【実施例】
【0026】
以下に、実施例および比較例により、一層具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。「部」とあるものは特に断りのない限り、すべて「重量部」を意味するものとする。
【0027】
<樹脂ワニスr(a)の調製>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコにてKOREA CNC社製硝化綿「KCNC1/16G」40部(イソプロピルアルコール10部含む)、酢酸エチル60部を窒素気流下で攪拌しながら40℃、2時間溶解させて、固形分30%の樹脂ワニスr(a)を得た。
【0028】
<樹脂ワニスr(b)の調製>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコにて日本製紙ケミカル株式会社製塩素化ポリオレフィン樹脂「スーパークロンHP620」30部、トルエン70部を窒素気流下で攪拌しながら60℃、2時間溶解させて、固形分30%の樹脂ワニスr(b)を得た。
【0029】
<樹脂ワニスr(c)の調製>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコにて日信化学株式会社製塩化ビニル―酢酸ビニル共重合樹脂「ソルバインA」30部、メチルエチルケトン70部を窒素気流下で攪拌しながら60℃、2時間溶解させて、固形分30%の樹脂ワニスr(d)を得た。
【0030】
<樹脂ワニスr(d)の調製>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコにて荒川化学株式会社製ライムロジン樹脂30部、トルエン70部を窒素気流下で攪拌しながら60℃、2時間溶解させて、固形分30%の樹脂ワニスr(d)を得た。
表1に樹脂ワニスを記す。
【0031】
<カーボンブラックの選定>
本実施例では以下のカーボンブラックを使用し、紙用グラビア墨インキ組成物を作成した。
cb(a):コロンビヤンカーボン社製「ラーベン1040パウダー」(DBP吸油量 100ml/100g)
cb(b):東海カーボン社製「シーストSVH」(DBP吸油量 140ml/100g)
cb(c):三菱化学社製「ミツビシカーボン#30」(DBP吸油量 113ml/100g)
cb(d):コロンビヤンカーボン社製「ラーベン1060ウルトラパウダー」(DBP吸油量 50ml/100g)
cb(e):コロンビヤンカーボン社製「ラーベン2000パウダー」(DBP吸油量 70ml/100g)
cb(f):コロンビヤンカーボン社製「ラーベン1080ウルトラパウダー」(DBP吸油量 60ml/100g)
cb(g):コロンビヤンカーボン社製「ラーベン510ウルトラパウダー」(DBP吸油量 90ml/100g)
cb(h):東海カーボン社製「シースト116HM」(DBP吸油量 158ml/100g)
cb(i):デグサ社製「プリンテックス35パウダー」(DBP吸油量 42ml/100g)
cb(j):東海カーボン社製「シースト300」(DBP吸油量 75ml/100g)
【0032】
本明細書において、実施例14〜16は参考例である。
[実施例1]
<紙用グラビア墨インキ組成物1の調製>
樹脂ワニスr(a):30部、高吸油量カーボンブラックcb(a):5部、低吸油量カーボンブラックcb(e):5部、溶剤として酢酸エチル:10部を混合し、サンドミルで混練しミルベースを作成した。これに、離合社製のザーンカップNo.3で15秒になるように樹脂ワニスr(a)と溶剤の比率を調整して樹脂ワニスr(a)12部、酢酸エチル38部を加え紙用グラビア墨インキ組成物1を作成し印刷に使用した。
<印刷物の作成方法>
得られた印刷インキ組成物1をイワセ印刷機械株式会社のベビー印刷機を用い、コンベンショナル30μベタ版にてノンコート紙(XJ 斤量64g/m2、紀州製紙株式会社製
)に印刷し、印刷物1Pを得た。
【0033】
[実施例2〜16、比較例1〜10]
実施例2〜16、比較例1〜10はそれぞれ表1、表2に示す配合比にて、実施例1と同様の方法で紙用グラビア墨インキ組成物2〜26を製造した。実施例9〜13では、さらに無機フィラーf(a):二酸化珪素(サイリシア350 富士シリシア株式会社製)、f(b):炭酸マグネシウム(炭酸マグネシウム金星 神島化学工業株式会社製)f(c):炭酸カルシウム(白艶華T−DD 白石カルシウム株式会社製)、f(d):硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウムBM−110 堺化学工業株式会社製)をミルベース作成時に混合し、サンドミルにて混練した。
【0034】
実施例1〜16、比較例1〜10で得た印刷物について、黒色感とノンコート紙接着性を、実施例1〜16、比較例1〜10で得た墨インキ組成物について、印刷適性の評価を行った。以下に評価方法と評価基準を示す。結果を表2,3に記す。
【0035】
<黒色感>
印刷物の濃度をX−RITE濃度計にて評価した。実用可能レベルは△以上である。
◎:墨濃度が1.3以上である。
○:墨濃度が1.2以上〜1.3未満である
△:墨濃度が1.1以上1.2未満である。
×:墨濃度が1.1未満である。
【0036】
<ノンコート紙接着性>
印刷物に1.2cm幅ニチバン株式会社製セロハンテープを貼り付け、剥離させ剥離時の界面を観察した。実用可能レベルは△以上である。
○:原紙が剥ける。
△:原紙が剥ける部分、インキ塗膜が取られる部分が同時に発生する。
×:インキ塗膜が取られる。
【0037】
<印刷適性>
NBR(ニトリルブタジエンゴム)製のゴム硬度80Hsの圧胴、刃先の厚みが60μm(母材の厚み40μm、片側セラミック層の厚み10μm)のセラミックメッキドクターブレード、東洋プリプレス株式会社製電子彫刻版(スタイラス角度120度、250線/inch)、および印刷インキ組成物を富士機械工業株式会社製グラビア印刷機にセットしドクター圧2kg/cm
2、100m/分の回転速度で版を30分間空転した後に、片面コロナ処理OPPフィルム「パイレンP2161(東洋紡績株式会社製)」のコロナ処理面に、印刷速度100m/分で印圧2kg/cm
2で印刷、60℃の熱風で乾燥し、印刷物の余白部分(非画像部)に付着したインキの量を以下の基準で目視評価した。実用可能レベルは△以上である。
○:非画像部にインキの転移が全く認められなかった。
△:非画像部の小面積にインキの転移が認められた。
×:非画像部全面にインキの転移が認められた。
【0038】
実施例1〜16にて調製した印刷インキ組成物は良好な黒色感、ノンコート紙接着性、印刷適性を得ることができた。一方比較例1、2、3、5、7、10では良好な黒色感を持つ印刷物を得ることができなかった。また、比較例4、8では印刷物のノンコート紙接着性が悪く、比較例6、9では印刷適性が悪い結果となった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】