(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グミからなる中心層の周囲に、内側から第1層〜第4層の4層が順に形成されており、第1層は糖及び糖アルコールの少なくとも1種を主成分とする糖衣層であり、第2層は油脂を主成分とし、酸化により変性を受けやすい脂溶性機能性成分を含有する油脂層であり、第3層はビタミンCを主成分とする被覆層であり、第4層は糖及び糖アルコールの少なくとも1種を主成分とする糖衣層であり、前記脂溶性機能性成分が、還元型コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びエイコサペンタエン酸(EPA)よりなる群から選ばれる少なくとも1種であること特徴とするグミキャンディ。
【背景技術】
【0002】
従来から、可食性中心層の周囲に糖衣層を形成した糖衣食品は、風味や食感の変化を楽しむことができることから、広く親しまれてきた。このような糖衣食品の一例として、グミからなる中心層の周囲に、内側から第1層〜第3層の3層が順に形成され、第1層及び第3層が糖アルコールを主成分とする糖衣層であり、第2層が油脂を主成分とし、ビタミンA、E等の、酸化され易い脂溶性機能性成分を含有する油脂層であるグミキャンディが提案されている(特許文献1)。第2層である油脂層は、中心層を構成するグミから糖衣層に水分移行するのを抑制し、糖衣層のパリッとした食感を活かすために設けられている。
【0003】
また、グミからなる中心層の周囲に、内側から第1層〜第3層の3層が順に形成され、第1層及び第3層が糖アルコールを主成分とする糖衣層であり、第2層が油脂を主成分とし、酸味料としてビタミンC及びフマル酸を含有する油脂層であるグミキャンディが提案されている(特許文献2)。このグミキャンディでは、第2層である油脂層にビタミンC及びフマル酸という特定の酸味料を含有させることにより、第3層に油染みが生じるのを抑制している。
【0004】
また、中心層と、中心層の周囲に形成されかつ中心層の5倍以上の重量を有する糖衣層とからなり、中心層は、還元型コエンザイムQ10、エイコサペンタン酸、及びドコサヘキサン酸よりなる群から選ばれる、酸化され易い脂溶性機能性成分を含む油脂性食品からなり、糖衣層は、粒径が5〜15μmである結晶状態の砂糖からなる砂糖層と、ビタミンC層とが交互に複数層ずつ形成された層である糖衣食品が提案されている(特許文献3)。この糖衣食品では、中心層の周囲に前記構成を有する糖衣層を形成することにより、脂溶性機能性成分の酸化を抑制している。この糖衣層は、中心層が水分含有量の少ない油脂性食品の場合には有効である。しかしながら、特許文献3は、中心層に水分含有量の多いグミを用いた場合に、脂溶性機能性成分の酸化を十分に抑制する方法を記載していない。
【0005】
また、脂溶性機能性成分の安定化と糖衣食品としての美味しさとを持ち合わせた糖衣食品も提案されている。その一例として、食品にカリカリとした食感を与える粒状還元パラチノースの周囲に、アスコルビン酸(還元型ビタミンC)を含有する糖衣層を形成することにより、長期間保存してもアスコルビン酸の変化を生じにくくした糖衣食品が挙げられる(特許文献4)。しかしながら、特許文献4は、アスコルビン酸の安定化のみを提案するにとどまっている。
【0006】
一方、上記した糖衣食品に含まれる各種脂溶性機能性成分は、人体に有用な物質であることが知られている。中でも、還元型コエンザイムQ10は、最近ではアンチエジングや肥満の改善効果などが報告され、注目を集めている。しかしながら、脂溶性機能性成分は、上述したように、酸化されやすく、取り扱いが難しいという問題点を有している。
【0007】
。
これまでに、還元型コエンザイムQ10を含む製剤について種々提案がなされている。例えば、還元型コエンザイムQ10と、ビタミンC等の還元剤と、植物油脂とを共存させた製剤が提案されている(特許文献5、請求項1等)。しかしながら、実施例では植物油脂は使用されておらず、該製剤をカプセル化剤とする場合に、カプセルの材料として米油又はパーム油が用いられるのみである。また、特許文献5には、還元型コエンザイムQ10の品質や安定化効果等に関する記述はない。
【0008】
また、還元型コエンザイムQ10に、オリーブ油脂を除く油脂、及びポリオールから選ばれる少なくとも1種を配合することにより、還元型コエンザイムQ10を酸化から防護する還元型コエンザイムQ10の安定化方法が提案されている(特許文献6)。しかしながら、この安定化方法では、還元型コエンザイムQ10の安定性が不十分な場合もあった。
【0009】
また、還元型コエンザイムQ10を含む固形組成物を、油溶性被覆媒体、及び水溶性被覆媒体から選ばれる少なくとも1種の被覆媒体で被覆することにより、還元型コエンザイムQ10を安定化した固形製剤が提案されている(特許文献7)。好ましい油溶性被覆媒体としては、シェラック(カイガラムシが分泌する樹脂状物質)及びツェイン(トウモロコシ由来の蛋白質)が挙げられている。好ましい水溶性被覆媒体としては、ゼラチン、糖、アラビアガム、プルラン、セルロース誘導体及び酵母細胞壁が挙げられている。しかしながら、特許文献7の技術は、特許文献3の技術と同様に、水分がほとんど存在しない状態で還元型コエンザイムQ10の安定化を図るものであり、水分含有量の多いグミが存在する状態での還元型コエンザイムQ10の安定化には十分な効果がない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のグミキャンディは、グミからなる中心層と、中心層の外側(表面)に形成される糖衣層である第1層と、第1層の外側(表面)に形成される油脂層である第2層と、第2層の外側(表面)に形成されるビタミンCを主成分とする被覆層である第3層と、第3層の外側(表面)に形成される糖衣層である第4層とから構成される。
【0018】
本発明のグミキャンディは、脂溶性機能性成分を含む油脂層の外側に、ビタミンCを主成分とする被覆層を形成することにより、中心層が水分含有量の多いグミであるにもかかわらず、該機能性成分の酸化変性が顕著に抑制され、該機能性成分が安定に存在しているので、人体に有用な各種機能性を有している。また、本発明のグミキャンディは、第1層や第4層の糖衣層のパリッとした食感や、中心層であるグミと糖衣層との食感の変化、冷涼感、及び果汁感を含めた風味等が良好であり、菓子としての満足度が非常に高い。
【0019】
本発明のグミキャンディにおいて、中心層に用いられるグミとしては、特に限定されないが、水分含有量が7重量%以上28重量%未満のものが好ましく、水分含有量が9重量%以上18重量%未満のものがより好ましい。水分含有量が7重量%未満では、グミの弾力的な食感がなくなって硬くなり過ぎるおそれがあり、水分含有量が28重量%以上であれば、水分が多すぎて保形性が不十分になるおそれがある。
【0020】
本発明で使用するグミは、例えば、ゼラチンを予め水中にて膨潤させたゼラチン水溶液と糖質水溶液とを所定温度で混合し、得られた混合液を必要に応じて所定形状の型に充填した後、所定の水分含有量になるまで乾燥させることにより、得ることができる。ここで用いられるゼラチンとしては特に限定されないが、得られるグミの食感と風味とのバランス等を考慮して、ブルーム強度80〜300のゼラチンが好ましい。また、糖質水溶液に含有される糖質としては特に限定されず、グミキャンディ用糖質をいずれも使用でき、例えば、蔗糖、水あめ、糖アルコールなどが挙げられる。ゼラチン水溶液及び糖質水溶液の少なくとも一方は、必要に応じて、香料、着色料、甘味料、酸味料、ミネラル類、アミノ酸、乳製品、果汁その他のグミ用添加剤を含有していてもよい。
【0021】
こうして得られるグミの中でも、ブルーム強度が240〜260程度のゼラチンを使用し、水分含有量が9重量%〜18重量%であるグミは、食感が一番良好で、本発明のグミキャンディの中心層として好ましい。
【0022】
中心層となるグミの大きさは、特に限定されないが、食べやすい大きさが好ましく、例えば、長さ8〜12mm、幅6〜10mm、高さ6〜10mm、単重0.3g〜1g程度であり、またその形状にも特に制限はない。
【0023】
また、本発明のグミキャンディにおける中心層の重量割合は特に限定されないが、好ましくは本発明のグミキャンディ全量の40〜70重量%、さらに好ましくは本発明のグミキャンディ全量の50〜60重量%である。このように構成することにより、第1層〜第4層の中心層への形成が容易になり、第1層〜第4層が中心層に対して長期にわたって安定的に接着し、第1層〜第4層から中心層への食感や風味の変化を十分に楽しむことができると共に、気温の上昇や吸湿等による変質が起こり難いグミキャンディとなる。
【0024】
第1層及び最も外側に形成される第4層は、糖及び糖アルコールの少なくとも1種を主成分とする糖衣層である。第1層は、例えば、中心層であるグミと第2層である油脂層との間に介在することにより、本発明のグミキャンディを口に入れた時に、中心層と第1〜第4層とが分離してバラバラになるのを抑制し、本発明のグミキャンディの食感の変化とそのおいしさを一体的に楽しむことができるようにする。また、第4層は、例えば、本発明のグミキャンディに噛み始めのパリッとした食感を付与する。
【0025】
第1層及び第4層に用いられる糖としては特に限定されず、例えば、ぶどう糖、果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖等の二糖類、ラフィノース、スタキオース等のオリゴ糖類、トレハロースのようにブドウ糖が還元末端同士で結合したもの等が挙げられる。また、糖アルコールとしては、単糖、単糖が2〜10分子結合したオリゴ糖、デキストリン、水飴、デンプン等を発酵や水素添加により還元して得られるものであれば特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、パラチニット、ラクチトール、直鎖オリゴ糖アルコール、分岐オリゴ糖アルコール、高糖化還元水飴、還元麦芽糖水飴、還元水飴等が挙げられる。糖及び糖アルコールはそれぞれ1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、少なくとも1種の糖と少なくとも1種の糖アルコールとを併用してもよい。
【0026】
上記した糖及び糖アルコールの中でも、本発明のグミキャンディに冷涼感と果汁感とを付与する観点からは、糖アルコールが好ましい。また、糖アルコールの中でも、溶解熱が吸熱で、かつ水に対する溶解度が大きいものがさらに好ましく、そのような糖アルコールとしては、キシリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びエリスリトールが挙げられる。
【0027】
キシリトールは、D−キシロースの還元により得られるペントースで、白色の結晶で砂糖と同等の甘みを有する。天然にも、例えばプラム、イチゴ、カリフラワーなど、多くの果物や野菜に含まれる。その水への溶解熱は−34.8cal/g(吸熱)である。
ソルビトールは、甘味度が50、水への溶解熱が−28.0cal/g(吸熱)のヘキソースであり、初めて抽出されたバラ科ナナカマド(Sorbus acuparia)に由来し、多くの果実、海藻類に含まれる。
マンニトールも、イチジク、オリーブ等に含まれている、水への溶解熱が−30.0cal/g(吸熱)のヘキソースである。
エリスリトールは、水への溶解熱が−43.0cal/g(吸熱)のテトロースである。
マルチトールは、麦芽の主成分であるDマルトースの触媒を用いた水素添加によって得られる2糖アルコールで、水への溶解熱は−16.3cal/g(吸熱)である。
また、これらの糖アルコールの37℃における水100mlに対する溶解度は、キシリトールが256g、ソルビトールが334g、マンニトールが32g、エリスリトールが81g、またマルチトールは201gである。
【0028】
これらの糖アルコールのうち、グミキャンディ製造時の作業性ではマルチトールが良好であり、清涼感ではソルビトールとキシリトールが優れており、砂糖に一番近い甘みを有する点ではキシリトールが良好である。マンニトールはソルビトールより溶解熱(吸熱)は高いものの、溶解度が低い為、清涼感に劣るおそれがある。従って、グミキャンディの食感や風味等の設定に応じて、これらの糖アルコールを使い分けることが好ましい。
【0029】
第1層及び第4層は、共に、糖アルコールを主成分とする糖衣層とすることがより好ましい。これにより、本発明のグミキャンディに、糖アルコールによる、より一層の冷涼感と果汁感とを付与することができ、また糖味の違和感もない。また、糖アルコールを主成分とする第4層を構成する場合、第4層の水分含有量は好ましくは5重量%未満であり、より好ましくは1重量%未満である。第4層の水分含有量が5重量%以上になると、良好な冷涼感が得られ難いおそれがある。
【0030】
また、第1層及び第4層は、糖及び糖アルコールの少なくとも1種と共に、ゼラチン、アラビアガム等の食品用結着材を含んでいてもよい。これにより、第1層の中心層及び第2層への接着性、及び第4層の第3層への接着性を向上させることができる。
【0031】
第1層の外側に形成される第2層は、油脂を主成分とし、脂溶性機能性成分(栄養成分)を含有する油脂層である。第2層は、例えば、その外側に形成されるビタミンCを主成分とする被覆層である第3層と協働して、脂溶性機能性成分の酸化変性を抑制して安定に保持する機能を有する。この機能は、水分含有量が比較的多いグミが中心層として存在している状態でも十分に発揮される。更に、第2層は、例えば、中心層であるグミと特に第4層である糖衣層との間の水分バリアとして働いたり、第4層の外部からの吸湿を抑制したりするといった補助的な機能を有している。即ち、第2層により、中心層であるグミから第4層への水分移行が抑制され、更に第4層の外部からの吸湿が抑制されるので、第4層の糖衣層としてのパリッとした心地よい食感が維持され、特に第4層が糖アルコールを含む場合には、冷涼感や果汁感を際立たせることができる。
【0032】
第2層で使用出来る油脂は、特に限定されるものではないが、例えば、チョコレート原料のカカオ脂やパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、サル脂などの各種植物性油脂、これらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1または2以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。これらの油脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0033】
これらの油脂の中でも、融点が24℃〜58℃の油脂が好ましく、融点が35℃〜45℃の油脂がより好ましい。また、使用する季節に合わせて2種類の融点の違う油脂を任意に混ぜて夏場は融点を高めに、冬場は融点を低めに設定することも可能である。外気温が高い夏場には、融点が24℃未満では外気温が上がった時に油脂が溶け、第4層から外に滲み出すので、見た目も食感も損なうおそれがある。また融点が58℃を超えると、口溶けが非常に悪くなり、蝋(ろう)のような食感になってしまうおそれがある。
【0034】
油脂層に添加される脂溶性機能性成分としては特に限定されず、還元型コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK等のビタミン類、リノール酸、リノレイン酸、カロチン、その他の脂溶性機能性成分が挙げられる。脂溶性機能性成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できるが、その中でも、高機能性といった観点から、還元型コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、及びエイコサペンタエン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、還元型コエンザイムQ10が更に好ましい。
【0035】
本発明で使用する還元型コエンザイムQ10とは、特開平10−109933号公報等に記載されているように、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法より、酸化型コエンザイムQ10と還元型コエンザイムQ10の混合物を得た後、クロマトグラフィーをもちいて、流出液中の還元型コエンザイムQ10区分を濃縮する方法等により製造される。この場合には、上記還元型コエンザイムQ10中に残存する酸化型コエンザイムQ10を、水酸化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム等の一般的な還元剤を用いて還元した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行ったものを使用してもよい。
また、既存の高純度コエンザイムQ10に上記還元剤を作用させて得た還元型コエンザイムQ10も使用できる。好ましくは既存の高純度コエンザイムQ10等の酸化型コエンザイムQ10、或いは酸化型コエンザイムQ10と還元型コエンザイムQ10の混合物を、アスコルビン酸塩類を用いて還元することにより得られたものも使用できる。
【0036】
なお、本発明者らの知見によれば、第2層を構成する油脂として、所定の融点(24℃〜58℃)を有する油脂を用いる場合には、例えば、脂溶性機能性成分に由来する臭みがマスキングされて、不快な匂いを感じなくなり、嗜好を損なうことがない。油脂の融点が高くなるほど、本発明のグミキャンディをなめたときの口溶けは悪くなるおそれがあるが、本発明のグミキャンディは、グミを糖衣した噛むタイプのグミキャンディであることから、油脂の融点が多少高めでも、口溶けに与える影響は少ない。そして、本発明のグミキャンディにおいては、前記のように比較的融点が高めの油脂に脂溶性機能性成分を含ませておくことで、該機能性成分のグミキャンディ表面(第4層表面)への溶出が抑制され、不快な匂いを感じさせないものと思われる。
【0037】
第2層における脂溶性機能性成分の含有量は特に限定されず、脂溶性機能性成分の種類、脂溶性機能性成分と組み合わされる油脂の種類等に応じて適宜選択されるが、第2層を構成する油脂100重量部に対して、好ましくは20〜60重量部、さらに好ましくは30〜50重量部である。脂溶性機能性成分の含有量が20重量部未満の場合は、該機能性成分の機能が十分に発現しないおそれがある。一方、脂溶性機能性成分の含有量が60重量部を超えると、該機能性成分の酸化が十分に抑制されないおそれがあると共に、該機能性成分の臭いが強くなり、グミキャンディの風味に影響を及ぼすおそれがある。
【0038】
第2層の外側に形成される第3層は、ビタミンCを主成分とする被覆層である。本発明において第3層に用いられるビタミンCは、一般的に知られているビタミンCを用いればよく、粉末果汁等のビタミンCを多量に含有するものを用いてもよい。これらは単独でも2種以上併用してもよい。ビタミンCの粒度に特に制限はないが、325メッシュパス以下のものを使用することが望ましい。
【0039】
また、第3層である被覆層は、ビタミンCを含有する糖衣層であることが好ましく、ビタミンCと共に糖アルコールを含有する糖衣層であることがさらに好ましい。これにより、第3層による脂溶性機能性成分の酸化を抑制する効果が一層顕著になる。第3層に用いられる糖アルコールとしては、第1層及び第4層で用いられる糖アルコールの1種以上を使用でき、その中でも、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、及びエリスリトールが好ましい。
【0040】
ビタミンCの使用量は特に限定されないが、脂溶性機能性成分100重量部に対して、好ましくは50〜110重量部、さらに好ましくは70〜90重量部である。ビタミンCの使用量が50重量部未満では、第3層を設けても、脂溶性機能性成分の酸化を抑制する効果が不十分になるおそれがある。一方、ビタミンCの使用量が110重量部を超えても、第3層を設けることによる脂溶性機能性成分の酸化を抑制する効果は得られるものの、本発明のグミキャンディの酸味が強くなり過ぎ、風味が損なわれるおそれがある。
【0041】
更に、第1層〜第4層には、香気香味を付与するために香料や調味料、酸味料、甘味料、ゼラチン、アラビアガム等の食品用結着剤、その他添加物を添加することもできる。場合によっては最外層に着色料を添加した態様も本発明の範囲である。また、シェラック等の光沢剤を用いて、常法に従って表面に艶出しを行った態様も本発明の範囲である。
【0042】
以上のような、第1層として糖衣層、第2層として油脂層、更に第3層としてビタミンCを含む被覆層、第4層として糖衣層を、中心層としてのグミの外側に順次形成してなる本発明のグミキャンディにおいては、第1層〜第4層全体における、第1層の糖衣層と、第4層の糖衣層との合計重量割合が第1層〜第4層全体の10重量%〜80重量%の時、目的である冷涼感と果汁感とパリッとした食感に加えて、油脂層に脂溶性機能性成分を添加しても、添加した成分の不快な匂いを感じさせない、高機能で美味しいグミキャンディが得られ易い。
【0043】
本発明のグミキャンディは、例えば、次のようにして得ることができる。先ず糖衣パンの回転ドラム内に、中心層として、例えば、長さ12mm、幅8mm、高さ8mm、単重0.4g程度のグミを入れ、ドラムを回転させながら、送風などを行い、糖衣シロップや必要に応じて糖粉末を掛けてゆき、第1層を厚み0.01〜0.2mm、例えば0.1mmに形成する。次に、冷風を送りながら、湯煎等で溶かし、還元型コエンザイムQ10やその他の脂溶性機能性成分などを入れた油脂をかけてゆき、第2層を厚み0.5〜0.7mm、例えば0.6mmに形成する。次いで、送風を行いながら糖衣シロップを用いてビタミンCと必要に応じてその他酸味料や香料粉末を掛けていき、第3層を厚み0.01〜0.2mm、例えば0.1mmに形成する。最後にまた、送風を行いながら糖衣シロップ、アラビアガム、水などからなる調製溶液や必要に応じて糖粉末を掛けてゆき、第4層を厚み0.3〜0.5mm、例えば0.4mmに形成する。また、前記第4層の調製溶液には、色素、香料などの所望の成分を添加することが出来る。こうして、本発明のグミキャンディが得られる。
【実施例】
【0044】
次に、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。例えば、糖アルコールとしては、作業性の良いマルチトールを使用しているが、それより溶解熱(吸熱)が高いキシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトールなど、他の糖アルコールを用いても同等以上の品質のグミキャンディが得られることはいうまでもない。
以下において、「部」及び「%」は特に断らない限りいずれも重量基準である。
【0045】
本実施例においては、以下のようにして、中心層のグミを得た。
(1)ゼラチン(250ブルーム)70部と水98部とを混ぜ、ゼラチンを膨潤させた後、温水バスにて60℃に保ち、ゆるく撹拌することで、ゼラチン溶液を調製した。
(2)砂糖340部、水飴340部、異性化糖120部と前記(1)で得られたゼラチン溶液とを混合し、1.5気圧の圧力をかけながら95℃に昇温し、200Torr下で脱泡を行った後、クエン酸18部、いちご果汁48部、及びいちご香料2部を加え、糖度を77%に調整し、グミ溶液を得た。
(3)前記(2)で得られたグミ溶液を、長さ12mm、幅8mm、高さ8mmのコーンスターチ型に0.44g充填し、室温で糖度85%になるまで乾燥させ、単量0.4gのいちご味のグミを得た。このグミの水分含有量は約15%であった。
【0046】
また、本実施例においては、糖衣層又は油脂層の原料として、以下の(A)〜(G)の7種類の原料を用いた。
(A)シェラック(商品名「ラックグレーズ32E」:日本シェラック工業(株)製)。
(B)下掛けシロップ:粉末マルチトール(商品名「レシス」:東和化成工業(株)製)72gに、還元水飴1.5g、ゼラチン1gを水1.5gに溶解したもの、及びアラビアガム4gを水12gに溶解したものを添加し、これに水20gを加え、常温に保持した。
【0047】
(C)油脂調製品:融点45℃の植物性油脂(商品名「メルバ45」:不二製油(株)製)100gに、還元型コエンザイムQ10(商品名「カネカQH」:(株)カネカ製)1.0g、いちご香料3.0gを添加し、50℃で保温しておいた。
(D)中掛けシロップ:粉末マルチトール(レシス)72gに、還元水飴1.5gとアラビアガム2gを水6.0gに溶解したものを加え、さらに水23gを加え溶解し、さらに、いちご香料4.0gを加え、30℃で保温しておいた。
【0048】
(E)外掛けシロップ:粉末マルチトール(レシス)72gに、還元水飴1.5gとアラビアガム2gを水6.0gに溶解したものを加え、さらに水23gを加えて溶解し、いちご香料4.0gを添加し、更に赤ビート色素(商品名「サンビートLF」:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)4gを添加し、これを、30℃で保温しておいた。
(F)仕上げシロップ:粉末マルチトール(レシス)70gを水30gに溶解させた。
【0049】
(G)機能性成分入り下掛けシロップ:粉末マルチトール(レシス)72gに、還元水飴1.5g、ゼラチン1gを水1.5gに溶解したもの、及びアラビアガム4gを水12gに溶解したものを添加し、これに還元型コエンザイムQ10を1.6gと水20gを入れ、常温に保持しておいた。
【0050】
なお、以下の実施例、比較例の記載において、送風は22℃〜25℃で湿度未調整であり、冷風は15℃で湿度未調整であり、また、ドライエアーは温度20℃で湿度35%とした。
【0051】
(実施例1)
まず、オニオン型糖衣パンに、中心層として、前記単重0.4gのいちご味のグミ100gを投入し、温度20℃、湿度35%のドライエアーをたえず送りながら、(B)下掛けシロップ12.0gと粉末マルチトール(レシス)14.0gを数回に分けて交互に掛け、第1層とした。第1層の厚みは約0.1mmであった。
これに、40℃〜50℃で保温しておいた、(C)油脂調整品60.0gを15℃の冷風を絶えず入れながら数回に分けて掛け固めるという工程を繰り返し、第2層とした。第2層の厚みは約0.6mmであった。
【0052】
次いで、(B)下掛けシロップ12.0g、及びビタミンC14.0gの混合物を掛け、第3層とした。第3層の厚みは約0.1mmであった。
その後、ドライエアーをたえず送りながら、(D)中掛けシロップ12.0gを数回に分けて掛け、十分乾燥させた。これに、30℃で保温しておいた、(E)外掛けシロップ8.0gを同様に数回に分けて掛け、最後に、(F)仕上げシロップ0.5gを掛け、十分乾燥させ、第4層とし、目的の還元型コエンザイムQ10を含有するグミキャンディを得た。なお、第4層の水分含有量は1%であり、また、その厚みは約0.4mmであった。得られたグミキャンディは、還元型コエンザイムQ10に由来する臭いを殆ど感じることなく、糖衣のパリッとした食感、糖衣とグミとの食感の変化や、冷涼感、果汁感等を含めた風味が良好な糖衣物であった。
【0053】
(実施例2)
(C)油脂調整品60.0gに於いて、還元型コエンザイムQ10 1.0gに代えてDHA 0.4gを用いる以外は、実施例1と同様にして、DHAを含有するグミキャンディを得た。得られたグミキャンディは、DHAの不快な臭いが気にならない程度であり、糖衣のパリッとした食感、糖衣とグミとの食感の変化や、冷涼感、果汁感等を含めた風味が良好な糖衣物であった。
【0054】
(実施例3)
(C)油脂調整品60.0gに於いて、還元型コエンザイムQ10 1.0gに代えてEPA 0.4gを用いる以外は、実施例1と同様にして、EPAを含有するグミキャンディを得た。得られたグミキャンディは、EPAの不快な臭いが気にならない程度であり、糖衣のパリッとした食感、糖衣とグミとの食感の変化や、冷涼感、果汁感等を含めた風味が良好な糖衣物であった。
【0055】
(比較例1)
まず、オニオン型糖衣パンに、中心層として、単重0.4gのいちご味のグミ100gを投入し、温度20℃、湿度35%のドライエアーを絶えず送りながら、(B)下掛けシロップ12.0gと粉末マルチトール(レシス)14.0gとを交互に掛け第1層とした。これに、40℃〜50℃で保温しておいた、(C)油脂調整品60.0gを冷風を絶えず入れながら数回に分けて掛け固めるという工程を繰り返し、第2層とした。
【0056】
次いで、ドライエアーを絶えず送りながら、(C)下掛けシロップ12.0gと粉末マルチトール(レシス)14.0gとを掛け、第3層とした。その後、ドライエアーを絶えず送りながら、(D)中掛けシロップ12.0gを数回に分けて掛け、十分乾燥させた。これに、30℃で保温しておいた、(E)外掛けシロップ8.0gを同様に数回に分けて掛け、最後に、(F)仕上げシロップ0.5gを掛け、十分乾燥させ、第4層とし、第3層にビタミンCを含まない、還元型コエンザイムQ10を含有するグミキャンディを得た。
【0057】
(比較例2)
まず、オニオン型糖衣パンに、中心層として、前記単重0.4gのいちご味のグミ100gを投入し、ドライエアーを絶えず送りながら、(B)下掛けシロップ12.0gと粉末マルチトール(レシス)14.0gを交互に掛け、第1層とした。
これに、40℃〜50℃で保温しておいた、(G)機能性成分入り下掛けシロップを28.0gと粉末マルチトール(レシス)32.0gとを交互に掛け、第2層とした。
【0058】
次いで、ドライエアーを絶えず送りながら、(B)下掛けシロップ12.0gとビタミンC14.0gを掛け、第3層とした。
次に、ドライエアーを絶えず送りながら、(D)中掛けシロップ12.0gを数回に分けて掛け、十分乾燥させた。これに、30℃で保温しておいた、(E)外掛けシロップ8.0gを同様に数回に分けて掛け、最後に、(F)仕上げシロップ0.5gを掛け、十分乾燥させ、第4層とし、油脂層が無い、還元型コエンザイムQ10を含むグミキャンディを得た。
【0059】
(試験例1)
実施例1〜3、及び比較例1〜2で得られたグミキャンディを、温度20℃、相対湿度30%に調整した環境下で30日保存し、実施例1及び比較例1〜2に関しては還元型コエンザイムQ10の残存率(%)をHPLC分析により算出し、還元型コエンザイムQ10の残存率95%以上を「○(安定)」、残存率95%未満を「×(不安定)」として評価し、実施例2及び実施例3に関しては、DHA及びEPAの不快味が酸化により強くなっていないことを、酸化されていないことの指標とした。また、その際の食感及び風味を下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
【0060】
(食感及び風味の評価基準)
○:糖衣がパリっとしており、冷涼感や果汁感を感じる。
×:糖衣が湿気ており、冷涼感や果汁感は感じない。
【0061】
【表1】
【0062】
表1から、実施例1のように水分含有量が15%であるグミが中心層として存在していても、油脂層中に還元型コエンザイムQ10を存在させると共に、油脂層の外側にビタミンCを含有する被覆層を形成することにより、還元型コエンザイムQ10が安定に保持されることが明らかである。更に、本発明のように構成することにより、食感や風味の点でも耐久性に優れたグミキャンディが得られることが明らかである。
【0063】
また、上記30日保存後の実施例2及び3のグミキャンディを試食したところ、DHA及びEPAの不快味は気にならない程度であり、水分含有量が15%であるグミが中心層として存在していても、これらが酸化せずに安定に存在していることが判った。また、上記30日保存後の実施例2及び3のグミキャンディは、糖衣のパリッとした食感、糖衣とグミとによる食感の変化、風味等の点では、保存前とほとんど変わらない良好なものであった。