特許第6232875号(P6232875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232875
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ハイブリッド建設機械の動力制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/00 20160101AFI20171113BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20171113BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20171113BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20171113BHJP
   F02D 29/04 20060101ALI20171113BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20171113BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20171113BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20171113BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B60W20/00 900
   B60W10/08 900
   B60W10/06 900
   B60W10/30 900
   F02D29/04 G
   F02D29/00 B
   B60L11/14
   B60K6/485ZHV
   H02P9/04 L
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-193601(P2013-193601)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-58799(P2015-58799A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 允紀
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−086892(JP,A)
【文献】 特開平04−073331(JP,A)
【文献】 特開2012−180683(JP,A)
【文献】 特開平07−286583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 20/50
B60K 6/20 − 6/547
B60L 11/14
F02D 29/00 − 29/06
E09F 9/00 − 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行モータを含む複数の油圧アクチュエータを駆動する油圧ポンプと、発電機作用と電動機作用を行う発電電動機とをエンジンに接続し、制御手段により、上記発電電動機に発電機作用を行わせて蓄電装置に充電する一方、この蓄電装置の蓄電力により上記発電電動機に電動機作用を行わせて上記エンジンをアシストするように構成したハイブリッド建設機械の動力制御装置において、上記制御手段は、走行時に、上記発電電動機の電動機作用によるエンジンアシスト力を、上記走行モータ以外の油圧アクチュエータを用いる通常作業時よりも低く制限するように構成し、
上記制御手段は、上記油圧ポンプの負荷に対するエンジン出力の関係を表すエンジン出力特性として、エンジン出力の上限値が相対的に高い走行時特性と、相対的に低い通常作業時性が予め設定・記憶され、通常作業時には上記通常作業時特性に従って、走行時には上記走行時特性に従ってそれぞれエンジン出力を制御するように構成し、上記通常作業時特性として、ポンプ負荷の増加に応じてエンジン出力が上限値まで一定の傾きで増加する特性を設定し、上記走行時特性として、上記通常作業時特性におけるエンジン出力の上限値からポンプ負荷の増加に応じてエンジン出力がそれまでよりも急な傾きで上限値まで増加する特性を設定したことを特徴とするハイブリッド建設機械の動力制御装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記エンジンの最大出力を、上記走行時特性におけるエンジン出力の上限値として設定したことを特徴とする請求項記載のハイブリッド建設機械の動力制御装置。
【請求項3】
上記制御手段は、走行時に、上記発電電動機の電動機作用によるエンジンアシスト力を0とし、エンジン出力のみで上記油圧ポンプを駆動するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド建設機械の動力制御装置。
【請求項4】
上記制御手段は、走行時に、上記発電電動機の発電機作用を停止させるように構成したことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハイブリッド建設機械の動力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン出力と蓄電装置の蓄電力とを動力として併用するハイブリッド建設機械の動力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
ショベルは、クローラ式の下部走行体上に上部旋回体が地面に対して鉛直となる軸のまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体に作業アタッチメントが取付けられて構成される。
【0004】
ハイブリッドショベルにおいては、油圧アクチュエータを駆動する油圧ポンプと、発電機作用と電動機作用とを行う発電電動機とがエンジンに接続され、エンジン駆動による発電電動機の発電機作用によって蓄電装置が充電される一方、この蓄電装置の蓄電力により発電電動機が駆動されて電動機作用を行い、この電動機作用によりエンジンのポンプ駆動をアシストするように構成される(特許文献1参照)。
【0005】
ここで、油圧ポンプに要求されている出力(ポンプ要求出力=ポンプ負荷)をA、エンジン出力をB、発電電動機の電動機出力(エンジンアシスト力)をCとすると、アシスト時には、
B+C=A
となり、上記関係が得られるようにポンプ負荷Aに応じて発電電動機出力が制御される。
【0006】
すなわち、ポンプ負荷Aがエンジン出力Bを上回る場合は、エンジン出力Bの不足分を電動機出力(アシスト力)で補い、ポンプ負荷Aがエンジン出力Bを下回る場合は、エンジン出力Bの余剰分による発電機出力で蓄電装置に充電する構成がとられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−237178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エンジンをアシストする電動機出力Cは、蓄電装置の充電量(充電率)によって左右され、充電量が低下すると電動機出力(アシスト力)Cも低下するため、大馬力を要する走行時(とくに連続走行時)にアシスト力不足によって走行速度が変化する等、走行状態が不安定となる可能性がある。
【0009】
対策として、安定したアシスト作用が確保されるように蓄電装置に大容量のものを用いることが考えられるが、こうすると走行時よりは必要馬力が小さい通常作業時(アタッチメント動作及び旋回動作を用いた掘削作業時等)に蓄電装置が過大容量となって機械に対する搭載性及びコスト面で不利となるため得策でない。
【0010】
そこで本発明は、蓄電装置を大容量化せずに走行安定性を確保することができるハイブリッド建設機械の動力制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、走行モータを含む複数の油圧アクチュエータを駆動する油圧ポンプと、発電機作用と電動機作用を行う発電電動機とをエンジンに接続し、制御手段により、上記発電電動機に発電機作用を行わせて蓄電装置に充電する一方、この蓄電装置の蓄電力により上記発電電動機に電動機作用を行わせて上記エンジンをアシストするように構成したハイブリッド建設機械の動力制御装置において、上記制御手段は、走行時に、上記発電電動機の電動機作用によるエンジンアシスト力を、上記走行モータ以外の油圧アクチュエータを用いる通常作業時よりも低く制限するように構成したものである。
【0012】
この構成によれば、走行時に、発電電動機の電動機作用を制限することによって蓄電装置への依存度を下げるため、蓄電装置の充電量が低下してエンジンアシスト力が減少しても、走行に与える影響(速度変化)が少なくてすむ。
【0013】
すなわち、蓄電装置の充電状態の影響を受けにくい安定した走行性能を確保することができる。
【0014】
また、蓄電装置に対する依存度が低くなるため、アシスト作用の安定を図るべく蓄電装置の容量を大きくした場合のように通常作業時に過大容量となって搭載性、コスト面で不利となる弊害も生じない。
【0015】
しかも、通常作業時には制限の無いエンジンアシスト作用が働くため、ハイブリッド本体の省エネ効果を確保することができる。
【0016】
ここで、上記制御手段は、上記油圧ポンプの負荷に対するエンジン出力の関係を表すエンジン出力特性として、エンジン出力の上限値が相対的に高い走行時特性と、相対的に低い通常作業時性が予め設定・記憶され、通常作業時には上記通常作業時特性に従って、走行時には上記走行時特性に従ってそれぞれエンジン出力を制御するように構成する(請求項)。
【0017】
こうすれば、ポンプ負荷が大きくなる走行時にエンジン出力の上限値が上がり、エンジンアシスト力の減少分をカバーできるため、走行に必要な馬力を確保することができる。
【0018】
この場合、上記制御手段は、上記エンジンの最大出力を、上記走行時特性におけるエンジン出力の上限値として設定するのが望ましい(請求項)。
【0019】
こうすれば、走行時にエンジン出力を最大出力まで出せるため、とくに高速走行時でも馬力不足が生じるおそれがない。
【0020】
また請求項1では、上記制御手段は、上記通常作業時特性として、ポンプ負荷の増加に応じてエンジン出力が上限値まで一定の傾きで増加する特性を設定し、上記走行時特性として、上記通常作業時特性におけるエンジン出力の上限値からポンプ負荷の増加に応じてエンジン出力がそれまでよりも急な傾きで増加する特性を設定する。
【0021】
請求項またはの構成をとる場合、走行時特性を、通常作業時特性と同じ傾きのままエンジン出力上限値が増加するものとすると、通常作業から走行に切換わる際に、ポンプ負荷の増加に対するエンジン出力の増加が遅れる可能性がある。
【0022】
そこで、上記のように、走行時特性としてエンジン出力の増加の傾きが急となる特性を設定することにより、切換わり時のエンジン出力の立ち上がりを良くすることができる。
【0023】
一方、本発明において、上記制御手段は、走行時に、上記発電電動機の電動機作用によるエンジンアシスト力を0とし、エンジン出力のみで上記油圧ポンプを駆動するように構成するのが望ましい(請求項)。
【0024】
こうすれば、蓄電装置に対する依存度を0にしてエンジン出力のみで走行するため、連続走行時の走行性能の安定化、及び蓄電装置の小容量化の効果をさらに高めることができる。
【0025】
さらに、上記制御手段は、走行時に、上記発電電動機の発電機作用を停止させるように構成するのが望ましい(請求項)。
【0026】
この構成によれば、走行時に、発電機作用の停止によってエンジン負荷を減少させ、エンジン動力を走行だけに使うことができるため、エンジン出力の低減化、つまりエンジンの小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、蓄電装置を大容量化せずに走行安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る動力制御装置のシステム構成図である。
図2】実施形態における走行操作量とリモコン弁の走行パイロット圧の関係を示す図である。
図3】同、ポンプ負荷に対するエンジン出力の関係を示すエンジン出力特性を示す図である。
図4】実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態はハイブリッドショベルを適用対象としている。
【0030】
図1は装置のシステム構成を示し、エンジン1に、発電機作用(蓄電装置に対する充電作用)と電動機作用(エンジンアシスト作用)を行う発電電動機2と、油圧ポンプ3が接続される。
【0031】
油圧ポンプ3からの圧油は、モコン弁によって操作されるコントロールバルブを介して複数の油圧アクチュエータ(たとえば作業アタッチメントのブーム、アーム、バケット各シリンダや走行用油圧モータ等)に供給される。
【0032】
ここでは、図の簡略化のため、油圧アクチュエータとして走行モータ4とそれ以外の油圧アクチュエータ(他の油圧アクチュエータ)5、リモコン弁として走行リモコン弁6と他のアクチュエータ操作用のリモコン弁7とにそれぞれ分け、かつ、他の油圧アクチュエータ5及びそのリモコン弁7について代表として一つだけを示す。
【0033】
また、コントロールバルブは、アクチュエータごとに設けられるが、図では便宜上、一つのものとして符号「8」を付して示している。
【0034】
発電電動機2は、コントローラ9とともに制御手段を構成するインバータ10を介して蓄電装置11に接続されている。
【0035】
インバータ10は、発電電動機2の発電機作用と電動機作用の切換え、発電機、電動機としての電流またはトルクを制御するとともに、蓄電装置11の充・放電を制御する。
【0036】
また、図示しない検出手段により、油圧ポンプ3の吐出圧(ポンプ圧)、及び蓄電装置11の充電量(充電率)がそれぞれ検出され、これらの情報がコントローラ9に送られる。
【0037】
また、図2に示すように、リモコン弁6,7からその操作量に応じたパイロット圧が出力され、このパイロット圧が、図示しない油圧/電気変換器により、操作量に応じた「走行操作信号」、「他のアクチュエータ操作信号」に変換されてコントローラ9に送られる。
【0038】
コントローラ9は、上記各情報に基づいて次の処理、制御を行う。
【0039】
(i) 操作信号から、「走行時」か「通常作業時」かの判別を行う。
【0040】
すなわち、走行操作信号のみが入力された場合は「走行時」、他のアクチュエータ操作信号のみ、または他のアクチュエータ操作信号と走行信号が入力された場合は「通常作業時」と判別する。
【0041】
なお、「通常作業時」における走行は、もし行われるとしても低速かつ短距離であって、蓄電装置11の充電量によるエンジンアシスト力低下の影響は殆ど受けないため、「走行時」の扱いとはしない。
【0042】
(ii) リモコン弁操作量から求められる油圧ポンプ3の目標流量とポンプ圧とからポンプ負荷(ポンプ要求出力)Aを演算する。
【0043】
(iii) コントローラ9には、ポンプ負荷Aとエンジン出力Bの関係を示すエンジン出力特性として、図3に示すように、エンジン出力Bの上限値が相対的に高い(「B1」で示す)走行時特性と、相対的に低い(「B2」で示す)通常作業時特性が予め設定・記憶され、通常作業時には通常作業時特性に従って、走行時には走行時特性に従ってそれぞれエンジン出力を制御する。
【0044】
このエンジン制御は、図1中のエンジン制御部12にエンジン出力を指令することによって行われる。
【0045】
通常作業時、走行時両特性について詳述すると、通常作業時特性は、ポンプ負荷Aの増加に応じてエンジン出力Bが上限値B2まで一定の傾きで増加する特性として設定されている。
【0046】
一方、走行時特性は、通常作業時特性におけるエンジン出力上限値B2からポンプ負荷Aの増加に応じてエンジン出力Bがそれまでよりも急な傾き(垂直よりは小さい角度)で上限値B1まで増加する特性として設定されている。
【0047】
ここで、エンジン1の最大出力(仕様上の最大出力)が、走行時特性でのエンジン出力Bの上限値B1に設定されている。
【0048】
(iv) 走行時に、発電電動機2へのトルク指令、すなわち電動機出力(アシスト力)、及び発電機出力(発電量)をいずれも0とする。
【0049】
この状態ではエンジン出力のみによって油圧ポンプ3が駆動される。すなわち、ポンプ負荷Aがエンジン出力Bのみで賄われ、エンジン出力Bのみで走行することになる。
【0050】
また、発電量が0となるため、エンジン負荷が少なくなるとともに、蓄電装置11に対する充電作用が停止する。
【0051】
(v) 通常作業時には、予め設定された動力配分比率に従ってエンジン出力Bと電動機出力Cを演算し、出力する。
【0052】
以上の作用を図4のフローチャートにより順序だてて説明する。
【0053】
制御開始とともにステップS1でポンプ負荷Aを演算する。
【0054】
続くステップS2で走行操作が有るか否か、ステップS3で他のアクチュエータ操作が無いか否かをそれぞれ判別する。
【0055】
ステップS2,S3ともYESの場合は、走行時であるとして、ステップS4で図3の走行時特性に従ってポンプ負荷Aに応じたエンジン出力Bを演算し、エンジン制御部12に指令する。
【0056】
また、ステップS5で、発電電動機2へのトルク指令(発電機出力及び電動機出力の指令)を0とした後、ステップS1に戻る。
【0057】
一方、ステップS2またはステップS3でNOの場合は、通常作業時であるとして、ステップS6において図3の通常作業時特性に従ってポンプ負荷Aに応じたエンジン出力Bを演算し、エンジン制御部12に指令する。
【0058】
なお、通常作業時に走行操作されることは殆どないため、ステップ2でYES(走行操作有り)となれば直ちに「走行時」と判断する一方、ステップS2でNO(走行操作無し)の後、他のアクチュエータ操作の有無によって「通常作業時」か否かを判断するようにしてもよい。
【0059】
続くステップS7で、予め設定された動力配分に従って発電電動機2へのトルク指令を出した後、ステップS1に戻る。
【0060】
この動力制御装置によると、走行時に、発電電動機2の電動機作用を制限することによって蓄電装置への依存度を下げるため、蓄電装置11の充電量が低下してエンジンアシスト力が減少しても、走行に与える影響(速度変化)が少なくてすむ。
【0061】
すなわち、蓄電装置11の充電状態の影響を受けにくい安定した走行性能を確保することができる。
【0062】
また、蓄電装置11に対する依存度が低くなるため、アシスト作用の安定を図るべく蓄電装置11の容量を大きくした場合のように通常作業時に過大容量となって搭載性、コスト面で不利となる弊害も生じない。
【0063】
しかも、通常作業時には制限の無いエンジンアシスト作用が働くため、ハイブリッド本来の省エネ効果を確保することができる。
【0064】
この場合、エンジン出力特性として、図3に示すようにエンジン出力の上限値が相対的に高い走行時特性と、相対的に低い通常作業時性を予め設定し、通常作業時には通常作業時特性に従って、走行時には走行時特性に従ってそれぞれエンジン出力を制御するため、つまり、走行時にエンジン出力の上限値を上げることにより、エンジンアシスト力の減少分をカバーできるため、走行に必要な馬力を確保することができる。
【0065】
しかも、エンジン1の最大出力を、走行時特性におけるエンジン出力の上限値として設定し、走行時にエンジン出力をその最大出力まで出せるようにしているため、とくに高速走行時でも馬力不足のおそれがない。
【0066】
また、走行時特性として、エンジン出力の増加の傾きが通常作業時の上限値B2から急となる特性を設定したから、通常作業時から走行時への切換わる際のエンジン出力の立ち上がりを良くすることができる。
【0067】
一方、走行時に、発電電動機2の電動機作用によるエンジンアシスト力を0とし、エンジン出力のみで油圧ポンプ3を駆動するため、いいかえれば、蓄電装置11に対する依存度を0にしてエンジン出力のみで走行するため、連続走行時の走行性能の安定化、及び蓄電装置の小容量化の効果をさらに高めることができる。
【0068】
さらに、走行時に、発電電動機2の発電機作用を停止させるため、エンジン負荷を減少させ、エンジン動力を走行だけに使うことができる。このため、エンジン出力の低減化、つまりエンジンの小型化が可能となる。
【0069】
他の実施形態
(1) 上記実施形態では、エンジン最大出力を走行時のエンジン出力の上限値に設定したが、この上限値をエンジン最大出力よりも低い値に設定してもよい。
【0070】
(2) 走行時のエンジン出力特性として、通常作業時の上限値からそれまでと同じ傾きのままエンジン出力が増加する特性を設定してもよい。
【0071】
(3) 上記実施形態では、走行時に発電電動機2によるエンジンアシスト力を0とする構成をとったが、エンジンアシスト力の配分を小さくする構成をとってもよい。
【0072】
(4) 上記実施形態では、走行時に発電電動機2の発電機作用を停止させる(発電量0)とする構成をとったが、通常作業時よりも低い発電量で発電機作用を行わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 エンジン
2 発電電動機
3 油圧ポンプ
4 走行モータ
5 他の油圧アクチュエータ
9 制御手段を構成するコントローラ
10 同、インバータ
11 蓄電装置
12 エンジン制御部
図1
図2
図3
図4