特許第6233045号(P6233045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233045光走査装置、画像形成装置、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233045
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】光走査装置、画像形成装置、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20171113BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20171113BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20171113BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G02B26/10 B
   G02B26/12
   B41J2/47 101M
   H04N1/04 104A
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-9507(P2014-9507)
(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公開番号】特開2015-138138(P2015-138138A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中家 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】安斉 進
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−289828(JP,A)
【文献】 特開2002−264385(JP,A)
【文献】 特開平11−065212(JP,A)
【文献】 特開2009−255534(JP,A)
【文献】 特開2001−108924(JP,A)
【文献】 特開2010−055056(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0002416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を含む光源及び前記複数の発光素子から発せられた光線を回転しながら偏向する複数の偏向面を含む偏向器を有し、前記偏向器により偏向された光線を、画像形成手段の像保持体表面に集光させて、前記像保持体表面に画像信号に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、
前記画像形成手段が前記像保持体表面に形成された潜像に基づいて画像を記録媒体上に形成する画像形成速度に応じて、前記偏向器の回転速度が予め定められた範囲内において潜像の画素密度が予め定められた値となるように、前記画像形成速度が遅くなる場合は、前記偏向器の面飛ばしの面数を増加させ、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を増加させる制御、または前記偏向器の面飛ばしの面数を変化させず、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を減少させる制御を行う制御手段と、
を備えた光走査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像形成速度が速くなる場合は、
前記偏向器の面飛ばしの面数を減少させ、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を減少させる制御、または前記偏向器の面飛ばしの面数を変化させず、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を増加させる制御を行う、
請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
複数の発光素子を含む光源及び前記複数の発光素子から発せられた光線を回転しながら偏向する複数の偏向面を含む偏向器を有し、前記偏向器により偏向された光線を、画像形成手段の像保持体表面に集光させて、前記像保持体表面に画像信号に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、
前記画像形成手段が前記像保持体表面に形成された潜像に基づいて画像を記録媒体上に形成する画像形成速度に応じて、前記偏向器の回転速度が予め定められた範囲内において潜像の画素密度が予め定められた値となるように、前記画像形成速度が速くなる場合は、前記偏向器の面飛ばしの面数を減少させ、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を減少させる制御、または前記偏向器の面飛ばしの面数を変化させず、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を増加させる制御を行う制御手段と、
を備えた光走査装置。
【請求項4】
前記画像形成速度と、前記複数の光源から発せられる光線の数、前記偏向器の回転速度、及び前記偏向器の面飛ばしの面数との対応関係を表す情報が記憶手段に記憶されており、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記対応関係に基づいて制御を行う、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
像保持体を有し、前記像保持体表面に形成された潜像に基づいて画像を記録媒体上に形成する画像形成手段と、
前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項6】
前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置の制御手段としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置、画像形成装置、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原画像を画像読取り装置で色分解して複数の色成分ごとに画像情報を読み、色成分画像情報を記録色ごとの記録画像情報に変換し、この記録画像情報に基づいて各色記録装置を記録付勢して転写紙上にカラー画像を再生するデジタル複写機における画像形成装置において、原画像を定速度で走査し、色分解して読み取る画像読取り手段と、読み取られた合成画像信号を色成分毎の記録情報に処理する画像処理手段と、画像処理手段が処理した記録情報に基づいて定速度で移動する像担持体にドットに分解された光を投射する露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像する現像手段と、現像された顕像を定速度で移動する転写材に転写する転写手段と、転写材上に転写された画像を定着する定着手段と、原画像を定速度で走査し、像担持体、転写材を定速度で移動するような速度切換え手段とを備えることを特徴とする画像形成装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、画像信号に応じてレーザー発光素子を制御して感光体上に静電潜像を形成し、現像,転写および定着により転写紙上に画像形成を行なうカラー画像形成装置において、フルカラー画像形成および単色画像形成を含む画像形成モ−ドを指定する入力手段,該入力手段で指定されたモ−ドの画像形成プロセスを実行するプロセス制御手段、および、前記入力手段で指定されたモ−ドに対応して、単色画像形成モ−ドでフルカラー画像形成モ−ドよりも高い画像形成プロセス速度およびレーザー光の走査速度を設定する速度設定手段、を備えることを特徴とするカラー画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−016580号公報
【特許文献2】特開平05−330130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、
異なる画像形成速度に応じて偏向器の回転速度及び光線の数のいずれか一方を制御する場合に比べて、異なる画像形成速度に応じて安定して駆動することができる、光走査装置、画像形成装置、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の光走査装置は、複数の発光素子を含む光源及び前記複数の発光素子から発せられた光線を回転しながら偏向する複数の偏向面を含む偏向器を有し、前記偏向器により偏向された光線を、画像形成手段の像保持体表面に集光させて、前記像保持体表面に画像信号に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、前記画像形成手段が前記像保持体表面に形成された潜像に基づいて画像を記録媒体上に形成する画像形成速度に応じて、前記偏向器の回転速度が予め定められた範囲内において潜像の画素密度が予め定められた値となるように、前記画像形成速度が遅くなる場合は、前記偏向器の面飛ばしの面数を増加させ、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を増加させる制御、または前記偏向器の面飛ばしの面数を変化させず、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を減少させる制御を行う制御手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の光走査装置は、請求項1に記載の光走査装置12において、前記制御手段は、前記画像形成速度が速くなる場合は、前記偏向器の面飛ばしの面数を減少させ、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を減少させる制御、または前記偏向器の面飛ばしの面数を変化させず、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を増加させる制御を行う。
【0008】
請求項3に記載の光走査装置は、複数の発光素子を含む光源及び前記複数の発光素子から発せられた光線を回転しながら偏向する複数の偏向面を含む偏向器を有し、前記偏向器により偏向された光線を、画像形成手段の像保持体表面に集光させて、前記像保持体表面に画像信号に応じた潜像を形成する潜像形成手段と、前記画像形成手段が前記像保持体表面に形成された潜像に基づいて画像を記録媒体上に形成する画像形成速度に応じて、前記偏向器の回転速度が予め定められた範囲内において潜像の画素密度が予め定められた値となるように、前記画像形成速度が速くなる場合は、前記偏向器の面飛ばしの面数を減少させ、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を減少させる制御、または前記偏向器の面飛ばしの面数を変化させず、かつ前記複数の光源から発せられる光線の数を増加させる制御を行う制御手段と、を備える
【0009】
請求項4に記載の光走査装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光走査装置において、前記画像形成速度と、前記複数の光源から発せられる光線の数、前記偏向器の回転速度、及び前記偏向器の面飛ばしの面数との対応関係を表す情報が記憶手段に記憶されており、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記対応関係に基づいて制御を行う。
【0010】
請求項5に記載の画像形成装置は、像保持体を有し、前記像保持体表面に形成された潜像に基づいて画像を記録媒体上に形成する画像形成手段と、前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置と、を備える。
【0011】
請求項6に記載の制御プログラムは、前記請求項1から前記請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置の制御手段としてコンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項5、請求項3、及び請求項6に記載の発明によれば、異なる画像形成速度に応じて偏向器の回転速度及び光線の数のいずれか一方を制御する場合に比べて、異なる画像形成速度に応じて安定して駆動することができる。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像形成速度が遅くなる場合に、偏向器を安定して駆動することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態の画像形成装置の一例の概略構成を表す構成図である。
図2】第1の実施の形態の光走査装置における光源から偏向器までの概略構成の一例を表す構成図である。
図3】第1の実施の形態の光走査装置における偏向器から先の概略構成の一例を表す構成図である。
図4】第1の実施の形態の光走査装置における光源62の構成の一例を示す構成図である。
図5】第1の実施の形態の光走査装置による静電潜像の形成の制御を行う機能を表したブロック図である。
図6】第1の実施の形態の光走査装置によるプロセススピードの変化に応じた静電潜像の形成の制御処理の一例を表したフローチャートである。
図7】第1の実施の形態の光走査装置におけるプロセススピードと、偏向器の面飛ばし、発光点の発光数、及び回転数との対応関係の一例を示した説明図である。
図8】第1の実施の形態の光走査装置の発光制御部による発光点の発光数の制御を説明するための説明図である。
図9】第2の実施の形態の光走査装置によるプロセススピードの変化に応じた静電潜像の形成の制御処理の一例を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の画像形成装置について説明する。図1は、本実施の形態の画像形成装置の一例の概略構成を示す構成図である。
【0019】
画像形成装置10は、Y(イエロー)及びM(マゼンタ)に対応する光走査装置12YM、C(シアン)及びK(ブラック)に対応する光走査装置12CKと、画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kとを備えている。また、本実施の形態の画像形成装置10は、二次転写装置17と、中間転写体18と、収納容器20と、定着装置22と、を備えている。
【0020】
画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kは、それぞれ、像保持体の一例としての感光体24Y、24M、24C、24Kを備えている。感光体24Y、24M、24C、24Kの周囲には、それぞれ、帯電装置26Y、26M、26C、26Kと、現像装置28Y、28M、28C、28Kと、一次転写装置16Y、16M、16C、16Kと、感光体クリーナー30Y、30M、30C、30Kと、が備えられている。なお、以下では、個々の色について区別して説明を行う必要が無い場合は、添字Y、M、C、K、YM、CKを省略して表記する。
【0021】
帯電装置26は、感光体24の表面を帯電する。光走査装置12は、帯電された感光体24の表面に静電潜像を形成すべく、制御部70(図2参照、詳細後述)の制御に応じて露光走査する。現像装置28は、感光体24の表面に形成された静電潜像を現像剤に含まれるトナーにより現像してトナー像を形成する。一次転写装置16は、例えば転写ロールからなり、トナー像を被転写体の一例としての中間転写体18に一次転写する。感光体クリーナー30は、転写後の感光体24の表面に付着した残留トナーを除去する。
【0022】
画像形成装置10では、まず、画像形成ユニット14Yにおいて、感光体24Yは図1中の時計回りに回転し、帯電装置26Yでその表面が帯電される。次いで、帯電された感光体24Yの表面には、光走査装置12YMによって露光走査されることで第1色(Y)の静電潜像が形成される。
【0023】
この静電潜像は現像装置28Yにより供給されるトナー(トナーを含む現像剤)によって現像され、可視化されたトナー像が形成される。トナー像は感光体24Yの回転により一次転写部に到り、一次転写装置16Yからトナー像に逆極性の電界を作用させることにより、トナー像が中間転写体18に一次転写される。
【0024】
同様にして第2色のトナー像(M)、第3色のトナー像(C)、及び第4色のトナー像(K)が画像形成ユニット14M、14C、14Kにより順次形成され中間転写体18において重ね合わせられ、多重トナー像が形成される。
【0025】
次に、中間転写体18に転写された多重トナー像は中間転写体18の回転で二次転写装置17が設置された二次転写部に到る。この二次転写部では、二次転写装置17と中間転写体18を介して対向配置したバックアップロール19との間にトナー像の極性と同極性のバイアス(転写電圧)を印加することで、当該トナー像を記録媒体の一例である用紙Pに静電反発させて転写する。
【0026】
具体的には、用紙Pは、収納容器20に収容された用紙束からピックアップローラ(図示省略)で一枚ずつ取り出され、フィードロール(図示省略)で二次転写部の中間転写体18と二次転写装置17との間に予め定められたタイミングで供給される。供給された用紙Pには、二次転写装置17とバックアップロール19を圧接させると共に転写電圧を付与することで、中間転写体18に保持されたトナー像が転写される。
【0027】
トナー像が転写された用紙Pは、定着装置22に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。
【0028】
多重トナー像の用紙Pへの転写が終了した中間転写体18は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー(図示省略)で外周面に残留するトナーの除去が行われ、次の転写に備えることとなる。また、二次転写装置17にもクリーニング部材(図示省略)が設けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0029】
なお、単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像を単色で二次転写して定着装置22に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は各色のトナー像が一次転写部で一致するように中間転写体18と感光体24Y、24M、24C、24Kとの回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。
【0030】
このようにして、本実施形態に係る画像形成装置10では、用紙Pに画像が形成される。
【0031】
次に、本実施の形態の光走査装置12の構成について図面を参照して説明する。図2は、本実施の形態の光走査装置12における光源62から偏向器40までの概略構成の一例を表す構成図である。また、図3は、本実施の形態の光走査装置12における偏向器40から先の概略構成の一例を表す構成図である。
【0032】
光走査装置12YMは、Y及びMに対応する2本の光線Lにより感光体24Y及び感光体24Mをそれぞれ走査露光するものである。光走査装置12CKは、C及びKに対応する光線Lにより感光体24C及び感光体24Kをそれぞれ走査露光するものである。なお、Kの感光体24Kの径は、他の感光体24Y、24M、24Cの径よりも大きくされており、頻度の高い白黒画像の出力によってKの感光体24Kのみが早期に劣化してしまうことを防止している。
【0033】
2つの光走査装置12YM、12CKは、共通の形状の筐体32YM及び筐体32CKを使用しているが、感光体24M,24Kの径が互いに異なることにより、筐体32YMから感光体24Mまでの距離と筐体32CKから感光体24Kまでの距離が異なるため、M及びKにそれぞれ対応する光学系は、光学的な特性を一部異なるものとしている。
【0034】
なお、感光体24Yと感光体24Cの径は同一なので、Y及びCにそれぞれ対応する光学系の光学的な特性は基本的に同一のものになる。すなわち、筐体32YM及び筐体32CKは、Yに対応する光学系とCに対応する光学系が同一特性となるように、感光体24Yと感光体24Cに対して相対的に同一の位置関係となるようにそれぞれ配置されている。
【0035】
先ず、図2を参照して本実施の形態の光走査装置12における光源62から偏向器40までの概略構成について説明する。光走査装置12YM、12CKはそれぞれ、各色に対応する光源62、光源62を駆動する光源駆動部74、光源駆動部74により光源62の発光を制御する発光制御部72、偏向器40、偏向器駆動部78、及び偏向器制御部76を備えている。
【0036】
本実施の形態の光源62は、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:面発光レーザ)であり、図4に示すように、光源62は、主走査方向および副走査方向の二次元に配置された複数の発光点63を備えている。具体的な一例として、本実施の形態では、32個の発光点63を備えており、光源62には、副走査方向に沿って配列された8個の発光点からなる列が、主走査方向において4列並べられている。光源駆動部74は、いわゆるドライバIC(Integrated Circuit)であり、光源62の複数の発光点63の発光(オン)・非発光(オフ)の駆動を行う。発光制御部72には、光源駆動部74が、電気的に接続されている。発光制御部72により光源駆動部74を介して光源62の複数の発光点63の発光(オン)・非発光(オフ)がそれぞれ独立的に制御される。発光制御部72は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータやASIC、FPGA等として実現されており、プログラムを実行することにより、光源62を制御する。
【0037】
図3中では、1つの光源62及び光源駆動部74しか図示していないが、光源62及び光源駆動部74は、色毎に筐体32内に備えられている。なお、本実施の形態では、発光制御部72は、光走査装置12毎に1つの発光制御部72を備えており、YとMとで共通、及びCとKとで共通としているが、色毎に別個に備えるようにしてもよい。
【0038】
具体的には、光走査装置12YMの筐体32YM内には、Yに対応する光源62Y及び光源駆動部74Yと、Mに対応する光源62M及び光源駆動部74Mが備えられている。光源62Yと光源62Mとは、偏向器40の厚み方向(図2の上下方向:回転軸方向)に、それぞれ光線LY、LMが干渉しないように配置されている。同様に、光走査装置12CKの筐体32CK内には、Cに対応する光源62C及び光源駆動部74Cと、Kに対応する光源62K及び光源駆動部74Kが備えられている。光源62Cと光源62Kとは、偏向器40の厚み方向(図2の上下方向:回転軸方向)に、それぞれ光線LC、LKが干渉しないように配置されている。
【0039】
光源62から発せられた光線Lは、コリメータレンズ及びシリンドリカルレンズ等のレンズ群64を通じて偏向器40に導かれる。
【0040】
本実施の形態では、図2に示すように偏向器40の一例として、回転多面鏡であるポリゴンミラーを用いている。本実施の形態では、図3に示すように、光走査装置12毎に1つの偏向器40を備えており、YとMとで共通、及びCとKとで共通としている。また、偏向器制御部76及び偏向器駆動部78も光走査装置12毎に1つの偏向器40を備えており、YとMとで共通、及びCとKとで共通としている。
【0041】
偏向器駆動部78は、いわゆるモータ等であり、偏向器40の回転軸に接続され、偏向器40を図2中の矢印A方向に回転させる。偏向器制御部76には、偏向器駆動部78が電気的に接続されている。偏向器制御部76により偏向器駆動部78を介して偏向器40の回転が制御される。偏向器制御部76は、CPU、RAM、及びROM等を備えたコンピュータやASIC、FPGA等として実現されており、プログラムを実行することにより、偏向器40を制御する。
【0042】
本実施の形態の光走査装置12では、発光制御部72及び偏向器制御部76は、画像形成装置10全体を制御する制御部70に電気的に接続されており、制御部70の制御に応じて、発光制御部72が光源62を制御し、偏向器制御部76が偏向器40を制御する。制御部70は、CPU、RAM(Random Access Memory)、及びROM等を備えたコンピュータやASIC等として実現されている。制御部70では、CPUが、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、発光制御部72及び偏向器制御部76への制御が実行される。
【0043】
偏向器40に導かれた光線は、回転する偏向器40によって主走査方向に偏向される。偏向された光線はFθレンズ42、44等を通じて感光体24の表面に照射される。なお、本実施の形態の画像形成装置10では、偏向器40によって光線を偏向走査する方向が主走査方向であり、主走査方向に交差する方向が副走査方向である。
【0044】
次に、図3を参照して、本実施の形態の光走査装置12における偏向器40から先の概略構成について説明する。
【0045】
図3に示されるように、光走査装置12YMでは、Yに対応する光線LYは、偏向器40の反射面で偏向され、一対のFθレンズ42、44で感光体24上を等速で走査するように主走査方向において移動する。また、Fθレンズ42、44を通過した光線LYは、シリンドリカルミラー44、平面ミラー46、及びシリンドリカルミラー48によりそれぞれ折り返されて、透過ガラス57を通過後、感光体24Y上に結像する。
【0046】
同様に、光走査装置12CKでは、Cに対応する光線LCは、偏向器40の反射面で偏向され、一対のFθレンズ42、44で感光体24上を等速で走査するように主走査方向において移動する。また、Fθレンズ42、44を通過した光線LCは、シリンドリカルミラー44、平面ミラー46、及びシリンドリカルミラー48によりそれぞれ折り返されて、透過ガラス57を通過後、感光体24C上に結像する。
【0047】
また、光走査装置12YMでは、Mに対応する光線LMは、偏向器40の反射面で偏向された、Fθレンズ42、44を通過した後、シリンドリカルミラー50、平面ミラー52、反射ミラー54、及び平面ミラー56によりそれぞれ折り返されて、透過ガラス58を通過後、感光体24Mに結像する。
【0048】
一方、光走査装置12Kでは、Kに対応する光線LKは、光走査装置12YMの光線LMと光路長が異なるように反射ミラー54及び平面ミラー56が配置されている。感光体24Kの径は、他の感光体24Y、24M、24Cの径よりも大きいため、走査位置PKが走査位置PY、PM、PCと同一平面上に位置せず(図1参照)、Kに対応する光学系とMに対応する光学系の特性を同様にすることができない。感光体24Kの径のみが他の感光体24Y、24M、24Cの径よりも大きいため、筐体32CKから感光体24Kの距離は筐体32YMから感光体24Mまでの距離よりも短くなる。従って、筐体32CK内における光線LKの光路長を光線LMよりも長くしなければ、光線LKによりKに対応する正常な画像(静電潜像)を形成できなくなる。このため、筐体32CK内においては、図3において実線及び2点鎖線により示すように、反射ミラー54の角度及び平面ミラー56の角度をそれぞれ筐体32YMの場合とは異なるものにしている。これにより、光線LKと光線LMの光路長の差を吸収している。
【0049】
本実施の形態の画像形成装置10は、画像を形成する種類等に応じて複数のモードが設けられており、当該モードに応じて、画像を形成する速度(以下、プロセススピードという)が設定されている。例えば、本実施の形態では、画像を形成する用紙Pの種類に応じてプロセススピードが異なる。一般に、用紙Pの厚さが厚いほど、定着装置22でトナー像を定着させる際に、熱が逃げやすくなるため、定着に時間を要する。そのため、用紙Pが厚いモードほど、プロセススピードは遅くなる。また、高精細な画像形成を行うモードほど、プロセススピードは遅くなる。また、文字、図面、及び写真等、形成する画像に応じたモードにより、プロセススピードが異なる。
【0050】
画像形成装置10の制御部70により、プロセススピードの変化に応じて、感光体24の回転速度(回転数)が制御される。プロセススピードが速くなると、感光体24の回転速度が速くなり、プロセススピードが遅くなると、感光体24の回転速度が遅くなる。感光体24の回転速度の変化に応じて、感光体24上に形成される静電潜像の副走査方向の画像密度が変化しないように、光走査装置12による静電潜像の形成が制御される。すなわち、本実施の形態の画像形成装置10では、プロセススピードに係わらず、感光体24上に形成される静電潜像の画像密度が予め定めた範囲内に収まるように光走査装置12が静電潜像の形成を制御する。なお、静電潜像の画像密度が収まる当該予め定めた範囲とは、画像形成装置10の特性や、形成される画像に応じて予め実験等により得ておけばよい。
【0051】
偏向器40を安定的に駆動させるためには、好ましい回転速度(回転数)が定められている。当該好ましい回転速度(回転数)は、偏向器40の大きさや構造等により定められている。偏向器40が大きいほど、慣性モーメントの影響を受けやすくなり、安定駆動を行う回転速度(回転数)の範囲が狭くなる。本実施の形態の光走査装置12では、プロセススピードの変化に応じた静電潜像の形成の制御を行う際に、偏向器40の回転速度(回転数)が安定駆動を行う範囲内であるように制御を行っている。
【0052】
以下、本実施の形態における、プロセススピードの変化に応じた光走査装置12による静電潜像の形成の制御について説明する。
【0053】
図5には、光走査装置12による静電潜像の形成の制御を行う機能を表したブロック図を示す。また、図6には、プロセススピードの変化に応じた光走査装置12による静電潜像の形成の制御処理の一例を表したフローチャートを示す。
【0054】
図6に示した制御部70、発光制御部72、及び偏向器制御部76の各部における制御処理は、画像形成装置10に画像形成指示が入力されると実行される。
【0055】
まず、画像形成装置10の制御部70では、ステップS100で画像形成モードを取得したか否か判断する。例えば、図示を省略したユーザインターフェースや外部のパソコン等により画像形成指示に伴って画像形成モードの指示が行われると、当該画像形成モードを取得する。画像形成モードを取得するまで待機状態となり、取得した場合は、ステップS102へ進む。
【0056】
ステップS102では、制御部70は、画像形成モードに応じたプロセススピードを選択する。選択方法は特に限定されないが、例えば、画像形成モードとプロセススピードとの対応関係を、画像形成装置10内の図示を省略した記憶部等に予め記憶させておき、当該対応関係に基づいて選択する方法が挙げられる。
【0057】
次のステップS104では、制御部70は、選択したプロセススピードを発光制御部72及び偏向器制御部76に指示した後、本処理を終了する。なお、プロセススピードそのものを指示してもよいし、プロセススピードを表す情報(例えば、プロセススピードの段階)等を指示してもよい。
【0058】
一方、光走査装置12の偏向器制御部76では、ステップS130でプロセススピードを取得するまで待機状態になる。上述した制御部70のステップS104により、プロセススピードが指示されると、偏向器制御部76は、指示されたプロセススピードを取得し、ステップS132へ進む。
【0059】
ステップS132では、プロセススピードと偏向器40の回転数との対応関係を表すテーブル82を参照してテーブル82からプロセススピードに応じた回転数に応じた偏向器駆動部78のクロックを選択する。
【0060】
具体的には、本実施の形態のテーブル82は、偏向器制御部76内のメモリ等の記憶部に記憶されたプロセススピードと回転数(クロック)との対応関係を表す情報により構成されている。
【0061】
図7には、本実施の形態のプロセススピードと、偏向器40の面飛ばし、発光点63の発光数、及び回転数との対応関係の一例を示す。本実施の形態では、具体的一例としてプロセススピード1は、A4の用紙を1分間に120枚印刷する速度(A4/120ppm)に対応している。また、プロセススピード4は、A4の用紙を1分間に40枚印刷する速度(A4/40ppm)に対応している。このように本実施の形態の画像形成装置10では、プロセススピード1からプロセススピード4まで、順次プロセススピードが遅くなるように予め定められている。
【0062】
感光体24上に形成される静電潜像の形成を制御する方法として、偏向器40の回転速度による方法と、感光体24上に結像する光線の数(発光点63の発光数)による方法とが挙げられる。偏向器40の回転速度による方法としては、プロセススピードが速くなるのに応じて回転速度(回転数)を速くし、プロセススピードが遅くなるのに応じて回転速度(回転数)を遅くする方法が挙げられる。また、偏向器40の回転速度による方法としては、偏向面を飛ばす面飛ばしを行う方法が挙げられる。1面飛ばし(偏向面2面に対して1回偏向を行う)では、偏向器40の回転速度(回転数)を変化させることなく、感光体24上の静電潜像の形成速度が略半分になり、実質的には回転速度(回転数)を遅くしたのと同等となる。一方、感光体24上に結像する光線の数による方法としては、プロセススピードが速くなるのに応じて光線の数(発光数)を増加し、プロセススピードが遅くなるのに応じて光線の数(発光数)を減少させる方法が挙げられる。
【0063】
ここで、偏向器40の回転速度による方法、及び感光体24上に結像する光線の数(発光点63の発光数)による方法のいずれか一方のみを行う場合、偏向器40の回転数が上述した安定駆動を行う範囲外となる場合がある。特に、本実施の形態の光走査装置12では、偏向器40の厚さが厚いため、偏向器40が安定駆動する回転数の範囲が狭くなっている。そのため、本実施の形態の光走査装置12では、偏向器40の回転速度による方法として面飛ばしの有無、及び感光体24上に結像する光線の数(発光点63の発光数)とを組み合わせ、さらに、偏向器40の回転数により調整を行うことにより、偏向器40の回転数を上述した安定駆動を行う範囲内とする。従って、図7に示したプロセススピード1の回転数AArpm、プロセススピード2の回転数BBrpm、プロセススピード3の回転数CCrpm、及びプロセススピード4の回転数DDrpmは、偏向器40が安定駆動を行う範囲内の数値である。
【0064】
図7に示すように光走査装置12では、プロセススピードが速くなる場合は、偏向器40の面飛ばしの面数を減少させ(面飛ばしを行わない)、かつ発光点63の発光数を減少させる制御、または偏向器40面飛ばしの面数を変化させず、かつ発光点63の発光数を増加させる制御を行う。
【0065】
また、図7に示すように光走査装置12では、プロセススピードが遅くなる場合は、偏向器40の面飛ばしの面数を増加させ(面飛ばしを行う)、かつ発光点63の発光数を増加させる制御、または偏向器40の面飛ばしの面数を変化させず、かつ発光点63の発光数を減少させる制御を行う。
【0066】
本実施の形態の光走査装置12では、予めこのような対応関係を実験等により得ておき、偏向器制御部76及び発光制御部72等に記憶させておく。
【0067】
本実施の形態のテーブル82には、図7に示した対応関係の一例の内、プロセススピードと回転数との対応関係が含まれている。なお、図7では、プロセススピードに対応して回転数(rpm)を示したが、具体的には、偏向器40を駆動するための偏向器駆動部78のモータを駆動させるためのクロックの周波数を表す情報が対応している。プロセススピードが速くなると、クロックの周波数は高くなる。
【0068】
次のステップS134では、偏向器制御部76は、偏向器駆動部78に選択したクロックを出力した後、本処理を終了する。
【0069】
一方、光走査装置12の光源駆動部74では、ステップS160でプロセススピードを取得するまで待機状態になる。上述した制御部70のステップS104により、プロセススピードが指示されると、光源駆動部74は、指示されたプロセススピードを取得し、ステップS162へ進む。
【0070】
ステップS162では、プロセススピードと偏向器40の面飛ばしの有無、及び発光点63の発光数との対応関係を表すテーブル80を参照してテーブル80からプロセススピードに応じた発光点63の発光数を選択する。
【0071】
テーブル80は、図7に示した対応関係の一例の内、プロセススピードと面飛ばしの有無及び発光点63の発光数との対応関係が含まれている。具体的には、本実施の形態のテーブル80は、光源駆動部74内のメモリ等の記憶部に記憶されたプロセススピードと面飛ばしの有無及び発光点63の発光数との対応関係を表す情報により構成されている。
【0072】
次のステップS164では、プロセススピードと偏向器40の面飛ばしの有無および発光点63の発光数との対応関係を表すテーブル80を参照してテーブル80からプロセススピードに応じた面飛ばしの有無を選択する。
【0073】
次のステップS166では、選択した発光点63の発光数、及び面飛ばしの有無を光源駆動部74に出力した後、本処理を終了する。
【0074】
光源駆動部74は、発光点63の発光数を制御させる場合は、図8に示すように、外側に配置された発光点63を非発光とすることにより発光数を変化させる。本実施の形態の光走査装置12では、光源62の中央部の発光点63の中心を基準として、光路の調整を行っているため、光源62の外側に設けられた発光点63を非発光としている。発光点63の発光数が変化することにより、偏向器40により偏向される光線の数が変化する。
【0075】
また、光源駆動部74は、面飛ばしを行う場合は、飛ばす面数に応じた期間を飛ばすように発光点63の発光の制御を行う。
【0076】
以上説明したように本実施の形態の画像形成装置10は、複数の画像形成モードに対応するプロセススピードで画像を形成する。光走査装置12が、プロセススピードに応じて、感光体24上の静電潜像の形成を制御する。発光制御部72のテーブル80及び偏向器制御部76のテーブル82には、プロセススピードと、偏向器40の面飛ばし、発光点63の発光数、及び偏向器40の回転数との対応関係が予め記憶されている。偏向器制御部76は、テーブル82に基づいてプロセススピードに応じた偏向器40の回転数(クロック)を選択し、偏向器駆動部78に出力する。発光制御部72は、テーブル80に基づいてプロセススピードに応じた偏向器40の面飛ばしの有無、及び発光点63の発光数を選択し、光源駆動部74に出力する。
【0077】
本実施の形態の光走査装置12では、プロセススピードに係わらず感光体24上に形成される静電潜像の副走査方向の画素密度が略一定とみなせる所定の範囲内となるように、偏向器40の面飛ばし、発光点63の発光数、及び偏向器40の回転数を制御している。また、本実施の形態の光走査装置12では、偏向器40の回転速度(回転数)を偏向器40が安定駆動する範囲内において偏向器40の面飛ばし、発光点63の発光数、及び偏向器40の回転数を制御している。
【0078】
従って、本実施の形態の光走査装置12では、偏向器40の回転速度及び発光点63の発光数(光線の数)のいずれか一方を制御する場合に比べて、広範囲のプロセススピードの変化に対応して偏向器40を安定駆動することができる。
【0079】
これにより、画像形成装置10は、複数のプロセススピードを有することができる。また、偏向器40を安定駆動することができるため、形成される画像の画質を向上させることができると共に、画像形成全体に係る速度を抑制することができる。
【0080】
なお、光走査装置12を他の画像形成装置10に適用する場合は適用先の画像形成装置10に応じた、上記図7に示した対応関係や、テーブル80及びテーブル82を予め記憶させておけばよいため、種々の画像形成装置10に対応することができる。
【0081】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態の光走査装置12では、偏向器40の回転数が安定駆動する範囲内における、プロセススピードと、偏向器40の面飛ばし、発光点63の発光数、及び偏向器40の回転数との対応関係が予め記憶されている場合について説明した。これに対し本実施の形態の光走査装置12では、このような対応関係を予め、記憶させておかずに、現在のプロセススピード(初期値等)からの変化に応じて、偏向器40の面飛ばし及び発光点63の発光数を制御する。
【0082】
本実施の形態の光走査装置12は、上述のように、対応関係を予め記憶しないため、発光制御部72はテーブル80を備えておらず、偏向器制御部76はテーブル82を備えていない。その他の本実施の形態の画像形成装置10及び光走査装置12の構成は、第1の実施の形態の画像形成装置10及び光走査装置12の構成と略同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0083】
本実施の形態の光走査装置12では、プロセススピードの変化に応じた光走査装置12による静電潜像の形成の制御処理が第1の実施の形態と異なるため、当該制御処理について図面を参照して説明する。
【0084】
図9には、プロセススピードの変化に応じた光走査装置12の発光制御部72及び偏向器制御部76による静電潜像の形成の制御処理の一例を表したフローチャートを示す。なお、制御部70による制御処理(図6ステップS100〜ステップS104)は、第1の実施の形態と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0085】
一方、光走査装置12の偏向器制御部76では、ステップS230でプロセススピードを取得するまで待機状態になる。第1の実施の形態において上述した制御部70のステップS104により、プロセススピードが指示されると、偏向器制御部76は、指示されたプロセススピードを取得し、ステップS232へ進む。
【0086】
ステップS232では、偏向器駆動部78のクロックを選択する。本実施の形態におけるクロックの選択方法は特に限定されない。例えば、偏向器40を安定駆動させるために、回転数を変化させない場合は、予め定められたクロック(プロセススピードによらない共通値)を選択すればよい。また例えば、プロセススピードに応じて微調整を行うために回転数を変動させる場合は、プロセススピードとクロックの周波数を表す情報との対応関係を例えば、第1の実施の形態と同様に予め記憶させておき、当該対応関係に基づいて選択するようにしてもよい。
【0087】
次のステップS234では、偏向器制御部76は、偏向器駆動部78に選択したクロックを出力した後、本処理を終了する。
【0088】
一方、光走査装置12の光源駆動部74では、ステップS260でプロセススピードを取得するまで待機状態になる。第1の実施の形態において上述した制御部70のステップS104により、プロセススピードが指示されると、光源駆動部74は、指示されたプロセススピードを取得し、ステップS262へ進む。
【0089】
ステップS262では、プロセススピードを変更するか否か判断する。プロセススピードを現状の値(例えば、初期値等)から変更しない場合は、発光点63の発光の制御(面飛ばしの有無、及び発光数)も変更がないため、本処理を終了する。一方、プロセススピードを現状の値から変更する場合は、ステップS264へ進む。
【0090】
ステップS264では、発光制御部72は、プロセススピードが速くなったか否か判断する。速くなった場合は、ステップS266へ進む。ステップS266では、変更前のプロセススピードは、変更後のプロセススピードの半値を含む予め定められた範囲内であるか否か判断する。すなわち、変更後のプロセススピードが、変更前のプロセススピードの倍の値を含む予め定められた範囲内に含まれるか否か判断する。本実施の形態の光走査装置12では、面飛ばしの面数が1面であるため、面飛ばしの有無により、見かけ上の偏向器40の回転速度(回転数)が2倍または1/2になる。そのため、本実施の形態の発光制御部72では、変更前のプロセススピードの倍の値を含む予め定められた範囲内に含まれる場合は、面飛ばしを行わないように制御する。なお、当該予め定められた範囲は、偏向器40の特性や、画像形成装置10の特性等に応じて予め実験などにより定めておけばよい。
【0091】
ステップS266で肯定されるとステップS268へ進み、面飛ばし無(面飛ばしを行わない)を選択する。次のステップS270では、発光点63の発光数を維持する選択をした後、ステップS290へ進む。
【0092】
一方、ステップS266で否定されるとステップS272へ進む。ステップS272では、面飛ばしの有無を現状から変更するか否か判断する。面飛ばしの有無を現状から変更するか否か判断する方法は特に限定されない。例えば、プロセススピードの変化量が半分以上、すなわち、プロセススピードが倍以上となる場合は、面飛ばしの変更を選択し、面飛ばし無(面飛ばしを行わない)とするとよい。なお、例えば、プロセススピードの変化量が半分未満(プロセススピードが2倍未満となる)の場合であっても、面飛ばしの変更を選択するようにするとよい(例えば、図7のプロセススピード2及びプロセススピード3参照)。変更の有無は、偏向器40の特性や、画像形成装置10の特性等に応じて予め実験などにより定めておいてもよい。
【0093】
ステップS272で肯定された場合は、面飛ばしを変更するため、面飛ばしを行わない、すなわち、飛ばす面数を減少させる。ステップS272で肯定されると、ステップS274へ進み、発光点63の発光数を減少する選択をした後、ステップS290へ進む。
【0094】
一方、ステップS272で肯定された場合は、面飛ばしの変更を行わず、現状が面飛ばし有の場合は面飛ばし有となり、現状が面飛ばし無の場合は、面飛ばし無となる。ステップS272で否定されると、ステップS276へ進み、発光点63の発光数を増加させる選択をした後、ステップS290へ進む。
【0095】
また、プロセススピードが現状から遅くなった場合は、上記ステップS264で否定されてステップS278へ進む。ステップS278では、上述したステップS266と同様に、変更前のプロセススピードは、変更後のプロセススピードの半値を含む予め定められた範囲内であるか否か判断する。すなわち、変更後のプロセススピードが、変更前のプロセススピードの半分の値を含む予め定められた範囲内に含まれるか否か判断する。本実施の形態の発光制御部72では、変更前のプロセススピードの半分の値を含む予め定められた範囲内に含まれる場合は、面飛ばしを行うように制御する。なお、当該予め定められた範囲は、偏向器40の特性や、画像形成装置10の特性等に応じて予め実験などにより定めておけばよい。
【0096】
ステップS278で肯定されるとステップS280へ進み、面飛ばし有(面飛ばしを行う)を選択する。次のステップS282では、発光点63の発光数を維持する選択をした後、ステップS290へ進む。
【0097】
一方、ステップS278で否定されるとステップS284へ進む。ステップS284では、上述したステップS272と同様に、面飛ばしの有無を現状から変更するか否か判断する。
【0098】
ステップS284で肯定された場合は、面飛ばしを変更するため、面飛ばしを行う、すなわち、飛ばす面数を増加させる。ステップS284で肯定されると、ステップS286へ進み、発光点63の発光数を増加する選択をした後、ステップS290へ進む。
【0099】
一方、ステップS284で肯定された場合は、面飛ばしの変更を行わず、現状が面飛ばし有の場合は面飛ばし有となり、現状が面飛ばし無の場合は、面飛ばし無となる。ステップS284で否定されると、ステップS288へ進み、発光点63の発光数を減少させる選択をした後、ステップS290へ進む。
【0100】
ステップS290では、選択した発光点63の発光数、及び面飛ばしの有無を光源駆動部74に出力した後、本処理を終了する。
【0101】
以上説明したように本実施の形態の光走査装置12では、発光制御部72が現状のプロセススピードからの変化に応じて、偏向器40の面飛ばしの面数、及び発光点63の発光数を制御する。
【0102】
発光制御部72は、変更前のプロセススピードが、変更後のプロセススピードの半値を含む予め定められた範囲内である場合は、面飛ばしの有無を制御する。また、発光制御部72は、プロセススピードが速くなる場合は、偏向器40の面飛ばしの面数を減少させ、かつ発光点63の発光数を減少させる制御、または偏向器40面飛ばしの面数を変化させず、かつ発光点63の発光数を増加させる制御を行う。また、発光制御部72は、プロセススピードが遅くなる場合は、偏向器40の面飛ばしの面数を増加させ、かつ発光点63の発光数を増加させる制御、または偏向器40の面飛ばしの面数を変化させず、かつ発光点63の発光数を減少させる制御を行う。
【0103】
従って、本実施の形態の光走査装置12では、偏向器40の回転速度及び発光点63の発光数(光線の数)のいずれか一方を制御する場合に比べて、広範囲のプロセススピードの変化に対応して偏向器40を安定駆動することができる。
【0104】
また、発光制御部72は、現状のプロセススピードからの変化に応じて制御を行うため、光走査装置12を他の画像形成装置10に適用する場合においても適切に制御を行うことができる。
【0105】
このように上記各実施の形態の画像形成装置10の光走査装置12では、偏向器40の回転速度及び発光点63の発光数(光線の数)のいずれか一方を制御する場合に比べて、広範囲のプロセススピードの変化に対応して偏向器40を安定駆動することができる。
【0106】
なお、上記各実施の形態では、複数色(2色)に対して1つの偏向器40を備える光走査装置12に本発明を適用した場合について説明したがこれに限らない。例えば、各色に対して1つの偏向器を備える光走査装置に本発明を適用してもよい。なお、本実施の形態のように数色(2色)に対して1つの偏向器40を備える光走査装置12の場合、偏向器40の厚み方向の大きさが大きくなり、厚みが小さい場合に比べて偏向器40が安定駆動する回転数の範囲が狭くなるため、本発明を適用することでより高い効果が得られる。
【0107】
また、上記各実施の形態では、本発明を光源62がVCSELであり、32個の発光点63を有する光走査装置12に適用した場合について説明したがこれに限らない。例えば、発光点63点の数は、本実施の形態に限定されず、複数であればよい。また、発光ダイオード(LED)を光源に用いたLEDプリントヘッドに本発明を適用してもよい。
【0108】
また、上記第1の実施の形態では、発光制御部72がテーブル80を備え、偏向器制御部76がテーブル82を備える場合について説明したがこれに限らない、例えば、発光制御部72及び偏向器制御部76とは別個に設けられた記憶部にテーブル80及びテーブル82を記憶させておいてもよいし、テーブル80及びテーブル82を別個とせず、図7に示した対応関係を表す情報を記憶させるようにしてもよい。
【0109】
また、上記各実施の形態は本発明の一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。本実施の形態で説明した画像形成装置10、光走査装置12、及び発光制御部72、偏向器制御部76などの構成や動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0110】
10 画像形成装置
12 光走査装置
24 感光体
40 偏向器
62 光源
63 発光点
70 制御部
72 発光制御部
76 偏向器制御部
80 テーブル
82 テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9