特許第6232920号(P6232920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6232920-インストルメントパネル周辺構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232920
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】インストルメントパネル周辺構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/00 20060101AFI20171113BHJP
   B60K 37/04 20060101ALI20171113BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B60K37/00 C
   B60K37/04
   B60R7/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-220449(P2013-220449)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-81037(P2015-81037A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 俊也
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−042958(JP,A)
【文献】 特開2005−317303(JP,A)
【文献】 特開2007−038888(JP,A)
【文献】 特開2009−262610(JP,A)
【文献】 特開2010−201971(JP,A)
【文献】 特開2007−307932(JP,A)
【文献】 実開昭60−148127(JP,U)
【文献】 特開2007−071370(JP,A)
【文献】 実開平04−011726(JP,U)
【文献】 特開2008−239056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 37/00
B60K 37/04
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の前部に配置され車幅方向にわたるインストルメントパネルを有するインストルメントパネル周辺構造であって、
前記インストルメントパネルの車室側の面の車幅方向の中央から車両後方に向かって延びる壁部と、
前記壁部の運転席側の面に配置され車両の操作に用いられる操作系部品とをさらに有することを特徴とするインストルメントパネル周辺構造。
【請求項2】
運転席と助手席との間で車室内の床面に配置されたセンターコンソールをさらに有し、
前記壁部は前記インストルメントパネルから前記センターコンソールの前端に向かって延びていることを特徴とする請求項1に記載のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項3】
前記壁部を車幅方向に貫通する貫通孔をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記壁部の周縁の一部に沿って形成されていて、
前記操作系部品は、前記貫通孔を通して前記壁部の周縁を把持する運転席の乗員の手の親指が届く範囲に配置されることを特徴とする請求項3に記載のインストルメントパネル周辺構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の前部に配置され車幅方向にわたるインストルメントパネルを有するインストルメントパネル周辺構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンルームと車室とはダッシュパネルによって区画されていて、かかるダッシュパネルの車室側には艤装部品であるインストルメントパネルが配置される。例えば特許文献1に開示されているように、インストルメントパネルや、その車幅方向中央から後方に延びるセンターコンソールには、空調装置やオーディオ装置等、車両に搭載されている装置の操作に用いられる操作系部品が配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−211277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、インストルメントパネルやセンターコンソールに操作系部品を配置することにより、運転席に搭乗している乗員(運転者)における操作系部品の操作性を高めることができる。しかしながら、特許文献1のような配置であると、操作系部品は助手席に搭乗している乗員からも手が届きやすい位置にあるため、助手席の乗員が誤って操作系部品に接触してしまうことにより、運転者の意思に反して操作系部品が操作されるおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、運転者による操作系部品の操作性を確保しつつ、助手席の乗員による操作系部品への接触を防ぐことが可能なインストルメントパネル周辺構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかるインストルメントパネル周辺構造の代表的な構成は、車室内の前部に配置され車幅方向にわたるインストルメントパネルを有するインストルメントパネル周辺構造であって、インストルメントパネルの車室側の面の車幅方向の中央から車両後方に向かって延びる壁部と、壁部の運転席側の面に配置され車両の操作に用いられる操作系部品とをさらに有することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、インストルメントパネルパネルの車幅方向の中央から延びる壁部が運転席と助手席との間に配置される。そして、この壁部の運転席側の面に操作系部品が配置されることにより、運転者は操作系部品を容易に操作することができる一方、助手席の乗員は操作系部品に接触しづらくなる。したがって、運転者による操作系部品の操作性を確保しつつ、助手席の乗員による操作系部品への接触を防ぐことができ、助手席の乗員による運転者の意に反した操作系部品の操作を防止することが可能となる。
【0008】
当該インストルメントパネル周辺構造は、運転席と助手席との間で車室内の床面に配置されたセンターコンソールをさらに有し、壁部はインストルメントパネルからセンターコンソールの前端に向かって延びているとよい。かかる構成によれば、壁部が、シフトレバー等が配置されるセンターコンソールに近づくため、壁部に配置された操作系部品とシフトレバー等の位置を近づけることができる。したがって、それらの部品を操作する際の運転者の手の動きを小さくすることができ、操作性の向上を図ることが可能となる。
【0009】
当該インストルメントパネル周辺構造は、壁部を車幅方向に貫通する貫通孔をさらに有するとよい。これにより、衝突時等に荷重がかかった際において壁部が屈曲変形しやすくなるため、衝突時の乗員への負荷を吸収することが可能となる。また貫通孔を設けることで乗員への圧迫感を低減することができるため、居住性(快適性)の向上を図ることも可能である。
【0010】
上記貫通孔は、壁部の周縁の一部に沿って形成されていて、操作系部品は、貫通孔を通して壁部の周縁を把持する運転席の乗員(運転者)の手の親指が届く範囲に配置されるとよい。これにより、運転者は壁部を把持した状態で操作系部品を操作することができるため、運転者の手の位置(ポジション)を安定させることができ、運転者の疲労を低減することが可能となる。また壁部を把持し、親指を動かすだけで操作系部品を操作できるため操作性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転者による操作系部品の操作性を確保しつつ、助手席の乗員による操作系部品への接触を防ぐことが可能なインストルメントパネル周辺構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態にかかるインストルメントパネル周辺構造を備える車両の斜視図である。
図2図1に示すインストルメントパネルを正面から観察した図である。
図3図1に示すインストルメントパネルを左側方から観察した図である。
図4図1に示すインストルメントパネルを右側方から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態にかかるインストルメントパネル周辺構造(以下、単に周辺構造100と称する)を備える車両100aの斜視図であり、助手席102b側のサイドドア104bを開いた状態の車両100aを左側方から観察した状態を図示している。図1に示すように、車両100aでは、車室内の前部に、車幅方向にわたるインストルメントパネル110が配置されている。
【0015】
図2図4は、本実施形態にかかるインストルメントパネル周辺構造を例示する図である。図2は、図1に示すインストルメントパネル110を正面から観察した図であり、図3は、図1に示すインストルメントパネル110を左側方から観察した図であり、図4は、図1に示すインストルメントパネル110を右側方から観察した図である。
【0016】
本実施形態にかかる周辺構造100は、図2〜4に示すインストルメントパネル110を含んで構成される。図2に示すように、インストルメントパネル110には、その車室側の面110aの車幅方向の中央から車両後方に向かって延びる壁部112が設けられている。これにより、図1に示すように、運転席102aと助手席102bとの間には壁部112が配置されることとなる。
【0017】
図4に示すように、壁部112には、その運転席102a側の面112aに、車両に搭載されている装置(不図示)の操作に用いられる操作系部品114が配置される。操作系部品としては、例えば空調装置やオーディオ装置(ともに不図示)の制御に用いられるスイッチを挙げることができるが、これに限定するものではなく、ハザードスイッチ等、他のスイッチを操作系部品114とすることも可能である。
【0018】
本実施形態のように運転席102aと助手席102bとの間に壁部112を配置し、その壁部112の運転席102a側の面に操作系部品114を配置することにより、運転席102aの乗員(運転者)は操作系部品114を容易に操作することができる。一方、操作系部品114は助手席102b側には露出しないため、助手席102bの乗員は操作系部品114に接触しづらくなる。したがって、運転者による操作系部品114の操作性を確保しつつ、助手席102bの乗員による操作系部品114の接触を好適に防ぐことができる。これにより運転者以外の乗員による運転者の意に反した操作系部品114の操作を防止することが可能となる。
【0019】
図1に示すように、車両には、運転席102aと助手席102bとの間において車室内の床面にセンターコンソール106が配置されている。本実施形態では、上述したように壁部112に操作系部品114を設けることができるため、従来インストルメントパネルパネルに連続するように形成されていたセンターコンソールの前端を車両後方に後退させることができる。これにより、乗員の足元スペースを拡大することができ、圧迫感を低減し、ひいては快適性の向上を図ることが可能となる。
【0020】
更に本実施形態では、上述した壁部112を、インストルメントパネル110からセンターコンソール106の前端106aに向かって延ばしている。これにより、壁部112に設けられた操作系部品114と、センターコンソール106に配置されるシフトレバー等の部品(不図示)との距離を近づけることができる。したがって、操作系部品114とシフトレバー等の部品を連続的に操作する際の運転者の手の移動範囲を狭めることができ、運転時の操作性を高めることが可能となる。
【0021】
また本実施形態では、図3に示すように、壁部112に、それを車幅方向に貫通する貫通孔112bを形成している。これにより、壁部112が中抜きされた状態となるため、衝突時等に荷重がかかった際に壁部112が屈曲変形しやすくなる。したがって、衝突時の乗員への負荷を好適に吸収することが可能となる。また乗員への圧迫感が低減されるため、居住性(快適性)の向上を図ることもできる。
【0022】
本実施形態では、貫通孔112bを、図3に示すように壁部112の周縁の一部である後縁112cに沿って形成している。そして本実施形態では、運転席102aの乗員(運転者)が貫通孔112bに手を通して壁部112の周縁を把持した際に、その乗員の手の親指が届く範囲に配置に操作系部品114を配置する。これにより、乗員は壁部112を把持した状態、すなわち壁部112をグリップとして握った状態で操作系部品114を操作することができるため、乗員の手の位置(ポジション)を安定させることができ、乗員の疲労を軽減することが可能となる。また壁部112を把持した状態で親指を動かすだけで操作系部品114を操作可能であることにより、操作性の向上を図ることも可能となる。
【0023】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、車室内の前部に配置され車幅方向にわたるインストルメントパネルを有するインストルメントパネル周辺構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
100…周辺構造、100a…車両、102a…運転席、102b…助手席、104b…サイドドア、106…センターコンソール、106a…前端、110…インストルメントパネル、110a…面、112…壁部、112a…面、112b…貫通孔、112c…後縁、114…操作系部品
図1
図2
図3
図4