(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高速サンプリング実行制御手段は、前記低速サンプリング手段により低速サンプリング周波数でサンプリングされた前記モーションデータを概略解析して複数の種類の概略解析結果を出力する概略結果変化判別手段を有し、
前記概略結果変化判別手段は、前記概略解析手段により概略解析された前記モーションデータの概略解析結果のうち、いずれかの種類の概略解析結果が、設定された所定の範囲を越えて変化したか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
前記概略結果変化判別手段は、前記概略解析手段により概略解析された前記モーションデータの概略解析結果のうち、ピッチデータ又は歩幅データが、設定された所定の範囲を越えて変化したか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
前記高速サンプリング実行制御手段は、前記モーションデータのサンプリングの開始時に、前記高速サンプリング手段による高速サンプリングを所定時間実行させる制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセンサ装置。
前記高速サンプリング手段により高速サンプリングされた前記モーションデータ、及び、前記低速サンプリング手段により低速サンプリングされた前記モーションデータ又はそれを前記概略解析手段が概略解析した前記概略解析結果を外部機器に出力させる出力手段を備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
前記高速サンプリング実行制御手段は、前記概略結果変化判別手段により前記概略解析結果が前記所定の範囲を越えて変化したと判別されない場合には、定期的に、前記高速サンプリング手段による高速サンプリングを前記所定時間実行させる制御を行うことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載のセンサ装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るセンサ装置の実施形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0014】
[使用例]
図1は、本実施形態に係るセンサ装置の使用例を表す図である。
図1に示すように、センサ装置1は、ユーザが胸や手首、足首等に装着する等して使用することができるように、例えば帯状のバンド状或いはベルト状に構成されている。
【0015】
[内部構成]
次に、センサ装置1の内部構造について説明する。
図2は、センサ装置1の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、センサ装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、メモリ11と、無線通信部12と、センサ類13と、サンプリング周波数発生機14と、バッテリ15と、入出力インタフェース16等を備えて構成されている。
【0016】
メモリ11は、センサ装置1の各種機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する図示しない不揮発性メモリと、CPU10の作業領域として機能する図示しない揮発性メモリとを備えている。また、本実施形態では、メモリ11は、本発明に係るプログラムであるサンプリングプログラム111を不揮発性メモリに備えている。
【0017】
無線通信部12は、CPU10の制御に基づいて、スマートフォン等の情報携帯端末やパソコン等のコンピュータ等の外部機器Gとの間でデータ等の送受信を無線方式で行うようになっている。
【0018】
本実施形態では、センサ装置1は、センサ類13として、GPS131やモーションセンサ132等のセンサを有しており、さらに、モーションセンサ132として、3次元方向の加速度を測定可能な加速度センサ132Aや角速度を測定可能なジャイロセンサ132Bを備えている。なお、速度センサや地磁気センサ等の、ユーザの歩行状態や走行状態の解析に用いるデータをサンプリングすることが可能なセンサ類を備えるように構成することも可能である。
【0019】
サンプリング周波数発生機14は、CPU10の制御に基づいて、センサ類13がサンプリングの基準とするサンプリング周波数を発生させるようになっている。そして、本実施形態では、サンプリング周波数発生機14は、CPU10からの指示に応じて、所定の高速サンプリング周波数と、当該所定の高速サンプリング周波数より低速の低速サンプリング周波数の少なくとも2通りのサンプリング周波数を発生させることができるようになっている。
【0020】
バッテリ15は、CPU10やセンサ類13等の装置内の各機能部に電力を供給する電源であり、乾電池やボタン型電池等で構成して交換可能としてもよく、また、充電可能な電源を装置に内蔵させるように構成することも可能である。
【0021】
CPU10は、センサ装置1の各部を中央制御する。具体的には、CPU10は、メモリ11の各記憶領域に記憶されているシステムプログラムや各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してメモリ11の作業領域に展開し、メモリ11に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行するようになっている。
【0022】
そして、本実施形態では、CPU10は、サンプリング周波数発生機14に前述した所定の高速サンプリング周波数を発生させて、センサ類13に、当該所定の高速サンプリング周波数で、モーションデータを高速サンプリングさせる、本発明における高速サンプリング手段として機能するようになっている。
【0023】
また、それとともに、CPU10は、サンプリング周波数発生機14に当該所定の高速サンプリング周波数より低速の低速サンプリング周波数を発生させて、センサ類13に、当該低速サンプリング周波数でモーションデータを低速サンプリングさせる、本発明における低速サンプリング手段としても機能するようになっている。
【0024】
そして、本実施形態では、CPU10が低速サンプリング手段としてセンサ類13に低速サンプリングさせる際に要する消費電力が、CPU10が高速サンプリング手段としてセンサ類13に高速サンプリングさせる際に要する消費電力よりも少なくなるように構成されている。なお、CPU10のその他の機能、すなわち本発明に特有の機能については、下記の[動作]の中で説明する。
【0025】
入出力インタフェース16のうち、入力インタフェースはボタン・スイッチ161やタッチパネル162等で構成することが可能であり、出力インタフェースはディスプレイ163やブザー・スピーカ164、振動モータ165等で構成することが可能であるが、これらの入出力インタフェース16は必ずしもセンサ装置1に設けられる必要はなく、また、必要に応じて適宜設けられる。
【0026】
[動作]
次に、本実施形態に係るセンサ装置1における動作、すなわちモーションデータのサンプリング処理について、
図3(A)に示すフローチャートに基づいて他の図面を参照しつつ説明する。また、本実施形態に係るセンサ装置1の作用についてもあわせて説明する。
【0027】
なお、以下で説明するセンサ装置1の動作は、
図2に示したであるサンプリングプログラム111に従って行われるため、以下の説明は、本発明に係るプログラムであるサンプリングプログラム111についての説明にもなっている。
【0028】
本実施形態では、前述したように、センサ装置1のCPU10は、本発明における高速サンプリング手段や低速サンプリング手段としても機能するようになっているが、さらに、センサ類13により低速サンプリング周波数でサンプリングされたモーションデータを概略解析する、本発明における概略解析手段や、概略解析手段(すなわち自ら)により概略解析されたモーションデータの概略解析結果のうち、いずれかの種類の概略解析結果が、設定された所定の範囲を越えて変化したか否かを判別する、本発明における概略結果変化判別手段としても機能するようになっている。
【0029】
そして、さらに、CPU10は、概略結果変化判別手段(すなわち自ら)により概略解析結果が所定の範囲を越えて変化したと判別された場合に、高速サンプリング手段による高速サンプリングを所定時間実行させる制御を行う、本発明における高速サンプリング実行制御手段としても機能するようになっている。
【0030】
以下、本実施形態に係るセンサ装置1におけるモーションデータのサンプリング処理について具体的に説明する。
【0031】
なお、以下では、CPU10(高速サンプリング実行制御手段)は、センサ装置1が起動され、センサ類14によるモーションデータのサンプリングの開始時に、高速サンプリング手段(CPU10)による高速サンプリングを所定時間実行させる制御を行うように構成されている場合について説明するが、センサ類14によるモーションデータのサンプリングの開始時に、低速サンプリングからスタートするように構成することも可能である。
【0032】
また、本実施形態のように、センサ装置1が起動され、センサ類14によるモーションデータのサンプリングの開始時に高速サンプリングを所定時間実行するように構成することで、ユーザの歩行や走行の開始時の、ユーザがまだ疲れていないフレッシュな状態でのユーザの歩行状態や走行状態に関する詳細なモーションデータをサンプリングすることが可能となる。そして、例えば、それと、時間が経過してユーザが疲労した状態でのモーションデータと比較する等して、ユーザの歩行状態や走行状態を精密に解析することが可能となる。
【0033】
モーションデータのサンプリング処理では、センサ装置1のCPU1は起動されると、上記のように、ユーザの歩行や走行の開始時のセンサ類13にモーションデータを高速サンプリングさせる。そのため、CPU10は、まず、高速サンプリングを実行させる所定時間(例えば1分)をT1として設定する(ステップS1)。
【0034】
そして、CPU10は、サンプリング周波数発生機14に前述した所定の高速サンプリング周波数(例えば数千Hz)を発生させて、センサ類13に、この高速サンプリング周波数で、モーションデータを高速サンプリングさせる(ステップS2)。
【0035】
この場合、この高速サンプリング周波数に基づく高速サンプリング周期ごとに、例えば、GPS131はセンサ装置1(すなわちユーザ)の現在位置の座標(すなわち経度と緯度)を測定し、加速度センサ132Aはセンサ装置1(すなわちユーザ)の加速度を3次元的に測定し、ジャイロセンサ132Bはセンサ装置1(すなわちユーザ)の角速度を測定してそれぞれ出力する。
【0036】
そして、CPU10は、センサ類13の各センサが高速サンプリング周波数で測定して出力した各モーションデータ(以下、簡単に高速センサデータという。)を、メモリ11に順次保存して蓄積させる(ステップS3)。そして、CPU10は、上記の所定時間T1が経過していなければ(ステップS4;NO)、上記の所定時間が経過するまで、上記の高速サンプリング処理(ステップS2、S3)を継続して行う。
【0037】
そして、上記の所定時間T1(例えば1分)が経過すると(ステップS4;YES)、CPU10は、上記のようにして得られた高速センサデータを解析し、解析結果としてユーザのピッチ[歩数/分]や歩幅[cm]、速度[m/分]等を算出する(ステップS5)。そして、それらの解析結果をメモリ11に記録する。これらの高速センサデータの解析処理等については後で説明する。
【0038】
CPU10は、上記のように所定時間T2(例えば1分)が経過して(ステップS4;YES)高速サンプリングを行わせる期間が終了すると、今度は、低速サンプリングを実行させるために、上記の所定時間T1(例えば1分)より長い第2の所定時間(例えば9分)をT2として設定する(ステップS6)。
【0039】
CPU10は、続いて、サンプリング周波数発生機14に、上記の所定の高速サンプリング周波数(例えば数千Hz)より低速の低速サンプリング周波数(例えば数十〜数百Hz)を発生させて、センサ類13に、この低速サンプリング周波数で、モーションデータを高速サンプリングさせる(ステップS7)。
【0040】
そして、CPU10は、センサ類13の各センサが低速サンプリング周波数で測定して出力した各モーションデータ(以下、簡単に低速センサデータという。)を、メモリ11に順次保存して蓄積させる(ステップS8)とともに、それらの低速センサデータを概略解析する。なお、この場合の概略解析とは、低速センサデータを、後述する高速センサデータに対する解析ほど精密には解析しないという意味あいである。
【0041】
CPU10は、このように低速センサデータを概略解析し、概略解析結果としてユーザのピッチ[歩数/分]や歩幅[cm]、速度[m/分]を算出する(ステップS9)。そして、
図4(A)に示すように、それらの概略解析結果(すなわちピッチや歩幅等)をメモリ11に記録する。そして、算出したピッチや歩幅の変化が、設定された範囲内か否かを判別する(ステップS10)。
【0042】
判別基準としては、例えば、ピッチ[歩数/分]について、あるサンプリングタイミングで算出したピッチと次のサンプリングタイミングで算出したピッチとの差分の絶対値が、例えば5[歩数/分]未満であれば範囲内とし、5[歩数/分]以上の場合(すなわちピッチが5[歩数/分]以上増えた場合や5[歩数/分]以上減った場合)は範囲を越えて変化したと判別する。
【0043】
また、例えば、歩幅[cm]について、あるサンプリングタイミングで算出した歩幅と次のサンプリングタイミングで算出した歩幅との差分の絶対値が、例えば7[cm]未満であれば範囲内とし、7[cm]以上の場合(すなわちピッチが7[cm]以上長くなった場合や7[cm]以上短くなった場合)は範囲を越えて変化したと判別するように設定される。
【0044】
なお、例えば、(ピッチ)×(歩幅)で算出される速度[m/分]についても判別基準を設定するように構成することも可能である。また、上記のように、差分や差分の絶対値に範囲を設けて判別基準とする代わりに、例えば、ピッチや歩幅(或いは速度)が増加したり減少したりした比率(すなわち例えばあるサンプリングタイミングで算出したピッチや歩幅等の、その直前のサンプリングタイミングで算出したピッチや歩幅等に対する比率)に閾値を設けて、算出したピッチや歩幅等の変化が設定された範囲内か否かを判別する(ステップS10)ように構成することも可能である。
【0045】
そして、CPU10は、算出したピッチや歩幅等の変化が設定された範囲内であり(ステップS10;YES)、設定した第2の所定時間T2(例えば9分)が経過していなければ(ステップS11;NO)、引き続き、低速サンプリング(ステップS7)以下の処理を繰り返す。
【0046】
一方、CPU10は、例えば
図4(A)のサンプリング番号m、m+1で表されるサンプリングタイミングにおいて算出したピッチ[歩数/分]のようにピッチが10[歩数/分]減少したり、
図4(A)のサンプリング番号n、n+1で表されるサンプリングタイミングで算出した歩幅[cm]のように歩幅が8[cm]長くなる等して、算出したピッチや歩幅等の変化が設定された範囲内を越えて変化したと判別した場合は(ステップS10;NO)、
図3に示すように、前述したステップS1〜S5に示した高速サンプリング処理を所定時間T1の間行うようにサンプリングの仕方を切り替えるようになっている。
【0047】
このようなピッチや歩幅の変化等を図示して具体的に説明すると、
図4(B)に示すように、CPU10は、センサ装置1の起動時等に高速サンプリングを所定時間T1の間実行した後、サンプリングの仕方を低速サンプリングに切り替える。そして、サンプリング番号1、2、…で表されるサンプリングタイミングで低速サンプリングしたモーションデータに基づいて、ピッチや歩幅等をそれぞれ算出する。
【0048】
そして、
図4(A)、(B)においてサンプリング番号1、2で表されるサンプリングタイミングで算出したピッチや歩幅等のように、算出したピッチや歩幅等の変化が設定された範囲内であれば(ステップS10;YES)、CPU10は、第2の所定時間T2が経過するまでは低速サンプリングを続行して、各サンプリングタイミングごとに、ピッチや歩幅等を算出していく(ステップS9)。
【0049】
そして、例えばサンプリング番号m、m+1で表されるサンプリングタイミングで算出したピッチが10[歩数/分]減少して、算出したピッチの変化が設定された範囲内を越えて変化した場合は(ステップS10;NO)、
図4(B)に示すように、CPU10は、サンプリングの仕方を低速サンプリングから高速サンプリングに切り替える。そして、所定時間T1の間、高速サンプリングを実行し、所定時間T1が経過すると、サンプリングの仕方を低速サンプリングに切り替える。
【0050】
そして、例えばサンプリング番号n、n+1で表されるサンプリングタイミングで算出した歩幅が8[cm]長くなって、算出した歩幅の変化が設定された範囲内を越えて変化した場合も(ステップS10;NO)、
図4(B)に示すように、CPU10は、サンプリングの仕方を低速サンプリングから高速サンプリングに切り替える。そして、所定時間T1の間、高速サンプリングを実行し、所定時間T1が経過すると、サンプリングの仕方を低速サンプリングに切り替える。
【0051】
このように、本実施形態に係るセンサ装置1のCPU10は、算出したピッチや歩幅等の変化が設定された範囲内を越えて変化した場合にのみ、サンプリング周波数発生機14(
図2参照)に、所定時間T1の間、所定の高速サンプリング周波数を発生させて、センサ類13に、当該高速サンプリング周波数でモーションデータを所定時間T1の間高速サンプリングさせる。そして、それ以外の期間は、サンプリング周波数発生機14に、所定の高速サンプリング周波数より低速の低速サンプリング周波数を発生させて、センサ類13に、当該低速サンプリング周波数でモーションデータを低速サンプリングさせるようになっている。
【0052】
このように構成することで、ユーザの歩行状態や走行状態において、ピッチや歩幅が大きく変化する場合には、モーションデータを高速サンプリングして単位時間当たりにサンプリングするモーションデータの量を増やす詳細なサンプリングを行うことが可能となる。そして、後述するように、そのような詳細なモーションデータを用いて、ユーザの歩行時や走行時のフォームやバランス等を精密に解析することが可能となる。
【0053】
また、ピッチや歩幅がさほど大きく変化しない歩行状態や走行状態では、モーションデータを低速サンプリングして単位時間当たりにサンプリングするモーションデータの量を減らす。このように構成することで、サンプリングの開始時から高速サンプリングをし続ける従来のセンサ装置に比べて、サンプリングするデータ量を削減することが可能となる。
【0054】
[効果]
そのため、本実施形態に係るセンサ装置1によれば、ユーザの歩行状態や走行状態を精密に解析するためのモーションデータを的確にサンプリングしつつ、サンプリングされるデータ量が増大することを的確に防止することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態のように、CPU10が低速サンプリング手段としてセンサ類13に低速サンプリングさせる際に要する消費電力が、CPU10が高速サンプリング手段としてセンサ類13に高速サンプリングさせる際に要する消費電力よりも少なくなるように構成し、サンプリングの仕方を高速サンプリングと低速サンプリングとの間で切り替えるように構成することで、サンプリングの開始時から高速サンプリングをし続ける従来のセンサ装置に比べて、モーションデータをサンプリングする際の消費電力をより低減することも可能となる。
【0056】
[定期的に高速サンプリングを行うことについて]
本実施形態では、
図3に示したように、CPU10は、モーションデータの低速サンプリング(ステップS6以下の処理)を開始してから第2の所定時間T2が経過しても(ステップS11;YES)、ユーザが終了操作を行わない場合には(ステップS12;NO)、再び高速サンプリングを行うようになっている。
【0057】
すなわち、本実施形態では、センサ装置1のCPU10は、上記のように、ユーザのピッチや歩幅等(すなわち上記の概略解析結果)が所定の範囲を越えて変化したと判別されない場合であっても、定期的に、すなわち上記の例では10分(すなわち高速1分+低速9分)ごとに、モーションデータの高速サンプリングを所定時間T1(1分)の間実行させる制御を行うようになっている。
【0058】
例えば、上記のように構成した場合、ユーザのピッチや歩幅等が所定の範囲を越えて変化しないと低速でサンプリングされたモーションデータしか得られなくなってしまうが、このように高速サンプリングを定期的に行うように構成することで、そのような状態が回避され、定期的に高速サンプリングされた高速センサデータに基づいて、ユーザの歩行時や走行時のフォームやバランス等を精密に解析することが可能となる。
【0059】
[データの解析等について]
本実施形態では、センサ装置1のCPU10は、上記のようにして高速サンプリング及び低速サンプリングでモーションデータをサンプリングし、ユーザが終了操作を行うと(ステップS12;YES)、高速サンプリングされたモーションデータ(すなわち高速センサデータ)と、低速サンプリングされたモーションデータ(低速センサデータ)或いはそれを概略解析した概略解析結果(ピッチや歩幅等)を、無線通信部12(
図2参照)を介して、情報携帯端末やコンピュータ等の外部機器Gに送信させるようになっている(ステップS13)。
【0060】
一方、本実施形態では、外部機器Gは、
図3(B)に示すフローチャートに従ってデータの解析等を行うようになっている。
【0061】
すなわち、外部機器Gは、センサ装置1から送信されてきた高速センサデータ及び低速センサデータに基づいて、各サンプリングタイミングごとのユーザのピッチや歩幅等を算出する(ステップS21)。そして、例えば
図4(B)に示したように、高速センサデータに基づいて算出したピッチや歩幅に対応する部分を、低速センサデータに基づいて算出したピッチや歩幅に対応する部分とは異なる態様で識別表示したグラフを、表示画面Ga(
図2参照)上に表示する(ステップS22)。
【0062】
なお、
図4(B)では、高速センサデータの部分を白抜き矢印で示し、低速センサデータの部分を細い矢印等で示したが、実際には、低速センサデータの部分を黒線で表示し、高速センサデータの部分を赤い太線で表示する等して、高速センサデータの部分が目立つように表示される。
【0063】
そして、ユーザにより、いずれかの高速センサデータの部分(上記の例では赤い太線の部分)がタッチされる等して指定されると(ステップS23;YES)、外部機器Gは、当該部分の高速センサデータに基づいて、1周期(すなわち1回ずつの左右の足の動き)ごとの各モーショングラフを作成して、表示画面Ga上に表示する(ステップS24).
【0064】
モーショングラフとしては、例えば、
図5(A)に示す床反力上下方向成分[N]や、
図5(B)に示す床反力左右方向成分[N]や、
図5(C)に示す床反力上下前後成分[N]を挙げることができるが、高速センサデータを解析して、これ以外のモーショングラフを作成するように構成することも可能であり、各種のデータを高速センサデータから算出することが可能である。
【0065】
そして、ユーザは、このように精密に解析されたモーショングラフを見ることで、自分の歩行や走行におけるフォームやバランスを客観的に確認して分析することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態のように、センサ装置1が起動され、センサ類14によるモーションデータのサンプリングの開始時に高速サンプリングを所定時間実行するように構成することで、ユーザの歩行や走行の開始時の、ユーザがまだ疲れていないフレッシュな状態でのユーザの歩行状態や走行状態に関する詳細なモーションデータをサンプリングすることが可能となる。そして、例えば、それと、時間が経過してユーザが疲労した状態でのモーションデータと比較する等して、ユーザの歩行状態や走行状態を精密に分析することが可能となる。
【0067】
[変形例1]
なお、上記の例では、外部機器Gが高速センサデータを解析する場合について説明したが、センサ装置1のCPU10が、高速センサデータ、すなわち高速サンプリングされたモーションデータを詳細解析し、詳細解析した詳細解析結果(すなわち上記のモーショングラフ等)や、低速センサデータ等を外部機器Gに出力させるように構成することも可能である。
【0068】
[変形例2]
また、前述したように、センサ装置1が表示部としてディスプレイ163(
図2参照)等を備えるように構成し、センサ装置1のCPU10が、高速センサデータを詳細解析して、詳細解析結果等を表示部に表示させるように構成することも可能である。この場合、センサ装置1のディスプレイ163上に、
図4(B)に示したような、高速センサデータに基づいて算出したピッチや歩幅に対応する部分が、低速センサデータに基づいて算出したピッチや歩幅に対応する部分とは異なる態様で識別表示されたグラフが表示されることになる。
【0069】
そして、この場合も、ユーザが識別表示された高速センサデータの部分を指定すると、センサ装置1のディスプレイ163上に、
図5(A)〜(C)に示したようなモーショングラフ等が表示されるように構成することが可能である。
【0070】
以上、本発明の実施形態やいくつかの変形例を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態等に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
所定の高速サンプリング周波数で、モーションデータを高速サンプリングさせる高速サンプリング手段と、
前記所定の高速サンプリング周波数より低速の低速サンプリング周波数で前記モーションデータを低速サンプリングさせる低速サンプリング手段と、
前記低速サンプリング手段により前記低速サンプリング周波数でサンプリングされた前記モーションデータを概略解析する概略解析手段と、
前記概略解析手段により概略解析された前記モーションデータの概略解析結果が、設定された所定の範囲を越えて変化した場合に、前記高速サンプリング手段による高速サンプリングを所定時間実行させる制御を行う高速サンプリング実行制御手段と、
を備えることを特徴とするセンサ装置。
<請求項2>
前記高速サンプリング実行制御手段は、前記低速サンプリング手段により低速サンプリング周波数でサンプリングされた前記モーションデータを概略解析して複数の種類の概略解析結果を出力する概略結果変化判別手段を有し、
前記概略結果変化判別手段は、前記概略解析手段により概略解析された前記モーションデータの概略解析結果のうち、いずれかの種類の概略解析結果が、設定された所定の範囲を越えて変化したか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
<請求項3>
装置内に電力を供給するバッテリを備えるとともに、
前記低速サンプリング手段による低速サンプリングに要する消費電力が、前記高速サンプリング手段による高速サンプリングに要する消費電力よりも少なくなるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサ装置。
<請求項4>
前記概略結果変化判別手段は、前記概略解析手段により概略解析された前記モーションデータの概略解析結果のうち、ピッチデータ又は歩幅データが、設定された所定の範囲を越えて変化したか否かを判別することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のセンサ装置。
<請求項5>
前記高速サンプリング実行制御手段は、前記モーションデータのサンプリングの開始時に、前記高速サンプリング手段による高速サンプリングを所定時間実行させる制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセンサ装置。
<請求項6>
前記高速サンプリング手段により高速サンプリングされた前記モーションデータ、及び、前記低速サンプリング手段により低速サンプリングされた前記モーションデータ又はそれを前記概略解析手段が概略解析した前記概略解析結果を外部機器に出力させる出力手段を備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
<請求項7>
前記高速サンプリング手段により高速サンプリングされた前記モーションデータを詳細解析する詳細解析手段と、
前記詳細解析手段が詳細解析した詳細解析結果、及び、前記低速サンプリング手段により低速サンプリングされた前記モーションデータ又はそれを前記概略解析手段が概略解析した前記概略解析結果を外部機器に出力させる出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
<請求項8>
表示部と、
前記高速サンプリング手段により高速サンプリングされた前記モーションデータを詳細解析して前記表示部に表示させる詳細解析出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
<請求項9>
表示部と、
前記高速サンプリング手段により高速サンプリングされた前記モーションデータを詳細解析する詳細解析手段と、
を備え、
さらに、前記概略解析手段により概略解析されたピッチデータ及び歩幅データの概略解析結果と、前記詳細解析手段により詳細解析されたピッチデータ及び歩幅データの詳細解析結果とを、ピッチ及び歩幅を2軸とする同一のグラフにあわせて前記表示部上に表示させるとともに、前記詳細解析結果の部分を前記概略解析結果の部分とは異なる態様で識別表示させる結果表示手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のセンサ装置。
<請求項10>
前記高速サンプリング実行制御手段は、前記概略結果変化判別手段により前記概略解析結果が前記所定の範囲を越えて変化したと判別されない場合には、定期的に、前記高速サンプリング手段による高速サンプリングを前記所定時間実行させる制御を行うことを特徴とする請求項2から請求項9のいずれか一項に記載のセンサ装置。
<請求項11>
コンピュータに、
所定の高速サンプリング周波数で、モーションデータを高速サンプリングさせる高速サンプリング機能と、
前記所定の高速サンプリング周波数より低速の低速サンプリング周波数で前記モーションデータを低速サンプリングさせる低速サンプリング機能と、
前記低速サンプリング周波数でサンプリングされた前記モーションデータを概略解析する概略解析機能と、
概略解析された前記モーションデータの概略解析結果が、設定された所定の範囲を越えて変化した場合に、前記高速サンプリングを所定時間実行させる制御を行う高速サンプリング実行制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。