(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして電圧変換するコンバータを複数並列に接続し、各スイッチング素子を異なる位相でオンすることによって加算された各コンバータの出力電力を負荷に供給する電源装置において、
前記負荷に供給する電圧を所定電圧とすべく前記コンバータの全てについて各スイッチング素子を順次所定時間だけオン/オフする駆動手段と、
該駆動手段がオン/オフする都度、前記負荷に供給する電圧及び前記所定電圧の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定する判定手段と、
該判定手段が大きいと判定したコンバータの個数を計数する計数手段と、
前記判定手段が大きいと判定したコンバータを特定する情報を記憶する記憶手段と、
各スイッチング素子をオンする位相差を以下の式(1)により算出する第1算出手段と、
前記負荷に供給可能な電流を以下の式(2)により算出する第2算出手段と
を備え、
前記記憶手段が記憶した情報によって特定されるコンバータを除く他のコンバータのスイッチング素子を、前記第1算出手段が算出した位相差でオンするようにしてあり、
前記負荷に供給する電流が、前記第2算出手段が算出した電流より小さくなるようにしてある
ことを特徴とする電源装置。
φ=2π/(n−m)・・・・・・・・・・(1)
Ia=I1(n−m)・・・・・・・・・・(2)
但し、
φ:各スイッチング素子をオンする位相差
n:前記コンバータの総数
m:前記計数手段が計数した個数
Ia:前記負荷に供給可能な電流
I1:前記コンバータの1つが負荷に供給可能な電流
直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして電圧変換するコンバータを複数並列に接続し、各スイッチング素子を異なる位相でオンすることによって加算された各コンバータの出力電力を負荷に供給する電源装置において、
前記負荷に供給する電流を所定電流とすべく前記コンバータの全てについて各スイッチング素子を順次所定時間だけオン/オフする駆動手段と、
該駆動手段がオン/オフする都度、前記負荷に供給する電流及び前記所定電流の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定する判定手段と、
該判定手段が大きいと判定したコンバータの個数を計数する計数手段と、
前記判定手段が大きいと判定したコンバータを特定する情報を記憶する記憶手段と、
各スイッチング素子をオンする位相差を以下の式(1)により算出する第1算出手段と、
前記負荷に供給可能な電流を以下の式(2)により算出する第2算出手段と
を備え、
前記記憶手段が記憶した情報によって特定されるコンバータを除く他のコンバータのスイッチング素子を、前記第1算出手段が算出した位相差でオンするようにしてあり、
前記負荷に供給する電流が、前記第2算出手段が算出した電流より小さくなるようにしてある
ことを特徴とする電源装置。
φ=2π/(n−m)・・・・・・・・・・(1)
Ia=I1(n−m)・・・・・・・・・・(2)
但し、
φ:各スイッチング素子をオンする位相差
n:前記コンバータの総数
m:前記計数手段が計数した個数
Ia:前記負荷に供給可能な電流
I1:前記コンバータの1つが負荷に供給可能な電流
直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして電圧変換するコンバータを複数並列に接続し、各スイッチング素子を異なる位相でオンすることによって加算された各コンバータの出力電力を負荷に供給する電源装置で前記コンバータが異常であるか否かを判定する方法において、
前記負荷に供給する電圧(又は電流)を所定電圧(又は所定電流)とすべく前記コンバータの全てについて各スイッチング素子を順次所定時間だけオン/オフし、
所定時間だけオン/オフする都度、前記負荷に供給する電圧(又は電流)及び前記所定電圧(又は所定電流)の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定し、
大きいと判定した場合、夫々のスイッチング素子を所定時間だけオン/オフしたコンバータが異常であると判定し、
異常であると判定したコンバータの個数を計数し、
異常であると判定したコンバータを特定する情報を記憶し、
各スイッチング素子をオンする位相差を以下の式(1)により算出し、
前記負荷に供給可能な電流を以下の式(2)により算出し、
記憶した情報によって特定されるコンバータを除く他のコンバータのスイッチング素子を、算出した位相差でオンし、
前記負荷に供給する電流が、前記第2算出手段が算出した電流より小さくなるようにする
ことを特徴とする電源装置の異常判定方法。
φ=2π/(n−m)・・・・・・・・・・(1)
Ia=I1(n−m)・・・・・・・・・・(2)
但し、
φ:各スイッチング素子をオンする位相差
n:前記コンバータの総数
m:前記計数手段が計数した個数
Ia:前記負荷に供給可能な電流
I1:前記コンバータの1つが負荷に供給可能な電流
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示された技術では、各コンバータに含まれるスイッチング素子のうち、故障が生じたスイッチング素子が特定され得ないという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多相コンバータのうちの特定のコンバータについて異常の有無を判別することが可能な電源装置及び電源装置の異常判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源装置は、直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして電圧変換するコンバータを複数並列に接続し、各スイッチング素子を異なる位相でオンすることによって加算された各コンバータの出力電力を負荷に供給する電源装置において、前記負荷に供給する電圧を所定電圧とすべく前記コンバータの全てについて各スイッチング素子を順次所定時間だけオン/オフする駆動手段と、該駆動手段がオン/オフする都度、前記負荷に供給する電圧及び前記所定電圧の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定する判定手段と、該判定手段が大きいと判定したコンバータの個数を計数する計数手段と、前記判定手段が大きいと判定したコンバータを特定する情報を記憶する記憶手段と、各スイッチング素子をオンする位相差を以下の式(1)により算出する第1算出手段と
、前記負荷に供給可能な電流を以下の式(2)により算出する第2算出手段とを備え、前記記憶手段が記憶した情報によって特定されるコンバータを除く他のコンバータのスイッチング素子を、前記第1算出手段が算出した位相差でオンするようにしてあ
り、前記負荷に供給する電流が、前記第2算出手段が算出した電流より小さくなるようにしてあることを特徴とする。
φ=2π/(n−m)・・・・・・・・・・(1)
Ia=I1(n−m)・・・・・・・・・・(2)
但し、
φ:各スイッチング素子をオンする位相差
n:前記コンバータの総数
m:前記計数手段が計数した個数
Ia:前記負荷に供給可能な電流
I1:前記コンバータの1つが負荷に供給可能な電流
【0009】
本発明に係る電源装置は、直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして電圧変換するコンバータを複数並列に接続し、各スイッチング素子を異なる位相でオンすることによって加算された各コンバータの出力電力を負荷に供給する電源装置において、前記負荷に供給する電流を所定電流とすべく前記コンバータの全てについて各スイッチング素子を順次所定時間だけオン/オフする駆動手段と、該駆動手段がオン/オフする都度、前記負荷に供給する電流及び前記所定電流の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定する判定手段と、該判定手段が大きいと判定したコンバータの個数を計数する計数手段と、前記判定手段が大きいと判定したコンバータを特定する情報を記憶する記憶手段と、各スイッチング素子をオンする位相差を以下の式(1)により算出する第1算出手段と
、前記負荷に供給可能な電流を以下の式(2)により算出する第2算出手段とを備え、前記記憶手段が記憶した情報によって特定されるコンバータを除く他のコンバータのスイッチング素子を、前記第1算出手段が算出した位相差でオンするようにしてあ
り、前記負荷に供給する電流が、前記第2算出手段が算出した電流より小さくなるようにしてあることを特徴とする。
φ=2π/(n−m)・・・・・・・・・・(1)
Ia=I1(n−m)・・・・・・・・・・(2)
但し、
φ:各スイッチング素子をオンする位相差
n:前記コンバータの総数
m:前記計数手段が計数した個数
Ia:前記負荷に供給可能な電流
I1:前記コンバータの1つが負荷に供給可能な電流
【0013】
本発明に係る電源装置は、前記コンバータは、前記スイッチング素子を介して前記直流電圧が印加されるインダクタを有し、該インダクタに流れる電流を前記スイッチング素子でスイッチングすることによって前記直流電圧を降圧又は昇圧するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電源装置は、前記コンバータは、前記スイッチング素子のオフ期間に前記インダクタに流れる電流を還流させる第2のスイッチング素子を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電源装置の異常判定方法は、直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして電圧変換するコンバータを複数並列に接続し、各スイッチング素子を異なる位相でオンすることによって加算された各コンバータの出力電力を負荷に供給する電源装置で前記コンバータが異常であるか否かを判定する方法において、前記負荷に供給する電圧(又は電流)を所定電圧(又は所定電流)とすべく前記コンバータの全てについて各スイッチング素子を順次所定時間だけオン/オフし、所定時間だけオン/オフする都度、前記負荷に供給する電圧(又は電流)及び前記所定電圧(又は所定電流)の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合、夫々のスイッチング素子を所定時間だけオン/オフしたコンバータが異常であると判定し、異常であると判定したコンバータの個数を計数し、異常であると判定したコンバータを特定する情報を記憶し、各スイッチング素子をオンする位相差を以下の式(1)により算出し、
前記負荷に供給可能な電流を以下の式(2)により算出し、記憶した情報によって特定されるコンバータを除く他のコンバータのスイッチング素子を、算出した位相差でオン
し、前記負荷に供給する電流が、前記第2算出手段が算出した電流より小さくなるようにすることを特徴とする。
φ=2π/(n−m)・・・・・・・・・・(1)
Ia=I1(n−m)・・・・・・・・・・(2)
但し、
φ:各スイッチング素子をオンする位相差
n:前記コンバータの総数
m:前記計数手段が計数した個数
Ia:前記負荷に供給可能な電流
I1:前記コンバータの1つが負荷に供給可能な電流
【0016】
本発明にあっては、複数並列に接続されたコンバータのうち、一のコンバータ単体で負荷に供給する出力電圧が所定電圧となるように、一のコンバータのスイッチング素子を所定時間だけオン/オフした場合、負荷に供給する出力電圧及び所定電圧の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定する。
この判定結果より、スイッチング素子をオン/オフ制御した一のコンバータに異常があるか否かが判定される。
【0017】
本発明にあっては、複数並列に接続されたコンバータのうち、一のコンバータ単体で負荷に供給する出力電流が所定電流となるように、一のコンバータのスイッチング素子を所定時間だけオン/オフした場合、負荷に供給する出力電流及び所定電流の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定する。
この判定結果より、スイッチング素子をオン/オフ制御した一のコンバータに異常があるか否かが判定される。
【0018】
本発明にあっては、並列に接続された全てのコンバータについて、各スイッチング素子を順次所定時間だけオン/オフし、その都度出力電圧及び所定電圧の差分、又は出力電流及び所定電流の差分が所定の閾値より大きいか否かを判定し、大きいと判定したコンバータの個数を計数する。
これにより、異常が有るコンバータが全て特定され、特定されたコンバータの個数に応じた処置が可能となる。
【0019】
本発明にあっては、出力電圧又は出力電流に係る異常を検出したコンバータを特定する情報を記憶しておき、記憶した情報によって特定されるコンバータ以外の他のコンバータのスイッチング素子を、以下の式(1)によって算出した位相差でオンする。
φ=2π/(n−m)・・・・・・・・・・(1)
但し、
φ:各スイッチング素子をオンする位相差
n:前記コンバータの総数
m:前記係数手段が係数した個数
これにより、異常が無いコンバータのスイッチング素子が均等な位相差でオンされる。
【0020】
本発明にあっては、負荷に供給する出力電流が、以下の式(2)によって算出した電流より小さくなるようにする。
Ia=I1(n−m)・・・・・・・・・・(2)
但し、
Ia:前記負荷に供給可能な電流
I1:前記コンバータの1つが負荷に供給可能な電流
n:前記コンバータの総数
m:前記係数手段が係数した個数
これにより、異常が無いコンバータの数に応じて、出力電流の上限が抑制される。
【0021】
本発明にあっては、各コンバータの夫々が有するインダクタにスイッチング素子を介して直流電圧が印加されており、インダクタの夫々に流れる電流をスイッチング素子でスイッチングすることによって、入力された直流電圧を降圧又は昇圧する。
これにより、コンバータが直流電圧を降圧又は昇圧する何れの場合であっても、スイッチング素子をオン/オフ制御した一のコンバータに異常があるか否かが判定される。
【0022】
本発明にあっては、各コンバータの夫々が有するスイッチング素子のオフ期間に夫々のインダクタを流れる電流を第2のスイッチング素子が還流させる。
これにより、第2のスイッチング素子に代えてダイオードを用いた場合と比較して変換効率が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スイッチング素子をオン/オフ制御した一のコンバータに異常があるか否かが判定される。
従って、多相コンバータのうちの特定のコンバータについて異常の有無を判別することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源装置の一構成例を示すブロック図である。図中1は車両に搭載された電源装置であり、電源装置1は、車両のエンジンに連動してオルタネータ2が生成した直流電圧、及び該オルタネータ2によって蓄電された蓄電素子3からの直流電圧を降圧して車載のバッテリ4及び負荷5に供給する。
【0026】
電源装置1は、オルタネータ2及び蓄電素子3からの直流電圧を降圧するn個(nは2以上の自然数)のコンバータCV1,CV2,・・CVnと、コンバータCV1,CV2,・・CVnの夫々を駆動する駆動回路DC1,DC2,・・DCnと、駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々にPWM制御信号1,2,・・nを与える制御部10とを備える。各コンバータCV1,CV2,・・CVnは並列に接続されたいわゆる多相コンバータであり、直流電圧から降圧されてコンデンサC1で平滑化された出力電圧及び出力電流が電流検出回路17を介してバッテリ4及び負荷5に供給される。
【0027】
電流検出回路17は、抵抗器R1及び差動増幅器DA1を有する。出力電流によって抵抗器R1に生じた電圧降下は、差動増幅器DA1で増幅されて出力電流に応じた検出電圧となる。出力電圧は分圧回路18にも印加されており、出力電圧に比例する分圧電圧と、電流検出回路17からの検出電圧とが制御部10にフィードバックされるようになっている。
【0028】
一のコンバータCVk(kはn以下の自然数:以下同様)は、オルタネータ2及び蓄電素子3から供給された直流電圧がドレインに印加されるNチャネル型のMOSFETからなるスイッチング素子(以下、単にスイッチという)Skaと、コンデンサC1に一端が接続されており、スイッチSkaのソースに他端が接続されたインダクタLkと、スイッチSka及びインダクタLkの接続点にドレインが接続されたソース接地のスイッチ(第2のスイッチング素子)Skbとを備える。スイッチSka,Skbは、Pチャネル型のMOSFETであってもよいし、バイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子であってもよい。
【0029】
一の駆動回路DCkは、制御部10から与えられたPWM制御信号kに基づいて、スイッチSka,Skbの夫々を各制御周期で交互にオンするためのオン信号を、スイッチSka,Skbのゲートに印加する。スイッチSkbのゲートには、スイッチSkaのゲートに与えられるオン信号に対して位相が略反転しており、且つ、いわゆるデッドタイムが確保されたオン信号が与えられる。
【0030】
スイッチSkbは接地電位にアノードが接続されたダイオードで置き換えることが可能であるが、ここではダイオードよりもオン抵抗が低いスイッチSkbが、いわゆる同期整流を行うことにより、コンバータCVkの損失が低減される。同期整流によってコンバータCVkの軽負荷時にインダクタLkに流れる電流が逆流する場合は、例えばインダクタLkと直列に抵抗器を介装させてインダクタLkの電流を検知し、逆流を検知したときに駆動回路DCkにてスイッチSkbのオン信号を停止すればよい。
【0031】
制御部10は、CPU11を有するマイクロコンピュータからなる。CPU11は、プログラム等の情報を記憶するROM12、一時的に発生した情報を記憶するRAM13、各駆動回路DC1,DC2,・・DCnとインタフェースするためのI/Oポート14、時間を計時するタイマ15、及びアナログの電圧をデジタルの電圧値に変換するA/D変換器16と互いにバス接続されている。制御部10にフィードバックされた出力電圧の分圧電圧と、電流検出回路17からの検出電圧とは、A/D変換器16に与えられる。
【0032】
上述の構成において、制御部10が、例えば出力電圧に着目する制御を行う場合、内部の基準電圧(不図示)と分圧回路18からの分圧電圧との比較による誤差電圧の高/低に応じてデューティが小/大となるPWM制御信号1,2,・・nの夫々を駆動回路DC1,DC2,・・DCnに与える。これにより、出力電圧が基準電圧に応じた一定の電圧となるように制御される。
【0033】
制御部10は、また、出力電流が一定の電流を超えないようにするために、電流検出回路17からの検出電圧に基づいて、駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々に与えるPWM制御信号1,2,・・nのデューティの増大を制限する。各コンバータCV1,CV2,・・CVnに異常がない場合、駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々に与えられるPWM制御信号1,2,・・nは、制御周期における位相が2π/nずつ異なっている。
【0034】
オルタネータ2及び蓄電素子3からインダクタL1,L2,・・Lnの夫々に流れる電流は、駆動回路DC1,DC2,・・DCnから2π/nの位相差でスイッチS1a,S2a,・・Snaに与えられるオン信号でスイッチングされ、スイッチS1a,S2a,・・Sna夫々のオフ期間にインダクタL1,L2,・・Lnに流れる電流がスイッチS1b,S2b,・・Snbに還流する。
【0035】
このようにして、各インダクタL1,L2,・・Lnの一端からバッテリ4及び負荷5に対して2π/nの位相差で流れる電流が加算されることにより、各コンバータCV1,CV2,・・CVnが出力する電力が加算される。各スイッチS1a,S2a,・・Snaに2π/nの位相差で与えられるオン信号と、各インダクタL1,L2,・・Lnに流れる電流及び加算されてリップルが低減された出力電流との時間関係を示すタイミング図については、上述の特許文献2に詳しいので、ここでの説明を省略する。
【0036】
本実施の形態1では、電源装置1が稼働していないときに、CPU11が各コンバータCV1,CV2,・・CVnを1つずつ試験的に駆動して異常の有無を判定し、異常と判定した場合は、異常と判定されたコンバータ以外のコンバータを駆動して電源装置1を稼働させる。
図2は、本発明の実施の形態1に係る電源装置1で駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々に試験的に与えられるPWM制御信号1,2,・・nを示すタイミング図である。
【0037】
図2では、駆動回路DCe(eは例えば3以上でn−2以下の自然数)に異常が生じた場合を表す。
図2に示す7つのタイミング図では、何れも同一の時間軸を横軸としてあり、縦軸には、図の上からイグニッションのオン/オフ状態、出力電圧、PWM制御信号1のオフ/オン状態、PWM制御信号2のオフ/オン状態、・・PWM制御信号eのオフ/オン状態、・・PWM制御信号n−1のオフ/オン状態、PWM制御信号nのオフ/オン状態を示してある。
【0038】
イグニッションのオン/オフ状態は、例えば制御部10が有する通信部(不図示)によってCPU11が他のECUと通信することにより取得される。イグニッションの状態がオンである間は、CPU11の制御によってPWM制御信号1,2,・・e,・・nがオン/オフに変化する。
図2では、PWM制御信号1,2,・・e,・・nが同じ位相でオン/オフに変化しているように作図されているが、実際にはこれらの位相に2π/nずつのずれがある。
【0039】
時刻t0でイグニッションがオフの状態に変化した場合、PWM制御信号1,2,・・e・・nが停止してコンバータCV1,CV2,・・CVnが駆動されなくなるため、電源装置1の出力電圧が低下して、時刻t1に至るまでの間にバッテリ4の電圧に収束する。ここでは、時刻t1における出力電圧、つまりバッテリ4の電圧をV0とする。
【0040】
時刻t1から時刻tn+1までの間、CPU11は時間T2の間隔で時間T1(所定時間:T2>T1)だけPWM制御信号1,2,・・e・・nを順次生成する。このときの出力電圧の目標は、例えば上述の電圧V0より0.4V高い電圧Vt(所定電圧:Vt=V0+0.4V)とする。電圧Vt及びV0の差分は0.4Vに限定されない。
【0041】
時刻t1でPWM制御信号1の生成を開始した場合、CPU11は、時刻t1から時間T1が経過した時に出力電圧を検出してからPWM制御信号1の生成を停止する。この時に検出した出力電圧及び電圧Vtの差分が、所定の閾値より大きい場合、コンバータCV1が異常であると判定される。
図2に示す例では、時刻t1から時間T1が経過した時の出力電圧が電圧Vtに略等しいため、異常とは判定されない。
【0042】
次に、時刻t1から時間T2が経過した時刻t2で、CPU11は、PWM制御信号2の生成を開始し、時刻t2から時間T1が経過した時に出力電圧を検出してからPWM制御信号2の生成を停止する。この時に検出された出力電圧に基づいてコンバータCV1が異常であるか否かが判定されるのは、CV1の場合と同じである。以下、同様にして、コンバータCVn−1,CVnまで異常であるか否かの判定が繰り返される。
【0043】
CPU11が、コンバータCV1,CV2,・・CVnが異常であるか否かの判定を繰り返す間に、コンバータCVeに対して時刻teから時間T1だけPWM制御信号eを与え続けたにもかかわらず、出力電圧及び電圧Vtの差分が所定の閾値(例えば0.2V)より大きい場合(
図2参照)、コンバータCVeが異常であると判定される。コンバータCVeの異常の原因として第1に考えられるのは、スイッチSeaのオープン故障である。例えば駆動回路DCeの故障内容によっては、出力電圧が電圧Vtより高く検出される場合(不図示)もあり得る。
【0044】
以下では、上述した制御部10の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM12に予め格納されている制御プログラムに従って、制御部10のCPU11により実行される。
図3は、本発明の実施の形態1に係る電源装置1でコンバータCV1,CV2,・・CVnが異常であるか否かを判定するCPU11の処理手順を示すフローチャートである。
【0045】
図3の処理は、例えば時刻t0(
図2参照)にてイグニッションがオフ状態に変化してから適宜の時間が経過した時刻t1に起動されるが、電源装置1の初期化時、一時的な稼働中断時等に起動されるようにしてもよい。図中の処理で用いられる変数j及びmはCPU11のレジスタに記憶されており、図示しない初期化処理でj=1及びm=0に初期化されている。RAM13には、変数jの値を複数記憶する特定領域が確保されており、その特定領域は何も記憶されていない状態に初期化されている。
【0046】
図3の処理が起動された場合、CPU11は、分圧回路18及びA/D変換器16によって出力電圧(Vo)を検出し(S11)、検出した出力電圧Voよりも例えば0.4V高い目標電圧(Vt)を試験的な所定電圧として設定する(S12)。次いで、CPU11は、タイマ15に含まれる2つのタイマA,Bによる計時を開始した(S13)後、PWM制御信号jの生成を開始する(S14)。この時点から、PWM制御信号jのデューティは、コンバータCVjによる出力電圧が目標電圧(Vt)となるように制御される。
【0047】
その後、CPU11は、タイマAが時間T1を計時したか否かを判定し(S15)、まだ時間T1を計時していない場合(S15:NO)、時間T1を計時するまで待機する。タイマAが時間T1を計時した場合(S15:YES)、CPU11は、出力電圧(Vo)を検出した(S16)後、PWM制御信号jの生成を停止する(S17)。
【0048】
次いで、CPU11は、検出した出力電圧(Vo)及び目標電圧(Vt)の差分(|Vo−Vt|)が所定の閾値Vth(例えば0.2V)より大きいか否かを判定し(S18)、大きくない場合(S18:NO)、即ちコンバータCVjが異常ではないと判定される場合、後述するステップS21に処理を移す。
【0049】
出力電圧(Vo)及び目標電圧(Vt)の差分が所定の閾値Vthより大きい場合(S18:YES)、即ちコンバータCVjが異常であると判定される場合、CPU11は、mを1だけインクリメントする(S19)と共に、jの値をRAM13の特定領域に記憶する。これにより、異常と判定されたコンバータCVjを特定する情報jがRAM13に記憶される。
【0050】
次いで、CPU11は、jの値を1だけインクリメントした(S21)後、タイマBが時間T2を計時したか否かを判定し(S22)、まだ時間T2を計時していない場合(S22:NO)、時間T2を計時するまで待機する。タイマBが時間T2を計時した場合(S22:YES)、CPU11は、jがn+1に等しいか否かを判定し(S23)、等しくない場合(S23:NO)、次のPWM制御信号jの生成を開始するためにステップS13に処理を移す。
【0051】
jがn+1に等しい場合(S23:YES)、CPU11は、異常と判定しなかった複数のコンバータを駆動するためのPWM制御信号の位相差φを2π/(n−m)によって算出し(第1算出手段:S24)、算出した位相差φをRAM13に記憶する。CPU11は、また、異常と判定しなかった複数のコンバータによる供給可能電流IaをI1(n−m)によって算出し(第2算出手段:S25)、算出した供給可能電流IaをRAM13に記憶して
図3の処理を終了する。但し、I1は1つのコンバータCVkがバッテリ4及び負荷5に供給可能な電流である。
【0052】
CPU11は、電源装置1を稼働させる場合、以上の処理によって算出されてRAM13に記憶された位相差φに基づいてPWM制御信号1,2,・・n(但し、異常と判定されたコンバータに対するものは除く)を生成する。この場合、CPU11は、出力電流がRAM13に記憶された供給可能電流Iaを越えないように制御する。
【0053】
以上のように本実施の形態1によれば、n個並列に接続されたコンバータCV1,CV2,・・CVnのうち、コンバータCVj(jはn以下の自然数)単体でバッテリ4及び負荷5に供給する出力電圧(Vo)が目標電圧(Vt)となるように、スイッチSjaを時間T1だけオン/オフした場合、出力電圧(Vo)及び目標電圧(Vt)の差分が所定の閾値(Vth)より大きいか否かを判定する。
この判定結果より、スイッチSjaをオン/オフ制御したコンバータCVjに異常があるか否かが判定される。
従って、多相コンバータのうちの特定のコンバータについて異常の有無を判別することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態1によれば、n個並列に接続された全てのコンバータCV1,CV2,・・CVnについて、各スイッチS1a,S2a,・・Snaを順次時間T1だけオン/オフし、その都度出力電圧(Vo)及び目標電圧(Vt)の差分が所定の閾値(Vth)より大きいか否かを判定し、大きいと判定したコンバータの個数(m)を計数する。
従って、異常が有るコンバータを全て特定し、特定したコンバータの個数(m)に応じた処置を行うことが可能となる。
【0055】
更に、本実施の形態1によれば、出力電圧又は出力電流に係る異常を検出したコンバータを特定する情報(具体的には、jをインクリメントする間に異常を検出したときのjの値)をRAM13に記憶しておき、記憶した情報によって特定されるm個のコンバータ以外の(n−m)個のコンバータのスイッチを、2π/(n−m)によって算出した位相差φでオンする。
従って、異常が無いコンバータのスイッチを均等な位相差でオンすることが可能となる。
【0056】
更に、本実施の形態1によれば、異常を検出したコンバータ以外の(n−m)個のコンバータによって、バッテリ4及び負荷5に供給する出力電流が、I1(n−m)よって算出した電流Iaより小さくなるようにする。
従って、異常が無いコンバータの数に応じて、出力電流の上限を抑制することが可能となる。
【0057】
(実施の形態2)
実施の形態1が、コンバータCV1,CV2,・・CVnが直流電圧を降圧する形態であるのに対し、実施の形態2は、コンバータCV1,CV2,・・CVnが直流電圧を昇圧する形態である。
図4は、本発明の実施の形態2に係る電源装置1の一構成例を示すブロック図である。
図4に示す電源装置1と、実施の形態1の
図1に示す電源装置1とでは、各コンバータCV1,CV2,・・CVnの構成に違いがある。
【0058】
電源装置1は、オルタネータ2及び蓄電素子3からの直流電圧を昇圧するn個(nは2以上の自然数)のコンバータCV1,CV2,・・CVnと、コンバータCV1,CV2,・・CVnの夫々を駆動する駆動回路DC1,DC2,・・DCnと、駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々にPWM制御信号1,2,・・nを与える制御部10とを備える。各コンバータCV1,CV2,・・CVnは並列に接続されたいわゆる多相コンバータであり、直流電圧から昇圧されてコンデンサC1で平滑化された出力電圧及び出力電流が電流検出回路17を介してバッテリ4及び負荷5に供給される。
【0059】
一のコンバータCVk(kはn以下の自然数:以下同様)は、オルタネータ2及び蓄電素子3から供給された直流電圧が一端に印加されるインダクタLkと、該インダクタLkの他端にドレインが接続されたソース接地のスイッチ(スイッチング素子)Skaと、コンデンサC1にソースが接続されており、インダクタLk及びスイッチSkaの接続点にドレインが接続されたスイッチ(第2のスイッチング素子)Skbとを備える。
【0060】
スイッチSkbはコンデンサC1にカソードが接続されたダイオードで置き換えることが可能であるが、ここではダイオードよりもオン抵抗が低いスイッチSkbが、いわゆる同期整流を行うことにより、コンバータCVkの損失が低減される。同期整流によってコンバータCVkの軽負荷時にインダクタLkに流れる電流が逆流する場合は、例えばインダクタLkと直列に抵抗器を介装させてインダクタLkの電流を検知し、逆流を検知したときに駆動回路DCkにてスイッチSkbのオン信号を停止させればよい。
【0061】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その説明を省略する。また、実施の形態2に係る電源装置1で、駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々に試験的に与えられるPWM制御信号1,2,・・nを示すタイミング図と、コンバータCV1,CV2,・・CVnが異常であるか否かを判定するCPU11の処理手順を示すフローチャートとは、実施の形態1の場合と同様であるため、これらの図面の記載及びその説明を省略する。
【0062】
以上のように本実施の形態2によれば、n個並列に接続されたコンバータCV1,CV2,・・CVnのうち、コンバータCVj(jはn以下の自然数)単体でバッテリ4及び負荷5に供給する出力電圧(Vo)が目標電圧(Vt)となるように、スイッチSjaを時間T1だけオン/オフした場合、出力電圧(Vo)及び目標電圧(Vt)の差分が所定の閾値(Vth)より大きいか否かを判定する。
この判定結果より、スイッチSjaをオン/オフ制御したコンバータCVjに異常があるか否かが判定される。
従って、多相コンバータのうちの特定のコンバータについて異常の有無を判別することが可能となる。
【0063】
また、実施の形態1又は2によれば、コンバータCV1,CV2,・・CVnの夫々が有するインダクタL1,L2,・・LnにスイッチS1a,S2a,・・Snaを介して直流電圧が印加されており、インダクタL1,L2,・・Lnの夫々に流れる電流をスイッチS1a,S2a,・・Snaでスイッチングすることによって、入力された直流電圧を降圧又は昇圧する。
これにより、コンバータCVjが直流電圧を降圧又は昇圧する何れの場合であっても、スイッチSjaオン/オフ制御したコンバータCVjに異常があるか否かを判定することが可能となる。
【0064】
更に、実施の形態1及び2によれば、各コンバータCV1,CV2,・・CVn夫々のスイッチS1a,S2a,・・Snaのオフ期間に夫々のインダクタL1,L2,・・Lnを流れる電流をスイッチS1b,S2b,・・Snbが還流させる。
これにより、スイッチS1b,S2b,・・Snbに代えてダイオードを用いた場合と比較して変換効率を向上させることが可能となる。
【0065】
(実施の形態3)
実施の形態1が、制御部10が出力電圧に着目する制御を行う形態であるのに対し、実施の形態2は、制御部10が出力電流に着目する制御を行う形態である。制御部10は、内部の基準電圧(不図示)と電流検出回路17からの検出電圧との比較による誤差電圧の高/低に応じてデューティが小/大となるPWM制御信号1,2,・・nの夫々を駆動回路DC1,DC2,・・DCnに与える。これにより、出力電流が基準電圧に応じた一定の電流となるように制御される。
【0066】
制御部10は、また、出力電圧が一定の電圧を超えないようにするために、分圧回路18からの分圧電圧に基づいて、駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々に与えるPWM制御信号1,2,・・nのデューティの増大を制限する。各コンバータCV1,CV2,・・CVnに異常がない場合、駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々に与えられるPWM制御信号1,2,・・nは、制御周期における位相が2π/nずつ異なっている。
【0067】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
本実施の形態3では、電源装置1が稼働していないときに、CPU11が各コンバータCV1,CV2,・・CVnを1つずつ試験的に駆動して異常の有無を判定し、異常と判定した場合は、異常と判定されたコンバータ以外のコンバータを駆動して電源装置1を稼働させる。
図5は、本発明の実施の形態3に係る電源装置1で駆動回路DC1,DC2,・・DCnの夫々に試験的に与えられるPWM制御信号1,2,・・nを示すタイミング図である。
【0069】
図5では、駆動回路DCe(eは例えば3以上、且つn−2以下の自然数)に異常が生じた場合を表す。
図5に示す7つのタイミング図では、何れも同一の時間軸を横軸としてあり、縦軸には、図の上からイグニッションのオン/オフ状態、出力電流、PWM制御信号1のオフ/オン状態、PWM制御信号2のオフ/オン状態、・・PWM制御信号eのオフ/オン状態、・・PWM制御信号n−1のオフ/オン状態、PWM制御信号nのオフ/オン状態を示してある。
【0070】
時刻t0でイグニッションがオフの状態に変化した場合、PWM制御信号1,2,・・e・・nが停止してコンバータCV1,CV2,・・CVnが駆動されなくなるため、電源装置1の出力電流が減少して、時刻t1に至るまでの間に略0に収束する。ここでは、時刻t1における出力電流をI0とする。
【0071】
時刻t1から時刻tn+1までの間、CPU11は時間T2の間隔で時間T1(所定時間:T2>T1)だけPWM制御信号1,2,・・e・・nを順次生成する。このときの出力電流の目標は、例えば上述の電流I0より0.4A多い電流It(所定電流:It=I0+0.4A)とする。電流It及びI0の差分は0.4Aに限定されない。
【0072】
時刻t1でPWM制御信号1の生成を開始した場合、CPU11は、時刻t1から時間T1が経過した後に出力電流を検出してからPWM制御信号1の生成を停止する。このときに検出した出力電流及び電流Itの差分が、所定の閾値より大きい場合、コンバータCV1が異常であると判定される。
図5に示す例では、時刻t1から時間T1が経過した時の出力電流が電流Itに略等しいため、異常とは判定されない。
【0073】
次に、時刻t1から時間T2が経過した時刻t2で、CPU11は、PWM制御信号2の生成を開始し、時刻t2から時間T1が経過した時に出力電流を検出してからPWM制御信号2の生成を停止する。この時に検出された出力電流に基づいてコンバータCV1が異常であるか否かが判定されるのは、CV1の場合と同じである。以下、同様にして、コンバータCVn−1,CVnまで異常であるか否かの判定が繰り返される。
【0074】
CPU11が、コンバータCV1,CV2,・・CVnが異常であるか否かの判定を繰り返す間に、コンバータCVeに対して時刻teから時間T1だけPWM制御信号eを与え続けたにもかかわらず、出力電流及び電流Itの差分が所定の閾値(例えば0.2A)より大きい場合(
図5参照)、コンバータCVeが異常であると判定される。コンバータCVeの異常の原因として第1に考えられるのは、スイッチSeaのオープン故障である。例えば駆動回路DCeの故障内容によっては、出力電流が電流Itより多く検出される場合(不図示)もあり得る。
【0075】
以下では、上述した制御部10の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図6は、本発明の実施の形態3に係る電源装置1でコンバータCV1,CV2,・・CVnが異常であるか否かを判定するCPU11の処理手順を示すフローチャートである。
【0076】
図6の処理は、例えば時刻t0(
図2参照)にてイグニッションがオフ状態に変化してから適宜の時間が経過した時刻t1に起動される。
図6の処理中のステップS32〜S35、S37、S39〜S45は、実施の形態1における
図3に示すステップS12〜S15、S17、S19〜S25と同じ処理内容であるため、その説明の大部分を省略する。
【0077】
図6の処理が起動された場合、CPU11は、電流検出回路17及びA/D変換器16によって出力電流(Io)を検出し(S31)、検出した出力電流Ioよりも例えば0.4A多い目標電流(It)を試験的な所定電流として設定する(S32)。次いで、CPU11は、タイマ15に含まれる2つのタイマA,Bによる計時を開始した(S33)後、PWM制御信号jの生成を開始する(S34)。この時点から、PWM制御信号jのデューティは、コンバータCVjによる出力電流が目標電流(It)となるように制御される。
【0078】
その後、ステップS35で、タイマAが時間T1を計時した場合(S35:YES)、CPU11は、出力電流(Io)を検出した(S36)後、PWM制御信号jの生成を停止する(S37)。
【0079】
次いで、CPU11は、検出した出力電流(Io)及び目標電流(It)の差分(|Io−It|)が所定の閾値Ith(例えば0.2A)より大きいか否かを判定し(S38)、大きくない場合(S38:NO)、即ちコンバータCVjが異常ではないと判定される場合、後述するステップS41に処理を移す。
【0080】
出力電流(Io)及び目標電流(It)の差分が所定の閾値Ithより大きい場合(S38:YES)、即ちコンバータCVjが異常であると判定される場合、CPU11は、mを1だけインクリメントする(S39)と共に、jの値をRAM13の特定領域に記憶する。これにより、異常と判定されたコンバータCVjを特定する情報jがRAM13に記憶される。
【0081】
ステップS41以降の処理内容については、上述のとおり
図3におけるステップS21以降の処理内容と同一であるため、これらのステップにおける処理内容の説明を省略する。
【0082】
以上のように本実施の形態3によれば、n個並列に接続されたコンバータCV1,CV2,・・CVnのうち、コンバータCVj(jはn以下の自然数)単体でバッテリ4及び負荷5に供給する出力電流(Io)が目標電流(It)となるように、スイッチSjaを時間T1だけオン/オフした場合、出力電流(Io)及び目標電流(It)の差分が所定の閾値(Vth)より大きいか否かを判定する。
この判定結果より、スイッチSjaをオン/オフ制御したコンバータCVjに異常があるか否かが判定される。
従って、多相コンバータのうちの特定のコンバータについて異常の有無を判別することが可能となる。
【0083】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。