特許第6233075号(P6233075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233075タッチパネルセンサおよびタッチパネルセンサを備える入出力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233075
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】タッチパネルセンサおよびタッチパネルセンサを備える入出力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171113BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G06F3/041 430
   G06F3/041 470
   G06F3/044 124
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-21408(P2014-21408)
(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-148942(P2015-148942A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】伊 藤 力 也
【審査官】 若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−105327(JP,A)
【文献】 特開2011−118494(JP,A)
【文献】 特開2010−257178(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0187676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルセンサであって、
タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアと、アクティブエリアの周辺に位置する非アクティブエリアと、を含む基材と、
前記基材の前記アクティブエリアに配置された複数の電極パターンと、
対応する前記電極パターンに電気的に接続されるとともに、前記基材の前記非アクティブエリアに並べられた複数の額縁配線と、を備え、
前記額縁配線は、前記電極パターンを駆動するための信号、または前記電極パターンによって伝達された信号が流れるものであり、
前記額縁配線は、金属層を含み、
前記金属層は、銀、銅、またはこれらの合金で形成されており、
前記複数の額縁配線のうち少なくとも一対の互いに隣接する額縁配線の間の少なくとも一部の領域に、前記複数の電極パターンのいずれにも電気的に接続されていないダミー配線が配置されており、
前記ダミー配線は、導電性酸化物を含んでおり、
前記ダミー配線は、前記複数の額縁配線に流れる信号の最大電位以上のダミー電位に維持されるものである、タッチパネルセンサ。
【請求項2】
前記複数の額縁配線は、複数の駆動配線及び複数の検出配線を含み、
前記タッチパネルセンサは、前記複数の駆動配線と前記複数の検出配線との間の領域に配置されたシールド配線をさらに備え、
前記シールド配線は、前記複数の電極パターンのいずれにも電気的に接続されておらず、
前記シールド配線は、前記ダミー電位より低いシールド電位に維持されるものであり、
前記ダミー配線は、前記シールド配線と前記駆動配線との間の少なくとも一部の領域、及び、前記シールド配線と前記検出配線との間の少なくとも一部の領域、に配置されている、請求項1に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項3】
前記ダミー配線は、各額縁配線毎に配置されている、請求項1または2に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項4】
前記額縁配線は、当該額縁配線の側から前記基材の側に向かう方向に見て、前記金属層を覆うように形成された被覆層を含み、
前記被覆層は、導電性酸化物で形成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項5】
前記ダミー配線と前記額縁配線の被覆層とは、同一の材料で形成されている、請求項4に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項6】
表示装置と、
前記表示装置の表示面上に配置されたタッチパネルセンサと、を備え、
前記タッチパネルセンサは、
タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアと、アクティブエリアの周辺に位置する非アクティブエリアと、を含む基材と、
前記基材の前記アクティブエリアに配置された複数の電極パターンと、
対応する前記電極パターンに電気的に接続されるとともに、前記基材の前記非アクティブエリアに並べられた複数の額縁配線であって、金属層を含む額縁配線と、を備え、
前記額縁配線は、前記電極パターンを駆動するための信号、または前記電極パターンによって伝達された信号が流れるものであり、
前記額縁配線は、金属層を含み、
前記金属層は、銀、銅、またはこれらの合金で形成されており、
前記複数の額縁配線のうち少なくとも一対の互いに隣接する額縁配線の間の少なくとも一部の領域に、前記複数の電極パターンのいずれにも電気的に接続されていないダミー配線が配置されており、
前記ダミー配線は、導電性酸化物を含んでおり、
前記ダミー配線は、前記複数の額縁配線に流れる信号の最大電位以上のダミー電位に維持されている、入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な絶縁性に関する信頼性が改善されたタッチパネルセンサに関する。また本発明は、タッチパネルセンサを備える入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、入力手段として、タッチパネル装置が広く用いられている。タッチパネル装置は、タッチパネルセンサ、タッチパネルセンサ上への接触位置を検出する制御回路、配線およびFPC(フレキシブルプリント基板)を含んでいる。タッチパネル装置は、多くの場合、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等の表示装置が組み込まれた種々の装置等(例えば、券売機、ATM装置、携帯電話、ゲーム機)に対する入力手段として、表示装置とともに用いられている。このような装置においては、タッチパネルセンサが表示装置の表示面上に配置されており、これによって、表示装置に対する極めて直接的な入力が可能になっている。タッチパネルセンサのうち表示装置の表示領域に対面する領域は透明になっており、タッチパネルセンサのこの領域が、接触位置(接近位置)を検出し得るアクティブエリアを構成するようになる。
【0003】
タッチパネル装置は、タッチパネルセンサ上への接触位置(接近位置)を検出する原理に基づいて、種々の形式に区別される。昨今では、光学的に明るいこと、意匠性があること、構造が容易であること、機能的にも優れていること等の理由から、容量結合方式のタッチパネル装置が注目されている。容量結合方式のタッチパネル装置においては、位置を検知されるべき外部導体(典型的には、指)が誘電体を介してタッチパネルセンサに接触(接近)する際、新たに奇生容量が発生する。この奇生容量に起因する静電容量の変化に基づいて、タッチパネルセンサ上における対象物の位置が検出される。容量結合方式には表面型と投影型とがあるが、マルチタッチの認識(多点認識)への対応に適していることから、投影型が注目を浴びている。
【0004】
投影型容量結合方式のタッチパネルセンサは、誘電体と、誘電体のうち上述のアクティブエリア内に形成された電極パターンと、誘電体のうちアクティブエリアの外側の非アクティブエリア(いわゆる額縁領域)に形成された額縁配線と、を有している。電極パターンは、透光性および導電性を有する材料、例えば金属酸化物から形成される。一方、額縁配線は、電極パターンからの信号をタッチパネルセンサの外部に設けられた制御回路に伝達したり、制御回路からの駆動信号を電極パターンに伝達したりするためのものであり、一般に、高い導電性を有する金属材料から形成される金属層を含んでいる。
【0005】
タッチパネルセンサを製造する方法として、はじめに、電極パターンを構成するための金属酸化物からなる透明導電層や、額縁配線を構成するための金属からなる金属層などを含む積層体を準備し、次に、この積層体の任意の層をフォトリソグラフィー法などによってパターニングするという方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−257442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般にタッチパネルセンサの額縁配線の金属層は、アルミニウムや銅、銀またはこれらの合金を用いて形成される。特に、銅や銀またはこれらの合金は電気抵抗率が低いため、額縁配線に流れる信号が損なわれることを防ぐことができ、タッチ位置の検出を精度良く行うことが可能である。しかしながら、金属層に銀や銅、またはこれらの合金を用いた場合、金属層の金属イオンが、イオンマイグレーション現象等によって徐々に移動し、この結果、隣接する2つの額縁配線がショートしてしまうという不具合が生じることが考えられる。
【0008】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るタッチパネルセンサを提供することを目的とする。また本発明は、タッチパネルセンサを備える入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、タッチパネルセンサであって、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアと、アクティブエリアの周辺に位置する非アクティブエリアと、を含む基材と、前記基材の前記アクティブエリアに配置された複数の電極パターンと、対応する前記電極パターンに電気的に接続されるとともに、前記基材の前記非アクティブエリアに並べられた複数の額縁配線と、を備え、前記額縁配線は、前記電極パターンを駆動するための信号、または前記電極パターンによって伝達された信号が流れるものであり、前記額縁配線は、金属層を含み、前記金属層は、銀、銅、またはこれらの合金で形成されており、前記複数の額縁配線のうち少なくとも一対の互いに隣接する額縁配線の間の少なくとも一部の領域に、前記複数の電極パターンのいずれにも電気的に接続されていないダミー配線が配置されており、前記ダミー配線は、導電性酸化物を含んでおり、前記ダミー配線は、前記複数の額縁配線に流れる信号の最大電位以上のダミー電位に維持されるものである、タッチパネルセンサである。
【0010】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記複数の額縁配線は、複数の駆動配線及び複数の検出配線を含み、前記タッチパネルセンサは、前記複数の駆動配線と前記複数の検出配線との間の領域に配置されたシールド配線をさらに備え、前記シールド配線は、前記複数の電極パターンのいずれにも電気的に接続されておらず、前記シールド配線は、前記ダミー電位より低いシールド電位に維持されるものであり、前記ダミー配線は、前記シールド配線と前記駆動配線との間の少なくとも一部の領域、及び、前記シールド配線と前記検出配線との間の少なくとも一部の領域、に配置されていてもよい。
【0011】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記ダミー配線は、各額縁配線毎に配置されていてもよい。
【0012】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記額縁配線は、当該額縁配線の側から前記基材の側に向かう方向に見て、前記金属層を覆うように形成された被覆層を含み、前記被覆層は、導電性酸化物で形成されていてもよい。
【0013】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記ダミー配線と前記額縁配線の被覆層とは、同一の材料で形成されていてもよい。
【0014】
本発明は、表示装置と、前記表示装置の表示面上に配置されたタッチパネルセンサと、を備え、前記タッチパネルセンサは、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアと、アクティブエリアの周辺に位置する非アクティブエリアと、を含む基材と、前記基材の前記アクティブエリアに配置された複数の電極パターンと、対応する前記電極パターンに電気的に接続されるとともに、前記基材の前記非アクティブエリアに並べられた複数の額縁配線であって、金属層を含む額縁配線と、を備え、前記額縁配線は、前記電極パターンを駆動するための信号、または前記電極パターンによって伝達された信号が流れるものであり、前記額縁配線は、金属層を含み、前記金属層は、銀、銅、またはこれらの合金で形成されており、前記複数の額縁配線のうち少なくとも一対の互いに隣接する額縁配線の間の少なくとも一部の領域に、前記複数の電極パターンのいずれにも電気的に接続されていないダミー配線が配置されており、前記ダミー配線は、導電性酸化物を含んでおり、前記ダミー配線は、前記複数の額縁配線に流れる信号の最大電位以上のダミー電位に維持されている、入出力装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の額縁配線のうち少なくとも一対の互いに隣接する額縁配線の間の少なくとも一部の領域に、複数の電極パターンのいずれにも電気的に接続されていないダミー配線が配置されており、当該ダミー配線は、複数の額縁配線に流れる信号の最大電位以上のダミー電位に維持される。このため、一対の互いに隣接する額縁配線の一方の金属層から他方の金属層へ金属イオンが移動してしまって当該一対の互いに隣接する額縁配線がショートしてしまう、ということが抑制され得る。また、ダミー配線がイオンマイグレーション現象の生じにくい材料である導電性酸化物で形成されているため、ダミー配線から当該ダミー配線に隣接する額縁配線への金属イオンの移動も防止される。この結果、一対の互いに隣接する額縁配線がダミー配線を介してショートしてしまう、ということが抑制され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを備える入出力装置を示す展開図。
図2図2は、図1の入出力装置におけるタッチパネルセンサを示す平面図。
図3図3は、図2のタッチパネルセンサの部分拡大図。
図4図4は、図2のタッチパネルセンサの、IV線に沿った断面図。
図5図5は、図2のタッチパネルセンサの、V線に沿った断面図。
図6A図6Aは、タッチパネルセンサの駆動配線および検出配線に流れる信号の電位の波形を示す図。
図6B図6Bは、タッチパネルセンサのダミー配線の電位の波形を示す図。
図7A図7Aは、タッチパネルセンサの製造方法を説明するための図。
図7B図7Bは、タッチパネルセンサの製造方法を説明するための図。
図7C図7Cは、タッチパネルセンサの製造方法を説明するための図。
図7D図7Dは、タッチパネルセンサの製造方法を説明するための図。
図7E図7Eは、タッチパネルセンサの製造方法を説明するための図。
図8図8は、図1の入出力装置におけるタッチパネルセンサの回路構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば「板」は、シートやフィルム等とも呼ばれうるような部材や部分も含む概念である。
【0018】
タッチパネル装置および入出力装置
はじめに図1を参照して、タッチパネルセンサ30を備えた入出力装置10について説明する。図1に示すように、入出力装置10は、タッチパネルセンサ30と表示装置(例えば液晶表示装置)15とを組み合わせることによって構成されている。図示された表示装置15は、フラットパネルディスプレイとして構成されている。表示装置15は、表示面16aを有した表示パネル16と、表示パネル16に接続された表示制御部(図示せず)と、を有している。表示パネル16は、映像を表示することができるアクティブエリアA1と、アクティブエリアA1を取り囲むようにしてアクティブエリアA1の外側に配置された非アクティブエリア(額縁領域とも呼ばれる)A2と、を含んでいる。表示制御部は、表示されるべき映像に関する情報を処理し、映像情報に基づいて表示パネル16を駆動する。すなわち、表示装置15は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置としての役割を担っている。
【0019】
図1に示すように、タッチパネルセンサ30は、表示装置15の表示面16a上に配置されている。このタッチパネルセンサ30は、例えば、表示装置15の表示面16a上に接着層(図示せず)を介して接着されている。
【0020】
なお、本実施の形態において、タッチパネルセンサ30は、タッチ位置検出機能をもたらすだけでなく、表示装置を保護する役割をも果たすように構成されている。具体的には、タッチパネルセンサ30の基材32は、表示装置用の保護板として機能するように構成されている。この場合、基材32の観察者側の面32bが、入出力装置10のうち最も観察者側に位置する面を構成している。また、タッチパネルセンサ30の各構成要素、例えば後述する電極パターン41,42、額縁配線43やシールド配線45およびダミー配線48は、いずれも基材32の表示装置側の面32aに設けられている。また、基材32は、表示装置15を保護する上で十分な強度を有する材料から構成されている。
【0021】
タッチパネルセンサ
次に図2乃至図5を参照して、タッチパネルセンサ30について説明する。図2は、タッチパネルセンサ30を示す平面図であり、図3は、図2のタッチパネルセンサ30の部分拡大図である。また、図4は、図2のタッチパネルセンサ30の、IV線に沿った断面図であり、図5は、図2のタッチパネルセンサ30の、V線に沿った断面図である。
【0022】
図2に示されたタッチパネルセンサ30は、投影型の静電容量結合方式として構成され、タッチパネルセンサ30の外部導体(例えば、人間の指)の接触位置(タッチ位置とも称する)を検出可能に構成されている。なお、静電容量結合方式のタッチパネルセンサ30の検出感度が優れている場合には、外部導体がタッチパネルセンサ30に接近しただけで当該外部導体がタッチパネル装置のどの領域に接近しているかを検出することができる。従って、ここで用いる「接触位置」とは、実際には接触していないが位置を検出され得る接近位置を含む概念とする。なお、「容量結合」方式は、タッチパネルの技術分野において「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等とも呼ばれており、本件では、これらの「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等と同義の用語として取り扱う。さらに、図2に示されたタッチパネルセンサ30は、本実施の形態では、特に相互容量方式として構成されるが、これに限定されない。
【0023】
図2に示すように、タッチパネルセンサ30は、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアAa1と、アクティブエリアAa1の周辺に位置する非アクティブエリアAa2と、を含む基材32と、基材32のアクティブエリアAa1に配置された複数の電極パターン41,42と、対応する電極パターン41,42に電気的に接続されるとともに、基材32の非アクティブエリアAa2に並べられた複数の額縁配線43と、を備えている。基材32のアクティブエリアAa1および非アクティブエリアAa2はそれぞれ、表示パネル16のアクティブエリアA1および非アクティブエリアA2に対応して区画されたものである。
【0024】
以下、タッチパネルセンサ30を構成する各要素についてさらに詳述する。
【0025】
基材32は、タッチパネルセンサ30において誘電体として機能するものである。また上述のように、基材32は、表示装置用の保護板としても機能するものである。基材32は例えば、十分な強度を有するよう、ガラスなどを用いて構成されている。
【0026】
電極パターン41,42は、図2および図3に示すように、第1方向に沿って、例えば図2のx方向に沿って延びる複数の第1電極パターン41と、第1方向に直交する第2方向に沿って、例えば図2のy方向に沿って延びる複数の第2電極パターン42と、を有している。本実施の形態では、第1電極パターン41は、x方向に沿って直線状に延びるx方向接続部41aと、x方向にx方向接続部41aを介して接続されたx方向電極単位41bと、を有している。また、第2電極パターン42は、y方向に沿って直線状に延びるy方向接続部42aと、x方向電極単位41b間に位置し、y方向にy方向接続部42aを介して接続されたy方向電極単位42bと、を有している。図2および図3に示すように、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bは、各々略正方形の形状を有している。
【0027】
電極パターン41,42を構成する材料は、導電性を有する限りにおいて特には限定されないが、本実施の形態においては、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bを構成する材料としては、導電性および透光性を有する透明導電材料が用いられる。x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bを構成する透明導電材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの導電性酸化物が用いられる。これらの導電性酸化物が2種以上複合されてもよい。
【0028】
x方向接続部41aおよびy方向接続部42aを構成する材料も、導電性を有する限りにおいては特には限定されない。例えば本実施の形態においては、x方向接続部41aを構成する材料としては、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bと同一の材料が用いられる。このようにx方向接続部41aがx方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bの材料と同一の材料から形成されていることにより、後述するタッチパネルセンサの製造工程において、x方向接続部41aをx方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bの形成工程と同一の工程で形成することができる。
【0029】
また、y方向接続部42aを構成する材料としては、後述する額縁配線43およびシールド配線45の金属層43xm,43ym,45mの材料と同一の材料を用いることができる。このようにy方向接続部42aが金属層43xm,43ym,45mの材料と同一の材料から形成されていることにより、後述するタッチパネルセンサの製造工程において、y方向接続部42aを金属層43xm,43ym,45mの形成工程と同一の工程で形成することができる。
若しくは、y方向接続部42aを構成する材料としては、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bと同様の透明導電材料を用いてもよい。y方向接続部42aを金属材料で構成した場合、交差するx方向接続部41aとの間において、後述するイオンマイグレーション現象が生じてしまう可能性があるが、透明導電材料を用いてy方向接続部42aを構成することにより、そのようなイオンマイグレーション現象が生じる可能性を無くす、若しくは低くすることができる。
【0030】
y方向接続部42aは、図4および図5に示すように、x方向接続部41aに対して基板32の側に形成されている。y方向接続部42aとx方向接続部41aとの間には、絶縁層47が介在されており、これによってy方向接続部42aとx方向接続部41aとが電気的に短絡するのが防がれている。絶縁層47を形成する材料としては、電気絶縁性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施の形態においては、透明性を有するアクリル樹脂が用いられる。
【0031】
額縁配線43は、電極パターン41,42を駆動するための信号、または電極パターン41,42によって伝達された信号が流れるものであり、金属層を有している。額縁配線43は、複数本が非アクティブエリアAa2に並べられており、その一端において対応する電極パターン41,42に、その他端において対応する端子部44に電気的に接続されている。
【0032】
本実施の形態においては、複数の額縁配線43は、対応する第1電極パターン41に接続された複数の駆動配線43xと、対応する第2電極パターン42に電気的に接続された検出配線43yと、を含んでいる。すなわち本実施の形態においては、第1電極パターン41が駆動電極として機能し、第2電極パターン42が検出電極として機能する。しかしながら、これに限られることはなく、第1電極パターン41が検出電極として機能し、第2電極パターン42が駆動電極として機能するよう、複数の額縁配線43が電極パターン41,42に接続されていてもよい。
【0033】
駆動配線43xの金属層43xmは、その一端において第1電極パターン41に電気的に接続されており、その他端において対応する端子部44に電気的に接続されている。また、検出配線43yの金属層43ymは、その一端において第2電極パターン42に電気的に接続されており、その他端において対応する端子部44に電気的に接続されている。金属層43xm,43ymを構成する材料としては、導電性の高い金属材料である銀、銅、またはこれらの合金が用いられる。
【0034】
本実施の形態においては、駆動配線43xは、タッチ位置検出動作中、駆動配線43xを流れる信号の電位が図6Aに示すような最大電圧Vaと最小電圧Vgとの間で変化するものである。また、検出配線43yも、タッチ位置検出動作中、検出配線43yを流れる信号の電位が図6Aに示すような最大電圧Vaと最小電圧Vgとの間で変化するものである。ここで、電圧Vaは、入出力装置10のGNDの電圧Vgより高いが入出力装置10の電源22の電圧Vs以下の電圧である。
駆動配線43xを流れる信号の変化の仕方、すなわち信号の形状が特に限られることはない。一例として、駆動配線43xを流れる信号の形状として、パルス状に変化する信号を挙げることができる。
【0035】
シールド配線45は、複数の電極パターン41,42のいずれにも電気的に接続されていない配線であって、安定したシールド電位に維持されるものである。シールド配線45は、例えば図2においては、非アクティブエリアAa2のうち、複数の駆動配線43xと複数の検出配線43yとの間の領域、および、額縁配線43よりも外側の領域に、隣接する額縁配線43に沿って各1本ずつ設けられている。なお「外側」とは、基材32の外縁に近い側のことを意味している。もっとも、シールド配線45が設けられる領域および当該領域におけるシールド配線45の本数は、これに限られない。本実施の形態のシールド配線45は、入出力装置10のGNDの電位Vgと同じ電位に維持されるものである。すなわち、本実施の形態においては、シールド電位は、電位Vgである。もっとも、シールド電位としては、電位Vgに限られない。
【0036】
本実施の形態では、シールド配線45は、金属層45mを含む。金属層45mを構成する材料としては、導電性を有する限りにおいては特に限られないが、本実施の形態では、額縁配線43の金属層43xm,43ymと同一の材料、すなわち銀、銅またはこれらの合金、が用いられる。
【0037】
ところで、互いに隣接する額縁配線43の間や互いに隣接する額縁配線43とシールド配線45との間には、各々の配線の電位の違いにより電位差が生じる。例えば、本実施の形態においては、額縁配線43の駆動配線43xおよび検出配線43yの電位は、最大電位Vaと最小電位Vgとの間で変化する。したがって、互いに隣接する駆動配線43xの間、および、互いに隣接する検出配線43yの間に、電位差が生じる。また、シールド配線45の電位は、電位Vgで一定である。したがって、互いに隣接する駆動配線43xとシールド配線45との間、および、互いに隣接する検出配線43yとシールド配線45との間にも、電位差が生じる。
【0038】
このように、互いに隣接する額縁配線43の間や互いに隣接する額縁配線43とシールド配線45との間に電位差が生じると、高電位側の配線の金属層の金属イオンが、イオンマイグレーション現象によって低電位側の配線に向けて徐々に移動し、低電位側の配線とショートしてしまうことがある。特に、金属層43xm,43ym,45mを構成する材料として銀、銅またはこれらの合金を用いた場合、イオンマイグレーション現象が生じる可能性が高く、要求される額縁配線43およびシールド配線45の絶縁信頼性を実現することが困難である。
【0039】
本件発明者は、このような課題を解決すべく試行錯誤を重ねた結果、次のような知見を見いだした。すなわち、互いに隣接する額縁配線43の間の少なくとも一部の領域や、互いに隣接する額縁配線43とシールド配線45との間の少なくとも一部の領域に、複数の電極パターン41,42のいずれにも電気的に接続されていないダミー配線48を配置し、当該ダミー配線48の電位を隣接する額縁配線43やシールド配線45の電位よりも高く維持することにより、互いに隣接する額縁配線43の間または互いに隣接する額縁配線43とシールド配線45との間におけるイオンマイグレーション現象の発生が抑制されることを見出した。さらに、ダミー配線48を構成する材料として、導電性酸化物のようなイオンマイグレーション現象が発生しにくい材料を用いることにより、互いに隣接するダミー配線48と額縁配線43またはシールド配線45との間におけるイオンマイグレーション現象の発生も抑制され、互いに隣接する一対の額縁配線43や、互いに隣接する額縁配線43とシールド配線45とがダミー配線48を介してショートしてしまう、ということが抑制されることを見出した。
【0040】
タッチ位置検出動作中にダミー配線48の電位を隣接する額縁配線43やシールド配線45の電位よりも高く維持するために、ダミー配線48は、複数の額縁配線43に流れる信号の最大電位Va以上のダミー電位に維持されるものである。本実施の形態においては、ダミー配線48は、その一端において対応する端子部44に電気的に接続されており、当該端子部44を介して任意の機能部に接続されて、入出力装置10の電源22の電位Vsと同電位に維持されるものである。
【0041】
本実施の形態においては、ダミー配線48は、各額縁配線43毎および各シールド配線45毎に配置されているが、これに限られない。例えば、ダミー配線48は、シールド配線45と複数の額縁配線43との間の領域にのみ配置されていてもよい。また、例えば、ダミー配線48は、複数の額縁配線43のうち一対の隣接する額縁配線43の間の領域にのみ配置されてもよい。
【0042】
また、本実施の形態においては、ダミー配線48は、互いに隣接する額縁配線43の間の領域または互いに隣接する額縁配線43とシールド配線45との間の領域を全て網羅するように配置されているが、当該領域の一部にのみ設けられていてもよい。
【0043】
さらに、本件発明者は、額縁配線43の金属層43xm,43ymやシールド配線45の金属層45mを、金属材料に比べて高い耐腐食性を有する導電性酸化物で被覆することにより、イオンマイグレーション現象の発生がさらに顕著に抑制されることを見出した。
【0044】
本実施の形態の各額縁配線43は、額縁配線43の側から基材32の側に向かう方向に見て金属層43xm,43ymを覆うように形成された被覆層43xc,43ycを有している。また、シールド配線45は、シールド配線45の側から基材32の側に向かう方向に見て金属層45mを覆うように形成された被覆層45cを有している。さらに、本実施の形態においては、被覆層43xc,43yc,45cは、x方向接続部41a、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bを構成する材料と同一の材料、すなわち導電性酸化物で構成されている。このように、被覆層43xc,43yc,45cがx方向接続部41a、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bの材料と同一の材料から形成されていることにより、後述するタッチパネルセンサの製造工程において、被覆層43xc,43yc,45cを、x方向接続部42a、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bの形成工程と同一の工程で形成することができる。さらにこの場合、x方向接続部42a、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bの形成工程の形成工程を実施する際、額縁配線43およびシールド配線45の金属層43xm,43ym,45mは、後述する導電性酸化物層51およびレジスト層によって覆われている。このため、x方向接続部41a、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bをエッチングするためのエッチング液によって額縁配線43およびシールド配線45の金属層43xm,43ym,45mが損傷される、ということが防止される。なおダミー配線48が導電性酸化物によって構成されている場合、x方向接続部42a、x方向電極単位41bおよびy方向電極単位42bの形成工程と同一の工程で、さらにダミー配線48を形成することもできる。
【0045】
次に、図3を参照して、各配線の幅、各配線の金属層の幅および互いに隣り合う配線の間の間隔について説明する。
【0046】
図3において、符号w1が、額縁配線43の金属層43xm,43ymの幅を表している。額縁配線43の金属層43xm,43ymの幅w1を決定する上では、額縁配線43に求められる電気抵抗の値が考慮される。例えば幅w1は、15〜200μmの範囲内になっている。
【0047】
また、符号w2が、シールド配線45の金属層45m幅を表している。シールド配線45の金属層45mの幅w2を決定する上では、シールド配線45の電位の安定性や、非アクティブエリアAa2の幅などが考慮される。幅w2は、例えば15〜200μmの範囲内になっている。
【0048】
また、符号w3が、ダミー配線48の幅を表している。ダミー配線48の幅w3を決定する上では、後述する導電性酸化物層51をパターニングしてダミー配線48を形成する際のパターニングの精度の限界などが考慮される。例えば幅w3は、15μm以上になっている。
【0049】
また、符号d1が、金属層43xm,43ym,45mと、当該金属層43xm,43ym,45mに隣接するダミー配線48と、の間の間隔を表している。金属層43xm,43ym,45mと、当該金属層43xm,43ym,45mに隣接するダミー配線48と、の間の間隔d1を決定する上では、後述する導電性酸化物層51や金属層52のパターニングの精度の限界などが考慮される。例えば間隔d1は、20μm以上になっている。
【0050】
また、符号d2が、ダミー配線48と、当該ダミー配線48に隣接する額縁配線43またはシールド配線45と、の間隔を表している。ダミー配線48と、当該ダミー配線48に隣接する額縁配線43またはシールド配線45と、の間隔d2を決定する上では、ダミー配線48及び額縁配線43またはシールド配線45の被覆層43xc,43yc,45cのパターニングの精度を考慮する必要がある。したがって、間隔d2は、好ましくは15μm以上になっている。
【0051】
タッチパネルセンサの製造方法
次に、以上のような構成からなるタッチパネルセンサ30を製造する方法について、図7A図7Eを参照して説明する。図7A図7Eは、図2のタッチパネルセンサ30のV線に沿った位置において、タッチパネルセンサ30の製造方法の各工程における層構成を示す図である。
【0052】
はじめに図7Aに示すように、基材32を準備する。上述のように、基材32は、表示装置用の保護板としても機能することができるものである。次に図7Bに示すように、基材32の表示装置側の面32a上に金属層52を設ける。金属層52を設ける方法としては、例えばスパッタリング法やめっき法が用いられ得る。その後、図7Cに示すように、金属層52をパターニングする。これによって、上述のy方向接続部42a、並びに、額縁配線43およびシールド配線45を構成するための金属層43xm,43ym,45mを同時に得ることができる。金属層52をパターニングする工程は、例えば、はじめに金属層52上にレジスト層を設け、次に、レジスト層を露光・現像してレジスト層をパターニングし、その後、レジスト層をマスクとして金属層52をエッチングし、そしてレジスト層を除去することを含んでいる。
【0053】
次に図7Dに示すように、金属層52のうち上述のy方向接続部42aを構成する部分の上に絶縁層47を設ける。絶縁層47を設ける方法が特に限られることはなく、スクリーン印刷法やフォトリソグラフィー法などが用いられ得る。
【0054】
その後、図7Eに示すように、金属層52および絶縁層47上に導電性酸化物層51を設ける。導電性酸化物層51を設ける方法としては、例えばスパッタリング法が用いられ得る。その後、上述の金属層52をパターニングする工程と同様の方法を用いて、導電性酸化物層51をパターニングする。これによって、上述のx方向接続部42a、x方向電極単位41b、y方向電極単位42b、ダミー配線48、並びに、額縁配線43およびシールド配線45の被覆層43xc,43yc,45cを同時に得ることができる。このようにして、図5に示すタッチパネルセンサ30を作製することができる。その後、タッチパネルセンサ30と表示装置15とを組み合わせることによって、入出力装置10を得ることができる。
【0055】
具体的には、図8に示すように、複数の額縁配線43を対応する端子44を介してタッチパネルセンサ30の制御回路21に接続し、複数のシールド配線45を対応する端子44を介して入出力装置10のGNDに接続する。また、複数のダミー配線48を対応する端子44を介して入出力装置10の電源22に接続する。もっとも、ダミー配線48は、ダミー配線48の電位を額縁配線43を流れる信号の最大電位Va以上のダミー電位に安定的に維持可能な機能部であれば、他の機能部に接続されてもよい。また、シールド配線45は、シールド配線の電位をダミー電位より低いシールド電位に安定的に維持可能な機能部であれば、他の機能部に接続されてもよい。
【0056】
タッチパネルの作用
次に、図6Aおよび図6Bを参照して入出力装置10の動作中のタッチパネル30の作用について説明する。入出力装置10の動作中、駆動配線43xおよび検出配線43yの電位は、図6Aに示すように、最小電位Vgと最大電位Vaとの間で変化する。また、GNDに接続されたシールド配線45の電位は、電位Vgで一定である。さらに、入出力装置10の電源22に接続されたダミー配線48の電位は、図6Bに示すように、電位Va以上の電位Vsで一定である。これにより、ダミー配線48は、当該ダミー配線45に隣接する駆動配線43x、検出配線43yおよびシールド配線45の電位以上の電位に維持される。一般に金属イオンの移動は電位差を駆動力として生ずるため、駆動配線43x、検出配線43yおよびシールド配線45の金属層43xm,43ym,45mから、当該金属層43xm,43ym,45mに隣接する配線への金属イオンの移動が抑制される。また、ダミー配線48がイオンマイグレーション現象の生じにくい材料で形成されているため、ダミー配線48から当該ダミー配線48に隣接する配線へのダミー配線48の金属イオンの移動も防止される。
【0057】
本実施の形態によれば、複数の額縁配線43のうち少なくとも一対の隣接する額縁配線43の間の少なくとも一部の領域に、複数の電極パターン41,42のいずれにも電気的に接続されていないダミー配線48が配置されており、当該ダミー配線48の電位は、複数の額縁配線43に流れる信号の最大電位Va以上のダミー電位に維持される。このため、当該一対の額縁配線43の一方の金属層43xmまたは43ymから他方の金属層43ymまたは43xmへ金属イオンが移動してしまって当該一対の額縁配線43がショートしてしまう、ということが抑制され得る。また、ダミー配線48がイオンマイグレーション現象の生じにくい材料である導電性酸化物で形成されているため、ダミー配線48から当該ダミー配線48に隣接する額縁配線43への金属イオンの移動も防止される。この結果、互いに隣接する額縁配線がダミー配線を介してショートしてしまうことが、防止される。
【0058】
このように本実施の形態によれば、額縁配線43の絶縁信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0059】
30 タッチパネルセンサ
32 基材
41 第1電極パターン
42 第2電極パターン
43 額縁配線
45 シールド配線
48 ダミー配線
A1 アクティブエリア
A2 非アクティブエリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8