特許第6233120号(P6233120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6233120-ダクト型空気調和機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233120
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ダクト型空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20171113BHJP
【FI】
   F24F1/00 306
   F24F1/00 391B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-52985(P2014-52985)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-175557(P2015-175557A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】野口 浩章
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−090615(JP,A)
【文献】 実開昭61−116911(JP,U)
【文献】 特開昭59−093997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に空気吹出口が設けられ背面に空気吸込口が設けられた筐体と、該筐体内の前記空気吸込口と前記空気吹出口をつなぐ空気流通路に前記空気吹出口側が開き前記空気吸込口側が閉じる横V字形状となるように互いに組み合わせて配置された第1及び第2熱交換器と、前記空気吸込口と前記第1熱交換器との間に配置された第1ターボファンと、前記空気吸込口と前記第2熱交換器との間に配置された第2ターボファンと、前記第1ターボファンを駆動する第1出力軸と前記第2ターボファンを駆動する第2出力軸を備えた両軸型のモータと、前記空気吸込口から吸い込んだ空気を前記第1ターボファンへ案内する第1風向ガイド板と、前記空気吸込口から吸い込んだ空気を前記第2ターボファンへ案内する第2風向ガイド板と、前記第1風向ガイド板と前記第2風向ガイド板の前記空気吸込口の側と反対側の奥壁の一部を構成し前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器と前記第1ターボファン及び前記第2ターボファンとの間を仕切る仕切板とを備えたダクト型空気調和機であって
前記第1風向ガイド板は、前記第1熱交換器に対面する側に前記第1熱交換器の横幅に対応させて横方向に拡開した吹出用開口が形成され、下面に前記空気吸込口に連通する吸込用開口が形成され、前記第1熱交換器に対面する側と反対側に位置する背面が閉じ、両側面と上面が閉じるよう形成され、
前記第2風向ガイド板は、前記第2熱交換器に対面する側に前記第2熱交換器の横幅に対応させて横方向に拡開した吹出用開口が形成され、上面に前記空気吸込口に連通する吸込用開口が形成され、前記第2熱交換器に対面する側と反対側に位置する背面が閉じ、両側面と下面が閉じるよう形成されている、
ことを特徴とするダクト型空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載のダクト型空気調和機において、
前記第1及び第2熱交換器の前記空気吹出口側と反対側は、前記仕切板に対向していることを特徴とするダクト型空気調和機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のダクト型空気調和機において、
前記第1風向ガイド板の前記上面、又は前記第2風向ガイド板の前記下面が、前記筐体の一部で共用されていることを特徴とするダクト型空気調和機。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のダクト型空気調和機において、
前記第1風向ガイド板の前記吸込用開口は、前記空気吸込口から吸い込まれる風を前記第1ターボファンの回転軸に沿って下から前記第1ターボファンに案内し、前記第2風向ガイド板の前記吸込用開口は、前記空気吸込口から吸い込まれる風を前記第2ターボファンの回転軸に沿って上から前記第1ターボファンに案内することを特徴とするダクト型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換効率を向上させたダクト型空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
ダクト型空気調和機に、送風ファンとしてシロッコファンを使用したものがある。シロッコファンを使用したダクト型空気調和機は、そのシロッコファンの大きさ、個数、対応する熱交換器の形状等によって、熱交換器に当たる風の風速分布を均一化する様々な取り組みがおこなわれてきた。
【0003】
しかし、シロッコファンは、渦巻き状のケーシングを備え、両側から空気を吸い込み、正面から空気を吹き出す構造であるので、風速分布が偏在しているため、シロッコファンを使用したダクト型空気調和機では、風速分布の飛躍的な改善には至っていない。特許文献1にシロッコファンを使用した室内機についての記載がある。
【0004】
上記した熱交換器に当たる風の風速分布を均一化する問題は、ダクト型空気調和機にターボファンを搭載することで解決することが可能になるかもしれない。このターボファンを使用するものとして、特許文献2に記載のような送風装置があるが、これはあくまで送風装置であり、熱交換を行えるものではなく、熱交換器に当たる風速分布を均一化することについては記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−273801号公報
【特許文献2】特開2010−84701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、熱交換器に当たる風の風速分布を均一化し、熱交換効率の向上を実現し、さらに小型化、薄型化を実現したダクト型空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、前面に空気吹出口が設けられ背面に空気吸込口が設けられた筐体と、該筐体内の前記空気吸込口と前記空気吹出口をつなぐ空気流通路に前記空気吹出口側が開き前記空気吸込口側が閉じる横V字形状となるように互いに組み合わせて配置された第1及び第2熱交換器と、前記空気吸込口と前記第1熱交換器との間に配置された第1ターボファンと、前記空気吸込口と前記第2熱交換器との間に配置された第2ターボファンと、前記第1ターボファンを駆動する第1出力軸と前記第2ターボファンを駆動する第2出力軸を備えた両軸型のモータと、前記空気吸込口から吸い込んだ空気を前記第1ターボファンへ案内する第1風向ガイド板と、前記空気吸込口から吸い込んだ空気を前記第2ターボファンへ案内する第2風向ガイド板と、前記第1風向ガイド板と前記第2風向ガイド板の前記空気吸込口の側と反対側の奥壁の一部を構成し前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器と前記第1ターボファン及び前記第2ターボファンとの間を仕切る仕切板とを備えたダクト型空気調和機であって、前記第1風向ガイド板は、前記第1熱交換器に対面する側に前記第1熱交換器の横幅に対応させて横方向に拡開した吹出用開口が形成され、下面に前記空気吸込口に連通する吸込用開口が形成され、前記第1熱交換器に対面する側と反対の側に位置する背面が閉じ、両側面と上面が閉じるよう形成され、前記第2風向ガイド板は、前記第2熱交換器に対面する側に前記第2熱交換器の横幅に対応させて横方向に拡開した吹出用開口が形成され、上面に前記空気吸込口に連通する吸込用開口が形成され、前記第2熱交換器に対面する側と反対の側に位置する背面が閉じ、両側面と下面が閉じるよう形成されている、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のダクト型空気調和機において、前記第1及び第2熱交換器の前記空気吹出口側と反対側は、前記仕切板に対向していることを特徴とする。
【0009】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のダクト型空気調和機において、前記第1風向ガイド板の前記上面、又は前記第2風向ガイド板の前記下面が、前記筐体の一部で共用されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載のダクト型空気調和機において、
前記第1風向ガイド板の前記吸込用開口は、前記空気吸込口から吸い込まれる風を前記第1ターボファンの回転軸に沿って下から前記第1ターボファンに案内し、前記第2風向ガイド板の前記吸込用開口は、前記空気吸込口から吸い込まれる風を前記第2ターボファンの回転軸に沿って上から前記第1ターボファンに案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱交換器が傾斜して配置されているので、ターボファンによって吹き出された風をその熱交換器に対してほぼ均一に当てることができで、熱交換効率が向上する。また、熱交換器が傾斜して配置されていることで、ターボファンの薄型化、小型化やそのターボファンを駆動するモータの小型化を実現でき、室内機の筐体の薄型化も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の1つの実施例のダクト型空気調和機の縦断面図である。
図2図1のダクト型空気調和機の筐体の上面部分を取り外した状態の平面図である。
図3図1のダクト型空気調和機の箱体の上面部分を取り外し、さらに第1、第2のターボファンとモータと風向ガイド板を取り外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図3に本発明の実施例のダクト型空気調和機を示す。10は筐体であり、背面(右側)に吸込側ダクト(図示せず)が接続されるダクト接続枠体70を有する空気吸込口11が設けられ、前面(左側)に吹出側ダクト(図示せず)が接続されるダクト接続枠体80を有する空気吹出口12が設けられている。
【0014】
20A,20Bは第1、第2の熱交換器であり、側面から見て横V字形状に配置されている。
【0015】
30は両軸型のモータであり、第1の出力軸31と第2の出力軸32が垂直方向を向くように互いに反対方向に突出して設けられ、筐体10の両側壁の間に水平姿勢で架け渡したモータ架台40の中央の開口41に、ねじ等(図示せず)で搭載されている。
【0016】
50A,50Bは薄型の第1、第2のターボファンであり、第1のターボファン50Aはモータ30の第1の出力軸31に取り付けられ、第2のターボファン50Bはモータ30の第2の出力軸32に取り付けられている。
【0017】
60A,60Bは風向ガイド板であり、空気吸込口11から吸い込まれた風をターボファン50A,50Bのそれぞれに個々に導く。この風向ガイド板60A,60Bは、湾曲した背面板61A,61B、この背面板61A,61Bに直線的に連続する側面板62A,63A,62B,63B(ただし、62B,63Bは図示せず)、吸込開口部64Aa,64Baを有する板材64A,64B、および熱交換器20A,20Bに対向し横方向に拡開した吹出用開口65A,65Bを備える。板材64Aは風向ガイド板60Aの下面を構成し、板材64Bは風向ガイド板60Bの上面を構成する。吹出用開口65A,65Bの開口横幅は熱交換器20A,20Bの横幅Wに対応している。なお、風向ガイド板60Aの上面側を閉じて上面を形成する上面板には筐体10の上面壁10aの一部が共用され、風向ガイド板60Bの下面側を閉じて下面を形成する下面板には筐体11の下面壁10bの一部が共用されている。66は仕切板であり、風向ガイド板60A,60Bの奥壁の一部を構成し、空気吸込口11から吸い込まれた空気が熱交換器20A,20Bの方向へ直接通過することを阻止して、その空気をターボファン50A,50Bに導くように作用する。この仕切板66は、熱交換器20A,20Bとターボファン50A,50Bとの間を仕切るように、筐体10の両側の側面壁10c,10dの間に縦になった姿勢で横方向(図1において紙面に垂直方向)に配置されている。
【0018】
熱交換器20Aは、風向ガイド板60Aの吹出用開口65Aに対面する上側が空気吹出口12の側となり、モータ30に対面する下側が風向ガイド板60Aの側となるように、通風方向に対して傾斜している。つまり、上面20Aaが風向ガイド板60Aに向き、下面20Abが空気吹出口12に向くように傾斜して配置されている。
【0019】
また、熱交換器20Bは、風向ガイド板60Bの吹出用開口65に対面する下側が空気吹出口12の側となり、モータ30に対面する上側が風向ガイド板60Bの側となるように、通風方向に対して傾斜している。つまり、下面20Bbが風向ガイド板60Bに向き、上面20Baが空気吹出口12に向くように傾斜して配置されている。
【0020】
これにより、熱交換器20A,20Bは、前記したように、側面から見て空気吹出口12の側に開く横V字形状に配置されている。
【0021】
90は室外機(図示せず)に接続される冷媒配管接続ナットである。
【0022】
さて、空気吸込口11から吸い込まれた空気は、第1のターボファン50Aの回転により、風向ガイド板60Aの吸込用開口64Aaから第1のターボファン50Aに吸い込まれ、吹出用開口65Aから熱交換器20Aに吹き付けられ、そこで冷媒と熱交換されてから、空気吹出口12より吹出される。
【0023】
このとき、熱交換器20Aは、上面20Aaが風向ガイド板60Aに向き、下面20Abが空気吹出口12に向くように傾斜して配置されており、風向ガイド板60Aの吹出用開口65Aは横方向に拡開されているので、第1のターボファン50Aから吹き出される風のほぼすべてが熱交換器20Aの上面20Aaの全面に当たることになる。しかも、第1のターボファン50Aは上側の風力が下側の風力よりも強いが、熱交換器20Aが傾斜しているため、熱交換器20Aの上面20Aaの上側が第1のターボファン50Aから遠くなるので、熱交換器20Aの上面20Aaの全体への風圧はほぼ平均化されることになる。
【0024】
また、空気吸込口11から吸い込まれた空気は、第2のターボファン50Bの回転により、風向ガイド板60Bの吸込用開口64Baから第2のターボファン50Bに吸い込まれ、吹出用開口65Bから熱交換器20Bに吹き付けられ、そこで冷媒と熱交換されてから、空気吹出口12より吹出される。
【0025】
このとき、熱交換器20Bは、下面20Bbが風向ガイド板60Bに向き、上面20Baが空気吹出口12に向くように傾斜して配置されており、風向ガイド板60Bの吹出用開口65Bは横方向に拡開されているので、第2のターボファン50Bから吹き出される風のほぼすべてが熱交換器20Bの下面20Bbの全面に当たることになる。しかも、第2のターボファン50Bは下側の風力が上側の風力よりも強いが、熱交換器20Bが傾斜しているため、熱交換器20Bの下面20Bbの下側が第2のターボファン50Bから遠くなるので、熱交換器20Bの下面20Bbの全体への風圧はほぼ平均化されることになる。
【0026】
以上から、本実施例のダクト型空気調和機は、第1のターボファン50Aから熱交換器20Aの全面への風圧、第2のターボファン50Bから熱交換器20Bの全面への風圧が、それぞれ平均化されることから、熱交換効率が向上して、熱交換容量を大きくすることができ、このとき風量が少なくて済むから、ターボファン50A,50Bを駆動するモータ30を小型化できる。
【0027】
また、ターボファン50A,50Bは薄型であり、モータ30の上下方向に重なるように配置されており、しかも、熱交換器20A,20Bは横からみてV字形状に配置されているので、筐体10の薄型化、小型化が可能となる。
【0028】
また、熱交換器20A,20Bは横からみてV字形状に傾斜配置されていることから、縦配置した場合に比べて、熱交換器20A,20Bの大面積化が可能となる。
【0029】
なお、風向ガイド板60Aはその上面板に筐体10の上面壁10aの一部を共用し、風向ガイド板60Bはその下面板に筐体10の下面に筐体10の下面壁10bの一部を共用したが、それぞれ独立して上面板、下面板を設けて、ターボファン50A,50Bを囲むような箱型とすることもできる。
【符号の説明】
【0030】
10:筐体、10a:上面壁、10b:下面壁、10c,10d:側面壁、11:空気吸込口、12:空気吹出口
20A:第1の熱交換器、20Aa:上面、20Ab:下面、20B:第2の熱交換器、20Ba:上面、20Bb:下面
30:モータ、31:第1の出力軸、32:第2の出力軸
40:モータ架台
50A:第1のターボファン、50B:第2のターボファン
60A,60B:風向ガイド板、61A,61B:背面板、62A,63A,62B,63B(ただし、62B,63Bは図示せず):側面板、64A,64B:板材、64Aa,64Ba:吸込用開口、65A,65B:吹出用開口、66:仕切板
70,80:ダクト接続枠体
90:冷媒配管接続ナット
図1
図2
図3