(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233071
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】電池パック及び電池パックの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20171113BHJP
H01M 2/02 20060101ALI20171113BHJP
H01M 2/04 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
H01M2/10 A
H01M2/10 S
H01M2/02 L
H01M2/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-20362(P2014-20362)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-149147(P2015-149147A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
【審査官】
正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−157984(JP,A)
【文献】
特開2012−097896(JP,A)
【文献】
特開2008−282681(JP,A)
【文献】
特開2011−049014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
H01M 2/04
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールを有する電池パックであって、
前記電池モジュールを収容する有底筒状の筐体と、
前記筐体の開口側の端面上に設けられており前記筐体の周方向に沿って延びるシール部材と、
前記筐体の前記開口を塞ぐと共に、複数の固定部材によって前記筐体に固定される蓋と、を備え、
前記端面には、前記複数の固定部材が挿入される複数の第1の挿入孔が形成されていると共に、前記筐体と前記蓋との位置合わせのための位置合わせ部材が挿入される第2の挿入孔が形成されており、
前記第2の挿入孔は、前記端面の幅方向において、前記シール部材より外側に形成されており、
前記第1の挿入孔は、前記幅方向において、前記シール部材より内側に形成されており、
前記蓋には、前記複数の第1の挿入孔のそれぞれに対向する部分に、対応する前記固定部材を通すための第1の貫通孔が形成されており、前記第2の挿入孔に対向する部分に前記位置合わせ部材を通すための第2の貫通孔が形成されている、
電池パック。
【請求項2】
前記端面には、前記第2の挿入孔が2つ以上形成されている、
請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
電池モジュールを有する電池パックの製造方法であって、
有底筒状の筐体の開口側の端面上に、リング状のシール部材を配設するシール部材配設工程と、
前記筐体内に前記電池モジュールを収容する収容工程と、
前記電池モジュールが収容されており前記シール部材が配設された前記筐体の開口側の端面に複数の固定部材によって蓋を取り付ける取付工程と、を備え、
前記端面には、前記複数の固定部材が挿入される複数の第1の挿入孔が形成されていると共に、前記筐体に対する前記蓋の位置合わせ部材が挿入される第2の挿入孔が形成されており、
前記第2の挿入孔は、前記端面の幅方向において、前記シール部材より外側に形成されており、
前記蓋には、前記複数の第1の挿入孔のそれぞれに対向する部分に、対応する前記固定部材を通すための第1の貫通孔が形成されており、前記第2の挿入孔に対向する部分に前記位置合わせ部材を通すための第2の貫通孔が形成されており、
前記取付工程は、
前記位置合わせ部材を、前記第2の貫通孔を介して、対応する前記第2の挿入孔に挿入することによって、前記蓋と前記筐体との位置合わせをする位置合わせ工程と、
各前記固定部材を、対応する前記第1の貫通孔を介して、対応する前記第1の挿入孔に挿入して固定することによって、前記蓋を前記筐体に固定する固定工程と、
前記位置合わせ工程の後、前記位置合わせ部材を前記第2の挿入孔から取り外す取外し工程と、
を有する、
電池パックの製造方法。
【請求項4】
前記位置合わせ工程では、前記位置合わせ部材が取り付けられた取付治具であって前記蓋を脱着自在な前記取付治具に、前記第2の貫通孔に前記位置合わせ部材を挿入した状態で、前記蓋を固定し、前記取付治具に固定された前記蓋から突出する前記位置合わせ部材を前記筐体の前記第2の挿入孔に挿入することによって、前記蓋と前記筐体とを位置合わせし、
前記取外し工程では、前記蓋から前記取付治具を取り外すことによって、前記位置合わせ部材を取り外す、
請求項3記載の電池パックの製造方法。
【請求項5】
前記蓋は金属製であり、
前記取付治具は、電磁石を有する、
請求項4記載の電池パックの製造方法。
【請求項6】
前記筐体と前記蓋とが前記複数の固定部材によって固定された状態において、前記第2の挿入孔には前記位置合わせ部材が挿入されておらず、かつ、前記第2の貫通孔には前記位置合わせ部材が通されていない、
請求項1又は2に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック及び電池パックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この分野の技術の一例として、特許文献1記載の蓄電装置(電池パック)がある。この蓄電装置は、複数個の電池モジュールがバッテリーケース(筐体)に収容され、そのバッテリケースの上方からバッテリーカバー(蓋)が複数のネジにより固定されて構成されている。このように、通常、電池パックでは、電池モジュールは、有底筒状の筐体に収容され、筐体の開口を塞ぐ蓋は、複数のネジによって筐体にネジ止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−33306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックでは、筐体の開口側の端面と蓋との間にリング状のシール部材を配置し、ケース内をシール部材でシールする場合がある。このような電池パックを製造する場合、ネジとネジ孔とによって、蓋と筐体との位置合わせを行うと、複数のネジの位置を対応するネジ孔に一回で合わせることが困難である。そのため、蓋と筐体との位置合わせの工程で、ネジによってシール部材を傷つけ、結果として、電池パック内のシール性が低下する場合があった。また、上述した位置合わせの困難性から、電池パックの製造時間が長くなる場合があった。
【0005】
そのため、本発明は、製造時間の短縮化を図れると共に、シール性の向上を図ることが可能な電池パック及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電池パックは、電池モジュールを有する電池パックであって、電池モジュールを収容する有底筒状の筐体と、筐体の開口側の端面上に筐体の周方向に沿って設けられるリング状のシール部材と、筐体の開口を塞ぐと共に、筐体に複数の固定部材によって固定される蓋と、を備え、端面には、複数の固定部材が挿入される複数の第1の挿入孔が形成されていると共に、筐体と蓋との位置合わせのための位置合せ部材が挿入される第2の挿入孔が形成されており、第2の挿入孔は、端面の幅方向において、シール部材より外側に形成されており、蓋には、複数の第1の挿入孔のそれぞれに対向する部分に、対応する固定部材を通すための第1の貫通孔が形成されており、第2の挿入孔に対向する部分に位置合わせ部材を通すための第2の貫通孔が形成されている。
【0007】
上記電池パックでは、第2の挿入孔は、シール部材の外側に設けられているので、第2の挿入孔及び第2の貫通孔を形成していてもシール性を確保できる。また、筐体に蓋を位置合わせする際に、例えば、位置合わせ部材を、第2の貫通孔及び第2の挿入孔に通すことによって、筐体に蓋を位置合わせできる。このように位置合わせした後、第1の貫通孔及び第1の挿入孔に、対応する固定部材を挿入し、蓋と筐体とを固定すれば、シール部材が、複数の固定部材によって傷つけられることがない。そのため、シール性の向上を図ることができる。また、第2の貫通孔及び第2の挿入孔を利用することで筐体と蓋との位置合わせが容易であるため、電池パックの製造に要する時間を短くし得る。
【0008】
一実施形態において、筐体には、第2の挿入孔が2つ以上形成されていてもよい。
【0009】
この場合、より確実に、蓋と筐体との位置合わせができるので、シール部材が固定部材によって傷つけられにくく、位置合わせ時間もより短縮できる。
【0010】
本発明の他の側面に係る電池パックの製造方法は、電池モジュールを有する電池パックの製造方法であって、有底筒状の筐体の開口側の端面上に、リング状のシール部材を配設するシール部材配設工程と、筐体内に電池モジュールを収容する収容工程と、電池モジュールが収容されておりシール部材が配設された筐体の開口側の端面に複数の固定部材によって蓋を取り付ける取付工程と、を備える。上記端面には、複数の固定部材が挿入される複数の第1の挿入孔が形成されていると共に、筐体に対する蓋の位置合わせ部材が挿入される第2の挿入孔が形成されており、第2の挿入孔は、端面において、シール部材より外側に形成されている。蓋には、複数の第1の挿入孔のそれぞれに対向する部分に、対応する固定部材を通すための第1の貫通孔が形成されており、第2の挿入孔に対向する部分に位置合わせ部材を通すための第2の貫通孔が形成されている。上記取付工程は、位置合わせ部材を、蓋の第2の貫通孔に通すと共に、対応する第2の挿入孔に挿入することによって、蓋と筐体との位置合わせをする位置合わせ工程と、複数の固定部材を、対応する蓋の第1の貫通孔を通すと共に、対応する第1の挿入孔に挿入して固定することによって、蓋を筐体に固定する固定工程と、位置合わせ工程の後、位置合わせ部材を取り外す取外し工程と、を有する。
【0011】
上記電池パックの製造方法では、位置合わせ部材を第2の貫通孔及び第2の挿入孔に通すことによって、筐体と蓋との位置合わせをする。その後、第1の貫通孔及び第1の挿入孔に、対応する固定部材を挿入し、蓋と筐体とを固定している。そのため、シール部材が、複数の固定部材によって傷つけられにくく、結果として、シール性の向上した電池パックを製造できる。複数の固定部材ではなく、位置合わせ部材によって筐体及び蓋の位置合わせをしているので、位置合わせが容易である。そのため、電池パックの製造に要する時間を短くし得る。
【0012】
一実施形態において、位置合わせ工程では、位置合わせ部材が取り付けられた取付治具であって蓋を脱着自在な上記取付治具に、第2の貫通孔に位置合わせ部材を挿入した状態で、蓋を固定し、取付治具に固定された蓋から突出する位置合わせ部材を筐体の第1の挿入孔に挿入することによって、蓋と筐体とを位置合わせし、取外し工程では、蓋から取付治具を取り外すことによって、位置合わせ部材を取り外してもよい。
【0013】
位置合わせ部材が取り付けられた取付治具に蓋を固定することで、蓋の第2の貫通孔を通して位置合わせ部材を蓋から突出させた状態にし得る。このように、蓋の固定された取付治具によって蓋を筐体にガイドしながら、位置合わせ部材によって蓋と筐体との位置合わせができるので、位置合わせが容易である。
【0014】
一実施形態において、蓋は金属製であり、取付治具は、電磁石を有していてもよい。
【0015】
この場合、取付治具が有する電磁石のON/OFFによって、取付治具と、蓋との脱着が可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製造時間を短縮可能であって、シール性の向上が図れる電池パック及びその製造方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電池パックの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した電池パックが有する電池モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した電池パックの製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(A)は、取付工程で使用する取付治具の概略構成を示す斜視図である。
図5(B)は、
図5(A)に示した取付治具を蓋が配置される側からみた斜視図である。
【
図6】
図6(A)及び
図6(B)は、蓋の取付工程を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0019】
図1は、一実施形態に係る電池パックの概略構成を示す模式図である。電池パック1は、複数の電池モジュール10と、複数の電池モジュール10を収容するケース20とを備える。
図1では、電池モジュール10を模式的に図示している。各電池モジュール10は、互いに電気的に接続されており、固定部材によってケース20に固定されている。
【0020】
ケース20は、有底筒状の筐体21と、蓋22とを有し、蓋22は、複数のネジ(固定部材)23によって筐体21にネジ止めされている。筐体21と蓋22との間には、リング状のシール部材24が介在しており、ケース20内を封止している。ネジ23の一例はボルトである。
【0021】
図2を参照して、電池モジュール10の構成について説明する。
図2は、
図1の電池パック1が有する電池モジュール10の概略構成を示す図面である。電池モジュール10は、複数の電池セル11が電気的に接続されたものである。複数の電池セル11の構成は同じである。
【0022】
電池セル11は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池といった蓄電池である。ただし、電池セル11は、二次電池に限られず、例えば、電気二重層キャパシタなどでもよい。電池セル11は、例えば、電解液が充填されたケース12内に負極とセパレータと正極とを積層してなる電極組立体13を収容することによって構成されている。電極組立体13の負極及び正極は、ケース12に絶縁された状態で固定された一対の電極端子14A,14Bにそれぞれ電気的に接続されている。よって、一対の電極端子14A,14Bの一方は、負極端子として機能し、他方は正極端子として機能する。一対の電極端子14A,14Bそれぞれは、その一端がケース12の外側に突出している。
【0023】
複数の電池セル11は並設されており、隣接する電池セル11の電極端子14A,14Bは、バスバーといった導電性を有する板状の接続部材15によって接続されている。複数の電池セル11は、拘束具16によって、一体化されている。拘束具16は、例えば、複数の電池セル11を並設方向から挟み込む一対の金属プレート17と、電池セル1111の側方に配置されると共に一対の金属プレート17を連結する棒状の連結部材18と、複数の電池セル11を金属プレート17によって挟み込んだ状態で金属プレート17に連結部材18を固定するためのボルト19と、を有している。
【0024】
次に、
図3を参照して、ケース20について詳細に説明する。
図3は、ケース20の分解斜視図である。
図3では、説明のために、蓋22を筐体21に固定するためのネジ23も一緒に示している。
【0025】
ケース20は、複数の電池モジュール10を収容する金属製の筐体21と、筐体21の開口を塞ぐための金属製の蓋22とを有する。筐体21は、矩形平板上の底板25と、底板25の対向する一対の縁部から立設された一対の側板26a,26bと、底板25の他の対向する一対の縁部から立設された側板26c,26dとから構成される箱体である。底板25及び側板26a〜26dの材料の例は、鉄(SS400)である。筐体21の開口側の端面21aは、側板26a〜26dの開口側の端面が連結されて構成されており、リング状を呈する。端面21a上には、ケース20を密閉するためのシール部材24が設けられている。シール部材24は、筐体21の周方向に沿って延びており閉じている。すなわち、シール部材24は、リング状を呈する。なお、側板26a〜26dの一部には、ケース20内に収容される電池モジュール10に電気的に接続された電気配線とケース20の外側の装置とを電気的に接続するためのコネクタ(図示省略)などが設けられている。
【0026】
端面21aの幅方向(端面21aにおける周方向と直交する方向)において、シール部材24より内側には、蓋22をネジ止めするために、ネジ23と螺合するネジ孔(第1の挿入孔)21bが複数形成されている。ネジ23と結合する結合部(或いは結合孔)としてのネジ孔21bの数及び配置は、蓋22をネジ止めした際に、ケース20を密閉可能な数及び配置であればよい。
【0027】
一方、端面21aの幅方向(各側板26a〜26dにおいてその板厚方向)において、シール部材24の外側には、ピン挿入孔(第2の挿入孔)21cが形成されている。ピン挿入孔21cは、蓋22を筐体21にネジ止めする際に使用する位置合わせ用ピン(位置合わせ部材)34(
図5(A),(B)参照)が挿入される孔である。
図3に示した一実施形態では、対向する側板26a,26bの端面にそれぞれピン挿入孔21cが形成されている。
【0028】
蓋22は、筐体21の開口を塞ぐためのものであり、筐体21の平面視形状と同じ平面視形状を有する。蓋22の材料の例は、鉄(SS400)である。蓋22において筐体21のネジ孔21bに対向する部分には、ネジ23を通すための貫通孔(第1の貫通孔)22aが形成されており、ピン挿入孔21cに対向する部分には、位置合わせ用ピン34を通すための貫通孔(第2の貫通孔)22bが形成されている。
【0029】
次に、
図1に示した電池パックの製造方法の一例について説明する。
図4は、電池パックの製造方法を示すフローチャートである。
【0030】
電池パック1を製造する場合、電池モジュール10を収容するための有底筒状の筐体21を準備する(筐体準備工程S10)。筐体21は、底板25と、その底板25から立設した側板26a〜26dとから構成される箱体を用意し、複数のネジ孔21b及びピン挿入孔21cを端面21aの所定位置に形成することによって準備される。その後、端面21a上に、シール部材24を配置して接合することによってシール部材24が配設された筐体21が得られる(シール部材配設工程S12)。
【0031】
続いて、筐体21内に、複数の電池モジュール10を筐体21内に配置して固定すると共に、複数の電池モジュール10を電気的に接続する(電池モジュール収容工程S14)。
【0032】
その後、蓋22で筐体21に開口を塞ぎ、蓋22を筐体21に取り付ける(取付工程S16)。この取付工程S16について説明する。
【0033】
図5(A)は、蓋22を筐体21に取り付けるための取付治具30の概略構成を示す図面ある。
図5(B)は、
図5(A)の取付治具30を蓋22が配置される側からみた図面である。
図5(B)では、説明のために蓋22も図示している。取付治具30は、矩形平板状のベース板31の4つの縁部それぞれからガイド板32a〜32dが立設されて構成されている。4つのガイド板32a〜32dからなる枠体32の内側に蓋22が配置される。
【0034】
ベース板31は、電磁石33を有しており、電磁石33の磁力のON/OFFを制御することによって金属製の蓋22をベース板31に脱着自在となっている。ベース板31のうち蓋22の貫通孔22bに対向する部分には、位置合わせ用ピン34が固定されており、貫通孔22aに対応する部分には、ネジ23が通される貫通孔31aが形成されている。貫通孔31aの大きさは、ネジ23の全体が貫通孔31aを通過可能な大きさ以上であればよい。
【0035】
次に、
図6(A)及び
図6(B)を参照して、取付治具30を利用した蓋22の筐体21に対する位置合わせ方法について説明する。
図6(A)及び
図6(B)は、蓋22の位置合わせ工程を示す図面である。
図6(A)に示すように、ベース板31の電磁石33をONにすることによって、すなわち、電磁石33の磁力を発生させることによって蓋22をベース板31に結合し、その後、蓋22が固定された取付治具30を筐体21上に移動させる。ベース板31に蓋22を結合させる際、位置合わせ用ピン34を対応する蓋22の貫通孔22bに通しておく。
【0036】
次に、
図6(B)に示すように、ガイド板32a〜32dからなる枠体32で蓋22を筐体21にガイドしながら、蓋22から突出した位置合わせ用ピン34を、筐体21の対応する挿入孔21cに通して、蓋22と筐体21との位置合わせを行う(位置合わせ工程S16a)。
【0037】
その後、ベース板31の貫通孔31a及び蓋22の貫通孔22aからネジ23をネジ孔21bに挿入し、それらを締結することによって、蓋22を筐体21に固定する(固定工程S16b)。このように蓋22を筐体21にネジ止めする過程で、シール部材24が蓋22と筐体21で押圧されることによって、蓋22と筐体21との間がシールされる。
【0038】
蓋22を筐体21にネジ止めした後、取付治具30の電磁石33をOFFにすること、すなわち、電磁石33の磁力を発生させないことによって蓋22をベース板31から切り離して、取付治具30を取り外す(治具取外し工程S16c)。位置合わせ用ピン34はベース板31と一体化していることから、取付治具30を蓋22から取り外すことで、位置合わせ用ピン34も蓋22及び筐体21から取り外される。このようにして、
図1に示した電池パック1が得られる。
【0039】
電池パック1及びその製造方法では、蓋22を筐体21にネジ止めすることで、シール部材24が押圧されてケース20内がシール部材24で封止される。筐体21にピン挿入孔21cが形成されており、蓋22に貫通孔22bが形成されていることから、複数のネジ23とネジ孔21bとの組み合わせではなく、位置合わせ用ピン34によって蓋22と筐体21との位置合わせを行い得るので、位置合わせの際にネジ23でシール部材24を傷つけることがない。その結果、蓋22と筐体21とのシール性も向上する。更に、位置合わせ用ピン34を使用して蓋22と筐体21との位置合わせを行っているので、上記位置合わせが容易である。このことによって、電池パック1の製造時間が短縮され得る。
【0040】
ピン挿入孔21cがシール部材24より外側に配置されているので、ピン挿入孔21c及び貫通孔22bが筐体21及び蓋22に形成されていても、ケース20がシール部材24によってシールされ得る。また、ピン挿入孔21cは、シール部材24より外側に形成されていることから、端面21aにおいてより広い領域、すなわち、シール部材24から端面21aの外側の辺までの距離がより長い領域に形成し得る。このことによって、位置合わせの際に、位置合わせ用ピン34でシール部材24が損傷することが低減されるので、シール性をより確実に確保できる。
【0041】
更に、ピン挿入孔21cが端面21aに2つ形成されているので、蓋22と筐体21との位置合わせが容易であると共に、位置合わせの精度が向上する。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
筐体21は、平面視形状が矩形の箱体に限らず、平面視形状が他の多角形状、例えば、五角形でもよい。ピン挿入孔21cの数は、2つに限定されず、1つ以上でもよいし、或いは、3つ以上でもよい。ただし、ピン挿入孔21cの数は、ネジ孔21bの数より少ないことが好ましい。ピン挿入孔21cが一つの場合、
図5に示したような取付治具30を使用すれば、ガイド板32a〜32dによって蓋22の回転が規制されるので蓋22と筐体21との位置合わせが容易である。
【0044】
また、蓋22と筐体21との結合形態はネジ止めに限定されず、蓋22と筐体21とは、圧入を利用して結合されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…電池パック、10…電池モジュール、11…電池セル、20…ケース、21…筐体、21a…端面、21b…ネジ孔(第1の挿入孔)、21c…ピン挿入孔(第2の挿入孔)、22…蓋、22a…貫通孔(第1の貫通孔)、22b…貫通孔(第2の貫通孔)、23…ネジ(固定部材)、24…シール部材、30…取付治具、33…電磁石、34…位置合わせ用ピン(位置合わせ部材)。