(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
〔画像形成装置の構成〕
図1は、本発明に係る実施の形態を示す画像形成装置の構成例を示す全体構成図である。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は画像形成装置本体100と画像読取装置200とから構成される。画像形成装置本体100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、画像形成部10、中間転写ベルト20、給紙部30、二次転写部40、定着部50、通知部90、制御部110、等からなる。
【0016】
画像形成部10は、複数の画像形成部10Y,10M,10C,10Kからなる。イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Yは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y及びクリーニング部8Yを配置している。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電部2M、露光部3M、現像部4M及びクリーニング部8Mを配置している。シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電部2C、露光部3C、現像部4C及びクリーニング部8Cを配置している。黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電部2K、露光部3K、現像部4K及びクリーニング部8Kを配置している。なお、現像部4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包する。
【0017】
中間転写ベルト20は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持されている。なお、中間転写ベルト20周辺の詳細な構成については、
図3を参照して後述する。
【0018】
給紙部30は、用紙を収納する給紙カセット31と、用紙を搬送する、給紙ローラー32、搬送ローラー33A,33B,33C,33D,レジストローラー34と、を有する。
【0019】
二次転写部40は、中間転写ベルト20と接触しながら、二次転写ニップ部を形成しており、中間転写ベルト20の外周面上に担持されたトナー像を、二次転写ニップ部に搬送されてきた用紙Pに対して転写する。
【0020】
定着部50は、加熱された定着ローラー51と定着ベルト52との間に形成されたニップ部で用紙P上のトナー像を加熱・加圧して定着する。
【0021】
通知部90は、例えば液晶ディスプレイからなり、ユーザーに向けて警告などを通知する機能を有する。通知部90としてスピーカーを備え、音声を発することによってユーザーに対する通知を行ってもよい。
【0022】
制御部110の構成については、
図2を参照して後述する。
【0023】
画像形成装置本体100の上部には、画像読取装置200が設置されている。画像読取装置200は、自動原稿送り装置201と原稿画像走査露光装置202を有する。
【0024】
自動原稿送り装置201の原稿台上に載置された原稿dは搬送部により搬送され、原稿画像走査露光装置202の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサーCCDに読み込まれる。ラインイメージセンサーCCDにより光電変換されて形成された信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、画像形成部10に送られる。
【0025】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kにより形成された各色の画像は、回動する中間転写ベルト20上に転写部7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて(一次転写)、カラー画像合成されたトナー像が形成される。給紙カセット31内に収容された用紙Pは、給紙ローラー32により給紙され、搬送ローラー33A,33B,33C,33D,レジストローラー34等を経て、二次転写部40に搬送され、用紙P上にカラー画像が転写される(二次転写)。カラー画像が転写された用紙Pは定着部50において加熱・加圧され、用紙P上のカラートナー像が定着される。その後、排紙ローラー24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0026】
一方、二次転写部40により用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した中間転写ベルト20は、クリーニング部8Aにより残留トナーが除去される。
【0027】
なお、以上ではカラー画像を形成する画像形成装置について説明したが、本発明の実施の形態はこれに限られることはなく、モノクロ画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0028】
〔画像形成装置の制御構成〕
図2は、本発明に係る実施の形態を示す画像形成装置の制御ブロック図である。
【0029】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113等を備えている。CPU111は、ROM112から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM113に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置の各ブロックの動作を制御する。このとき、不図示の記憶部に格納されている各種データが参照される。記憶部は、例えば不揮発性の半導体メモリー(いわゆるフラッシュメモリー)やハードディスクドライブで構成される。
【0030】
また、制御部110は、不図示の通信部を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部110は、例えば、外部装置から送信された画像データを受信し、当該受信した画像データに基づいて用紙に画像を形成させる。
【0031】
図2に示すように、制御部110は、画像形成部10、中間転写ベルト20、給紙部30、二次転写部40、定着部50、ステアリングローラー62、検知部70、位置検知部80、通知部90等、画像形成装置の各部を制御する。
【0032】
〔中間転写ベルト周辺の構成〕
図3は、中間転写ベルト周辺の構成を示す説明図である。
図3には、中間転写ベルト20、駆動ローラー61、ステアリングローラー62、画像形成部10Y,10M,10C,10K、二次転写部40、検知部70、位置検知部80、が示されている。
【0033】
無端状の中間転写ベルト20は複数のローラーにより張架されており、上部では駆動ローラー61及びステアリングローラー62により張架されている。
【0034】
駆動ローラー61は制御部110によって制御される不図示のモーターにより回転し、中間転写ベルト20を循環走行させるローラーである。
【0035】
ステアリングローラー62は、中間転写ベルト20の回動に合わせて従動回転する。ステアリングローラー62は、中間転写ベルト20を中間転写ベルト20の幅方向に移動させる駆動部として機能する。以下では、ステアリングローラー62により、中間転写ベルト20を中間転写ベルト20の幅方向に移動させる動作のことをステアリング動作と称する。
【0036】
図4は、ステアリングローラー62の動作方法を示す説明図である。
図4は
図3のA方向から見た中間転写ベルト20とステアリングローラー62の図である。ステアリングローラー62は一方の支軸62Aを不図示のカム等によって駆動することにより、他方の支軸62Bを中心に回動可能に構成されている。そして、例えば、中間転写ベルト20が
図4中の矢印の方向に回動中であって、中間転写ベルト20が実線で示す位置に位置していた場合、ステアリングローラー62を符号Xで示す様に時計方向に回動させて傾かせる。すると、中間転写ベルト20とステアリングローラー62との摩擦により、中間転写ベルト20が傾いている方向に分力が発生し、中間転写ベルト20は左方に移動して二点鎖線で示した位置に位置するようになる。逆に、中間転写ベルト20が
図4中の矢印の方向に回動中であって、中間転写ベルト20が二点鎖線で示す位置に位置していた場合、ステアリングローラー62を符号Yで示す様に反時計方向に回動させて傾かせる。すると、中間転写ベルト20は右方に移動して実線で示した位置に位置するようになる。このように、制御部110によってステアリングローラー62を制御することによって、中間転写ベルト20を中間転写ベルト20の幅方向に移動させることができる。
【0037】
検知部70は、中間転写ベルト20の回動方向について画像形成部10Kの下流側に、設置されている。検知部70は、中間転写ベルト20上に光を照射する光源71と、中間転写ベルト20上で反射された光を読み取る読取部72とを有し、中間転写ベルト20の表面の状態を検知する機能を有する。
【0038】
図5は、検知部70の構成の一例を概略的に示す図である。検知部70は、中間転写ベルト20のトナー像が形成される側の面に対向するように設置され、中間転写ベルト20の幅方向の所定の位置に固定されている。光源71は、例えば、Y,M,C,Bkの各色のパターン画像に対応した色の光を照射する4つのLED(Light Emitting Diode)から構成される。これらのLEDは、中間転写ベルト20の幅方向の異なる位置に配置されていてもよいし、中間転写ベルト20の回動方向に沿って配置されていてもよい。また、単一のLEDによって、各色のパターン画像に対して光を照射してもよい。また、光源71として、LEDのほかにレーザー発光素子等を用いてもよい。読取部72は受光素子としての光電変換素子からなり、フォトダイオードやフォトトランジスターが用いられる。読取部72は、光源71から照射されて、中間転写ベルト20上で正反射された光を受光し、受光した光量に応じた電圧値を出力する。読取部72も光源71と同様に、パターン画像の色に対応した複数の光電変換素子を用いてもよいし、単一の光電変換素子で各色のパターン画像からの反射光を読み取ってもよい。本発明に係る画像形成装置は、検知部70を用いて補正動作を実行する。補正動作の詳細については、後述する。
【0039】
位置検知部80は、ステアリングローラー62の近傍に設置されている。位置検知部80は、中間転写ベルト20の幅方向の位置を検知する機能を有する。なお、中間転写ベルト20の幅方向の位置の定義は、中間転写ベルト20の幅方向の一方の端部の位置としてもよいし、中間転写ベルト20の幅方向の中心の位置としてもよい。
【0040】
図6は、位置検知部80の構成の一例を概略的に示す図である。位置検知部80は、発光素子81と受光素子82とを含む。このように構成することにより、中間転写ベルト20の、幅方向における位置が変動すると、その変動に応じて、発光素子81から照射され、受光素子82で受光される光量が変動する。このため、位置検知部80は、受光素子82で受光される光量の変動に基づいて、中間転写ベルト20の幅方向における位置を検知することができる。なお、中間転写ベルト20の幅方向の中心の位置を中間転写ベルト20の幅方向の位置と定義する場合には、位置検知部80の発光素子81と受光素子82とによって検知された、中間転写ベルト20の幅方向の一方の端部の位置から、中間転写ベルト20の幅方向の長さの半分の長さだけ、中間転写ベルト20の他方の端部側へ移動した位置として、中間転写ベルト20の幅方向の位置を算出することができる。
【0041】
〔第一のステアリング動作〕
以下に、第一のステアリング動作について、説明する。第一のステアリング動作とは、制御部110が、画像形成動作を実行する際に、位置検知部80による検知結果に基づいて、画像形成動作を実行するための標準位置に中間転写ベルト20を移動させるようにステアリングローラー62を制御する動作をいう。言い換えると、画像形成動作を実行する際に、中間転写ベルト20が幅方向のいずれかの側に所定量より大きく片寄った場合に、制御部110が第一のステアリング動作を実行し、ステアリングローラー62を制御して、中間転写ベルト20の片寄りを修正する。ここで、画像形成動作とは、画像形成部10Y,10M,10C,10Kによって中間転写ベルト20上にトナー像を形成し、二次転写部40によって用紙Pに転写することによって、用紙P上に画像を形成する動作のことをいう。
【0042】
図7は、第一のステアリング動作における制御方法を説明するフローチャートである。画像形成装置に接続された外部装置からジョブが入力された場合や、画像形成装置が有する不図示の記憶部に記憶されたジョブを指定した場合に、制御部110は、画像形成部10を制御して、画像形成動作を実行する(S101)。なお、画像形成動作を開始する時点では、中間転写ベルト20は標準位置Psに位置しているものとする。ここで、標準位置Psとは、中間転写ベルト20の幅方向の位置について標準となる位置である。具体的には、中間転写ベルト20の幅方向の中心の位置と、二次転写ニップ部の幅方向の中心の位置とが一致するとき、中間転写ベルト20は標準位置に位置しているとする。
【0043】
次に、制御部110は、位置検知部80により検知された中間転写ベルト20の幅方向の位置に基づいて、中間転写ベルト20の片寄りが所定量以下である否かを判断する(S102)。具体的には、制御部110は、位置検知部80によって検知された中間転写ベルト20の幅方向の位置と、標準位置Psとのずれを算出し、算出されたずれ量が所定の閾値以下である場合には、中間転写ベルト20の片寄りが所定量以下であると判断する。
【0044】
S102において、制御部110が、中間転写ベルト20の片寄りが所定量より大きいと判断した場合には(S102;No)、制御部110は、第一のステアリング動作を実行する(S103)。すなわち、中間転写ベルト20の幅方向の片寄りを修正するようにステアリングローラー62を制御する。
図4を参照して具体的に説明すると、中間転写ベルト20が右方に所定量より大きく片寄っていると制御部110が判断した場合、制御部110は、中間転写ベルト20を左方に移動させて、ずれ量が所定量以下となるように、ステアリングローラー62を制御する。逆に、中間転写ベルト20が左方に所定量より大きく片寄っていると制御部110が判断した場合、制御部110は、中間転写ベルト20を右方に移動させて、ずれ量が所定量以下となるように、ステアリングローラー62を制御する。S103を終えると、S104へ進む。
【0045】
一方、S102において、制御部110が、中間転写ベルト20の片寄りが所定量以下であると判断した場合には(S102;Yes)、S103を経ずにそのままS104へ進む。
【0046】
S104において、制御部110は、実行している画像形成動作が完了したか否かを判断する。制御部110が画像形成動作は完了していないと判断した場合には(S104;No)、S101へ戻る。一方、制御部110が画像形成動作は完了していると判断した場合には(S104;Yes)、動作を終了する。
【0047】
以上に説明したように、第一のステアリング動作を実行することにより、画像形成動作中に中間転写ベルト20が幅方向に片寄った場合であっても、その片寄りを修正することができ、カラー画像形成時に色ずれが生じる等の問題を抑制することができる。
【0048】
〔補正動作及び第二のステアリング動作〕
次に、本発明に係る画像形成装置が実行する補正動作について説明する。本発明に係る画像形成装置は、補正動作を実行する際に、所定の条件を満たした場合、第二のステアリング動作を実行する。第二のステアリング動作とは、制御部110が読取部72により読み取った裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断した場合に、中間転写ベルト20の幅方向の位置を移動させるようにステアリングローラー62を制御する動作をいう。ここで、裸面検知とは、中間転写ベルト20上のトナー像が担持されていない領域に対して、検知部70の光源71が光を照射し、読取部72により読み取りを行う動作をいう。そして、裸面検知を実行した際に読取部72が読み取った読取値を、裸面検知の読取値、又は、第一の読取値という。また、裸面とは、中間転写ベルト20上のトナー像が担持されていない領域のことをいう。
【0049】
なお、以下では、画像形成装置が実行する補正動作は、最大濃度時のトナーの付着量を調整するための最大濃度調整(Dmax補正)と、感光体ドラム1Y等に生じた帯電電位ムラや現像ムラによる誤差を最小限に抑える階調補正(γ補正)と、である場合について説明する。しかし、画像形成装置が実行する補正動作の具体的な内容は、最大濃度調整及び階調補正に限られることはない。すなわち、裸面検知の読取値(第一の読取値)とパターン検知の読取値(第二の読取値)とに基づいて、画像形成部の動作条件を補正する補正動作であれば、その補正動作中に、本発明に係る第二のステアリング動作を実行することができる。ここで、パターン検知とは、中間転写ベルト20上の画像形成部10により形成された所定のパターン画像が担持されている領域に対して光源71が光を照射して読取部72により読み取りを行う動作をいう。ここで、パターン画像とは、補正動作に用いる画像のことをいい、最大濃度調整のための最大濃度調整画像や階調補正のための階調補正画像を含む。そして、パターン検知を実行した際に読取部72が読み取った読取値を、パターン検知の読取値、又は、第二の読取値という。
【0050】
図8及び
図15は、本発明に係る実施の形態を示す画像形成装置が実行する補正動作における制御方法を説明するフローチャートである。なお、補正動作を開始するときの中間転写ベルト20の位置は特に限定されないが、ここでは標準位置Psに位置しているとする。
【0051】
画像形成装置が動作を開始すると、制御部110は、補正動作を実行するタイミングとなったか否かを判断する(S201)。ここで、補正動作を実行するタイミングは、ユーザーの必要に応じて、所望の設定とすることができる。例えば、画像形成動作を行っているときに、所定の枚数の用紙に画像形成動作を実行する度毎に、用紙と用紙の間で実行してもよいし、装置の電源を入れた直後などのタイミングにおいて実行してもよい。
【0052】
制御部110が、補正動作を実行するタイミングでないと判断した場合は(S201;No)、補正動作を開始せず、制御部110は、所定期間経過後に再度S201の判断を実行する。一方、制御部110が、補正動作を実行するタイミングであると判断した場合には(S201;Yes)、制御部110は補正動作を開始して、S202へ進む。
【0053】
S202において、制御部110は、裸面検知を実行する。すなわち、中間転写ベルト20上のトナー像が担持されていない領域に対して、検知部70の光源71が光を照射し、読取部72により読み取りを行うように検知部70を制御する。具体的には、中間転写ベルト20上にトナー像が担持されていない状態において、制御部110は、光源71から中間転写ベルト20上に光を照射し、中間転写ベルト20からの反射光を読取部72により読み取るように検知部70を制御する。そして、制御部110は、読取部72により裸面を読み取っている状態で、中間転写ベルト20が一周分回動するように駆動ローラー61を制御する。ここで読み取られた裸面検知の読取値(第一の読取値)は、最大濃度調整及び階調補正の双方に用いられる。なお、裸面検知を行う際には、中間転写ベルト20に全くトナー像が担持されていないことを必要とすることはない。すなわち、少なくとも、中間転写ベルト20上の検知部70に対向する位置にトナーが担持されていなければよく、検知部70に対向しない位置には、トナー像が担持されていてもかまわない。
【0054】
次に、制御部110は、裸面検知を実行している間に、読取部72が読み取った裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが適切であるか否かを判断する(S203)。S203の意義を以下に説明する。
【0055】
補正動作のための裸面検知を実行する際に、中間転写ベルト20上に傷等が存在する場合、通常の場合(中間転写ベルト20上に傷等が存在しない場合)には、光源71からR1方向に照射された光の大部分は、中間転写ベルト20上でR2方向へ正反射され、読取部72へ到達する(
図5)。このときに読取部72が読み取った読取値をL1とする。
【0056】
一方、中間転写ベルト20上に傷Dが存在する場合には、
図9に示すように光源71からR1方向に照射された光が傷Dによって乱反射され、R2方向へ反射される光の光量は、通常の場合と比べて少なくなる。このため、このときに読取部72によって読み取られる読取値L1’は、通常の場合の裸面検知の読取値L1と比較して小さい値となる。
【0057】
したがって、
図10に示すようにパターン画像Iが中間転写ベルト20上に担持された状態で検知部70によりパターン検知を実行したときの、パターン検知の読取値をL2とすると、中間転写ベルト20上に傷Dが存在する場合の裸面検知の読取値L1’と、パターン検知の読取値L2と、に基づいて補正動作を実行した場合、L1’とL2との間の差分が、パターン画像の濃度を正確に反映していないこととなる。よって、L1’とL2との間の差分からパターン画像の濃度を正しく推定することができず、補正動作を適切に実行することができない。すなわち、裸面検知の読取値L1’に基づいて補正動作を実行するのは不適切である。
【0058】
そこで、本発明に係る画像形成装置において、制御部110は、読取部72が読み取った裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行するのが適切であるか否かを判断し(S203)、不適切であると判断した場合は(S203;No)、第二のステアリング動作(
図15参照)を実行して、適切な裸面検知を実行するように試みる。
【0059】
S203において、読み取られた裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行するのが適切であるか否かを判断する際の具体的な判断基準として、例えば以下のような二つのような基準が考えられる。
【0060】
一つ目の判断基準においては、制御部110は、読取部72により読み取った裸面検知の読取値が、所定の閾値Lthよりも小さい値となった場合に、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断する。
図11は、検知部70が検知する中間転写ベルト20上の位置と、その位置において読取部72が読み取った読取値との関係を示すグラフである。光源71から照射された光は傷Dによって散乱されるため、傷Dの位置における読取値Ldは、それ以外の位置における読取値Lに比べて小さい値となっている。そして、Ldは所定の閾値Lthよりも小さい値となっているため、制御部110は、この裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断する。このように、所定の閾値Lthを適切に設定すれば、読取部72により読み取った裸面検知の読取値が所定の閾値Lthよりも小さい値となった場合に、第一の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断することで、中間転写ベルト20上の傷等を適切に検知することができる。
【0061】
二つ目の判断基準においては、制御部110は、裸面検知の読取値の変動幅が、所定の閾値よりも大きい場合に、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断する。ここで、変動幅とは、ある時点において読取部72が読み取った読取値と、裸面検知を開始してからの読取値の最大値又は平均値と、の差分をいう。
図12は
図11と同様の関係を示すグラフである。光源71から照射された光は傷Dによって散乱されるため、傷が存在する位置Dにおいて読取値はLdに低下する。そして、裸面検知を開始してからの読取値の平均値であるLとの差分Δは、Δ=L−Ldで表わされる。そして、差分Δは、不図示の所定の閾値Δthよりも大きい値であれば、制御部110は、この裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断する。この判断基準を用いた場合でも、所定の閾値Δthを適切に設定すれば、裸面検知の読取値の変動幅が、所定の閾値Δthよりも大きい場合に、その裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断することで、中間転写ベルト20上の傷等を適切に検知することができる。
【0062】
以上、S203における判断の意義と判断基準について説明した。以下では先に、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行するのが適切であると判断した場合(S203;Yes)、すなわち、通常通り補正動作を実行する場合の制御方法(S205〜S211)について説明し、その後に、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行するのが不適切であると判断した場合(S203;No)、すなわち、第二のステアリング動作を実行する場合における詳細な制御方法(S212,
図15)を説明する。
【0063】
S203において、制御部110が裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが適切であると判断した場合(S203;Yes)、続いて制御部110は裸面検知が完了したか否かを判断する(S204)。制御部110が、裸面検知が完了していないと判断した場合は(S204;No)、S203へ戻り、再度読取部72が読み取った第一の読取値L1に基づいて補正動作を実行することが適切であるか否かを判断する。一方、制御部110が、裸面検知が完了したと判断した場合は(S204;Yes)、制御部110は、最大濃度調整及び階調補正を実行する(S205〜S210)。
【0064】
まず制御部110は、中間転写ベルト20上に最大濃度調整画像Iaを形成するように、画像形成部10を制御する(S205)。
図13は、中間転写ベルト20上に形成された最大濃度調整画像Iaの例を示す説明図である。制御部110は、中間転写ベルト20に最大濃度の黒色のトナー像をベタで形成するように画像形成部10を制御する。最大濃度調整画像Iaは、所定の間隔を空けて、各色ごとに形成される。
【0065】
続いて、制御部110は、最大濃度調整のためのパターン検知を実行する(S206)。すなわち、中間転写ベルト20上の最大濃度調整画像Iaが担持されている領域に対して、検知部70の光源71が光を照射し、読取部72により読み取りを行うように検知部70を制御する。ここで読み取られたパターン検知の読取値(最大濃度調整のための第二の読取値)をL2aとする。具体的には制御部110は、中間転写ベルト20上の最大濃度調整画像Iaが形成されている位置を、検知部70に対向する位置まで回動させるように駆動ローラー61を制御し、検知部70に対向する位置に到達した最大濃度調整画像Iaを検知するように検知部70を制御する。
【0066】
そして、制御部110は、S202において読取部72により読み取った裸面検知の読取値L1と、S206において読取部72により読み取った最大濃度調整のためのパターン検知の読取値L2aと、に基づいて、最大濃度調整を実行する(S207)。より具体的には、制御部110は、裸面検知の読取値L1とパターン検知の読取値L2aとの間の差分から、最大濃度調整画像Iaの濃度を推定する。そして、制御部110は、画像形成動作時に適切な画像濃度が得られるように、推定された最大濃度調整画像Iaの濃度に基づいて、現像バイアスの値や、現像スリーブの回転速度等を制御する。例えば、裸面検知の読取値L1とパターン検知の読取値L2aとの差分が小さい場合は、最大濃度調整画像Iaの濃度が不足していることが推定されるため、現像バイアスの値を大きくしたり、現像スリーブの回転速度を速くしたりする。これによって、最大濃度調整が完了する。
【0067】
続いて制御部110は、中間転写ベルト20上に階調補正画像Ibを形成するように、画像形成部10を制御する(S208)。
図14は、階調補正画像Ibの例を示す説明図である。制御部110は、中間転写ベルト20に、黒色のトナー像を、濃度の濃いものから濃度の薄いものまで階調を変化させて形成するように画像形成部10を制御する。階調補正画像Ibは、所定の間隔を空けて、各色ごとに形成される。
【0068】
続いて、制御部110は、階調補正のためのパターン検知の読取値L2bを読み取るように読取部72を制御する(S209)。すなわち、中間転写ベルト20上の階調補正画像Ibが形成されている位置が、検知部70に対向する位置に到達するまで、中間転写ベルト20が回動するように駆動ローラー61を制御し、検知部70に対向する位置に到達した階調補正画像Ibを検知するように検知部70を制御する。
【0069】
そして、制御部110は、S202において読取部72により読み取った第一の読取値L1と、S209において読取部72により読み取った階調補正のための第二の読取値L2bと、に基づいて、階調補正を実行する(S210)。具体的には、裸面検知の読取値L1と、最大濃度調整のためのパターン検知の読取値L2bと、の間の差分からそれぞれの階調補正画像Ibの濃度を推定する。そして制御部110は、推定された階調補正画像Ibの濃度に基づいて、入力した階調と、画像形成時に出力された画像の濃度とが一致するように各部を制御する。これによって、階調補正が完了する。
【0070】
そして、制御部110は、最大濃度補正及び階調補正が終了すると、用紙に対して画像を形成する画像形成動作を実行し(S211)、動作を終了する。
【0071】
以上、S203において制御部110が、裸面検知の読取値L1に基づいて補正動作を実行することが適切であると判断した場合(不適切であると判断しなかった場合)における制御方法(S204〜S211)を説明した。以下では、S203において制御部110が、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断した場合における制御方法、すなわち第二のステアリング動作を実行する場合における制御方法(S212.
図15)を説明する。
【0072】
図15は、第二のステアリング動作を実行する場合における制御方法を説明するフローチャートである。まず、制御部110は、中間転写ベルト20の幅方向の位置を変更するようにステアリングローラー62を制御し(S301)、その後、再度裸面検知を実行する(S302)。このS301、S302及び前後の動作を、
図16を参照して説明する。
【0073】
図16は、中間転写ベルト20、検知部70、傷Dの位置関係を示す説明図であり、中間転写ベルト20を、検知部70側から見たものである。画像形成装置が動作を開始するとき、中間転写ベルト20は、幅方向の標準位置Psに位置している(
図16(a))。このとき、傷Dは中間転写ベルト20上で検知部70に対向しない位置に位置している。また、傷Dは中間転写ベルト20の幅方向については、検知部70と同じ位置に位置している。すなわち、検知部70と傷Dとを結ぶ直線は、中間転写ベルト20の回動方向と平行である。その後、裸面検知を開始して(S202)、中間転写ベルト20が回動すると、傷Dが中間転写ベルト20上の検知部70に対向する位置に到達する(
図16(b))。このとき制御部110は、例えば上述した判断基準によって、裸面検知の読取値に基づいて補正を実行することが不適切と判断し(S203;No)、中間転写ベルト20を、標準位置Psと異なる位置P1に移動させるようにステアリングローラー62を制御する(
図16(c)、S301)。このように制御することによって、中間転写ベルト20上の傷Dが、検知部70と対向しない位置に移動するとともに、中間転写ベルト20上の傷Dが存在しない部分が検知部70に対向することとなる。そして、制御部110は、再度裸面検知を実行するように検知部70を制御することにより(S302)、適切な裸面検知の読取値を取得できる。
【0074】
なお、以下では、一般的に、第二のステアリング動作において、ステアリングローラー62を制御して中間転写ベルト20の幅方向の位置を移動させる場合、中間転写ベルト20が移動する前の中間転写ベルト20の位置を第一の位置、第一の位置とは異なる、中間転写ベルト20が移動した後の位置を第二の位置と称する。すなわち、S301での中間転写ベルト20の移動の前後については、Psが第一の位置、P1が第二の位置に該当する。
【0075】
再度の裸面検知(S302)を実行した後、制御部110は、S203と同様の方法により、読取部72が読み取った裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが適切であるか否かを判断する(S303)。
【0076】
制御部110が、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断した場合は(S303;No)、制御部110は、ステアリングローラー62が中間転写ベルト20の位置を移動させることができる範囲内のいずれの位置に位置する場合においても、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断されたか否かを判断する(S304)。
【0077】
制御部110が、中間転写ベルト20がいずれの位置に位置する場合においても、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断されてはいない、と判断した場合は(S304;No)、再度S301へ戻る。このように、ステアリングローラー62による中間転写ベルト20の移動(S301)と、検知部70による裸面検知(S302)と、裸面検知の読取値が適切であるか否かの判断(S303)とを、適切な裸面検知の読取値が適切であると判断されるまで(S303;Yesとなるまで)繰り返し実行することで、より確実に、中間転写ベルト20上の検知部70と対向する領域に傷等が存在しない状態で裸面検知を実行することができ、より適切に補正動作を実行することができる。
【0078】
一方、S304において、中間転写ベルト20がいずれの位置に位置する場合においても、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断されたと制御部110が判断した場合は(S304;Yes)、制御部110は、中間転写ベルト20を交換するようユーザーに促す通知を行うように通知部90を制御する(S305)。具体的には、通知部90の画面上に、中間転写ベルト20を交換するようユーザーに促すメッセージを表示したり、不図示のスピーカーにより、音声等で通知を行う。このように制御することで、中間転写ベルト20上に傷が多く存在し、裸面検知を適切に実行することができない場合に、適時にユーザーに通知して中間転写ベルト20の交換を促すことができる。このため、補正動作が実行されないまま画像形成動作を実行することによる画像形成動作の品質の低下や、ユーザーに交換を促す通知をすることなく補正動作を停止することによる生産性の低下を抑制することができる。
【0079】
なお、制御部110は、読取部72が読み取った裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが不適切であると判断した場合に中間転写ベルト20を幅方向に移動させる最大の範囲が、画像形成動作を実行する際に中間転写ベルト20を移動させる最大の範囲よりも広い範囲となるようにステアリングローラー62を制御するのが望ましい。すなわち、第二のステアリング動作(S301)において中間転写ベルト20を幅方向に移動させる最大の範囲W2は、第一のステアリング動作(S103)において中間転写ベルト20を幅方向に移動させる最大の範囲W1よりも広いことが望ましい(
図17)。第一のステアリング動作においては、画像形成動作においては片寄り量が大きくなることが少なく、中間転写ベルト20を幅方向に大きく移動させることが必要となる場合が少ないのに対し、第二のステアリング動作においては、中間転写ベルト20を移動させることができる範囲が大きいほど、中間転写ベルト20上の検知部70に対向する領域に傷等が存在しない場合が多くなり、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが適切であると判断される可能性が高くなるためである。
【0080】
S303に戻り、制御部110が、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行することが適切であると判断した場合(不適切であると判断しなかった場合)は(S303;Yes)、制御部110は裸面検知が完了したか否かを判断する(S306)。制御部110が、裸面検知が完了していないと判断した場合には(S306;No)、再度S303の判断を実行する。一方、制御部110が、裸面検知が完了していると判断した場合には(S306;Yes)、S307へ進む。
【0081】
その後、制御部110は、最大濃度調整画像Iaを形成するように画像形成部10を制御し(S307)、最大濃度調整のためのパターン検知を実行するように中間転写ベルト20及び検知部70を制御し(S308)、最大濃度調整を実行する(S309)。S307〜S309の制御は、
図8のS205〜S207と同様の制御である。
【0082】
続いて、制御部110は階調補正画像Ibを形成するように画像形成部10を制御し(S310)、階調補正のためのパターン検知を実行するように中間転写ベルト20及び検知部70を制御し(S311)、階調補正を実行する(S312)。S310〜S312の制御は、
図8のS208〜S210と同様の制御である。
【0083】
階調補正が完了すると、制御部110は、画像形成動作を実行するための標準位置Psへ、中間転写ベルト20を移動させるようにステアリングローラー62を制御する(S313)。ここで
図15に示す第二のステアリング制御及び補正動作のサブルーチンを終了し、
図8のS211へ進んで用紙に対して画像を形成する画像形成動作を実行して、動作を終了する。このように、制御部110が第二のステアリング動作(S301)によって中間転写ベルト20の位置を幅方向に移動させた場合であっても、画像形成動作に適した標準位置Psへ移動してから(S313)画像形成動作を実行することによって(S211)、画像形成動作の品質低下を防ぐことができる。
【0084】
以上に説明したように、本実施の形態に係る画像形成装置においては、制御部110が、中間転写ベルト20が中間転写ベルト20の幅方向の第一の位置に位置している時に読取部72が読み取った裸面検知の読取値(第一の読取値)に基づいて補正を実行することが不適切であると判断した場合には(S203;No)、制御部110は、中間転写ベルト20の幅方向において第一の位置と異なる第二の位置に中間転写ベルト20を移動させるようにステアリングローラー62(駆動部)を制御し、中間転写ベルト20が第二の位置に位置しているときに、裸面検知の読取値(第一の読取値)を読み取るように検知部70を制御する(S302)。
【0085】
このように制御することによって、中間転写ベルト20の表面に傷が存在する場合であっても、検知部70によって中間転写ベルト20の表面を適切に読み取ることが可能となる。また、中間転写ベルト20の一部に傷が存在する場合であっても、中間転写ベルト20を交換することなく補正を実行することができ、一つの中間転写ベルト20を継続して長期間使用することができる。さらに、第二のステアリング動作において中間転写ベルト20を幅方向に移動させるステアリングローラー62は、第一のステアリング動作にも用いられる、共通した単一の構成である。このため、第二のステアリング動作のために別途の構成を設ける必要がなく、画像形成装置の構成を簡易なものとすることができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る画像形成装置においては、裸面検知を完了した後(S306;Yes)、中間転写ベルト20が標準位置Psへ移動する(S313)までの間に階調補正を実行するように制御する(S310〜S312)。すなわち、S306において裸面検知を完了したときの中間転写ベルト20の位置をPnとすると、中間転写ベルト20が位置Pnに位置しているときに、階調補正のためのパターン検知の読取値を読み取る。このように制御することで、以下に述べる理由から、より確実に階調補正を実行することができる。
【0087】
階調補正画像Ibには、最大濃度調整画像Iaと比べて、画像濃度が小さい画像も含まれる。このため、中間転写ベルト20上の傷が存在する領域に階調補正画像Ibが形成された状態で階調補正のためのパターン検知を実行すると、中間転写ベルト20上に傷が存在する場合に裸面検知を行った場合と同様に、中間転写ベルト20上の傷等の影響により、光源71から照射された光の反射率が低下する場合がある。すなわち、階調補正のパターン検知の読取値(第二の読取値)が、通常の場合(中間転写ベルト20上に傷が存在しない場合)と比べて小さい値となる。このような場合、裸面検知の読取値と、階調補正のためのパターン検知の読取値との間の差分は、階調補正画像Ibの濃度を反映した値とならないため、このパターン検知の読取値に基づいて階調補正を実行するのは不適切である。したがって、階調補正は、中間転写ベルト20上の検知部70に対向する位置に傷が存在しない状態で実行するのが望ましい。この点、
図15に示す制御方法においては、階調補正を実行するまでに、S303,S304において裸面検知の読取値が不適切と判断されることなく裸面検知を完了しているため、検知部70に対向する中間転写ベルト20上の領域には傷が存在していない。そこで、S306において裸面検知を完了した位置Pnから中間転写ベルト20を移動させることなく階調補正を実行し(S312)、階調補正が完了してから中間転写ベルト20を標準位置Psへ移動させる(S313)。これにより、階調補正のパターン検知を実行する際に、中間転写ベルト20上の傷の影響を受けて階調補正が不適切に行われることを抑制することができ、より確実に階調補正を実行することができる。
【0088】
一方で、最大濃度調整画像Iaについては、中間転写ベルト20上の傷が存在する領域に形成された状態で検知部70に検知されても構わない。最大濃度調整画像Iaは、十分に画像濃度が大きいため、読取部72によって読み取られる最大濃度調整のパターン検知の読取値が傷の存在によって影響を受けることがないからである。また、以上に説明した制御方法においては、最大濃度調整及び階調補正の双方を実行する場合についてのみ説明したが、必ずしもこの双方を実行する必要はなく、必要に応じて、いずれかのみを実行してもよい。そこで、最大濃度調整のみを実行する場合は、
図15に示す制御方法に代えて、
図18に示す制御方法を実行する。
【0089】
図18は、補正動作として最大濃度調整のみを実行する場合における、第二のステアリング動作を実行する場合における制御方法を示すフローチャートである。なお、
図18のS401〜S406,S407,S408〜S410は、
図15のS301〜S306,S313,S307〜S309にそれぞれ対応する制御であるが、
図15と
図18とでは、制御を実行する順序が異なる。
【0090】
S406において、裸面検知が完了したと制御部110が判断した場合(S406;Yes)、制御部110は、画像形成動作を実行するための標準位置Psへ、中間転写ベルト20を移動させるようにステアリングローラー62を制御する(S407)。その後、制御部110は、最大濃度調整画像Iaを形成するように画像形成部10を制御し(S408)、最大濃度調整のためのパターン検知を実行するように検知部70を制御し(S409)、最大濃度調整を実行する(S410)。ここで
図18に示す適切な裸面検知のための補正動作を終了し、
図8のS211へ進み、用紙に対して画像を形成する画像形成動作を実行して(S211)、動作を終了する。
【0091】
このように制御することで、S407において、制御部110が、中間転写ベルト20を標準位置Psまで移動させる際に、S408における最大濃度調整画像Iaを形成するための準備動作を開始することができる。このため、補正動作に要する時間を短縮することができる。また、補正動作の完了後に中間転写ベルト20を移動させる必要がないため、補正動作の完了後に迅速に画像形成動作を開始することができる。このため、画像形成動作の生産性を向上することが可能となる。なお、上述のように、最大濃度調整画像Iaは階調補正画像Ibと比べて画像濃度が大きいため、中間転写ベルト20上の傷が存在する位置に最大濃度調整画像Iaが形成された場合であっても、読取部72により第二の読取値を読み取る際に傷の影響を受けることがない。このため、最大濃度調整画像Iaを適切に読み取り、適切に最大濃度調整を実行することができる。
【0092】
また、以上の説明では、先に裸面検知を実行し、その後にパターン検知を実行する場合についてのみ説明したが、本発明の実施の形態はこれに限られることはなく、制御部110は、先にパターン検知を実行してパターン検知の読取値を読み取り、その後に裸面検知を実行して裸面検知の読取値を読み取るように各部を制御してもよい。この場合、制御部110は、パターン検知の後に裸面検知を実行した際に、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行するのが不適切であると判断した場合に、第二のステアリング動作を実行して、再度裸面検知を実行するように制御することとなる。このとき、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行するのが適切であるか否かを判断する基準としては、
図11や
図12を参照して説明した判断基準を用いることができるほか、次のような判断基準を用いることができる。すなわち、制御部110は、パターン検知の読取値と裸面検知の読取値との間の差分が、所定の閾値よりも小さいときに、裸面検知の読取値に基づいて補正動作を実行するのが不適切であると判断する。