(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から
図7を参照して、実施の形態における内燃機関について説明する。本実施の形態においては、自動車に配置されている内燃機関を例示して説明する。本実施の形態における内燃機関は、アンモニアおよび水素を燃料にしている。本実施の形態における内燃機関は、原料として液体のアンモニアから水素を生成する水素発生装置を含む。本実施の形態における内燃機関は、液体のアンモニアに熱を供給して気化させることにより気体のアンモニアを生成する。さらに、気体のアンモニアを分解触媒により分解して水素を生成する。
【0017】
図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。本実施の形態における内燃機関は、火花点火式である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド4とを含む。シリンダブロック2の内部には、ピストン3が配置されている。ピストン3の冠面とシリンダヘッド4とにより燃焼室5が形成されている。燃焼室5はそれぞれの気筒ごとに形成されている。
【0018】
燃焼室5には、機関吸気通路および機関排気通路が接続されている。シリンダヘッド4には、吸気ポート7および排気ポート9が形成されている。吸気弁6は、燃焼室5に連通する機関吸気通路を開閉可能に形成されている。排気弁8は、燃焼室5に連通する機関排気通路を開閉可能に形成されている。シリンダヘッド4には、点火装置としての点火栓10が固定されている。点火栓10は、燃焼室5にて燃料を点火するように形成されている。本実施の形態における点火栓10は、プラズマジェット点火栓である。
【0019】
各気筒の吸気ポート7は、対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結されている。サージタンク14は、吸気ダクト15を介してエアクリーナ12に連結されている。吸気ダクト15には、吸入空気量を検出するエアフローメータ16が配置されている。吸気ダクト15の内部には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置されている。
【0020】
本実施の形態における内燃機関は、排気を浄化する排気浄化装置を備える。各気筒の排気ポート9は、対応する排気マニホールド19に連結されている。排気マニホールド19は、排気管22に連結されている。本実施の形態における排気浄化装置は、2つのNO
X選択還元触媒(SCR)を含む。上流側のNO
X選択還元触媒92は、排気管22に連結されている。下流側のNO
X選択還元触媒93は、上流側のNO
X選択還元触媒92に接続されている。下流側のNO
X選択還元触媒93には、排気管23が連結されている。NO
X選択還元触媒93から流出する排気は、排気管23を通して外気に放出される。
【0021】
上流側のNO
X選択還元触媒92よりも上流の機関排気通路には、NO
X選択還元触媒92に流入する排気のNO
X濃度を検出するNO
Xセンサ94が配置されている。また、NO
X選択還元触媒92よりも上流の機関排気通路には、NO
X選択還元触媒92に流入する排気のアンモニア濃度を検出するアンモニアセンサ95が配置されている。NO
Xセンサ94にて検出されたNO
X濃度の信号、およびアンモニアセンサ95にて検出されたアンモニア濃度の信号は、制御装置31に入力される。
【0022】
本実施の形態における水素発生装置は、アンモニアを分解するための分解器51を備える。本実施の形態における分解器51は、アンモニアを分解するための分解触媒とアンモニアを酸化するための酸化触媒とを含む。分解触媒はアンモニアを分解するための触媒粒子を含み、酸化触媒はアンモニアを酸化するための触媒粒子を含む。本実施の形態における分解器51は、触媒60を含む。本実施の形態における触媒60は、分解触媒と酸化触媒とが一体化されている。すなわち、触媒60は、分解触媒として機能し、更に酸化触媒として機能する。
【0023】
本実施の形態における触媒60は、ハニカム構造に形成されている。触媒60は、複数の流路が形成されている基材を含む。基材は、例えばコーディエライトまたは金属で形成されている。基材のそれぞれの流路の表面には、コート層が形成されている。コート層には触媒粒子を担持する粒子状の担持体が配置されている。
【0024】
本実施の形態における触媒60は、一つの基材にアンモニアを酸化するための触媒粒子およびアンモニアを分解するための触媒粒子が配置されている。本実施の形態においては、アンモニアを酸化するための触媒粒子およびアンモニアを分解するための触媒粒子は、担持体に担持されている。担持体は、たとえば酸化アルミニウムで形成されている。アンモニアを酸化するための触媒粒子の金属は、白金等の貴金属や鉄等の卑金属を例示することができる。アンモニアを酸化するための触媒粒子は、この形態に限られず、アンモニアの酸化を促進する任意の金属から形成することができる。
【0025】
アンモニアを分解するための触媒粒子の金属は、ルテニウム等の貴金属やニッケルまたはコバルト等の卑金属を例示することができる。本実施の形態においては、ルテニウムが採用されている。アンモニアを分解するための触媒粒子は、この形態に限られず、アンモニアの分解を促進する任意の金属から形成することができる。
【0026】
本実施の形態における水素発生装置は、触媒60を加熱器により加熱するように形成されている。本実施の形態における加熱器は、触媒60の周りに配置されている電気ヒータを含む。内燃機関の始動時には、電気ヒータに通電することにより触媒60を昇温することができる。
【0027】
本実施の形態においては、分解器51の触媒60の下流には、触媒60の温度を検出するための温度センサ74が配置されている。温度センサ74で検出された温度の信号は、制御装置31に入力される。
【0028】
本実施の形態における水素発生装置は、原料としてのアンモニア40を気化して分解器51に供給する。水素発生装置は、アンモニアを貯留するためのタンク64を含む。タンク64は、内部が加圧されており、液体のアンモニア40が貯留されている。本実施の形態における水素発生装置は、液体のアンモニア40を供給するためのポンプ65を含む。ポンプ65は、アンモニア供給管61aに接続されている。
【0029】
水素発生装置は、アンモニア供給管61aに接続されている蒸発器66を含む。蒸発器66は、液体のアンモニアを加熱することができるように形成されている。蒸発器66には、気体のアンモニアを供給するアンモニア供給管61bが接続されている。アンモニア供給管61bは、気体のアンモニアを流入管62の内部に放出するように、流入管62に接続されている。
【0030】
本実施の形態における蒸発器66は、液体のアンモニアと機関冷却水との熱交換によりアンモニアを気化することができる。蒸発器66は、熱交換部66aを有する。本実施の形態における熱交換部66aには、機関本体1の機関冷却水が供給されている。熱交換部66aにおいて、液体のアンモニアと機関冷却水との熱交換が行なわれる。
【0031】
分解器51には、空気を供給するための空気供給機が接続されている。本実施の形態における空気供給機は、分解器51に接続されている流入管62を含む。流入管62は、スロットル弁18の上流において、機関吸気通路に接続されている。本実施の形態において、分解器51から流出する気体は、運転期間中に吸気枝管13が負圧になることにより水素噴射弁86から噴射される。分解器51には空気およびアンモニアが供給される。空気供給機は、この形態に限られず、触媒60に空気を供給可能に形成されていれば構わない。
【0032】
分解器51に接続されている流出管70は、冷却器85に接続されている。冷却器85は、分解器51から流出する高温の気体を冷却するように形成されている。本実施の形態における冷却器85には、機関冷却水が流入する。機関冷却水により分解器51から流出する気体が冷却される。
【0033】
アンモニア供給管61bの途中には、触媒60に供給する気体のアンモニアの流量を調整するための流量調整弁72が配置されている。また、流入管62の途中には、触媒60に供給する空気の流量を調整する流量調整弁73が配置されている。流量調整弁73は、流入管62において、アンモニア供給管61bが接続される位置よりも上流側に配置されている。
【0034】
本実施の形態における内燃機関は、分解器51にて生成された水素を燃焼室5に供給する水素供給機を備える。水素供給機は、機関吸気通路の内部に向かって水素を噴射する水素噴射弁86を含む。水素噴射弁86は、供給管90を介して冷却器85に接続されている。分解器51にて生成された水素は、矢印103に示すように、流出管70、冷却器85および供給管90を通って水素噴射弁86に供給される。
【0035】
本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5にアンモニアを供給するアンモニア供給機を備える。本実施の形態におけるアンモニア供給機は、機関吸気通路の内部に向かってアンモニアを噴射するアンモニア噴射弁83を含む。アンモニア噴射弁83は、供給管89を介して、水素発生装置の蒸発器66に接続されている。蒸発器66で生成されたアンモニアの一部は、矢印106に示すように、供給管89を通ってアンモニア噴射弁83に供給される。また、本実施の形態におけるアンモニア供給機は、触媒60にて分解されなかったアンモニアを燃焼室5に供給する。触媒60にて分解されなかったアンモニアは、水素噴射弁86を介して燃焼室5に供給される。
【0036】
なお、本実施の形態における水素噴射弁86およびアンモニア噴射弁83は、機関吸気通路に燃料を噴射するように形成されているが、この形態に限られず、それぞれの噴射弁は、燃焼室5に燃料を供給できるように形成されていれば構わない。たとえば、それぞれの噴射弁は、燃焼室5に直接的に燃料を噴射するように配置されていても構わない。
【0037】
本実施の形態における内燃機関は、制御装置31を備える。本実施の形態における制御装置31は、デジタルコンピュータを含む。制御装置31には、エアフローメータ16の出力および水素発生装置に含まれる温度センサ等の信号が入力されている。制御装置31は、スロットル弁18を駆動するステップモータ17を制御している。また、制御装置31は、水素噴射弁86、アンモニア噴射弁83、および点火栓10を制御している。また、制御装置31は、ポンプ65、流量調整弁72,73を制御している。このように、制御装置31は、機関本体および水素発生装置に含まれる機器を制御している。
【0038】
本実施の形態の水素発生装置は、起動時には電気ヒータにより触媒60を昇温する。制御装置31は、ポンプ65を駆動し、流量調整弁72を開いた状態にする。液体のアンモニア40は、矢印100に示すように、蒸発器66に供給される。蒸発器66においては、液体のアンモニア40が気体に変化する。気体になったアンモニアは、アンモニア供給管61bを通って、矢印101に示すように流入管62の内部に供給される。
【0039】
一方で、制御装置31が流量調整弁73を開いた状態にすることにより、矢印102に示すように、触媒60に向かって空気が流入する。このように、本実施の形態における水素発生装置は、触媒60にアンモニアに加えて空気が供給される。
【0040】
触媒60に流入する気体には空気が含まれるために、触媒60の酸化触媒の作用により、供給された一部のアンモニアが酸化する。アンモニアは以下の式の通り酸化反応を生じる。
【0041】
NH
3+(3/4)O
2 → (1/2)N
2+(3/2)H
2O …(1)
【0042】
アンモニアの酸化は、発熱反応である。このため、触媒60が加熱される。酸化反応に用いられなかったアンモニアは、触媒60の分解触媒の作用により、分解反応を生じる。アンモニアは、窒素と水素とに改質される。アンモニアの分解反応は、以下の式に示すように生じる。
【0043】
NH
3 → (1/2)N
2+(3/2)H
2 …(2)
【0044】
アンモニアの分解反応は、所定の温度以上で生じる。また、アンモニアの分解反応は、吸熱反応である。本実施の形態の水素発生装置は、触媒60においてアンモニアの一部を酸化させて、その酸化熱を用いてアンモニアの分解を行なうことができる。触媒60から流出する分解ガスは、水素および窒素の他に水蒸気を含む。生成された分解ガスは、矢印103に示すように、流出管70から流出する。
【0045】
本実施の形態における水素発生装置は、触媒60に供給するアンモニアの流量を調整する装置と、触媒60に供給する空気の流量を調整する装置とを備える。本実施の形態における水素発生装置は、触媒60に供給するアンモニアの流量に対する空気の流量の比率を調整する流量調整装置を備える。
【0046】
本実施の形態における水素発生装置は、連続的にアンモニアの分解を行なっている運転期間中では、電気ヒータの通電を停止している。触媒60における酸化熱によりアンモニアの分解を行うことができる。分解器51において外部からの熱の供給を行なわずにアンモニアの分解を行なうことができる。
【0047】
本実施の形態においては、水素発生装置の分解器51にて生成された水素は、水素噴射弁86により吸気枝管13の内部に噴射される。水素発生装置の蒸発器66において形成された気体のアンモニアの一部は、アンモニア噴射弁83から吸気枝管13の内部に噴射される。水素とアンモニアとの混合気は、吸気ポート7を通って、燃焼室5に供給される。燃焼室5においては、燃料が燃焼して排気が生じる。
【0048】
本実施の形態における内燃機関の通常運転時のアンモニアの供給量および水素の供給量は、たとえば、内燃機関の回転数および要求負荷に基づいて定めることができる。内燃機関の回転数と要求負荷とを関数にするそれぞれの燃料の供給量のマップを予め作成し、このマップを制御装置31に記憶させておくことができる。
【0049】
本実施の形態においては、アクセルペダルの踏み込み量等から要求負荷を検出し、更にクランク角センサの出力等により機関回転数を検出する。制御装置31に記憶したマップにより、アンモニアの供給量および水素の供給量を設定することができる。制御装置31は、設定されたアンモニアの供給量および水素の供給量に基づいて、アンモニア噴射弁83および水素噴射弁86を制御することができる。触媒60から流出する気体のアンモニア濃度および水素濃度は、例えば、触媒60の出口にそれぞれの濃度を検出するセンサを配置することにより検出することができる。または、触媒60の温度および触媒60に供給する空気量およびアンモニア量に基づいて、マップ等により触媒60から流出する分解ガスのアンモニア濃度および水素濃度を推定しても構わない。
【0050】
本実施の形態における内燃機関の排気浄化装置は、上流側のNO
X選択還元触媒92と下流側のNO
X選択還元触媒93とが互いに直列に連結されている。NO
X選択還元触媒は、還元剤を供給することによりNO
Xを選択的に還元することができる装置である。本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒は、アンモニアを還元剤としてNO
Xを還元する。
【0051】
本実施の形態における内燃機関は、理論空燃比(量論混合比)よりも希薄の混合気にて燃焼を行なうように形成されている。すなわち、燃焼時の空燃比がリーンになるように希薄燃焼を行なっている。燃焼室から流出する排気ガスには酸素が含まれている。NO
X選択還元触媒は、酸素の存在下において、アンモニアを還元剤としてNO
Xを窒素に還元することができる。NO
Xには、一酸化窒素や二酸化窒素が含まれる。還元反応において必要なアンモニアの量は、NO
Xに対してモル比で1対1である。NO
X選択還元触媒においてNO
Xが還元される時には、排気に含まれる酸素によりアンモニアの酸化が同時に生じる。このために、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの割合は、1よりも大きくなる様に制御することが好ましい。
【0052】
NO
X選択還元触媒においてNO
Xを還元する時には、過剰のアンモニアも浄化することができる。NO
X選択還元触媒は、触媒の種類等に依存してNO
Xの還元反応の速さおよびアンモニアの酸化反応の速さが異なる特性を有する。NO
X選択還元触媒におけるNO
Xの浄化率およびアンモニアの浄化率は、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比に依存する。本発明においては、上流側のNO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を流入濃度比と称する。
【0053】
本実施の形態における上流側のNO
X選択還元触媒92は、運転領域のうち一部の領域においてNO
Xの浄化率が高くなるように形成されている。これに対して、下流側のNO
X選択還元触媒93は、ほぼ全ての運転領域において、アンモニアの浄化率が高くなるように形成されている。本実施の形態においては、上流側のNO
X選択還元触媒92は、鉄をイオン交換により担持したゼオライトを含む。
【0054】
下流側のNO
X選択還元触媒93は、銅をイオン交換により担持したゼオライトを含む。本実施の形態の下流側のNO
X選択還元触媒93は、アンモニアの酸化機能を促進するための金属の触媒粒子が担持されている。アンモニアの酸化反応を促進する触媒粒子の金属としては、例えば、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、およびルテニウム(Ru)のうち少なくとも1つの金属を例示することができる。下流側のNO
X選択還元触媒がアンモニアの酸化反応を促進する触媒粒子を含むことにより、アンモニアの浄化率を向上させることができる。
【0055】
図2に、本実施の形態における上流側のNO
X選択還元触媒の浄化率のグラフを示す。横軸は、流入濃度比rであり、排気に含まれるNO
Xに対するアンモニアのモル濃度の比率である。縦軸は浄化率であり、以下の式で示すことができる。
【0056】
(浄化率)=(NO
X選択還元触媒に流入する物質の濃度−NO
X選択還元触媒から流出する物質の濃度)/(NO
X選択還元触媒に流入する物質の濃度) …(3)
【0057】
上流側のNO
X選択還元触媒92は、流入濃度比rが上昇すると共にNO
Xの浄化率が上昇する第1領域と、流入濃度比rが上昇した場合にもNO
Xの浄化率がほぼ一定になる第2領域とを有する。第2領域は、第1領域よりも流入濃度比が大きな領域である。本実施の形態において、流入濃度比がr1以下の領域を第1領域に設定している。また、流入濃度比がr1よりも大きな領域を第2領域に設定している。本実施の形態の上流側のNO
X選択還元触媒92においては、流入濃度比r1よりも大きな領域においては、NO
Xの浄化率がほぼ100%になる。
【0058】
一方で、上流側のNO
X選択還元触媒92のアンモニアの浄化率は、流入濃度比がr2以下の領域では、ほぼ一定の浄化率を示す。本実施の形態においては、ほぼ100%のアンモニアの浄化率を有する。流入濃度比がr2よりも大きくなると、流入濃度比rが大きくなるほどアンモニアの浄化率が低下する。
【0059】
図3に、本実施の形態における下流側のNO
X選択還元触媒の浄化率のグラフを示す。横軸は、下流側のNO
X選択還元触媒93に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比である。本実施の形態における下流側のNO
X選択還元触媒は、アンモニアの酸化能力が高い触媒を選定されている。このために、下流側のNO
X選択還元触媒は、高いアンモニアの浄化率を有する。本実施の形態の下流側のNO
X選択還元触媒においては、流入するNO
Xに対するアンモニアの濃度比には依存せずに、高い浄化率にてアンモニアを浄化することができる。本実施の形態における下流側のNO
X選択還元触媒93は、ほぼ全ての運転領域においてアンモニアの浄化率がほぼ100%になる。
【0060】
下流側のNO
X選択還元触媒93のNO
Xの浄化率は、下流側のNO
X選択還元触媒93に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比がr4以下の領域では、流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比が大きくなるほど浄化率が上昇する。濃度比がr4よりも大きくなると、流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比が大きくなるほど浄化率が低下する。
【0061】
本実施の形態の内燃機関においては、下流側のNO
X選択還元触媒93は、触媒温度や流入する気体の流量が同一の条件下では、アンモニアの酸化能力が上流側のNO
X選択還元触媒92よりも優れる。たとえば、下流側のNO
X選択還元触媒93のアンモニアの浄化率は、流入する濃度比がr2よりも大きな領域では、上流側のNO
X選択還元触媒92のアンモニアの浄化率よりも高くなる。特に、本実施の形態における内燃機関は、ほぼ全体の運転領域(第2領域)において、上流側のNO
X選択還元触媒92のアンモニアの浄化率よりも下流側のNO
X選択還元触媒93のアンモニアの浄化率の方が高くなる。
【0062】
また、上流側のNO
X選択還元触媒92は、触媒温度や流入する気体の流量等が同一の条件下では、NO
Xの還元能力が下流側のNO
X選択還元触媒93よりも優れている。たとえば、上流側のNO
X選択還元触媒92のNO
Xの浄化率の最大値は、下流側のNO
X選択還元触媒93のNO
Xの浄化率の最大値よりも大きくなっている。特に、本実施の形態における内燃機関は、ほぼ全体の運転領域(第2領域)において、下流側のNO
X選択還元触媒93のNO
Xの浄化率よりも上流側のNO
X選択還元触媒92のNO
Xの浄化率の方が高くなる。
【0063】
図2を参照して、上流側のNO
X選択還元触媒92は、NO
Xの浄化率とアンモニアの浄化率とが互いに交差する流入濃度比r3を有する。流入濃度比r3は、NO
X選択還元触媒の構造や材質にも依存する。NO
X選択還元触媒の流入濃度比r3としては、1以上1.6以下を例示することができる。
【0064】
本実施の形態の内燃機関は、燃焼室における燃焼時の空燃比がリーンの状態で運転を行なっている。燃焼時の空燃比がリーンの内燃機関では、燃焼室から流出する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比は、ほぼ全ての運転状態において1を超える。すなわち、流入濃度比rは、ほぼ全ての運転状態において1を超える。本実施の形態の内燃機関では、ほぼ全ての運転状態において流入濃度比がr1よりも大きくなる。流入濃度比は、第2領域内に維持される。このために、上流側のNO
X選択還元触媒92においては、排気に含まれるNO
Xを高い浄化率にて浄化することができる。また、同時に少なくとも一部のアンモニアを酸化することができる。上流側のNO
X選択還元触媒92において酸化されずに流出するアンモニアが生じた場合にも、下流側のNO
X選択還元触媒93において酸化することができる。下流側のNO
X選択還元触媒93にて、高い浄化率にてアンモニアを浄化することができる。また、上流側のNO
X選択還元触媒92からNO
Xが流出した場合には、下流側のNO
X選択還元触媒93においてNO
Xを浄化することができる。
【0065】
このように、本実施の形態における内燃機関では、ほぼ全ての運転状態において、燃焼室から流出するNO
Xおよびアンモニアを高い浄化率で浄化することができる。また、三元触媒を機関排気通路に配置したときのように、燃焼時の空燃比を理論空燃比に合わせる精密な制御が不要であり、広い運転範囲にて運転を行なうことができる。本実施の形態における内燃機関は、優れた排気の浄化性能を発揮することができる。
【0066】
本実施の形態においては、ほぼ全ての運転状態において、流入濃度比が第2領域内に維持されるが、この形態に限られず、流入濃度比が第2領域内に維持される期間を有していれば構わない。または、流入濃度比が第2領域内に維持されるように運転状態が予め定められており、この予め定められた運転状態にて運転を行なっても構わない。
【0067】
なお、複数のNO
X選択還元触媒の配置については、NO
Xの浄化能力に優れたNO
X選択還元触媒92と、アンモニアの浄化率に優れたNO
X選択還元触媒93との順序を逆にすることが考えられる。すなわち、上流側にアンモニアの浄化率に優れたNO
X選択還元触媒93を配置することが考えられる。しかしながら、この場合には、NO
X選択還元触媒93にて多くのアンモニアを酸化してしまうために、NO
X選択還元触媒92において還元剤不足となる虞が生じる。NO
X選択還元触媒93にて浄化されなかったNO
Xを、NO
X選択還元触媒93にて十分に浄化することができない虞が生じる。このために、上流側にはNO
Xの浄化率に優れたNO
X選択還元触媒92を配置し、下流側にはアンモニアの浄化率に優れたNO
X選択還元触媒93を配置することが好ましい。
【0068】
または、下流側のNO
X選択還元触媒に代えて、アンモニアを酸化するための酸化触媒を配置することが考えられる。この場合にも、排気に含まれるアンモニアを酸化することができる。ところが、酸化触媒を配置すると、アンモニアの酸化に伴ってNO
Xが生成される虞がある。また、上流側のNO
X選択還元触媒からNO
Xが流出した場合に、NO
Xを十分に浄化することができない虞が生じる。このために、下流側の触媒はNO
Xを浄化することができて、更にアンモニアの酸化機能の高いNO
X選択還元触媒を配置することが好ましい。アンモニアの酸化に伴ってNO
Xが生じた場合においても、選択還元の機能によりNO
Xの浄化を行なうことができる。
【0069】
本実施の形態の下流側のNO
X選択還元触媒は、アンモニアの酸化機能を促進するための金属の触媒粒子を有するが、この形態に限られず、下流側のNO
X選択還元触媒には、アンモニアの酸化反応を促進するための金属の触媒粒子が配置されていなくても構わない。
【0070】
本実施の形態においては、上流側のNO
X選択還元触媒は、鉄を担持したゼオライトを含み、下流側のNO
X選択還元触媒は、銅を担持したゼオライトを含むが、この形態に限られず、酸化能力の互いに異なる複数のNO
X選択還元触媒を選定し、下流側のNO
X選択還元触媒が上流側のNO
X選択還元触媒よりも大きな酸化能力を有するように配置することができる。
【0071】
図2を参照して、本実施の形態における内燃機関は、ほぼ全ての運転領域において、上流側のNO
X選択還元触媒92に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比が第2領域内になるように運転を行なっている。ところが、所定の内燃機関の運転状態においては、流入濃度比が小さくなり、r1以下になる場合がある。すなわち、第1領域にて運転を行う場合がある。または、選定したNO
X選択還元触媒の種類等によっては、NO
Xの浄化率が低くなる流入濃度比の小さな領域にて運転を行なう場合がある。このようにNO
Xの浄化率が低くなる場合には、流入濃度比を上昇させる制御を行うことができる。
【0072】
次に、本実施の形態における流入濃度比を変更する運転制御について説明する。
図1を参照して、本実施の形態における内燃機関は、燃料にアンモニアが含まれている。アンモニア供給機により燃焼室5に供給されたアンモニアの少なくとも一部を未燃の状態にし、未燃のアンモニアを上流側のNO
X選択還元触媒に供給することができる。更に、内燃機関の運転状態を調整することにより、NO
X選択還元触媒に供給するアンモニアの量を調整することができる。
【0073】
従来の技術の内燃機関においては、NO
X選択還元触媒に還元剤としてのアンモニアを供給するために、機関排気通路内に尿素水を噴射する尿素噴射弁を配置して、機関排気通路の内部に尿素を供給していた。機関排気通路内に供給された尿素水は、排気の熱により加水分解されてアンモニアが生成される。このため、従来の技術における内燃機関の排気浄化装置にNO
X選択還元触媒を配置する場合には、尿素噴射弁や尿素タンクなどの機関排気通路に尿素水を供給する装置が必要であった。これに対して、本実施の形態における内燃機関は、運転状態を変化させることにより、NO
X選択還元触媒にアンモニアを供給することができる。機関排気通路に尿素を供給する装置を配置しなくても、NO
X選択還元触媒にアンモニアを供給し、NO
Xを浄化することができる。
【0074】
本実施の形態における流入濃度比を変更する運転制御においては、燃焼室に供給する燃料のアンモニアに対する水素の割合を変化させることにより、燃焼室から流出する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を調整することができる。
【0075】
水素は、アンモニアよりも燃焼性に優れているために、アンモニアの燃焼を促進させる機能を有する。燃焼室に供給する燃料の水素に対するアンモニアの割合を増加させると、燃焼室における燃焼が緩慢になる。燃料の助燃材として機能する水素の割合が減少することにより、燃焼室における燃焼速度が遅くなる。このために、燃焼室において燃焼せずに残存する未燃のアンモニアが多くなる。一方で、燃焼室から排出される排気に含まれるNO
Xの量が減少するために、流入濃度比を上昇させることができる。
【0076】
本実施の形態においては、水素噴射弁に供給するアンモニアに対する水素の割合を変更することにより、燃焼室に供給する燃料のアンモニアに対する水素の割合を変化させる。本実施の形態の水素発生装置は、アンモニアを触媒60に供給することにより、水素を生成している。分解器51から流出する気体には、水素の他に分解されなかったアンモニアが含まれる。分解器51から流出するアンモニアの濃度および水素の濃度は、分解器51に供給するアンモニアに対する空気の割合を変更することにより調整することができる。
【0077】
図4に、本実施の形態の分解器に供給する気体のアンモニアに対する酸素のモル比と、分解器から流出する気体の水素濃度との関係を説明するグラフを示す。
図4においては、空気のモル比の代わりに酸素のモル比にて示している。この試験においては、空間速度を速度V1から速度V4まで変更して複数回の試験を行なっている。アンモニアに対する酸素のモル比を零の近傍から徐々に上昇させると、生成される気体の水素濃度が上昇することが分かる。モル比Rmaxでは水素濃度が最大になる。モル比Rmaxよりも大きな領域では、モル比が大きくなるほど水素濃度が減少している。
【0078】
図5に、本実施の形態の分解器に供給する気体のアンモニアに対する酸素のモル比と、分解器から流出する気体のアンモニア濃度との関係を説明するグラフを示す。縦軸は、分解器において分解されずに流出したアンモニア濃度である。アンモニアに対する酸素のモル比を上昇していくと、分解器から流出するアンモニア濃度が減少することが分かる。アンモニアに対する酸素のモル比が、略0.2において分解器から流出する気体のアンモニア濃度が零になることが分かる。すなわち、分解器に供給されるアンモニアが略全て消費されていることが分かる。
【0079】
図4および
図5を参照して、アンモニアに対する酸素のモル比が小さな領域においては、アンモニアの分解を行なうための熱量が不足している。アンモニアに対する酸素のモル比を上昇させていくと、触媒の温度が上昇する。このために、分解器から流出する気体の水素濃度が上昇するとともに、分解器から流出する気体のアンモニア濃度が減少する。
【0080】
ところが、アンモニアに対する酸素のモル比が略0.2を超えると、供給されたアンモニアの全てが消費される。更に、生成された水素が酸化反応で消費される。このために、アンモニアに対する酸素のモル比を上昇させていくと、生成される気体の水素濃度が減少する。このように、分解器に供給するアンモニアに対する酸素のモル比を変更することにより、水素発生装置から流出する気体に含まれる水素濃度およびアンモニア濃度を調整することができる。また、
図4および
図5のグラフにより、触媒に流入する気体の空間速度を変更しても生成される気体の水素濃度およびアンモニア濃度が、ほぼ同じであることが分かる。
【0081】
本実施の形態の内燃機関の分解器においては、アンモニアに対する酸素のモル比がRmax以下の領域にて運転を行っている。分解触媒に供給するアンモニアに対する空気の割合を調整することにより、水素噴射弁に供給する燃料の水素に対するアンモニアの割合を調整することができる。たとえば、本実施の形態の分解器の運転領域において、触媒に供給するアンモニアに対する空気の割合を低下させることにより、水素噴射弁から噴射される気体の水素に対するアンモニアの割合を上昇させることができる。すなわち燃料の水素に対するアンモニアの割合を上昇させることができる。このために、燃焼室から流出する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を上昇させることができる。一方で、触媒に供給するアンモニアに対する空気の割合を上昇させることにより、水素噴射弁から噴射される気体の水素に対するアンモニアの割合を低下させることができる。この結果、燃焼室から流出する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を低下させることができる。
【0082】
図6に、本実施の形態における内燃機関の運転制御のフローチャートを示す。
図6に示す運転制御は、たとえば、予め定められた時間間隔にて繰り返し行なうことができる。本実施の形態における運転制御では、流入濃度比を推定し、推定した流入濃度比が予め定められた判定値未満であれば、流入濃度比を上昇させる制御を行う。
図2を参照して、本実施の形態においては、推定した流入濃度比が第1領域内に位置している場合には、流入濃度比を上昇させて第2領域内に移行させる制御を行う。
【0083】
ステップ111においては、上流側のNO
X選択還元触媒に流入するNO
X濃度およびアンモニア濃度を検出する。それぞれの濃度は、上流側のNO
X選択還元触媒92の上流側に配置されているNO
Xセンサ94またはアンモニアセンサ95にて検出することができる。
【0084】
次に、ステップ112においては、検出したアンモニア濃度およびNO
X濃度を用いて流入濃度比r(NH
3/NO
X)を算出する。
【0085】
次に、ステップ113においては、流入濃度比rが予め定められた判定値以上か否かを判別する。ステップ113における予め定められた判定値は、流入濃度比の下限判定値である。
図2を参照して、予め定められた判定値としては、例えば、流入濃度比に関わらずに上流側のNO
X選択還元触媒のNO
Xの浄化率がほぼ一定になる領域の境界の流入濃度比r1を採用することができる。または、下流側のNO
X選択還元触媒においてもNO
Xを浄化できるために、下流側のNO
X選択還元触媒のNO
Xの浄化能力に基づいて、流入濃度比r1よりも小さな流入濃度比を設定しても構わない。更には、NO
Xを浄化する余裕を確保するために流入濃度比r1よりも大きな流入濃度比を採用しても構わない。
【0086】
ステップ113において、算出した流入濃度比rが予め定められた判定値未満の場合には、ステップ114に移行する。
【0087】
ステップ114においては、流入濃度比rを上昇させる制御を行う。本実施の形態においては、水素発生装置の触媒に流入する気体のアンモニアに対する空気の割合を小さくする制御を行う。このときのアンモニアに対する空気の割合の変動量は、予め定められた変動量を採用することができる。ステップ114が終了したらステップ111に戻る。
【0088】
ステップ113において、流入濃度比rが予め定められた判定値以上の場合には、この制御を終了する。この場合には、上流側のNO
X選択還元触媒および下流側のNO
X選択還元触媒にて、高い浄化率にてアンモニアおよびNO
Xを浄化していると判別することができる。
【0089】
このように、本実施の形態の運転制御においては、流入濃度比が予め定められた判定値よりも低くなる場合には、流入濃度比を上昇させる制御を行なうことができる。
【0090】
また、本実施の形態においては、流入濃度比の下限判定値のみを設定しているが、この形態に限られず、流入濃度比の上限判定値を設けても構わない。たとえば、流入濃度比が大きくなりすぎると、必要以上の過剰なアンモニアを消費している虞がある。このために、流入濃度比の上限判定値を設けて、推定した流入濃度比が上限判定値を超えている場合には、流入濃度比を低下させる制御を行っても構わない。
【0091】
本実施の形態においては、分解器に供給するアンモニアに対する空気の割合を調整することにより、上流側のNO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比(流入濃度比)を調整しているが、この形態に限られず、流入濃度比を調整する任意の装置および任意の制御を採用することができる。
【0092】
例えば、
図1を参照して、燃焼室5に供給するアンモニアに対する水素の割合を調整するために、水素噴射弁86からの水素の噴射量およびアンモニア噴射弁83からのアンモニアの噴射量を変更する制御を行なっても構わない。たとえば、水素噴射弁86の噴射量を減少させる一方で、アンモニア噴射弁83の噴射量を増加することにより、燃焼室5から流出する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を上昇させることができる。
【0093】
または、機関排気通路に尿素やアンモニアを噴射する還元剤噴射弁を設けて、還元剤噴射弁から尿素やアンモニアを供給する場合には、還元剤噴射弁の噴射量を調整することにより、流入濃度比を調整することができる。
【0094】
本実施の形態においては、上流側のNO
X選択還元触媒よりも上流に配置されているNO
Xセンサの出力およびアンモニアセンサの出力により流入濃度比を推定しているが、この形態に限られず、任意の装置および任意の制御により流入濃度比を推定することができる。たとえば、下流側のNO
X選択還元触媒の下流にNO
Xセンサを配置しても構わない。この場合には、NO
X選択還元触媒から流出する排気のNO
X濃度を検出し、検出したNO
X濃度が予め定められたNO
X濃度の判定値よりも大きければ、上流側のNO
X選択還元触媒におけるNO
Xの浄化率が小さいと判別することができる。すなわち、流入濃度比が予め定められた判定値よりも小さいと判別することができる。この場合には、流入濃度比を上昇させる制御を行うことができる。
【0095】
図7に、本実施の形態における他の排気浄化装置の概略断面図を示す。矢印104は、排気が流れる向きを示している。他の排気浄化装置においては、一つの基材上に酸化能力が互いに異なる上流側のNO
X選択還元触媒92と下流側のNO
X選択還元触媒93が形成されている。共通する基材上に上流側のNO
X選択還元触媒と下流側のNO
X選択還元触媒とを配置することができる。アンモニアの酸化能力の高い下流側のNO
X選択還元触媒は、アンモニアの酸化能力の小さな上流側のNO
X選択還元触媒よりも高い反応温度が要求される傾向を有する。このために、下流側のNO
X選択還元触媒は放熱を抑制できることが好ましい。基材を共通にすることにより、下流側のNO
X選択還元触媒からの放熱を抑制することができる。また、基材を共通にする構成により、部品点数を削減することができて生産効率を向上させることができる。
【0096】
本実施の形態における内燃機関の排気浄化装置は、2つのNO
X選択還元触媒を含むが、この形態に限られず、3つ以上のNO
X選択還元触媒を含むことができる。
【0097】
本実施の形態における水素発生装置は、液体の原料を気化した後に分解触媒に供給しているが、この形態に限られず、気体の燃料を貯蔵しておいて、気体の燃料を分解触媒に供給しても構わない。
【0098】
本実施の形態における水素発生装置の分解器は、酸化触媒および分解触媒を含むが、この形態に限られず、酸化触媒を含まずに分解触媒を含む分解器を備える内燃機関に本発明を適用することができる。この場合には、加熱器等の外部の加熱装置により、アンモニアを分解するための熱を分解触媒に供給することができる。
【0099】
本実施の形態においては、自動車の内燃機関を例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、任意の内燃機関に本発明を適用することができる。たとえばガスタービン装置に本発明を適用することができる。
【0100】
上述の制御においては、適宜ステップの順序を替えることができる。また、上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。