(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながら、本発明に係る光源装置および投射装置の好適な実施形態を説明する。係る実施形態に示す具体的な数値および外観構成などは、本発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本発明に直接関係のない要素は詳細な説明および図示を省略している。
【0011】
本発明の各実施形態では、光源から射出された第1の色の光を、それぞれ第1の色の第1の光と第2の光とに分割する。分割した光のうち第2の光を、第1の面および第2の面それぞれで第1の色の光を反射し、第2の色成分と第3の色成分とを含む第4の色を少なくとも第1の面から第2の面へと透過するダイクロイックミラーの第1の面に導く。ダイクロイックミラーの第1の面で反射された第2の光は、第1の色の光に励起されて第4の色の光を発光する蛍光体面に照射される。蛍光体面で第2の光に励起されて発光された第4の色の第3の光は、ダイクロイックミラーを第1の面から第2の面に向けて透過して射出される。また、第1の光は、リレー光学系を介してダイクロイックミラーの第2の面に導かれて反射され、ダイクロイックミラーを透過した第3の光と共に射出される。
【0012】
各実施形態に係る光源装置は、上述したような構成を有するため、1の光源で三原色の光を得ることができる。そのため、各実施形態に係る光源装置を投射装置の光源として用いた場合、例えば長時間の使用により光源の特性が変化した場合の投射画像の色温度の変動を抑制できる。
【0013】
さらに、第1の実施形態に係る光源装置は、第2の光を拡散板により拡散させてダイクロイックミラーに導くようにして、蛍光体面に照射される光を分散している。これにより、蛍光体の信頼性が向上されると共に、蛍光体の励起効率を向上させることができる。
【0014】
また、第2の実施形態に係る光源装置において、第2の光を蛍光体面に照射させて第3の光を得る光路と、第1の光のリレー光路とを互いに交わる面上にそれぞれ形成し、光学系を立体的に構成している。これにより、光源装置をよりコンパクトに構成することが可能となる。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る光源装置の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る光源装置1の一例の構成を示す。なお、以下において、適宜、青色の光をB光、緑色の光をG光、赤色の光をR光、黄色の光をY光と記述する。
【0016】
図1(a)において、光源100は、例えば1以上の青色レーザ素子を含み、青色として視認される所定の波長帯の光(B光)を射出する。光源100は、単一の青色レーザ素子で構成してもよいし、複数の青色レーザ素子がアレイ状に配列されたレーザアレイであってもよい。光源100から射出されたB光は、集光レンズ101を介して分割ミラー102に入射される。
【0017】
分割ミラー102は、入射されたB光を第1のB光および第2のB光に分割する。すなわち、分割ミラー102は、入射されたB光のうち一部を反射して第1のB光とし、残りを透過させて第2のB光とする。分割ミラー102は、例えば誘導体薄膜ミラーを用いることができる。これに限らず、分割ミラー102は、金属薄膜や反射型偏光板、ドットビームスプリッタなどを適用することもできる。
【0018】
分割ミラー102を透過した第2のB光は、第1拡散板103を介して拡散されて、第1ダイクロイックミラー104の第1面に入射される。この第1ダイクロイックミラー104と後述する第2ダイクロイックミラー110は、B光の波長帯域の光を反射し、B光の波長帯域よりも長波長の帯域の光(例えば赤色光や緑色光)を透過させる特性を備える。第1ダイクロイックミラー104に入射された第2のB光は、第1ダイクロイックミラー104の第1面で反射され、集光レンズ105および106を介して、モータ202により回転駆動される蛍光体ホイール200に入射される。
【0019】
図1(b)は、蛍光体ホイール200の一例の構成を示す。蛍光体ホイール200は、ミラー状の表面に、同心円状に蛍光体面201が形成される。蛍光体面201は、B光の波長帯域の光により励起されて、黄色光(Y光)を発光する蛍光体が塗布されてなる。なお、加色法において黄色は緑色と赤色とを混合して得られるので、蛍光体面201で発光される黄色光は、赤色成分と緑色成分とを含む。
【0020】
ここで、第2のB光は、第1拡散板103を介して拡散されてから、蛍光体面201に照射される。これにより、蛍光体面201において第2のB光が分散されて照射され、蛍光体面201における蛍光体のB光によるダメージが抑制され、蛍光体の信頼性が向上される。また、蛍光体は、照射される光の光密度が一定値を超えると、発熱などにより励起効率が低下する特性がある。第1拡散板103により第2のB光を拡散させることで、蛍光体に照射される第2のB光の光密度が下がり、蛍光体の励起効率を高めることができる。
【0021】
図2を用いて、第1の実施形態に係る第1拡散板103の効果について、より具体的に説明する。なお、
図2において、
図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図2では、
図1における分割ミラー102、第1ダイクロイックミラー104および集光レンズ106を省略している。
【0022】
光源100は、複数の青色レーザ素子を含み、複数のレーザ光を射出する。この複数のレーザ光は、第1拡散板103でそれぞれ拡散され、入射角が連続して変化した光とされて集光レンズ105に入射される。集光レンズ105において、入射された光が入射角に応じて屈折されて、射出される。したがって、蛍光体面201には、光源100から射出されたレーザ光が略一様な光密度の光となって照射される。
【0023】
蛍光体面101で発光されたY光は、第1ダイクロイックミラー104を透過し、第2面から射出されて第2ダイクロイックミラー110の第1面に入射される。上述したように、第2ダイクロイックミラー110は、Y光を透過する特性を有する。そのため、Y光は、第2ダイクロイックミラー110の第2面からY光のまま射出される。
【0024】
一方、分割ミラー102から射出された第1のB光は、レンズ136および第2拡散板107を介してミラー108に入射される。第2拡散板107は、第1のB光を拡散して、光束の太さをY光と揃えるために用いられる。なお、この光源装置1において、第2拡散板107は必須の構成ではない。第1のB光は、ミラー108で方向を変更され、レンズ109を介して第2ダイクロイックミラー110の第2面に入射される。上述したように、第2ダイクロイックミラー110は、B光を反射する特性を有する。そのため、第1のB光は、第2ダイクロイックミラー110の第2面で反射されて方向を変更されて射出される。この第1のB光は、上述した、第2ダイクロイックミラー110を透過したY光と同じ方向に射出される。
【0025】
このように、レンズ136、第2拡散板107、ミラー108およびレンズ109により、第1のB光を第2ダイクロイックミラー110に導くリレー光学系が構成される。
【0026】
以下、第2ダイクロイックミラー110から射出された第1のB光を、単にB光と呼ぶ。
【0027】
第2ダイクロイックミラー110から射出されたY光およびB光は、ミラー111で反射され方向を変更される。なお、光源装置1のレイアウトによっては、このミラー111は省略することができる。
【0028】
ミラー111から射出されたY光およびB光は、フライアイレンズ112および113を介してレンズ114に入射される。フライアイレンズ112および113は、Y光およびB光に基づく各光を後述する各光変調素子119、125および128に照射する際に、各光が各光変調素子119、125および128に均一に照射されるように分散させる均一照明光学系を構成する。
【0029】
Y光およびB光は、レンズ114から射出され、B光とY光とを分離する光分離器115に入射される。光分離器115は、例えばB光の波長帯域の光を反射しY光の波長帯域の光を透過させる第1のダイクロイックミラーと、Y光の波長帯域の光を反射しB光の波長帯域の光を透過させる第2のダイクロイックミラーとを含む。光分離器115で分離されたB光は、光分離器115から射出されてミラー116に入射される。また、光分離器115で分離されたY光は、光分離器115から射出されてミラー121に入射される。
【0030】
ミラー116に入射されたB光は、レンズ117を介して反射型偏光板118に入射される。反射型偏光板118は、S偏光およびP偏光のうち一方の偏光を透過し、他方の偏光を反射する。ここでは、レンズ117から射出されたB光がS偏光であり、後述する光変調素子119で反射された光がP偏光であって、反射型偏光板118がS偏光を透過し、P偏光を反射する特性を有するものとする。
【0031】
反射型偏光板118を透過したB光は、光変調素子119に入射される。光変調素子119は、B色の画像信号に従い駆動され、入射された光を画素毎に変調および反射して射出する。光変調素子119としては、例えば反射型液晶素子を適用することができる。光変調素子119に適用可能な素子は、反射型液晶素子に限られない。例えば、DMD(Digital Mirror Device)を光変調素子119に適用することもできる。
【0032】
光変調素子119でB色の画像信号に応じて画素毎に変調されたB光は、反射型偏光板118で反射されて方向を変更されて射出され、光合成プリズム120に第1の面から入射される。
【0033】
光分離器115で分離されミラー121に入射されたY光は、ミラー121で反射され方向を変更されてミラー121から射出される。ミラー121から射出されたY光は、色成分分離器122に入射され、Y光から緑色光成分と赤色光成分とが分離される。例えば、色成分分離器122は、緑色光の波長帯域の光を反射し、赤色光の波長帯域の光を透過させるダイクロイックミラーを用いて構成される。
【0034】
色成分分離器122でY光から分離された緑色成分の光(緑色光。以下、G光)は、レンズ123を介して反射型偏光板124に入射される。上述のB光と同様に、G光がS偏光であるものとし、G光は、反射型偏光板124を透過して、G色の画像信号に従い駆動される光変調素子125に入射される。光変調素子125は、入射されたG光をG色の画像信号に応じて画素毎に変調および反射して射出する。光変調素子125から射出されたG光は、反射型偏光板124で反射されて光合成プリズム120に第2の面から入射される。
【0035】
色成分分離器122でY光から分離された赤色成分の光(赤色光。以下、R光)は、レンズ126を介して反射型偏光板127に入射される。上述のB光と同様に、R光がS偏光であるものとし、R光は、反射型偏光板127を透過して、R色の画像信号に従い駆動される光変調素子128に入射される。光変調素子128は、入射されたR光をR色の画像信号に応じて画素毎に変調および反射して射出する。光変調素子128から射出されたR光は、反射型偏光板127で反射されて光合成プリズム120に第3の面から入射される。
【0036】
光合成プリズム120は、それぞれ第1の面、第2の面および第3の面から入射されたB光、G光およびR光を合成して、ひとまとまりの光束として第4の面から射出する。光合成プリズム120から射出されたR光、G光およびB光を含む光束は、投射光学系129を介して外部に射出される。
【0037】
以上のように、第1の実施形態による光源装置1は、1の光源100を用いてR光、G光およびB光を生成している。そのため、光源装置1は、光源100の特性が例えば時間経過に伴い変化した場合であっても、R光、G光およびB光のバランスが変化せず、投射光の色温度の変動を抑制することができる。
【0038】
また、第1の実施形態に係る光源装置1は、第2のB光を第1拡散板103により拡散させて第1ダイクロイックミラー104に導くようにして、蛍光体面201に照射される光を分散している。これにより、蛍光体の信頼性が向上されると共に、蛍光体の励起効率を向上させることができる。
【0039】
ここで、第1の実施形態に係る光源装置1では、光源100から射出されるB光を分割する手段(分割ミラー102)と、当該B光を蛍光体面201に照射させる手段(第1ダイクロイックミラー104)とを別個に設けている。そして、B光を拡散する第1拡散板103を、これら分割ミラー102と第1ダイクロイックミラー104との間に配置している。そのため、蛍光体面201に照射させるB光と、蛍光体面201から射出されるY光とのうち、第1拡散板103を、蛍光体面201に照射させるB光を選択的に適用させることができる。
【0040】
光源から射出されるB光を分割する手段と、当該B光を蛍光体面に照射させる手段とを1のダイクロイックミラーなどにより共通して構成し、部品点数を削減することも可能である。しかしながら、この場合、蛍光体面に照射させるB光を拡散する拡散板は、当該1のダイクロイックミラーと蛍光体面との間に配置せざるを得ず、蛍光体面から射出されるY光も拡散されてしまう。
【0041】
なお、
図1(a)に示した構成に対し、蛍光体ホイール200または集光レンズ106および105に、位置調整機構を備えると、蛍光体面201における励起効率をより向上させることができ、好ましい。また、光源装置1に用いられる各レンズは、ハーシェル条件を満たしているのが望ましい。
【0042】
さらに、第1ダイクロイックミラー104および第2ダイクロイックミラー110は、黄色反射および青色透過のタイプよりも、上述した光源装置1に用いた青色反射および黄色透過のタイプの方が効率がよく、用いて好適である。
【0043】
さらにまた、光源100からのB光を分割する分割ミラー102に金属薄膜を用いたタイプのミラーを適用した場合、場所に応じて透過・反射特性の異なる金属薄膜を位置調整して、分割の割合を変更することが可能である。また、分割ミラー102として反射型偏光板を用いた場合、面内の回転調整によって透過・反射特性を調整して、分割の比率を調整することが可能である。
【0044】
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。第1の実施形態の第1の変形例は、蛍光体面201に照射されるB光を拡散する第1拡散板103として、光を所定の範囲内に拡がるように拡散させ、光強度の分布を所定の範囲で均一化する強度均一化素子を用いている。
図3を用いて、本第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
【0045】
図3(a)は、第1の実施形態の第1の変形例による光学系の一例の構成を、概略的に示す。複数の青色レーザ素子を含む光源300から射出されたレーザ光は、レンズ301を介して、この第1の変形例に係る強度均一化素子310に入射され、強度均一化素子310から射出されたレーザ光がレンズ303を介して青色のB光として蛍光体面304に照射される。
【0046】
蛍光体面304は、照射されたB光に励起されてY光を発光する。このY光は、図示されない光成分分離部などを介して例えばR光が分離され、照明光学系305に入射される。照明光学系305は、複数のレンズ320および322と、ライトパイプ321とを含む。照明光学系305に入射されたR光は、入射側のレンズ320を介してライトパイプ321に入射される。ライトパイプ321は、入射したR光を内壁にて散乱させ、射出面において光強度を均一化して射出する。ライトパイプ321から射出されたR光は、射出側のレンズ322を介して照明光学系305から射出され、R色の画像信号に応じて画素毎に駆動される光変調素子306に照射される。
【0047】
ライトパイプ321を用いることで、光変調素子306に照射される光の画素領域における光強度が均一化され、良好な投射画像を得ることができる。
【0048】
第1の変形例では、強度均一化素子310として、入射した光が略矩形状の角度分布で射出されるように回折パターンが設定された回折格子を用いる。このような回折格子としては、Holo / Or Ltd (Israel)製のホモジナイザ(Homogenizers)を適用することができる。この回折格子素子を用いることで、光強度分布を矩形状に整形することが可能である。
【0049】
図3(b)は、
図3(a)の所定位置において、強度均一化素子310を用いない場合と、強度均一化素子310として拡散板を用いた場合と、強度均一化素子310として上述した回折格子素子を用いた場合とで、光強度の分布を比較した図である。
【0050】
蛍光体面304の位置で比較した場合、強度均一化素子310を用いない場合の光強度分布400は、例えば蛍光体面304の中央部で突出している。これに対して、強度均一化素子310として拡散板および回折格子素子を用いた場合とでは、光強度分布401および402にそれぞれ示されるように、蛍光体面304に対して分散しているのが分かる。特に、強度均一化素子310として回折格子素子を用いた場合は、光強度分布402に例示されるように、光強度を、所定の範囲である値に均一とし、それ以外の範囲では略0になるように制御できる。
【0051】
さらに、ライトパイプ321の入口部分においては、強度均一化素子310を用いない場合には、光強度分布400’に例示されるように、ライトパイプ321の開口径rに対して極めて狭い範囲に集中してしまっている。この場合、ライトパイプ321内での光の散乱の度合いが低くなると考えられ、射出面における強度分布が均一にならないことが予測される。また、強度均一化素子310として拡散板を用いた場合には、光強度分布401’に例示されるように、ライトパイプ321の開口径rに対して強度分布がはみ出てしまっている。これは、ライトパイプ321に向けて射出された光が有効に利用できないことを意味する。
【0052】
一方、強度均一化素子310として上述の回折格子素子を用いた場合には、光強度分布402’に例示されるように、ライトパイプ321に入射される光の強度分布の範囲をライトパイプ321の開口径rに応じた範囲に制御することが可能である。したがって、ライトパイプ321に向けて射出された光を有効利用することが可能であると共に、ライトパイプ321内での散乱も十分行われ、射出面において極めて均一な射出光を得ることができる。
【0053】
図4は、第1の実施形態の第1の変形例に係る、強度均一化素子310として上述した回折格子素子を用いた場合の光源装置の例を示す。なお、
図4において、上述の
図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0054】
図4において、光源装置1aは、
図1の第1拡散板103の代わりに、換言すれば、分割ミラー102と第1ダイクロイックミラー104との間に、回折格子素子150を配置する。また、光源装置1aにおいて、
図1のレンズ117、123および126の位置に、それぞれ上述のレンズ320および322、ならびに、ライトパイプ321を含む照明光学系151、152および153を配置する。このような構成とすることで、各光変調素子119、125および128に照射するB光、G光およびR光の均一性を向上させることができ、光源装置1aを投射装置に適用した場合に、より高画質な投射画像を得ることができる。
【0055】
なお、
図4において、集光レンズ105が通常のレンズであるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、集光レンズ105は、面内で回折ピッチを変えることで集光作用を持たせた回折レンズを用いてもよい。集光レンズ106についても同様である。またこの場合、回折格子素子150と集光レンズ105とを一体的に構成することも可能である。
【0056】
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。第1の実施形態の第2の変形例は、蛍光体面201に照射される光および蛍光体面201から射出する光を偏光させることで、光源100から射出されるB光を有効に利用するようにしている。
図5を用いて、本第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
【0057】
図5(c)は、
図5(a)および
図5(b)で用いる記号の凡例を示している。すなわち、「●(黒丸)」は、S偏光の直線偏光を示し、上下矢印は、P偏光の直線偏光を示し、弧状矢印は、円偏光を示し、「●」に上下矢印を添えた記号はランダム偏光を示す。なお、
図5(a)および
図5(b)において、上述の
図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、
図5(a)および
図5(b)において、集光レンズ101および分割ミラー102は、省略されている。
【0058】
図5(a)は、本第2の変形例を適用しない場合の例を模式的に示す。光源100から射出され第1ダイクロイックミラー104で反射されたB光は、例えば光路1001に従って集光レンズ105および106を介して蛍光体面201に照射される。蛍光体面201でB光に励起されて発光されたY光は、光路1002に従い第1ダイクロイックミラー104を透過し射出される。
【0059】
ここで、光源100から射出されたB光は、図示されない拡散板で拡散されてから第1ダイクロイックミラー104で反射され、蛍光体面201に照射される。そのため、B光は、蛍光体面201のみならず、蛍光体ホイール200上の、蛍光体面201以外の位置にも照射される可能性がある。この場合、蛍光体ホイール200は、表面がミラー状とされているため、この蛍光体面201以外の位置に照射されたB光は、蛍光体ホイール200のミラー部分により反射され、第1ダイクロイックミラー104に向かう。また、蛍光体面201に照射されても、蛍光体を励起せずに蛍光体面201で反射されてしまうB光も存在する。このような、蛍光体ホイール200で蛍光体の励起に寄与しないで反射されたB光は、光路1004で示されるように、第1ダイクロイックミラー104で反射されてしまう。したがって、この光路1004のように反射されたB光は、最終的な投射光に寄与しないことになる。
【0060】
図5(b)は、本第2の変形例に係る構成の例を模式的に示す。本第2の変形例では、
図5(b)に例示されるように、第1ダイクロイックミラー104’と集光レンズ105との間に、λ/4波長板160を配置する。λ/4波長板160は、通過する光の円偏光と直線偏光とを互いに変換する。λ/4波長板160を2回通過することで、直線偏光の偏光方向をP偏光およびS偏光の間で変えることができる。
【0061】
図6は、第2の変形例に適用可能な第1ダイクロイックミラー104’の特性の例を示す。第1ダイクロイックミラー104’は、P偏光とS偏光とで透過率特性が異なる。第1ダイクロイックミラー104’は、光源100から射出される青色レーザ光の波長帯域の下限よりも短波長の光に対して透過率Tが低くなる。一方、S偏光については、青色レーザ光の波長帯域の上限よりも長波長の光に対して透過率Tが高くなる。換言すれば、第1ダイクロイックミラー104’は、青色レーザ光に関して、P偏光では透過するが、S偏光では反射させる。
【0062】
本第2の変形例では、第1ダイクロイックミラー104’のこの特性と、上述したλ/4波長板160とを用いて、蛍光体ホイール200のミラー部分で反射されたB光を有効活用する。
【0063】
図5(b)を参照し、光源100から射出されるB光は、直線偏光・S偏光であるものとする。このB光は、
図6の説明に従い、第1ダイクロイックミラー104’において反射され、λ/4波長板160を通過して円偏光に変換される。この円偏光のB光が蛍光体ホイール200で反射されて再びλ/4波長板160を通過すると、直線偏光に変換される。このとき、当該B光は、λ/4波長板160を2回通過したことと等価となり、光源100から射出された際のS偏光がP偏光に変換されて、光路1012に従い第1ダイクロイックミラー104’から射出される。
図6の説明に従い、P偏光のB光は、第1ダイクロイックミラー104’を透過できる。
【0064】
図7は、
図5(b)に示される構成に従いλ/4波長板を追加した場合の光源装置の例を示す。なお、
図7において、上述の
図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0065】
図7において、光源装置1bは、
図5(b)の例に従い、第1ダイクロイックミラー104’と集光レンズ105との間にλ/4波長板160を配置する。
図5(b)を用いて説明したように、蛍光体ホイール200で反射されたB光は、λ/4波長板160でP偏光に変換されて第1ダイクロイックミラー104’を透過する。この、第1ダイクロイックミラー104’を透過したB光は、第2ダイクロイックミラー110’に入射される。
【0066】
ここで、第2ダイクロイックミラー110’の特性を、第1ダイクロイックミラー104’の特性と同一とすると、第1ダイクロイックミラー104’を透過して第2ダイクロイックミラー110’に入射されたB光は、第2ダイクロイックミラー110’を透過して射出されることになる。したがって、この第1ダイクロイックミラー104’から到来したB光は、ミラー108で反射されて第2ダイクロイックミラー110’に入射された第1のB光と共に、第2ダイクロイックミラー110’から射出される。
【0067】
このように、本第2の変形例では、蛍光体ホイール200において励起に寄与せずに反射されたB光を有効に利用することができ、光源装置1bを投射装置に適用した場合に、より高画質な投射画像を得ることができる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、光源100からのB光を第1ダイクロイックミラー104を介して蛍光体ホイール200に照射させる第1の光路と、当該B光を第1ダイクロイックミラー104および蛍光体ホイール200を関与せずにバイパスさせるリレー光学系による第2の光路とを、同一平面上または1の平面に平行な平面上に構成していた。これに対して、本第2の実施形態では、これら第1の光路と第2の光路とを、互いに交わる2の平面のそれぞれに構成する。
【0069】
図8は、第2の実施形態に係る光源装置の主要部分の一例の構成を示す。
図8(a)は、当該主要部分の正面図、
図8(b)は、
図8(a)の構成を矢印「A」の方向から見た側面図である。以下、特に記載のない限り、
図8(a)および
図8(b)をまとめて
図8として説明する。
【0070】
なお、
図8の構成は、上述した
図1の光源装置1の構成における光源100から第2ダイクロイックミラー110までの構成に対応する。
図1におけるミラー111から投射光学系129までの構成は、この第2の実施形態にそのまま適用できるので、ここでの説明を省略する。
【0071】
図8において、1以上の青色レーザ素子を含む光源500から射出されたB光は、集光レンズ501を介して分割ミラー502に入射する。分割ミラー502は、上述の分割ミラー102に対応し、入射されたB光を、第1のB光および第2のB光に分割する。以下では、図面において識別容易なように、第1のB光をB
1光、第2のB光をB
2光と記述する。
【0072】
分割ミラー502で反射されて分割されたB
2光は、レンズ503、ミラー504、ミラー506、レンズ507およびミラー508により構成されるリレー光学系を介してダイクロイックミラー505の第2面に入射される。このリレー光学系上の光路は、第1の平面上に構成される。これに限らず、リレー光学系上の光路を、第1の平面上と、第1の平面と平行な他の平面上とに構成してもよい。
【0073】
ダイクロイックミラー505は、上述した第1のダイクロイックミラーと対応するもので、B光の波長帯域の光を反射し、B光の波長帯域よりも長波長の帯域の光(例えば赤色光や緑色光)を透過させる特性を備える。
【0074】
一方、分割ミラー502を透過して分割されたB
1光は、ダイクロイックミラー505の第1面に入射される。
【0075】
ここで、第2の実施形態では、ダイクロイックミラー505は、入射された光を、第1の平面に対して交わる方向に反射するように設けられる。
図8(a)の例では、ダイクロイックミラー505は、光源500から射出され分割ミラー502で透過して分割されたB
1光が反射された反射光が、
図8(a)の手前側から奥側に向けた光路に沿って進むように設けられる。すなわち、ダイクロイックミラー505で反射された光による光路は、第1の平面に対して互いに交わる第2の平面上に構成される。
【0076】
ダイクロイックミラー505で反射されたB
1光は、集光レンズ509および510を介して蛍光体ホイール600に入射される。蛍光体ホイール600は、上述した蛍光体ホイール200に対応するもので、ミラー状の表面に、同心円状に蛍光体面601が形成され、モータ602に回転駆動される。蛍光体面601は、上述の蛍光体面201と同様に、B光の波長帯域の光により励起されて、黄色光(Y光)を発光する蛍光体が塗布されてなる。
【0077】
なお、分割ミラー502とダイクロイックミラー505との間に、拡散板を配置することができる。これにより、第1の実施形態にて説明した通り、蛍光体面601においてB
1光が分散されて照射され、蛍光体のダメージが抑制され蛍光体の信頼性が向上されると共に、蛍光体の励起効率を高めることができる。
【0078】
蛍光体面601で発光されたY光は、集光レンズ510および509を介してダイクロイックミラー505の第1面に入射される。このY光は、ダイクロイックミラー505を透過して、ダイクロイックミラー505の第2面から射出される。
図8(a)の例では、ダイクロイックミラー505の位置において、奥側から手前側に向けてY光が射出されることになる。
【0079】
ここで、上述したように、ダイクロイックミラー505の第2面には、B
2光がリレー光学系を介して入射されている。このB
2光は、ダイクロイックミラー505の第2面により反射され、Y光と同じ方向に射出される。すなわち、B
2光の光路は、ダイクロイックミラー505により、第1の平面上の光路から第2の平面上の光路へと、方向が変換される。
【0080】
このようにしてダイクロイックミラー505から射出されたY光およびB
2光は、例えば
図1のミラー111以降の光路を辿り、Y光がR光およびG光に分離されてR、G、B各色の光が形成される。これらRGB各色の光は、それぞれRGB各色の画像信号により駆動される光変調素子で変調され、投射光学系から射出される。
【0081】
このように、第2の実施形態においても、上述の第1の実施形態と同様に、1の光源500を用いてR光、G光およびB光を生成している。そのため、第2の実施形態を適用した光源装置は、光源500の特性が例えば時間経過に伴い変化した場合であっても、R光、G光およびB光のバランスが変化せず、投射光の色温度の変動を抑制することができる。
【0082】
また、第2の実施形態では、光源500からのB光をダイクロイックミラー505を介して蛍光体ホイール600に照射させる第1の光路と、当該B光をダイクロイックミラー505および蛍光体ホイール600を関与せずにバイパスさせるリレー光学系による第2の光路とを、互いに交わる2の平面のそれぞれに構成した立体的な構造となっている。そのため、ダイクロイックミラーが1枚で済み、よりコンパクトな構成が可能である。また、立体的な構造を可能とすることで、各部品のレイアウトの自由度が増し、これによっても、よりコンパクトな構成が可能となる。
【0083】
なお、上述では、ダイクロイックミラー505が、B
1光をリレー光学系による光路の面と垂直な方向に反射させるように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、ダイクロイックミラー505がB
1光を他の角度で反射させるように配置することも可能である。
【0084】
(第2の実施形態の第1の変形例)
次に、第2の実施形態の第1の変形例について説明する。第2の実施形態の構成においても、上述の第1の実施形態の第1の変形例と同様に、蛍光体面601に照射されるB
1光を拡散するために、強度均一化素子として回折格子素子を配置することができる。
【0085】
図9は、第2の実施形態の第1の変形例による構成の例を示す。この
図9は、第2の実施形態の構成に対して回折格子素子を配置する例である。なお、
図9において、上述の
図8と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、
図9(a)は正面図、
図9(b)は、
図9(a)において矢印Aで示される方向から見た側面図を示す。
【0086】
図9に例示されるように、上述の回折格子素子150と同等の特性を有する回折格子素子550を、分割ミラー502とダイクロイックミラー505との間に配置する。また、図示は省略するが、R光、G光およびB光それぞれが光変調素子に向かう光路に、
図4と同様にして照明光学系151、152および153を配置する。
【0087】
これにより、第2の実施形態の構成においても、RGB各色の光変調素子に照射するB光、G光およびR光の均一性を向上させることができ、第2の実施形態に係る光源装置を投射装置に適用した場合に、より高画質な投射画像を得ることができる。
【0088】
(第2の実施形態の第2の変形例)
次に、第2の実施形態の第2の変形例について説明する。第2の実施形態の構成においても、上述の第1の実施形態の第2の変形例と同様に、蛍光体面601に照射される光および蛍光体面601から射出する光を偏光させて、光源500から射出されるB光を有効に利用させる構成を採用することができる。
【0089】
図10は、第2の実施形態の第2の変形例による構成の例を示す。この
図10は、第2の実施形態の構成に対してλ/4波長板を配置する例である。なお、
図10において、上述の
図8と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、
図10(a)は正面図、
図10(b)は、
図10(a)において矢印Aで示される方向から見た側面図を示す。
【0090】
図10に例示されるように、λ/4波長板560を、ダイクロイックミラー505’と集光レンズ509との間に配置する。ダイクロイックミラー505’は、
図6を用いて説明した特性を有するものとする。また、光源500は、S偏光の青色レーザ光を射出するものとする。
【0091】
この構成において、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、分割ミラー502で分割されダイクロイックミラー505’で反射されたたB
1光は、λ/4波長板560で円偏光に変換されて蛍光体ホイール600に入射される。蛍光体ホイール600で蛍光体の励起に寄与しないで反射されたB
1光は、λ/4波長板560を再び通過し、その際に、偏光がP偏光に変換される。このP偏光に変換されたB
1光は、ダイクロイックミラー505を透過して、蛍光体の励起により発光されたY光と同一の方向に射出される。
【0092】
このように、第2の実施形態の第2の変形例においても、蛍光体ホイール600において励起に寄与せずに反射されたB光を有効に利用することができ、第2の実施形態の第2の変形例に係る光源装置を投射装置に適用した場合に、より高画質な投射画像を得ることができる。