特許第6233159号(P6233159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233159
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20171113BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20171113BHJP
   B08B 3/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B05C5/02
   B05C11/10
   B08B3/00
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-79608(P2014-79608)
(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2015-199035(P2015-199035A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】谷田 勝紀
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−146559(JP,A)
【文献】 特開平10−057867(JP,A)
【文献】 特開2000−042467(JP,A)
【文献】 特開2008−126170(JP,A)
【文献】 特開2011−016047(JP,A)
【文献】 特開2002−361685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00−21/00
B05D 1/00−7/26
B08B 3/00−3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布材(200)を塗布対象物(300)に塗布する塗布装置(10)において、
前記塗布材が供給される塗布材供給孔(22)と、供給された前記塗布材を吐出するための吐出孔(24)とを有し、前記塗布材を前記吐出孔から前記塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部(20)と、
前記ノズル部の塗布材供給孔と連通可能な第1供給管(42)を有し、前記第1供給管から前記塗布材を供給する塗布材供給部(40)と、
前記ノズル部の回転を制御する制御部(50)と、を備え、
前記制御部は、前記塗布材供給部から前記ノズル部に所定量の前記塗布材が供給されたことに応じて前記ノズル部を所定角度回転させることで、前記ノズル部の前記塗布材供給孔と前記第1供給管との連通を遮断し、遮断後に、前記吐出孔から目的吐出量の前記塗布材が吐出されたことに応じて前記ノズル部を再び回転させることで、前記塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記ノズル部を保持する保持部(60)をさらに備え、
前記ノズル部は、第1ネジ部(34)を有し、
前記保持部は、前記第1ネジ部とネジ結合可能な第2ネジ部(64)を有し、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とがネジ結合することで前記ノズル部を保持し、
前記第1ネジ部は、前記ノズル部が回転されたときに、前記ノズル部が前記吐出方向に沿って移動するように、前記吐出方向を軸として形成され、
前記制御部は、前記吐出孔から目的吐出量の前記塗布材が吐出されたことに応じて、前記ノズル部が前記塗布対象物と離れる方向に移動するように、前記ノズル部を前記保持部に対して回転させることで、前記塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
塗布材(200)を塗布対象物(300)に塗布する塗布装置(10)において、
前記塗布材が供給される塗布材供給孔(22)と、供給された前記塗布材を吐出するための吐出孔(24)と、第1ネジ部(34)を有し、前記塗布材を前記吐出孔から前記塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部(20)と、
前記ノズル部の塗布材供給孔と連通可能な第1供給管(42)を有し、前記第1供給管から前記塗布材を供給する塗布材供給部(40)と、
前記ノズル部の回転を制御する制御部(50)と、
前記第1ネジ部とネジ結合可能な第2ネジ部(64)を有し、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とがネジ結合することで前記ノズル部を保持する保持部(60)と、を備え、
前記第1ネジ部は、前記ノズル部が回転されたときに、前記ノズル部が前記吐出方向に沿って移動するように、前記吐出方向を軸として形成され、
前記制御部は、前記塗布材供給部から前記ノズル部に所定量の前記塗布材が供給されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記ノズル部の前記塗布材供給孔と前記第1供給管との連通を遮断するとともに、前記吐出孔から目的吐出量の前記塗布材が吐出されたことに応じて、前記ノズル部が前記塗布対象物と離れる方向に移動するように、前記ノズル部を前記保持部に対して回転させることで、前記塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
前記ノズル部の周囲に配置され、前記ノズル部の回転を抑制する回転抑制部(70)をさらに備え、
前記ノズル部は、自身の外側に向かって突出して形成される突出部(32)を有し、
前記回転抑制部は、前記塗布材供給孔及び前記第1供給管が連通される場合に、前記突出部と接触することで、前記ノズル部が一方の回転方向に回転することを抑制することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項5】
塗布材(200)を塗布対象物(300)に塗布する塗布装置(10)において、
前記塗布材が供給される塗布材供給孔(22)と、供給された前記塗布材を吐出するための吐出孔(24)と、自身の外側に向かって突出して形成される突出部(32)を有し、前記塗布材を前記吐出孔から前記塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部(20)と、
前記ノズル部の塗布材供給孔と連通可能な第1供給管(42)を有し、前記第1供給管から前記塗布材を供給する塗布材供給部(40)と、
前記ノズル部の回転を制御する制御部(50)と、
前記ノズル部の周囲に配置され、前記ノズル部の回転を抑制する回転抑制部(70)と、を備え、
前記制御部は、前記塗布材供給部から前記ノズル部に所定量の前記塗布材が供給されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記ノズル部の前記塗布材供給孔と前記第1供給管との連通を遮断するとともに、前記吐出孔から目的吐出量の前記塗布材が吐出されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記塗布材の糸引きを抑制し、
前記回転抑制部は、前記塗布材供給孔及び前記第1供給管が連通される場合に、前記突出部と接触することで、前記ノズル部が一方の回転方向に回転することを抑制することを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
第2供給管(112)を有し、前記第2供給管からエアを供給するエア供給部(110)をさらに備え、
前記ノズル部は、前記エアが供給されるエア供給孔(38)を有し、
前記第2供給管は、前記エア供給孔と連通可能とされ、
前記エア供給部は、前記エア供給孔及び前記第2供給管が連通される場合に、前記エアを前記ノズル部に供給することで、前記吐出孔から前記目的吐出量の前記塗布材を吐出させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記エア供給部は、前記塗布材供給孔及び前記第1供給管の連通が遮断される場合にのみ、前記エアを前記ノズル部に供給することを特徴とする請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記ノズル部は、前記吐出方向を軸として、軸周りに、前記エア供給部に対して回転可能とされ、
前記制御部は、前記ノズル部に所定量の前記エアが供給されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記ノズル部の前記エア供給孔と前記第2供給管との連通を遮断することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の塗布装置。
【請求項9】
塗布材(200)を塗布対象物(300)に塗布する塗布装置(10)において、
前記塗布材が供給される塗布材供給孔(22)と、供給された前記塗布材を吐出するための吐出孔(24)とを有し、前記塗布材を前記吐出孔から前記塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部(20)と、
前記ノズル部の塗布材供給孔と連通可能な第1供給管(42)を有し、前記第1供給管から前記塗布材を供給する塗布材供給部(40)と、
前記ノズル部の回転を制御する制御部(50)と、
第2供給管(112)を有し、前記第2供給管からエアを供給するエア供給部(110)と、を備え、
前記ノズル部は、前記エアが供給されるエア供給孔(38)を有し、
前記第2供給管は、前記エア供給孔と連通可能とされ、
前記エア供給部は、前記エア供給孔及び前記第2供給管が連通されるとともに、前記塗布材供給孔及び前記第1供給管の連通が遮断される場合にのみ、前記エアを前記ノズル部に供給することで、前記吐出孔から目的吐出量の前記塗布材を吐出させ、
前記制御部は、前記塗布材供給部から前記ノズル部に所定量の前記塗布材が供給されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記ノズル部の前記塗布材供給孔と前記第1供給管との連通を遮断するとともに、前記吐出孔から前記目的吐出量の前記塗布材が吐出されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする塗布装置。
【請求項10】
前記ノズル部は、前記吐出方向を軸として、軸周りに、前記エア供給部に対して回転可能とされ、
前記制御部は、前記ノズル部に所定量の前記エアが供給されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記ノズル部の前記エア供給孔と前記第2供給管との連通を遮断することを特徴とする請求項9に記載の塗布装置。
【請求項11】
塗布材(200)を塗布対象物(300)に塗布する塗布装置(10)において、
前記塗布材が供給される塗布材供給孔(22)と、供給された前記塗布材を吐出するための吐出孔(24)とを有し、前記塗布材を前記吐出孔から前記塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部(20)と、
前記ノズル部の塗布材供給孔と連通可能な第1供給管(42)を有し、前記第1供給管から前記塗布材を供給する塗布材供給部(40)と、
前記ノズル部の回転を制御する制御部(50)と、
第2供給管(112)を有し、前記第2供給管からエアを供給するエア供給部(110)と、を備え、
前記ノズル部は、前記エアが供給されるエア供給孔(38)を有するとともに、前記吐出方向を軸として、軸周りに、前記エア供給部に対して回転可能とされ、
前記第2供給管は、前記エア供給孔と連通可能とされ、
前記エア供給部は、前記エア供給孔及び前記第2供給管が連通される場合に、前記エアを前記ノズル部に供給することで、前記吐出孔から目的吐出量の前記塗布材を吐出させ、
前記制御部は、前記塗布材供給部から前記ノズル部に所定量の前記塗布材が供給されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記ノズル部の前記塗布材供給孔と前記第1供給管との連通を遮断、前記吐出孔から前記目的吐出量の前記塗布材を吐出させるための所定量の前記エアが前記ノズル部に供給されたことに応じて前記ノズル部を回転させることで、前記ノズル部の前記エア供給孔と前記第2供給管との連通を遮断するとともに前記塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする塗布装置。
【請求項12】
塗布材を塗布対象物に塗布する塗布装置において、
第1ネジ部と、前記塗布材を吐出するための吐出孔とを有し、前記塗布材を前記吐出孔から前記塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部と、
前記第1ネジ部とネジ結合可能な第2ネジ部を有し、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とがネジ結合することで前記ノズル部を保持する保持部と、
前記ノズル部の回転を制御する制御部と、を備え、
前記第1ネジ部は、前記ノズル部が回転されたときに、前記ノズル部が前記吐出方向に沿って移動するように、前記吐出方向を軸として形成され、
前記制御部は、前記吐出孔から目的吐出量の前記塗布材が吐出されたことに応じて、前記ノズル部が前記塗布対象物と離れる方向に移動するように、前記ノズル部を前記保持部に対して回転させることで、前記塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする塗布装置。
【請求項13】
前記ノズル部は、洗浄液(400)が供給される洗浄液供給孔(36)を有し、
前記吐出孔は、前記洗浄液を吐出可能とされることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布材を塗布対象物に塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、配管と、ノズルと、ポンプと、CPUと、を備え、粘性材料を塗布する塗布装置が知られている。CPUは、ポンプを作動させる制御信号を与える。ポンプとノズルとの間は、配管により接続され、ポンプが配管を介して粘性材料をノズルに送り出す。ノズルは、配管から送り出された粘性材料を吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−246270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、塗布終了後においても、配管からノズルに粘性材料が供給される虞がある。塗布終了後に配管からノズルに粘性材料が供給された場合、ノズルから粘性材料を過剰に吐出する虞がある。これに対し、電磁弁を用いて配管からノズルへの粘性材料の供給を遮断する構成も考えられる。しかしながら、電磁弁は高価である。また、粘性材料の塗布終了時、ノズルに粘性材料の糸引きが生じる虞がある。これによれば、意図しない箇所へ粘性材料が付着する虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な構成で、塗布材の塗布終了時にノズルへの塗布材の供給を遮断することができ、且つ、塗布材の糸引きを抑制する塗布装置を提供することを第1の目的とする。また、より効果的に塗布材の糸引きを抑制することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として下記の実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された発明のひとつは、塗布材(200)を塗布対象物(300)に塗布する塗布装置(10)において、塗布材が供給される塗布材供給孔(22)と、供給された塗布材を吐出するための吐出孔(24)とを有し、塗布材を吐出孔から塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部(20)と、ノズル部の塗布材供給孔と連通可能な第1供給管(42)を有し、第1供給管から塗布材を供給する塗布材供給部(40)と、ノズル部の回転を制御する制御部(50)と、を備え、制御部は、塗布材供給部からノズル部に所定量の塗布材が供給されたことに応じてノズル部を所定角度回転させることで、ノズル部の塗布材供給孔と第1供給管との連通を遮断し、遮断後に、吐出孔から目的吐出量の塗布材が吐出されたことに応じてノズル部を再び回転させることで、塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする。
【0008】
これによれば、制御部は、塗布材供給部からノズル部に所定量の塗布材が供給されたことに応じてノズル部を回転させる。この回転により、ノズル部の塗布材供給孔及び第1供給管の連通が遮断される。そのため、ノズル部に過剰に塗布材を供給することを抑制することができる。また、上記構成によれば、電磁弁を用いることなく、ノズル部への塗布材の供給を遮断することができる。
【0009】
また、上記構成によれば、ノズル部は吐出方向を軸として、軸周りに回転可能とされる。ノズル部が軸周りに回転することにより、吐出した塗布材にねじり応力を作用させることができる。したがって、吐出孔から目的吐出量の塗布材が吐出されたことに応じてノズル部が回転する上記構成によれば、ノズル部から吐出された塗布材をねじ切ることができ、塗布終了時における塗布材の糸引きを抑制することができる。したがって、ノズル部の回転により、ノズル部への塗布材の供給を遮断するとともに、塗布材の糸引きを抑制することができる。つまり、簡単な構成で、ノズル部への塗布材の供給を遮断することができ、且つ、塗布終了時における塗布材の糸引きを抑制することができる。
【0010】
開示された他の発明のひとつは、塗布材を塗布対象物に塗布する塗布装置において、第1ネジ部と、塗布材を吐出するための吐出孔とを有し、塗布材を吐出孔から塗布対象物に吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能なノズル部と、第1ネジ部とネジ結合可能な第2ネジ部を有し、第1ネジ部と第2ネジ部とがネジ結合することでノズル部を保持する保持部と、ノズル部の回転を制御する制御部と、を備え、第1ネジ部は、ノズル部が回転されたときに、ノズル部が吐出方向に沿って移動するように、吐出方向を軸として形成され、制御部は、吐出孔から目的吐出量の塗布材が吐出されたことに応じて、ノズル部が塗布対象物と離れる方向に移動するように、ノズル部を保持部に対して回転させることで、塗布材の糸引きを抑制することを特徴とする。
【0011】
これによれば、ノズル部の回転により、吐出した塗布材に対し、ねじり応力を作用させることができる。また、ノズル部の移動により、上記ねじり応力だけでなく、ノズル部が塗布対象物と離れる方向に作用する応力を塗布材に作用させることができる。したがって、塗布終了時における塗布材の糸引きをより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す側面図である。
図2】第1連通状態におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図3図1のIII−III線に沿う断面図であり、第1連通状態におけるノズル部の回転角度を説明するための図である。
図4】第1非連通状態におけるノズル部の回転角度を説明するための断面図であり、図3に対応する。
図5】第1非連通状態におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図6】第1非連通状態におけるノズル部の回転角度を説明するための断面図であり、図3に対応する。
図7図1のVII−VII線に沿う断面図であり、第1連通状態における回転抑制部及び第2突出部の配置を説明するための図である。
図8】第1非連通状態における回転抑制部及び第2突出部の配置を説明するための図であり、図7に対応する。
図9】第2実施形態に係る塗布装置のノズル部及び保持部の概略構成を示す側面図である。
図10】塗布材送り期間におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図11】塗布材送り期間終了後におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図12図9のXII−XII線に沿う断面図であり、塗布材送り期間におけるノズル部の回転角度を説明するための図である。
図13】塗布材送り期間終了後におけるノズル部の回転角度を説明するための断面図であって、図12に対応する。
図14】変形例に係る塗布装置の第1連通状態におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図15】第1非連通状態におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図16】第3実施形態に係る塗布装置におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図17】第4実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す側面図である。
図18】第2連通状態におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図19図17のXIX−XIX線に沿う断面図であり、第2連通状態におけるノズル部の回転角度を説明するための図である。
図20】第1連通状態におけるノズル部の詳細構造を示す断面図である。
図21】第1連通状態におけるノズル部の回転角度を説明するための断面図であり、図19に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、以下において、吐出方向をZ方向、Z方向に垂直な特定の方向をX方向、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向と示す。
【0014】
(第1実施形態)
先ず、図1図8に基づき、本実施形態に係る塗布装置10の構成について説明する。なお、図7及び図8の一点鎖線は、ノズル部20が回転した場合の第2突出部32の軌道を示す。
【0015】
図1に示すように、塗布装置10は、塗布材200を塗布対象物300に塗布する装置である。塗布装置10は、ノズル部20と、塗布材供給部40と、制御部50と、を有する。本実施形態では、塗布装置10が、さらに保持部60と、回転抑制部70と、モータ80と、対象物駆動部90と、図示しないロードセルと、を有する。
【0016】
図2に示すように、ノズル部20は、塗布材供給孔22と、吐出孔24とを有する。ノズル部20は、Z方向に沿って延設される内部空間26を有する。この内部空間26を取り囲む壁面のうち、側壁28に塗布材供給孔22が形成される。吐出孔24は、ノズル部20のZ方向における塗布対象物300側の一端に形成される。塗布材供給孔22から供給された塗布材200は、内部空間26に収容される。内部空間26に収容された塗布材200は、吐出孔24からZ方向に吐出される。ロードセルは、内部空間26内に収容された塗布材200、及び、ノズル部20自体の荷重を検出し、検出信号を制御部50に出力する。
【0017】
ノズル部20は、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能とされる。すなわち、Z方向を軸として、軸周りに回転可能とされる。ノズル部20の回転軸は、XY平面における側壁28の中心Oを通る。また、ノズル部20は、側壁28からXY平面における外側に突出して形成される第1突出部30を有する。第1突出部30は、XY平面において側壁28を取り囲むように形成され、保持部60における溝部62と嵌合する。例えば第1突出部30は、側壁28の全周にわたって環状に形成される。
【0018】
また、ノズル部20は、第2突出部32を有する。第2突出部32は、側壁28における第1突出部30と異なる位置で、側壁28からXY平面における外側に突出して形成される。第2突出部32は、Z方向において回転抑制部70と等しい位置に形成される。第2突出部32は、特許請求の範囲に記載の突出部に相当する。
【0019】
塗布材供給部40は、塗布材200をノズル部20に供給する。塗布材供給部40は、第1供給管42と、図示しない塗布材送り部と、を有する。塗布材送り部は、塗布材200を第1供給管42に送るものであって、例えばポンプを採用する。第1供給管42はX方向に沿って形成される略円筒形状であって、その一端面が側壁28に接するように形成される。第1供給管42の内径と、塗布材供給孔22の径とは、互いに等しくされる。
【0020】
図2及び図3に示すように、第1供給管42は、ノズル部20の塗布材供給孔22と連通可能とされる。以下、塗布材供給孔22及び第1供給管42が連通される状態を第1連通状態と示す。第1連通状態の場合に、第1供給管42における側壁28側の開口、及び、塗布材供給孔22が丁度重なる。
【0021】
第1連通状態からノズル部20を回転させると、図4図6に示すように塗布材供給孔22及び第1供給管42の連通を遮断することができる。以下、塗布材供給孔22及び第1供給管42の連通が遮断された状態を第1非連通状態と示す。
【0022】
制御部50は、ノズル部20の回転を制御する。制御部50は、例えばマイコン等を有して構成されている。制御部50は、モータ80に制御信号を出力して、モータ80の回転を制御することにより、ノズル部20の回転を制御する。また、制御部50は、塗布材送り部及び対象物駆動部90にも制御信号を出力して制御を行う。制御部50は、塗布材送り部のフィードバック信号及びロードセルの検出信号などに基づき、ノズル部20の回転を制御する。
【0023】
保持部60は、ノズル部20の側壁28の周囲に配置され、ノズル部20を保持する。保持部60は、Z方向に沿って形成される略円筒状とされ、塗布対象物300側の一端が開口している。保持部60は、ノズル部20の第1突出部30に嵌合する溝部62を有する。溝部62は、保持部60の全周にわたって形成される。第1突出部30及び溝部62が嵌合することで、保持部60はノズル部20を回転可能に保持する。保持部60は、第1供給管42及び回転抑制部70と一体に形成される。
【0024】
回転抑制部70は、XY平面におけるノズル部20の周囲に配置され、ノズル部20の回転を抑制する。本実施形態において、回転抑制部70は、保持部60からZ方向の塗布対象物300側に突出して形成される。XY平面において第2突出部32の軌道内に回転抑制部70が配置される。以下、Z方向におけるノズル部20から塗布対象物300に向かう方向を基準として、時計回りを正回転方向、反時計回りを逆回転方向と示す。
【0025】
図7に示すように、第1連通状態において回転抑制部70は、第2突出部32の逆回転方向側に位置し、第2突出部32と接触している。そのため、第1連通状態においてノズル部20を逆回転方向に回転することが抑制される。
【0026】
第1連通状態からノズル部20を正回転方向に回転させると、第1非連通状態となる。例えば図8に示すように、第1連通状態からノズル部20を正回転方向に180度回転させる。回転抑制部70が保持部60と一体に形成されているため、ノズル部20が回転した場合であっても回転抑制部70の位置は不変である。そのため、ノズル部20の回転により、第2突出部32は回転抑制部70と離れる。ノズル部20を正回転方向に回転させる場合は、第2突出部32が回転抑制部70に接触するまで回転させることができる。第1非連通状態から第1連通状態とするときは、第2突出部32及び回転抑制部70が接触するまで、ノズル部20を逆回転方向に回転させる。
【0027】
モータ80は、制御部50からの制御信号に基づいてノズル部20を回転させる。モータ80は、Z方向における保持部60の塗布対象物300と反対側に配置される。モータ80は、ノズル部20と連結される出力軸82を有する。出力軸82は、Z方向に沿って形成され、保持部60を貫通してノズル部20と連結される。出力軸82が回転することで、ノズル部20がZ方向を軸として、軸周りに回転する。
【0028】
対象物駆動部90は、制御部50からの制御信号に基づいて塗布対象物300を移動させる。塗布対象物300を移動させることにより、塗布対象物300における塗布材200が塗布される位置を選択することができる。
【0029】
次に、図2図6に基づき、塗布装置10が塗布対象物300に塗布材200を塗布するまでの工程について説明する。
【0030】
先ず、制御部50は、対象物駆動部90に制御信号を出力する。これにより、対象物駆動部90は、塗布材200が目標の箇所に塗布されるように塗布対象物300を移動させる。
【0031】
次に、制御部50は、モータ80に制御信号を出力する。これにより、モータ80がノズル部20を回転し、図2及び図3に示すように第1連通状態とする。ここで、ノズル部20は、内部空間26に塗布材200を収容しない空の状態であるとする。
【0032】
次に、制御部50は、塗布材供給部40の塗布材送り部に制御信号を出力する。これにより、塗布材200が、第1供給管42から塗布材供給孔22を介して内部空間26に供給される。内部空間26に供給された塗布材200は、自重により時間経過とともに吐出孔24から塗布対象物300に吐出される。
【0033】
次に、制御部50は、塗布材送り部からのフィードバック信号に基づき、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたか否かを判定する。制御部50は、ノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力してノズル部20を回転させる。これにより、図4及び図5に示すように第1非連通状態とする。本実施形態において、第1連通状態からノズル部20を30度回転させて第1非連通状態とする。第1非連通状態とされるため、第1供給管42内の塗布材200が、ノズル部20に供給されることはない。
【0034】
第1連通状態の期間に、空のノズル部20に供給される塗布材200の量は、吐出孔24が吐出する目的吐出量以上である必要がある。本実施形態では、第1連通状態において目的吐出量と同量の塗布材200がノズル部20に供給されたことに応じて、ノズル部20を回転させて第1非連通状態とする。
【0035】
次に、制御部50は、ロードセルからの検出信号に基づき、吐出孔24から目的吐出量の塗布材200が吐出されたか否かを判定する。制御部50は、目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力し、ノズル部20を回転させる。本実施形態では、上記手順で第1連通状態から30度正回転方向に回転させたノズル部20をさらに、正回転方向に150度回転させる。この回転の間には、一度も第1連通状態となることはない。本実施形態では、ノズル部20内の全ての塗布材200が吐出された後で、ノズル部20を回転させる。続けて塗布材200を塗布する場合は、以上の手順を繰り返し行う。
【0036】
次に、上記した塗布装置10の効果について説明する。
【0037】
本実施形態によれば、制御部50は、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたことに応じてノズル部20を回転させる。この回転により、第1非連通状態とされる。そのため、ノズル部20に過剰に塗布材200を供給することを抑制することができる。また、上記構成によれば、電磁弁を用いることなくノズル部20への塗布材200の供給を遮断することができる。
【0038】
本実施形態によれば、ノズル部20は、Z方向を軸として、軸周りに回転可能とされる。ノズル部20が軸周りに回転することにより、吐出した塗布材200にねじり応力を作用させることができる。したがって、吐出孔24から目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じてノズル部20が回転する上記構成によれば、ノズル部20から吐出された塗布材200をねじ切ることができ、塗布終了時における塗布材200の糸引きを抑制することができる。
【0039】
したがって、ノズル部20の回転により、ノズル部20への塗布材200の供給を遮断するとともに、塗布材200の糸引きを抑制することができる。つまり、簡単な構成で、塗布材200の塗布終了時にノズル部20への塗布材200の供給を遮断することができ、且つ、塗布材200の糸引きを抑制することができる。
【0040】
本実施形態によれば、第1非連通状態からノズル部20を回転させると、所定の回転角度で第2突出部32と回転抑制部70とが接触して、第1連通状態とすることができる。これによれば、第1連通状態において第1供給管42及び塗布材供給孔22を位置精度良く連通させることができる。
【0041】
本実施形態において、制御部50は、ロードセルの検出信号に基づきノズル部20の回転を制御することとしたが、これに限定するものではない。例えばノズル部20が内部空間26の圧力を検出するセンサを有し、制御部50はセンサの検出信号に基づきノズル部20の回転を制御してもよい。内部空間26の圧力を検出することにより、内部空間26に収容される塗布材200の量を判定する。また、制御部50は所定時間の経過に基づいて、目的吐出量の塗布材200が吐出孔24から吐出されたか否かを判定してもよい。
【0042】
本実施形態において、第1連通状態において回転抑制部70は、第2突出部32の逆回転方向側に位置する構成を示したが、これに限定するものではない。第1連通状態において回転抑制部70が、第2突出部32の正回転方向側に位置する構成を採用することもできる。その場合、第1連通状態からノズル部20を逆回転方向に回転させることにより、第1非連通状態とすることができる。また、ノズル部20を正回転方向に回転させることにより、第1非連通状態から第1連通状態にすることができる。
【0043】
本実施形態では、ノズル部20が空の状態から塗布材200を供給して、第1非連通状態とした後、供給した塗布材200を全て吐出孔24から吐出させた。しかしながら、これに限定するものではない。内部空間26に塗布材200が収容される状態から塗布材200をノズル部20に供給する構成を採用することもできる。
【0044】
本実施形態では、内部空間26の全ての塗布材200が吐出された後で、ノズル部20を回転させたが、これに限定するものではない。目的吐出量の塗布材200を吐出した後にノズル部20を回転させる構成であれば、内部空間26に塗布材200が残っていてもよい。
【0045】
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した塗布装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0046】
本実施形態では、図9図11に示すようにノズル部20及び保持部60が、ネジ結合する。ノズル部20は側壁28の外周に第1ネジ部34を有する。保持部60は、ノズル部20の第1ネジ部34と対向する部分に、第1ネジ部34と嵌合する第2ネジ部64を有する。第1ネジ部34は、ノズル部20が回転されたときに、ノズル部20がZ方向に沿って移動するように、Z方向を軸として形成される。第1ネジ部34と第2ネジ部64とがネジ結合することで、保持部60はノズル部20を回転可能に保持する。
【0047】
また、保持部60は、第1供給管42が塗布材供給孔22と連結するための、供給管連結孔66を有する。第1供給管42は、供給管連結孔66を貫通して、塗布材供給孔22と連結される。供給管連結孔66は、保持部60の外壁の第2ネジ部64と異なる位置に形成される。
【0048】
本実施形態では、図12及び図13に示すように、第1供給管42及び塗布材供給孔22が、第1連通状態で互いに固定される。すなわち、ノズル部20が回転しても第1供給管42及び塗布材供給孔22の連通が維持される。したがって、供給管連結孔66は、第1供給管42がノズル部20の回転に応じて回転できる程度に、保持部60の外壁においてXY平面に広く開口する。本実施形態において供給管連結孔66は、保持部60の外壁においてXY平面に中心Oを基準として180度開口する。
【0049】
制御部50が、塗布材送り部に制御信号を出力する。これにより、塗布材送り部は、第1供給管42を介して内部空間26に塗布材200を送る。本実施形態において、塗布送り部がノズル部20に塗布材200を送る期間を塗布材送り期間と示す。ここで、図10に示すように、塗布材送り期間において、塗布対象物300及びノズル部20のZ方向における離間距離を距離L1とする。
【0050】
制御部50は、塗布材送り部のフィードバック信号に基づき、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材が供給されたか否かを判定する。制御部50は、ノズル部20に所定量の塗布材が供給された場合に、塗布材送り部に制御信号を出力して塗布材200の供給を停止させる。これにより、塗布材供給期間が終了する。
【0051】
さらに、制御部50は、ロードセルの検出信号に基づき、吐出孔24から目的吐出量の塗布材200が吐出されたか否かを判定する。制御部50は、目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力し、ノズル部20を回転させる。本実施形態において、図12に示すように第1供給管42の延設方向がX方向に平行とされる状態から、図13に示すようにノズル部20を正回転方向に45度回転させる。
【0052】
図11に示すように、ノズル部20の回転後において、塗布対象物300及びノズル部20のZ方向における離間距離を距離L2とする。制御部50は、ノズル部20を回転させることにより、ノズル部20を塗布対象物300と離れる方向に移動させる。すなわち、制御部50は、距離L1よりも距離L2の方が大きくなるように、ノズル部20を回転させる。
【0053】
本実施形態によれば、ノズル部20の回転により、吐出した塗布材200に対し、ねじり応力を作用させることができる。また、ノズル部20の移動により、上記ねじり応力だけでなく、ノズル部20が塗布対象物300と離れる方向に作用する応力を塗布材200に作用させることができる。したがって、塗布終了時における塗布材200の糸引きをより効果的に抑制することができる。
【0054】
本実施形態において、ノズル部20を正回転方向に45度回転することとしたが、これに限定するものではない。ノズル部20の回転角度と回転方向は、ノズル部20が塗布対象物300と離れる方向に移動させるものであれば採用することができる。
【0055】
本実施形態において、第1供給管42及び塗布材供給孔22が、第1連通状態で互いに固定される構成としたが、これに限定するものではない。図14及び図15に示すように、ノズル部20の回転に応じて第1連通状態と第1非連通状態が選択される構成を採用することもできる。第1実施形態と同様に、保持部60及び第1供給管42は一体で形成され、ノズル部20が保持部60に回転可能に保持される。ただし、第1実施形態に対し、ノズル部20及び保持部60は、ネジ結合する。
【0056】
この場合、制御部50は、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力してノズル部20を回転させる。次に、制御部50は、目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じてノズル部20を回転させ、ノズル部20を塗布対象物300と離れる方向に移動させる。これによれば、本実施形態の効果に加えて、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
(第3実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した塗布装置10と共通する部分についての説明は割愛する。本実施形態では、第2実施形態と同様にノズル部20と保持部60とがネジ結合される。
【0058】
本実施形態において図16に示すように、塗布装置10は、洗浄液400を供給する洗浄液供給部100を備える。ノズル部20は、洗浄液400が供給される洗浄液供給孔36を有する。洗浄液供給孔36は、側壁28に形成される。
【0059】
洗浄液供給部100は、洗浄液供給管102と、図示しない洗浄液送り部と、を有する。洗浄液供給管102は、X方向に沿って形成される略円筒形状とされ、第1供給管42と異なる位置で、側壁28に接触して配置される。洗浄液供給管102は、保持部60と一体に形成される。ノズル部20の回転により、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36の連通、非連通が選択される。
【0060】
制御部50は、ノズル部20が目的吐出量の塗布材200を塗布したあと、ノズル部20を回転させることにより、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36を連通させる。次に、洗浄液供給部100は、洗浄液供給管102から洗浄液供給孔36を介して内部空間26に洗浄液400を供給する。内部空間26に供給された洗浄液400は、吐出孔24から洗浄液400吐出される。
【0061】
これによれば、簡単な構成でノズル部20の内部空間26を洗浄することができ、ノズル部20が使い捨てにされることを抑制することができる。したがって、新たなノズル部20を用いるコストを抑制することができる。
【0062】
本実施形態において、ノズル部20の回転により、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36の連通、非連通が選択される構成としたが、これに限定するものではない。第2実施形態の第1供給管42及び塗布材供給孔22と同様に、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36が、連通された状態で互いに固定される構成を採用することもできる。
【0063】
本実施形態では、ノズル部20と保持部60とがネジ結合される構成を示したが、これに限定するものではない。保持部60は、ノズル部20を回転可能に保持する構成であれば採用することができる。例えば第1実施形態と同様に、ノズル部20の第1突出部30及び保持部60の溝部62が嵌合する構成でもよい。
【0064】
(第4実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した塗布装置10と共通する部分についての説明は割愛する。本実施形態では、第2実施形態と同様にノズル部20と保持部60とがネジ結合される。
【0065】
図17に示すように塗布装置10は、図示しないエアを供給するエア供給部110を備える。図18図21に示すようにノズル部20は、エアが供給されるエア供給孔38を有する。エア供給孔38は、側壁28に形成される。エア供給孔38は、XY平面において塗布材供給孔22から正回転方向側に90度の間隔を設けて側壁28に形成される。
【0066】
エア供給部110は、図示しないエア送り部と、第2供給管112と、を有し、ノズル部20にエアを供給することで内部空間26の圧力を調整する。エア送り部は、エアを第2供給管112に送るものであって、例えばレギュレータを採用する。第2供給管112は、X方向に沿って形成される略円筒形状とされ、ノズル部20における第1供給管42と異なる位置に配置される。本実施形態において第2供給管112は、ノズル部20における第1供給管42と反対側で、第2供給管112の一端面が側壁28に接するように形成される。第2供給管112の内径と、エア供給孔38の径とは、互いに等しくされる。第2供給管112は、保持部60と一体に形成される。
【0067】
図18及び図19に示すように、第2供給管112は、エア供給孔38と連通可能とされる。以下、エア供給孔38及び第2供給管112が連通される状態を第2連通状態と示す。第2連通状態の場合に、第2供給管112における側壁28側の開口と、エア供給孔38と、が丁度重なる。
【0068】
第2連通状態からノズル部20を回転させると、図20及び図21に示すように、エア供給孔38及び第2供給管112の連通を遮断することができる。以下、エア供給孔38及び第2供給管112の連通が遮断された状態を第2非連通状態と示す。本実施形態において、図19に示す第2連通状態から、ノズル部20を逆回転方向に90度回転させると、図21に示す第1連通状態となる。同様に、第1連通状態の場合、ノズル部20を正回転方向に90度回転させると、第2連通状態となる。本実施形態において、第1連通状態の場合は第2非連通状態となり、第2連通状態の場合は第1非連通状態となる。
【0069】
制御部50は、第1連通状態の場合に所定量の塗布材200を内部に供給すると、ノズル部20を正回転方向に90度回転させ、第2連通状態とする。第2連通状態とされると、制御部50がエア送り部に制御信号を出力して、内部空間26の圧力を調整する。所定量のエアが内部空間26に供給されることにより、目的吐出量の塗布材200が吐出孔24から吐出する。
【0070】
本実施形態において、内部空間26の塗布材200は、エアの供給がない限り吐出孔24から吐出されないように、吐出孔24の径、及び、塗布材200の粘性が調整される。すなわち、第2連通状態の場合にのみ、塗布材200が吐出孔24から吐出される。
【0071】
制御部50は、所定量のエアが内部空間26に供給されたことに応じて、ノズル部20を逆回転方向に90度回転させ、第2非連通状態かつ第1連通状態とする。この回転により、塗布材200の糸引きを抑制する。上記手順を繰り返すことで、連続して塗布材200を塗布する。
【0072】
本実施形態によれば、エア供給部110が、ノズル部20にエアを供給して、吐出孔24から塗布材200を吐出させることができる。したがって、ノズル部20が吐出する塗布材200の吐出量の精度低下を抑制することができる。
【0073】
ノズル部20に供給されたエアが、第1供給管42に流れ込むと、塗布材供給部40における塗布材200の供給を抑制する虞がある。また、エアが第1供給管42に流れ込むと、エア供給部110からノズル部20に供給するエアの供給量をコントロールし難い虞がある。本実施形態によれば、エア供給部110は、第1非連通状態の場合にのみ第2連通状態となり、エアをノズル部20に供給する。これによれば、エア供給部110からノズル部20に供給されたエアが、第1供給管42に流れ込むことを抑制することができる。したがって、ノズル部20が吐出する塗布材200の吐出量の精度低下を抑制することができる。
【0074】
本実施形態によれば、制御部50は、ノズル部20に目的供給量のエアが供給されたことに応じてノズル部20を回転させて、第2非連通状態とする。そのため、ノズル部20に過剰にエアを供給すること、及び、エアが第2供給管112へ逆流することを抑制することができる。したがって、ノズル部20が吐出する塗布材200の吐出量の精度低下を抑制することができる。電磁弁を用いて、ノズル部20へのエアの供給を遮断する構成も考えられる。これに対し上記構成によれば、電磁弁を用いることなく、ノズル部20へのエアの供給を遮断することができるため、コストアップを抑制することができる。
【0075】
本実施形態では、ノズル部20の回転に応じて第2連通状態及び第2非連通状態が選択される構成としたが、これに限定するものではない。第2実施形態の第1供給管42及び塗布材供給孔22と同様に、第2供給管112及びエア供給孔38が、第2連通状態で互いに固定される構成を採用することもできる。
【0076】
本実施形態では、ノズル部20と保持部60とがネジ結合される構成を示したが、これに限定するものではない。保持部60は、ノズル部20を回転可能に保持する構成であれば採用することができる。例えば第1実施形態と同様に、ノズル部20の第1突出部30及び保持部60の溝部62が嵌合する構成でもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0078】
上記実施形態において、塗布装置10が、保持部60、回転抑制部70、モータ80、対象物駆動部90を有する構成を示したが、これに限定するものではない。塗布装置10は、少なくともノズル部20、塗布材供給部40、制御部50を有し、塗布材200を塗布対象物300に塗布するものであれば採用することができる。
【0079】
上記実施形態において、ノズル部20が、内部空間26及び側壁28を有する構成を示したが、これに限定するものではない。ノズル部20は、少なくとも塗布材供給孔22と吐出孔24とを有し、塗布材200を吐出孔24から吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能であれば採用することができる。
【0080】
上記実施形態において、塗布材供給孔22が、側壁28に形成される構成を示したが、これに限定するものではない。塗布材供給孔22は、第1供給管42と連通可能であり、第1供給管42から塗布材200が供給されるものであれば採用することができる。
【0081】
上記実施形態において、保持部60が、第1供給管42及び回転抑制部70と一体に形成される構成を示したが、これに限定するものではない。保持部60、第1供給管42、回転抑制部70が、別体で形成されてもよい。また、上記実施形態において、ノズル部20の回転角度を30度等のように具体的に示したが、これに限定するものではない。
【0082】
上記実施形態では、ノズル部20を2段階で回転させた。詳しくは、第1連通状態から第1非連通状態とするために回転させ、さらに、塗布材200の糸引きを抑制するために回転させた。しかしながら、これに限定するものではない。例えば、エア供給部110がノズル部20にエアを供給する構成であれば、ノズル部20の回転を1回とすることもできる。
【0083】
詳しくは、塗布材供給部40が所定量の塗布材200をノズル部20に供給すると同時に、エア供給部110はノズル部20にエアを供給して目的吐出量の塗布材200を吐出させる。これによれば、制御部50は、ノズル部20を回転させることにより、第1連通状態から第1非連通状態とするとともに、糸引きを抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
10・・・塗布装置、20・・・ノズル部、22・・・塗布材供給孔、24・・・吐出孔、26・・・内部空間、28・・・側壁、30・・・第1突出部、32・・・第2突出部、34・・・第1ネジ部、36・・・洗浄液供給孔、38・・・エア供給孔、40・・・塗布材供給部、42・・・第1供給管、50・・・制御部、60・・・保持部、62・・・溝部、64・・・第2ネジ部、66・・・供給管連結孔、70・・・回転抑制部、80・・・モータ、82・・・出力軸、90・・・対象物駆動部、100・・・洗浄液供給部、102・・・洗浄液供給管、110・・・エア供給部、112・・・第2供給管、200・・・塗布材、300・・・塗布対象物、400・・・洗浄液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21