【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る光送信装置の構成例を示す図である。
図1に示す光送信装置10は、光源11−1,11−2と、接続部材12と、変調用基板13と、コリメートレンズ14−1,14−2と、コリメートレンズ15−1,15−2と、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17とを有する。また、光送信装置10は、偏波合成器18と、偏波合成器19と、筐体20と、集光レンズ21と、レンズホルダ22と、光ファイバ23と、集光レンズ24と、レンズホルダ25と、光ファイバ26とを有する。
【0015】
なお、
図1において、変調用基板13の幅方向に沿ってy軸が定義され、変調用基板13の長手方向に沿ってx軸が定義されるものとする。また、変調用基板13の幅方向に沿って第2の光変調器132とは反対側が、y軸の正方向であり、変調用基板13の幅方向に沿って第1の光変調器131とは反対側が、y軸の負方向であるものとする。また、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16とは反対側が、x軸の正方向であり、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16の側が、x軸の負方向であるものとする。
【0016】
光源11−1,11−2は、互いに波長が異なる光を発する。具体的には、光源11−1は、波長λ1の光を発し、光源11−2は、波長λ1とは異なる波長λ2の光を発する。波長λ1の光及び波長λ2の光は、それぞれ、第1の波長の光及び第2の波長の光の一例である。
【0017】
接続部材12は、光源11−1,11−2と、変調用基板13とを光学的に接続する部材である。光源11−1から発せられる波長λ1の光は、接続部材12を介して、後述する変調用基板13上の第1の光変調器131へ入力される。光源11−2から発せられる波長λ2の光は、接続部材12を介して、後述する変調用基板13上の第2の光変調器132へ入力される。
【0018】
変調用基板13は、中継基板133と接続される基板であり、中継基板133から供給される電気信号を用いて光を変調するための基板である。変調用基板13には、第1の光変調器131と、第2の光変調器132とが、変調用基板13の幅方向に沿って、すなわち、y軸方向に沿って並列に設けられる。
【0019】
第1の光変調器131は、接続部材12を介して光源11−1から入力される波長λ1の光を変調する。具体的には、第1の光変調器131は、光変調部131a及び光変調部131bを有する。光変調部131aは、波長λ1の光が光カプラ等により分岐されると、分岐により得られる一方の波長λ1の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部131aにより波長λ1の光が変調されて得られる光を、第1の出力光と呼ぶ。光変調部131aは、第1の出力光をコリメートレンズ14−1へ出力する。
【0020】
光変調部131bは、分岐により得られる他方の波長λ1の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部131bにより波長λ1の光が変調されて得られる光を、第2の出力光と呼ぶ。光変調部131bは、第2の出力光をコリメートレンズ14−2へ出力する。
【0021】
第2の光変調器132は、接続部材12を介して光源11−2から入力される波長λ2の光を変調する。具体的には、第2の光変調器132は、光変調部132a及び光変調部132bを有する。光変調部132aは、波長λ2の光が光カプラ等により分岐されると、分岐により得られる一方の波長λ2の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部132aにより波長λ2の光が変調されて得られる光を、第3の出力光と呼ぶ。光変調部132aは、第3の出力光をコリメートレンズ15−1へ出力する。
【0022】
光変調部132bは、分岐により得られる他方の波長λ2の光を中継基板133から供給される電気信号を用いて変調する。以下では、光変調部132bにより波長λ2の光が変調されて得られる光を、第4の出力光と呼ぶ。光変調部132bは、第4の出力光をコリメートレンズ15−2へ出力する。
【0023】
コリメートレンズ14−1,14−2は、変調用基板13と、光路変換プリズム16との間に設けられ、光変調部131a及び光変調部131bから入力される第1及び第2の出力光をそれぞれコリメートする。
【0024】
コリメートレンズ15−1,15−2は、変調用基板13と、光路変換プリズム17との間に設けられ、光変調部132a及び光変調部132bから入力される第3及び第4の出力光をそれぞれコリメートする。
【0025】
光路変換プリズム16は、コリメートレンズ14−1,14−2によりそれぞれコリメートされる第1及び第2の出力光の光路をy軸の正方向に移動させる。換言すれば、光路変換プリズム16は、第1及び第2の出力光の光路と、第3及び第4の出力光の光路との間隔が拡がる方向に、第1及び第2の出力光の光路を移動させる。
【0026】
光路変換プリズム17は、コリメートレンズ15−1,15−2によりそれぞれコリメートされる第3及び第4の出力光の光路をy軸の負方向に移動させる。換言すれば、光路変換プリズム17は、第1及び第2の出力光の光路と、第3及び第4の出力光の光路との間隔が拡がる方向に、第3及び第4の出力光の光路を移動させる。
【0027】
また、光路変換プリズム17は、変調用基板13の長手方向、すなわち、x軸方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。
図1に示す例では、光路変換プリズム17は、光路変換プリズム16と光路変換プリズム17とが接触しないように予め設定された距離Sだけ、x軸の負方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。
【0028】
また、光路変換プリズム17は、x軸方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に、x軸方向から見て光路変換プリズム16の一部と重なり合うように配設される。x軸方向から見て光路変換プリズム17が光路変換プリズム16の一部と重なり合うことによって、y軸の正方向側に存在する光路変換プリズム16の端部からy軸の負方向側に存在する光路変換プリズム17の端部までの距離が最小化される。
【0029】
偏波合成器18は、光路変換プリズム16から出力される第1及び第2の出力光を偏波合成する。具体的には、偏波合成器18は、1/2波長板181と、PBC(Polarization Beam Combiner)プリズム182とを含む。1/2波長板181は、光路変換プリズム16から出力される第1及び第2の出力光のうちいずれか一方の出力光の偏波を他方の出力光の偏波に対して90度回転する。
図1の例では、1/2波長板181は、光路変換プリズム16から出力される第2の出力光の偏波を第1の出力光の偏波に対して90度回転する。
【0030】
PBCプリズム182は、1/2波長板181により偏波が回転された一方の出力光と、他方の出力光とを偏波合成することによって、偏波多重光を生成する。
【0031】
偏波合成器19は、光路変換プリズム17から出力される第3及び第4の出力光を偏波合成する。具体的には、偏波合成器19は、1/2波長板191と、PBCプリズム192とを含む。1/2波長板191は、光路変換プリズム17から出力される第3及び第4の出力光のうちいずれか一方の出力光の偏波を他方の出力光の偏波に対して90度回転する。
図1の例では、1/2波長板191は、光路変換プリズム17から出力される第4の出力光の偏波を第3の出力光の偏波に対して90度回転する。
【0032】
PBCプリズム192は、1/2波長板191により偏波が回転された一方の出力光と、他方の出力光とを偏波合成することによって、偏波多重光を生成する。
【0033】
筐体20は、接続部材12、変調用基板13、コリメートレンズ14−1,14−2、コリメートレンズ15−1,15−2、光路変換プリズム16、光路変換プリズム17、偏波合成器18及び偏波合成器19を収容する。筐体20の側壁には、筐体20の外部に配置され、光の変調に用いられる電気信号を発生する電気信号源(不図示)と、中継基板133とを電気的に接続するコネクタ20aが設けられる。
【0034】
集光レンズ21は、偏波合成器18により第1及び第2の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光を光ファイバ23に向けて集光する。
【0035】
レンズホルダ22は、筐体20の外部に固定され、集光レンズ21を保持する。レンズホルダ22は、例えばレーザ溶接により筐体20の外部に固定される。
【0036】
光ファイバ23は、集光レンズ21により集光される偏波多重光を後段側に伝送する。
【0037】
集光レンズ24は、偏波合成器19により第3及び第4の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光を光ファイバ26に向けて集光する。
【0038】
レンズホルダ25は、筐体20の外部に固定され、集光レンズ24を保持する。レンズホルダ25は、例えばレーザ溶接により筐体20の外部に固定される。
【0039】
光ファイバ26は、集光レンズ24により集光される偏波多重光を後段側に伝送する。
【0040】
次に、実施例1の光送信装置10による作用について説明する。光送信装置10の光源11−1から発せられる波長λ1の光は、接続部材12を介して、変調用基板13上の第1の光変調器131へ入力される。光源11−2から発せられる波長λ2の光は、接続部材12を介して、変調用基板13上の第2の光変調器132へ入力される。そして、第1の光変調器131へ入力される波長λ1の光が光変調部131a及び光変調部131bにより変調されることによって、第1及び第2の出力光が得られる。一方、第2の光変調器132へ入力される波長λ2の光が光変調部132a及び光変調部132bにより変調されることによって、第3及び第4の出力光が得られる。
【0041】
続いて、第1の光変調器131から出力される第1及び第2の出力光は、コリメートレンズ14−1,14−2によりコリメートされる。一方、第2の光変調器132から出力される第3及び第4の出力光は、コリメートレンズ15−1,15−2によりコリメートされる。
【0042】
続いて、コリメートレンズ14−1,14−2によりコリメートされた第1及び第2の出力光の光路は、光路変換プリズム16によりy軸の正方向に移動される。一方、コリメートレンズ15−1,15−2によりコリメートされた第3及び第4の出力光の光路は、光路変換プリズム17によりy軸の負方向に移動される。すなわち、コリメートレンズ14−1,14−2によりコリメートされた第1及び第2の出力光の光路と、コリメートレンズ15−1,15−2によりコリメートされた第3及び第4の出力光の光路との間隔が拡がる。このため、変調用基板13の幅が狭小化された場合であっても、光路変換プリズム16及び光路変換プリズム17よりも後段側に偏波合成器18及び偏波合成器19等の光学部品を配置するためのスペースが確保される。
【0043】
ただし、変調用基板13の幅が過度に狭くなるほど、光路変換プリズム16と光路変換プリズム17とが接触して破損する可能性が高まる。この点、実施例1の光送信装置10では、光路変換プリズム17が、変調用基板13の長手方向、すなわち、x軸方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。このため、変調用基板13の幅が狭小化された場合であっても、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17との接触が回避される。
【0044】
続いて、光路変換プリズム16により光路が移動された第1及び第2の出力光は、偏波合成器18により偏波合成される。一方、光路変換プリズム17により光路が移動された第3及び第4の出力光は、偏波合成器19により偏波合成される。
【0045】
続いて、偏波合成器18により第1及び第2の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光は、集光レンズ21により光ファイバ23に向けて集光される。一方、偏波合成器19により第3及び第4の出力光が偏波合成されて得られる偏波多重光は、集光レンズ24により光ファイバ26に向けて集光される。
【0046】
上述したように、実施例1の光送信装置10は、波長λ1の光を変調する第1の光変調器131と、波長λ2の光を変調する第2の光変調器132とが幅方向に沿って並列に設けられた変調用基板13を有する。また、光送信装置10は、第1の光変調器131により波長λ1の光が変調されて得られる第1及び第2の出力光の光路を変調用基板13の幅方向に沿って第2の光変調器132とは反対側に移動させる光路変換プリズム16を有する。また、光送信装置10は、第2の光変調器132により波長λ2の光が変調されて得られる第3及び第4の出力光の光路を変調用基板13の幅方向に沿って第1の光変調器131とは反対側に移動させる光路変換プリズム17を有する。そして、光路変換プリズム17は、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に配設される。
【0047】
このため、実施例1によれば、変調用基板13の幅が狭小化された場合であっても、光路変換プリズム16と、光路変換プリズム17との接触が回避される。結果として、実施例1によれば、第1の光変調器131と第2の光変調器132とを1つの変調用基板13に集積した光送信装置10を小型化しつつ、光路変換プリズム16及び光路変換プリズム17の損傷を防ぐことができる。さらに、実施例1によれば、変調用基板13の幅を可及的に狭小化することができるので、変調用基板13上の第1の光変調器131及び第2の光変調器132による光の変調に用いられる電気信号の伝搬距離を短縮化することができる。結果として、実施例1によれば、第1の光変調器131及び第2の光変調器132から出力される出力光の品質の劣化を抑制することができる。
【0048】
また、実施例1の光送信装置10では、光路変換プリズム17は、変調用基板13の長手方向に沿って光路変換プリズム16から離反する位置に、変調用基板13の長手方向から見て光路変換プリズム16の一部と重なり合うように配設される。
【0049】
このため、実施例1によれば、y軸の正方向側に存在する光路変換プリズム16の端部からy軸の負方向側に存在する光路変換プリズム17の端部までの距離が最小化される。結果として、実施例1によれば、第1の光変調器131と第2の光変調器132とを1つの変調用基板13に集積した光送信装置10を変調用基板13の幅方向に沿って小型化することができる。
【0050】
また、実施例1の光送信装置10では、レンズホルダ22及びレンズホルダ25が、レーザ溶接により変調用基板13の外部に固定される。
【0051】
このため、実施例1によれば、偏波多重光における偏波間の損失差が存在する場合に、レンズホルダ22又はレンズホルダ25の位置、及び、ファイバ23又はファイバ26の位置を調整することにより、偏波間の損失差を小さくすることができる。さらに、レーザ溶接の固定時にそれらの位置がずれた場合、追加溶接により、微調が可能である。結果として、実施例1によれば、偏波多重光における偏波間の損失差を各波長の光ごとに抑制することが可能である。
【0052】
また、実施例1の光送信装置10では、偏波合成器18は、1/2波長板181と、PBCプリズム182とを含む。また、偏波合成器19は、1/2波長板191と、PBCプリズム192とを含む。
【0053】
このため、実施例1によれば、偏波合成器18及び偏波合成器19を小型化することができ、結果として、光送信装置10を更に小型化することができる。