(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233143
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型インキおよび印刷物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/101 20140101AFI20171113BHJP
C09D 11/102 20140101ALI20171113BHJP
C09D 11/03 20140101ALI20171113BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20171113BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
C09D11/101
C09D11/102
C09D11/03
C08F2/50
C08F2/44 C
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-70979(P2014-70979)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-193676(P2015-193676A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 泰寿
(72)【発明者】
【氏名】久家 隆光
(72)【発明者】
【氏名】中村 有香里
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−236276(JP,A)
【文献】
特開2010−159344(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102604479(CN,A)
【文献】
特開2009−209353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00−13/00
C08F 2/00− 2/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合性アクリレートモノマー、バインダー樹脂、光重合開始剤およびオルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化型インキにおいて、
光重合開始剤が
(A)α−アミノアルキルフェノン化合物
(B)アシルフォスフィンオキサイド化合物
並びに
(C)ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物および/またはチオキサントン化合物
であり、
数平均分子量が70,000以上600,000未満であるオルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化型インキであって、
オルガノポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンであり、
バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂である活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項2】
(A)α−アミノアルキルフェノン化合物が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンおよび2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンから選択される1種類以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項3】
(B)アシルフォスフィンオキサイド化合物が、2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドおよび/またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドであることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項4】
(C)チオキサントン化合物が、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントンおよび2−クロロチオキサントンおよび2−イソプロピルチオキサントンから選択される1種類以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項5】
(C)ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物が、4,4'−ビス−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項6】
さらに、第三級アミン化合物((A)α−アミノアルキルフェノン化合物および(C)ベンゾフェノン化合物を除く。)を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項7】
第三級アミン化合物((A)α−アミノアルキルフェノン化合物および(C)ベンゾフェノン化合物を除く。)が、芳香族第三級アミン化合物((A)α−アミノアルキルフェノン化合物および(C)ベンゾフェノン化合物を除く。)であることを特徴とする請求項6記載の活性エネルギー線硬化型インキ。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか記載の活性エネルギー線硬化型インキを、基材に印刷してなる印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型インキおよび該活性エネルギー線硬化型インキを印刷してなる印刷物に関する。さらに詳しくは、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂フィルムに対する転移性および密着性に優れ、且つ耐傷付き性、硬化性に優れる活性エネルギー線硬化型インキおよびその印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォーム用印刷物、各種書籍印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール、ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの種々の印刷物を得るため、平版(湿し水を使用する通常の平版および湿し水を使用しない水無し平版)、凸版、凹版、孔版印刷など種々の印刷方式が採用されており、これら印刷には各々の印刷方式に適したインキが使用されている。そのようなインキの一つとして活性エネルギー線硬化型インキが知られている(非特許文献1、2)。
【0003】
従来の活性エネルギー線硬化型インキは、光重合による瞬間硬化という特徴を有する一方で、塗工・印刷などの対象となる基材に対する密着性については、瞬間硬化と両立することが難しかった。即ち、瞬間硬化性を追求してゆくに従い、インキの硬化皮膜に体積収縮が発生したり、皮膜の柔軟性が損なわれるために基材との密着性が著しく低下してしまう。
【0004】
一方、印刷においては高品質の印刷物が要求されるようになり、これに伴い対象となる基材の種類は多岐に亘ってきている。例えば、美粧性の点から透明度の高いポリオレフィン素材や、耐水性の点からPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材を持つ合成紙、あるいは、プリペイドカードの普及に伴い耐摩擦性や傷つき性に優れるPETフィルム自身への印刷など、従来の紙では実現できなかった物理特性を与えるために化学合成された素材を基材に利用することが急速に広まっている。
【0005】
活性エネルギー線硬化性インキは一般に、極性の高いポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等に対しては密着するものが多いが、極性の低いポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂フィルムは、素材自体の特徴として非常に極性が低いためインキの受理性が悪く、充分なインキの密着性・着肉性を確保することが難しかった。
【0006】
特許文献1ではオレフィン系樹脂フィルムに対する密着性を発現する方法として、ロジンエポキシアクリレートと炭素−炭素不飽和基を有するポリウレタン樹脂、および、アクリルモノマーを含有してなる密着性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提供されている。
【0007】
また、特許文献2ではオレフィン系樹脂フィルムに対する密着性、転移性を発現する方法として、C5〜C7系石油樹脂を含有してなる密着性を有する活性エネルギー線硬化性インキ組成物が提供されている。
【0008】
以上のようにオレフィン系樹脂フィルムに対する密着性、転移性を発現する方法としては基材との親和力の高い素材を含有させる工夫がなされているが、いずれの方法も密着性を発現させるためには光重合反応に伴う体積収縮(硬化収縮)を抑制する事が必須であるため、得られるインキ皮膜は重合度が低く、硬化不良、傷付き等の印刷トラブルがしばしば発生するのが現状である。
このため、オレフィン系樹脂フィルムに対する密着性、転移性を有し、且つ硬化不良、傷付き等の印刷トラブルの生じにくい活性エネルギー線硬化性インキが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−143635号公報
【特許文献2】特開2010−189537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、活性エネルギー線硬化型インキおよび該活性エネルギー線硬化型インキを印刷してなる印刷物を提供することにある。さらに詳しくは、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂フィルムに対する転移性および密着性に優れ、且つ耐傷付き性、硬化性に優れる活性エネルギー線硬化型インキおよび該活性エネルギー線硬化型インキを印刷してなる印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために誠意研究した結果、光重合性アクリレートモノマー、バインダー樹脂、光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化型インキにおいて、特定の光重合開始剤、オルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化型インキが、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂フィルムに対する転移性および密着性に優れ、且つ耐傷付き性、硬化性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すわなち、本発明は、光重合性アクリレートモノマー、バインダー樹脂、光重合開始剤およびオルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化型インキにおいて、
光重合開始剤が
(A)α−アミノアルキルフェノン化合物
(B)アシルフォスフィンオキサイド化合物
並びに
(C)ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物および/またはチオキサントン化合物
であり、
数平均分子量が70,000以上600,000未満であるオルガノポリシロキサンを含有する活性エネルギー線硬化型インキに関する。
【0013】
さらに、本発明は、オルガノポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンであることを特徴とする上記活性エネルギー線硬化型インキに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどの極性の低いオレフィン系樹脂フィルムに対する密着性、転移性に優れ、且つ耐傷付き性、硬化性に優れる活性エネルギー線硬化型インキおよびそれを使用して印刷してなる印刷物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で使用する、活性エネルギー線とは、紫外線、電子線のことであるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0016】
光重合開始剤として使用されるα−アミノアルキルフェノン化合物は、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1または2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられ、これらは単独あるいは併用されてもよい。
【0017】
また、アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられ、これらは単独あるいは併用されてもよい。
【0018】
ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4´−ビス−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´−ビス−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノン類、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。これらの中では、安全性面から、4,4´−ビス−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0019】
また、チオキサントン化合物としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−ジイソプロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9Hチオキサントン−2−イロキシ−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミン塩酸塩などが挙げられ、好ましくは、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンが良く、これらのチオキサントン化合物は単独で使用しても良いし、2種類以上を併用してもよい。
【0020】
本発明において、光重合開始剤に加えて、光重合開始剤の触媒として、さらに、第三級アミン化合物(α−アミノアルキルフェノン化合物、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物を除く。)を含有させても良く、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルヘキシルアミン等が挙げられる。第三級アミン化合物(α−(ジメチル)アミノアルキルフェノン化合物、α−モルフォリノアルキルフェノン化合物およびジアルキルアミノベンゾフェノン化合物を除く。)は、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
特に、上記の中でも、芳香族基に直接Nが置換した化合物である芳香族第三級アミンが好ましく、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸イソアミルが好ましい。
【0022】
α−アミノアルキルフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物以外の開始剤として、ベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2,3,4−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、〔4−(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノン、(4−ベンゾイルベンジル)塩化トリメチルアンモニウム、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−スチリルプロパン−1−オン重合物、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテルなどが挙げられ、これらを併用してもよい。
【0023】
本発明に用いられるオルガノポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びカルボン酸、水酸基、アミノ基によって変性されたジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが挙げられ、特に好ましくは、ジメチルポリシロキサンである。数平均分子量としては70,000〜600,000である。
【0024】
本発明に用いられるオルガノポリシロキサンの数平均分子量が70,000〜600,000の範囲であると、耐傷付き性、耐ブロキング性、密着性、転移性の点で好ましく、70,000未満であると密着性、転移性が劣化すると共に耐傷付き性の効果は発現せず、600,000を超えるとインキ組成中の他成分との相溶性が乏しくなり、成分分離や転移ムラが発生する。
【0025】
なお、本発明における数平均分子量とは、東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HLC-8220」を用いて測定したものである。検量線は標準ポリスチレン換算により作成した。試料をテトラヒドロフランに溶解し、テトラヒドロフランを展開溶媒として流速0.6ml/min、カラム温度40℃の条件にて、測定した。
【0026】
本発明において、適宜使用されるバインダー樹脂とは、熱硬化性または熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ブタジエンーアクリルニトリル共重合体のような合成ゴム等が挙げられる。これらの樹脂は、その中の1種または2種以上を用いることができる。何れも光重合性アクリレートモノマーに可溶解性のある樹脂が用いられる。なお、本発明において、バインダー樹脂は、5〜30重量%の範囲で用いられることが好適である。
【0027】
本発明において、光重合性アクリレートモノマーとは単官能または多官能の(メタ)アクリレート類をいい、30〜70重量%の範囲で用いられることが好ましい。
【0028】
単官能モノマーとしてアルキル(カーボン数が2〜18)(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがあり、さらにベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート等が例示される。
【0029】
多官能(メタ)アクリレート類としてはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート(通称マンダ)、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0030】
さらに本発明のアクリル系モノマーとして脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートがある。脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートモノマーとして脂肪族アルコール化合物のモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドがある。1官能モノマーとしてカーボン数が2〜20アルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレート、例えばメタノールモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)(メタ)アクリレート、エタノールモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体等が例示される。さらに2官能モノマーとしてエチレングリコールモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノまたはポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体等が例示される。さらに3官能モノマーとしてグリセリンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体等が例示されるが、これに限るものではない。
【0031】
本発明で使用されるポリ(2〜20)は、アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体の重合度とする。
【0032】
一方、組成物中への、添加剤として、耐摩擦、ブロッキング防止、スベリ、スリキズ防止、暗反応防止を目的とする各種添加剤を使用することができ、必要に応じて、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤などを添加してもよい。
【0033】
本発明の着色材としては、主に顔料が使用され、その顔料として、酸化チタンなどの白顔料、ミネラルファーネスイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS,ハンザイエローG,キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG,タートラジンレーキなどの黄顔料、インダスレンブリリアントオレンジRK、ピラゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどの橙色顔料、パーマネントレッド4R、リオノールレッド、ピラロゾンレッド、ウオッチングレッツドカルシウム塩、レーキレッドD,ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどの赤色顔料、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどの青色顔料、ピグメントグリーンB、マラカイドグリーンレーキ、ファイナスイエリーグリーンGなどの緑色顔料、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラックなどの黒色顔料、バライト粉、炭酸バリウム、ベントンなどの体質顔料などが挙げられる。
【0034】
本発明に係る顔料は、組成物100重量%に対して0から55重量%の範囲で用いられる。
【実施例】
【0035】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本発明中の「部」は重量部を表し、「%」は、重量%を示す。
【0036】
以下に示す処方により活性エネルギー線硬化型インキ組成物を作成した。
【0037】
(インキ用ワニスの作成)
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を用い、光重合性モノマーとしては、表1、2記載の1〜3官能アクリレートモノマーを用いた。ポリエステル樹脂と、1〜3官能アクリレートモノマーとを、昇温加熱混合し、樹脂比率を30〜50重量%比率で溶解させ、ワニスを作成した。
【0038】
(インキ組成物の作成)
ワニスと、光重合性アクリレートモノマー、着色顔料、光重合開始剤、ポリオルガノシロキサン、粉体ワックス、その他添加剤を表1記載の配合割合にて、バタフライミキサーを用いて攪拌混合し、3本ロールにて最大粒径が7.5μm以下になるように分散してインキ組成物を作成し、且つスプレッドメーターにて一定の粘度規格と成るよう調整し、各インキ組成物を作成した。
【0039】
(比較評価用印刷サンプルの測定)
PPフィルム(出光スーハ゜ーヒ゜ュアレイSG140)に、作成各インキ組成物を所定の量、RIテスター(簡易印刷転写装置)を使用して印刷塗工し、160W/cmのメタルハライドランプにて所定の照射量にて照射して、インキ組成物を硬化し、比較評価用印刷サンプルを作成した。
【0040】
<密着性の評価>
PPフィルム(出光スーハ゜ーヒ゜ュアレイSG140)に、作成各インキ組成物を所定の量、RIテスター(簡易印刷転写装置)を使用して印刷塗工し、160W/cmのメタルハライドランプにて所定の照射量にて照射して、インキ組成物を硬化して、比較評価用印刷サンプルを作成した。PPとの密着性をセロハンテープ剥離試験行い以下の基準で評価した。
(評価基準)
○ …全く剥離しない
○△…一部剥離がある
△ …半分程度剥離している
△×…一部剥離しないで残っている
× …全て剥離
【0041】
<転移性の評価>
密着性評価と同様の方法で比較評価用印刷サンプルを作成し、ベタ部のインキの着肉性を5段回評価した。
(評価基準)
○ …全面に一様にインキが転移している
○△…一部転移ムラがある
△ …転移ムラが多い
△×…一部分のみ転移している
× …全く転移しない
【0042】
<耐傷付き性(耐スクラッチ性)の評価>
密着性評価と同様の方法で比較評価用印刷サンプルを作成し、爪での擦りで評価した。
(評価基準)
○ …こすれなし
○△…表層こすれ
△ …中間層こすれ
△×…底部こすれ
× …塗膜なし
【0043】
<表面硬化性の評価>
PPフィルム(出光スーハ゜ーヒ゜ュアレイSG140)に、作成各インキ組成物を所定の量、RIテスター(簡易印刷転写装置)を使用して印刷塗工し、100W/cmのメタルハライドランプを使用し、コンベア速度(m/分)を変化させながら、紫外線を照射し、表面を指で触ってタックの有無を確認し、タックが無い最速のコンベア速度を「硬化性」とし、下記評価基準に基づいて評価を行った。ここで、コンベア速度の速いもの、すなわち、照射光量が少ないものほど表面硬化性が良好なるものであると判断できる。
(評価基準)
○:100m/分以上
×:100m/分未満
実用域は、「○」である。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
実施例、比較例の処方設計は下記の通りである。
(1)表1(実施例1〜15)
1)開始剤A、B、Cを全て使用
2)数平均分子量70,000以上600,000未満のオルガノポリシロキサンを使用
(2)表2(比較例1)
1)開始剤A、B、Cを全て使用
2)オルガノポリシロキサン不使用
(3)表2(比較例2〜4)
1)開始剤A、B、Cの中から2種類を使用
2)オルガノポリシロキサン不使用
(4)表2(比較例5〜7)
1)開始剤A、B、Cの中から2種類を使用し、さらにその他の開始剤を併用
2)オルガノポリシロキサン不使用
(5)表2(比較例8〜10)
1)開始剤A、B、Cを全て使用
2)数平均分子量70,000未満のオルガノポリシロキサンを使用
(6)表2(比較例11〜13)
1)開始剤A、B、Cの中から2種類を使用
2)数平均分子量70,000以上600,000未満のオルガノポリシロキサンを使用
(7)表2(比較例14〜16)
1)開始剤A、B、Cの中から2種類を使用し、さらにその他の開始剤を併用
2)数平均分子量70,000以上600,000未満のオルガノポリシロキサンを使用
【0047】
表1、2の結果より本発明の実施例によれば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどの極性の低いオレフィン系樹脂フィルムに対する密着性、転移性に優れ、且つ耐傷付き性、硬化性に優れる活性エネルギー線硬化型インキを得ることができることが分った。