特許第6232860号(P6232860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232860
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   F24F1/00 401E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-183185(P2013-183185)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-49025(P2015-49025A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】澤田 大貴
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/050600(WO,A1)
【文献】 特開2005−180826(JP,A)
【文献】 特開2007−248011(JP,A)
【文献】 特開2006−308217(JP,A)
【文献】 特開2003−083567(JP,A)
【文献】 特開2003−185177(JP,A)
【文献】 実開昭59−174523(JP,U)
【文献】 実開平04−097223(JP,U)
【文献】 特開昭64−067544(JP,A)
【文献】 特開平09−096424(JP,A)
【文献】 特開平09−112956(JP,A)
【文献】 特開平10−148354(JP,A)
【文献】 特開2009−156555(JP,A)
【文献】 特開2008−111601(JP,A)
【文献】 特開2010−101557(JP,A)
【文献】 特開平10−141704(JP,A)
【文献】 特開2005−024148(JP,A)
【文献】 特開2014−156993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め電源線と信号線が接続された端子台を取り付ける端子台取付部と、同端子台取付部の下方にアース板を取り付けるアース板取付部を備えた箱状の端子台ケースが前方に配置された電装品箱を収納する空気調和機において、
前記端子台ケースは、前記端子台取付部と左右いずれかの壁面との間と、前記左右いずれかの壁面に接して背面壁から立設し前記アース板の右端を係止する係止リブと前記アース板の背面側を支えるリブとの間と、アース板取付部と、前記アース板取付部の背面壁に設けた切欠部とに前記電源線を配線案内する電源線用通路を設けたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記電源線用通路に配線案内された前記電源線は、前記端子台と前記アース板の背面に位置することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に係り、特に室内ユニットにおける電装品箱内の電源線の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の室内機の電装品箱には、電源や制御信号を室内機内部や室外機へ供給する電源線を接続する端子台が、室内機の前面を覆う前面パネルの一部に設けた開口部に臨ませて配置されている。開口部には端子台を遮蔽するカバーが取り付けられている。端子台には端子台の前面に室外機側の電源線接続部があり、端子台の後面に室内機側の電源線接続部があり、端子台の後面側に電源線が引き込まれている。(特許文献1参照)。
【0003】
また図7に示す端子台100は、予め端子台100の後面の接続部に電源線101と信号線(図示なし)を接続した端子台100を電装品箱102の端子台ケース103へ取り付けたものである。そして端子台100を端子台ケース103へ取り付けたのち、電源線101を横方向へ引き出して電装品箱102に設けた配線ガイド104に這わせて下方に電源線101を引き出している。この電装品箱102を配置する空気調和機は熱交換器を流れる冷媒が可燃性冷媒ではないため、熱交換器や配管の接続部等から漏れ出したガス冷媒が電装品箱102内に充満したとしても、端子台100と端子の接続部から発生する火花により爆発する虞は少ないため、強固な防爆対応まではしていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−083567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、熱交換器を流れる冷媒に可燃性冷媒を採用する空気調和機がある。可燃性冷媒の空気調和機では、仮に熱交換器から漏れた可燃性冷媒のガス冷媒が爆発する濃度となっても、端子台と端子の接続部を遮蔽してガス冷媒に触れないようにする防爆手段が必要である。そのため、端子台を取り付ける端子台ケースは周囲を箱状に加工し開口面を板金で閉塞される。しかしながら、この端子台ケースでは従来例のように予め端子台の接続部に電源線と信号線を接続した端子台を端子台ケースに取り付けようとしても端子台が箱状に囲まれているため、従来例のように横方向から電源線を引き出すことができない。
【0006】
本発明は以上述べた問題点を解決し、周囲を箱状に囲まれた端子台ケースに、予め電源線を接続した端子台を取り付けるための電源線用通路を設けた電装品箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のように構成した本発明の空気調和機は、予め電源線と信号線が接続された端子台を取り付ける端子台取付部と、同端子台取付部の下方にアース板を取り付けるアース板取付部を備えた箱状の端子台ケースが前方に配置された電装品箱を収納する空気調和機において、
前記端子台ケースは、前記端子台取付部と左右いずれかの壁面との間と、前記左右いずれかの壁面に接して背面壁から立設し前記アース板の右端を係止する係止リブと前記アース板の背面側を支えるリブとの間と、アース板取付部と、前記アース板取付部の背面壁に設けた切欠部とに前記電源線を配線案内する電源線用通路を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、電源線用通路に配線案内された電源線は、端子台とアース板の背面に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明の空気調和機は、周囲が箱状の端子台ケースに電源線用通路を設けたことで、電源線用通路に電源線を配線案内したのち、端子台取付部に端子台を取り付けることができるので予め電源線を接続した端子台を取りつけることが可能となる。
また、電源線用通路に配線案内された電源線は、端子台とアース板の背面に位置して電源線が抜けることを防止することで折り曲がりにくい電源線が電源線用通路に収まることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による空気調和機の室内機の外観斜視図である。
図2】室内機の前面パネルと端子台を示す図である。
図3】電装品箱の分解図である
図4】電装品箱の端子台ケースに端子台と配線を取り付けた正面図である。
図5】電装品箱の端子台ケースの正面図である。
図6図4のA−A断面の斜視図である。
図7】従来の電装品箱の端子台ケースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明に係る空気調和機は、屋外に設置された室外機(図示なし)と、空調室内に設置される室内機1と冷媒配管を介して接続されて冷凍サイクルを構成する。室内機1は電源線を介して商用電源から電源の供給を受ける。また室内機1は室外機用配線で室内機側から室外機へ電源を供給するとともに室外機へ制御信号を送る。
【0013】
<室内機>
図1は空調室の天井近くの壁面に取り付けられる室内機1の外観図である。室内機1は横長の矩形状であり、筐体は背面以外を前面パネル11で覆われる。前面パネル11の上面と前面には吸込口12が設けられ、前面側の底面には吹出口13が設けられ、吹出口13には吹き出された空気の吹き出し方向を調整する上下風向板14が備わる。吹出口13の右横には人検知センサー15があり、人検知センサー15の上に表示部16を備える。
前面パネル11の前面には前面パネル11の左右両端と吹出口13の上端から吸込口12までを覆う開閉パネル17が着脱自在に取り付けられる。図1は室内機1が運転停止時の開閉パネル17の状態で、空気調和機が運転を開始すると開閉パネル17は上方に移動し吸込口12を開口する。
【0014】
尚、図1において室内機1の開閉パネル17のある面を前面とし、前面の対面を背面とし、吹出口13のある面を底面とし、底面の対面を上面とし、人検知センサー15の近傍の側面を右側面とし、右側面の対面を左側面として説明する。また、個々の部品においても、室内機1に取り付けた状態での方向で説明する。
【0015】
筐体の内部には筐体と平行に配置されたクロスフローファン型の送風ファンと送風ファンの周囲を囲む熱交換器とを備える。送風ファンは筐体の片側でファンモータに軸支される。ファンモータはケーシングに支えられる。ケーシングは吸込口12と吹出口13を結ぶ送風路を形成する。熱交換器はケーシングの左右端にそれぞれ固定される熱交換器取付板に固定される。(いずれも図示なし)。
室内機1はファンモータにより送風ファンが回転することで吸込口12から取り入れられた室内空気を、熱交換器で冷媒と熱交換して冷気または暖気に換え送風路を通過して吹出口13から上下風向板14で風向調整をして空調室に吹き出す。
【0016】
<電装品箱>
図2は前面パネル11の右側を示す図であり、図3は電装品箱2の分解図である。前面パネル11右側面側の内部には電装品箱2を備える。電装品箱2は熱交換器取付板(図示なし)に固定される。電装品箱2の左隣および下部には前述したファンモータと上下風向板14を駆動するためモータ(図示なし)が配置されている。よって、電装品箱2の横幅を広げると筐体の横幅が大きくなるため、電装品箱2は前面側の横幅を狭くし、奥行を前面パネル11の右側面に沿って背面側まで伸ばした形状となっている。電装品箱2の外郭は難燃性樹脂の電装ケース21で形成されている。電装ケース21の背面側は箱状となっており内部には空気調和機を制御する制御基板22が収納されている。電装ケース21の前面下部側には前述した表示部16の光源(図示なし)と人検知センサー15のセンサー部15aを取り付けて制御する表示基板23が取り付けられ、電装ケース21の前面側には、電源や制御信号を室内機1内部や室外機へ供給する電源線を接続する端子台3を取り付ける端子台ケース4が設けられている。端子台ケース4と表示基板23の間は室外機用配線が通過する室外機用配線通路28となる。
電装ケース21の制御基板22と端子台ケースの右側面側は、板金でなる燃焼防止板24を内側に備えた電装カバー25で隙間なく遮蔽され、電装部品から発火した場合に火が外部へ飛び移るのを防いでいる。
また、端子台ケース4の前面側は、板金でなる燃焼防止板26を内側に備えたコネクタカバー27で遮蔽され、端子台3から発火した場合に火が外部へ飛び移るのを防いでいる。
【0017】
空気調和機の設置時に室外機用配線51を端子台3に接続する作業や、メンテンナンス時に信号線を接続するために、前面パネル11の前面には縦長矩形に設けた開口部11aが設けられている。開口部11aからは、電装品箱2の端子台ケース4を臨むことができる。端子台ケース4に取り付けるコネクタカバー27は開口部11aから着脱することができる。
【0018】
<端子台ケース>
図4は端子台ケース4に端子台3を取り付けた図で、図5は端子台3を取り付ける前の端子台ケース4を正面から見た図である。また図6図4のA−A断面の斜視図である。端子台3は予め四角いケースの上端に電源線52と信号線53が接続されている。端子台3を収納する端子台ケース4は右壁面41と左壁面42と上壁面43と背面壁44と室外機用配線通路28の壁28aに囲まれた箱状であり、箱状の中央に端子台取付部45とその下にアース板取付部61とを備える。
端子台取付部45は上方が背面側へ傾斜した取付面45aと取付面45aの下端に設けた支持リブ45bとからなる。端子台3を端子台ケース4に取り付けるには支持リブ45bで端子台3を位置合わせして取付面45aにネジで固定する。端子台3は右壁面41と左壁面42の間の幅一杯となる横幅を有する。
【0019】
<信号線>
上面壁43と端子台取付部45の間の空間は電源線52と信号線53を引き回すための配線引き回し部46である。右壁面41は配線引き回し部46に接する面に図2に示す開口部47を備える。この開口部47は信号線53を配線引き回し部46から制御基板22に引き回す作業を行うための開口部47である。信号線53は配線引き回し部46から開口部47に接する背面壁44に設けた第1切欠部74を通り制御基板22に接続される。信号線53を接続した後は開口部47は電装カバー25で塞がれる。電装カバー25を取り付けた右壁面41は、左壁面42と略同じ高さおよび形状となり、電装カバー25を取り付けた右壁面41と左壁面42の上にコネクタカバー27が隙間なく嵌着される。これにより端子台3の周囲が覆われ、仮に熱交換器や配管の接続部等から漏れ出したガス冷媒が電装品箱2の周囲で爆発する濃度になったとしても発火源となる端子台3が覆われているので発火することを防ぐことができる。
【0020】
<電源線と電源線通路>
次に、予め端子台3に接続されている電源線52の配線通路について説明する。室内機1は空調室内から給電する。そのため電源線52と電源線52の一方の端にあるプラグ(図示なし)は図6に示すように電装品箱2の下部を通り室内機1の背面から外に引き出されるように組み立てられる。
さて、端子台ケース4には、図5に示すように右壁面41と端子台取付部45の間に幅ほぼ8mmの空間がある。これを第1通路71とする。
アース板取付部61にはアース板6が取付られる。アース板6は板金を加工したものであり、アース板取付部61にアース板6を取り付けた時にアース板6の前面と端子台取付部45の保持リブ45bの前面が面一となる。そのために、アース板6の背面側を支える複数のリブ62が背面壁44から立設している。リブ62の中で右端のリブ62aは、L字状であり端子台取付部45の下と左隣のリブ62bとに接合する。また左壁面42にはアース板6の左端を上から抑える係止爪42aが突出する。右壁面41に接し背面壁44からアース板6の右端を係止する係止用リブ411が水平方向に立設する。係止用リブ411の先端は係止爪412を備え、室外機用配線通路28から突出する係止爪28aとでアース板6を上から抑える。
右壁面41と背面壁44には、係止用リブ411が立設する位置の下部が切除されて形成された第2切欠部75がある。右壁面41とリブ62aと係止用リブ411および第2切欠部75までの間を第2通路72とする。そして、第1通路71と第2通路72が端子台ケース4の電源線用通路7となる。
【0021】
<配線案内>
次に、端子台3を電装品箱2に取り付け、電源線52を引き回す手順を説明する。尚、以下の説明では電源線52について説明するが、電源線52に限らず信号線53も含まれる場合、または信号線53だけの場合もある。
室内機1に電装品箱2を取り付ける前に電装品箱2に端子台3を取り付ける。予め端子台2には電源線52と信号線53が接続されている。まず、端子台3の上端に接続されている電源線52を、端子台3の背面側へ折り曲げる。折り曲げた電源線52を配線引き回し部46に合わせる。その後順に第1通路71と第2通路72に配線案内をする。
第2切欠部75の背面側に位置する壁には、第2切欠部75と高さを合わせた第3切欠部76があり、第3切欠部76の下方には電装ケース21の電源線出口(図示なし)があり、電源線52を順次配線案内して電装品箱2の下部を通り室内機1の背面から外に引き出す。
電装品箱2に電源線52が配線案内された後に端子台3を端子台取付部45の取付面45aに合わせて上からネジで固定する。端子台3は右壁面41と左壁面42の間に隙間なく収まる。その後にアース板6をアース板取付部61のリブ62の上に置き、係止爪28a、42a、412で押さえて固定する。電源線52は端子台3とアース板の下に位置して収まる。これにより、端子台3の背面側に電源線52を引き回す電源線用通路7を設けたことで、端子台3の両側を壁で囲まれても電源線52を引き回して取り付け、室内機1の外へ引き出すことができる。また、端子台ケース4のスペースが少なくてすみ室内機1を小型化できる。
【0022】
次に予め端子台2に接続されている信号線53を配線引き回し部46から開口部47に接する背面壁44に設けた第1切欠部74を通り制御基板22に接続する。また図6に示す表示基板23から引き出された配線54を第2切欠部75と第3切欠部76にある電源線52の上を通り制御基板22へ接続する。配線54まで接続が完了したのち電装ケース21に電装カバー25を被せて固定する。この後電装品箱2は室内機1に取り付けられ、電装品箱2は前面パネル11で覆われる。
電源線52は電装品箱2の底面に沿って背面側に渡され、室内機1の外に引き出される。一方、室外機用配線51は、室内機1の背面から取り入れられて、室外機用配線通路28から図2に示す前面パネル11の開口部11aから前面側に引き出される。取付作業者は、引き出された室外機用配線51をクランパ55で上方に向けて固定してアース板6の上を通り、端子台3の底面に接続する。室外機用配線51の接続が終了した端子台3をコネクタカバー27で覆い、開閉パネルを被せて作業は終了する。
【0023】
上記のように構成した室内機1は、周囲が箱状で右壁面41と左壁面42に挟まれた端子台ケース4に電源線用通路7を設け、電源線用通路7に電源線52を配線案内したのち、端子台取付部45に端子台3を設置することで、予め電源線52を取り付けた端子台3を取りつけることが可能となる。
また、電源線用通路7に配線案内された電源線52は、端子台3とアース板6の下に位置させることで折れ曲がりにくい電源線52を電源線用通路7に収めることが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1:室内機、11:前面パネル、17:開閉パネル
2:電装品箱、21:電装ケース、22:制御基板、25:電装カバー、27:コネクタカバー
3:端子台
4:端子台ケース、41:右壁面、42左壁面、44:背面壁、45:端子台取付部、46:配線引き回し部、411:係止用リブ、52:電源線、53:信号線
6:アース板、61:アース板取付部、リブ:62
7:電源線用通路、71:第1通路、72:第2通路、75:第2切欠部、76:第3切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7