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特許6232872交換機、交換機の制御方法及び交換機の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232872
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】交換機、交換機の制御方法及び交換機の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20171113BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H04M3/42 B
   H04M1/00 S
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-190154(P2013-190154)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-56827(P2015-56827A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 学
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−017357(JP,A)
【文献】 特開平11−187106(JP,A)
【文献】 特開2011−120147(JP,A)
【文献】 特開2003−032328(JP,A)
【文献】 特開2010−81468(JP,A)
【文献】 特開2004−56235(JP,A)
【文献】 特開平10−178498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話機が接続される電話機インタフェースと、
前記電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知すると、前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知する制御手段と、
を備え
前記第2の電話機への通知は、前記第2の電話機に対して前記電話番号へ発信させる指示である、交換機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記指示による前記第2の電話機から前記発信先への発信を不完了呼として処理する、請求項1に記載された交換機。
【請求項3】
複数の電話機が接続される電話機インタフェースと、
前記電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知すると、前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知する制御手段と、
を備え、
前記第2の電話機への通知は、前記第2の電話機に対する前記発信先の電話番号を通知した発信である、交換機。
【請求項4】
複数の電話機が接続される電話機インタフェースと、
前記電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知すると、前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1の電話機から前記発信先への発信に含まれる特殊番号に対応する識別子を、前記第2の電話機に対して前記発信先の電話番号とともに通知する、交換機。
【請求項5】
グループと、前記複数の電話機のうち前記グループに属する電話機との対応関係を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記グループに属する電話機からの発信を検知した場合には前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づいて前記第2の電話機を選択し、前記選択された前記第2の電話機に対して前記発信先の電話番号を通知する、
請求項1乃至4のいずれかに記載された交換機。
【請求項6】
複数の電話機に同時に着信させるマルチリンギング機能をさらに備える、請求項1乃至5のいずれかに記載された交換機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された交換機と、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた電話機とを備え、前記電話機が前記交換機に接続される、通信システム。
【請求項8】
接続された複数の電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知し、
前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知する、交換機の制御方法であって、
前記第2の電話機への通知は、前記第2の電話機に対して前記電話番号へ発信させる指示である、交換機の制御方法。
【請求項9】
接続された複数の電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知し、
前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知する、交換機の制御方法であって、
前記第2の電話機への通知は、前記第2の電話機に対する前記発信先の電話番号を通知した発信である、交換機の制御方法。
【請求項10】
接続された複数の電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知し、
前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知し、
前記第1の電話機から前記発信先への発信に含まれる特殊番号に対応する識別子を、前記第2の電話機に対して前記発信先の電話番号とともに通知する、
交換機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換機、交換機の制御方法及び交換機の制御プログラムに関し、特に、交換機に接続された電話機の発信先の情報を、他の電話機と共有させるための機能を備える交換機、交換機の制御方法及び交換機の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業において、ある職場に所属する従業員が、他の職場に駐在して業務を行うことがある。そして、複数の職場で業務を行う従業員のために、それぞれの職場に当該従業員に専用の電話機が用意される場合がある。用意された複数の電話機の発信履歴をそれぞれの電話機の間で共有させることで、ある電話機から発信した相手先が不在であった場合でも、従業員は、他の職場の自分の電話機から、不在であった相手先に再発信することができる。
【0003】
複数の電話機間で情報を共有する技術として、特許文献1には、複数の端末の情報がメモリ管理ノードに保持され、端末からの要求により保持された情報が端末に送信されるシステムが記載されている。また、特許文献2には、呼接続制御サーバに接続されたデータベースによって、複数の端末の発着信履歴が一元管理される情報共有システムが記載されている。すなわち、特許文献1、2には、メモリ管理ノードあるいはデータベースに他の電話機の発信履歴が蓄積される構成が記載されている。そして、端末は、メモリ管理ノードあるいはデータベースから発信履歴を取得することで、発信履歴を共有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−185614号公報([0015]段落、図1
【特許文献2】特開2004−056235号公報([0066]段落、図1図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載された技術では、複数の電話機で発信履歴を共有するためにメモリ管理ノードあるいはデータベースを設置する必要がある。加えて、電話機にも発信履歴を収集する機能が必要となる。すなわち、特許文献1、2に記載された技術には、複数の電話機で発信履歴を共有するために、発信履歴を管理するためのデータベース等の機器の設置が必要であるとともに、電話機にはメモリ管理ノードあるいはデータベースから発信履歴を収集する機能が必要となるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、データベースを構築したり電話機にデータベースからの情報収集機能を追加したりすることなく、複数の電話機間での発信履歴の共有を可能とする、交換機、交換機の制御方法及び交換機の制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の交換機は、複数の電話機が接続される電話機インタフェースと、前記電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知すると、前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた前記電話機である、前記第1の電話機以外の第2の電話機に通知する制御手段と、を備える。
【0008】
本発明の交換機の制御方法は、接続された複数の電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知し、前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の交換機の制御プログラムは、交換機が備えるコンピュータに、接続された電話機のいずれかである第1の電話機から前記第1の電話機の発信先への発信を検知する処理、前記発信先の電話番号を、通知された電話番号を記憶して前記記憶された電話番号へ発信する機能を備えた、前記第1の電話機以外の前記電話機である第2の電話機に通知する処理、を行わせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の交換機、交換機の制御方法及び交換機の制御プログラムは、発信履歴を共有するためのデータベースの構築や、電話機へのデータベースからの情報収集機能の追加を行うことなく、複数の電話機間での発信履歴の共有を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の交換システムの構成を示す図である。
図2】第1の実施形態で用いられる交換機の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の交換システムにおける、電話機の発信処理の手順を示す図である。
図4】第2の実施形態の交換システムにおける、電話機の発信処理の手順を示す図である。
図5】第3の実施形態の交換システムの構成を示す図である。
図6】第3の実施形態で用いられる交換機の構成を示すブロック図である。
図7】第3の実施形態の交換システムにおける、電話機の発信処理の手順を示す図である。
図8】第4の実施形態の交換システムの構成を示す図である。
図9】第5の実施形態の交換機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の交換システム100の構成を示す図である。交換システム100は、交換機110、170と、ネットワーク150と、n台の電話機121−12n(nは自然数)を備える。電話機121−12nは交換機110に接続されている。電話機121−12nは、交換機110に接続された電話機、及び、交換機170に接続された電話機160と通話できる。ネットワーク150は、例えば公衆網や構内交換網である。電話機121−123は、同一の利用者Aに利用される電話機であり、それぞれは異なる場所に置かれている。
【0014】
図2は、第1の実施形態で用いられる交換機110の構成を示すブロック図である。交換機110は、電話機インタフェース111と、制御部112と、ネットワークインタフェース113とを備える。後述するように、交換機110は、さらに記憶部114を備えてもよい。電話機インタフェース111は、電話機121−12nを交換機110に接続するためのインタフェースである。制御部112は、電話機121−12nで行われる通話の発信処理や着信処理を行い、電話機インタフェース111に接続された電話機121−12nを通話先の電話機と接続する。ネットワークインタフェース113は、交換機110を、ネットワーク150を介して交換機170に接続する。
【0015】
電話機121−12nは、発信した相手先の電話番号を発信履歴として記憶し、再ダイヤル機能によって発信履歴に記憶されている電話番号に発信できる。さらに、電話機121−12nは、制御部112の制御によって、受話器が電話機に置かれた状態(オンフック状態)で、交換機110から指定された接続先へ発信することができる。
【0016】
図3は、交換システム100における、電話機121の発信処理の手順を示す図である。図3には電話機121から電話機160への発信について記載されているが、電話機122又は123からの発信についても処理は同様である。
【0017】
図3において、利用者Aは電話機121から発信先の電話機160に発信する(ステップS1−S3)。電話機121には、電話機160への発信履歴が記録される(S11)。交換機110は、電話機121からの発信を検知すると、ネットワーク150及び交換機170を介して接続された電話機160へ発信する(S2、S3)とともに、電話機122及び123に対する発信制御を行う(S4、S7)。ステップS4及びS7の発信制御では、交換機110は、電話機121の発信先の電話番号(すなわち電話機160の電話番号)を含む発信制御指示を電話機122及び123に送出する。
【0018】
電話機122及び123は、交換機110からの発信制御指示を受信すると、発信制御指示から電話機160の電話番号を抽出して、当該電話番号に発信する(S5、S8)。この際、電話機122及び123にも、電話機160への発信履歴が記録される(S12、S13)。しかしながら、すでに電話機121が電話機160へ発信中であるため、電話機122及び123から電話機160への発信は話中となる。そして、交換機110は電話機122及び123からの発信を不完了呼として処理する(S6、S9)。電話機121からの発信に電話機160が応答すると、電話機121と電話機160との間で通話が可能となる(S10)。
【0019】
以上のように、電話機122及び123からの発信は不完了呼となるものの、ステップS5及びS8における交換機110からの制御による発信により、電話機122及び123には電話機160への発信履歴が残る。従って、利用者Aは、電話機122及び123が備える再ダイヤル機能によって、電話機160へ発信することができる。
【0020】
なお、制御部112は、ステップS5及びS8において、電話機122及び123から電話機160への発信を受けた際に、電話機160が話中かどうかを確認することなく、これらの発信を直ちに不完了呼として処理してもよい。
【0021】
このように、第1の実施形態の交換システム100は、交換機110からの発信制御により電話機122及び123が電話機160に発信するため、電話機121の発信先への発信記録を電話機122及び123に残すことができる。その結果、第1の実施形態の交換システム100は、発信履歴を記録するためのデータベースの構築や、発信履歴をデータベースから収集する機能を電話機へ追加することなく、複数の電話機121−123で発信履歴を共有できる。
【0022】
なお、交換機110は、図3で説明した機能を、制御部112のハードウェアにより実現させてもよく、あるいは、制御部112が備えるCPU(Central Processing Unit)に、プログラムを実行させることにより実現させてもよい。交換機110は、CPUにより実行されるプログラムを記憶させる半導体メモリ等の記憶部を備えていてもよい。
【0023】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、電話機121−12nのうち、電話機121−123の3台の電話機で発信履歴が共有される例について説明した。しかし、発信履歴の共有の対象となる電話機は、電話機121−123に固定されている必要はなく、必要に応じて変更されてもよい。例えば、交換機110は、電話機121−12nのうち発信履歴の共有の対象となる2つ以上の電話機を、同一のグループに所属するように管理してもよい。そして、交換機110は、グループとそのグループに属する電話機との情報を記憶部114に記憶させてもよい。また、交換機は複数のグループを管理してもよい。
【0024】
第1の実施形態の変形例においては、制御部112は、電話機121−12nのいずれかからの発信を検知すると、記憶部114を参照し、発信元の電話機が属するグループを特定する。そして、制御部112は、発信元の電話機と同一のグループに属する電話機に対してのみ、図3のステップS4及びS7と同様の発信制御を行う。
【0025】
図3で説明した例では、電話機121−123が同一のグループに属する電話機として管理される。制御部112は、電話機121から発信があった場合は、記憶部114を参照し、当該グループに属する他の電話機である電話機122及び123に対して図3のステップS4及びS7の発信制御を行う。なお、電話機121−12nのうち、グループに属しない電話機があってもよい。グループに属しない電話機からの発信があった場合には、制御部112は、他の電話機に対してステップS4及びS7の発信制御を行わなくてもよい。
【0026】
交換機110の管理者は、記憶部114の内容を交換機110の外部から書き換えることで、電話機121−12nとグループとの対応を容易に変更することができる。その結果、第1の実施形態の変形例では、発信履歴の共有の対象となる電話機が柔軟に管理される。
【0027】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態の交換システムにおける、電話機の発信処理の手順を示す図である。第2の実施形態における交換システム及び交換機の基本的な構成及び機能は、図1図2で説明した第1の実施形態の交換システム100及び交換機110と同様である。そして、第2の実施形態では、さらに、交換機110は電話機の利用者ごとに特殊番号(特番)及び特番に対応する識別子を記憶する。特番は、例えば「8」、「111」といった1文字以上の番号であり、仕様は交換機110で決定される。特番は、発信先の電話番号に先立って利用者によってダイヤルされる。また、第2の実施形態において、電話機121−12nは、特番又は識別子毎に発信履歴を管理する機能をさらに備える。交換機110は特番と識別子との対応関係を記憶しており、特番が付加された発信を検知した場合には、相手先の電話機160の電話番号とともに特番に対応する利用者Aの識別子を電話機122及び123に通知して、発信制御を行う。交換機110から通知された識別子は、電話機122及び123において、通知された電話番号(ここでは電話機160の電話番号)と対応づけられて記憶される。
【0028】
図4において、電話機121の利用者Aは発信先の電話機160に特番を付加して発信する(ステップS21)。すなわち、利用者Aは、まず特番をダイヤルし、続いて電話機160の電話番号をダイヤルする。そして、電話機121には、電話機160への発信履歴が特番と対応して記録される(S31)。交換機110は、電話機121から特番が付加された電話番号による発信を検知すると、ネットワーク150及び交換機170を介して接続された電話機160へ発信する(S22,S23)。そして、交換機110は、発信制御の際には、電話機160の電話番号及び識別子を含む発信制御指示を電話機122及び123に送出する(S24、S27)。
【0029】
制御部112が電話機122及び123に対して行う発信制御によって、電話機122及び123は、ともに電話機160に発信する(S25、S28)。しかしながら、すでに電話機121が電話機160へ発信中であるため、電話機122及び123からの発信は話中となる。そして、交換機110は、電話機122及び123からの発信を不完了呼として処理する(S26、S29)。電話機121からの発信に電話機160が応答すると、電話機121と電話機160との間で通話が可能となる(S30)。
【0030】
電話機122及び123からの発信は不完了呼となるものの、ステップS25及びS28における交換機110からの制御による発信により、電話機122及び123には電話機160への発信履歴が残る(S32、S33)。ここで、第2の実施形態では、電話機122及び123には識別子と電話機160の電話番号とが交換機110から通知される。その結果、電話機122及び123において、電話機160への発信履歴は識別子と対応づけられて記録される。
【0031】
このような構成を備える第2の実施形態の交換システムも、第1の実施形態の交換システム100と同様の効果を奏する。すなわち、第2の実施形態の交換システムは、発信履歴を記録するためのデータベースの構築や、発信履歴をデータベースから収集する機能を電話機へ追加することなく、複数の電話機121−123で発信履歴を共有できる。
【0032】
さらに、第2の実施形態の交換システムにおいては、利用者Aは、識別子と対応した発信履歴を参照して、電話機122及び123の再ダイヤル機能によって、電話機121が発信した電話機160へ発信することができる。例えば、利用者Aは、電話機122または電話機123に識別子を入力することで、電話機122または電話機123から自分の発信履歴のみを容易に検索して、その電話から再ダイヤルできる。また、利用者Aが識別子を秘匿することで、特番が使用された利用者Aの発信履歴が利用者A以外の利用者に参照されることを防ぐことができる。
【0033】
なお、特番と識別子とは同一であってもよい。また、ステップS24及びS27において、交換機110は、識別子を用いずに特番をそのまま電話機160の電話番号とともに電話機122及び123に通知し、電話機122及び123は、電話機160への発信履歴を、特番と対応づけて記録してもよい。さらに、電話機121は特番と識別子との対応を記憶し、ステップ31において、ダイヤルされた特番に対応する識別子と電話機160の電話番号とを対応づけて発信履歴として記録してもよい。
【0034】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態の交換システム300の構成を示す図である。交換システム300は、交換機310と、n台の電話機321−32n(nは自然数)を備える。電話機321−32nは、交換機310を介して相互に通話でき、また、交換機310からネットワーク150を介して他の交換機170に接続された電話機160とも通話できる。電話機321−323は、同一の利用者Aに利用される電話機であり、それぞれは異なる場所に置かれている。
【0035】
図6は、第3の実施形態で用いられる交換機310の構成を示すブロック図である。交換機310は、電話機インタフェース311と、制御部312と、ネットワークインタフェース313とを備える。電話機インタフェース311は、電話機321−32nを交換機に接続するためのインタフェースである。制御部312は、電話機321−32nの通話の際の発信処理や着信処理を行い、電話機インタフェース311に接続された電話機321−32nの回線を通話先の電話機と接続する。ネットワークインタフェース313は、交換機310を、ネットワーク150を介して交換機170に接続する。
【0036】
電話機321−32nは、発信先の電話番号及び着信した呼の発信元の電話番号を発信履歴あるいは着信履歴として記憶し、利用者の操作によって発信履歴及び着信履歴に記憶されている電話番号に発信できる。
【0037】
図7は、交換システム300における、電話機321の発信処理の手順を示す図である。電話機321の利用者は発信先の電話機160に発信する(ステップS51、S53、S54)。ここで、電話機321には、電話機160の電話番号が発信履歴として記録される(S52)。交換機310は、電話機321からの発信を検知すると、ネットワーク150及び交換機170を介して接続された電話機160へ発信する(S53,S54)。同時に、交換機310は、電話機322及び323に対して発信する(S55、S58)。ここで、電話機322及び323に対しては、電話機160の電話番号が発信元の電話番号として交換機310から通知される。
【0038】
交換機310が電話機322及び323に対して行う発信によって、電話機322及び323には、電話機160の電話番号が着信履歴として記録される(S56、S59)。ここで、交換機310は、電話機322及び323への呼び出し開始後、発信を停止する(S57、S60)。電話機322及び323への呼び出しは、電話機322及び323が着信履歴を生成するために必要な時間だけ継続されればよい。なお、電話機321からの発信に電話機160が応答すると、電話機321と電話機160との間で通話が可能となる(S61)。
【0039】
従って、利用者Aは、後刻、ステップS56、S59で記録された着信履歴から電話機321の発信先である電話機160の電話番号を検索して、電話機160へ発信することができる。
【0040】
このように、第3の実施形態の交換システム300は、交換機310から電話機322及び323への発信により、電話機160の電話番号を電話機322及び323に着信履歴として記録させる。その結果、交換システム300は、電話機321の発信履歴を、電話機322及び323に着信履歴として記録させることができる。すなわち、第3の実施形態の交換システム300は、発信履歴を記録するためのデータベースの構築や、発信履歴を収集する機能を電話機へ追加することなく、他の電話機の発信履歴を複数の電話機間で共有できるという効果を奏する。
【0041】
特に、第3の実施形態の交換システムでは、電話機321−32nは、発信履歴及び着信履歴に記録された電話番号に対して発信する機能があればよく、交換機からの発信制御により発信する機能を持たなくとも上記の効果を享受できる。
【0042】
なお、第1の実施形態の変形例で説明したグループによる電話機の管理を、電話機321−32nに適用してもよい。この場合、交換機310は、電話機321−32nのいずれかからの発信を検知すると、交換機310が備える記憶部114を参照する。そして、交換機310は、発信元の電話機と同一のグループに属する電話機に対してのみ、図7のステップS55、S57、S58及びS60と同様の、電話機160の電話番号を通知した発信を行う。
【0043】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態の交換システム400の構成を示す図である。交換システム400は、電話機121−12n、交換機410、ネットワーク150及び電話機160を備える。交換システム400は、第1の実施形態の交換システム100を、マルチリンギング機能を備えた交換機410を含む交換システムに適用したものである。
【0044】
マルチリンギング機能は、発信元の電話機からマルチリンギング機能を備える交換機の配下の電話機への着信があった場合に、呼を複数の電話機に同時に着信させる。そして、交換機は、着信後に最初にオフフックとなった電話機と発信元との間で通話を可能とする。
【0045】
交換システム400が備える交換機410は、第1の実施形態の交換機110の機能に加え、マルチリンギング機能を備える。図8では、利用者Aの電話機121−123が、マルチリンギングの対象となる電話機として交換機410に登録される例を示す。電話機160から利用者Aの電話機への発信は、電話機121−123に同時に着信する。一方、電話機121−123の利用者Aが電話機121から電話機160へ発信する際の動作は、第1の実施形態と同様である。従って、第4の実施形態の交換システム400は、第1の実施形態の交換システム100の効果に加えて、利用者Aが不在のため発信者によるかけ直しを低減できるという効果をさらに奏する。
【0046】
なお、発信履歴を共有させる複数の電話機と、マルチリンギング機能の対象となる複数の電話機とが一致していない場合でも、発信履歴の共有、及び、マルチリンギング機能による複数の電話機への着信は、それぞれの電話機において実現される。すなわち、発信履歴を共有させる複数の電話機と、マルチリンギングの対象となる複数の電話機とは、必ずしも一致している必要はない。
【0047】
第4の実施形態では、第1の実施形態の交換システム100を、マルチリンギング機能を備えた交換システムに適用した場合について説明した。しかしながら、マルチリンギングの対象となる交換システムは、第1の実施形態の交換システム100に限られない。例えば、第1の実施形態の変形例並びに第2及び第3の実施形態で説明した交換システムを、マルチリンギング機能を備えた交換システムに適用した構成も、マルチリンギング機能による効果を享受できる。
【0048】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態の交換機510の構成を示すブロック図である。交換機510は、電話機インタフェース520と、制御部530とを備える。
【0049】
電話機インタフェース520は、交換機510に接続される複数の電話機のインタフェースである。制御部530は、電話機インタフェース520に接続される電話機のいずれかである第1の電話機からの発信を検知すると、第1の電話機の発信先の電話番号を第1の電話機以外の、電話機インタフェース520に接続された他の電話機である第2の電話機に通知する。また、第2の電話機は、通知された電話番号を記憶するとともに、記憶された電話番号へ発信する機能を備える。
【0050】
その結果、第2の電話機には第1の電話機の発信先の電話番号が通知されるため、第2の電話機は、第1の電話機と発信先の電話番号を共有できる。すなわち、第5の実施形態の交換機は、発信履歴を共有するためのデータベースの構築や電話機への機能追加を行うことなく、複数の電話機間での発信履歴の共有を可能とする。
【0051】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態に限定されない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、第1乃至第5の実施形態の構成は排他的なものではなく、それらを組み合わせて交換システムを構成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
100 交換システム
110、170、310、410、510 交換機
111、311、520 電話機インタフェース
112、312、530 制御部
113、313 ネットワークインタフェース
114 記憶部
121−12n、321−32n、160 電話機
150 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9