(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記昇圧回路(Uh)は、昇圧トランス(Th)をさらに具備し、前記昇圧元電圧源(Vs)から前記昇圧トランス(Th)の1次側巻線(Lp)に流れる電流の経路に前記スイッチ素子(Qh)を介挿し、前記昇圧トランス(Th)の2次側巻線(Ls)が前記ダイオード(Dh)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
前記昇圧回路(Uh)は、昇圧インダクタ(Lh)をさらに具備し、前記昇圧元電圧源(Vs)から前記昇圧インダクタ(Lh)に流れる電流の経路に前記スイッチ素子(Qh)を介挿し、前記スイッチ素子(Qh)がオフ状態に遷移するときに発生するフライバック電圧が前記ダイオード(Dh)を介して出力されることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
前記昇圧回路(Uh)は、前記スイッチ素子によって駆動されるインバータ回路(Uc)と、該インバータ回路(Uc)によって交流電圧を印加されるコッククロフト・ウォルトン回路を具備して昇圧することを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ点灯装置。
水銀と室温で0.005〜0.02MPaの範囲の希ガスが封入され、前記電極(Ex,Ey)の先端どうしの間隔が0.4〜1mmの範囲にある前記放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置であって、前記給電回路(Uj)は、始動時の無負荷開放電圧として100〜150Vの範囲の電圧を出力し、前記スタータ(H)は、動作時最低電圧が500V以下であり、該動作時最低電圧からの波頭長が20〜100μsの範囲にあり、波高点が1400〜1800Vの範囲にある波形を、5〜40msの範囲の周期で繰り返す波形の昇圧出力電圧(Vh)を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の放電ランプ点灯装置。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶プロジェクタやDLP(TM)プロジェクタのような画像表示、あるいは、顕微鏡等の光学装置における、赤外・可視・紫外の分光観測のための照明装置などの光源装置においては、高輝度放電ランプが使用されている。
しかし、高輝度放電ランプにおける放電を始動するためには、ランプに高電圧を印加して放電空間に絶縁破壊を生じせしめる必要があり、普通、高電圧を発生させるスタータを、ランプ給電回路とランプとの間に介在させ、ランプに高電圧を印加するように構成する。
【0003】
スタータによる高電圧の印加に先立ち、給電回路は、無負荷開放電圧と呼ばれる電圧を出力しておき、放電空間が絶縁破壊してスタータからの高電圧が消滅した後は、給電回路からの電圧によってグロー放電を発生させ、やがてアーク放電に移行する。
ここでグロー放電は、一般にアーク放電よりも電圧が高く、熱電子放出によるアーク放電を生ずるに足る電極温度に到達するまで継続する、過渡的な放電である。
給電回路は、ランプ電圧とランプ電流を常時監視(定期的に測定)しており、前記したグロー放電からアーク放電への移行を、ランプ電圧の急激な降下により検知することができる。
アーク放電への移行を検知後は、給電回路は、例えば、アーク放電中のランプ電圧の関数として定義された目標ランプ電流が維持されるよう、継続的にフィードバック制御を行うように動作する。
【0004】
スタータには複数の種類があり、パルスイグナイタとも呼ばれるパルススタータは、パルストランスを用いて、例えばピーク電圧が10kV〜30kV、時間幅が数十nsの高電圧パルスを発生させ、それを給電回路の電圧に重畳してランプに印加するものである。 (例えば特許文献1)
また、DCスタータは、1kV〜数kVのDC高電圧を発生させ、それを給電回路の電圧に重畳し、ランプが始動するまで、例えば数十秒の上限時間を設けてランプに印加するものである。 (例えば特許文献3)
さらに、共振スタータは、インダクタとコンデンサを用いてLC共振回路を構成しておき、その共振周波数に同調する周波数でランプへの印加電圧を極性反転駆動することにより、ピーク電圧が1kV〜数kVの高周波の高電圧を発生させ、ランプが始動するまで、例えば数十秒の上限時間を設けてランプに印加するものである。 (例えば特許文献2)
【0005】
前記したパルスイグナイタについては、前記したような非常に高い電圧を発生させるため、短時間の試行、例えば1発目のパルスで始動させることを目標に設計することも可能であるが、パルストランスの実現に際して、樹脂モールドのような特別の技術が必要で高コストになる欠点がある上に、前記したように急峻かつ大振幅のパルス動作を行うため、強烈なノイズを発生させて周囲にある機器を誤動作させ易いことに加え、火花放電を連想させる動作音が発生して恐怖を感じるという理由により、ユーザから嫌われる傾向がある。
また、前記したDCスタータについては、パルスイグナイタと比較して、電圧の絶対値は低いが、パルスイグナイタの場合は時間幅が極めて短いのに対し、電圧が長時間に亘って印加されるため、スタータ回路の高電圧充電部の全てにおいて大きな沿面距離が必要になり、回路が大型化する欠点がある。
さらに、前記した共振スタータについては、給電回路がインバータを備える必要があるが、始動のためのみにインバータを設けることはコストの点で実用的ではないため、元々定常点灯用インバータを有するAC駆動用の給電回路にしか適用できない上に、適用できた場合でも、LC共振回路の素子定数で決まる共振周波数に対し、インバータの動作周波数を正確に同調させる必要があり、比較的高度な制御回路を必要とする。
【0006】
高輝度放電ランプのうち、高圧キセノンランプのような、冷状態においても放電空間の圧力が高圧であるランプの場合、その始動のためには、相当な高電圧を印加することが本質的に必要であるため、前記したパルスイグナイタを使用せざるを得ないという側面がある。
しかし、高圧水銀ランプなど、金属蒸気等を放電媒質として使う放電ランプなどの場合、定常点灯時のガスの圧力は高いが、始動時点ではランプは冷状態にあり、水銀等は凝結しているため、ランプの放電空間内の蒸気は低圧ガスであり、また始動ガスあるいはバッファガスとして封入されているアルゴンやキセノン等の希ガスも高々0.04MPa程度の低圧であるため、その挙動は低圧放電ランプに近く、スタータによる放電空間の絶縁破壊は、低圧ガスにおけるタウンゼント放電という形式の放電現象から開始し、(条件によってはグロー放電・アーク放電も関与して)最終的に陰極・陽極間を結ぶ電流経路を形成する現象として説明されている。 (非特許文献1:第2部.第3章.火花放電)
【0007】
スタータによる放電ランプの始動に関して考慮すべきものに、ランプの放電空間内の所望の絶縁破壊と、スタータ回路内の不所望の絶縁破壊とがあり、実用的な光源装置の実現のためには、両方の絶縁破壊現象に関する要求を両立させる必要がある。
つまり、スタータが発生する同じ印加電圧波形に対し、ランプの放電空間内においては所望の絶縁破壊現象が発生し、スタータ回路内においては不所望の絶縁破壊が発生しないようにしなければならない。
ここで、スタータ回路内の絶縁破壊は、大気圧の空気と誘電体との界面に沿って進展する沿面放電という形式の放電現象である。
ところが、これまでは、前記した2種の絶縁破壊のメカニズムの相違に着目して、高コスト化・大型化を回避した最適設計を行う、という立場からの従来技術の見直しが十分に行われていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、従来のパルスイグナイタのように過大な高電圧を発生せしめること無く、かつ従来のDCスタータのように沿面放電を避けるために回路の大型化を来たすことが無い放電ランプ点灯装置を提供することにある。
【0011】
なお、スタータ回路の絶縁破壊現象には、前記した沿面放電以外にも誘電体バルク自体の絶縁破壊現象が存在し、当然、これについても配慮する必要があるが、この絶縁破壊に対しては、印加電圧と誘電体の絶縁耐力に照らして必要な厚さを確保すること以外に対策は無く、それを行っても、適切な絶縁耐力を有する材料を選択する限り過大な厚さが必要になることはなく、沿面放電への対策のように、回路の大型化を来たすことはない。
そのため、本発明においては、誘電体バルク自体の絶縁破壊については、別途解決されるべき事項として扱うこととする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した2種の絶縁破壊現象、すなわちランプの放電空間内の絶縁破壊とスタータ回路内の沿面放電を含む全ての絶縁破壊現象は、規定の電圧を印加すると直ちに発生する訳ではなく、統計的遅れと呼ばれる不定の遅れ時間を伴って開始し、進展して発生するものであり、電圧印加を行っても、放電開始前、または進展して電流経路が形成される前に電圧印加を停止すれば、絶縁破壊は完成しない。
したがって、絶縁破壊現象が発現するためには、有限の電圧印加時間が必要であることが判る。
当然ながら、この時間は、印加電圧やガスの種類、ガス圧、(前記した低圧タウンゼント放電や沿面放電などの)放電形式の別などの環境条件に依存する。
【0013】
ところが、スタータ回路内の絶縁破壊の沿面放電の場合、誘電体との界面に沿って進展するものであるため、放電プラズマは、誘電体に沿って分布する静電容量を充電しながら伸長しなければならない点、また印加電圧波形の波頭長、すなわち波形の立上り開始から波高点(ピーク電圧)までの時間が長いほど、沿面放電の進展速度が遅くなる点が、ランプの放電空間内の絶縁破壊との大きな相違点である。 (非特許文献1:第3部.第5章.沿面放電)
当然、沿面放電の進展速度と前記した分布静電容量や波頭長との関連は、当該絶縁破壊対象箇所の誘電体材料の形状や寸法、近接する導体の距離や形状等々に依存するが、この相違点を活用して、スタータの出力電圧波形として、ランプの放電空間における絶縁破壊の発生確率が、スタータ回路における絶縁破壊の発生確率よりも圧倒的に大きくなるような電圧波形の波頭長と波高点の組合わせの選択を行えば、ランプの放電空間内においては所望の絶縁破壊現象が発生し、スタータ回路内においては不所望の絶縁破壊が発生しないようにすることができる。
【0014】
ここまで、スタータの出力電圧波形における波形の立上り開始から波高点に至るまでについて述べたが、波高点を超えてからそれ以降については、グロー放電の継続を阻害しない波形である必要がある。
前記したように、給電回路は、グロー放電に必要な電力をランプに供給できるよう、無負荷開放電圧を出力しているが、いまこの電圧を正電圧として、もし、スタータからの出力電圧波形にリンギングが含まれ、正電圧の波高点を超えた後に、負電圧に極性が反転する波形であった場合、このリンギングが無負荷開放電圧を打ち消してしまい、グロー放電を停止させてしまう可能性がある。
したがって、スタータの出力電圧波形は、波高点を超えた後は、そのような有害なリンギング等の不要な波打ちの無い、単調な波形をもって減衰するものとすることが重要である。
いま述べた指針に従って、本発明においては、以下のような手段によって前記した課題を解決する。
【0015】
本発明における第1の発明の放電ランプ点灯装置は、石英ガラス等を材料とするバルブの内部に形成された放電空間(Zd)に、室温で液体または固体の放電用物質と、室温での圧力が高々0.04MPaの放電用ガスが封入され、一対の電極(Ex,Ey)が対向配置された高輝度放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置(W)であって、
該放電ランプ点灯装置(W)は、前記電極(Ex,Ey)のそれぞれと電気接続を形成するための接続ノード(Nx,Ny)と、前記放電ランプ(Ld)の放電電流を供給するための給電回路(Uj)と、高電圧を発生させて前記放電空間(Zd)に絶縁破壊を発生させ前記放電ランプ(Ld)の点灯を始動するために前記接続ノード(Nx,Ny)と接続されたスタータ(H)と、該スタータ(H)が発生させた高電圧が前記給電回路(Uj)に印加されることを阻止するために前記接続ノード(Nx,Ny)と前記給電回路(Uj)との間に設けられた逆電圧阻止回路(Kh)と、を具備し、
前記スタータ(H)は、昇圧元電圧源(Vs)と、該昇圧元電圧源(Vs)の電圧を昇圧して昇圧出力電圧(Vh)を生成する昇圧回路(Uh)と、昇圧出力電圧(Vh)を電荷の充電により保持する積分コンデンサ(Ch)と、該積分コンデンサ(Ch)の電荷を放電するために該積分コンデンサ(Ch)に並列に接続された電荷放電回路(Ah)とを具備し、
前記昇圧回路(Uh)は、オン状態またはオフ状態を有するスイッチ素子(Qh)と、ダイオード(Dh)とを具備して、前記スイッチ素子(Qh)のオン状態とオフ状態とを交互に遷移する動作と、前記ダイオード(Dh)の整流作用とによって電圧の昇圧作用を発現して昇圧された電圧を出力する
ように構成し、前記放電空間(Zd)に絶縁破壊が発生する前の期間において放電ランプ点灯装置(W)が前記電極(Ex,Ey)に対して出力するランプ印加電圧(Ve)は、上昇と単調な減衰を繰り返す波形であり、かつ前記給電回路(Uj)が発生する電圧を下回ることがないことを特徴とするものである。
【0016】
本発明における第2の発明の放電ランプ点灯装置は、前記昇圧回路(Uh)は、昇圧トランス(Th)をさらに具備し、前記昇圧元電圧源(Vs)から前記昇圧トランス(Th)の1次側巻線(Lp)に流れる電流の経路に前記スイッチ素子(Qh)を介挿し、前記昇圧トランス(Th)の2次側巻線(Ls)が前記ダイオード(Dh)に接続されることを特徴とするものである。
【0017】
本発明における第3の発明の放電ランプ点灯装置は、前記昇圧回路(Uh)は、昇圧インダクタ(Lh)をさらに具備し、前記昇圧元電圧源(Vs)から前記昇圧インダクタ(Lh)に流れる電流の経路に前記スイッチ素子(Qh)を介挿し、前記スイッチ素子(Qh)がオフ状態に遷移するときに発生するフライバック電圧が前記ダイオード(Dh)を介して出力されることを特徴とするものである。
【0018】
本発明における第4の発明の放電ランプ点灯装置は、前記昇圧回路(Uh)は、前記スイッチ素子によって駆動されるインバータ回路(Uc)と、該インバータ回路(Uc)によって交流電圧を印加されるコッククロフト・ウォルトン回路を具備して昇圧することを特徴とするものである。
【0019】
本発明における第5の発明の放電ランプ点灯装置は、水銀と室温で0.005〜0.02MPaの範囲の希ガスが封入され、前記電極(Ex,Ey)の先端どうしの間隔が0.4〜1mmの範囲にある前記放電ランプ(Ld)を点灯するための放電ランプ点灯装置であって、前記給電回路(Uj)は、始動時の無負荷開放電圧として100〜150Vの範囲の電圧を出力し、前記スタータ(H)は、動作時最低電圧が500V以下であり、該動作時最低電圧からの波頭長が20〜100μsの範囲にあり、波高点が1400〜1800Vの範囲にある波形を、5〜40msの範囲の周期で繰り返す波形の昇圧出力電圧(Vh)を生成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
従来のパルスイグナイタのように過大な高電圧を発生せしめること無く、かつ従来のDCスタータのように沿面放電を避けるために回路の大型化を来たすことが無い放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、本発明の放電ランプ点灯装置を簡略化して示すブロック図である
図1を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の放電ランプ点灯装置(W)が点灯対象とする放電ランプ(Ld)は、放電空間(Zd)に室温で液体または固体の放電用物質と室温での圧力が高々0.04MPaの放電用ガスが封入され、陰極と陽極との一対の電極(Ex,Ey)が対向配置された高輝度放電ランプであり、該放電ランプ(Ld)は、放電ランプ点灯装置のランプ接続用端子、すなわち接続ノード(Nx,Ny)に接続される。
給電回路(Uj)は、前記したように、ランプ点灯開始動作に先立って無負荷開放電圧を出力し、点灯初期のグロー放電を維持するとともに、アーク放電に移行すれば、ランプ電圧に応じた電流を前記放電ランプ(Ld)に供給するように働く。
【0023】
また、前記放電空間(Zd)に絶縁破壊を生じせしめるための高電圧を前記放電ランプ(Ld)に供給するスタータ(H)の出力も、同じく前記接続ノード(Nx,Ny)に接続される。
ただし、前記スタータ(H)が出力する高電圧が、そのまま前記給電回路(Uj)の出力ノード(N11,N12)に印加されると、前記給電回路(Uj)が破壊されるため、前記接続ノード(Ny)側の電位が前記ノード(N12)側の電位より高いときは、回路を遮断するための逆電圧阻止回路(Kh)を、前記ノード(N12)と前記接続ノード(Ny)との間に介挿してある。
なお、前記逆電圧阻止回路(Kh)は、例えば前記ノード(N12)側から前記接続ノード(Ny)側に向かう方向に電流が流れるようダイオードを接続することにより実現することができる。
【0024】
前記スタータ(H)は、昇圧元電圧源(Vs)からの電圧を昇圧回路(Uh)によって昇圧して昇圧出力電圧(Vh)を生成する。
ここで、前記した昇圧出力電圧(Vh)などの各ノードの電圧は、グランド(Gnd)の電位からの電位差によって規定する。
前記昇圧回路(Uh)においては、前記スイッチ素子(Qh)のオン・オフ動作、すなわちオン状態とオフ状態とを交互に遷移する動作と、前記ダイオード(Dh)の整流作用とによって電圧の昇圧を行うが、昇圧回路の方式としては、後述するように種々の方式が利用できる。
前記昇圧回路(Uh)からの昇圧出力電圧(Vh)は、積分コンデンサ(Ch)に電荷を蓄積することによって保持するとともに、該積分コンデンサ(Ch)に並列に接続された電荷放電回路(Ah)によって、速やかに前記積分コンデンサ(Ch)の電荷を放電して昇圧出力電圧(Vh)を減衰させるように構成してある。
なお、前記電荷放電回路(Ah)は、最も簡単には、抵抗によって実現することができる。
【0025】
次に、いま述べた本発明の放電ランプ点灯装置の動作を、本発明の放電ランプ点灯装置の一部の動作を簡略化して示すタイミング図である
図2を用いて説明する。
本図の波形は、上から順に、給電回路出力電圧(Vj)、スイッチ素子状態(Sq)、昇圧出力電圧(Vh)、ランプ印加電圧(Ve)を表し、特にスイッチ素子状態(Sq)のハイレベルとローレベルは、それぞれ前記スイッチ素子(Qh)の、例えばオン状態とオフ状態を表す。
【0026】
先ず、時点(t1)において前記給電回路(Uj)が無負荷開放電圧(φj)を出力する動作を開始する。
次に、時点(t2)において前記スイッチ素子(Qh)のオン・オフ動作を開始することにより、前記昇圧回路(Uh)の昇圧作用が機能し始めて昇圧出力電圧(Vh)が急速な上昇を開始する。
ただし、この電圧上昇は、余計な波打ちが無い、単調な上昇であることが望ましい。
また、時点(t3)において前記スイッチ素子(Qh)のオン・オフ動作を停止することにより、前記昇圧回路(Uh)の昇圧作用が停止し、前記電荷放電回路(Ah)の働きにより、前記積分コンデンサ(Ch)の電荷が放電されて昇圧出力電圧(Vh)が減衰する。
なお、前記逆電圧阻止回路(Kh)を介して給電回路出力電圧(Vj)が、昇圧出力電圧(Vh)に重ね合わせられるため、ランプ印加電圧(Ve)には給電回路出力電圧(Vj)と昇圧出力電圧(Vh)の何れか大きい方が現れることになる。
【0027】
さらに、時点(t2’)において、再度前記スイッチ素子(Qh)のオン・オフ動作を開始し、以降、前記と同様の動作を繰り返すシーケンスを継続する。
その結果、ランプ印加電圧(Ve)は、上昇と単調な減衰を繰り返す波形であり、かつ前記給電回路(Uj)が発生する無負荷開放電圧(φj)を下回ることがない、鋸歯状波に類似した形状の波形を呈するものになる。
ここで、単調な減衰とは、電圧が上昇に転ずるような波打ちが無いことを意味するが、当然ながら、例えばノイズや揺らぎ等に起因する、
図2に記載した最大波高点電圧(VhH)の数パーセントに満たないような微視的な波打ちが観測されても、本発明の本質には無関係であり問題は無く、前記した単調な上昇についても同様である。
【0028】
そして、時点(t4)において前記放電空間(Zd)の絶縁破壊が発生し、その結果、ランプ印加電圧(Ve)は、グロー放電電圧まで急激に低下するから、これを観察することにより放電ランプ点灯装置(W)は放電開始を検知することができ、前記スタータ(H)は役割を終え、前記スイッチ素子(Qh)を動作させないようにすることができる。
これ以降は、前記給電回路(Uj)によるフィードバック制御の下で点灯始動が進行し、やがて、時点(t5)においてランプの放電状態がアーク放電に移行してランプ印加電圧(Ve)がさらに低下し、以降、ランプの温度上昇の進行とともに定常点灯状態に漸近して、前記給電回路(Uj)による無負荷開放電圧(φj)の出力から開始した始動シーケンスが完了することになる。
なお、前記した時点(t2)から規定した限度時間を経過しても前記放電空間(Zd)の絶縁破壊、すなわちランプ印加電圧(Ve)の急激な低下が観測できない場合は、ランプの始動失敗として、前記した前記スイッチ素子(Qh)を動作させる前記したシーケンスを中止すべきである。
【0029】
ここまでの説明より明らかなように、本発明によれば、前記した時点(t2)から時点(t3)に至るスイッチング期間(τ)が、前記スタータ(H)による印加電圧波形の波頭長を規定し、また、前記スタータ(H)による印加電圧波形の波高点は、前記した期間(τ)と前記昇圧元電圧源(Vs)の電圧によって規定することができる。
したがって、前記した電圧波形の波頭長と波高点の組合わせの選択を所望のように行うことができる。
さらに、前記した、前記電荷放電回路(Ah)が有する、速やかに前記積分コンデンサ(Ch)の電荷を放電して昇圧出力電圧(Vh)を減衰させるするようにする働きと、前記した、前記逆電圧阻止回路(Kh)が有する、ランプ印加電圧(Ve)には給電回路出力電圧(Vj)と昇圧出力電圧(Vh)の何れか大きい方が現れるようにする働きにより、前記した、波高点を超えた後は、有害なリンギング等の不要な波打ちの無い、単調な波形をもって減衰するランプ印加電圧波形を実現することができる。
その結果、本発明の放電ランプ点灯装置によれば、従来のパルスイグナイタのように過大な高電圧を発生せしめること無く、ランプの放電空間内においては所望の絶縁破壊現象が発生し、スタータ回路内においては不所望の絶縁破壊が発生しないようにすることができる。
【0030】
ここで、若干の補足を行う。
前記した時点(t4)における前記放電空間(Zd)の絶縁破壊によるランプ印加電圧(Ve)の急激な低下に伴い、前記積分コンデンサ(Ch)に充電された電荷が前記放電ランプ(Ld)に一気に流れ込む現象が発生し、場合によっては、前記電極(Ex,Ey)にダメージを与える可能性がある。
これを避ける必要がある場合は、
図2に破線で記載のように、限流素子(Zh)を前記積分コンデンサ(Ch)と前記接続ノード(Ny)との間に介挿することが好適である。
なお、前記限流素子(Zh)は、最も簡単には、後述する
図7に記載のように、抵抗によって実現することができる。
【0031】
先に、ランプ印加電圧(Ve)には給電回路出力電圧(Vj)と昇圧出力電圧(Vh)の何れか大きい方が現れる旨を述べたが、これは、従来のパルスイグナイタなどにおいては、給電回路の出力電圧に直列に電圧を重畳するのに対し、本発明の放電ランプ点灯装置においては、給電回路(Uj)の出力電圧に並列に電圧を重畳する構造を有することに起因している。
そのため、昇圧出力電圧(Vh)が無負荷開放電圧(φj)を下回る条件が生じると、前記給電回路(Uj)が前記電荷放電回路(Ah)に流れる電流を供給する状況が生ずることになる。
この状況を避けたい場合は、後述する
図3に記載のように、前記限流素子(Zh)として、前記昇圧回路(Uh)側から前記接続ノード(Ny)側に向かう方向に電流が流れるようダイオードを接続する、もしくは追加するか、そもそもスタータ動作時最低電圧(VhL)が無負荷開放電圧(φj)を下回らないように、前記電荷放電回路(Ah)を設定すればよい。
【0032】
また、前記昇圧元電圧源(Vs)については、必ずしも安定化された電圧源でなくても構わず、例えば前記した給電回路出力電圧(Vj)を好適に流用可能である。
理由は、
図2に関して説明したように、前記スタータ(H)が稼動を開始する前から稼動終了まで、無負荷開放電圧(φj)が前記給電回路(Uj)から出力されているからである。
【0033】
なお、本明細書には、前記給電回路(Uj)が正の電圧を発生させ、前記スタータ(H)が正の高電圧を発生させるものを主として記載するが、当然ながら、前記スタータ(H)が負の高電圧を発生させるものとし、結果として前記接続ノード(Nx,Ny)を介して前記電極(Ex,Ey)に高電圧が印加されるように放電ランプ点灯装置(W)を構成しても構わない。
あるいは、前記給電回路(Uj)が負の電圧を発生させ、前記スタータ(H)が正または負の高電圧を発生させ、結果として前記接続ノード(Nx,Ny)を介して前記電極(Ex,Ey)に高電圧が印加されるように放電ランプ点灯装置(W)を構成しても構わない。
【0034】
さらに、本発明は、前記給電回路(Uj)の後段に、例えばフルブリッジにより構成された、インバータ回路を設けて電圧を出力する、交流駆動方式の放電ランプ点灯装置にも適用できる。
ただし、その場合は、少なくとも前記スタータ(H)が動作する期間は、前記給電回路(Uj)が発生する無負荷開放電圧がインバータを介して出力されて重畳されるときに、前記スタータ(H)が発生する高電圧の極性と一致する状態で、インバータの極性を固定しておく必要がある。
また、前記逆電圧阻止回路(Kh)に並列に、電磁リレー等の無極性スイッチ素子を接続しておき、インバータの極性反転動作の開始前に、前記逆電圧阻止回路(Kh)を短絡するように構成する必要がある。
【0035】
また、本発明の効果について補足しておく。
前記したDCスタータの動作と相違する、本発明の放電ランプ点灯装置の動作の特徴は、ランプ印加電圧(Ve)としてDC的に連続して高電圧を発生させるのではなく、規定の波高点を過ぎれば、一旦減衰させ、規定の波頭長をもって電圧を立上げ直す動作の繰り返しを行うことにある。
このようにする意図は前記した通りであるが、このようにすることにより、この動作の繰り返し期間において測定されるランプ印加電圧(Ve)の実効値が、DCスタータの場合よりも小さく抑えられることになる。
一方、印加電圧の実効値によって沿面放電などの絶縁破壊の危険性を評価することは、安全規格への適合評価において一般的に実施されている。 (非特許文献2)
したがって、いま述べたランプ印加電圧(Ve)の実効値を小さく抑えたこと自体によっても、安全性が向上する利点を得たことになる。
そのために、
図2に記載した最大波高点電圧(VhH)に対する動作時最低電圧(VhL)の比の値に規制を設け、例えば40%以下とすることが好適である。
【0036】
次に、本発明の放電ランプ点灯装置の一部を簡略化して示す模式図である
図3を用いて、前記スタータ(H)および前記昇圧回路(Uh)の具体的構成について説明する。
昇圧トランス(Th)の1次側巻線(Lp)には、FET等によるスイッチ素子(Qh)を介して、昇圧元電圧源(Vs)からの電流を流すことができるように構成してある。
スタータ制御回路(Fh)からのゲート制御信号(Sg)に基づき、ゲート駆動回路(G)を介して前記スイッチ素子(Qh)がオン状態にされると、前記昇圧トランス(Th)の2次側巻線(Ls)には、前記昇圧元電圧源(Vs)の電圧に前記昇圧トランス(Th)の巻数比が乗じられた、昇圧された電圧が発生し、ダイオード(Dh)を介して積分コンデンサ(Ch)を充電し、高電圧のランプ印加電圧(Ve)を供給することができる。
【0037】
なお、ここでは、前記した前記放電空間(Zd)の絶縁破壊によるランプ印加電圧(Ve)の急激な低下に伴い、前記積分コンデンサ(Ch)に充電された電荷が前記放電ランプ(Ld)に一気に流れ込む現象を避け、かつ前記した昇圧出力電圧(Vh)が無負荷開放電圧(φj)を下回る条件が生じると、前記給電回路(Uj)が前記電荷放電回路(Ah)に流れる電流を供給する状況を避けるため、前記限流素子(Zh)として、抵抗とダイオードを直列接続した回路を挿入してある。
【0038】
本図のスタータにおいては、電荷放電回路(Ah)が分圧抵抗を兼ねるようにして、ランプ印加電圧(Ve)に相関する電圧検出信号(Se)を検出し、前記スタータ制御回路(Fh)に送信するように構成してある。
この構成により、前記スタータ制御回路(Fh)は、ランプ印加電圧(Ve)において所望の波頭長と波高点が実現するよう、前記ゲート制御信号(Sg)を調整してフィードバック制御を行うことが可能である。
【0039】
一方、本図の上部の二点鎖線で囲んだ部分には、いま説明した前記昇圧トランス(Th)の前記2次側巻線(Ls)とは極性を逆にした2次側巻線(Ls’)を備えた昇圧トランス(Th’)を記載してあり、前記昇圧トランス(Th)に代えて、この昇圧トランス(Th’)を使用することも可能である。
ただしその場合は、前記スイッチ素子(Qh)がオン状態の期間は、前記ダイオード(Dh)に逆電圧が架かるために電流が流れず、前記1次側巻線(Lp)に流れる電流に基づく磁束の形で前記昇圧トランス(Th’)にエネルギーが蓄積され、前記スイッチ素子(Qh)がオフ状態に遷移したときに、蓄積されたエネルギーが解放されて高電圧を発生し、前記ダイオード(Dh)を介して前記積分コンデンサ(Ch)を充電する、所謂フライバック動作を行う。
この構成の場合は、前記昇圧元電圧源(Vs)の電圧や前記昇圧トランス(Th’)の巻数比の制約によらず、前記スイッチ素子(Qh)がオン状態の期間の長さに応じて前記積分コンデンサ(Ch)への充電電圧を上昇させることができる。
【0040】
次に、本発明の放電ランプ点灯装置の一部を簡略化して示す模式図である
図4を用いて、前記スタータ(H)および前記昇圧回路(Uh)のさらなる具体的構成について説明する。
昇圧インダクタ(Lh)には、FET等によるスイッチ素子(Qh)を介して、昇圧元電圧源(Vs)からの電流を流すことができるように構成してある。
スタータ制御回路(Fh)からのゲート制御信号(Sg)に基づき、ゲート駆動回路(G)を介して前記スイッチ素子(Qh)がオン状態にされると、前記昇圧元電圧源(Vs)から前記昇圧インダクタ(Lh)に流れ込む電流に基づく磁束の形でエネルギーが蓄積され、前記スイッチ素子(Qh)がオフ状態に遷移したときに、蓄積されたエネルギーが解放されて高電圧、すなわちフライバック電圧を発生し、ダイオード(Dh)を介して積分コンデンサ(Ch)を充電する、所謂昇圧チョッパ回路を構成して、高電圧のランプ印加電圧(Ve)を供給することができる。
【0041】
本図のスタータにおいても、
図3のものと同様に、電荷放電回路(Ah)が分圧抵抗を兼ねるようにして、ランプ印加電圧(Ve)に相関する電圧検出信号(Se)を検出するように構成してあり、前記スタータ制御回路(Fh)は、ランプ印加電圧(Ve)において所望の波頭長と波高点が実現するよう、前記ゲート制御信号(Sg)を調整してフィードバック制御を行うことが可能である。
【0042】
さらに、本発明の放電ランプ点灯装置の一部を簡略化して示す模式図である
図5を用いて、前記スタータ(H)および前記昇圧回路(Uh)の具体的構成について説明する。
インバータトランス(Th2)の2個の1次側巻線(Lp1,Lp2)の中点タップ部に昇圧元電圧源(Vs)を接続し、前記1次側巻線(Lp1,Lp2)のそれぞれに接続されたスイッチ素子(Qh1,Qh2)のそれぞれを、スタータ制御回路(Fh)からのゲート信号(Sg1,Sg2)に基づき、ゲート駆動回路(G1,G2)を介して交互にオン状態にすることにより、インバータ回路(Uc)が構成され、前記インバータトランス(Th2)の2次側巻線(Ls2)には極性反転する矩形波の交流電圧が発生する。
そして前記2次側巻線(Ls2)に、積分コンデンサ(Ch1,Ch2,Ch3,Ch4,Ch5)およびダイオード(Dh1,Dh2,Dh3,Dh4,Dh5)からなるコッククロフト・ウォルトン回路を接続することにより、前記積分コンデンサ(Ch1,Ch2,Ch3,Ch4,Ch5)のそれぞれが充電され、高電圧のランプ印加電圧(Ve)を供給することができる。
【0043】
本図のスタータにおいても、
図3のものと同様に、電荷放電回路(Ah)が分圧抵抗を兼ねるようにして、ランプ印加電圧(Ve)に相関する電圧検出信号(Se)を検出するように構成してあり、前記スタータ制御回路(Fh)は、ランプ印加電圧(Ve)において所望の波頭長と波高点が実現するよう、前記ゲート信号(Sg1,Sg2)を調整してフィードバック制御を行うことが可能である。
なお、ここでは前記インバータ回路(Uc)として2個のスイッチ素子を用いるものを例示したが、1個のスイッチ素子を用いて構成するものでも構わない。
【0044】
次に、本発明の実施例について説明する。
図6は、本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一部の一形態を簡略化して示す図であり、給電回路(Uj)の一例を示すものである。
降圧チョッパ回路を基本とした給電回路(Uj)は、PFC等のDC電源(Mx)より電圧の供給を受けて動作し、放電ランプ(Ld)への給電量調整を行う。
前記給電回路(Uj)においては、FET等のスイッチ素子(Qj)によって前記DC電源(Mx)よりの電流をオン・オフし、チョークコイル(Lj)を介して平滑コンデンサ(Cj)に充電が行われ、この電圧が放電ランプ(Ld)に印加され、放電ランプ(Ld)に電流を流すことができるように構成されている。
【0045】
なお、前記スイッチ素子(Qj)がオン状態の期間は、スイッチ素子(Qj)を通じた電流により、直接的に平滑コンデンサ(Cj)への充電と負荷である放電ランプ(Ld)への電流供給が行われるとともに、チョークコイル(Lj)に磁束の形でエネルギーを蓄え、前記スイッチ素子(Qj)がオフ状態の期間は、前記平滑コンデンサ(Cj)からの放電と前記チョークコイル(Lj)に磁束の形で蓄えられたエネルギーによって、フライホイールダイオード(Dj)を介して放電ランプ(Ld)への電流供給が行われる。
【0046】
前記降圧チョッパ型の給電回路(Uj)においては、前記スイッチ素子(Qj)の動作周期に対する、前記スイッチ素子(Qj)がオン状態の期間の比、すなわちデューティサイクル比により、前記放電ランプへの給電量を調整することができる。
ここでは、あるデューティサイクル比を有するゲート制御信号(Sgj)が給電制御回路(Fj)によって生成され、ゲート駆動回路(Gj)を介して、前記スイッチ素子(Qj)のゲート端子を制御することにより、前記したDC電源(Mx)よりの電流のオン・オフが制御される。
【0047】
前記放電ランプ(Ld)の電極(Ex,Ey)間を流れるランプ電流(の絶対値)と、電極(Ex,Ey)間に発生するランプ電圧(の絶対値)とは、ランプ電流検出手段(Io)と、ランプ電圧検出手段(Vo)とによって、検出できるように構成される。
なお、前記ランプ電流検出手段(Io)については、シャント抵抗を用いて、また前記ランプ電圧検出手段(Vo)については、分圧抵抗を用いて簡単に実現することができる。
前記ランプ電流検出手段(Io)よりのランプ電流検出信号(Si)、および前記ランプ電圧検出手段(Vo)よりのランプ電圧検出信号(Sv)は、前記給電制御回路(Fj)に入力される。
前記給電制御回路(Fj)は、ランプ始動時の、ランプ電流が流れていない期間においては、無負荷開放電圧をランプに印加するために所定の電圧を出力するよう、前記ゲート制御信号(Sgj)をフィードバック的に生成する。
ランプが始動して放電電流が流れると、目標ランプ電流が出力されるよう前記ゲート制御信号(Sgj)をフィードバック的に生成する。
【0048】
ここで前記目標ランプ電流は、前記放電ランプ(Ld)の電圧に依存して、前記放電ランプ(Ld)に投入される電力が所定の電力となるような値を基本とする。
ただし、始動直後は、前記放電ランプ(Ld)の電圧が低く、定格電力を供給できないため、前記目標ランプ電流は、初期制限電流と呼ばれる一定の制限値を超えないように制御される。
そして温度上昇とともに前記放電ランプ(Ld)の電圧が上昇し、所定の電力投入に必要な電流が前記初期制限電流以下になると、前記した所定の電力投入が実現できる状態に滑らかに移行する。
なお、ここでは、給電回路(Uj)として、降圧チョッパによるものを示したが、例えば昇圧チョッパや、トランスを用いたフォワードコンバータなど、入力電力を放電ランプに給電するのに適した電圧・電流に変換するコンバータであればよく、給電回路の形式は、本発明の本質には無関係である。
【0049】
また、
図7は、本発明の放電ランプ点灯装置の実施例の一形態を簡略化して示す図であり、先に
図3を用いて説明した形式のスタータの回路構成を、より簡略化して構成したものの一例を示すものである。
給電回路(Uj)が無負荷解放電圧の出力を開始すると、抵抗(Rs)を介してコンデンサ(Cs)への充電が開始され、このコンデンサ電圧(Vc)を
図3における昇圧元電圧源(Vs)として使用する。
【0050】
昇圧トランス(Th)の1次側巻線(Lp)の一端はグランド(Gnd)に接続され、他端は、前記スイッチ素子(Qh)としてのサイダック(TM)によるスイッチ素子(Qhs)を介して前記コンデンサ(Cs)に接続されている。
前記したサイダック(TM)(新電元工業製の例えばG1VL10Cが使用できる)は、印加電圧が、規定のブレークオーバー電圧に満たない状態では、インピーダンスが極めて高くほとんど電流が流れないオフ状態にあるが、ブレークオーバー電圧を超えると、急激にインピーダンスが低下してオン状態となって電流が流れるようになり、そして、流れる電流が規定の保持電流を下回ると、再度オフ状態に戻るように動作する素子であり、このような動作を行うものであれば、他の素子で代替することが可能である。
【0051】
よって、コンデンサ電圧(Vc)が前記したブレークオーバー電圧に達すると、前記スイッチ素子(Qhs)がオン状態になって、この電圧が前記昇圧トランス(Th)の前記1次側巻線(Lp)に印加されるため、2次側巻線(Ls)には、コンデンサ電圧(Vc)に前記昇圧トランス(Th)の巻数比が乗じられた、昇圧された電圧が発生し、ダイオード(Dh)を介して積分コンデンサ(Ch)を充電し、昇圧出力電圧(Vh)が高電圧となって、高電圧のランプ印加電圧(Ve)を供給することができる。
ただし、前記スイッチ素子(Qhs)がオン状態にあることにより、前記抵抗(Rs)を通じて充電される分を上回って前記コンデンサ(Cs)の電荷の放電が進むため、コンデンサ電圧(Vc)が低下して行くとともに、前記スイッチ素子(Qhs)を流れる電流も低下して行く。
【0052】
そして、この電流が前記した保持電流を下回ると、前記スイッチ素子(Qhs)がオフ状態に戻ることにより、前記1次側巻線(Lp)への電圧の印加が終了し、前記2次側巻線(Ls)における昇圧された電圧の発生も終了するため、後は、前記電荷放電回路(Ah)としての抵抗(Ra)によって速やかに前記積分コンデンサ(Ch)の電荷を放電して昇圧出力電圧(Vh)を減衰させる。
一方、前記スイッチ素子(Qhs)がオフ状態に戻ったことにより、前記コンデンサ(Cs)の電荷の放電が停止するため、前記抵抗(Rs)を通じた充電によってコンデンサ電圧(Vc)は再度上昇に転じ、よって前記した動作の繰り返しが行われる。
【0053】
なお、いま説明した
図7の回路構成の放電ランプ点灯装置についても、先に
図3に基づく更なる形式として説明した、前記昇圧トランス(Th)の前記2次側巻線(Ls)とは極性を逆にした2次側巻線(Ls’)を備えた昇圧トランス(Th’)を用いる、所謂フライバック動作を行う形式の回路構成とすることができ、先と同様に
図7の下部の二点鎖線で囲んだ部分にその場合の昇圧トランスを記載してある。
この回路構成の場合は、前記したように、前記スイッチ素子(Qhs)がオフ状態に遷移したときに蓄積されたエネルギーが解放され、フライバック動作によって高電圧を発生するため、いま説明した動作に比して高電圧発生のタイミングが相違するが、その他の動作については同様である。
なお、この形式の回路構成とした場合の利点は、昇圧トランスの巻数比を小さくできることである。
【0054】
以上において述べたように動作するため、
図7に記載の本放電ランプ点灯装置は、
図2に記載のものと同様の昇圧出力電圧(Vh)、およびランプ印加電圧(Ve)を生成することが判る。
ただし、前記したスイッチ素子状態(Sq)が、期間(τ)においては、一連のオン・オフの繰り返しとして記載してあったものが、
図7の本放電ランプ点灯装置の場合は、単一のオン状態となる点が相違する。
【0055】
図7のスタータ(H)の場合、先に
図3,
図4,
図5に関連して説明したもののような、前記スタータ制御回路(Fh)によるフィードバック制御機構を持たないため、所望の波頭長と波高点の実現のためには、それを、前記したスイッチ素子(Qhs)のブレークオーバー電圧と保持電流に起因するヒステリシス動作によって達成すべく、前記の抵抗(Rs),コンデンサ(Cs),昇圧トランス(Th),積分コンデンサ(Ch),抵抗(Ra)それぞれの回路定数選択の試行錯誤によって見出す必要がある。
しかし、それが達成できた暁には、回路構成が簡素化されるため、低コスト化できる利点を得ることができる。
【0056】
実際、ランプの放電空間内においては所望の絶縁破壊現象が発生し、スタータ回路内においては不所望の絶縁破壊が発生しないようにすること、すなわち、始動性が良好で、安全性が高い放電ランプ点灯装置を実現すべく実験を重ねた結果、発明者らが見出した条件は、前記放電ランプ(Ld)として、水銀と室温で0.005〜0.02MPaの範囲の、キセノンやアルゴン等の希ガスが封入され、前記電極(Ex,Ey)の先端どうしの間隔が0.4〜1mmの範囲にあるものの場合、このランプを点灯するのに最適な放電ランプ点灯装置は、前記給電回路(Uj)が始動時の無負荷開放電圧として100〜150Vの範囲の電圧を出力するようにした上で、前記スタータ(H)は、動作時最低電圧(VhL)が500V以下であり、この動作時最低電圧(VhL)からの波頭長、すなわち波形の立上り開始から波高点までの時間が20〜100μsの範囲にあり、波高点、すなわちピーク電圧が1400〜1800Vの範囲にある波形を、5〜40msの範囲の周期で繰り返す波形の昇圧出力電圧(Vh)を生成するよう、回路のパラメータを選択することである。
いま述べた条件は、
図7に記載の放電ランプ点灯装置のみならず、
図3,
図4,
図5に関連して説明したスタータを具備する放電ランプ点灯装置などにも適用できる。
【0057】
本明細書に記載の回路構成は、本発明の光源装置の動作や機能、作用を説明することを目的として、必要最少限のものを記載したものである。
したがって、説明した回路構成や動作の詳細事項、例えば、信号の極性であるとか、具体的な回路素子の選択や追加、省略、或いは素子の入手の便や経済的理由に基づく変更などの創意工夫は、実際の装置の設計時に遂行されることを前提としている。
【0058】
とりわけ過電圧や過電流、過熱などの破損要因から給電装置のFET等のスイッチ素子などの回路素子を保護するための機構、または、給電装置の回路素子の動作に伴って発生する放射ノイズや伝導ノイズの発生を低減したり、発生したノイズを外部に出さないための機構、例えば、スナバ回路やバリスタ、クランプダイオード、(パルスバイパルス方式を含む)電流制限回路、コモンモードまたはノーマルモードのノイズフィルタチョークコイル、ノイズフィルタコンデンサなどは、必要に応じて、実施例に記載の回路構成の各部に追加されることを前提としている。
【0059】
本発明の放電ランプ点灯装置の構成は、本明細書に記載の回路方式のものに限定されるものではなく、また、記載の波形やタイミング図に限定されるものではない。
特に波形の極性や、信号を正論理とするか負論理とするか、あるいは動作させるタイミングを信号の立上りとするか立ち下がりとするか、等々については、設計上の都合に合わせて任意に決めればよいことである。