特許第6233003号(P6233003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233003
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】コークス強度の決定方法
(51)【国際特許分類】
   C21B 5/00 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   C21B5/00 302
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-265975(P2013-265975)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-120965(P2015-120965A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 薫
(72)【発明者】
【氏名】宇治澤 優
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−104007(JP,A)
【文献】 特開昭56−077305(JP,A)
【文献】 特開昭63−134606(JP,A)
【文献】 特開平08−127809(JP,A)
【文献】 特開2006−241493(JP,A)
【文献】 特開平07−278623(JP,A)
【文献】 米国特許第04844737(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 3/00〜 5/06
C21B 11/00〜15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉の炉容積に応じて、高炉の安定操業に必要なコークス強度を決定するコークス強度の決定方法であって、
基準となる炉容積の高炉において使用した際に安定操業が確認されているコークスのドラム強度を基準となるドラム強度として定め、
前記基準となる炉容積の高炉とは異なる炉容積であり、コークス強度を決定する対象の高炉において、
前記対象の高炉内で充填層の荷下がりに伴いコークスが受ける累積の力学的衝撃エネルギーを、下記の式(1)を用いて表わし、
式(1)右辺、粉発生速度及び粉発生エネルギーの関係式(5)、並びに粉発生エネルギーと圧縮強度との関係を用いて、前記基準となる炉容積の高炉において使用した際に安定操業が確認されているコークスの圧縮強度を1とした時に、前記基準となる炉容積の高炉と前記対象の高炉において炉内で発生するコークス粉量が等価となる相対圧縮強度を求め、圧縮強度とドラム強度との関係を用いて前記相対圧縮強度を相対ドラム強度に変換し、前記基準となるドラム強度を用いて前記相対ドラム強度を絶対値のドラム強度に換算し、前記対象の高炉の安定操業に必要なコークス強度を、前記により求められたドラム強度以上と決定することを特徴とするコークス強度の決定方法。
【数1】
【数2】
ここで、σij、eij、u、FVC、および、Ecokeはそれぞれ、充填層応力、速度勾配、荷下がり速度、微小区間内でのコークス充填層の体積割合、および、累積の力学的衝撃エネルギーであり、W、および、E/Mはそれぞれ、単位コークス充填層体積当たりの粉発生速度、および、粉発生エネルギーである
【請求項2】
前記圧縮強度と粉発生エネルギーとの関係は下記の式(6)で表わされ、かつ、前記圧縮強度とドラム強度との関係は下記の式(10)で表わされることを特徴とする、請求項1に記載のコークス強度の決定方法。
【数3】
【数4】
ここで、E/M、S(MPa)、および、DI15015(%)はそれぞれ、粉発生エネルギー、圧縮強度、および150回転後の15mm以上の粉割合を表すコークスドラム強度である。
【請求項3】
前記基準となる炉容積を5370(m)、前記基準となるドラム強度を84.5(%)として定め、下記の式(2)を満たすドラム強度を有するコークスを用いることを特徴とする請求項に記載のコークス強度の決定方法
【数5】
ここで、DI15015(%)は150回転後の15mm以上の粉割合を表すドラム強度であり、BF(mは炉容積を表す。
【請求項4】
容積が1700m以下の高炉において、前記基準となる炉容積を5370(m)、前記基準となるドラム強度を84.5(%)として定め、下記の式(3)(4)を満たすドラム強度を有するコークスを用いることを特徴とする請求項に記載のコークス強度の決定方法
【数6】
【数7】
ここで、DI15015(%)は150回転後の15mm以上の粉割合を表すコークスドラム強度であり、BF(mは炉容積を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス強度の決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炉頂からコークスと鉄鉱石を交互にかつ層状に装入し、炉下部の羽口から熱風及び、微粉炭を吹き込み銑鉄を製造する高炉において、コークスは熱源、および、還元剤としての役割を果たすと同時に、スペーサー(ガスを通過させるための空隙を確保するもの)としての役割も果す。
【0003】
この役割を果たすため、コークスには、強度が高く、容易に粉化せず、かつ粒度が適当な大きさ(25〜75mm程度)で揃っていること等が要求される。
強度が低いコークスを用いた場合、コークス粒子が炉上部から降下するに従い炉壁あるいはコークス粒子同士の摩擦により粉化、細粒化し、大きな粒子同士の空隙を埋めるため通気性が著しく阻害され、還元性のガスが炉下部から炉上部へ流れるのをさまたげ通気性が悪化する。このような場合、銑鉄の生産量が低下し、更にはいわゆる吹き抜けやスリップ現象を誘引し、操業の継続が困難になることがある。
【0004】
ここで吹き抜けとは、通気抵抗が全体的に上昇した際に、炉下部で生成される還元性ガスが、通気抵抗が小さい局所に爆発的に上昇する現象を指している。このような場合、局部的に上昇するガス流れにより層状に堆積された装入物の分布が乱れることになる。
【0005】
また、スリップ現象とは吹き抜け現象のやや軽いもので、多くはある円周方向の壁側付近の荷下がりの停滞箇所が生じ、その後一定の時間経過後に一方位の荷下がりが一気に生じる(すべり落ちる)ことにより、装入物分布が乱れる現象をいう。
吹き抜けあるいはスリップ現象のいずれかが生じて装入物の分布が乱れると、通気性がさらに悪化したり、酸化鉄の還元不良等を生じるため、高炉操業に極めて悪い影響を与えるのみならず、圧力の上昇により高炉炉体への機械的ダメージを与えたり、急激に高温ガスが噴出することによる諸設備への熱的悪影響を与えたりすることも懸念される。
このように吹き抜けあるいはスリップ現象が生ずるとその悪影響が大きいことから、これらの現象が生ずるのを回避するため、高炉で使用されるコークスの強度は、注意深く管理しなければならない。
【0006】
強度の管理指標としては、150回転後の15 mm以上の粉割合を表すコークスドラム強度DI15015が多く用いられ、これは値が大きいほど高強度であることを示す指数である。
焼結鉱の粉化性状と還元材比、コークス強度と還元材比との関係から、還元材比に対応して必要とされるコークス強度を規定する発明の記載がある(特許文献1)。
また、高炉へ吹き込む水素投入量との関係から、必要とされるコークスドラム強度を規定する発明の記載がある(特許文献2)。
また、高炉増産時の羽口風速の増加に対応したコークスドラム強度を規定する発明の記載がある(特許文献3)。
また、コークスの粉発生量は、コークスに与えられる力学的衝撃エネルギーに依存し、その力学的衝撃エネルギーが大きいほど増加する。高炉内において、コークスは充填層を形成しており、充填層内に形成される応力場において生起している荷下がり運動がコークスに対して、力学的衝撃エネルギーを加えるという記載がある(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4586407号公報
【特許文献2】特許第4894989号公報
【特許文献3】特許第4714545号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hideyuki YAMAOKA, et al, ISIJ International, Vol. 43 (2003), No. 1, p 44-53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の発明は、燒結鉱粉化特性(RDI)を良くすればコークス強度(DI)は緩和できるとするものであり、高炉内で発生する粉特性からコークス強度(DI)を規定するものはない。
特許文献2に記載の発明は、高炉への水素吹き込み量を増加し、HによるFeOの還元を増やせば、コークスの劣化が減少し、コークス強度(DI)は緩和できるとするものであり、高炉内で発生する粉特性からコークス強度(DI)を規定するものではない。
特許文献3に記載の発明は、増産のために送風量を増加する際、羽口径を縮小し、羽口風速を増加し、レースウェイ深度を深くして、レースウェイへのコークス降下領域を拡大する。羽口風速の増加し対応してコークスドラム強度を増加するもので、高炉内で発生する粉特性からコークス強度(DI)を規定するものではない。
非特許文献1の記載では、コークス強度を変更せずに高炉内におけるコークスの粉発生量を低減する為には、荷下がり運動による力学的衝撃エネルギーを低減させることが必要である。
【0010】
しかしながら荷下がり運動による力学的衝撃エネルギーは高炉内充填層の応力場に支配され、高炉内充填層の応力は炉容積、炉体形状に支配されているため、通常の操業条件の範囲で荷下がり運動による力学的衝撃エネルギーを制御することは困難である。
【0011】
安定した高炉操業には高強度のコークスを用いることが非常に重要である。
しかしながら、高強度コークスを製造するためには、その原料として粘結性を有する高価な原料炭を必要とし、そのために要するコストは莫大なものとなる。
【0012】
高炉内で発生するコークスの粉は、炉内充填層応力場で形成される荷下がりによってコークスが受ける力学的衝撃エネルギーに依存する。高炉内でコークスが受ける力学的衝撃エネルギーは高炉の大きさによって異なるが、これまで高炉の大きさによってコークスが受ける力学的衝撃エネルギーがどの程度変化するのかわかっていなかった。
本発明の目的は、高炉に必要なコークス強度を決定するコークス強度の決定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、コークスが受ける力学的衝撃エネルギーを検討し、高炉に必要なコークス強度についての知見を得た。
本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0014】
本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
<1>高炉の炉容積に応じて、高炉の安定操業に必要なコークス強度を決定するコークス強度の決定方法であって、
基準となる炉容積の高炉において使用した際に安定操業が確認されているコークスのドラム強度を基準となるドラム強度として定め、
前記基準となる炉容積の高炉とは異なる炉容積であり、コークス強度を決定する対象の高炉において、
前記対象の高炉内で充填層の荷下がりに伴いコークスが受ける累積の力学的衝撃エネルギーを、下記の式(1)を用いて表わし、
式(1)右辺、粉発生速度及び粉発生エネルギーの関係式(5)、並びに粉発生エネルギーと圧縮強度との関係を用いて、前記基準となる炉容積の高炉において使用した際に安定操業が確認されているコークスの圧縮強度を1とした時に、前記基準となる炉容積の高炉と前記対象の高炉において炉内で発生するコークス粉量が等価となる相対圧縮強度を求め、圧縮強度とドラム強度との関係を用いて前記相対圧縮強度を相対ドラム強度に変換し、前記基準となるドラム強度を用いて前記相対ドラム強度を絶対値のドラム強度に換算し、前記対象の高炉の安定操業に必要なコークス強度を、前記により求められたドラム強度以上と決定することを特徴とするコークス強度の決定方法。
【数1】
【数2】
ここで、σij、eij、u、FVC、および、Ecokeはそれぞれ、充填層応力、速度勾配、荷下がり速度、微小区間内でのコークス充填層の体積割合、および、累積の力学的衝撃エネルギーであり、W、および、E/Mはそれぞれ、単位コークス充填層体積当たりの粉発生速度、および、粉発生エネルギーである
<2>前記圧縮強度と粉発生エネルギーとの関係は下記の式(6)で表わされ、かつ、前記圧縮強度とドラム強度との関係は下記の式(10)で表わされることを特徴とする、<1>に記載のコークス強度の決定方法。
【数3】
【数4】
ここで、E/M、S(MPa)、および、DI15015(%)はそれぞれ、粉発生エネルギー、圧縮強度、および150回転後の15mm以上の粉割合を表すコークスドラム強度である。
<3>前記基準となる炉容積を5370(m)、前記基準となるドラム強度を84.5(%)として定め、下記の式(2)を満たすドラム強度を有するコークスを用いることを特徴とする<2>に記載のコークス強度の決定方法
【数5】
ここで、DI15015(%)は150回転後の15mm以上の粉割合を表すドラム強度であり、BF(mは炉容積を表す。
<4>容積が1700m以下の高炉において、前記基準となる炉容積を5370(m)、前記基準となるドラム強度を84.5(%)として定め、下記の式(3)(4)を満たすドラム強度を有するコークスを用いることを特徴とする請求項2に記載のコークス強度の決定方法
【数6】
【数7】
ここで、DI15015(%)は150回転後の15mm以上の粉割合を表すコークスドラム強度であり、BF(mは炉容積を表す。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高炉に必要なコークス強度を規定する高炉の操業方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】炉容積と羽口レベルのコークスの力学的衝撃エネルギー累積値の関係を示す図。
図2】炉容積と相対圧縮強度の関係を示す図。
図3】コークスドラム強度と圧縮強度の関係を示す図。
図4】炉容積と相対コークスドラム強度の関係を示す図。
図5】炉容積とドラム強度の関係(実績値と等価ライン)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(コークスの力学的衝撃エネルギーについて)
発明者らは、高炉の総合評価モデルを用いて、高炉内の力学的衝撃エネルギーを計算するとともに、炉容積に応じたコークスの必要強度を算出した。以下に高炉の総合評価モデルの構成と高炉内の力学的衝撃エネルギー計算方法を示す。
高炉の総合評価モデルの基本構成は、高炉内で生起する、固体、気体、液体の運動、伝熱、反応を連成して同時解析し、非定常的に炉内状態を予測するモデルである(非特許文献2、非特許文献3)。
【0018】
(非特許文献2)Kouji TAKATANI, et al, ISIJ International, vol. 39(1999), No. 1,p 15-22
(非特許文献3)Kouji TAKATANI, CAMP-ISIJ, Vol.18(2005), p72
【0019】
ここで、固体の運動(荷下がり)に関しては剛塑性体モデルを適用し、高炉の操業条件から応力場を推定し、力学的衝撃エネルギーを計算する機能を有する。ここで、力学的衝撃エネルギーは、以下の式(1)を求めることによって計算できる。
【0020】
【数8】
ここで、σij、eij、u、FVC、および、Ecokeはそれぞれ、充填層応力、速度勾配、荷下がり速度、微小区間内でのコークス充填層の体積割合、および、累積の力学的衝撃エネルギーである。
【0021】
高炉内において、充填層の荷下がり運動の起点は羽口部で生じるコークスの燃焼消滅である。従って、上式で計算される羽口レベルでのコークスの力学的衝撃エネルギー累積値はコークスが炉頂に装入されてから、羽口レベルまでに達するまでに生成するコークスの粉発生量に対応する。
【0022】
図1に炉容積と炉頂から羽口レベルまでにコークスが受ける力学的衝撃エネルギー累積値の関係を示す。
本結果は、高炉の炉容積が小さいほど、コークスの力学的衝撃エネルギー累積値が小さく、コークスが炉頂に装入されてから羽口レベルに達するまでに発生する粉量が低減することを示している。従って、高炉の炉容積を小さくすることによって、相対的にコークス強度に余裕が生じる為、コークス強度を緩和することが可能となる。この計算に使用した高炉の炉体形状のデータを表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
(炉内でコークスが必要とする圧縮強度について)
他方、高炉の各部位での粉発生速度は、(1)式右辺の力学的衝撃エネルギーを粉発生エネルギーで除することにより計算することができる。
【0025】
【数9】
ここで、W、E/Mは、それぞれ、単位コークス充填層体積当たりの粉発生速度、粉発生エネルギーである。
【0026】
粉発生エネルギーは非特許文献1によれば、圧縮強度の1.4乗に比例することが実験的に導かれている。
【0027】
【数10】
上記結果を用いて、炉容積毎に相対的に同じ粉発生量となるコークスの圧縮強度を計算することができる。
【0028】
図2に炉容積と必要相対圧縮強度の関係を示す。5370 mの高炉において使用するコークスの圧縮強度を1とした時に、炉内で発生するコークス粉量が等価となる相対的な圧縮強度である。本結果は、小型高炉ほど、コークスの強度を低減できることを示している。
【0029】
(炉容積と等価コークスドラム強度の関係について)
他方、コークスの圧縮強度とドラム強度の関係は非特許文献1に示されている。
図3にコークスドラム強度と圧縮強度の関係を示す。
これらの関係を用いると、炉容積毎に相対的に同じ粉発生量となるコークスのドラム強度を計算することができる。
図4に炉容積と等価の相対コークスドラム強度の関係を示す。
等価の相対コークスドラム強度を炉容積の関数として、次式に示す。
【0030】
【数11】
ここで、DI、DI、は150回転後の15mm以上の粉割合を表すコークスドラム強度DI15015であり、前者は制御するコークスドラム強度、後者は基準となるコークスドラム強度である。また、VBFは炉容積を表す。基準となる炉容積は5370mとした。
【実施例】
【0031】
上記知見の妥当性を過去の操業実績データを用いて評価する。炉容積とコークスドラム強度の過去の実績データの関係を調査した。
図5に炉容積とドラム強度の関係(実績値と等価ライン)を示す。ここで、図5中のラインは、基準となる操業実績値(図5中の●)に基づき、(5)式を用いて計算したものである。ここで、基準となる高炉の炉容積は、5370 m3とし、基準となるコークスドラム強度は、安定操業が確認されている84.5 とした。コークスドラム強度の操業実績値は本ラインよりも全て上側に位置しており、基準操業よりも少ない炉内粉発生状態で操業している。本操業実績値は、高炉が安定に操業された時のデータであり、本ラインは操業が不安定化する限界を表すものではないが、本発明を用いれば、既に安定操業が確認されているコークス強度データに基づき、異なる炉容積の高炉において、コークス粉発生量が等価となるコークス強度を計算することができる。上記ラインを式で表現すれば、以下のようになる。
【0032】
【数12】
ここで、VBFは炉容積を表す。
従って、実際の操業では、次式を満たすドラム強度のコークスを使用すればよい。
【0033】
【数13】
他方、1700m3以下の小型高炉に関しては、これまでの操業実績からドラム強度下限値は炉容積に対して次式のような関係がある。
【0034】
【数14】
上記操業実績と本発明を勘案すれば、1700 m3以下の小型高炉の操業においてコークス強度は、次式のように緩和することが可能である。
【0035】
【数15】
ここで、
【数16】
である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
高炉に必要なコークス強度を決定する高炉の操業方法に利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5