(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の管理システム1の構成を説明する図である。
管理システム1は、主にカード製造メーカ等で運用されるものである。管理システム1は、工場内において、発行処理したカードのうち不合格になった不合格カードC1を、無効化して無効化カードC2とし、これを廃棄するまでの過程を管理するものである。また、管理システム1は、無効化カードC2の代替えのカードC3を新たに再発行するまでの過程を管理する。
カードには、情報を記憶する部分(磁気ストライプ、ICチップ、エンボス等)、外観に関する部分(ホログラム、券面の印刷等)等を有する。不合格カードC1は、発行されたカード後の検査工程において、例えば、記憶情報の不良や外観不良によって、不合格になったもの等である。
【0010】
[無効化装置10]
管理システム1は、無効化装置10を備える。
(無効化装置10の構成)
図2は、第1実施形態の無効化装置10の構成を説明する図である。
図3は、第1実施形態の管理伝票30を説明する図である。
図2に示すように、無効化装置10は、カード入口11、処理済カード検出部12、リーダ13(カード情報取得部)、無効化加工部14、撮像部15(カード情報取得部)、カード出口17、蓋部18、印刷部19、記憶部20、制御部21を備える。
カード入口11、処理済カード検出部12、リーダ13、無効化加工部14、撮像部15、カード出口17は、カードの流し方向Xの上流側X1からこの順で配置されている。リーダ13、無効化加工部14、撮像部15は、無効化装置10のケース10aの内部の設置空間10bに収容されている。ケース10aの内部では、カードは、ローラ等の搬送装置(図示せず)によって、上流側X1から下流側X2に搬送される。
【0011】
前述したように、不合格カードC1は、磁気ストライプC1a(識別情報記憶部)を備える。
実施形態では、磁気ストライプC1aに記憶されたカード識別情報C1dを、カードを識別する情報として利用する。なお、不合格カードC1は、識別情報を記憶する部分として、磁気ストライプC1aの他に、接触ICチップC1b(
図2には接触端子を図示する)、非接触ICチップ(図示せず)を備える。
実施形態では、磁気ストライプC1aに記憶されたカード識別情報C1dを、カード無効化時の管理に利用することにより、ほとんどの種類のカードの無効化に対応できる。一般に、磁気ストライプC1aは、ほとんどの種類のカードが備えているためである。
【0012】
カード入口11は、不合格となった不合格カードC1が入れられる挿入口である。
カード入口11は、不合格カードC1をケース10aの内部に導くローラ11aを備える。
処理済カード検出部12は、リーダ13の前に配置され、カード入口11に投入された不合格カードC1が無効化処理済であるか否かを検出する装置である。
なお、不合格カードC1が無効化処理済みであった場合には、ローラ11aが反転することにより、その不合格カードC1は、カード入口11から排出される。これにより、カード入口11は、カード入口11に入れられたカードを排出する排出部を兼用するようになっている。
【0013】
処理済カード検出部12は、カード入口11に挿入されたカードを撮像する撮像装置を備える。処理済カード検出部12は、撮像装置によって撮像された撮像情報を画像解析することにより、カードに無効孔14b(後述する)が設けられているか否かを判定する。
リーダ13は、不合格カードC1の磁気ストライプC1aからカード識別情報C1dを読み取る磁気リーダである。
【0014】
無効化加工部14は、不合格カードC1に対して無効化加工する加工装置である。
無効化加工部14は、無効化加工として、パンチ14aで6つの無効孔14bを、不合格カードC1に対して設けることによって、不合格カードC1の外観を変化させる。これにより、不合格カードC1の識別情報記憶部20aは、リーダ13による読み取りができない状態に加工される。
無効化加工部14は、6つの無効孔14bを、磁気ストライプC1a、接触ICチップC1b、ホログラムC1c、非接触ICチップ(図示せず)を含むように加工する。このため、無効化加工後には、リーダ13等は、磁気ストライプC1a、接触ICチップC1b、非接触ICチップからカード識別情報C1dを読み取ることはできないし、また、ホログラムC1cは、他のカードに取り付けることもできない。実施形態では、この無効化したカードを、無効化カードC2という。
【0015】
撮像部15は、無効化カードC2の撮像情報16(16D,16U)を取得する。つまり、撮像部15は、無効化カードC2の外観を撮像する。
撮像部15は、下撮像部15D、上撮像部15Uを備える。
下撮像部15D、上撮像部15Uは、無効化カードC2の下面の撮像情報16D、無効化カードC2の上面の撮像情報16Uを、それぞれ取得する。これにより、無効化装置10は、無効孔14bを不合格カードC1に設けた履歴を残すことができるし、また、カードの上面及び下面のいずれかにのみ外観不良があった場合でもこれを履歴として残すことができる。
【0016】
カード出口17は、無効化カードC2を下流側X2に出すための出口である。カード出口17は、無効化カードC2をケース10aの外部に搬出するめのローラ17a等を備える。なお、カード出口17は、搬出された無効化カードC2を貯留するスタッカを備えていてもよい。
【0017】
蓋部18は、ケース10aの開口を開閉する部材である。蓋部18は、ケース10aに対して、ヒンジ18aによって回転可能に取り付けられる(回転方向θ参照)。蓋部18は、ケース10aの内部の設置空間10bの開口を開閉する。蓋部18が閉じた状態では、設置空間10bが閉じられた状態になり、作業者等は、ケース10aの外部からケース10aの内部に手を入れたりすることはできない。
蓋検出部18bは、蓋部18が開状態であることを検出する検出部等である。蓋検出部18bは、光学センサ、リミットスイッチ等を備える。
印刷部19は、管理伝票30(
図3参照)を印刷する印刷装置である。印刷部19は、レーザビームプリンタ等である。
【0018】
記憶部20は、無効化装置10の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク等の記憶装置である。
記憶部20は、識別情報記憶部20a、撮像情報記憶部20bを備える。
識別情報記憶部20aは、無効化カードC2のカード識別情報C1dを記憶する。
撮像情報記憶部20bは、無効化カードC2の撮像情報16を記憶する。
【0019】
制御部21は、無効化装置10の動作に必要な演算処理をしたり、無効化装置10を統括的に制御するための装置である。制御部21は、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。
制御部21は、記憶部20に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、実施形態の各種機能を実現している。
制御部21の詳細な処理は、後述する。
【0020】
(無効化装置10の動作)
無効化装置10は、以下の順序で無効化処理を行う。
(♯1)カード挿入工程
作業者等によって、不合格カードC1がカード入口11に挿入されると、制御部21は、ローラ11aを駆動してカード入口11内部に導く。作業者等は、不合格カードC1を1枚ずつ連続して、カード入口11に挿入する。
図2は、5枚の不合格カードC1が連続して挿入される例である。
【0021】
(♯2)処理済カード確認工程
処理済カード検出部12は、カード入口11から搬送された不合格カードC1の撮像情報を解析して、無効化処理済みであるか否かを判定する。処理済カード検出部12は、無効孔14bが設けられている場合に、無効化処理済みであると判定する。処理済カード検出部12は、判定結果を制御部21に送信する。
制御部21は、この判定結果が未処理であった場合には、判定した不合格カードC1をリーダ13へと搬送し、また、次にカード入口11に挿入された不合格カードC1を、ケース10aの内部に導く。一方、制御部21は、この判定結果が無効化処理済であった場合(つまり無効化カードC2であった場合)には、ローラ11aを反転制御して、判定したカードを逆側(つまり上流側X1)に搬送して、カード入口11から排出する。なお、この場合には、制御部21は、カード入口11に新たに挿入された無効化カードC2を、ケース10aの内部に導くことはない。
【0022】
これにより、無効化装置10は、既に無効化された無効化カードC2が入れられた場合には、これを無効化処理することなく排出できる。そのため、無効化処理したことを、不正に残すこと(例えば、同一の不合格カードC1についての二重の無効化履歴)を抑制できる。
【0023】
(♯3)リーダ読み取り処理
制御部21は、リーダ13を制御して、不合格カードC1の磁気ストライプC1aからカード識別情報C1d(
図2の例では、カード識別情報C1dが「0010」)を読み取り、そのカード識別情報C1dを記憶部20に記憶する。また、制御部21は、このカード識別情報C1dを、判定装置60(後述する)に送信する。
なお、磁気ストライプC1aは、無効化加工前ではカード識別情報C1dを読み取れる状態であるが、無効化加工後にはカード識別情報C1dを読み取れない状態になる。リーダ13は、無効化加工部14の前に配置されているので、カード識別情報C1dを読み取ることができる。
(♯4)無効化加工
制御部21は、リーダ読み取り処理後の不合格カードC1が無効化加工部14に送られてくると、無効化加工部14を制御して、その不合格カードC1に無効孔14bを空ける。
【0024】
(♯5)撮像処理
制御部21は、無効化加工後の無効化カードC2が撮像部15に送られてくると、撮像部15を制御して、その上面及び下面の外観の撮像情報16を取得する。制御部21は、撮像情報16を撮像情報記憶部20bに記憶する。
(♯6)搬出処理
制御部21は、撮像処理後の無効化カードC2がカード出口17に送られてくると、ローラ17aを制御して、その無効化カードC2をケース10aの外部に搬出する。
【0025】
(無効化停止判断処理)
なお、これまでの処理において、制御部21は、蓋検出部18bの出力に基づいて、蓋部18が開けられていたと判断すると、各処置を停止する。
これにより、無効化装置10は、無効化処理の途中で、不合格カードC1を抜き取ったりすること等の不正を抑制できる。
【0026】
(♯7)伝票印刷処理
制御部21は、5枚全ての無効化カードC2を、カード出口17から搬出すると、この1度の処理で無効化した5枚の不合格カードC1のカード識別情報C1dを、識別情報記憶部20aから読み出す。
図3に示すように、制御部21は、印刷部19を制御して、これらのカード識別情報C1dと、処理識別情報31と、この1度の処理で無効化したカード枚数32とを、管理伝票30に印刷して出力する。処理識別情報31は、これら5枚の不合格カードC1の無効化処理を識別する情報である。処理識別情報31としては、例えば、「日付−その日付の無効化処理の回数(2013/12/05−004等)」等といった書式を用いる。
これにより、印刷部19は、識別情報記憶部20aの情報に基づいて、1度の処理において無効化した不合格カードC1の枚数(5枚)の情報及びカード識別情報C1dと、1度の処理を識別する処理識別情報31とを含む管理伝票30を印刷できる。
【0027】
管理者等は、1日に複数回の無効化処理をする場合でも、この管理伝票30によって、各処理を、処理識別情報31と、各処理で無効化した不合格カードC1とを対応付けて管理できる。
なお、管理伝票30には、再出庫、再発行、保管、廃棄(破砕)と記載された欄33a〜33bを有する。
これらの欄33a〜33bは、無効化カードC2の廃棄、代替のカードの再発行の管理のために使用される。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の無効化装置10は、無効化した不合格カードC1を、そのカード識別情報C1dを履歴として記憶することにより、無効化履歴のトレーサビィリティを向上できる。また、無効化装置10は、無効化履歴を記憶することにより、例えば、不合格カードC1を無効化していないにも関わらず無効化したと偽って、工場外部に持ち出す等の不正を抑制できる。さらに、例えば、市場において、無効化した不合格カードC1と同一のカード識別情報C1dを有する不正カードが市場で発見された場合等でも、無効化履歴を確認することにより、カード製造メーカ側では、間違いなく無効化処理されていたことを確認できる。
【0029】
また、無効化装置10は、カード識別情報C1dに加えて、無効化カードC2の外観の撮像情報16を記憶するので、不合格カードC1を確実に無効化処理した履歴を残すことができる。
【0030】
[管理伝票30]
管理伝票を用いて、無効化カードC2の廃棄、代替のカードの再発行を管理する工程について説明する。
(♯10)出庫工程
図1に示すように、作業者等は、無効化装置10に無効にされた無効化カードC2と、管理伝票30とを出庫部署35に渡す。出庫部署35は、発行前のカードC3(いわゆる生カード)を保管し、また、出庫する部署である。出庫部署35は、発行前のカードC3を作業者等に渡すと、管理伝票30の再出庫の欄33a(
図3参照)に日付印を押す。
【0031】
(♯11)再発行工程
作業者等は、無効化カードC2、管理伝票30、カードC3を発行部署36に渡す。発行部署36は、発行装置50によるカード再発行が終了すると、管理伝票30の再発行の欄33b(
図3参照)に日付印を押す。再発行されたカードは、出荷される。
【0032】
(♯12)保管工程
作業者等は、無効化カードC2、管理伝票30を保管部署37に渡す。保管部署37は、無効化カードC2を受け取ると、管理伝票30の保管の欄33c(
図3参照)に日付印を押す。保管部署37は、無効化カードC2がある程度のまとまった数量になるまで保管する。
【0033】
(♯13)廃棄工程
無効化カードC2がある程度の保管数量になると、作業者等は、無効化カードC2、管理伝票30を廃棄部署38に渡す。この場合には、複数の管理伝票30及び無効化カードC2が複数組みになっている。廃棄部署38は、無効化カードC2を廃棄装置38aで破砕すると、管理伝票30の廃棄の欄33d(
図3参照)に日付印を押す。
【0034】
カード廃棄後には、管理伝票30は、管理部門(図示せず)によって保管される。管理伝票30は、カード識別情報C1d、枚数32、各工程の日付を有するので、特定の無効化カードC2の履歴を残すことができる。これにより、無効化カードC2のトレーサビリティを向上できる。
このように、管理伝票30は、無効化カードC2の管理、代替のカードの再発行の管理に使用することができる。
【0035】
[二重発行判定システム40]
管理システム1は、二重発行判定システム40を備える。
(二重発行判定システム40の構成)
図4は、第1実施形態の二重発行判定システム40の構成を説明する図である。
二重発行判定システム40は、発行装置50、判定装置60と、前述した無効化装置10とを備える。発行装置50及び判定装置60の間と、無効化装置10及び判定装置60の間とは、それぞれLANケーブル等の通信網によって、通信可能に接続されている。
なお、発行装置50、判定装置60の各記憶部52,62は、各装置50,60の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク等の記憶装置である。
また、発行装置50、判定装置60の各制御部53,63は、各装置50,60の動作に必要な演算処理をしたり、各装置50,60を統括的に制御するための装置である。各制御部53,63は、例えば、CPU等から構成される。各制御部53,63は、各記憶部52,62に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、実施形態の各種機能を実現している。
【0036】
発行装置50は、発行データに基づいて、カードを連続して発行する装置である。
発行装置50は、発行部51、記憶部52、制御部53を備える。
発行部51は、発行前のカードに対して、発行データに基づいて、必要な情報(カード識別情報、カード所有者となる個人の個人情報等)を記憶させる装置である。
発行部51は、磁気ライタ51a、ICチップライタ51bを備える。
磁気ライタ51aは、発行前のカードの磁気ストライプ(
図2に示す磁気ストライプC1a参照)にカード識別情報等を書き込む装置である。
ICチップライタ51bは、発行前のカードの接触ICチップ(
図2に示す接触ICチップC1b参照)、非接触ICチップに、カード識別情報、暗号鍵の情報等を書き込む装置である。
【0037】
記憶部52は、発行データ記憶部52aを備える。
発行データ記憶部52aは、カード発行データを記憶する記憶領域である。カード発行データは、カード発行依頼者(クレジット会社等)からの発行依頼データ、カード発行依頼者のカード仕様等に基づいて、カード製造メーカのデータ生成装置(図示せず)が作成する。発行データ記憶部52aには、この作成された発行データが記憶される。
【0038】
制御部53は、発行制御部53a、発行履歴送信部53bを備える。
発行制御部53aは、発行データ記憶部52aのカード発行データを、1つずつ読み出して、発行部51を制御して発行前のカードに1枚ずつ記憶させる。発行制御部53aは、この処理を連続して行うことにより、1度の処理において、複数枚のカードを連続して発行する。
発行履歴送信部53bは、カード発行時に、磁気ストライプに記憶させるカード識別情報を、判定装置60に送信する。発行履歴送信部53bは、1枚のカード発行の都度、そのカードのカード識別情報を送信する。
【0039】
判定装置60は、報知部61、記憶部62、制御部63を備える。
報知部61は、カードが二重発行されたことを、作業者等に報知する装置である。報知部61は、例えば、警告ランプ、ブザー、表示装置等である。表示装置を用いる場合には、画面に警告表示等をすればよい。
記憶部62は、発行履歴記憶部62a(発行情報記憶部)、無効履歴記憶部62b(無効情報記憶部)を備える。
発行履歴記憶部62aは、発行装置50から受信したカード識別情報を、発行履歴として記憶する。
無効履歴記憶部62bは、無効化装置10から受信したカード識別情報を、無効化履歴として記憶する。
【0040】
制御部63は、履歴制御部63a(発行履歴消去部)、判定部63bを備える。
履歴制御部63aは、発行履歴、無効化履歴を、発行装置50、無効化装置10から受信して、発行履歴記憶部62a、無効履歴記憶部62bにそれぞれ記憶する。後述するように、履歴制御部63aは、無効化履歴に基づいて、発行履歴のカード識別情報を更新したりする。
判定部63bは、カード発行毎に、発行履歴に基づいて、発行したカードが二重発行されたものか否かを判定する。
制御部63の詳細な動作は、後述する。
【0041】
(二重発行判定システム40の動作)
図5は、第1実施形態の二重発行判定システム40の動作を説明するフローチャートである。
図6は、第1実施形態の発行履歴記憶部62aの発行履歴、無効履歴記憶部62bの無効化履歴を説明する図である。
なお、説明の前提として、二重発行判定システム40は、「S1〜S9:YES」の処理を繰り返し行うことにより、既に、判定装置60の発行履歴記憶部62a内に、
図6に示す発行履歴62a−1が作成されているものとする。
ステップS(以下「S」という)1において、無効化装置10の制御部21は、リーダ13で不合格カード(
図2に示す不合格カードC1参照)のカード識別情報を読み取ると、そのカード識別情報を判定装置60に送信する。
【0042】
S2において、判定装置60の制御部63は、無効化装置10から無効化した不合格カードのカード識別情報を受信したか否かを判定する。判定装置60の制御部63は、これを受信したと判定した場合には(S2:YES)、S3に進み、一方、受信していないと判定した場合には(S2:NO)、S5に進む。
S3において、判定装置60の履歴制御部63aは、無効化装置10から受信したカード識別情報を、無効履歴記憶部62bに記憶して、無効化履歴として残す。
図6の無効化履歴62b−1は、無効化装置10から受信したカード識別情報「0010」を受信して、無効履歴記憶部62bに記憶した例である。
また、判定装置60の履歴制御部63aは、無効化装置10から受信したカード識別情報を、発行履歴記憶部62aの発行履歴から削除し、発行履歴を更新する。なお、不合格カードは、既に発行済みのカードであるため、不合格カードの発行履歴は、発行履歴記憶部62aに、必ず存在することになる。
図6に示す処理♯20は、発行履歴62a−1からカード識別情報「0010」を削除することにより、発行履歴62a−2に更新した例である。
【0043】
S4において、発行装置50の発行制御部53aは、カード発行のために、カード識別情報をカードの磁気ストライプに書き込むと、発行履歴送信部53bは、このカード識別情報を、判定装置60に送信する。
【0044】
S5において、判定装置60の制御部63は、発行したカードのカード識別情報を、発行装置50から受信したか否かを判定する。判定装置60の制御部63は、これを受信したと判定した場合には(S5:YES)、S6に進み、一方、受信していないと判定した場合には(S5:NO)、S7に進む。
S6において、判定装置60の履歴制御部63aは、発行装置50から受信したカード識別情報を、発行履歴記憶部62aに記憶して、発行履歴を更新する。なお、この処理が繰り返されることにより、カード識別情報が発行履歴に順次追加されていく。
【0045】
S7において、判定装置60の判定部63bは、発行履歴内のカード識別情報を参照して、同一のカード識別情報が2つ存在するか否かを判定する。判定部63bは、存在すると判定した場合には(S7:YES)、S8に進み、一方、存在しないと判定した場合には(S7:NO)、S9に進む。
【0046】
図6の発行履歴62a−3は、発行履歴62a−2の状態から、カードが再発行されて履歴が更新された例である。
発行履歴62a−3に示すように、カード識別情報「0010」のカードが新たに発行された場合には(♯21)、カード識別情報「0010」は、1つのみ存在する。この場合は、カード識別情報「0010」が適切に無効化され(S1)、かつ、発行履歴から削除された(S3)状態である。この場合には、正常であるため、判定部63bは、次の処理に進む(S7:NO)。
一方、発行履歴62a−3に示すように、カード識別情報「0015」が新たに発行された場合には(♯22)、カード識別情報「0015」は、2つ存在することになる。この状態は、既に発行したカード識別情報「0015」のカードが無効化されることなく、同じカード識別情報「0015」のカードが新たに発行された状態である。この状態は、同じカード識別情報「0015」のカードが存在してしまい異常な状態であるので、判定部63bは、報知処理に進む(S7:YES)。
【0047】
S8において、判定部63bは、同じカードが2つ存在すると判定して、報知部61を駆動する。これにより、判定装置60は、カード発行時に、二重発行されたことを、作業者等に報知できる。
作業者等は、報知部61の報知に応じて、発行装置50を操作して、発行処理を一旦停止後、発行されたカードを視認して、異常の原因を調査できる。作業者等は、この調査として、例えば、無効化装置10の記憶部20を参照して、無効化した不合格カードのカード識別情報、撮像情報の履歴を確認したりできる。
【0048】
S9において、制御部63は、処理を継続するか否か判定する。制御部63は、この判定を、例えば、判定処理を停止するために、作業者等によって停止ボタン(図示せず)が操作されて否か等によって判定すればよい。作業者等は、停止ボタンの操作を、例えば、一度の処理における発行予定枚数のカードが発行された場合や、報知部61が駆動に応じて発行処理を一旦停止した場合に、行うことができる。
制御部63は、処理を継続すると判定した場合には(S9:YES)、S2からの処理を繰り返し、一方、処理を継続しないと判定した場合には(S9:NO)、S10に進んで一連の処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、判定装置60は、無効化装置10の無効化履歴、発行装置50の発行履歴に基づいて、二重発行の判定を行うことができる。このため、発行装置50の既存の複雑なカード発行プログラム等をそのままに利用できる。
実施形態とは異なり、発行装置50が発行時に二重発行したか否かを判定するシステムである場合には、既存の複雑なプログラムを改変する必要があるし、また、安定した動作できなくなるリスクがあるという問題がある。
これに対して、実施形態の二重発行判定システム40は、発行装置50が出力する発行データを利用するので、上記問題がないし、また、低コストでシステムを導入できる。
【0050】
また、発行部51は、連続してカード発行処理を行い、判定装置60は、カード発行毎に、連続して二重発行判定処理を行う。このため、二重発行判定システム40は、複数枚のカードを1度に大量に製造するシステムに対応できる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を適宜付して、重複する説明を適宜省略する。
図7は、第2実施形態の発行履歴記憶部の発行履歴、無効履歴記憶部の無効化履歴を説明する図である。
本実施形態は、判定装置の処理が、第1実施形態とは異なる。
発行履歴262a−1,262a−3に示すように、本実施形態の判定装置は、発行履歴から無効化カードのカード識別情報を削除する処理(
図5の処理S3参照)を行わない。
また、本実施形態の判定装置の判定部(
図4に示す判定部63b参照)は、第1実施形態のS7の処理の替わりに、以下のように、同一のカード識別情報について、発行履歴が無効化履歴よりも2つ大きい場合に、二重発行であると判定する。
【0052】
図7の発行履歴262a−3は、発行履歴262a−1の状態から、カードが再発行されて履歴が更新された例である。
発行履歴262a−3に示すように、カード識別情報「0010」のカードが新たに発行された場合には(♯221)、発行履歴記憶部262a−3内には、カード識別情報「0010」は、2つ存在する。また、無効化履歴262b−1内には、カード識別情報「0010」が1つ存在する。このため、カード識別情報「0010」については、発行履歴が無効化履歴よりも「1つ」大きい。この場合には、カード識別情報「0010」のカードは、発行後に無効化加工され、その後に、再発行されたことになる。このため、判定部は、正常であると判定する。
【0053】
一方、発行履歴262a−3に示すように、カード識別情報「0015」が新たに発行された場合には(♯222)、発行履歴262a−3内には、カード識別情報「0015」は、2つ存在する。また、無効化履歴262b−1内には、カード識別情報「0015」は、存在しない。このため、カード識別情報「0010」については、発行履歴が無効化履歴よりも「2つ」大きい。この状態は、既に発行したカード識別情報「0015」のカードが無効化されることなく、同じカード識別情報「0015」のカードが新たに発行された状態である。この状態は、同じカード識別情報「0015」のカードが複数存在し、異常な状態であるため、判定部は、報知処理に進む。
【0054】
上記処理は、再発行回数が2回以上になった場合でも同様であり、つまり、同一のカード識別情報について、発行履歴が無効化履歴よりも「2つ」大きければ、二重発行であると判定することができる。
以上説明したように、本実施形態の判定装置は、発行履歴を無効化履歴に基づいて更新する処理をすることなく、カードの二重発行を判定することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、後述する変形形態等のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0056】
(変形形態)
(1)実施形態において、無効化装置は、カードの外観を変化させるために、無効孔を空ける例を示したが、これに限定されない。無効化装置は、例えば、カードに「無効」といった文字を印刷することにより、カードの外観を変化させてもよい。
【0057】
(2)実施形態において、無効化装置は、無効化カードを搬送するために、カード入口、装置内部、カード出口等に、ローラを備える例を示したが、これに限定されない。無効化装置は、例えば、カードを掴む単軸ロボットを備え、これが、カード入口で不合格カードを掴んで、装置内部で搬送し、カード出口で離す形態にしてもよい。
この形態は、搬送時において、カードのエンボスやカードの反り等に起因するカード詰まり(搬送ジャム)を抑制できる。このため、この形態は、カード詰まりに応じて作業者等が装置内部に手を入れる機会を少なくできるので、装置内からカードを抜き取る等の不正を、より抑制できる。