特許第6233113号(P6233113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233113
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】光送信装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20171113BHJP
   H04B 10/50 20130101ALI20171113BHJP
   G02B 6/34 20060101ALI20171113BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20171113BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G02F1/01 F
   H04B10/50
   G02B6/34
   G02B6/30
   G02B6/32
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-47913(P2014-47913)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-172630(P2015-172630A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】土居 正治
(72)【発明者】
【氏名】久保田 嘉伸
(72)【発明者】
【氏名】川島 由匡
(72)【発明者】
【氏名】久保 輝洋
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−212531(JP,A)
【文献】 特開2013−182222(JP,A)
【文献】 特開平11−014681(JP,A)
【文献】 特開2012−203282(JP,A)
【文献】 特開2001−036505(JP,A)
【文献】 特開2003−329990(JP,A)
【文献】 特開2002−090574(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0194237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12− 6/14
G02F 1/00− 1/125
1/21− 7/00
H04B 10/00−10/90
H04J 14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長の光を第1のデータで変調する第1の光変調器と、第2の波長の光を第2のデータで変調する第2の光変調器とが、その幅方向に沿って並列に設けられた基板と、
前記第1の光変調器により前記第1の波長の光が変調されて得られる第1の偏波の第1の出力光と第2の偏波の第2の出力光の光路を前記基板の幅方向に沿って前記第2の光変調器とは反対側に移動させる第1のプリズムと、
前記第1のプリズムにより移動された前記第1及び前記第2の出力光を偏波合成する第1の偏波合成器と、
前記第2の光変調器により前記第2の波長の光が変調されて得られる第1の偏波の第3の出力光と第2の偏波の第4の出力光の光路を前記基板の幅方向に沿って前記第1の光変調器とは反対側に移動させる第2のプリズムと
前記第2のプリズムにより移動された前記第3及び前記第4の出力光を偏波合成する第2の偏波合成器と、
前記基板、前記第1のプリズム、前記第1の偏波合成器、前記第2のプリズム、及び前記第2の偏波合成器を収容する筐体と、
前記筐体の外部に固定され、前記第1の偏波合成器からの光を集光する第1の集光レンズを保持する第1のレンズホルダと、
前記筐体の外部に固定され、前記第2の偏波合成器からの光を集光する第2の集光レンズを保持する第2のレンズホルダと
を備え
前記第1の偏波合成器は、前記基板の長手方向に対して、前記第1のプリズムと前記第1の集光レンズとの間に、且つ、前記基板の幅方向に対して、前記基板の側面よりも前記筐体の側壁側に位置し、
前記第2の偏波合成器は、前記基板の長手方向に対して、前記第2のプリズムと前記第2の集光レンズとの間に、且つ、前記基板の幅方向に対して、前記基板の側面よりも前記筐体の側壁側に位置し、 前記第1のプリズムの前記第2のプリズム側の端と、前記第2のプリズムの前記第1のプリズム側の端とが、前記基板の長手方向に沿って所定の距離だけ離れた位置に配設されることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
前記第2のプリズムは、前記基板の長手方向に沿って前記第1のプリズムから離反する位置に、前記基板の長手方向から見て前記第1のプリズムの一部と重なり合うように配設されることを特徴とする請求項1に記載の光送信装置。
【請求項3】
前記第1のプリズムと、前記第2のプリズムとは、前記基板の幅方向に沿った長さが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の光送信装置。
【請求項4】
前記基板と前記第1のプリズムとの間に設けられ、前記第1及び前記第2の出力光をそれぞれコリメートする第1及び第2のコリメートレンズと、
前記基板と前記第2のプリズムとの間に設けられ、前記第3及び前記第4の出力光をそれぞれコリメートする第3及び第4のコリメートレンズと
前記第1及び前記第2のコリメートレンズと、前記第3及び前記第4のコリメートレンズとを前記基板の幅方向に沿ってアレイ状に保持するコリメートレンズ保持部材と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光送信装置。
【請求項5】
前記第1のレンズホルダ及び前記第2のレンズホルダは、レーザ溶接により前記筐体の外部に固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光送信装置。
【請求項6】
前記第1の偏波合成器及び前記第2の偏波合成器は、1/2波長板と、PBC(Polarization Beam Combiner)プリズムとを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光送信装置。
【請求項7】
前記第1の偏波合成器及び前記第2の偏波合成器は、1/2波長板と、一軸結晶とを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光送信装置。
【請求項8】
前記第1の波長の光を発する第1の光源と、
前記第2の波長の光を発する第2の光源と
をさらに備え、
前記筐体は、前記第1の光源及び前記第2の光源をさらに収容することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの高速化を実現するための伝送方式として、偏波多重方式が知られている。偏波多重方式とは、偏波が互いに直交する信号光を合成した偏波多重光を利用して二つの独立したデータを一度に伝送する伝送方式である。
【0003】
偏波多重方式を採用した光送信装置では、所定の波長の光を変調する光変調器が搭載される。光変調器によって所定の波長の光が変調されて得られる2つの信号光は、互いに偏波を直交させた状態で合成され、偏波多重光として後段側の光伝送路へ出力される。
【0004】
このような光送信装置では、通信の高速化を更に促進するための技術が種々検討されている。例えば、互いに異なる複数の波長にそれぞれ対応した複数の光変調器を1つの基板に集積する技術が知られている。この技術では、互いに異なる2つの波長の光をそれぞれ変調する2つの光変調器が基板の幅方向に沿って並列に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−36505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術では、複数の光変調器を1つの基板に集積した装置を小型化しつつ、光学部品の損傷を防ぐ点までは考慮されていない。
【0007】
この点について説明する。複数の光変調器を1つの基板に集積するためには、基板の幅を増大することが考えられる。ただし、基板の幅が増大されると、装置全体の小型化が阻害される。さらに、基板の幅が増大されると、光変調器による光の変調に用いられる電気信号の伝搬距離が長くなるため、電気信号が減衰する。結果として、電気信号により光が変調されて得られる信号光の品質が劣化する。このような信号光の品質の劣化を回避するためには、基板の幅の増大を抑えることが好ましい。
【0008】
これに対して、複数の変調器の各々の後段に光路変換プリズムと呼ばれる光学部品を設け、複数の変調器の各々から出力される信号光の光路の間隔を基板の幅方向に沿って拡げる構造が考えられる。この構造では、基板の幅が狭小化された場合であっても、光路変換プリズムよりも後段側に他の光学部品を配置するためのスペースが確保される。ただし、基板の幅が狭くなるほど、光路変換プリズムどうしが接触して破損する可能性が高まるという問題がある。
【0009】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の光変調器を1つの基板に集積した装置を小型化しつつ、光学部品の損傷を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の開示する光送信装置は、一つの態様において、基板と、第1のプリズムと、第2のプリズムとを有する。基板は、第1の波長の光を変調する第1の光変調器と、第2の波長の光を変調する第2の光変調器とが幅方向に沿って並列に設けられた基板である。第1のプリズムは、前記第1の光変調器により前記第1の波長の光が変調されて得られる第1及び第2の出力光の光路を前記基板の幅方向に沿って前記第2の光変調器とは反対側に移動させる。第2のプリズムは、前記基板の長手方向に沿って前記第1のプリズムから離反する位置に配設され、前記第2の光変調器により前記第2の波長の光が変調されて得られる第3及び第4の出力光の光路を前記基板の幅方向に沿って前記第1の変調器とは反対側に移動させる。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示する光送信装置の一つの態様によれば、複数の光変調器を1つの基板に集積した装置を小型化しつつ、光学部品の損傷を防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例1に係る光送信装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施例2に係る光送信装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施例3に係る光送信装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施例4に係る光送信装置の構成例を示す図である。
図5図5は、実施例5に係る光送信装置の構成例を示す図である。
図6図6は、実施例6に係る光送信装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する光送信装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る光送信装置の構成例を示す図である。図1に示す光送信装置10は、光源11−1,11−2と、接続部材12と、変調用基板13と、コリメートレンズ14−1,14−2と、コリメートレンズ15−1,15−2と、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17とを有する。また、光送信装置10は、偏波合成器18と、偏波合成器19と、筐体20と、集光レンズ21と、レンズホルダ22と、光ファイバ23と、集光レンズ24と、レンズホルダ25と、光ファイバ26とを有する。
【0015】
なお、図1において、変調用基板13の幅方向に沿ってy軸が定義され、変調用基板13の長手方向に沿ってx軸が定義されるものとする。また、変調用基板13の幅方向に沿って第2の光変調器132とは反対側が、y軸の正方向であり、変調用基板13の幅方向に沿って第1の光変調器131とは反対側が、y軸の負方向であるものとする。また、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16とは反対側が、x軸の正方向であり、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16の側が、x軸の負方向であるものとする。
【0016】
光源11−1,11−2は、互いに波長が異なる光を発する。具体的には、光源11−1は、波長λ1の光を発し、光源11−2は、波長λ1とは異なる波長λ2の光を発する。波長λ1の光及び波長λ2の光は、それぞれ、第1の波長の光及び第2の波長の光の一例である。
【0017】
接続部材12は、光源11−1,11−2と、変調用基板13とを光学的に接続する部材である。光源11−1から発せられる波長λ1の光は、接続部材12を介して、後述する変調用基板13上の第1の光変調器131へ入力される。光源11−2から発せられる波長λ2の光は、接続部材12を介して、後述する変調用基板13上の第2の光変調器132へ入力される。
【0018】
変調用基板13は、中継基板133と接続される基板であり、中継基板133から供給される電気信号を用いて光を変調するための基板である。変調用基板13には、第1の光変調器131と、第2の光変調器132とが、変調用基板13の幅方向に沿って、すなわち、y軸方向に沿って並列に設けられる。
【0019】
第1の光変調器131は、接続部材12を介して光源11−1から入力される波長λ1の光を変調する。具体的には、第1の光変調器131は、光変調部131a及び光変調部131bを有する。光変調部131aは、波長λ1の光が光カプラ等により分岐されると、分岐により得られる一方の波長λ1の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部131aにより波長λ1の光が変調されて得られる光を、第1の出力光と呼ぶ。光変調部131aは、第1の出力光をコリメートレンズ14−1へ出力する。
【0020】
光変調部131bは、分岐により得られる他方の波長λ1の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部131bにより波長λ1の光が変調されて得られる光を、第2の出力光と呼ぶ。光変調部131bは、第2の出力光をコリメートレンズ14−2へ出力する。
【0021】
第2の光変調器132は、接続部材12を介して光源11−2から入力される波長λ2の光を変調する。具体的には、第2の光変調器132は、光変調部132a及び光変調部132bを有する。光変調部132aは、波長λ2の光が光カプラ等により分岐されると、分岐により得られる一方の波長λ2の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部132aにより波長λ2の光が変調されて得られる光を、第3の出力光と呼ぶ。光変調部132aは、第3の出力光をコリメートレンズ15−1へ出力する。
【0022】
光変調部132bは、分岐により得られる他方の波長λ2の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部132bにより波長λ2の光が変調されて得られる光を、第4の出力光と呼ぶ。光変調部132bは、第4の出力光をコリメートレンズ15−2へ出力する。
【0023】
コリメートレンズ14−1,14−2は、変調用基板13と、光路変換プリズム16との間に設けられ、光変調部131a及び光変調部131bから入力される第1及び第2の出力光をそれぞれコリメートする。
【0024】
コリメートレンズ15−1,15−2は、変調用基板13と、光路変換プリズム17との間に設けられ、光変調部132a及び光変調部132bから入力される第3及び第4の出力光をそれぞれコリメートする。
【0025】
光路変換プリズム16は、コリメートレンズ14−1,14−2によりそれぞれコリメートされる第1及び第2の出力光の光路をy軸の正方向に移動させる。換言すれば、光路変換プリズム16は、第1及び第2の出力光の光路と、第3及び第4の出力光の光路との間隔が拡がる方向に、第1及び第2の出力光の光路を移動させる。
【0026】
光路変換プリズム17は、コリメートレンズ15−1,15−2によりそれぞれコリメートされる第3及び第4の出力光の光路をy軸の負方向に移動させる。換言すれば、光路変換プリズム17は、第1及び第2の出力光の光路と、第3及び第4の出力光の光路との間隔が拡がる方向に、第3及び第4の出力光の光路を移動させる。
【0027】
また、光路変換プリズム17は、変調用基板13の長手方向、すなわち、x軸方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。図1に示す例では、光路変換プリズム17は、光路変換プリズム16と光路変換プリズム17とが接触しないように予め設定された距離Sだけ、x軸の負方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。
【0028】
また、光路変換プリズム17は、x軸方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に、x軸方向から見て光路変換プリズム16の一部と重なり合うように配設される。x軸方向から見て光路変換プリズム17が光路変換プリズム16の一部と重なり合うことによって、y軸の正方向側に存在する光路変換プリズム16の端部からy軸の負方向側に存在する光路変換プリズム17の端部までの距離が最小化される。
【0029】
偏波合成器18は、光路変換プリズム16から出力される第1及び第2の出力光を偏波合成する。具体的には、偏波合成器18は、1/2波長板181と、PBC(Polarization Beam Combiner)プリズム182とを含む。1/2波長板181は、光路変換プリズム16から出力される第1及び第2の出力光のうちいずれか一方の出力光の偏波を他方の出力光の偏波に対して90度回転する。図1の例では、1/2波長板181は、光路変換プリズム16から出力される第2の出力光の偏波を第1の出力光の偏波に対して90度回転する。
【0030】
PBCプリズム182は、1/2波長板181により偏波が回転された一方の出力光と、他方の出力光とを偏波合成することによって、偏波多重光を生成する。
【0031】
偏波合成器19は、光路変換プリズム17から出力される第3及び第4の出力光を偏波合成する。具体的には、偏波合成器19は、1/2波長板191と、PBCプリズム192とを含む。1/2波長板191は、光路変換プリズム17から出力される第3及び第4の出力光のうちいずれか一方の出力光の偏波を他方の出力光の偏波に対して90度回転する。図1の例では、1/2波長板191は、光路変換プリズム17から出力される第4の出力光の偏波を第3の出力光の偏波に対して90度回転する。
【0032】
PBCプリズム192は、1/2波長板191により偏波が回転された一方の出力光と、他方の出力光とを偏波合成することによって、偏波多重光を生成する。
【0033】
筐体20は、接続部材12、変調用基板13、コリメートレンズ14−1,14−2、コリメートレンズ15−1,15−2、光路変換プリズム16、光路変換プリズム17、偏波合成器18及び偏波合成器19を収容する。筐体20の側壁には、筐体20の外部に配置され、光の変調に用いられる電気信号を発生する電気信号源(不図示)と、中継基板133とを電気的に接続するコネクタ20aが設けられる。
【0034】
集光レンズ21は、偏波合成器18により第1及び第2の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光を光ファイバ23に向けて集光する。
【0035】
レンズホルダ22は、筐体20の外部に固定され、集光レンズ21を保持する。レンズホルダ22は、例えばレーザ溶接により筐体20の外部に固定される。
【0036】
光ファイバ23は、集光レンズ21により集光される偏波多重光を後段側に伝送する。
【0037】
集光レンズ24は、偏波合成器19により第3及び第4の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光を光ファイバ26に向けて集光する。
【0038】
レンズホルダ25は、筐体20の外部に固定され、集光レンズ24を保持する。レンズホルダ25は、例えばレーザ溶接により筐体20の外部に固定される。
【0039】
光ファイバ26は、集光レンズ24により集光される偏波多重光を後段側に伝送する。
【0040】
次に、実施例1の光送信装置10による作用について説明する。光送信装置10の光源11−1から発せられる波長λ1の光は、接続部材12を介して、変調用基板13上の第1の光変調器131へ入力される。光源11−2から発せられる波長λ2の光は、接続部材12を介して、変調用基板13上の第2の光変調器132へ入力される。そして、第1の光変調器131へ入力される波長λ1の光が光変調部131a及び光変調部131bにより変調されることによって、第1及び第2の出力光が得られる。一方、第2の光変調器132へ入力される波長λ2の光が光変調部132a及び光変調部132bにより変調されることによって、第3及び第4の出力光が得られる。
【0041】
続いて、第1の光変調器131から出力される第1及び第2の出力光は、コリメートレンズ14−1,14−2によりコリメートされる。一方、第2の光変調器132から出力される第3及び第4の出力光は、コリメートレンズ15−1,15−2によりコリメートされる。
【0042】
続いて、コリメートレンズ14−1,14−2によりコリメートされた第1及び第2の出力光の光路は、光路変換プリズム16によりy軸の正方向に移動される。一方、コリメートレンズ15−1,15−2によりコリメートされた第3及び第4の出力光の光路は、光路変換プリズム17によりy軸の負方向に移動される。すなわち、コリメートレンズ14−1,14−2によりコリメートされた第1及び第2の出力光の光路と、コリメートレンズ15−1,15−2によりコリメートされた第3及び第4の出力光の光路との間隔が拡がる。このため、変調用基板13の幅が狭小化された場合であっても、光路変換プリズム16及び光路変換プリズム17よりも後段側に偏波合成器18及び偏波合成器19等の光学部品を配置するためのスペースが確保される。
【0043】
ただし、変調用基板13の幅が過度に狭くなるほど、光路変換プリズム16と光路変換プリズム17とが接触して破損する可能性が高まる。この点、実施例1の光送信装置10では、光路変換プリズム17が、変調用基板13の長手方向、すなわち、x軸方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。このため、変調用基板13の幅が狭小化された場合であっても、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17との接触が回避される。
【0044】
続いて、光路変換プリズム16により光路が移動された第1及び第2の出力光は、偏波合成器18により偏波合成される。一方、光路変換プリズム17により光路が移動された第3及び第4の出力光は、偏波合成器19により偏波合成される。
【0045】
続いて、偏波合成器18により第1及び第2の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光は、集光レンズ21により光ファイバ23に向けて集光される。一方、偏波合成器19により第3及び第4の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光は、集光レンズ24により光ファイバ26に向けて集光される。
【0046】
上述したように、実施例1の光送信装置10は、波長λ1の光を変調する第1の光変調器131と、波長λ2の光を変調する第2の光変調器132とが幅方向に沿って並列に設けられた変調用基板13を有する。また、光送信装置10は、第1の光変調器131により波長λ1の光が変調されて得られる第1及び第2の出力光の光路を変調用基板13の幅方向に沿って第2の光変調器132とは反対側に移動させる光路変換プリズム16を有する。また、光送信装置10は、第2の光変調器132により波長λ2の光が変調されて得られる第3及び第4の出力光の光路を変調用基板13の幅方向に沿って第1の光変調器131とは反対側に移動させる光路変換プリズム17を有する。そして、光路変換プリズム17は、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。
【0047】
このため、実施例1によれば、変調用基板13の幅が狭小化された場合であっても、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17との接触が回避される。結果として、実施例1によれば、第1の光変調器131と第2の光変調器132とを1つの変調用基板13に集積した光送信装置10を小型化しつつ、光路変換プリズム16及び光路変換プリズム17の損傷を防ぐことができる。さらに、実施例1によれば、変調用基板13の幅を可及的に狭小化することができるので、変調用基板13上の第1の光変調器131及び第2の光変調器132による光の変調に用いられる電気信号の伝搬距離を短縮化することができる。結果として、実施例1によれば、第1の光変調器131及び第2の光変調器132から出力される出力光の品質の劣化を抑制することができる。
【0048】
また、実施例1の光送信装置10では、光路変換プリズム17は、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に、変調用基板13の長手方向から見て光路変換プリズム16の一部と重なり合うように配設される。
【0049】
このため、実施例1によれば、y軸の正方向側に存在する光路変換プリズム16の端部からy軸の負方向側に存在する光路変換プリズム17の端部までの距離が最小化される。結果として、実施例1によれば、第1の光変調器131と第2の光変調器132とを1つの変調用基板13に集積した光送信装置10を変調用基板13の幅方向に沿って小型化することができる。
【0050】
また、実施例1の光送信装置10では、レンズホルダ22及びレンズホルダ25が、レーザ溶接により変調用基板13の外部に固定される。
【0051】
このため、実施例1によれば、偏波多重光における偏波間の損失差が存在する場合に、レンズホルダ22又はレンズホルダ25の位置、及び、ファイバ23又はファイバ26の位置を調整することにより、偏波間の損失差を小さくすることができる。さらに、レーザ溶接の固定時にそれらの位置がずれた場合、追加溶接により、微調が可能である。結果として、実施例1によれば、偏波多重光における偏波間の損失差を各波長の光ごとに抑制することが可能である。
【0052】
また、実施例1の光送信装置10では、偏波合成器18は、1/2波長板181と、PBCプリズム182とを含む。また、偏波合成器19は、1/2波長板191と、PBCプリズム192とを含む。
【0053】
このため、実施例1によれば、偏波合成器18及び偏波合成器19を小型化することができ、結果として、光送信装置10を更に小型化することができる。
【実施例2】
【0054】
次に、実施例2に係る光送信装置210について、図2を用いて説明する。図2は、実施例2に係る光送信装置の構成例を示す図である。実施例2に係る光送信装置210は、光路変換プリズムの形状等が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、以下では、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図2に示すように、実施例2に係る光送信装置210では、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17とは、変調用基板13の幅方向に沿った長さが異なる。例えば、図2の例では、y軸方向に沿った光路変換プリズム17の長さLp2が、y軸方向に沿った光路変換プリズム16の長さLp1よりも小さい。これにより、変調用基板13と筐体20のコネクタ20aとの間隔が小さくなる。
【0056】
上述したように、実施例2の光送信装置210では、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17とは、変調用基板13の幅方向に沿った長さが異なる。このため、実施例2によれば、変調用基板13と筐体20のコネクタ20aとの間隔を自由に調整することができ、他の光学部品の配置の自由度が高まる。結果として、実施例2によれば、第1の光変調器131と第2の光変調器132とを1つの変調用基板13に集積した光送信装置210を更に小型化することができる。
【実施例3】
【0057】
次に、実施例3に係る光送信装置310について、図3を用いて説明する。図3は、実施例3に係る光送信装置の構成例を示す図である。実施例3に係る光送信装置310は、複数のコリメートレンズがアレイ状に保持される点が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、以下では、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図3に示すように、実施例3に係る光送信装置310は、コリメートレンズ保持部材30をさらに有する。コリメートレンズ保持部材30は、コリメートレンズ14−1,14−2と、コリメートレンズ15−1,15−2とをy軸方向に沿ってアレイ状に保持する。
【0059】
上述したように、実施例3の光送信装置310は、コリメートレンズ14−1,14−2と、コリメートレンズ15−1,15−2とをy軸方向に沿ってアレイ状に保持するコリメートレンズ保持部材30を有する。このため、実施例3によれば、コリメートレンズの実装時の作業性を向上することができる。
【実施例4】
【0060】
次に、実施例4に係る光送信装置410について、図4を用いて説明する。図4は、実施例4に係る光送信装置の構成例を示す図である。実施例4に係る光送信装置410は、偏波合成器と集光レンズとが一体的に保持される点が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、以下では、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
図4に示すように、実施例4に係る光送信装置410では、筐体20は、偏波合成器18を収容しない。また、レンズホルダ22は、偏波合成器18と集光レンズ21とを一体的に保持する。また、レンズホルダ25は、偏波合成器19と集光レンズ24とを一体的に保持する。
【0062】
上述したように、実施例4の光送信装置410では、レンズホルダ22は、偏波合成器18と集光レンズ21とを一体的に保持する。また、レンズホルダ25は、偏波合成器19と集光レンズ24とを一体的に保持する。このため、実施例4によれば、変調用基板13の幅方向に沿って偏波合成器18及び偏波合成器19に相当する領域だけ筐体20を小型化することができる。結果として、第1の光変調器131と第2の光変調器132とを1つの変調用基板13に集積した光送信装置10を変調用基板13の幅方向に沿って小型化することができる。
【実施例5】
【0063】
次に、実施例5に係る光送信装置510について、図5を用いて説明する。図5は、実施例5に係る光送信装置の構成例を示す図である。実施例5に係る光送信装置510は、偏波合成器の構成等が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、以下では、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図5に示すように、実施例5の光送信装置510は、図1に示した偏波合成器18及び偏波合成器19に代えて、偏波合成器58及び偏波合成器59を有する。
【0065】
偏波合成器58は、光路変換プリズム16から出力される第1及び第2の出力光を偏波合成する。具体的には、偏波合成器58は、1/2波長板181と、一軸結晶582とを含む。1/2波長板181は、図1に示した1/2波長板181に対応する。
【0066】
一軸結晶582は、偏波ごとに異なる屈折率により生じるウォークオフ角度を用いて、1/2波長板181により偏波が回転された一方の出力光と、他方の出力光とを偏波合成することによって、偏波多重光を生成する。
【0067】
偏波合成器59は、光路変換プリズム17から出力される第3及び第4の出力光を偏波合成する。具体的には、偏波合成器59は、1/2波長板191と、一軸結晶592とを含む。1/2波長板191は、図1に示した1/2波長板191に対応する。
【0068】
一軸結晶592は、偏波ごとに異なる屈折率により生じるウォークオフ角度を用いて、1/2波長板191により偏波が回転された一方の出力光と、他方の出力光とを偏波合成することによって、偏波多重光を生成する。
【0069】
上述したように、実施例5の光送信装置510では、偏波合成器58は、1/2波長板181と、一軸結晶582とを含む。また、偏波合成器59は、1/2波長板191と、一軸結晶592とを含む。このため、実施例5によれば、偏波合成器58及び偏波合成器59を小型化することができ、結果として、光送信装置510を更に小型化することができる。
【実施例6】
【0070】
次に、実施例6に係る光送信装置610について、図6を用いて説明する。図6は、実施例6に係る光送信装置の構成例を示す図である。実施例6に係る光送信装置610は、光源11−1,11−2の配置態様等が実施例1と異なるだけであり、その他の構成は実施例1と同様である。したがって、以下では、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図6に示すように、実施例6に係る光送信装置610では、筐体20は、光源11−1,11−2をさらに収容する。また、光送信装置610は、接続部材12に代えて、レンズ61,62を有する。レンズ61は、光源11−1から発せられる波長λ1の光を変調用基板13上の第1の光変調器131へ入力する。レンズ62は、光源11−2から発せられる波長λ2の光を変調用基板13上の第2の光変調器132へ入力する。
【0072】
上述したように、実施例6の光送信装置610では、筐体20は、光源11−1,11−2をさらに収容する。このため、実施例6によれば、第1の光変調器131と第2の光変調器132とを1つの変調用基板13に集積した光送信装置610を、変調用基板13の幅方向に沿って光源11−1,11−2に相当する領域の分だけ小型化することができる。
【符号の説明】
【0073】
10、210、310、410、510、610 光送信装置
11−1、11−2 光源
13 変調用基板
14−1、14−2、15−1、15−2 コリメートレンズ
16、17 光路変換プリズム
18、19、58、59 偏波合成器
20 筐体
21、24 集光レンズ
22、25 レンズホルダ
30 コリメートレンズ保持部材
131 第1の光変調器
132 第2の光変調器
181、191 1/2波長板
182、192 PBCプリズム
582、592 一軸結晶
図1
図2
図3
図4
図5
図6