(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6232927
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】浄水器
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20171113BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20171113BHJP
E03C 1/10 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
C02F1/00 B
C02F1/28 R
E03C1/10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-224951(P2013-224951)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-85255(P2015-85255A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】植松 信機
【審査官】
河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−173080(JP,A)
【文献】
特開2013−154312(JP,A)
【文献】
特開2002−079242(JP,A)
【文献】
特開2004−237255(JP,A)
【文献】
実開平06−024787(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0134079(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0266683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
C02F 1/28
E03C 1/00 − 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水流路を切り替える切替弁を有する切替器と、前記切替器に接続し原水をろ過するカートリッジとを有し、前記切替器は原水を流出させる吐水キャップを着脱可能に備える浄水器であって、
前記吐水キャップは、
前記切替器ボディ背後に張り出すように配置される着脱用ツマミと、
前記切替器ボディに対するその位置を視認可能に示し、前記切替器ボディの前面から視認できるように配置された位置表示部位と、
を有することを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記吐水キャップは、前記切替器にバヨネット構造で着脱可能に備えられることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記切替器ボディは印を有し、前記位置表示部位と前記印とが並ぶような前記吐水キャップと前記切替器ボディの配置が、前記切替器における前記吐水キャップの装着開始位置となることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭で使用し、水道水をろ過する家庭用浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
切替器を蛇口に取り付け、切替弁で流路を切り換えて使用する蛇口直結型浄水器が数多く使用されている。この種類の浄水器では、原水は切替器から直接吐出し、浄水は切替器から、または切替器に取り付けたカートリッジから吐出する。原水の吐出はストレート状とシャワー状を選択できるタイプが多く、原水ストレート状と原水シャワー状の吐出口は、一般的に切替器の下面に設けられている。
【0003】
このため、蛇口に取り付けて長期間使用すると、シンクで洗浄水や洗剤などが跳ね返り、汚れやバイオフィルムが原水シャワーの穴に詰まり、流量が低下する問題があった。また、水道配管中の異物が切替器側から原水シャワーの穴に詰まる問題もあった。
【0004】
そこで、特許文献1には、切替器内の切替弁の原水吐水部に着脱可能に取り付けられる原水吐水用の吐水キャップを有した浄水器が提案されている。
【0005】
しかし、その吐水キャップは、着脱用のツマミを有し着脱操作ができるように工夫がされてはいるものの、ツマミも含めて吐水キャップは切替器の下面に隠れたような形態で備えられ、かつツマミが手前を向いているため、使用者はツマミを見ない状態で指先だけで押圧することとなり、着脱操作が容易とまでは言えないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−154312公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような問題点に鑑み、より着脱操作のし易い原水の吐水キャップを有した浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の浄水器は下記の構成から成る。すなわち、
(1)原水流路を切り替える切替弁を有する切替器と、前記切替器に接続し原水をろ過するカートリッジとを有し、前記切替器は原水を流出させる吐水キャップを着脱可能に備える浄水器であって、前記吐水キャップは、前記切替器ボディ背後に張り出すように配置される着脱用ツマミを有する浄水器である。
(2)前記吐水キャップは、前記切替器にバヨネット構造で着脱可能に備えられると好ましい。
(3)前記吐水キャップは、前記切替器ボディに対するその位置を視認可能に示す位置表示部位を有すると好ましい。
(4)前記切替器ボディは印を有し、前記位置表示部位と前記印とが並ぶような前記吐水キャップと前記切替器ボディの配置が、前記切替器における前記吐水キャップの装着開始位置となるとこのましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記の構成により以下の優れた効果を奏することができる。すなわち、
上記(1)の構成により、切替器の下から背後に手を回し、切替器ボディの背面に指を沿わせつつ、切替器ボディの背後に張り出した吐水キャップの着脱用ツマミを指で周方向に押圧できるので、吐水キャップをゆっくりと制動を効かせながら切替器ボディに対して移動させることができて、安定的かつ容易に着脱操作を行うことができる。
【0010】
また、上記(2)の構成により、さらに簡便に、吐水キャップの着脱を行うことができる。
【0011】
また、上記(3)の構成により、吐水キャップの着脱が確実に行えたかを視覚的に確認できる。
【0012】
また、上記(4)の構成により、切替器における吐水キャップの装着開始位置を容易に認識できるので、吐水キャップを容易に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図5】本発明の一実施形態に係る切替器の上側斜視図
【
図6】本発明の一実施形態に係る切替器の下側斜視図
【
図7】本発明の一実施形態に係る切替弁の下側斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の例を、蛇口直結型浄水器を例にとり、図面を参照しながら説明する。
【0015】
なお本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、据置型浄水器の切替器に適用する実施形態など、上記本発明の目的を達成できるものであればよい。
【0016】
また、本発明の実施形態において、切替器を正規使用状態で蛇口に取り付けた時、浄水器(または切替器)の使用者側の面を前面(または正面、または手前)、使用者から離れた奥側を背面(または背後)と呼び、同状態において蛇口側を上面、シンク側を下面と呼ぶ。
【0017】
まず、本発明の一実施形態の全体構成について説明する。
【0018】
図1に、本発明の一実施形態である浄水器1の正面図を示す。浄水器1は、切替器2と切替器2に接続するろ過用のカートリッジ3とで構成される。
【0019】
図2〜
図6に切替器2の図を示す。切替器2は取付けナット11によって蛇口の先端に固定され、
図7に示す切替弁12と、切替弁12を内部に収容する切替器ボディ13と、切替器ボディ13の下方に位置し原水を流出させる吐水キャップ15と、切替弁12とつながり切替器ボディ13の側方に位置する切替レバー14とを有する組立体である。
【0020】
吐水キャップは切替器に着脱可能に備えられるものであって、本実施形態では、切替器2に含まれる切替弁12の原水吐水部21に接続される。この形態以外に、切替器ボディに接続される形態もあり得る。
【0021】
切替弁12は、蛇口から給水される原水の流路を切り替える弁であり、切替弁12に入った原水は、切替レバー14の回転角度によって、原水ストレート、原水シャワー、カートリッジ3への原水供給のいずれかの形態で吐出する。
【0022】
原水ストレート、原水シャワー形態としての原水は、吐水キャップ15の有する原水ストレート吐出口35と原水シャワー吐出口36とで、その形状を形成され、そこから外部に吐出される。
【0023】
吐水キャップ15は着脱可能であり、取り外して洗浄することができるため、原水シャワー吐出口36の多数のシャワー孔に詰まった汚れを取り除き、流量を回復させることができる。従来品では製品の外側からシャワー孔の洗浄を行っていたため、孔の詰まりを一時的に解消することはできても、詰まりの原因がシャワー孔より上流に滞留するためすぐに再度詰まる問題があった。本発明では、吐水キャップ15を取り外してシャワー孔より上流に滞留していた詰まりの原因をも完全に洗い流して除去することにより、目詰まりの発生頻度を大幅に下げることができる。
【0024】
上述の通り、本実施形態では、吐水キャップ15を切替弁12に接続している。切替器ボディに取り付ける別形態の場合では、原水が部材間から漏れ出すことを防ぐために、切替弁と切替器ボディと吐水キャップの少なくとも3部材の成形精度を高め、少なくとも3部材の位置決めをした上で装着して初めて水密状態をつくることが可能となる。これに対し本実施形態では、吐水キャップ15と切替弁12の2部材だけで水密状態がつくられており、成形品の収率が高まる点および容易に水密状態を作れる利点がある。
【0025】
切替器2について
図1〜
図7を用いてさらに詳しく説明する。
【0026】
切替器2に収容される切替弁12は上端に原水入口部16を有し、下端に原水吐水部21を有する。切替弁12の原水吐水部21は
図7のように二重の円筒形状になっており、外側円筒の外壁には、吐水キャップ15を着脱するバヨネット溝22を有する。内側円筒の内側からなる原水ストレート流路23と、内側円筒と外側円筒との間の円環状部分に形成される原水シャワー流路24の、二つの原水吐出用の流路が設けられている。内側円筒の外周には内側Oリング25が装着され、外側円筒の外周には外側Oリング26が装着されている。
【0027】
次に、吐水キャップ15について、説明する。
【0028】
吐水キャップ15は、
図3に示すように、略円形の原水吐出口部分34と、そこからなだらかに連なるヘラ状のツマミ31、および位置表示部位33とを有する。原水吐出口部分34には、円環状領域に配される多数の孔で構成される原水シャワー吐出口36と、中央の円形孔として構成される原水ストレート吐出口35が設けられている。図示はしないが、切替弁12に面する側には、切替弁12の原水吐水部21のバヨネット溝22に係合するバヨネット用の凸32が設けられている。また、原水吐水部21の内側円筒と外側円筒とにそれぞれ相対する内外2つの円筒部分を有する。なお、着脱用のツマミの形状はヘラ状でなく、着脱のために指がかけられる形状であれば良く、例えば棒状であってもよい。
【0029】
吐水キャップ15のツマミ31を指で周方向に押圧し、吐水キャップ15を回動させ、切替弁12のバヨネット溝22に沿ってバヨネット用の凸32を移動させることで、二重の円筒形状になっている切替弁12の原水吐水部21に吐水キャップ15を係合し、取り付けることができる。吐水キャップ15を取り外す場合は、取り付け時とは逆方向にツマミ31を押圧し、吐水キャップ15を逆方向に回動させる。このようにして、吐水キャップ15は、切替器2(の切替弁12)にバヨネット構造で着脱可能に備えられる。(
図3に、吐水キャップ15の着脱時の回動の範囲を矢印で模式的に示した。)バヨネット構造による取り付け方法を採用したため、他の取り付け方法(ネジ結合など)に比べ、吐水キャップの着脱を簡便に行うことが可能となっている。
【0030】
吐水キャップ15を切替弁12の原水吐水部21に取り付けると、内側Oリング25と外側Oリング26とを介して、切替弁12と吐水キャップそれぞれの内側円筒同士および外側円筒同士の間は水密状態にシールされ、漏れのない原水吐出流路が形成される。
本実施形態では、吐水キャップ15に原水ストレートと原水シャワーの2種類の吐出口を設けている。原水は主に食器洗浄時に使用され、勢いよく洗い流せる原水ストレートと、広範囲を一度に洗い流せる原水シャワーを使い分けされる傾向があるため、浄水器にも複数種類の吐出形態を有することが求められる。吐水キャップ15に複数種類の吐出口を設けたため、吐水キャップ15を取り外して、すべての種類の吐出口を洗浄することが可能となり、切替器2をより一層衛生的に維持することができる。原水シャワー吐出口の小さなシャワー孔を洗浄するのに便利な一般の歯ブラシの毛の太さは、約0.2mmであるため、原水シャワー吐出口のシャワー孔の孔径を0.2mmより大きく設計すると、孔の中まで洗浄しやすい効果がある。
【0031】
吐水キャップ15のツマミ31について、説明する。
【0032】
吐水キャップ15の着脱用ツマミ31は、
図2、
図3に示すように、切替器ボディ13の背後に張り出すように配置されている。その切替器ボディ13の背後にまで張り出したツマミ31の端部に指を掛けて押圧し、着脱のために吐水キャップ15を回動させるので、ツマミ31の切替ボディ13背面から外方向への張り出し長さは、指の太さと同程度以上であると好ましく、1cm程度以上であると良い。ツマミ31の張り出しがあっても、それが切替器ボディ2の背後であるので、使用上は差し障りはないが、あまり長いと邪魔になる場合もあるので、ツマミ31の切替ボディ13背面から外方向への張り出し長さは3cm程度以下であると良い。
【0033】
ツマミ31がこのような構成であることにより、その上部が蛇口に固定された切替器2の下から背後に手を回し、手のひらで吐水キャップ15を下から支えながら、切替器ボディ13の背面に指を沿わせつつ、切替器ボディ13の背後に張り出した吐水キャップ15の着脱用ツマミ31を指で周方向に押圧できるので、吐水キャップ15をゆっくりと制動を効かせながら切替器ボディ13に対して移動(回動)させることができる。このため、単にツマミを指で周方向に押圧する時に起こるような勢いのあまり指が滑ってはずれてしまうことや、吐水キャップが勢いよく取り外されることのような不具合を生ずるおそれが少なく、安定的かつ容易に着脱操作を行うことができる。特に、切替器ボディ13背面の輪郭形状が、ツマミ31の回動の軌跡となる円弧と同心の円弧状となっているので、ツマミ31の回動に合わせて、スムーズに切替器ボディ13の背面に指を沿わせることができ、非常に着脱操作がしやすい。また、ツマミ31が、切替器ボディ13の背後に張り出すように径方向に延在していることで、ツマミ31の端部が吐水キャップ15回動中心から遠くなるため、てこの原理より、小さい押圧力で吐水キャップ15を回動することが可能である。
【0034】
上述のように、吐水キャップ15は位置表示部位33を有している。この位置表示部位33の切替器ボディ13に対する位置を、使用者に対して、切替器2前面から視認して示すことができるように、位置表示部位33の配置と大きさは設定されている。本実施形態では、位置表示部位33の中央が、切替器ボディ13前面の中央に位置した時に、吐水キャップ15は装着完了位置となる。また、位置表示部位33の中央が、切替器ボディ13の有する印17の位置に並んだ(一致した)配置が、吐水キャップ15の取り外し完了位置であると共に、切替器2における吐水キャップ15の装着開始位置でもある。
【0035】
以上のような、吐水キャップ15の位置表示部位33、および切替器ボディ13は印17の構成により、吐水キャップ15の着脱が確実に行えたかを視覚的に確認できるし、切替器2における吐水キャップ15の装着開始位置を容易に認識できるので、吐水キャップ15を容易に装着できる。
【0036】
これらの効果をより向上させるために、位置表示部位33にその合わせ位置を明示する印を設けても良いし、切替器ボディ13にさらに装着完了位置を示す印を設けても良い。
【0037】
切替器2は樹脂成形品であると製作しやすく安価である。樹脂材質としては、ポリスチレンやAS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリプロピレンなどが使用可能である。特には、流路の切替を行う切替弁12は、シール機構を有し、繰り返し切替操作を行うことから、成形精度が良く摩擦に強いPOM(ポリオキシメチレン、ポリアセタール)が好ましい。切替器ボディ13、切替レバー14、吐水キャップ15は、外観を担う部分であり、他部材との係合部が多いことから、成形精度や成形性が良く光沢のあるABS樹脂が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、浄水器に限らずストレート状吐水やシャワー状吐水を有する水栓などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0039】
1:浄水器
2:切替器
3:カートリッジ
11:取り付けナット
12:切替弁
13:切替器ボディ
14:切替レバー
15:吐水キャップ
16:原水入口部
17:印
21:原水吐水部
22:バヨネット溝
23:原水ストレート流路
24:原水シャワー流路
25:内側Oリング
26:外側Oリング
31:ツマミ
32:バヨネット用の凸
33:位置表示部位
34:原水吐出口部分
35:原水ストレート吐出口
36:原水シャワー吐出口