(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理部は、前記利得のより高い一部の前記静止画の前記動画像からの抽出と前記静止画蓄積部への記憶では、前記利得が一定値を超える前記静止画を前記動画像から抽出して前記静止画蓄積部に記憶する
請求項1乃至3の何れかに記載の静止画像提供装置
前記画像処理部は、前記利得のより高い一部の前記静止画の前記動画像からの抽出と前記静止画蓄積部への記憶では、前記算出した利得を、前記静止画蓄積部に既に蓄積されている前記静止画のうちの最小の前記利得と比較し、前記算出した利得が前記最小の前記利得より大きければ、前記算出した利得の前記静止画を前記静止画蓄積部に記憶すると共に前記最小の利得の前記静止画を前記静止画蓄積部から削除する
請求項1乃至3の何れかに記載の静止画像提供装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャッシュ容量の制限により、動画像から抽出した静止画の全てをキャッシュに保存することは困難である。そのため、動画像から抽出した複数の静止画の中からキャッシュに保存する静止画を選択する必要がある。このような選択に関し、本発明に関連する上記関連技術では、以下のような方法を採用している。
【0006】
最新バージョンの画像処理プログラムを使用して動画像から抽出した静止画をキャッシュに保存する。要求元から最新バージョンの画像処理プログラムを使用して抽出した静止画が要求された場合には、キャッシュから静止画を読み出して要求元へ送信する。要求元から最新バージョン以外のバージョンの画像処理プログラムを使用して抽出した静止画が要求された場合、該当するバージョンの画像処理プログラムを使用して動画像から静止画を抽出し、要求元へ送信する。このとき、要求元へ送信した静止画をキャッシュに保存する。また、キャッシュ内のデータ量が予め定められた一定量を超えた時点で、キャッシュへの保存時刻が最も早い静止画をキャッシュから消去する。
【0007】
しかしながら、本発明に関連する上記関連技術では、動画像から静止画を抽出するコストを考慮せずに保存する静止画を決定しているため、動画像から抽出する複数の静止画のうち、抽出コストのより高い静止画がキャッシュされていないケースが発生する。換言すれば、保存されている静止画以外の静止画はその抽出コストが高いケースが発生する。このため、保存されている静止画以外の静止画が要求された際に当該静止画を動画像から高速かつ低負荷で抽出するのが困難になり、応答時間が悪化する。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題、すなわち保存してある静止画以外の静止画が要求された際に当該静止画を動画像から高速かつ低負荷で抽出するのが困難である、という課題を解決する静止画像抽出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る静止画像抽出装置は、
動画像を取得する動画取得部と、
静止画を記憶する静止画蓄積部と、
上記動画像から上記静止画を抽出するのに要するコストに基づいて予め保存することにより得られる利得を算出し、上記動画像を構成する複数の静止画の中から上記利得のより高い一部の上記静止画を抽出して上記静止画蓄積部に記憶する画像処理部と、
要求元から要求された静止画を上記静止画蓄積部から読み出して上記要求元へ送信し、上記要求元から要求された上記静止画が上記静止画蓄積部に記憶されていなければ、上記要求元から要求された上記静止画を上記動画取得部により取得した上記動画像から抽出して上記要求元へ送信する要求処理部と
を有する。
【0010】
本発明の他の形態に係る静止画像提供方法は、
静止画を記憶する静止画蓄積部を有する静止画像提供装置が実行する静止画像提供方法であって、
動画像を取得し、上記動画像から上記静止画を抽出するのに要するコストに基づいて予め保存することにより得られる利得を算出し、上記動画像を構成する複数の静止画の中から上記利得のより高い一部の上記静止画を上記動画像から抽出して上記静止画蓄積部に記憶し、
要求元から要求された静止画を上記静止画蓄積部から読み出して上記要求元へ送信し、上記要求元から要求された上記静止画が上記静止画蓄積部に記憶されていなければ、上記要求元から要求された上記静止画を含む上記動画像から上記静止画を抽出して上記要求元へ送信する。
【0011】
本発明の他の形態に係るプログラムは、
コンピュータを、
動画像を取得する動画取得部と、
静止画を記憶する静止画蓄積部と、
上記動画像から上記静止画を抽出するのに要するコストに基づいて予め保存することにより得られる利得を算出し、上記動画像を構成する複数の静止画の中から上記利得のより高い一部の上記静止画を上記動画像から抽出して上記静止画蓄積部に記憶する画像処理部と、
要求元から要求された静止画を上記静止画蓄積部から読み出して上記要求元へ送信し、上記要求元から要求された上記静止画が上記静止画蓄積部に記憶されていなければ、上記要求元から要求された上記静止画を上記動画取得部により取得した上記動画像から抽出して上記要求元へ送信する要求処理部と
して機能させる。
【0012】
本発明の他の形態に係る静止画像提供システムは、
本発明の上記形態に係る静止画像提供装置と、
上記動画像を記憶する動画蓄積部と、
上記動画蓄積部に記憶された上記動画像を上記静止画像提供装置へ提供する動画出力部と、
上記静止画像提供装置に対して静止画を要求する静止画要求部と
を有する。
【0013】
本発明の他の形態に係る静止画像提供方法は、
動画蓄積装置と、動画出力装置と、静止画要求装置と、静止画蓄積部を有する静止画像提供装置とを有する静止画像提供システムが実行する静止画像提供方法であって、
上記動画出力装置が、上記動画蓄積装置に記憶された動画像を上記静止画像提供装置へ送信し、
上記静止画像提供装置が、上記動画出力装置から上記動画像を取得し、上記動画像から静止画を抽出するのに要するコストに基づいて予め保存することにより得られる利得を算出し、上記動画像を構成する複数の静止画の中から上記利得のより高い一部の上記静止画を上記動画像から抽出して上記静止画蓄積部に記憶し、
上記静止画要求装置が、上記静止画像提供装置に対して上記静止画を要求し、
上記静止画像提供装置が、上記静止画要求装置から要求された上記静止画を上記静止画蓄積部から読み出して上記要求元へ送信し、上記静止画要求装置から要求された上記静止画が上記静止画蓄積部に記憶されていなければ、上記静止画要求装置から要求された上記静止画を含む上記動画像を上記動画出力装置を通じて上記動画蓄積装置から取得し、該取得した動画像から上記静止画を抽出して上記静止画要求装置へ送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述した構成を有するため、保存してある静止画以外の静止画が要求された際に当該静止画を動画像から高速かつ低負荷で抽出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態に係る静止画像提供装置100は、動画取得部101と静止画蓄積部102と画像処理部103と要求処理部104とを有する。
【0017】
動画取得部101は、静止画像提供装置100の外部から動画像を取得する機能を有する。例えば、動画取得部101は、動画像を記憶する動画蓄積部110から動画像を取得してよい。また動画取得部101は、ネットワークを通じて外部の装置から動画像を取得してよい。
【0018】
静止画蓄積部102は、静止画を記憶する機能を有する。静止画蓄積部102は、例えばハードディスク装置や半導体メモリなどの記憶装置にデータを記憶して管理するファイル装置によって構成される。
【0019】
画像処理部103は、動画取得部101により取得された動画像から静止画を抽出し、静止画蓄積部102に記憶する機能を有する。画像処理部103は、静止画蓄積部102への静止画の記憶では、動画像から静止画を抽出するのに要するコストに基づいて予め保存することにより得られる利得(以下、蓄積利得と記す)を算出し、動画像から抽出した複数の静止画の中から上記利得のより高い一部の静止画を抽出して、静止画蓄積部102に記憶する。
【0020】
動画像から静止画を抽出するのに要するコストの算出方法は、任意である。例えば以下のような方法を使用してよい。
【0021】
一つの方法として、静止画の動画中における格納形態に基づく方法がある。すなわち、動画像は静止画が連続したものであり、連続する静止画間の差分は小さい。この性質を利用して、一般に動画像を構成するほとんどの静止画には近傍の静止画との差分情報を利用した情報圧縮が施されている。従って、動画像から特定の静止画を抽出するには、対象とする静止画の情報だけでなく近傍の静止画の情報を抽出する必要がある。このため、必要とする近傍の静止画の数の大小によって、動画中の静止画の抽出コストを見積もることが可能である。
【0022】
別の方法として、実際に動画から各静止画を抽出し、その抽出に要した時間を計測する方法がある。
【0023】
また、静止画の蓄積利得を算出する方法は、任意である。例えば、静止画の蓄積利得は、静止画の抽出コストそのものであってもよい。あるいは、静止画の蓄積利得は、静止画の抽出コストと静止画の抽出コスト以外の何からの指標値とに基づいて算出してよい。
【0024】
要求処理部104は、要求元から要求された静止画を静止画蓄積部102から読み出して要求元へ送信する機能を有する。また要求処理部104は、要求元から要求された静止画が静止画蓄積部102に記憶されていなければ、要求元から要求された静止画を動画取得部101により取得した動画像から抽出し、要求元へ送信する機能を有する。要求元は、例えば静止画像提供装置100の外部に存在する端末装置120であってよい。また要求元から要求処理部104に送られる要求は、動画像を一意に特定する動画像識別子と、この動画像識別子によって特定される動画像内で静止画を一意に特定する静止画識別子とを有していてよい。
【0025】
静止画像提供装置100は、例えば、通信機能を有するコンピュータとプログラムとで実現することができる。プログラムは、磁気ディスク装置等の記憶媒体に記憶され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み込まれ、コンピュータの動作を制御することにより、コンピュータ上に動画取得部101、静止画蓄積部102、画像処理部103、および、要求処理部104として機能させる。
【0026】
次に本実施形態に係る静止画像提供装置100の動作を説明する。
【0027】
静止画像提供装置100は、要求元から要求を受け付けるのに先立って、
図2のフローチャートに示される処理を実行する。
【0028】
まず静止画像提供装置100の動画取得部101は、動画蓄積部110から動画を取得し、画像処理部103へ伝達する(ステップS101)。次に画像処理部103は、動画取得部101から受け取った動画の先頭の静止画に注目する(ステップS102)。
【0029】
次に画像処理部103は、注目中の静止画を動画から抽出するのに要するコストを算出する(ステップS103)。次に画像処理部103は、上記算出した抽出コストに基づいて、注目中の静止画の蓄積利得を算出する(ステップS104)。次に画像処理部103は、上記算出した蓄積利得に基づいて、注目中の静止画の蓄積可否を決定する(ステップS105)。上記蓄積可否の決定では、画像処理部103は、例えば、上記算出した蓄積利得を閾値と比較し、蓄積利得が閾値を超えていれば蓄積可、それ以外は蓄積不可とする。但し、そのような蓄積可否の決定に限定されず、他の任意の決定方法を使用してよい。
【0030】
次に画像処理部103は、注目中の静止画に対して蓄積可を決定すると(ステップS106でYES)、動画から抽出した注目中の静止画を静止画蓄積部102に記憶する(ステップS107)。その際、静止画蓄積部102の注目中の静止画には、それが含まれていた動画を一意に特定する動画像識別子と、動画内で注目中の静止画を一意に特定する静止画識別子との組が対応付けられる。他方、画像処理部103は、注目中の静止画に対して蓄積不可を決定すると(ステップS106でNO)、上記ステップS107の処理はスキップする。
【0031】
注目中の静止画に対する上述した処理を終えると、画像処理部103は、動画中の次の1つの静止画に注目を移す(ステップS108)。そして、画像処理部103は、次の注目中の静止画が存在していれば(ステップS109でNO)、ステップS103の処理の戻り、上述したステップS103〜S107の処理を繰り返す。他方、次の注目中の静止画が存在しなければ(ステップS109でYES)、すなわち動画の最後の静止画までステップS103〜S107の処理を完了していれば、
図2の処理を終了する。
【0032】
以上のような処理が行われることにより、動画像を構成する複数の静止画のうち、蓄積利得のより高い一部の静止画が静止画蓄積部102に記憶される。
【0033】
次に、要求元から静止画の要求があった際の静止画像提供装置100の動作を
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
端末120から静止画の要求が静止画像提供装置100に対して出されると、要求処理部104が、その要求を受信する(ステップS111)。次に、要求処理部104は、要求に含まれる動画識別子と静止画識別子との組に対応する静止画が静止画蓄積部102に記憶されているか否かを調査する(ステップS112)。次に、要求処理部104は、要求された静止画が蓄積されていれば(ステップS112でYES)、静止画蓄積部102から要求された静止画を読み出し(ステップS113)、この読み出した静止画を要求元へ送信する(ステップS116)。
【0035】
他方、要求処理部104は、要求された静止画が静止画蓄積部102に記憶されていなければ(ステップS112でNO)、まず、動画取得部101を通じて、要求された静止画を含む動画を取得する(ステップS114)。次に、要求処理部104は、上記取得した動画から要求された静止画を抽出する(ステップS115)。次に、動画取得部101は、上記抽出した静止画を要求元へ送信する(ステップS116)。
【0036】
このように本実施形態によれば、動画を構成する静止画が要求された際に当該静止画を要求元に速やかに提供することができる。その理由は、動画を構成する静止画の一部を予め抽出して静止画蓄積部に蓄積してあるため、要求された静止画が静止画蓄積部に蓄積されている場合には、静止画蓄積部から静止画を読み出せば済むためである。
【0037】
また本実施形態によれば、静止画蓄積部に予め保存してある静止画以外の静止画が要求された際に当該静止画を動画像から高速かつ低負荷で抽出することができる。その理由は、動画像から静止画を抽出するのに要するコストに基づいて予め保存することにより得られる利得を算出し、動画像を構成する複数の静止画の中から上記利得のより高い一部の静止画を選択し、静止画蓄積部102に記憶しているため、保存してある静止画以外の静止画の中に抽出コストが高い静止画が含まれる確率が小さくなるためである。
【0038】
[第2の実施形態]
<本実施形態の特徴>
本実施形態は、動画像から特定の静止画を抽出する装置で、動画の性質や内容から静止画を抽出する上で重要度の高い一部の静止画をあらかじめ抽出し保存しておくことにより高速かつ低負荷で静止画抽出を行なう。
【0039】
<本実施形態が解決しようとする課題>
映像監視、映像解析などの分野では、大量の動画の中からある特徴を持つ静止画を抽出する場合がある。たとえば、災害発生時に大量の屋外監視カメラ映像から災害発生時の災害現場の画像群を抽出したり、事件発生時に大量の街頭カメラ映像から事件現場に居た人物の写っている画像群を抽出したりするケースである。このようなケースでは、イベント発生時や監視者の操作時に動画像から大量の静止画を短時間に抽出する必要がある。
【0040】
動画像は静止画が連続したものであり、連続する静止画間の差分は小さい。この性質を利用して、一般に動画像を構成するほとんどの静止画には近傍の静止画との差分情報を利用した情報圧縮が施されている。このため、動画像から特定の静止画を抽出するには、対象とする静止画の情報だけでなく近傍の静止画の情報も抽出する必要があり、多くの計算機資源と時間を要する処理となっている。このような処理を短時間に大量に行なう必要がある場合、利用率の低い大量の計算機資源の用意が必要となることによるコストアップか、反応時間の悪化による操作性の低下が生じる。
【0041】
文書検索などの他の分野においては、同種の問題を解決するために、あらかじめ検索結果を生成し保存しておくといった手法がとられることが多い。しかしながら、一般に画像はサイズの大きい情報であり、動画に含まれる全ての静止画を保存するためには極めて容量の大きな記憶媒体が必要となるため、この手法を静止画に適用することは現実的には困難である。
【0042】
<本実施形態の概要>
本実施形態は、動画像から静止画を抽出する処理に大量の計算機資源が必要であるという課題を、静止画をあらかじめ生成・保存するという手段により解決する。また、静止画をあらかじめ保存するために極めて容量の大きな記憶媒体が必要となるという課題を、動画像の持つ性質を利用してあらかじめ保存することにより得られる利得が大きい静止画を選択し保存するという手段により解決する。
【0043】
本実施形態は、静止画提供部の中に、動画要求部、動画解析部、要求解析部、静止画蓄積部、静止画管理部を持つ。動画解析部は、計算機資源に余裕のある時間帯などの適切な状況において、動画要求部を通じて外部の動画を取得する。次に、動画像の先頭から順に静止画像を抽出し、静止画の内容、静止画の抽出に要する計算機資源や時間、既に静止画蓄積部に蓄積されている静止画との関連性などから、当該静止画をあらかじめ蓄積しておくことにより得られる利得(蓄積利得)の大きさを推定する。次に、動画解析部は、静止画管理部に当該静止画と静止画蓄積の利得の大きさを通知し、静止画管理部は、当該静止画を静止画蓄積部に蓄積すべきかを判定し、蓄積すべきと判断した場合は静止画蓄積部に当該静止画を蓄積し、必要に応じて静止画蓄積部に蓄積済みの静止画の削除などの管理を行なう。これにより、動画像から蓄積することにより得られる利得が大きい静止画のみが蓄積されるため、現実的な容量の記憶媒体により静止画像をあらかじめ蓄積することができる。
【0044】
また、外部より要求解析部に静止画要求があった際には、要求解析部は、静止画管理部に当該静止画の有無を問い合わせ、静止画管理部は、静止画蓄積部に当該静止画が存在した場合は静止画を要求解析部に提供し、要求解析部は外部に静止画を送信する。一方、静止画蓄積部に当該静止画が存在しなかった場合は、要求解析部は、当該静止画を抽出するために必要な動画像を動画要求部を通じて外部から入手し、動画解析部により当該静止画を抽出し外部に返信する。このとき、動画解析部は、静止画管理部から当該静止画抽出に利用可能な静止画を入手することにより動画解析に要する計算機資源や時間を低減する。さらに、ここで抽出された静止画は、静止画管理部により静止画蓄積部に蓄積すべきか否か判断の上、静止画蓄積部に蓄積される。これにより、外部から静止画要求があった際に静止画提供に要する計算機資源と時間を低減することができる。
【0045】
<本実施形態の構成>
図4を参照すると、本実施形態は、動画情報を外部に要求し動画を取得する動画要求部1−1、動画から静止画を抽出し、静止画を蓄積しておくことにより得られる利得を計算する動画解析部1−2、外部からの静止画要求に応じて静止画を提供する要求解析部1−3、静止画を蓄積しておくか否かを判断し静止画蓄積部に対し静止画の追加・変更・削除等を行う静止画管理部1−4、静止画を蓄積する静止画蓄積部1−5からなる静止画提供部1で構成される。また、静止画提供部1は、外部に、動画出力要求に応じて動画像を提供する動画出力部2−1、出力される動画を保持する動画蓄積部2−2、静止画を要求する静止画要求部3−1が存在することを前提とする。
【0046】
さらに、動画解析部1−2は、
図5のように、解析処理を管理する解析管理部1−2−1、要求解析部1−3からの静止画要求を受信する静止画要求受信部1−2−2、動画要求部1−1から動画を取得する動画取得部1−2−3、動画から1枚または複数枚の静止画を抽出する静止画抽出部1−2−4、静止画の蓄積利得を計算する蓄積利得計算部1−2−5、動画から特定の静止画を抽出するのに要するコストを計算する静止画抽出コスト計算部1−2−6、静止画の撮影品質や画像の内容から静止画の品質を推定する静止画品質計算部1−2−7、静止画が他の静止画とどの程度の差分があるか計算する静止画差分計算部1−2−8で構成される。
【0047】
また、静止画管理部1−4は、
図3のように、蓄積要求を受信する蓄積要求受信部1−4−1、静止画要求を受信し静止画蓄積部1−5に要求された静止画が存在していれば静止画を送信する静止画要求受信部1−4−2、静止画蓄積の可否や既存静止画の削除の要否を計算する蓄積可否計算部1−4−3、静止画の蓄積、削除を実行する蓄積実行部1−4−4で構成される。
【0048】
<本実施形態の動作>
次に、
図7〜
図8を参照して本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0049】
解析管理部1−2−1は、定期的に起動し計算機資源の余裕の有無、前回解析実施からの時間差、外部における新規動画蓄積または動画修正の有無などから、解析を行うべきか否かを判断する(ステップA−1)。たとえば、計算機資源の50%が使用されておらず、前回解析から24時間以上が経過しており、外部に新規動画蓄積や動画修正が確認された場合に解析を開始すると判断する。
【0050】
解析を開始すると判断した場合、解析管理部1−2−1は、動画取得部1−2−3を用いて動画出力部2−1から新規に蓄積されたか、修正された動画を取得する(ステップA−2)。解析管理部1−2−1は、取得した動画を静止画抽出部1−2−4に送信し、動画の先頭にあたる静止画を取得する(ステップA−3)。解析管理部1−2−1は、取得した静止画と、取得元の動画情報を蓄積利得計算部1−2−5に送信する。
【0051】
蓄積利得計算部1−2−5は、受信した情報を静止画抽出コスト計算部1−2−6、静止画品質計算部1−2−7、静止画差分計算部1−2−8に送信する。
【0052】
静止画抽出コスト計算部1−2−6は、受信した静止画の抽出元動画における格納形態を解析し、静止画抽出に要する計算機資源と時間を計算する(ステップA−4)。一般に、動画は、
図9に示すように、各画像を基準となる静止画からの差分の形で格納している。このため、基準となる画像から対象となる静止画を抽出するまでに計算すべき差分の数と、計算を実行する計算機の性能とから、静止画抽出に要する計算機資源と時間が計算される。
【0053】
図10は、ある動画から静止画を抽出するために要する計算機資源量の推定結果の一例をフレーム番号毎に示している。
図10の静止画抽出計算量の欄に記載される0.10、0.40、0.80といった数値が各フレームの抽出コストを表している。ここでは、より大きな数値はより高いコストであることを表している。
【0054】
静止画品質計算部1−2−7は、静止画の品質を推定し数値化する(ステップA−5)。たとえば、動画中の静止画の中には、焦点が合っていないもの、カメラの移動などにより画像がぶれているもの、光源との位置関係により対象判別が不可能なものなどが存在するが、これらを個別の静止画として抽出する必要性は低い。一方、正面の顔が判別できるもの、文字が判読できるもの、人物または物体の全体が含まれているものは個別の静止画として抽出する必要性が高い。静止画品質計算部1−2−7は、焦点、ぶれ、画像の極端な輝度分布、顔・文字・物体認識の可否から、静止画の品質を推定し数値化することができる。
【0055】
図11は、ある動画に含まれる静止画の焦点、ぶれの少なさ、輝度分布の大きさ、物体認識の可否を数値化し、その加重平均をとることにより静止画の品質を推定した結果の一例をフレーム番号毎に示している。
図11の焦点の欄に記載される0.5、1.0といった数値は、より大きな数値ほど焦点がより合っていることを表している。また、ぶれの少なさの欄に記載される0.1、0.3、1.0等の数値は、より大きな数値ほどぶれが少ないことを表している。また、輝度分布の大きさの欄に記載される0.5、1.0等の数値は、より大きな数値ほど大きな輝度分布であることを表している。また、物体認識の可否の欄に記載される0.0は物体認識不可を、1.0は物体認識可を表している。そして、最小値の欄に記載される0.3、0.5、1.0等の数値は、より大きな数値ほど静止画の品質がより良いことを表している。なお、
図11には、参考として、動画のズーム期間、フラッシュ期間、Panning期間、Centering期間を付加している。
【0056】
静止画差分計算部1−2−8は、対象静止画が他の静止画とどの程度の差分を有するか計算する(ステップA−6)。対象静止画を動画内の他の静止画と比較し、通常状態の静止画との差分、直前の静止画との差分が大きい静止画は、大きな差分を有する静止画と判定する。これらは、場面の転換や激しい動作、通常と異なる事象の発生を捉えている可能性が高く、静止画として抽出する必要性が高いと思われるためである。
【0057】
図12は、ある動画における静止画間の差分の計算結果の一例をフレーム番号毎に示している。
図12の静止画間差分量の欄に記載された0.50、0.70、1.00等の数値は、より大きな数値ほど差分量がより多いことを表している。
【0058】
蓄積利得判定部1−2−5は、静止画抽出コスト計算部1−2−6、静止画品質計算部1−2−7、静止画差分計算部1−2−8の計算結果を受けて、蓄積利得を算出する(ステップA−7)。
【0059】
図13は、ある動画における静止画の蓄積利得の算出結果の一例をフレーム番号毎に示している。
図13の蓄積利得の欄に記載される0.373、0.530、0.80等の数値は、より大きな数値ほど利得がより大きいことを表している。蓄積利得を、静止画抽出コスト計算部1−2−6、静止画品質計算部1−2−7、静止画差分計算部1−2−8の計算結果の加重平均値として計算する場合、抽出コストがより高いほど、品質がより良いほど、差分量がより多いほど、利得がより大きくなる。
【0060】
解析管理部1−2−1は、蓄積利得計算部1−2−5の計算結果と、対象静止画の属する動画情報、対象静止画を蓄積要求受信部1−4−1に送信する。
【0061】
蓄積可否判定部1−4−3は、蓄積要求受信部1−4−1が受信した情報と、既に静止画蓄積部1−5に蓄積済みの情報から、蓄積の可否を判定する(ステップA−8)。蓄積可否判定方法としては、静止画蓄積部1−5の蓄積容量に十分な余裕がある場合は、受信した静止画の蓄積利得が一定値を越えていたら蓄積可とし、十分な余裕がない場合は静止画蓄積部1−5に蓄積済みの静止画のうち、最も蓄積利得が小さい静止画の蓄積利得より、受信した静止画の蓄積利得が大きく、かつ受信した静止画との直前5枚程度の静止画が静止画蓄積部1−5に蓄積されていない場合、蓄積可とする方法が考えられる。たとえば、蓄積容量に十分な余裕がなく、静止画蓄積部1−5に蓄積済みの静止画のうち、最も蓄積利得が小さい静止画の蓄積利得が0.7であった場合、蓄積要求受信部1−4−1が受信した蓄積利得計算部1−2−5の計算結果が
図13の通りであったとすると、フレーム番号35が最初に条件を満たすため、蓄積可とする。蓄積可否判定部1−4−3が蓄積可と判定した場合、蓄積要求受信部1−4−1が受信した情報が静止画蓄積部1−5に蓄積される(ステップA−9)。このとき、静止画蓄積部1−5の蓄積容量に十分な余裕がない場合は(ステップA−10)、静止画蓄積部1−5に蓄積済みの静止画のうち、最も蓄積利得が小さい静止画を静止画蓄積部1−5から削除する(ステップA−11)。
【0062】
以上の一連の処理後、解析管理部1−2−1は、次の静止画の抽出を静止画抽出部1−2−4に要求し、同様の処理を静止画が抽出できなくなるまで繰り返す(ステップA−12、A−13)。
図13の場合、フレーム番号40、45、57、63、68、73、78、83、88が静止画蓄積部1−5に蓄積される。
【0063】
次に
図8を参照すると、要求解析部1−3が静止画要求部3−1から静止画要求を受け付けると(ステップB−1)、要求解析部1−3は、静止画要求受信部1−4−2に静止画要求を送信する。静止画要求送信部1−4−2は、要求された静止画が静止画蓄積部1−5に蓄積されているか否か検索する(ステップB−2)。要求された静止画が静止画蓄積部1−5に蓄積されている場合、静止画を静止画蓄積部1−5から抽出し、要求解析部1−3を通じて静止画要求部3−1に送信する(ステップB−3)。
【0064】
要求された静止画が静止画蓄積部1−5に蓄積されていない場合、要求解析部1−3は、静止画要求受信部1−2−2を通して解析管理部1−2−1に静止画要求を送信する。解析管理部1−2−1は、動画取得部1−2−3を通して要求された静止画を含む動画を取得する(ステップB−4)。解析管理部1−2−1は、取得した動画から静止画抽出部1−2−4を使用して要求された静止画を抽出し(ステップB−4)、静止画要求受信部1−2−2、要求解析部1−3を通して静止画要求部3−1に送信する(ステップB−5)。ここで、
図9を参照して既に説明したように、動画中の静止画の位置によっては、その静止画を抽出するには、対象とする静止画の近傍の静止画の情報が必要である。この近傍の静止画が静止画管理部1−4から入手できる場合、近傍静止画の情報を動画から抽出する代わりに静止画管理部1−4から入手することにより、動画解析に要する計算機資源や時間を低減する。
【0065】
<本実施形態の効果>
第1の効果は、動画像から静止画を抽出する際に高い確率であらかじめ蓄積されている静止画を利用できることによる、抽出所要時間を削減する効果である。
【0066】
第2の効果は、計算機資源に余裕のある状態であらかじめ動画像から静止画を抽出しておくことによる、計算機資源利用の平準化、用意すべき計算機資源量を低減する効果である。
【0067】
第3の効果は、1回の動画像取得から多数の静止画をあらかじめ蓄積しておくことによる、静止画像抽出効率を高める効果である。
【0068】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について、構成図を用いて説明する。
【0069】
図14に示すように、本実施形態は、
図4に示した第2の実施形態に、要求する可能性の高い静止画の情報を通知する要求情報通知部4−1が追加されている。要求する可能性の高い静止画とは、特定人物・物品が含まれている静止画像など、静止画要求部3−1が未来のある時点で要求する可能性の高い静止画である。
【0070】
さらに、本実施形態は、
図4に示した第2の実施形態に、類似静止画抽出部1−6が追加されている。類似静止画抽出部1−6は、抽出要求のあった静止画に最も近い時刻の静止画を静止画蓄積部105から抽出する。これにより、静止画要求時に動画を取得できない場合でも何らかの静止画を抽出することができる。
【0071】
また、本実施形態における動画解析部1−2は、
図15に示すように、静止画抽出コスト計算部1−2−6、静止画品質計算部1−2−7、静止画差分計算部1−2−8の代わりに、或いはそれらに加えて、静止画抽出規則保持部1−2−6、静止画要求情報取得部1−2−7を有する。
【0072】
静止画抽出規則保持部1−2−6は、ある静止画が蓄積された場合、同時刻の別の動画の静止画も蓄積するといった抽出規則を保持する。本実施形態において、蓄積利得計算部1−2−5は、要求時通知部4−1から静止画要求情報取得部1−2−7を通じて得られる要求される可能性の高い静止画に静止画抽出部1−2−4で抽出された静止画が該当する場合、蓄積利得が最大であると判断する。さらに、静止画抽出部1−2−4で抽出された静止画が静止画抽出規則保持部1−2−6に蓄積すべきとの規則が記述されていた場合、蓄積利得が最大であると判断する。一方、上記条件に合致しない場合は、蓄積利得が最小であると判断する。