(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。蓄電装置として、金属箔に活物質を含有するスラリー状の活物質合剤が塗布されて形成された活物質層を有する正極及び負極が、間にセパレータが存在する状態で層をなすように積層された積層型電極組立体を備えた積層型二次電池がある。
【0003】
正極及び負極の製造工程、即ち電極板の製造工程では、活物質合剤を帯状の金属箔上に所定の幅で塗布した後、乾燥工程において溶剤の大半を除去し、活物質層の密度を高めるためにロールプレスを行って活物質層が形成された帯状の電極シートが形成される。さらに、必要に応じ活物質層内に残った溶剤を除去するために乾燥工程を行った後、帯状の電極シートから電極板が切り出される。
【0004】
ところが、帯状の金属箔に活物質合剤を塗布して活物質層を形成した電極シートを製造した場合、電極シートの活物質層を均一に形成することは難しい。その結果、各電極板の活物質量がばらつき、所定枚数の正極及び負極を単純に積層して電極組立体を形成すると二次電池の容量のバラツキが大きくなる。
【0005】
従来、電池容量のバラツキ低減を図るため、正極及び負極が複数枚の電極板の組み合わせにより構成され、正極及び負極におけるそれぞれの組み合わせは主材料である活物質又は準活物質の合計重量がほぼ一定値となるように構成され、複数枚で構成される電極における各電極板が間隔を開けてシリーズに捲回されている電池用電極群が提案されている。(特許文献1参照)。
【0006】
なお、電極板の製造方法としては、幅広の金属箔を使用して複数枚分の活物質層を有する帯状の電極シートを形成した後、その帯状の電極シートからその幅方向において複数枚ずつ電極板を切り出す方法もある。活物質合剤を帯状の金属箔に塗布して活物質層を形成した場合、活物質の目付けは帯状の電極シートの幅方向において異なり、
図13に示すように、幅方向の両端部及び中央付近の目付けが大きくなる。なお、
図13は、帯状の電極シートの長手方向の異なる4箇所における、電極シートの幅方向の一直線上の両端部及び中間部の目付けのバラツキを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
幅広の金属箔を使用して幅方向に複数枚分の活物質層を有する帯状の電極シートを形成した後、その帯状の電極シートからその幅方向において複数枚ずつ電極板を切り出して電極板を形成した場合、各電極板上の活物質の目付けのバラツキが大きくなる。そのため、正極用の電極板及び負極用の電極板をセパレータを介して所定枚数ずつ積層して構成した積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキが大きくなり、電池容量のバラツキが大きくなる。積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを抑制するため、特許文献1のように電極組立体を構成する各電極板を秤量して、電極組立体を構成する複数枚の電極板の合計重量が小さくなるように電極板を組み合わせる方法を採用すると、電極板を1枚ずつ秤量する工程、秤量した電極板をストックする工程、秤量結果を考慮して電極板を組み合わせる工程が必要になる。そのため、生産速度が低下するだけでなく、電極板をストックするスペースの確保や設備費用が増大するという問題がある。
【0009】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる積層型蓄電装置の製造方法及び電極板の切出し積載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する積層型蓄電装置の製造方法は、活物質層が塗布された帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を使用する積層型蓄電装置の製造方法であって、前記電極シートから1サイクルあたりに切り出される前記電極板の数
より1つ多い数の電極板積載部材を設け、前記電極シートから
1サイクルあたりに切り出された複数枚の前記電極板を
、切出し位置毎に対応する受取位置に待機する前記電極板積載部材上に積載し、所定周期で2つ以上の前記電極板積載部材の位置を変更する電極板切出し積載工程を備え
、前記電極板積載部材は前記電極板が積載される受取位置と、前記受取位置の他に設けられた待機スペースとを移動する。ここで、「1サイクル」とは、電極板切出し積載工程で繰り返し行われる一連の作業、即ち活物質層が塗布された帯状の電極シートから予め設定された複数枚の電極板を切り出す切り出し作業と、その切り出し作業で切り出された電極板を1枚ずつ各電極板積載部材上に積載する積載作業とが1回完了する迄を意味する。
【0011】
この構成によれば、積層型蓄電装置は、活物質層が塗布された帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を使用する。そして、電極シートから1サイクルあたりに切り出される各電極板は、電極板の数と同じ数以上設けられた電極板積載部材上に1枚ずつ積載される。2つ以上の電極板積載部材は、電極板を受け取る(積載される)位置が所定周期で変更される。その結果、例えば、電極シート上の活物質の目付けに電極シートの幅方向においてバラツキがあっても、各電極板積載部材上には、幅方向における異なる位置から切り出された電極が混合された状態で積層され、積載された電極板の合計重量は均等になる。したがって、帯状の電極シートから1サイクルあたり複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0012】
また、電極板積載部材は電極板を受け取る位置を所定周期で変更する必要があり、電極板積載部材が移動している間は電極板の電極板積載部材上への積載作業は中断される。電極板積載部材の数が1サイクルあたりに切り出される電極板の数と同じ場合は、各電極板積載部材の位置変更に時間がかかる。しかし、電極板積載部材が1サイクルあたりに切り出される電極板の数より1つ多く設けられ、電極板積載部材は電極板が積載される受取位置と、受取位置の他に設けられた待機スペースとを移動する。そのため、位置変更の際に、次に電極板を受け取る受取位置まで各電極板積載部材が移動する距離を短くでき、簡単な構成で位置変更にかかる時間を短くすることができる。
【0013】
前記電極シートとしてロール状に巻回された電極ロールが使用され、前記電極ロールから繰り出されて前記電極板が切り出されることが好ましい。電極シートとしてロール状ではなく平らなシート状のものを使用した場合、何回か電極板が切り出される毎に新しい電極シートと交換する必要があり、また、電極板が切り出された後の電極シートをその都度処理する必要がある。しかし、電極シートとしてロール状に巻回された電極ロールを使用した場合、そのような手間が簡単になる。
【0014】
前記電極板切出し積載工程は、各前記電極板積載部材上に積載された前記電極板の合計重量が均等になるように前記電極板積載部材の位置を変更することが好ましい。この構成によれば、電極シートに塗布された活物質層の厚さのバラツキ状態によっては、各電極板積載部材の位置を変更するために各電極板積載部材を移動させる距離を少なくすることができる。例えば、活物質層の厚さのバラツキが電極シートの幅方向において対称で、電極シートから幅方向に偶数枚ずつ電極板を切り出す場合は、活物質層の厚さのバラツキが電極シートの幅方向において非対称の場合に比べて各電極板積載部材の移動量を半分以下にできる。
【0015】
上記課題を解決する電極板の切出し積載装置は、活物質層が塗布された帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を積載する電極板の切出し積載装置であって、前記電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ前記電極板を切り出す切出し装置と、1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出される前記電極板の数
より1つ多く設けられた電極板積載部材と、前記電極シートから1サイクルあたりに切り出された複数枚の前記電極板を、切出し位置毎に対応する受取位置に待機する前記電極板積載部材上に積載する積載装置と、前記電極板積載部材の2つ以上の前記受取位置を所定周期で変更させる電極板積載部材移動装置とを備え
、前記受取位置を含めて前記電極板積載部材が待機する待機スペースが前記1サイクルあたりに切り出される前記電極板の数より2つ多く設けられている。
【0016】
この構成によれば、切出し装置により電極シートから電極板が切り出され、電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出された電極板が切出し位置毎に対応する受取位置に待機する電極板積載部材上に積載装置により積載される。また、各電極板積載部材は、電極板積載部材移動装置により、2つ以上の受取位置が所定周期で変更される。したがって、帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0017】
また、電極板積載部材の受取位置を変更する際に、受取位置に配置されていた電極板積載部材のうちの一端側の電極板積載部材を待機スペースへ移動させた後、残りの電極板積載部材を同時に移動させて受取位置の変更を行う。そして、電極板積載部材の他端側に空いた受取位置に、その位置と対向する待機スペース上に待機していた電極板積載部材が移動されて電極板積載部材の位置変更が完了する。したがって、各電極板積載部材が移動する距離を短くでき、簡単な構成で位置変更にかかる時間を短くすることができる。
【0018】
前記電極シートがロール状に巻回された電極ロールを支持して前記電極シートを間欠的に繰り出す繰出し部を備えていることが好ましい。この構成によれば、電極シートとしてロール状ではなく平らなシート状のものを使用する構成に比べて、電極シートの所定箇所を切出し装置により電極板が切り出される位置へ供給する作業と、電極板が切り出された後の部分を次の切出し作業に支障のない位置まで移動させる作業とを簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。
積層型蓄電装置の製造方法は、電極板として活物質層が長手方向に沿って塗布された帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を使用する。そして、帯状の電極シートから1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板を積載する電極板の切出し積載工程に特徴を有し、帯状の電極シートを製造するまでの工程及び積載された電極板を使用して電極組立体を組み立てる以降の工程は公知の工程で実施できるため電極板の切出し積載工程(電極板切出し積載工程)及び電極板の切出し積載装置について説明する。なお、1サイクルとは、電極板切出し積載工程で繰り返し行われる一連の作業、即ち帯状の電極シートから予め設定された複数枚の電極板を切り出す切り出し作業と、その切り出し作業で切り出された電極板を1枚ずつ各電極板積載部材上に積載する積載作業とが1回完了する迄を意味する。
【0022】
図1に示すように、電極板の切出し積載工程で使用される電極板の切出し積載装置は、帯状の電極シート11がロール状に巻回された電極ロール12を支持して電極シート11を間欠的に繰り出す繰出し部13と、電極シート11を巻き取る巻取り部14と、電極シート11をガイドするガイドローラ15とを有する電極シート送り装置16を備えている。電極シート11は、電極ロール12から繰り出された後、両ガイドローラ15の間を水平状態で移動する。
【0023】
図2に示すように、電極シート11は、その長手方向に活物質層17が間欠的に、かつ電極シート11の幅方向の両端部を除く状態に所定間隔で形成されている。間欠的に形成された各活物質層17は、積層型の電極組立体の電極板18(
図3に図示)を電極シート11の幅方向において複数枚(この実施形態では4枚)切り出し可能な大きさに形成されている。
【0024】
図1に示すように、巻取り部14の上方でガイドローラ15の近傍には電極シート11から電極板18を切り出す切出し装置としての打ち抜き装置19が設けられている。打ち抜き装置19は、打ち抜き型19aと支持部19bとを備え、支持部19bで支持された電極シート11から同時に4枚の電極板18を、電極シート11の幅方向に1列に打ち抜く(切り出す)ように構成されている。即ち、この実施形態では、1サイクルあたりに4枚ずつ電極板18が切り出される。
【0025】
図1及び
図3に示すように、電極シート送り装置16の一端側近傍には、電極シート11から切り出される1列分の電極板18を同時に取り出して、切出し位置毎に対応する受取位置に待機する電極板積載部材20(
図3に図示)上に積載する積載装置21と、電極板積載部材20を間欠的に移動させる電極板積載部材移動装置22とが設けられている。受取位置P1〜P4は電極シート11から切り出される1列分の電極板18の数と同じ数、この実施形態では4箇所設けられている。
【0026】
電極板積載部材20は、電極シート11から切り出される1列分の電極板18を1枚ずつ積載可能な数以上設けられ、この実施形態では電極シート11から切り出される1列分の電極板18の数である4個より1つ多い5個の電極板積載部材20が設けられている。
【0027】
電極板積載部材移動装置22は、平行に配置された第1のベルトコンベア23及び第2のベルトコンベア24を備え、第1のベルトコンベア23は、4個の電極板積載部材20を4箇所の受取位置P1〜P4に配置し、かつ受取位置P4に隣り合う位置に1個の電極板積載部材20の待機スペースSを確保可能な長さを有する。第2のベルトコンベア24は、第1のベルトコンベア23と同じ長さを有し、受取位置P1と対向する位置が電極板積載部材20の待機スペースSとなる。電極板積載部材移動装置22は、電極板積載部材20の待機位置を所定周期で変更して各電極板積載部材20を全ての受取位置P1〜P4へ移動させるように制御装置により制御される。
【0028】
図1及び
図3に示すように、積載装置21は吸引部25を備えている。吸引部25は、電極シート11から切り出された4個の電極板18をそれぞれ四隅において同時に吸引して水平状態で保持し、電極板18の配列方向を90度変更した
図3に2点鎖線で示す位置において、第1のベルトコンベア23の受取位置P1〜P4上に配置された電極板積載部材20上に受け渡す(積載する)ようになっている。詳述すると、吸引部25は、アーム26を介して昇降装置27により昇降可能に支持され、電極シート11から切り出された電極板18を吸引可能な位置と、吸引した電極板18を電極シート11より上方で吸引部25の回動に支障とならない上昇位置との間で昇降される。昇降装置27は、回動装置28により回動される。
【0029】
第1のベルトコンベア23及び第2のベルトコンベア24の第1端部の近くには、第1のベルトコンベア23上から第2のベルトコンベア24上に電極板積載部材20を移動させる移載装置29が設けられている。また、第2端部の近くには、第2のベルトコンベア24上から第1のベルトコンベア23上に電極板積載部材20を移動させる移載装置30が設けられている。移載装置29,30として、例えばロボットアームが設けられている。
【0030】
次に前記のように構成された電極板の切出し積載装置を使用した蓄電装置の製造方法における電極板の切出し積載工程の作用について説明する。
電極シート送り装置16の作用により、帯状の電極シート11がロール状に巻回された電極ロール12から電極シート11が間欠的に繰り出され、両ガイドローラ15の間を水平状態で移動して巻取り部14に巻き取られる。電極シート11が停止した状態で、打ち抜き装置19により電極シート11から電極板18が打ち抜かれて切り出される。
図3に示すように、電極板18は、電極シート11の幅方向において4枚が1列で同時に打ち抜かれる。打ち抜かれた4枚の電極板18は、積載装置21の吸引部25によって
図4に示すように四隅において吸引された状態で上方へ移動された後、回動装置28の駆動によって第1のベルトコンベア23上の受取位置P1〜P4に待機する4個の電極板積載部材20と対向する位置まで回動される。なお、打ち抜き装置19により打ち抜かれた1列の電極板18が吸引部25により電極シート11から取り出されると、電極シート送り装置16が所定量駆動された後、打ち抜き装置19により次の1列の電極板18の打ち抜きが行われる。
【0031】
次に昇降装置27が駆動され、吸引部25が各電極板18をそれぞれ対向する各電極板積載部材20あるいは既に電極板積載部材20上に積載されている電極板18と接近する位置まで下降した後、吸引部25の吸引作用が解除されて各電極板18が各電極板積載部材20上に積載される。
【0032】
次に昇降装置27及び回動装置28が駆動され、吸引部25は再び
図3に実線で示すように、電極板取り出し位置に移動配置されて次に切断された1列の電極板18と対応する状態になる。以下、前記と同様にして、吸引部25による電極板18の取り出し作業及び各電極板積載部材20上への積載作業が所定回数行われる。所定回数とは、積層型電極組立体を構成する電極板18の枚数を電極シート11から切り出される1列の電極板18の数で割った数以下の数になる。例えば、積層型電極組立体を構成する電極板18の枚数が60枚であれば、この実施形態では電極シート11から切り出される1列の電極板18の数が4枚のため、所定回数は、60÷4の答15以下の数となる。そして、第1のベルトコンベア23の駆動回数を少なくするため、この実施形態では所定回数を15回としている。
【0033】
吸引部25による電極板18の取り出し作業及び各電極板積載部材20上への積載作業が所定回数行われると、第1のベルトコンベア23が
図3の右方向へ各電極板積載部材20をその長さ分だけ移動させるように駆動される。その結果、それまで各受取位置P1〜P4に配置されていた電極板積載部材20のうち、
図3において右端の受取位置P4に配置されていた電極板積載部材20は待機スペースS上に移動され、他の3個の電極板積載部材20は、それぞれ一つ右の受取位置P2,P3,P4へ移動される。次に第1のベルトコンベア23上の左端の受取位置P1と対向する状態で第2のベルトコンベア24上の待機スペースSに待機していた電極板積載部材20が第1のベルトコンベア23上の左端の受取位置P1へ移動される。
【0034】
次にその状態で前記と同様に、電極シート送り装置16、積載装置21、昇降装置27、回動装置28が駆動されて受取位置P1〜P4に待機する電極板積載部材20上に電極板18が所定枚数積載される。なお、第1のベルトコンベア23の待機スペースSに移動された電極板積載部材20は、受取位置P1〜P4に待機する電極板積載部材20上に次の所定枚数の電極板18の積載が完了するまでに、第2のベルトコンベア24上に移動された後、第2のベルトコンベア24の駆動により、受取位置P1と対向する待機スペースSに配置された状態となる。
【0035】
前記のように5個の電極板積載部材20が、4箇所の受取位置P1〜P4と、待機スペースSとの間を所定周期で移動されて各電極板積載部材20上に電極板18が積層された場合に、各電極板積載部材20上に4箇所の切り出し位置から切り出された電極板18が均等に積載されることを
図5に示す。
図5では、5個の電極板積載部材20をA〜Eの符号で区別し、
図5における各電極板積載部材20の配置位置の左端側から順に受取位置P1,P2,P3,P4に対応し右端が待機スペースSに対応する。
【0036】
先ず、
図5(a)の状態でA〜Dの電極板積載部材20に4箇所の切り出し位置から切り出された電極板18がそれぞれ積載される。各電極板積載部材20上に記載された数字は、電極板積載部材20上に積載された電極板18の4箇所の切り出し位置を区別する数字である。即ちA〜Dの電極板積載部材20上に1,2,3,4の切り出し位置から切り出された電極板18が積載される。
【0037】
次に各電極板積載部材20の待機位置が
図5(b)の状態に変更された後、電極板18の積載が行われ、Aの電極板積載部材20には1,2、Bの電極板積載部材20には2,3、Cの電極板積載部材20には3,4、Dの電極板積載部材20には4、Eの電極板積載部材20には1の切り出し位置から切り出された電極板18が積載された状態になる。
【0038】
以下、各電極板積載部材20の待機位置がそれぞれ
図5(c)の状態、
図5(d)の状態、
図5(e)の状態に順に変更されるとともに各状態において電極板18の積載が行われることにより、
図5(e)に示すように、A〜Eの各電極板積載部材20上に4箇所の切り出し位置から切り出された電極板18が均等に積載された状態になる。このようなサイクルが繰り返されて、最終的に各電極板積載部材20上には数百枚から数千枚の電極板18が積層された状態になる。そして、正極用の電極板18が積層された電極板積載部材20と、負極用の電極板18が積層された電極板積載部材20とが積層型電極組立体の組立工程において使用される。
【0039】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)積層型蓄電装置の製造方法は、活物質層17が塗布された帯状の電極シート11から1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板18を使用する積層型蓄電装置の製造方法である。そして、電極シート11から1サイクルあたりに切り出される電極板18の数と同じ数以上の電極板積載部材20を設け、電極シート11から切り出した複数枚の電極板18を1枚ずつ各電極板積載部材20上に積載し、所定周期で2つ以上の電極板積載部材20の位置を変更する電極板切出し積載工程を備える。したがって、帯状の電極シート11から1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板18を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0040】
(2)電極板積載部材20は1サイクルあたりに切り出される電極板18の数より1つ多く設けられ、電極板積載部材20は電極板18が積載される受取位置P1〜P4と、電極板積載部材20の数より1つ多く設けられた待機スペースSとを移動する。そのため、電極板積載部材20の位置変更の際に、次に電極板18を受け取る受取位置P1〜P4まで各電極板積載部材20が移動する距離を短くでき、簡単な構成で位置変更にかかる時間を短くすることができる。
【0041】
(3)電極シート11としてロール状に巻回された電極ロール12が使用され、電極ロール12から繰り出されて電極板18が切り出される。電極シート11としてロール状ではなく平らなシート状のものを使用した場合、何回か電極板18が切り出される毎に新しい電極シート11と交換する必要があり、また、電極板18が切り出された後の電極シート11をその都度処理する必要がある。しかし、電極シート11としてロール状に巻回された電極ロール12を使用した場合、そのような手間が簡単になる。
【0042】
(4)電極板18の切出し積載装置は、活物質層17が塗布された帯状の電極シート11から1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板18を積載する。そして、電極シート11から1サイクルあたりに複数枚ずつ電極板18を切り出す切出し装置(打ち抜き装置19)と、1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出される電極板18の数以上設けられた電極板積載部材20と、電極シート11から1サイクルあたりに切り出された複数枚の電極板18を、切出し位置毎に対応する受取位置P1〜P4に待機する電極板積載部材20上に積載する積載装置21とを備える。さらに、電極板積載部材20の2つ以上の受取位置を所定周期で変更させる電極板積載部材移動装置22を備える。したがって、帯状の電極シート11から1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出した電極板18を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を
図6〜
図8にしたがって説明する。この実施形態では、各電極板積載部材20の受取位置を所定周期で変更する電極板積載部材移動装置の構成が第1の実施形態と大きく異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0044】
図6及び
図7に示すように、電極板積載部材移動装置31は、4個の電極板積載部材20が等間隔で載置される支持プレート32を備え、各電極板積載部材20の底面には中心を挟んだ対称位置に2個の係合穴20aが形成されている。支持プレート32には、所定位置に載置された電極板積載部材20の係合穴20aと対向する位置に挿通孔32aが形成されている。支持プレート32の下方には、隣り合う電極板積載部材20を同時に支持プレート32から離間させた状態で回動させるアーム33を有する3台の積載部材回動装置34a,34b,34cが1列に設けられている。中央に設けられた積載部材回動装置34bと、その両側に設けられた積載部材回動装置34a,34cとは交互に駆動される。積載部材回動装置34bが駆動されるときには、積載部材回動装置34a,34cのアーム33は、電極板積載部材20の係合穴20aから退避した位置に保持され、積載部材回動装置34a,34cが駆動されるときには、積載部材回動装置34bのアーム33は、電極板積載部材20の係合穴20aから退避した位置に保持される。
【0045】
次に電極板積載部材移動装置31の作用を
図8にしたがって説明する。
図8では、4個の電極板積載部材20を1〜4の数字で区別し、
図8における各電極板積載部材20の配置位置の左端側から順に受取位置P1,P2,P3,P4に対応する。積載部材回動装置34aの駆動により受取位置P1,P2に配置された2個の電極板積載部材20の位置が交換され、積載部材回動装置34bの駆動により受取位置P2,P3に配置された2個の電極板積載部材20の位置が交換され、積載部材回動装置34cの駆動により受取位置P3,P4に配置された2個の電極板積載部材20の位置が交換される。両積載部材回動装置34a,34cは同時に駆動され、積載部材回動装置34bは単独で駆動される。
【0046】
先ず、
図8(a)の状態で1〜4の電極板積載部材20に4箇所の切り出し位置から切り出された電極板18がそれぞれ積載される。その状態で所定回数各電極板積載部材20上に電極板18が積載された後、両積載部材回動装置34a,34cが同時に駆動され、
各電極板積載部材20の待機位置が
図8(b)の状態に変更される。その状態で所定回数各電極板積載部材20上に電極板18の積載が行われた後、積載部材回動装置34bが単独で駆動され、各電極板積載部材20の待機位置が
図8(c)の状態に変更される。以下、同様に所定回数各電極板積載部材20上に電極板18の積載が行われた後、両積載部材回動装置34a,34cが同時に駆動される状態と、積載部材回動装置34bが単独で駆動される状態とが繰り返されている。その結果、各電極板積載部材20の待機位置が
図8(d)の状態、
図8(e)の状態、
図8(f)の状態、
図8(g)の状態を経て、
図8(h)の状態に変更される。そして、4個の各電極板積載部材20は、その間に各受取位置P1〜P4にそれぞれ2回ずつ配置された状態で電極板18が積載される。したがって、1〜4の各電極板積載部材20上に積載された電極板18の合計重量が均等になる。なお、この実施形態においては、1個の積層型電極組立体を構成する正極板及び負極板の枚数は、例えば、それぞれ64枚であるため、電極板18が電極板積載部材20上に積載される所定回数を8回としている。
【0047】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1),(3)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)受取位置P1〜P4以外の待機位置を設けることなく、電極板積載部材20は、電極板積載部材移動装置31により各受取位置P1〜P4へ移動される。したがって、電極板積載部材移動装置31は、第1の実施形態における電極板積載部材移動装置22に比べて、設置スペースを狭くすることができる。また、装置の構成も簡単になる。
【0048】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1の実施形態のように第1のベルトコンベア23及び第2のベルトコンベア24を備えた電極板積載部材移動装置22において、
図9に示すように、第1のベルトコンベア23は4個の電極板積載部材20の受取位置が設けられる長さで、待機スペースSは第2のベルトコンベア24上にのみ設けられる構成としてもよい。この場合、各電極板積載部材20上への積載作業が所定回数行われると、まず、第1のベルトコンベア23の
図9における右端に配置されている電極板積載部材20が第2のベルトコンベア24上に移動された後、第1のベルトコンベア23が駆動されて、第1のベルトコンベア23の左端に受取位置P1用のスペースが設けられる。その状態で第2のベルトコンベア24上に待機していた電極板積載部材20が第1のベルトコンベア23上に移動され、その状態で次の所定回数の積載作業が行われる。この構成では、電極板積載部材移動装置22の設置スペースを第1の実施形態に比べて小さくすることができる。
【0049】
○ 電極シート11上に形成された活物質層17の膜厚が幅方向において対称であれば、4個の電極板積載部材20がそれぞれ4箇所の受取位置に配置される必要はなく、幅方向の中央を挟んで両側に配置された2個の電極板積載部材20同士でその配置位置を変更すればよい。その場合、第2の実施形態における積載部材回動装置34a,34cを設けてもよい。即ち、電極板切出し積載工程は、各電極板積載部材20上に積載された電極板18の合計重量が均等になるように電極板積載部材20の位置を変更すればよく、1サイクルあたりに切り出される電極板18の枚数に対応して設けられた全ての受取位置に各電極板積載部材20が移動配置される必要はない。したがって、電極シート11に塗布された活物質層17の厚さのバラツキ状態によっては、各電極板積載部材20の位置を変更するために各電極板積載部材を移動させる距離を少なくすることができる。
【0050】
○
図10に示すように、2個の電極板積載部材20を載置した状態で駆動される回転テーブル35,36を2個設けて、隣り合う2個の電極板積載部材20同士で電極板積載部材20の配置を変更する構成としてもよい。
【0051】
○
図11に示すように、第1のベルトコンベア23は4個の電極板積載部材20の受取位置P1〜P4の他に、受取位置P1〜P4の両側にそれぞれ待機スペースSが設けられる長さとし、第2のベルトコンベア24も第1のベルトコンベア23と同じ長さの構成としてもよい。この場合、5個の電極板積載部材20の位置変更を行う場合、第1のベルトコンベア23を電極板積載部材20の1個分の長さ移動させるだけで次の積載作業を開始することができる。詳述すると、
図11に示すように、4個の電極板積載部材20が4箇所の受取位置P1〜P4に配置位置され、かつ1個の電極板積載部材20が受取位置P1に隣接した待機スペースSに配置された状態から電極板18の切出し積載作業が開始される。そして、その状態で所定回数の積載作業が行われると、第1のベルトコンベア23が駆動され、受取位置P4に配置されていた電極板積載部材20は、二点鎖線で示すように受取位置P4に隣接する待機スペースSへ移動され、受取位置P1,P2,P3に配置されていた電極板積載部材20は、それぞれ受取位置P2,P3,P4へ移動される。また、第1のベルトコンベア23上の受取位置P1に隣り合う待機スペースSに待機していた電極板積載部材20は受取位置P1上に移動される。そして、その状態で次の電極板18の所定回数の切出し積載作業が再開される。受取位置P4に隣接する待機スペースSへ移動された電極板積載部材20は、所定回数の切出し積載作業が完了するまでに、受取位置P1に隣接した待機スペースSへ移動されて待機する。
【0052】
○ 帯状の電極シート11からその幅方向において複数枚ずつ切り出される1列分の電極板18の数は4枚に限らず、電極シート11に塗布された活物質層17の幅に対応して設定され、2枚あるいは3枚としたり、5枚以上としたりしてもよい。
【0053】
○ 活物質層17は、帯状の電極シート11の長手方向に間欠的に形成されずに、連続的に形成されてもよい。しかし、間欠的に形成された方が無駄になる活物質が少なくなる。
【0054】
○ 帯状の電極シート11から1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出される電極板18の切り出し位置は、電極シート11の幅方向に1列ずつに限らない。例えば、活物質層17を電極シート11の長手方向に連続的に塗布し、電極板18の切り出し位置を電極シート11の幅方向に対して斜め方向に1列となるようにしたり、電極シートの11の長手方向に1列となるようにしたりしてもよい。電極シートの11の長手方向に1列ずつ切り出す場合、1サイクルあたりに切り出される電極板18の数は、電極シート11の幅方向において1列となるように切り出し可能な数より多く設定することも可能である。
【0055】
○ また、帯状の電極シート11から1サイクルあたりに複数枚ずつ切り出される電極板18の切り出し位置は、電極シート11の幅方向、幅方向に対して斜め方向、あるいは長手方向に1列となる位置に限らない。例えば、電極シート11の幅方向及び長手方向にそれぞれ複数枚となる状態、例えば、4枚の電極板18を田の字状となるように切り出してもよい。
【0056】
○
図12に示すように、活物質層17を電極シート11の幅方向に一定間隔をおいた複数のストライプ状に形成してもよい。
図12では活物質層17が3本形成されているため、電極板18を電極シート11の幅方向あるいは幅方向に対して斜め方向に1列に切り出す場合は3枚取りとなる。
【0057】
○ 帯状の電極シート11がロール状に巻回された電極ロール12を繰出し部13に支持して使用する場合、電極ロール12から間欠的に繰り出されて電極板18が切り出された電極シート11は、必ずしも巻取り部14で巻き取らずに処理してもよい。この場合、打ち抜き装置19で電極板18が切り出された後の電極シート11は、例えば、ガイドローラ15及びガイドローラ15と協同して電極シート11を引き取る駆動ローラにより引き取られて下方へ案内される。
【0058】
○ 受取位置P1〜P4で待機する各電極板積載部材20を受取位置P1〜P4の配列方向に沿って移動させる電極板積載部材移動装置22は、第1のベルトコンベア23及び第2のベルトコンベア24を備えた構成に限らない。例えば、ベルトコンベアに代えてローラコンベアを使用したり、各電極板積載部材20をスライド可能に支持する支持プレートと、支持プレート上に支持された電極板積載部材20と係合して電極板積載部材20を受取位置P1〜P4の配列方向に沿って移動させる移動手段とを設けたりしてもよい。移動手段としてシリンダを使用すれば構成が簡単になる。
【0059】
○ 電極シート11としてロール状の電極ロール12から繰り出されるものを使用する変わりに、平らなシート状のものを使用してもよい。
○ 電極板18の切出し装置は、電極シート11の幅方向において複数枚の電極板18を、電極シート11から打ち抜きにより切り出す打ち抜き装置19に限らない。例えば、レーザ装置や切断刃で電極板18を切り出す切出し装置であってもよい。しかし、切り出す枚数が多い場合、打ち抜き装置19の方が複数枚の電極板18を切り出すために要する時間を短くすることができる。