(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1に開示された顔料を用いて、蓄電デバイス用端子フィルムを着色した場合、濃い色合いで着色することが困難であった。
このため、例えば、金属端子の幅が狭く(例えば、3mm以下)、蓄電デバイス用端子フィルムの幅も狭い(例えば、5mm以下)場合において、蓄電デバイス用端子フィルムの取り付け位置の判定を精度良く行うことが困難であった。
【0013】
そこで、本発明者は、上記問題を解決するために、絶縁層が3層以上積層された蓄電デバイス用端子フィルムにおいて、2つの最外層の間に位置する中間層を構成する絶縁層に導電性顔料であるカーボンブラックや黒鉛(以下、「導電性顔料」という」)を添加させることで、中間層を黒色に着色して、従来よりも視認性を向上させるという考えに至った。
【0014】
そして、本発明者は、鋭意検討を行った結果、上記導電性顔料で着色された中間層を有する蓄電デバイス用端子フィルムを金属端子の外周側面を覆うように配置させた場合、該導電性顔料を含むことで導電性を有する中間層と金属端子との間の絶縁性を確保するためには、蓄電デバイス用端子フィルムと金属端子とを融着させるヒートシール処理(所定の温度及び圧力を印加することで融着させる処理)後において、中間層と金属端子との間に配置された最外層の厚さが薄くなり過ぎないようにすることが重要であるという考えに至った。
【0015】
そこで、本発明は、2つの最外層間に配置された中間層を構成する絶縁層に導電性顔料であるカーボンブラックや黒鉛等を添加して濃い色合いで中間層を着色することで、蓄電デバイス用端子フィルムの検査精度を向上させることが可能で、かつ蓄電デバイス用端子フィルムが融着される金属端子と中間層との間の絶縁性を十分に確保することの可能な蓄電デバイス用端子フィルム、及び蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る蓄電デバイス用端子フィルムは、蓄電デバイスを構成する蓄電デバイス本体と電気的に接続される金属端子の一部の外周面を覆うように配置される蓄電デバイス用端子フィルムであって、第1の絶縁層を含む第1の最外層と、第2の絶縁層を含む第2の最外層と、前記第1の最外層と前記第2の最外層との間に配置された第3の絶縁層、及び該第3の絶縁層に添加され、黒色に着色可能な導電性顔料を含む中間層と、を有し、前記第1及び第2の絶縁層のうち、少なくとも一方の絶縁層に絶縁性フィラーが
添加され、前記中間層に含まれる前記導電性顔料の含有量が0.01wt%以上3.00wt%以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、第3の絶縁層に黒色に着色可能な導電性顔料が添加されていることで、濃い色合い(具体的には、黒色)で中間層を着色することが可能となる。
これにより、蓄電デバイス用端子フィルムの視認性が向上するため、蓄電デバイス用端子フィルムの検査(例えば、蓄電デバイス用端子フィルムが金属端子に付いているか否かの検査、金属端子に対する蓄電デバイス用端子フィルムの取り付け位置の検査等)の精度を向上させることができる。
特に、金属端子の幅が狭く、蓄電デバイス用端子フィルムの幅が狭い場合に有効である。
【0018】
また、第1及び第2の絶縁層のうち、少なくとも一方の絶縁層に絶縁性フィラーを添加することで、ヒートシール処理(所定の温度及び圧力を印加して、金属端子と最外層とを融着させる処理)後、絶縁性フィラーが添加された最外層の厚さを確保するためのスペーサーとして絶縁性フィラーを機能させることが可能となる。
これにより、絶縁性フィラーが添加された最外層と金属端子とが接触するように蓄電デバイス用端子フィルムを配置させることで、導電性顔料を含有することで導電性を有する中間層と金属端子との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0019】
さらに、2つの最外層が絶縁性フィラーを含む場合、包装材を構成する金属層と中間層との間に配置された最外層により、金属層と中間層との間の絶縁性を向上させることができる。
【0020】
つまり、本発明によれば、2つの最外層間に配置された中間層を構成する絶縁層に導電性顔料を添加して濃い色合い(黒色)で中間層を着色することで、蓄電デバイス用端子フィルムの検査精度を向上でき、かつ蓄電デバイス用端子フィルムが融着される金属端子と中間層との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0021】
また、上記本発明の一態様に係る蓄電デバイス用端子フィルムにおいて、前記第1及び第2の絶縁層のうち、一方の絶縁層のみに絶縁性フィラーが添加されていてもよい。
【0022】
このように、第1及び第2の絶縁層のうち、一方の絶縁層のみに絶縁性フィラーが添加されていている場合でも、蓄電デバイス用端子フィルムの検査精度を向上でき、かつ蓄電デバイス用端子フィルムが融着される金属端子と中間層との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0024】
中間層に含まれる導電性顔料の含有量(濃度)が0.01wt%未満であると、中間層を濃い色合いで着色することが困難になってしまう。また、第3の絶縁層に添加された導電性顔料の含有量が3.00wt%よりも多いと、中間層の導電性が高くなりすぎるため、中間層と金属端子との間の電気的な絶縁性を十分に確保することが困難となってしまう。
よって、第3の絶縁層に添加する導電性顔料の含有量(濃度)を0.01wt%以上3.00wt%以下とすることで、蓄電デバイス用端子フィルムの視認性を向上できると共に、電気的な絶縁性を十分に確保することができる。
【0025】
また、上記本発明の一態様に係る蓄電デバイス用端子フィルムにおいて、前記絶縁性フィラーの平均粒径は、該絶縁性フィラーが添加されている前記絶縁層の厚さの1/30〜1/2倍の値であってもよい。
【0026】
このように、絶縁性フィラーの平均粒径を、絶縁性フィラーが添加される絶縁層の厚さの1/30〜1/2倍の値にすることで、金属端子に対する最外層(絶縁性フィラーを含む最外層)の融着性を低下させることなく、絶縁性フィラーをスペーサーとして十分に機能させることができる。
【0027】
また、上記本発明の一態様に係る蓄電デバイス用端子フィルムにおいて、前記絶縁性フィラーの含有量(濃度)は、0.1wt%以上20wt%以下であってもよい。
【0028】
絶縁層に添加された絶縁性フィラーの含有量が0.1wt%未満であると、絶縁性フィラーの含有量が少なすぎるため(絶縁性フィラーがスペーサーとしてあまり機能しないため)、融着処理後において、絶縁性フィラーを含む最外層の厚さが薄くなりすぎてしまう。
したがって、中間層と金属端子との間に配置された最外層により、中間層と金属端子との間を絶縁することが困難となってしまう。
【0029】
また、絶縁層に添加された絶縁性フィラーの含有量が20wt%よりも多いと、絶縁層の割合が小さくなるため、絶縁性フィラーを含む最外層と金属端子との間の融着性(言い換えれば、密着性)が低下してしまう。
よって、絶縁層に添加する絶縁性フィラーの含有量を0.1wt%以上20wt%以下にすることで、絶縁性フィラーが添加された最外層と金属端子との間の融着性を低下させることなく、導電性を有する中間層と金属端子との間を絶縁することができる。
【0030】
また、上記本発明の一態様に係る蓄電デバイス用端子フィルムにおいて、前記絶縁性フィラーの形状は、球形であってもよい。
【0031】
このように、絶縁性フィラーの形状を球形とすることで、絶縁性フィラーとして不定形のフィラーを用いた場合と比較して、絶縁性フィラーのスペーサーとしての機能を向上させることが可能となるので、ヒートシール処理後において、絶縁性フィラーを含む最外層の厚さを厚くすることができる。
【0032】
また、上記本発明の一態様に係る蓄電デバイス用端子フィルムにおいて、前記中間層と前記第1の最外層との間、及び前記中間層と前記第2の最外層との間に、それぞれ第4の絶縁層を配置してもよい。
【0033】
このように、中間層と第1の最外層との間、及び中間層と第2の最外層との間に、それぞれ第4の絶縁層を配置することで、中間層と包装材を構成する金属層との間の絶縁性、及び中間層と金属端子との間の絶縁性を向上させることができる。
【0034】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る蓄電デバイスは、請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の蓄電デバイス用端子フィルムと、充放電する蓄電デバイス本体と、前記蓄電デバイス本体と電気的に接続され、一部が前記蓄電デバイス用端子フィルムで覆われる一対の前記金属端子と、前記蓄電デバイス用端子フィルムの一部、及び前記蓄電デバイス本体を覆う包装材と、を有することを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の蓄電デバイス用端子フィルムが金属端子の一部を覆うことで、蓄電デバイス用端子フィルムの検査精度を向上させることができると共に、蓄電デバイス用端子フィルムが融着される金属端子と中間層との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0036】
また、上記本発明の一態様に係る蓄電デバイスにおいて、前記第1及び第2の最外層のうち、一方の最外層は、前記金属端子の一部の外周面を覆うように配置され、他方の最外層は、前記包装材と接触するように配置され、前記一方の最外層は、前記絶縁性フィラーを含んでもよい。
【0037】
このように、金属端子の一部の外周面を覆うように配置された一方の最外層が絶縁性フィラーを含むことで、蓄電デバイス用端子フィルムが融着される金属端子と中間層との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の蓄電デバイス用端子フィルムによれば、蓄電デバイス用端子フィルムの検査精度を向上でき、かつ黒色に着色可能な導電性顔料を含有する中間層と金属端子との間の電気的な絶縁性を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の蓄電デバイス用端子フィルム、及び蓄電デバイスの寸法関係とは異なる場合がある。
【0041】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電デバイスの概略構成を示す斜視図である。
図1では、蓄電デバイス10の一例として、リチウムイオン二次電池を例に挙げて図示し、以下の説明を行う。
なお、
図1に示す構成とされたリチウムイオン二次電池は、電池パック、或いは電池セルと呼ばれることがある。
【0042】
図1を参照するに、本実施の形態の蓄電デバイス10は、リチウムイオン二次電池であり、蓄電デバイス本体11と、包装材13と、一対の金属端子14(「タブリード」と呼ばれることもある)と、蓄電デバイス用端子フィルム16(「タブシーラント」と呼ばれることもある)と、を有する。
【0043】
蓄電デバイス本体11は、充放電を行う電池本体である。包装材13は、蓄電デバイス本体11の表面を覆うと共に、蓄電デバイス用端子フィルム16の一部と接触するように配置されている。
【0044】
図2は、
図1に示す包装材の切断面の一例を示す断面図である。
図2において、
図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0045】
ここで、
図2を参照して、包装材13の構成の一例について説明する。
包装材13は、蓄電デバイス本体11に接触する内側から、内層21と、内層側接着剤層22と、腐食防止処理層23−1と、金属層であるバリア層24と、腐食防止処理層23−2と、外層側接着剤層25と、外層26と、が順次積層された7層構造とされている。
【0046】
内層21の母材としては、例えば、ポリオレフィン樹脂またはポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸等をグラフト変成させた酸変成ポリオレフィン樹脂を用いることができる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ホモ、ブロック、またはランダムポリプロピレン;プロピレン−αオレフィン共重合体等を用いることができる。これらポリオレフィン樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
また、内層21は、必要とされる機能に応じて、単層フィルムや、複数の層を積層させた多層フィルムを用いて構成してもよい。具体的には、例えば、防湿性を付与するために、エチレン−環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテン等の樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。
さらに、内層21は、各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等を含んでもよい。
【0048】
内層21の厚さは、例えば、10〜150μmの範囲内で設定することが好ましいが、30〜80μmがより好ましい。内層21の厚さが10μmよりも薄いと、包装材13同士のヒートシール密着性、蓄電デバイス用端子フィルム16との密着性が低下する恐れがある。
また、内層21の厚さが150μmよりも厚いと、包装材13のコスト増加の要因となるため、好ましくない。
【0049】
内層側接着剤層22としては、例えば、一般的なドライラミネーション用接着剤や、酸変性された熱融着性樹脂等、公知の接着剤を適宜選択して用いることができる。
図2に示すように、腐食防止処理層23−1,23−2は、バリア層24の両面に形成することが性能上好ましいが、コスト面を考慮して、内層側接着剤層22側に位置するバリア層24の面のみに腐食防止処理層23−1を配置してもよい。
【0050】
バリア層24は、導電性を有する金属層である。バリア層24の材料としては、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等を例示することができるが、コストや重量(密度)等の観点から、アルミニウムが好適である。
外層側接着剤層25としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等を主剤としたポリウレタン系の一般的な接着剤を用いることができる。
【0051】
外層26としては、例えば、ナイロンやポリエチレンテレフタレート(PET)等の単膜、或いは多層膜を用いることができる。
外層26は、内層21と同様に、各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等を含んでもよい。
また、外層26は、例えば、液漏れ時の対策として電解液に不溶な樹脂をラミネートしたり、電解液に不溶な樹脂成分をコーティングしたりすることで形成される保護層を有してもよい。
【0052】
図3は、
図1に示す蓄電デバイス用端子フィルム及び金属端子のA−A線方向の断面図である。
図3において、
図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0053】
図1及び
図3を参照するに、一対(
図1の場合、2つ)の金属端子14は、金属端子本体14−1と、腐食防止層14−2と、を有する。
一対の金属端子本体14−1のうち、一方の金属端子本体14−1は、蓄電デバイス本体11の正極と電気的に接続されており、他方の金属端子本体14−1は、蓄電デバイス本体11の負極と電気的に接続されている。
一対の金属端子本体14−1は、蓄電デバイス本体11から離間する方向に延在しており、その一部が包装材13から露出されている。一対の金属端子本体14−1の形状は、例えば、平板形状とすることができる。
【0054】
金属端子本体14−1の材料としては、金属を用いることができる。金属端子本体14−1の材料となる金属は、蓄電デバイス本体11の構造や蓄電デバイス本体11の各構成要素の材料等を考慮して決めることが好ましい。
【0055】
例えば、蓄電デバイス10がリチウムイオン二次電池の場合、正極用集電体としてアルミニウムが用いられ、負極用集電体として銅が用いられる。
この場合、蓄電デバイス本体11の正極と接続される金属端子本体14−1の材料としては、アルミニウムを用いることが好ましい。また、電解液への耐食性を考慮すると、金属端子本体14−1の材料としては、例えば、1N30等の純度97%以上のアルミニウム素材を用いることが好適である。
【0056】
さらに、金属端子本体14−1を屈曲させる場合には、柔軟性を付加する目的で十分な焼鈍により調質したO材を用いることが好ましい。
蓄電デバイス本体11の負極と接続される金属端子本体14−1の材料としては、表面にニッケルめっき層が形成された銅、もしくはニッケルを用いることが好ましい。
【0057】
金属端子本体14−1の厚さは、リチウムイオン二次電池のサイズや容量に依存する。リチウムイオン二次電池が小型の場合、金属端子本体14−1の厚さは、例えば、50μm以上にするとよい。また、蓄電・車載用途等の大型のリチウムイオン二次電池の場合、金属端子本体14−1の厚さは、例えば、100〜500μmの範囲内で適宜設定することができる。
【0058】
腐食防止層14−2は、金属端子本体14−1の表面を覆うように配置されている。リチウムイオン二次電池の場合、電解液にLiPF
6等の腐食成分が含まれる。
腐食防止層14−2は、電解液に含まれるLiPF
6等の腐食成分から金属端子本体14−1が腐食されることを抑制するための層である。
【0059】
蓄電デバイス用端子フィルム16は、金属端子14の一部の外周面を覆うように配置されている。蓄電デバイス用端子フィルム16は、金属端子14の外周側面と接触する第1の最外層31と、包装材13と接触する第2の最外層32と、第1の最外層31と第2の最外層32との間に配置された中間層33と、が積層された構成とされている。
【0060】
第1の最外層31は、黒色に着色可能な導電性顔料42を含むことで導電性を有する中間層33の一方の面を覆うように配置されている。第1の最外層31は、絶縁樹脂層である第1の絶縁層35と、絶縁性フィラー36と、を含んだ構成とされている。
第1の絶縁層35(言い換えれば、第1の最外層31)は、金属端子14の一部の外周面を覆うように配置されている。
第1の最外層31は、金属端子14の外周面を覆うように配置されることで、金属端子14の周方向を封止すると共に、蓄電デバイス用端子フィルム16と金属端子14とを密着させる機能を有する。
【0061】
したがって、第1の絶縁層35を構成する材料としては、例えば、接着性に優れた樹脂を用いるとよい。第1の絶縁層35を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸等をグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン樹脂等を用いることができる。
第1の絶縁層35の厚さは、例えば、10〜50μmとすることができる。
【0062】
絶縁性フィラー36は、第1の絶縁層35に添加されている。絶縁性フィラー36は、ヒートシール処理後(所定の温度及び圧力を印加して、包装材13と第2の最外層32とを融着させる処理後)、第1の最外層31の厚さを確保するためのスペーサーとして機能する。
絶縁性フィラー36としては、例えば、金属酸化物(例えば、アルミナやシリカ等)よりなるフィラー、有機材料(例えば、ポリカーボネートやエポキシ樹脂)よりなるフィラー等を用いることができる。
【0063】
絶縁性フィラー36の形状としては、例えば、不定形や球形を用いることが可能であるが、球形のものが好ましい。
このように、絶縁性フィラー36の形状を球形とすることで、絶縁性フィラー36のスペーサーとしての機能を向上させることが可能となる。これにより、ヒートシート処理後において、不定形のフィラーを用いた場合よりも第1の最外層31の厚さを厚くすることができる。したがって、第1の最外層31により、導電性顔料42を含む中間層33と金属端子14とを電気的に絶縁することができる。
【0064】
絶縁性フィラー36の粒径は、例えば、第1の絶縁層35の厚さの1/30〜1/2倍の値にするとよい。
このように、絶縁性フィラー36の粒径を第1の絶縁層35の厚さの1/30〜1/2倍の値にすることで、金属端子14に対する第1の最外層31の融着性を低下させることなく、絶縁性フィラー36をスペーサーして十分に機能させることができる。
【0065】
第1の絶縁層35に添加された絶縁性フィラー36の含有量(濃度)は、例えば、0.1wt%以上20wt%以下にするとよい。
第1の絶縁層35に添加された絶縁性フィラー36の含有量が0.1wt%未満であると、絶縁性フィラー36の含有量が少なすぎるため、所定の温度及び圧力を印加して、金属端子14と第1の最外層31とを融着させた際(ヒートシール処理した際)、第1の最外層31の厚さが薄くなりすぎてしまう。
したがって、第1の最外層31により、導電性を有する中間層33と金属端子14との間を絶縁することが困難となってしまう。
【0066】
一方、第1の絶縁層35に添加された絶縁性フィラー36の含有量が20wt%よりも多いと、第1の絶縁層35の割合が少なくなるため、第1の最外層31と金属端子14との間の融着性(言い換えれば、密着性)が低下してしまう。
よって、第1の絶縁層35に添加する絶縁性フィラー36の含有量を0.1wt%以上20wt%以下にすることで、第1の最外層31と金属端子14との間の融着性を低下させることなく、導電性を有する中間層33と金属端子14との間を電気的に絶縁することができる。
【0067】
第2の最外層32は、導電性顔料42を含むことで導電性を有する中間層33の他方の面を覆うように配置されている。第2の最外層32は、絶縁樹脂層である第2の絶縁層38と、絶縁性フィラー39と、を含んだ構成とされている。
第2の絶縁層38(言い換えれば、第2の最外層32)は、包装材13(具体的には、
図2に示す内層21)と融着されることで、包装材13と接触している。
【0068】
第2の絶縁層38は、包装材13と融着されることで、包装材13内を封止すると共に、蓄電デバイス用端子フィルム16と包装材13(具体的には、
図2に示す内層21)とを密着させる機能を有する。
したがって、包装材13との密着性の観点から、第2の絶縁層38としては、内層21の母材となる樹脂と同系統の樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂)を用いるとよい。
第2の絶縁層38の厚さは、例えば、10〜50μmとすることができる。
【0069】
絶縁性フィラー39は、第2の絶縁層38に添加されている。絶縁性フィラー39は、所定の温度及び圧力を印加して、包装材13と第2の最外層32とを融着させた際、第2の最外層32の厚さを確保するためのスペーサーとして機能する。
絶縁性フィラー39としては、例えば、金属酸化物(例えば、アルミナやシリカ等)よりなるフィラー、有機材料(例えば、ポリカーボネートやエポキシ樹脂等)よりなるフィラー等を用いることができる。
【0070】
また、絶縁性フィラー36,39として、例えば、同一種類で同形状とされたフィラーを用いてもよい。
このように、絶縁性フィラー36,39として同一種類で同形状とされたフィラーを用いることで、2種類の異なるフィラーを準備する場合と比較して、絶縁性フィラー36,39の準備を容易に行うことができる。
【0071】
なお、絶縁性フィラー36,39として、例えば、異なる粒径(大きさ)とされたフィラーを用いてもよい。このように、絶縁性フィラー36,39として、異なる形状とされた絶縁性フィラーを用いることで、目的に応じて、第1及び第2の最外層31,32の厚さを調節することができる。
【0072】
絶縁性フィラー39の形状としては、例えば、不定形や球形を用いることが可能であるが、球形のものが好ましい。
このように、絶縁性フィラー39の形状を球形とすることで、絶縁性フィラー39のスペーサーとしての機能を向上させることが可能となる。これにより、所定の圧力及び温度を印加することで包装材13と第2の最外層32とを融着した後(言い換えれば、ヒートシート処理後)において、不定形のフィラーを用いた場合よりも第2の最外層32の厚さを厚くすることができる。
したがって、第2の最外層32により、導電性顔料42を含む中間層33と包装材13を構成するバリア層24とを電気的に絶縁することができる。
【0073】
絶縁性フィラー39の粒径は、例えば、第2の絶縁層38の厚さの1/30〜1/2倍の値にするとよい。
このように、絶縁性フィラー39の粒径を第2の絶縁層38の厚さの1/30〜1/2倍の値にすることで、包装材13に対する第2の最外層32の融着性を低下させることなく、絶縁性フィラー39をスペーサーして十分に機能させることができる。
【0074】
また、第2の絶縁層38に添加する絶縁性フィラー39の含有量(濃度)は、例えば、0.1wt%以上20wt%以下にするとよい。
第2の絶縁層38に添加された絶縁性フィラー39の含有量が0.1wt%未満であると、絶縁性フィラー38の含有量が少なすぎるため、ヒートシール処理により、包装材13と第2の最外層32とを融着させた際、第2の最外層32の厚さが薄くなる恐れがある。
【0075】
一方、第2の絶縁層38に添加された絶縁性フィラー39の含有量が20wt%よりも多いと、第2の絶縁層38の割合が少なくなるため、第2の最外層32と包装材13との間の融着性(言い換えれば、密着性)が低下する恐れがある。
よって、第2の絶縁層38に添加された絶縁性フィラー39の含有量を0.1wt%以上20wt%以下にすることで、第2の最外層32と包装材13との間の融着性を低下させることなく、導電性を有する中間層33とバリア層24との間の電気的絶縁性を十分に確保することができる。
【0076】
中間層33は、第1の最外層31と第2の最外層32との間に配置されている。中間層33は、一方の面が第1の最外層31で覆われており、他方の面が第2の最外層32で覆われている。
中間層33は、第1の最外層31と第2の最外層32との間に配置された絶縁樹脂層である第3の絶縁層41と、黒色に着色可能な着色剤として機能する導電性顔料42と、を含んだ構成とされている。
【0077】
第3の絶縁層41の材料としては、ヒートシート処理時に溶融しにくい、融点の高い樹脂材料を用いるとよい。具体的には、第3の絶縁層41の材料としては、例えば、第1及び第2の最外層31,32との密着性の観点から、ポリオレフィンを用いるとよい。
また、中間層33の絶縁性を向上させたい場合には、第3の絶縁層41の材料として、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)等のポリエステルや耐熱性樹脂(例えば、ポリカーボネート等)を用いてもよい。
【0078】
中間層33を構成する第3の絶縁層41は、単層構造である必要はなく、例えば、接着剤を介して、複数のポリエステル層を貼り合せた多層構造にしてもよい。
中間層33の厚さ(言い換えれば、第3の絶縁層41の厚さ)は、例えば、10〜200μmの範囲内で適宜設定することができ、20〜100μmが好ましい。
なお、中間層33は、金属端子14と第1の最外層31とのバランスが重要であり、第1の最外層31や金属端子14の厚さが厚い場合には中間層33の厚さもそれに応じて厚くしてもよい。
【0079】
導電性顔料42は、第3の絶縁層41に添加されることで、中間層33を黒色に着色する着色剤として機能する。導電性顔料42としては、例えば、カーボンブラックや黒鉛等を用いることができる。
このように、絶縁樹脂層である第3の絶縁層41と、黒色に着色可能な導電性顔料42と、を含む中間層33を有することで、濃い色合い(具体的には、黒色)で中間層33を着色することが可能となる。
【0080】
これにより、蓄電デバイス用端子フィルム16の視認性が向上するため、蓄電デバイス用端子フィルム16の検査(具体的には、例えば、蓄電デバイス用端子フィルム16が金属端子14に付いているか否かの検査、金属端子14に対する蓄電デバイス用端子フィルム16の取り付け位置の検査等)を精度良く行うことができる。特に、金属端子14の幅が狭く、蓄電デバイス用端子フィルム16の幅が狭い場合に有効である。
導電性顔料42の粒径は、例えば、1nm〜1μmの範囲内で適宜選択することができる。
【0081】
第3の絶縁層41に添加する導電性顔料42の含有量(濃度)は、例えば、0.01wt%以上3.00wt%以下にするとよい。
第3の絶縁層41に添加する導電性顔料42の含有量が0.01wt%未満であると、中間層を濃い色合いで着色することが困難になってしまう。また、第3の絶縁層41に添加する導電性顔料42の含有量が3.00wt%よりも多いと、中間層33の導電性が高くなりすぎるため、中間層33と金属端子14との間の電気的な絶縁性を十分に確保することが困難となってしまう。
【0082】
よって、第3の絶縁層に添加する導電性顔料42の含有量を0.01wt%以上3.00wt%以下とすることで、蓄電デバイス用端子フィルム16の視認性を向上できると共に、電気的な絶縁性を十分に確保することができる。
【0083】
本実施の形態の蓄電デバイス用端子フィルムによれば、第1の最外層31と第2の最外層32との間に配置された第3の絶縁層41、及び第3の絶縁層41に添加された導電性顔料42を含む中間層33を有することで、濃い色合い(黒色)で中間層33を着色することが可能となる。
【0084】
これにより、蓄電デバイス用端子フィルム16の視認性が向上するため、蓄電デバイス用端子フィルム16の検査(例えば、蓄電デバイス用端子フィルム16が金属端子14に付いているか否かの検査、金属端子14に対する蓄電デバイス用端子フィルム16の取り付け位置の検査等)の精度を向上させることができる。
特に、金属端子14の幅が狭く、蓄電デバイス用端子フィルム16の幅が狭い場合に有効である。
【0085】
また、第1の絶縁層35に絶縁性フィラー36が添加された第1の最外層31を有することで、ヒートシール処理後、第1の最外層31の厚さを確保するためのスペーサーとして絶縁性フィラー36を機能させることが可能となる。
これにより、第1の最外層31と金属端子14とが接触するように蓄電デバイス用端子フィルム16を配置させることで、導電性顔料42を含有することで導電性を有する中間層33と金属端子14との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0086】
さらに、第2の絶縁層38に絶縁性フィラー39が添加された第2の最外層32を有することで、ヒートシール処理後において、第2の最外層32の厚さが薄くなることを抑制可能となる。これにより、第2の最外層32により、包装材13を構成するバリア層24(金属層)と中間層33との間の絶縁性を向上させることができる。
【0087】
また、上記蓄電デバイス用端子フィルム16を有する本実施の形態の蓄電デバイス10は、蓄電デバイス用端子フィルム16と同様な効果を得ることができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、第1及び第2の最外層31,32が絶縁性フィラーを含む場合を例に挙げて説明したが、
図3に示す構成の場合、第1の最外層31のみが絶縁性フィラー(この場合、絶縁性フィラー36)を含んでいればよい(言い換えれば、第2の最外層32が絶縁性フィラー39を含んでいなくてもよい。)。
【0089】
この場合、中間層33を構成する第3の絶縁層41に導電性顔料42を添加して濃い色合い(黒色)で中間層33を着色することで、蓄電デバイス用端子フィルム16の検査精度を向上でき、かつ蓄電デバイス用端子フィルム16が融着される金属端子14と中間層33との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0090】
また、
図3に示す2つの蓄電デバイス用端子フィルム16を上下反転させた状態で、金属端子14に融着させてもよい。つまり、第2の最外層32と金属端子14とが接触するように、2つの蓄電デバイス用端子フィルム16を配置してもよい。
この場合、先に説明した本実施の形態の蓄電デバイス用端子フィルムと同様な効果を得ることができる。
【0091】
さらに、この構成(具体的には、第2の最外層32と金属端子14とが接触する構成)において、第2の最外層32のみに絶縁性フィラー(この場合、絶縁性フィラー39)を添加してもよい(言い換えれば、第1の最外層31が絶縁性フィラー36を含んでいなくてもよい。)。
【0092】
例えば、金属端子14の一部の外周面を覆うように配置された第1の最外層31を構成する第1の絶縁層35と、蓄電デバイス本体11を包装する包装材13と接触するように配置された第2の最外層32を構成する第2の絶縁層38と、に異なる特性を有する樹脂材料を用いた場合においても、第1の絶縁層36のみに絶縁性フィラーを加えることで、第1の最外層31と第2の最外層32とを識別することができる。
【0093】
このような構成とされた蓄電デバイス用端子フィルムは、中間層33を構成する第3の絶縁層41に導電性顔料42を添加して濃い色合い(黒色)で中間層33を着色することで、蓄電デバイス用端子フィルム16の検査精度を向上でき、かつ蓄電デバイス用端子フィルム16が融着される金属端子14と中間層33との間の絶縁性を十分に確保することができる。
以上説明したように、本発明では、第1及び第2の絶縁層35,38のうち、少なくとも一方の絶縁層に絶縁性フィラーが添加されていればよい。
【0094】
次に、
図3を参照して、本実施の形態の蓄電デバイス用端子フィルム16の製造方法について簡単に説明する。
蓄電デバイス用端子フィルム16の製造方法には、特に制限はない。蓄電デバイス用端子フィルム16は、例えば、Tダイ法や丸ダイ法等の押し出し成型法、或いはインフレーション成型法を用いて製造することができるが、多層のインフレーション成型法が好適である。
【0095】
一般に、蓄電デバイス用端子フィルム16の材料としては、メルトマスフローレイト(以下、「MFR」という)が5g/10min以下の値の材料が用いられる場合が多い。このため、Tダイ法を用いると、製膜が安定せず、製造が困難となる場合が多い。
一方、インフレーション成型法では、上記材料(MFRが5g/10min以下の値の材料)でも皮膜を安定して形成することが可能となるので、蓄電デバイス用端子フィルム16の製造に好適である。
【0096】
第1の最外層31の母材としては、第1の絶縁層35となる絶縁樹脂を溶融させたものに、所定の含有量となるように、絶縁性フィラー36を均一に練り込んだ絶縁性フィラー含有樹脂を準備する。
また、第2の最外層32の母材としては、第2の絶縁層38となる絶縁樹脂を溶融させたものに、所定の含有量となるように、絶縁性フィラー39を均一に練り込んだ絶縁性フィラー含有樹脂を準備する。
また、中間層33の母材としては、第3の絶縁層41となる絶縁樹脂を溶融させたものに、所定の含有量となるように、導電性顔料42を均一に練り込んだ導電性顔料含有樹脂を準備する。
そして、上記2種類の絶縁性フィラー含有樹脂と、導電性顔料含有樹脂と、を装置に供給する。
【0097】
蓄電デバイス用端子フィルム16を製造する際の押し出し温度は、例えば、170〜300℃の範囲内が好ましく、200〜250℃がより好ましい。
押し出し温度が170℃未満の場合、絶縁樹脂の溶融が不十分となることで、溶融粘度がかなり大きくなるため、スクリューからの押し出しが不安定になる恐れがある。
一方、押し出し温度が300℃を超える場合、絶縁樹脂の酸化や劣化が激しくなるため、蓄電デバイス用端子フィルム16の品質が低下してしまう。
【0098】
スクリューの回転数、ブロー比、及び引き取り速度等は、設定膜厚を考慮して適宜設定することができる。また、蓄電デバイス用端子フィルム16の各層の膜厚比は、各スクリューの回転数を変更する事で容易に調整することができる。
【0099】
なお、本実施の形態の蓄電デバイス用端子フィルム16は、接着剤を用いたドライラミネーションや、製膜した絶縁層(絶縁フィルム)同士をサンドウィッチラミネーションにより積層する方法を用いて製造してもよい。
【0100】
ここで、
図3を参照して、本実施の形態の蓄電デバイス用端子フィルム16と金属端子14とを接着する融着処理について説明する。
融着処理では、加熱による第1の最外層31の溶融と、加圧による第1の最外層31と金属端子14との密着とを同時に行いながら、蓄電デバイス用端子フィルム16と金属端子14とを熱融着させる。
【0101】
また、上記融着処理では、蓄電デバイス用端子フィルム16と金属端子14との十分な密着性及び封止性を得るために、第1の最外層31を構成する絶縁樹脂(第1の絶縁層35の母材)の融点以上の温度まで加熱を行う。
【0102】
具体的には、蓄電デバイス用端子フィルム16を加熱温度として、例えば、140〜170℃を用いることができる。また、処理時間(加熱時間及び加圧時間の合計の時間)は、剥離強度と生産性を考慮して決定する必要がある。処理時間は、例えば、1〜60秒の範囲内で適宜設定することができる。
【0103】
なお、蓄電デバイス用端子フィルム16の生産タクトを優先する場合には、170℃を超える温度で加圧時間を短時間にして熱融着してもよい。この場合、加熱温度としては、例えば、170〜200℃を用いることができ、加圧時間としては、例えば、3〜20秒を用いることができる。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0105】
例えば、中間層33と第1の最外層31との間、及び中間層33と第2の最外層32との間に、それぞれ絶縁樹脂よりなる第4の絶縁層(図示せず)を配置してもよい。
【0106】
このように、中間層33と第1の最外層31との間、及び中間層33と第2の最外層32との間に、それぞれ第4の絶縁層(図示せず)を配置することで、中間層33と包装材13を構成するバリア層24(金属層)との間の絶縁性、及び中間層33と金属端子14との間の絶縁性を向上させることができる(
図1〜
図3参照)。
【0107】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、下記実施例により何ら限定されるものではない。
【0108】
(実施例1)
<正極用タブ、及び負極用タブの作製>
図3を参照して、実施例1の正極用タブ、及び負極用タブ(言い換えれば、金属端子14(「タブリード」ともいう)及び一対の蓄電デバイス用端子フィルム16(「タブシーラント」ともいう)よりなる構造体)の作製方法について説明する。
【0109】
始めに、正極用の金属端子本体14−1として、幅が5mm、長さが20mm、厚さが100μmのアルミニウム製の薄板部材を準備する。次いで、該アルミニウム製の薄板部材の表面に対してノンクロム系表面処理を実施して、腐食防止層14−2(ノンクロム系表面処理層)を形成することで、アルミニウム製の薄板部材、及びノンクロム系表面処理層を含む正極側の金属端子14(以下、説明の便宜上、「正極用金属端子14A」という)を作製した。
【0110】
次いで、負極用の金属端子本体14−1として、幅が5mm、長さが20mm、厚さが100μmのニッケル製の薄板部材を準備し、次いで、該ニッケル製の薄板部材の表面に対してノンクロム系表面処理を実施して、腐食防止層14−2(ノンクロム系表面処理層)を形成することで、ニッケル製の薄板部材、及びノンクロム系表面処理層を含む負極側の金属端子14(以下、説明の便宜上、「負極用金属端子14B」という)を作製した。
【0111】
次いで、第1の絶縁層35の母材となる酸変性のポリプロピレンに対して、3.0wt%の濃度(含有量)となるように、平均粒径が10.0μmとされた球状シリカ(絶縁性フィラー36)を添加し、混合させることで、第1の最外層31の母材を作製した。
【0112】
次いで、第2の絶縁層38の母材となる酸変性のポリプロピレンに対して、3.0wt%の濃度(含有量)となるように、平均粒径が10.0μmとされた球状シリカ(絶縁性フィラー39)を添加し、混合させることで、第2の最外層32の母材を作製した。
次いで、中間層33の母材となるポリプロピレンに対して、0.1wt%の濃度(含有量)となるように、平均粒径が20nmとされたカーボンブラック(導電性顔料42)を添加し、混合させることで、中間層33の母材を作製した。
【0113】
次いで、住友重機モダン社製のインフレーション式フィルム押出製造装置(Co−OI型)に、第1の最外層31の母材、第2の最外層32の母材、及び中間層33の母材をセットし、該フィルム押出製造装置により、上記3つの母材を押し出すことで積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
このとき、上記積層フィルムは、第1の絶縁層35の厚さが30μm、第2の絶縁層38の厚さが30μm、第3の絶縁層41の厚さが30μmとなるように形成した。
また、第1の最外層31の母材、第2の最外層32の母材、及び中間層33の母材の溶融温度は、210℃とした。また、ブロー比を2.2とした。
【0114】
次いで、上記積層フィルムを切断することで、幅が9mmで、長さが5mmとされた4枚の蓄電デバイス用端子フィルム16を作製した。
その後、2枚の蓄電デバイス用端子フィルム16間に、正極用金属端子14Aを挟み込み、2枚の蓄電デバイス用端子フィルム16を加熱温度155℃の条件で、10秒間加熱し、正極用金属端子14Aと2枚の蓄電デバイス用端子フィルム16とを熱融着させることで、正極用金属端子14A、及び2枚の蓄電デバイス用端子フィルム16よりなる正極用タブを作製した。
【0115】
次いで、同様な手法により、負極用金属端子14Bと負極用金属端子14Bを挟み込む2枚の蓄電デバイス用端子フィルム16とを熱融着させることで、負極用金属端子14B、及び2枚の蓄電デバイス用端子フィルム16よりなる負極用タブを作製した。
【0116】
<評価用電池パックの作製>
次いで、厚さ25μmのナイロン層(外層26)と、厚さ5μmのポリエステルポリオール系接着剤(外層側接着剤層25)と、厚さ40μmのA8079−O材であるアルミニウム箔(バリア層24)と、該アルミニウム箔の一面をノンクロム系表面処理することで形成される第1の腐食防止処理層(腐食防止処理層23−1)と、該アルミニウム箔の他面をノンクロム系表面処理することで形成される第2の腐食防止処理層(腐食防止処理層23−2)と、厚さ30μmの酸変性のポリプロピレン層(内層側接着剤層22)と、厚さ40μmのポリプロピレン層(内層21)と、が積層され、かつサイズが50mm×90mmの長方形とされた包装材13を準備した。
【0117】
次いで、上記包装材13の長辺の中点で2つ折りし、長さ45mmの2つ折り部の一方に、正極用タブ及び負極用タブを挟んで、ヒートシールすることで、包装材13と正極用タブ及び負極用タブとを融着させた。このとき、ヒートシールの条件としては、加熱温度を190℃、処理時間を5秒とした。
【0118】
その後、包装材13内に、ジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合液に6フッ化リン酸リチウムを添加した電解液を2mL充填させた。
次いで、包装材13の残りの辺をヒートシール処理した。このときのヒートシールの条件としては、加熱温度を190℃、処理時間を3秒とした。
これにより、蓄電デバイス本体11が封入されていない、タブ評価可能な電池パックを作製した。
【0119】
(実施例2)
実施例2では、第1の絶縁層35に球状シリカ(絶縁性フィラー36)を添加しなかったこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例2の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例2の評価用電池パックを作製した。
【0120】
(実施例3)
実施例3では、第2の絶縁層38に球状シリカ(絶縁性フィラー39)を添加しなかったこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例3の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例3の評価用電池パックを作製した。
【0121】
(実施例4)
実施例4では、1.0wt%の濃度(含有量)となるように、第3の絶縁層41にカーボンブラックを添加したこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例4の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例4の評価用電池パックを作製した。
【0122】
(実施例5)
実施例5では、0.01wt%の濃度(含有量)となるように、第3の絶縁層41にカーボンブラックを添加すると共に、第1及び第2の絶縁層35,38に添加する球状シリカ(絶縁性フィラー36,39)の平均粒径を3.0μmに変更し、かつ絶縁性フィラー36,39の含有量を1.0wt%に変更したこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例5の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例5の評価用電池パックを作製した。
【0123】
(実施例6)
実施例6では、球状シリカ(絶縁性フィラー36,39)の平均粒径を3.0μmに変更し、かつ絶縁性フィラー36,39の含有量を20.0wt%に変更したこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例6の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例6の評価用電池パックを作製した。
【0124】
(実施例7)
実施例7では、球状シリカに替えて、平均粒径が1.0μmの不定形アルミナ(絶縁性フィラー36,39)を用い、絶縁性フィラー36,39の含有量を1.0wt%に変更したこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例7の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例7の評価用電池パックを作製した。
【0125】
(実施例8)
実施例8では、球状シリカ(絶縁性フィラー36,39)の平均粒径を1.0μmにすると共に、絶縁性フィラー36,39の含有量を5.0wt%に変更したこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例8の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例8の評価用電池パックを作製した。
【0126】
(実施例9)
実施例9では、中間層33と第2の最外層32との間にポリプロピレン層(10μm)を配置し、さらに、第1及び第2の絶縁層35,38の厚さを20μmに変更させたこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例9の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルム16の母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例9の評価用電池パックを作製した。
【0127】
(実施例10)
実施例10では、第3の絶縁層41に添加されたカーボンブラックの濃度(含有量)を0.005wt%にしたこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例10の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルムの母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例10の評価用電池パックを作製した。
【0128】
(実施例11)
実施例11では、第3の絶縁層41に添加されたカーボンブラックの濃度(含有量)を10.0wt%にしたこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例11の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルムの母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例11の評価用電池パックを作製した。
【0129】
(実施例12)
実施例12では、第1及び第2の絶縁層35,38の厚さを15μmとしたこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例12の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルムの母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例12の評価用電池パックを作製した。
【0130】
(実施例13)
実施例13では、第1の絶縁層に添加する球状シリカ(絶縁性フィラー36)の平均粒径を0.5μmとし、球状シリカ(絶縁性フィラー36)の濃度(含有量)を0.05wt%とし、第2の絶縁層に球状シリカ(絶縁性フィラー39)を添加しなかったこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例13の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルムの母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例13の評価用電池パックを作製した。
【0131】
(実施例14)
実施例14では、第1及び第2の絶縁層に添加する球状シリカ(絶縁性フィラー36,39)の平均粒径を10.0μmとし、球状シリカ(絶縁性フィラー36,39)の濃度(含有量)を40.0wt%としたこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、実施例14の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルムの母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、実施例14の評価用電池パックを作製した。
【0132】
(比較例)
比較例では、第3の絶縁層41にカーボンブラックを添加しなかったこと以外は、実施例1の積層フィルムと同様な手法により、比較例1の積層フィルム(蓄電デバイス用端子フィルムの母材となるフィルム)を作製した。
その後、実施例1と同様な手法により、比較例1の評価用電池パックを作製した。
【0133】
<実施例1〜14の負極用タブ及び正極用タブ、並びに比較例の負極用タブ及び正極用タブのセンシング性の評価>
始めに、実施例1の評価用電池パックを500検体準備し、次いで、撮像検知器(株式会社キーエンス製、CV−X100)を用いて、該検知器が検知する負極用タブ及び正極用タブの検知率(センシング性)を求めた。
該検知率に関しては、検知率が95%以上のものを◎、検知率が95%未満90%以上のものを○、検知率が90%未満のものを×と判定した。
【0134】
次いで、実施例2〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックをそれぞれ500検体準備し、実施例1の負極用タブ及び正極用タブのセンシング性評価試験と同様な手法により、実施例2〜14及び比較例の評価用電池パックを構成する負極用タブ及び正極用タブのセンシング性の評価を行った。
表1に、実施例1〜14の負極用タブ及び正極用タブのセンシング性の評価結果(判定結果)と、比較例の負極用タブ及び正極用タブのセンシング性の評価結果(判定結果)と、を示す。
また、表1には、実施例1〜14の積層フィルム、及び比較例の積層フィルムを構成する各層の厚さ、絶縁性フィラーの種類や平均粒径、カーボンブラックの濃度(含有量)等も示す。
【0136】
<実施例1〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックの絶縁性の評価>
始めに、実施例1の評価用電池パックを100検体準備し、次いで、耐電圧・絶縁抵抗試験機を用いて、実施例1の評価用電池パックを構成する負極用金属端子14Bと包装材13との間の絶縁性を測定した。
該絶縁性の測定は、上記100検体に対して行った。このとき、ショートが1検体も発生しなかったものを◎、ショートが確認された検体の数が10未満だったものを○、ショートが確認された検体の数が10以上のものを×として判定した。
【0137】
次いで、実施例2〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックをそれぞれ100検体準備し、実施例1の評価用電池パックの絶縁性評価試験と同様な手法により、絶縁性の評価を行った。
表1に、実施例1〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックの絶縁性の評価結果(判定結果)を示す。
【0138】
<実施例1〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックの密着性の評価>
実施例1〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックをそれぞれ100検体準備し、その後、温度が80℃に保持された室内に、100検体の実施例1〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックを4週間保管し、封入した電解液の液漏れの有無を確認した。
ここでの評価は、液漏れが1検体も確認されなかったものを◎とし、液漏れが5検体未満のものを○、5検体以上のものを×とした。
表1に、実施例1〜14の評価用電池パック、及び比較例の評価用電池パックの密着性の評価結果(判定結果)を示す。
【0139】
<表1に示す評価結果のまとめ>
表1を参照するに、実施例1〜14については、センシング性、絶縁性、及び密着性において、良好な結果(判定結果が◎または○)が得られた。また、実施例1〜6,8,9については、センシング性、絶縁性、及び密着性の全てにおいて、非常に良好な結果(判定結果が◎)が得られた。
また、実施例1〜14の結果から、絶縁性フィラーの形状は、球形でも不定形でもよいことが確認できた。
【0140】
実施例1〜3の評価結果から、第1及び第2の最外層31,32の少なくとも一方に球状シリカが含まれていれば、センシング性、絶縁性、及び密着性において、非常に良好な結果が得られることが確認できた。
実施例1〜9の評価結果から、絶縁性フィラー36,39の平均粒径を、該絶縁性フィラー36,39が添加される第1及び第2の絶縁層35,38の厚さの1/30〜1/2の値にすることで、センシング性、絶縁性、及び密着性が良好となることが確認できた。
【0141】
実施例1〜9の評価結果から、絶縁性フィラー36,39の含有量は、1.0〜20wt%の範囲内にすると、センシング性、絶縁性、及び密着性が良好となることが確認できた。
また、実施例1〜12、及び比較例の評価結果から、中間層33に含まれるカーボンブラックの含有量が0.01wt%よりも少なくなる(具体的には、カーボンブラックの含有量が0.005wt%になる)と、センシング性が低下し(具体的には、センシング性の判定結果が○となり)、中間層33に含まれるカーボンブラックの含有量が0.1wt%以上になるとセンシング性が向上することが確認できた。
【0142】
実施例14の評価結果から、球状シリカの粒径が大きく(この場合、10.0μm)、かつ第1及び第2の絶縁層に含有される絶縁性フィラーの濃度が高い場合(この場合、40wt%)、密着性が低下してしまうことが分かった。