斜角度を有する部材を有し、前記貫通穴を通過した異物が該部材に沿って落下することを特徴とする電気部品パックの冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された電気部品パック内に車室内空気を冷却風として供給して、内部発熱源を空気冷却する電気部品パックの冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、特に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)は、バッテリ(蓄電ユニット)や電源回路の電装機器(インバータを含む電気機器)等を電気部品パック内に収容し、例えば、車体フロア側に設けた収容スペースに搭載している。この電気自動車等では、電動モータがバッテリ(蓄電ユニット)よりの電力を受けて回転エネルギを発生し、これにより車両を走行駆動させたり走行補助を行い、あるいは、減速中の運動エネルギを電動モータが回生回路と協働して電気エネルギに変換し、その電気エネルギをバッテリ(蓄電ユニット)充電している。
このようなバッテリ(蓄電ユニット)や電源回路の電装部品である高電圧部品は電気部品パック内に収容された状態で走行時に発熱体となる。このため、車室内の空気を電動ファンで吸引し、電気部品パック内の発熱体となる高電圧部品の回りを流動させて、該高電圧部品の温度上昇を抑制するようにしている。
【0003】
例えば、電気部品パックの冷却装置は電気部品パックの吸入口側に吸気ダクトを、排気口側に排気ダクトを連結する。排気ダクトの途中には電動ファンを配備し、これにより吸気ダクトで車内空気を吸引し、電気部品パック内室に冷却風を流動させて高電圧部品を冷却し、排気ダクトより車内や車外に排気している。
ここで、吸気ダクトは吸気口が車室内に設けられており、吸気口から取り込んだ車内空気を冷却風として電気部品パック内に導いている。ここで吸気口は吸気抵抗を低減するよう室内部品との干渉を避けて、車室内空間に向かって開くような形状を採る。このため、乗員が飲み物等の液体や異物をこぼした場合に、液体等が吸気口に浸入し、吸気ダクトより電気部品パック内に浸入し、高電圧部品に付着し、漏電を発生したり、腐食等による耐久性低下を招いてしまう。
【0004】
これに対処するため、特許文献1には、吸気ダクトの吸気口内の吸気路の底壁を下流である奥側に向かう底壁を上り勾配の傾斜壁に形成し、吸気口から浸入した液体等が、吸気ダクトより電気部品パック内に浸入することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5131182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のように、吸気口内の底壁を上り勾配の傾斜壁に形成したとしても、液体等の落下速度が大きいと上り坂となっている傾斜壁上を液体等が吸気路下流に向けて下から上に移動する場合がある。このような場合には、液体や異物が吸気ダクトより電気部品パック内に浸入してしまい、高電圧部品の漏電や、腐食等を招いてしまう。
【0007】
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするのは、車室内に向いた吸入口に浸入した液体等が電気部品パックに流動して、同パック内の高電圧部品が漏電や腐食等を生じるということを防止できる電気部品パックの冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1の発明は、車両に搭載され電気部品を収容した電気部品パックと、吸気開口から吸入した車両内の空気を冷却風として吸気路に沿って流動させ、該冷却風を前記吸気開口よりも低位置に配備した前記電気部品パックに供給するダクトとを備えた電気部品パックの冷却装置において、前記吸気路の底面には、前記冷却風の流動方向下流側に向かうに従い前記吸気開口の上部に向けてその最上部が近付くように形成され、異物を通過させる貫通穴が形成された複数の段部を有することを特徴とする。
【0009】
本願請求項2の発明は、請求項1に記載の電気部品パックの冷却装置において、前記複数の段部よりも前記流動方向下流側には、前記複数の段部と同様の傾斜角度を有する部材を有し、前記貫通穴を通過した異物が該部材に沿って落下することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、複数の段部が冷却風の流動方向下流側に向かうに従い前記吸気開口の上部に向けてその最上部が近付くように形成されているので、下流に向かう液体や塵が段部の複数の下向き面もしくは縦壁面に複数回当接することにより、吸気路下流に向かう液体や塵を確実に排除でき、液体や塵が吸気路下流に向かうことを阻止できる。さらに、段部が異物を通過させる貫通穴を有するので、落下した異物が空気流によって流動方向下流側に流されることを確実に防止することができる。
【0013】
請求項2の発明は、段部が空気流より排除した異物を貫通穴より直接段部と同様の傾斜角度を有する部材を経て排除でき、異物の排除機能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の電気部品パックの冷却装置を搭載する車両の概略図である。
図2図1の車両の要部概略平面図である。
図3図1の車両の後部フロア周りの要部切欠斜視図である。
図4図1の車両の電気部品パックの側面図である。
図5図1の車両の電気部品パックの後上方斜視図である。
図6図1の車両のリヤシートの切欠斜視図である。
図7本発明の第1の参考例における電気部品パックの冷却装置で用いるダクトの吸気開口の機能説明図で(a)は側面断面説明図、(b)は正面説明図である。
図8】本発明の第2の参考例における電気部品パックの冷却装置で用いるダクトの吸気開口の機能説明図で(a)は側面断面説明図、(b)は正面説明図である。
図9】本発明の第3の参考例における電気部品パックの冷却装置で用いるダクトの吸気開口の機能説明図で(a)は側面断面説明図、(b)は正面説明図である。
図10】本発明の一実施形態における電気部品パックの冷却装置で用いるダクトの吸気開口の機能説明図で(a)は側面断面説明図、(b)は正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の参考例である電気部品パックの冷却装置について説明する。
まず、図1を参照して、電気部品パックの冷却装置1を搭載するハイブリッド車両(以後単に車両と記す)Cを説明する。
車両Cは走行用駆動源としての前電動機及びエンジンを含む前輪駆動装置2が前車輪3に連結され、不図示の後電動機を含む後輪駆動装置4(図2参照)が後輪5に連結され、これら前後駆動源が車両の運転モードに応じて適宜選択駆動され、車両Cが走行する。
【0018】
図1に示すように、車両Cは前部フロア100上にフロントシート6とリヤシート7とを備える。リヤシート7の後方の後部フロア101の下部には後輪駆動装置4が配備され、この後輪駆動装置4と干渉しない位置に、凹部11が形成される。凹部11の収容空間13には、高電圧部品であるバッテリ(電源ユニット)23やモータ駆動制御機器PUを収容する電気部品パック(電源機器収容器)8が搭載されている。
図2に示すように、後部フロア101の凹部11の前端部は前クロスメンバ14に連結され、後端部がリヤエンドクロスメンバ15に連結される。前クロスメンバ14やリヤエンドクロスメンバ15はそれらの両端部が左右のサイドメンバ16,16に一体的に溶着され、これら各メンバの上部が後部フロア101に重なり、溶着されることで後部フロア101や凹部11の強度や剛性が確保される。
【0019】
図1に示す電気部品パック(電源機器収容器)8は略密閉容器状を成し、凹部11の収容空間13に嵌合された状態で搭載される。図2,4に示すように、電気部品パック8の左右側壁からはそれぞれ閉断面構造で強度と剛性が強化された前後ブラケット17,18が突設され、これら各ブラケットは左右のサイドメンバ16,16(図2参照)に一体的に締結されている。
図1、4に示すように、電気部品パック8は深皿状の下部容器21と蓋状の上部容器22を重ね、これら下部容器21及び上部容器22の上下フランジfr(図4参照)は互いに複数個所がボルトで締結され、内部に収容室Rを形成している。
電気部品パック8の収容室R内には、電気部品である電源ユニット(バッテリ)23や、モータ駆動制御機器PU(図1参照)が収容されている。
【0020】
電源ユニット(バッテリ)23は複数の電池からなる電池モジュールを複数収容保持して構成され、下部容器21の底壁に固定される。
モータ駆動制御機器PUは電源ユニット23と前後の不図示の電動機を結ぶ電源回路上に配備され、走行電力量の制御を行うもので、不図示の制御手段の制御指令に応じて電動機に供給する走行用電力の電力制御を行う。このモータ駆動制御機器PUは電源切換回路を含む電圧機器27や、インバータ24を備える。
インバータ24は動力制御ユニットの一部を成し、不図示の制御手段の制御指令を受けることで、トランジスタのオン・オフ時間をPWM制御して電源ユニット23の電源電流を三相交流に調整して不図示の電動機に出力して、電動機の回転速度制御を行う。
【0021】
電気機器27は電源ユニット23の前部に配備され、不図示の電源回路をマニュアル操作で断続するマニュアルスイッチや自動断続装置や過電流を遮断するフューズやこれらの配線等で構成される。
これら電圧機器が電気部品パック8の収容室R内で駆動し、駆動時には電源ユニット23、モータ駆動制御機器PUは発熱源となる。この際、車両の駆動状態が高出力状態に向かうほど発熱量が増加し、収容室Rの温度上昇が進む。そこで、過度の昇温を防止するため電気部品パック8は本発明の適用された電気部品パックの冷却装置50の配備により冷却されるようにしている。
【0022】
図2,5に示すように、冷却装置50が冷却する電気部品パック8はその上部容器22の一端に吸入口m1を成す吸入管部51を突き出し、上部容器22の他端に排出口m2を成す排出管部52を突き出し形成する。
吸入管部51には吸気ダクト53の下流端が連結される。吸気ダクト53は車室内の空気を吸気開口54で吸入し、その吸気を冷却風として吸気路r1に沿って下流に向けて流動させて、吸気開口54より段差d1だけ低位置(図4参照)に配備の電気部品パック8に供給する。
【0023】
図5に示すように、排出管部52には排気ダクト55の上流端が連結され、排気ダクト55の下流端は、凹部11の後方縦壁111(図1参照)の前方で開口し、しかも、排気ダクト55の中間部には電動ファン56の吸排気部561,562が連結される。
図2、5に示すように、吸気ダクト53の吸気開口54より電気部品パック8の吸入口m1に達する吸入路r1と、収容室Rの循環路r2と、電気部品パック8の排出口m2より排気ダクト55の下流端に達する排気路r3とが相互に連通して形成される。これら吸入路r1と循環路r2と排気路r3とを通して、車室空気を電動ファン56により吸入し、冷却風として排気ダクト55の下流端より車内と車外に排気する。これにより、電気部品パック8内を通過する冷却風が収容室Rの発熱源を冷却して過度の温度上昇による、電気部品パック8の内部の電源ユニット23やモータ駆動制御機器PUの耐久性低下を防止している。
【0024】
吸気ダクト53や排気ダクト55は湾曲筒状に形成され、合成樹脂やゴム等で形成される。吸気ダクト53は吸入側の吸気開口54とその位置より低位置に配備された電気部品パック8の吸入管部51とを連通させる。この吸気ダクト53は、吸気開口54と吸入管部51の吸入口m1の上下方向Z、前後方向X、左右方向Yの相対的位置のズレを吸収するように湾曲形成されている。更に、排気ダクト55は電気部品パック8の排出口m2と凹部11の後方縦壁111の車外側に達する排気ダクト55の下流端との間で他部品との干渉を避けるように湾曲形成されて配備される。
【0025】
次に、第1の参考例の要部を成す吸気ダクト53の構成を説明する。
この吸気ダクト53の吸気開口54は図2,3,6に示すように、リヤシート7のシートバック701と車室内壁の一部であるタイヤハウスの室内膨出壁57との間に設けた前向きの傾斜開口を成すシート開口部702に嵌着され、車室空間e(図1参照)と対向するよう配備されている。ここで吸気開口54は前後シート6,7の間の空間e(領域)であり乗員と重ならないタイヤハウス57側で、乗員と重ならないシートの右端部隙間(吸気ダクトの配置によっては左端部隙間の場合もある)に開口する。このように、吸気開口54は車両の室内部品に設けられ乗員との干渉を受けない方向に向けて開口されるので、吸入抵抗なく車内空気を吸入することができ、冷却風量を十分に確保できる。
【0026】
ここでの吸気開口54は正面視でほぼ縦長矩形の開口部に形成され、下部より上部が斜め後方により後退し、これにより、吸気開口54は斜め上方を向いた開口に形成される。図6に示すように、吸気開口54は傾斜するシートバック701のシート面の傾斜と同一に形成され、これにより、吸気開口54の先端の一部がシート面より突き出ることを防止している。なお、図4,5において、符号58はシート開口部702と吸気開口54の先端部とが嵌着した際の相対的な隙間を埋めるシール材を示し、符号59,60はタイヤハウスの室内膨出壁57に吸気開口54を締結するための上下の取付ブラケットを示す。
【0027】
図7に示すように、吸気ダクト53の吸気開口54とその吸気開口先端の開口位置p1より吸入路r1の下流である奥側に向かう開口側上壁部61及び開口側左右側壁62はそれぞれ連続平面で形成されている。これに対し、開口側左右側壁62の両下部を結ぶと共に吸気路の底面を形成する吸気路低壁63が一体結合されている。更に、吸入路r1の横幅b1(図7(b)参照)は一定を保って形成される。
ここで吸気開口54は開口側上壁部61と吸気路低壁63の開口側である開口側低壁631とが上下方向Zの縦幅h1を保ってそれぞれ対向配備され、開口側低壁631とこれよりも吸入路r1の下流側に設けられた最上位置p2とが縦幅h3を保ってそれぞれ対向配備される。更に、開口側上壁部61と最上位置p2とは、縦幅h2を保ってそれぞれ対向配備される。
【0028】
口側低壁631と、上位置p2から吸入路r1の下流側に設けられた最上部低壁632との間は垂直に立設する縦壁面f1を有する縦壁633によって連続形成されている。即ち縦壁633は、開口側低壁631の最深部(図7(a)において右端側)より屈曲して形成された底面側の下端縁と、下端縁から垂直に立ち上がることにより形成された縦壁面f1と、縦壁面f1から吸入路r1の下流側に向けて屈曲して形成された上端縁とを有し、最上部低壁632に連続形成されている。従って吸気ダクト53では、開口側低壁631と縦壁633と最上部低壁632とによって縦幅h3の段差部を形成している。
この構成により吸気ダクト53は、縦幅h1の吸気開口54に流入した空気aを最上部低壁632において縦壁633の高さh3だけ狭めた縦幅h2の吸入路r1に流入させる。そのとき流入する空気aは、縦壁面f1に当接した後に縦幅h2の吸入路r1に流動し、これにより縦壁面f1が空気aと共に流動する水分等の異物を除去する機能を発揮する。
【0029】
ここで、車両の駆動時に電気部品パックの冷却装置50の電動ファン56が駆動するとする。
この際、図1に示すように、斜め上方を向いた傾斜開口である吸気開口54が吸気開口54内に車室空間eの空気を吸入する。吸入された空気流aは、図7(a)に示すように、上下方向高さh1のほぼ下半部の気流aが縦壁633の垂直に立設する縦壁面f1に衝突して上下方向に飛散する。
この際、空気流aの流れに乗って水やジュース等の液体や塵等の異物nが流動してきた場合も、異物nが液体とともに縦壁633の縦壁面f1に衝突して上下方向に飛散する。
【0030】
これら液体や異物nは縦壁に衝突することで、吸入路r1の下流である奥側へ流動するエネルギを排除され、即ち、奥側である最上部低壁632に進むことを阻止される。このため、図7(a)、(b)に示すように、衝突後の液体や異物nは縦壁面f1に沿って下方に降下移動し、最下部の開口側低壁631に達し、同部に設けた排水管64を経て液体等は車外に排除される。
【0031】
このように、吸気ダクト53はその吸気路低壁63が、開口側低壁631と縦壁633と最上部低壁632とで縦幅h3の単一の段差の段部s0を形成し、これにより、吸気開口54より吸気路r1に沿い吸気と共に下流に向かう液体や塵が縦壁633の垂直に立設する縦壁面f1に当接しその自重で吸気路の底面に落下し、吸気路下流に向かう液体や塵を排除して、下流側の電気部品パックに流動することを防止するので、該電気部品パック内の高電圧部品の漏電や、腐食等の発生を防止して、電気部品パックの耐久性低下を確実に防止できる。
第1の参考例で説明した電気部品パックの冷却装置50では、吸気ダクト53の吸気路低壁63上に垂直に立設する縦壁面f1を有する縦壁633を設け、その縦壁面f1に当接した空気流a中の液体等の異物nを下方に降下移動して排除するとの構成を採っている。
【0032】
次に、この縦壁633に代えて、下向き面f2を有する傾斜壁633aを設けた第2の参考例を示す電気部品パックの冷却装置50aを図8に沿って説明する。
この第2の参考例で示す電気部品パックの冷却装置50aは、第1の参考例における吸気路低壁63の段部s0が縦壁633を用いていたのに代えて下向き面f2を有する傾斜壁633aを設けた点のみで相違し、ここでは第1の参考例に開示の同一部材に同一符号を付し、重複説明を略す。
図8に示すように、吸気ダクト53aの吸気路低壁63は、開口側上壁部61と開口側低壁631とが上下方向Zの縦幅h1を保って対向配備され、開口側上壁部61と最上部低壁632とが縦幅h2を保って対向配備される。更に、開口側低壁631と最上部低壁632とが縦幅h3を保って対向配備され、両者の間に傾斜壁633aが配備されている。
【0033】
ここでの段部s0’は、吸気ダクト53aの開口側低壁631の最下流側位置と、吸入路r1の奥側の最上位置p2に設けられた最上部低壁632の先端(最上流側位置)との間を傾斜壁633aによって連続形成する。ここでの傾斜壁633aは、吸気開口54に向かって上方が近付く(開口側で図中左側に近付く)ように傾斜すると共に下側に対面する下向き面f2が形成されている。
即ち、傾斜壁633aは吸気路r1の底面側である開口側低壁631の最下流側位置の下端縁より吸気開口54に向かって上端縁が近付くように傾斜すると共に上端縁より屈曲し、最上部低壁632の先端に連続形成されている。
【0034】
これにより、吸気ダクト53aは、縦幅h1の吸気開口54に流入した空気aを、最上部低壁632の位置において、縦壁633の高さh3だけ狭めた縦幅h2の吸入路r1に流入させる。その際、傾斜壁633aの下向き面f2には流入してくる空気aが当接した上で、逆流成分を含んで上方に流れ、最上部低壁632上の縦幅h2の吸入路r1に流動する。この際、図8(a),(b)に示すように、空気a中の水分等の異物nは下向き面f2に衝突することで、確実に下方に流動でき、吸入路r1の下流である奥側へ流動するエネルギを排除され、即ち、奥側である最上部低壁632に進むことを阻止され、最下部の開口側低壁631に達し、同部に設けた排水管64を経て液体等は車外に排除される。
【0035】
第1の参考例で示した電気部品パックの冷却装置50は開口側低壁631と最上部低壁632との間を単一の縦壁633で連結して単一の段部を形成してなる吸気路低壁63を構成していたが、これに代えて、第3の参考例の電気部品パックの冷却装置50bのように構成することもできる。
図9(a),(b)に示すように、第3の参考例の電気部品パックの冷却装置50bは、第1の参考例と対比して、吸気ダクト53bの吸気路低壁63に単一の縦壁に代えて複数の縦壁を有する階段w1が形成された点のみで相違する。このため、ここでは第1の参考例に開示の同一部材に同一符号を付し、その重複説明を略す。
図9(a),(b)に示すように、第3の参考例の電気部品パックの冷却装置50bにおける吸気ダクト53bは、開口側上壁部61と開口側低壁631とが縦幅h1を保って対向配備され、開口側上壁部61と最上部低壁632とが縦幅h2を保って対向配備される。更に、ここでの吸気路低壁63はその開口側低壁631と最上部低壁632とが縦幅h3を保って対向配備され、両者の間に複数の縦壁部633bを有する段部から成る階段w1が形成される。ここでの階段w1は、吸気開口54から離れる方向(吸気路r1の下流方向)に向かって上り段となるように形成される。
【0036】
このように、吸気ダクト53bの開口側低壁631の最下流側位置と、吸入路r1の奥側の最上位置p2に設けられた最上部低壁632の先端(最上流側位置)との間の吸気路低壁63の底面には複数の縦壁部633bの縦壁面f3が複数形成される。更に、複数の縦壁面f3と当該複数の縦壁面f3の間には上側に対面する上壁部634bの上向き面f4が形成され、これにより複数の段部から成る階段w1が形成される。
ここで階段w1の高さh3は吸気開口54の開口高さがh1の概略半分程度に形成され、最上位置p2の吸入路r1の通路高さh2と同程度の高さに形成されている。これにより、流入抵抗の低減と、空気量確保と後述の開口側低壁631による異物除去の機能を十分に確保するようにしている。
【0037】
図9(a),(b)に示すような構成により、上下方向高さh1のほぼ下半部の部位に達する気流aを複数の段部から成る階段w1の縦壁部633bに衝突して上下左右に飛散させる。
この際、液体等の異物nは縦壁部633bに衝突することで、吸入路r1の下流、即ち、奥側である最上部低壁632に進むことを阻止れる。このため、階段w1に落下後の液体や異物nは、最下部の開口位置P1の先端部低壁631に達し、同部に設けた排水管64を経て液体等は車外に排除される。なお、符合65は上向きのビード部であり、液体等の異物nの開口外への流出を防止するものである。
【0038】
第3の参考例も、吸気路下流に向かう液体や塵を排除して、下流側の電気部品パックに流動することを防止するので、該電気部品パック内の高電圧部品の漏電や腐食等の発生を防止して、電気部品パックの耐久性低下を確実に防止できる。
なお、第3の参考例における階段w1は縦壁部633bを備えていたが、これに代えて、第2の参考例で説明したような傾斜壁633aを用いてもよく、この場合も第3の参考例と同様の作用効果をより確実に得られる。
【0039】
次に、本発明の一実施形態図10に沿って説明する。
図10に示す本発明の一実施形態は、上述した第3の参考例で示した電気部品パックの冷却装置50bと比較して、開口側低壁631の階段w1の下部の排水路の構成が相違するのみで、その他の構成は同等であり、重複部分の説明を略す。
図10に示す電気部品パックの冷却装置50cは、吸気路低壁63の開口側低壁631に続く階段w1の下側の下壁面に一体的に傾斜した溝形成部材67を設けている。この溝形成部材67は吸気路r1の左右端側に位置するように左右1対(図10(b)参照)設けられる。
各溝形成部材67は階段w1の各段部それぞれの貫通穴68より落下する液体等の異物nを受け取り、下方の異物溜り69に流下させる。吸気ダクト53cの異物溜り69はポケット状に形成され、左右の溝形成部材67と相互に連通し、一体化して形成される。異物溜り69の液体等の異物nは下壁に連結した排水管70を経て車外に排除される。
【0040】
本発明の一実施形態で示した電気部品パックの冷却装置50cは、第3の参考例で示した電気部品パックの冷却装置50bと同様に、電気部品パック内の高電圧部品が漏電や腐食等を生じるということを防止できる。特に、吸気路低壁63の階段w1が空気流aより排除した液体等の異物nを各段部毎に設けた貫通穴68より直接溝形成部材67を経て排除でき、段部s1〜s4の表面より液体等の異物nが空気流aで下流側に流されることを確実に防止でき、異物nの排除機能がより向上する。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 電気部品パックの冷却装置
8 電気部品パック
53 吸気ダクト
54 吸気開口
63 吸気路低壁
631 開口側低壁
r1 吸気路
s0、s0’ 段部
w1 階段
P1 吸気開口
P2 最上位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10