(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置では、倍速処理を行う場合に、画像データを圧縮してドライバーに転送すると共に、ドライバーで画像データを展開して表示パネルを駆動する必要がある。このように、展開(デコード)を要する形式で画像データを圧縮(エンコード)するため、圧縮された状態のデータでは、画像処理を行うことが困難である。例えば、台形歪補正等の画像処理を行う場合、画像処理回路に入力する手前で圧縮データを展開(デコード)するための処理回路が必要であった。
【0005】
近年、倍速表示や台形歪補正、ノイズリダクション等の複数の画像処理回路を備えた画像処理装置が知られている。このような画像処理装置においては、画像データを、圧縮(エンコード)や展開(デコード)することなく、画像処理回路に内蔵するフレームメモリーに書き込んで画像処理を行うものも知られている。しかしながら、画像データを一旦フレームメモリーに書き込むと、1画面(1フレーム)分の画像遅延時間(フレーム遅延)が発生する。このような画像処理を複数回行うと、画像処理に応じた遅延時間が発生する。フレーム遅延が発生すると、リアルタイム性が重要であるテレビゲームのような画像を画像表示装置が表示する場合に、ユーザーによるコントローラーの操作に対して、画像表示装置から出力される画像の追随が遅れるという問題がある。フレーム遅延が大きい場合、ユーザーが操作したにも関わらず、画像処理の遅延により、画面上にその操作が反映されない場合、ゲーム性を損なってしまう。
【0006】
また、画像処理回路のフレームメモリーへの画像データの書き込み/読み出しを高速化すれば、画像遅延時間(フレーム遅延)を短縮することが可能であるが、書き込み/読み出しの高速化のためには、クロックの高速化やバス幅を広げるといった手段が必要になる。この場合、デバイスの高速化や配線領域が広くなってしまい、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る画像処理装置は、入力される画像情報に画像処理を施して出力する画像処理装置であって、画像情報を記憶する第1の記憶部を有する第1の画像処理部と、前記第1の画像処理部よりも画像処理順序の後段に配置され、画像情報を記憶する第2の記憶部を有する第2の画像処理部と、を有し、前記第1の画像処理部は、前記第1の記憶部に記憶した画像情報の画像サイズを縮小して、リフレッシュレートを上げる処理を行い、前記第2の画像処理部は、前記第2の記憶部に記憶した画像情報の画像サイズを拡大する処理を行うことを特徴とする。
【0009】
このような画像処理装置によれば、第1の画像処理部と第2の画像処理部とは、それぞれ、画像情報を記憶する第1の記憶部と第2の記憶部とを有する。そして、第1の画像処理部は、画像情報の画像サイズを縮小して、リフレッシュレート(「フレームレート」ともいう。)を上げる処理を行い、第2の画像処理部は、画像情報の画像サイズを拡大する処理を行う。これにより、第1の画像処理部は、画像情報を記憶部(以降、「フレームメモリー」ともいう。)に書き込んで、画像サイズを縮小してリフレッシュレートを上げるため、以降の処理における画像遅延時間(フレーム遅延)を低減することが可能になる。そして、第2の画像処理部は、縮小された画像サイズを拡大する。よって、入力時の画像サイズに戻すことが可能になる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る画像処理装置において、前記第1の画像処理部による画像情報の画像サイズの縮小およびリフレッシュレートを上げる処理と、前記第2の画像処理部による画像情報の画像サイズの拡大を行う処理とを行う第1のモードと、前記第1の画像処理部においては、画像情報の画像サイズをおよびリフレッシュレートを維持し、前記第2の画像処理部においても画像情報の画像サイズを維持する第2のモードと、を切り替える制御部をさらに有することを特徴とする。
【0011】
このような画像処理装置によれば、制御部は、第1の画像処理部による画像情報の画像サイズの縮小およびリフレッシュレートを上げる処理と、第2の画像処理部による画像情報の画像サイズの拡大を行う処理とを行う第1のモードと、第1の画像処理部においては、画像情報の画像サイズおよびリフレッシュレートを維持し、第2の画像処理部においても画像情報の画像サイズを維持する第2のモードと、を切り替える。これにより、制御部は、画像遅延時間を低減する第1のモードと、画像サイズを縮小することによる画質の低下を防ぐ第2のモードとを切り替えることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る画像処理装置において、複数の画像入力端子と、前記複数の画像入力端子毎に、前記第1のモードまたは前記第2のモードを対応付けるモード対応情報を記憶するモード記憶部と、前記複数の画像入力端子のいずれかを選択させる画像端子選択部と、をさらに有し、前記制御部は、前記画像端子選択部によって選択された画像入力端子の情報、および、前記モード記憶部に記憶された前記モード対応情報に基づいて、前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択して切り替えることを特徴とする。
【0013】
このような画像処理装置によれば、モード記憶部は、複数の画像入力端子毎に第1のモードまたは第2のモードを対応付けて記憶する。制御部は、選択された画像入力端子、および、モード対応情報に基づいて、第1のモードまたは第2のモードを選択して切り替える。これにより、選択された画像入力端子に応じて、画像遅延時間を低減する第1のモードと、画質の低下を防ぐ第2のモードとを切り替えることが可能になる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係る画像処理装置において、入力される画像情報が3Dの画像情報である場合には、前記制御部は、前記第2のモードに切り替えることを特徴とする。
【0015】
このような画像処理装置によれば、入力される画像情報が3Dの画像情報である場合、制御部は、第2のモードに切り替える。これにより、3Dの画像方式により発生する可能性のある画質劣化を回避することが可能になる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係る画像処理装置において、入力される画像情報が3Dの画像情報である場合には、前記第2の画像処理部は、前記第2の画像処理部に入力された画像情報のリフレッシュレートを上げる処理を行って出力することを特徴とする。
【0017】
このような画像処理装置によれば、入力される画像情報が3Dの画像情報である場合、第2の画像処理部は、出力する画像情報のリフレッシュレートを上げる。これにより、ユーザーが、3D画像を3D用のアクティブシャッターメガネを用いて目視する際の、視聴画像の明るさ低下を抑制することができる。
【0018】
[適用例6]本適用例に係る画像表示装置は、上記適用例に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置によって処理された画像情報に基づいた画像を表示する表示部をさらに有することを特徴とする。
【0019】
このような画像表示装置によれば、画像処理装置の第1の画像処理部は、画像情報をフレームメモリーに書き込んで、画像サイズを縮小してリフレッシュレートを上げる。そして、画像処理装置の第2の画像処理部は、縮小された画像サイズを拡大する。そして、表示部は、画像処理装置によって処理された画像情報の表示を行う。よって、画像表示装置は、画像遅延時間(フレーム遅延)を低減することが可能になる。
【0020】
[適用例7]本適用例に係る画像処理装置の制御方法は、画像情報を記憶する第1の記憶部を有する第1の画像処理部と、前記第1の画像処理部よりも画像処理順序の後段に配置され、画像情報を記憶する第2の記憶部を有する第2の画像処理部と、を有し、入力される画像情報に画像処理を施して出力する画像処理装置の制御方法であって、前記第1の画像処理部によって、前記第1の記憶部に記憶した画像情報の画像サイズを縮小して、リフレッシュレートを上げる第1の処理ステップと、前記第2の画像処理部によって、前記第2の記憶部に記憶した画像情報の画像サイズを拡大する第2の処理ステップと、を備えることを特徴とする。
【0021】
このような画像処理装置の制御方法によれば、第1の画像処理部は、画像情報をフレームメモリーに書き込んで、画像サイズを縮小してリフレッシュレートを上げる。そして、第2の画像処理部は、縮小された画像サイズを拡大する。よって、画像処理装置は、画像遅延時間(フレーム遅延)を低減することが可能になる。
【0022】
また、上述した画像処理装置、画像表示装置、および画像処理装置の制御方法が、画像処理装置に備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態および上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、あるいは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやHDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード、画像処理装置の内部記憶装置(RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリー)、および外部記憶装置(USB(Universal Serial Bus)メモリー等)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態)
以下、画像処理装置を有する画像表示装置の実施形態として、光源から射出された光を画像情報(画像信号)に基づいて変調し、この変調された光を外部のスクリーン等に投写して画像を表示するプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、表示部としての画像投写部10、制御部20、操作受付部21、モード記憶部22、画像処理装置としての映像処理部30等を備えている。
【0026】
画像投写部10は、光源としての光源装置11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等で構成されている。画像投写部10は、光源装置11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで画像光に変調し、この画像光を投写レンズ13から投写して投写面Sに画像を表示する。
【0027】
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源装置11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0028】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、複数の画素(図示せず)がマトリクス状に配列された矩形状の画素領域を備えており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。液晶駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域を透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によって拡大投写される。
【0029】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM、不揮発性のROM等を備えており、ROMに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、コンピューターとして機能する。
【0030】
操作受付部21は、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。本実施形態の操作受付部21が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための電源キー、入力された映像信号を切り替えるための入力切替キー、各種設定用のメニュー画像を表示させるメニューキー、メニュー画像における項目の選択等に用いられる方向キー、選択した項目を確定させるための決定キー等がある。
【0031】
ユーザーが操作受付部21の各種操作キーを操作すると、操作受付部21は、この操作を受け付けて、操作された操作キーに対応する制御信号を制御部20に出力する。そして、制御部20は、操作受付部21から制御信号が入力されると、入力された制御信号に基づく処理を行って、プロジェクター1の動作を制御する。なお、操作受付部21の代わりに、あるいは操作受付部21とともに、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を入力操作部として用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0032】
モード記憶部22は、不揮発性メモリーを有して構成される。モード記憶部22は、プロジェクター1に備わる複数の映像入力端子(図示せず)毎に、第1のモード(速いモード)または第2のモード(きれいモード)を対応付ける情報を記憶する。この情報が、モード対応情報に相当する。また、プロジェクター1に現在設定されているモードを示す情報についても、モード記憶部22に記憶される。
【0033】
ここで、第1のモード(速いモード)および第2のモード(きれいモード)について説明する。なお以下の説明では、第1のモードおよび第2のモードを集合的に「動作モード」とも称する。また、プロジェクター1に設定されている現在の動作モードを「設定モード」とも称する。
図2は、第1のモードおよび第2のモードの状態遷移図である。
【0034】
図2に示すように、第1のモードST1と第2のモードST2は、プロジェクター1のメニュー画像において、ユーザーが所望の動作モードを選択することによって、切り替えられる。また、ユーザーが操作受付部21に備わる入力切替キーを押下して映像入力端子の変更を行うと、制御部20は、モード記憶部22に記憶されたモード対応情報に基づいて、変更後の映像入力端子に対応付けられた動作モードとなるように、プロジェクター1の設定モードを切り替える。
【0035】
第1のモードST1は、速いモードとも呼び、プロジェクター1の投写画像の遅延、即ちフレーム遅延を低減させるモードである。具体的には、後述する映像処理部30によって画像サイズの縮小および倍速化を用いて、フレーム遅延を低減する。
【0036】
第2のモードST2は、きれいモードとも呼び、プロジェクター1のフレーム遅延は発生するが、投写画像の画質を第1のモードST1よりも向上させるモードである。具体的には、第1のモードST1において行っていた、映像処理部30による画像サイズの縮小を実施しないことで、画質の劣化を抑制する。第1のモードST1および第2のモードST2を比較すると、第1のモードST1は、画質を向上させることよりも、フレーム遅延を低減させることを優先した動作モードである。一方、第2のモードST2は、フレーム遅延を低減させるよりも、画質を向上させることを優先した動作モードである。
【0037】
プロジェクター1は、さらに、メニュー画像によって、複数の映像入力端子の種別(「映像ソース種別」とも呼ぶ。)毎に、第1のモードST1または第2のモードST2を対応付けて、モード記憶部22に記憶させることもできる。モード記憶部22へのモード対応情報の書き込みおよび読み出しは、制御部20が行う。これにより、ユーザーが操作受付部21に備わる入力切替キーを操作して映像入力端子(映像ソース)を選択すると、制御部20は、モード記憶部22に記憶されたモード対応情報に基づいて、第1のモードST1または第2のモードST2に切り替えるように、映像処理部30に指示を出す。
【0038】
図3は、モード記憶部22の設定例の説明図である。
図3のモード記憶部22では、映像入力端子の種別として、「アナログRGB」、「コンポーネントビデオ」、「コンポジットビデオ」、「D映像」、および「HDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)」が表示されている。そして、それぞれの映像入力端子に対応する動作モードとして、「第1のモード」または「第2のモード」が設定された状態が表されている。
【0039】
図1に戻り、映像処理部30は、第1の画像処理部としての第1映像処理部31、第2映像処理部32、第2の画像処理部としての第3映像処理部33等を備えている。
【0040】
第1映像処理部31は、第1のフレームメモリー31aを有して構成される。第1のフレームメモリー31aが第1の記憶部に相当する。フレームメモリーとは、1画面毎の画像情報を格納するメモリーである。なお、本実施形態では、第1の記憶部(第2の記憶部等についても)を、1画面毎の画像情報を格納するフレームメモリーとしているが、このようなフレームメモリーに限定するものではない。例えば、複数のラインメモリーによって構成されていてもよい。第1映像処理部31の前段には、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、図示しない外部の画像供給装置から各種形式の映像情報が入力される映像入力端子(図示せず)が備えられている。映像入力端子が、画像入力端子に相当する。
【0041】
第1映像処理部31は、制御部20からの指示に基づき、入力された映像情報を選択(即ち、映像入力端子を選択)して、デジタルの画像情報に変換し、その画像情報を第1のフレームメモリー31aに格納(記憶)する。なお、映像情報の選択は、ユーザーが、操作受付部21に備わる入力切替キーを操作することで行われる。このときの操作受付部21および制御部20が、画像端子選択部に相当する。
【0042】
第1映像処理部31は、入力される映像情報(画像情報)を解析することで、2D画像(2Dの映像情報)か3D画像(3Dの映像情報)かを判定する。入力される映像情報に、その映像情報が2D画像および3D画像のどちらであるかを示す制御情報が含まれていれば、このような判定が可能である。例えば、HDMI(登録商標)信号はこのような制御情報を含むことが可能であるため、映像情報が2D画像および3D画像のどちらであるかを判定することが可能である。第1映像処理部31は、判定結果を制御部20に通知する。3D画像の場合には、制御部20は、第2のモードST2(きれいモード)となるように、第1映像処理部31、第2映像処理部32、および第3映像処理部33に指示を出す。なお「3D画像」とは、ユーザーに立体的な画像を視聴させるための画像であって、立体的な画像を表現する画像である。3D画像としては、例えば、右目用の画像、及び左目用の画像を含む画像などが考えられる。これに対して「2D画像」とは、ユーザーに平面的な画像を視聴させるための画像であって、平面的な画像を表現する画像である。
【0043】
第1映像処理部31は、スケーラー(図示せず)を有しており、第1のモードST1(速いモード)では、第1のフレームメモリー31aを用いて、画像サイズ(「解像度」ともいう。)を略半分のサイズに低減させる(スケールダウンする)。さらに、第1のモードST1では、画像情報のリフレッシュレートを倍速化する。本実施形態では、画像サイズが1080p(縦1080画素×横1920画素の解像度)で入力された画像情報を720p(縦720画素×横1280画素の解像度)にスケールダウンする。さらに、第1映像処理部31は、リフレッシュレートが60Hzで入力された画像情報を、120Hzに倍速化する。なお、第2のモードST2では、第1映像処理部31は、画像サイズのスケールダウンおよびリフレッシュレートの倍速化の処理は行わない。
【0044】
さらに、第1映像処理部31は、第1のフレームメモリー31aを用いて、ノイズリダクション処理を行う。その他に、第1映像処理部31は、コントラスト、シャープネス、色合い等の画質調整を行う。
【0045】
第2映像処理部32は、第2のフレームメモリー32aを有して構成される。第2映像処理部32には、第1映像処理部31で処理された画像情報が入力される。本実施形態では、画像サイズが720pで、リフレッシュレートが120Hzの画像情報が入力される。第2映像処理部32は、画像情報を第2のフレームメモリー32aに記憶する。
【0046】
また、第2映像処理部32は、スケーラー(図示せず)を有しているが、本実施形態では、第2映像処理部32では、スケーリング処理は実施しない。
【0047】
第2映像処理部32は、制御部20の指示に基づき、第2のフレームメモリー32aを用いて、カラーマネージメント、即ち色補正や、調光処理等の画像処理を行う。
【0048】
第3映像処理部33は、第3のフレームメモリー33aを有して構成される。第3のフレームメモリー33aが第2の記憶部に相当する。第3映像処理部33には、第2映像処理部32で処理された画像情報が入力される。本実施形態では、画像サイズが720pで、リフレッシュレートが120Hzの画像情報が入力される。第3映像処理部33は、画像情報を第3のフレームメモリー33aに記憶する。
【0049】
第3映像処理部33は、スケーラー(図示せず)を有しており、第1のモードST1の場合には、第3のフレームメモリー33aを用いて、画像サイズを略2倍のサイズにスケールアップする。さらに、第3映像処理部33は、画像情報のリフレッシュレートを倍速化する。本実施形態では、第3映像処理部33は、画像サイズが720pで入力された画像情報を、1080pにスケールアップする。さらに、リフレッシュレートが120Hzで入力された画像情報を240Hzに倍速化する。
【0050】
このように、第3映像処理部33において、リフレッシュレートを倍速化することは、画像の明るさを確保するために有効である。特に、入力される画像情報が3D画像(立体画像)の場合に、効果が高いため、リフレッシュレートの倍速化を行う。具体的には、3D用のアクティブシャッターメガネを用いて3D画像を目視する場合に、視聴画像の明るさの低下を抑制することが可能になる。また、2D画像の場合にも、リフレッシュレートを上げることにより、明るさを向上することが可能である。
【0051】
なお、第2のモードST2では、第3映像処理部33は、画像サイズのスケールアップの処理は行わない。
【0052】
さらに、第3映像処理部33は、第3のフレームメモリー33aを用いて、台形歪補正処理(「キーストーン処理」ともいう。)等の画像処理を行う。ここで、台形歪補正処理とは、投写面Sに対してプロジェクター1を傾けた状態で画像を投写する場合に、投写画像が傾斜方向に拡大してしまう歪(台形歪)を抑制するために、画像情報を補正する処理を表す。
【0053】
ここで、スケーラーによるスケールダウンおよびスケールアップについて説明する。
図4は、スケーラーによるスケーリングの説明図であり、(a)は、スケールダウンの説明図であり、(b)は、スケールアップの説明図である。
【0054】
図4(a)には、第1映像処理部31が、画像サイズを1080pから720pにスケールダウンしたフレーム(画像情報)が表されている。このとき、スケールダウン処理では、1080pの画像情報(Aフレーム)f1に対して画素値の間引きを行うことで、720pの画像情報(A’フレーム)f2が生成される。
【0055】
図4(b)には、第3映像処理部33が、画像サイズを720pから1080pにスケールアップしたフレーム(画像情報)が表されている。このとき、スケールアップ処理では、720pの画像情報(A”フレーム)f3に対して画素値の補間を行うことで、1080pの画像情報(A'''フレーム)f4が生成されている。
【0056】
さらに、第1映像処理部31、第2映像処理部32、および第3映像処理部33における画像情報のフレーム遅延について説明する。
図5は、第1映像処理部31、第2映像処理部32、および第3映像処理部33における画像情報のフレーム遅延の説明図である。なお、
図5の表FR上においてフレームを表す四角形の大きさは、画像サイズを表していない。表FRは、第1映像処理部31、第2映像処理部32、第3映像処理部33におけるフレーム遅延のタイミングを表している。表FRでは、縦方向が時間軸を表している。
【0057】
図5に示すように、第1映像処理部31には、1080p−60Hzの画像情報が、Aフレーム、Bフレーム、Cフレーム、Dフレーム、・・・という順序で入力される。ここで、「1080p−60Hz」は画像情報の画像サイズ(解像度)が1080p、リフレッシュレートが60Hzであることを表しており、以下の説明でもこのように画像情報の画像サイズおよびリフレッシュレートを表す場合がある。第1映像処理部31は、入力されたフレームを第1のフレームメモリー31aに順次格納する。第1映像処理部31は、1080p−60Hzの画像情報から720p−120Hzの画像情報を生成し、画像処理を行って、2フレームずつ(A’フレーム、A’フレーム、B’フレーム、B’フレーム、C’フレーム、C’フレーム、・・・)出力する。
【0058】
第2映像処理部32は、入力された720p−120Hzの画像情報を、第2のフレームメモリー32aに順次格納する。第2映像処理部32は、720p−120Hzの画像情報をそのままの画像サイズとリフレッシュレートで、画像処理を行って、2フレームずつ(A”フレーム、A”フレーム、B”フレーム、B”フレーム、C”フレーム、C”フレーム、・・・)出力する。
【0059】
第3映像処理部33は、入力された720p−120Hzの画像情報を、第3のフレームメモリー33aに順次格納する。第3映像処理部33は、720p−120Hzの画像情報から1080p−240Hzの画像情報を生成し、画像処理を行って、4フレームずつ(A'''フレーム、A'''フレーム、A'''フレーム、A'''フレーム、B'''フレーム、B'''フレーム、B'''フレーム、B'''フレーム、C'''フレーム、C'''フレーム、C'''フレーム、C'''フレーム、・・・)出力する。
【0060】
このように、本実施形態では、入力された画像情報は、第1映像処理部31において1フレーム分遅延し、第2映像処理部32において0.5フレーム分遅延し、第3映像処理部33において1フレーム分遅延する。これらを合計すると、2.5フレームの遅延となる。ここで、仮に、画像サイズのスケールダウンを行わなかった場合には、第1映像処理部31において1フレーム分遅延し、第2映像処理部32において1フレーム分遅延し、第3映像処理部33において2フレーム分の遅延が発生してしまう。この場合は、遅延は合計で4フレームとなる。よって、本実施形態では、1.5フレーム分のフレーム遅延が低減されていることになる。
【0061】
図1に戻り、第3映像処理部33、つまり映像処理部30から出力された画像情報は、液晶駆動部14に入力される。
【0062】
液晶駆動部14は、映像処理部30から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動する。これにより、光源装置11から射出された光は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bによって画像情報に応じて変調され、投写レンズ13から投写される。
【0063】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクター1の第1映像処理部31、第2映像処理部32および第3映像処理部33は、それぞれフレームメモリーを有しており、画像情報を記憶する。そして、第1映像処理部31は、画像情報の画像サイズを略半分にスケールダウンして、リフレッシュレートを倍速化する。第3映像処理部33は、画像情報の画像サイズを略2倍にスケールアップする処理を行う。つまり、第1映像処理部31は、画像情報の画像サイズをスケールダウンするため、以降のフレームメモリーへの書き込み/読み出しや、画像処理におけるフレーム遅延を低減することが可能になる。そして、第3映像処理部33は、縮小された画像サイズをスケールアップする。よって、フレーム遅延を低減しつつ、入力時の画像サイズに戻して表示出力することが可能になるため、有益である。また、このような映像処理部30の処理によれば、画像処理のためのドットクロックの高速化やバス幅を広げるといった手段が不要である。つまり、デバイスを高速化したり、配線領域が広くしたりすることを回避できるため、製造コストの上昇を抑制することが可能になり、有益である。
【0064】
(2)プロジェクター1は、ユーザーがメニュー画像による設定を行うことで、第1のモードST1(速いモード)と、第2のモードST2(きれいモード)と、を切り替えることができる。これにより、ユーザーは、視聴する映像に応じて、フレーム遅延(画像遅延時間)を低減する第1のモードST1と、画質の低下を防ぐ第2のモードST2とを切り替えることが可能になるため、利便性が向上する。例えば、リアルタイム性が重要であるテレビゲームの映像を投写する場合には、第1のモードST1を選択し、映画等の映像を投写する場合には、第2のモードST2を選択することが可能になる。
【0065】
(3)プロジェクター1のモード記憶部22は、映像入力端子毎に第1のモードST1または第2のモードST2を対応付けて記憶することができる。制御部20は、ユーザーによって選択された映像入力端子の種別と、モード記憶部22に記憶されたモード対応情報に基づいて、第1のモードST1または第2のモードST2に切り替える。これにより、映像入力端子に応じて、フレーム遅延を低減する第1のモードST1と、画質の低下を防ぐ第2のモードST2とを自動的に切り替えることが可能になるため、利便性が向上する。例えば、HDMI(登録商標)端子にゲーム機を常時接続してゲームを行うユーザーであれば、HDMI(登録商標)端子に対応付けられた動作モードを第1のモードにしておくことによって、手動で設定モードを切り替える手間を低減することが可能になる。
【0066】
(4)プロジェクター1は、入力される映像情報が3D画像(3Dの画像情報)である場合、制御部20は、第2のモードST2(きれいモード)に切り替える。これにより、3Dの映像方式により発生する可能性のある画質劣化を回避することが可能になる。例えば、3Dの映像方式がサイドバイサイド方式の場合等に有益である。
【0067】
(5)プロジェクター1は、入力される映像情報が3D画像(3Dの画像情報)である場合、第3映像処理部33は、出力する画像情報のリフレッシュレートを倍速化する。これにより、ユーザーが、3D画像を3D用のアクティブシャッターメガネを用いて目視する際の、視聴画像の明るさの低下を抑制することが可能になるため、有益である。具体的には、リフレッシュレートの倍速化によって、アクティブシャッターメガネを閉じている時間が短縮されるため、倍速化をしない場合と比較して、視聴画像を明るくすることが可能になる。また、2D画像の場合でも、第3映像処理部33は、出力する画像情報のリフレッシュレートを倍速化してもよい。
【0068】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0069】
(変形例1)上記実施形態では、第1映像処理部31では、画像処理として、ノイズリダクション処理や画質調整を行うものとした。第2映像処理部32では、画像処理として、カラーマネージメントや調光処理を行うものとした。また、第3映像処理部33では、画像処理として、台形歪補正処理を行うものとした。しかし、第1映像処理部31、第2映像処理部32、第3映像処理部33で行う画像処理はこれらに限定するものではなく、他の画像処理を行ってもよい。
【0070】
(変形例2)上記実施形態では、映像処理部30は、第1映像処理部31、第2映像処理部32、および第3映像処理部33の3つの処理部を有するものとしたが、処理部は3つに限定するものではなく、複数であればよい。
【0071】
(変形例3)上記実施形態では、第3映像処理部33は、画像情報のリフレッシュレートを倍速化するものとしたが、2D画像の場合には、必ずしも倍速化を行わなくてもよい。
【0072】
(変形例4)上記実施形態では、入力される映像(画像)は、画像サイズが1080pでリフレッシュレートが60Hzとしたが、これに限定するものではない。他の画像サイズやリフレッシュレートであってもよい。また、上記実施形態では、画像サイズを1080pから720pにスケールダウンしているが、スケールダウンの度合いは、これに限定するものではない。
【0073】
(変形例5)上記実施形態では、画像処理装置を有する画像表示装置としてプロジェクター1を例にして説明しているが、画像表示装置はプロジェクターに限定するものではない。例えば、透過型のスクリーンを一体的に備えたリアプロジェクター、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、テレビ受信機等に適用することも可能である。
【0074】
(変形例6)上記実施形態では、光源装置11は、放電型の光源ランプ11aを有して構成されているが、LED(Light Emitting Diode)光源やレーザー等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0075】
(変形例7)上記実施形態では、プロジェクター1は、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を光変調装置として用いることもできる。