(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、以下において、吐出方向をZ方向、Z方向に垂直な特定の方向をX方向、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向と示す。
【0014】
(第1実施形態)
先ず、
図1〜
図8に基づき、本実施形態に係る塗布装置10の構成について説明する。なお、
図7及び
図8の一点鎖線は、ノズル部20が回転した場合の第2突出部32の軌道を示す。
【0015】
図1に示すように、塗布装置10は、塗布材200を塗布対象物300に塗布する装置である。塗布装置10は、ノズル部20と、塗布材供給部40と、制御部50と、を有する。本実施形態では、塗布装置10が、さらに保持部60と、回転抑制部70と、モータ80と、対象物駆動部90と、図示しないロードセルと、を有する。
【0016】
図2に示すように、ノズル部20は、塗布材供給孔22と、吐出孔24とを有する。ノズル部20は、Z方向に沿って延設される内部空間26を有する。この内部空間26を取り囲む壁面のうち、側壁28に塗布材供給孔22が形成される。吐出孔24は、ノズル部20のZ方向における塗布対象物300側の一端に形成される。塗布材供給孔22から供給された塗布材200は、内部空間26に収容される。内部空間26に収容された塗布材200は、吐出孔24からZ方向に吐出される。ロードセルは、内部空間26内に収容された塗布材200、及び、ノズル部20自体の荷重を検出し、検出信号を制御部50に出力する。
【0017】
ノズル部20は、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能とされる。すなわち、Z方向を軸として、軸周りに回転可能とされる。ノズル部20の回転軸は、XY平面における側壁28の中心Oを通る。また、ノズル部20は、側壁28からXY平面における外側に突出して形成される第1突出部30を有する。第1突出部30は、XY平面において側壁28を取り囲むように形成され、保持部60における溝部62と嵌合する。例えば第1突出部30は、側壁28の全周にわたって環状に形成される。
【0018】
また、ノズル部20は、第2突出部32を有する。第2突出部32は、側壁28における第1突出部30と異なる位置で、側壁28からXY平面における外側に突出して形成される。第2突出部32は、Z方向において回転抑制部70と等しい位置に形成される。第2突出部32は、特許請求の範囲に記載の突出部に相当する。
【0019】
塗布材供給部40は、塗布材200をノズル部20に供給する。塗布材供給部40は、第1供給管42と、図示しない塗布材送り部と、を有する。塗布材送り部は、塗布材200を第1供給管42に送るものであって、例えばポンプを採用する。第1供給管42はX方向に沿って形成される略円筒形状であって、その一端面が側壁28に接するように形成される。第1供給管42の内径と、塗布材供給孔22の径とは、互いに等しくされる。
【0020】
図2及び
図3に示すように、第1供給管42は、ノズル部20の塗布材供給孔22と連通可能とされる。以下、塗布材供給孔22及び第1供給管42が連通される状態を第1連通状態と示す。第1連通状態の場合に、第1供給管42における側壁28側の開口、及び、塗布材供給孔22が丁度重なる。
【0021】
第1連通状態からノズル部20を回転させると、
図4〜
図6に示すように塗布材供給孔22及び第1供給管42の連通を遮断することができる。以下、塗布材供給孔22及び第1供給管42の連通が遮断された状態を第1非連通状態と示す。
【0022】
制御部50は、ノズル部20の回転を制御する。制御部50は、例えばマイコン等を有して構成されている。制御部50は、モータ80に制御信号を出力して、モータ80の回転を制御することにより、ノズル部20の回転を制御する。また、制御部50は、塗布材送り部及び対象物駆動部90にも制御信号を出力して制御を行う。制御部50は、塗布材送り部のフィードバック信号及びロードセルの検出信号などに基づき、ノズル部20の回転を制御する。
【0023】
保持部60は、ノズル部20の側壁28の周囲に配置され、ノズル部20を保持する。保持部60は、Z方向に沿って形成される略円筒状とされ、塗布対象物300側の一端が開口している。保持部60は、ノズル部20の第1突出部30に嵌合する溝部62を有する。溝部62は、保持部60の全周にわたって形成される。第1突出部30及び溝部62が嵌合することで、保持部60はノズル部20を回転可能に保持する。保持部60は、第1供給管42及び回転抑制部70と一体に形成される。
【0024】
回転抑制部70は、XY平面におけるノズル部20の周囲に配置され、ノズル部20の回転を抑制する。本実施形態において、回転抑制部70は、保持部60からZ方向の塗布対象物300側に突出して形成される。XY平面において第2突出部32の軌道内に回転抑制部70が配置される。以下、Z方向におけるノズル部20から塗布対象物300に向かう方向を基準として、時計回りを正回転方向、反時計回りを逆回転方向と示す。
【0025】
図7に示すように、第1連通状態において回転抑制部70は、第2突出部32の逆回転方向側に位置し、第2突出部32と接触している。そのため、第1連通状態においてノズル部20を逆回転方向に回転することが抑制される。
【0026】
第1連通状態からノズル部20を正回転方向に回転させると、第1非連通状態となる。例えば
図8に示すように、第1連通状態からノズル部20を正回転方向に180度回転させる。回転抑制部70が保持部60と一体に形成されているため、ノズル部20が回転した場合であっても回転抑制部70の位置は不変である。そのため、ノズル部20の回転により、第2突出部32は回転抑制部70と離れる。ノズル部20を正回転方向に回転させる場合は、第2突出部32が回転抑制部70に接触するまで回転させることができる。第1非連通状態から第1連通状態とするときは、第2突出部32及び回転抑制部70が接触するまで、ノズル部20を逆回転方向に回転させる。
【0027】
モータ80は、制御部50からの制御信号に基づいてノズル部20を回転させる。モータ80は、Z方向における保持部60の塗布対象物300と反対側に配置される。モータ80は、ノズル部20と連結される出力軸82を有する。出力軸82は、Z方向に沿って形成され、保持部60を貫通してノズル部20と連結される。出力軸82が回転することで、ノズル部20がZ方向を軸として、軸周りに回転する。
【0028】
対象物駆動部90は、制御部50からの制御信号に基づいて塗布対象物300を移動させる。塗布対象物300を移動させることにより、塗布対象物300における塗布材200が塗布される位置を選択することができる。
【0029】
次に、
図2〜
図6に基づき、塗布装置10が塗布対象物300に塗布材200を塗布するまでの工程について説明する。
【0030】
先ず、制御部50は、対象物駆動部90に制御信号を出力する。これにより、対象物駆動部90は、塗布材200が目標の箇所に塗布されるように塗布対象物300を移動させる。
【0031】
次に、制御部50は、モータ80に制御信号を出力する。これにより、モータ80がノズル部20を回転し、
図2及び
図3に示すように第1連通状態とする。ここで、ノズル部20は、内部空間26に塗布材200を収容しない空の状態であるとする。
【0032】
次に、制御部50は、塗布材供給部40の塗布材送り部に制御信号を出力する。これにより、塗布材200が、第1供給管42から塗布材供給孔22を介して内部空間26に供給される。内部空間26に供給された塗布材200は、自重により時間経過とともに吐出孔24から塗布対象物300に吐出される。
【0033】
次に、制御部50は、塗布材送り部からのフィードバック信号に基づき、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたか否かを判定する。制御部50は、ノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力してノズル部20を回転させる。これにより、
図4及び
図5に示すように第1非連通状態とする。本実施形態において、第1連通状態からノズル部20を30度回転させて第1非連通状態とする。第1非連通状態とされるため、第1供給管42内の塗布材200が、ノズル部20に供給されることはない。
【0034】
第1連通状態の期間に、空のノズル部20に供給される塗布材200の量は、吐出孔24が吐出する目的吐出量以上である必要がある。本実施形態では、第1連通状態において目的吐出量と同量の塗布材200がノズル部20に供給されたことに応じて、ノズル部20を回転させて第1非連通状態とする。
【0035】
次に、制御部50は、ロードセルからの検出信号に基づき、吐出孔24から目的吐出量の塗布材200が吐出されたか否かを判定する。制御部50は、目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力し、ノズル部20を回転させる。本実施形態では、上記手順で第1連通状態から30度正回転方向に回転させたノズル部20をさらに、正回転方向に150度回転させる。この回転の間には、一度も第1連通状態となることはない。本実施形態では、ノズル部20内の全ての塗布材200が吐出された後で、ノズル部20を回転させる。続けて塗布材200を塗布する場合は、以上の手順を繰り返し行う。
【0036】
次に、上記した塗布装置10の効果について説明する。
【0037】
本実施形態によれば、制御部50は、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたことに応じてノズル部20を回転させる。この回転により、第1非連通状態とされる。そのため、ノズル部20に過剰に塗布材200を供給することを抑制することができる。また、上記構成によれば、電磁弁を用いることなくノズル部20への塗布材200の供給を遮断することができる。
【0038】
本実施形態によれば、ノズル部20は、Z方向を軸として、軸周りに回転可能とされる。ノズル部20が軸周りに回転することにより、吐出した塗布材200にねじり応力を作用させることができる。したがって、吐出孔24から目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じてノズル部20が回転する上記構成によれば、ノズル部20から吐出された塗布材200をねじ切ることができ、塗布終了時における塗布材200の糸引きを抑制することができる。
【0039】
したがって、ノズル部20の回転により、ノズル部20への塗布材200の供給を遮断するとともに、塗布材200の糸引きを抑制することができる。つまり、簡単な構成で、塗布材200の塗布終了時にノズル部20への塗布材200の供給を遮断することができ、且つ、塗布材200の糸引きを抑制することができる。
【0040】
本実施形態によれば、第1非連通状態からノズル部20を回転させると、所定の回転角度で第2突出部32と回転抑制部70とが接触して、第1連通状態とすることができる。これによれば、第1連通状態において第1供給管42及び塗布材供給孔22を位置精度良く連通させることができる。
【0041】
本実施形態において、制御部50は、ロードセルの検出信号に基づきノズル部20の回転を制御することとしたが、これに限定するものではない。例えばノズル部20が内部空間26の圧力を検出するセンサを有し、制御部50はセンサの検出信号に基づきノズル部20の回転を制御してもよい。内部空間26の圧力を検出することにより、内部空間26に収容される塗布材200の量を判定する。また、制御部50は所定時間の経過に基づいて、目的吐出量の塗布材200が吐出孔24から吐出されたか否かを判定してもよい。
【0042】
本実施形態において、第1連通状態において回転抑制部70は、第2突出部32の逆回転方向側に位置する構成を示したが、これに限定するものではない。第1連通状態において回転抑制部70が、第2突出部32の正回転方向側に位置する構成を採用することもできる。その場合、第1連通状態からノズル部20を逆回転方向に回転させることにより、第1非連通状態とすることができる。また、ノズル部20を正回転方向に回転させることにより、第1非連通状態から第1連通状態にすることができる。
【0043】
本実施形態では、ノズル部20が空の状態から塗布材200を供給して、第1非連通状態とした後、供給した塗布材200を全て吐出孔24から吐出させた。しかしながら、これに限定するものではない。内部空間26に塗布材200が収容される状態から塗布材200をノズル部20に供給する構成を採用することもできる。
【0044】
本実施形態では、内部空間26の全ての塗布材200が吐出された後で、ノズル部20を回転させたが、これに限定するものではない。目的吐出量の塗布材200を吐出した後にノズル部20を回転させる構成であれば、内部空間26に塗布材200が残っていてもよい。
【0045】
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した塗布装置10と共通する部分についての説明は割愛する。
【0046】
本実施形態では、
図9〜
図11に示すようにノズル部20及び保持部60が、ネジ結合する。ノズル部20は側壁28の外周に第1ネジ部34を有する。保持部60は、ノズル部20の第1ネジ部34と対向する部分に、第1ネジ部34と嵌合する第2ネジ部64を有する。第1ネジ部34は、ノズル部20が回転されたときに、ノズル部20がZ方向に沿って移動するように、Z方向を軸として形成される。第1ネジ部34と第2ネジ部64とがネジ結合することで、保持部60はノズル部20を回転可能に保持する。
【0047】
また、保持部60は、第1供給管42が塗布材供給孔22と連結するための、供給管連結孔66を有する。第1供給管42は、供給管連結孔66を貫通して、塗布材供給孔22と連結される。供給管連結孔66は、保持部60の外壁の第2ネジ部64と異なる位置に形成される。
【0048】
本実施形態では、
図12及び
図13に示すように、第1供給管42及び塗布材供給孔22が、第1連通状態で互いに固定される。すなわち、ノズル部20が回転しても第1供給管42及び塗布材供給孔22の連通が維持される。したがって、供給管連結孔66は、第1供給管42がノズル部20の回転に応じて回転できる程度に、保持部60の外壁においてXY平面に広く開口する。本実施形態において供給管連結孔66は、保持部60の外壁においてXY平面に中心Oを基準として180度開口する。
【0049】
制御部50が、塗布材送り部に制御信号を出力する。これにより、塗布材送り部は、第1供給管42を介して内部空間26に塗布材200を送る。本実施形態において、塗布送り部がノズル部20に塗布材200を送る期間を塗布材送り期間と示す。ここで、
図10に示すように、塗布材送り期間において、塗布対象物300及びノズル部20のZ方向における離間距離を距離L1とする。
【0050】
制御部50は、塗布材送り部のフィードバック信号に基づき、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材が供給されたか否かを判定する。制御部50は、ノズル部20に所定量の塗布材が供給された場合に、塗布材送り部に制御信号を出力して塗布材200の供給を停止させる。これにより、塗布材供給期間が終了する。
【0051】
さらに、制御部50は、ロードセルの検出信号に基づき、吐出孔24から目的吐出量の塗布材200が吐出されたか否かを判定する。制御部50は、目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力し、ノズル部20を回転させる。本実施形態において、
図12に示すように第1供給管42の延設方向がX方向に平行とされる状態から、
図13に示すようにノズル部20を正回転方向に45度回転させる。
【0052】
図11に示すように、ノズル部20の回転後において、塗布対象物300及びノズル部20のZ方向における離間距離を距離L2とする。制御部50は、ノズル部20を回転させることにより、ノズル部20を塗布対象物300と離れる方向に移動させる。すなわち、制御部50は、距離L1よりも距離L2の方が大きくなるように、ノズル部20を回転させる。
【0053】
本実施形態によれば、ノズル部20の回転により、吐出した塗布材200に対し、ねじり応力を作用させることができる。また、ノズル部20の移動により、上記ねじり応力だけでなく、ノズル部20が塗布対象物300と離れる方向に作用する応力を塗布材200に作用させることができる。したがって、塗布終了時における塗布材200の糸引きをより効果的に抑制することができる。
【0054】
本実施形態において、ノズル部20を正回転方向に45度回転することとしたが、これに限定するものではない。ノズル部20の回転角度と回転方向は、ノズル部20が塗布対象物300と離れる方向に移動させるものであれば採用することができる。
【0055】
本実施形態において、第1供給管42及び塗布材供給孔22が、第1連通状態で互いに固定される構成としたが、これに限定するものではない。
図14及び
図15に示すように、ノズル部20の回転に応じて第1連通状態と第1非連通状態が選択される構成を採用することもできる。第1実施形態と同様に、保持部60及び第1供給管42は一体で形成され、ノズル部20が保持部60に回転可能に保持される。ただし、第1実施形態に対し、ノズル部20及び保持部60は、ネジ結合する。
【0056】
この場合、制御部50は、塗布材供給部40からノズル部20に所定量の塗布材200が供給されたことに応じて、モータ80に制御信号を出力してノズル部20を回転させる。次に、制御部50は、目的吐出量の塗布材200が吐出されたことに応じてノズル部20を回転させ、ノズル部20を塗布対象物300と離れる方向に移動させる。これによれば、本実施形態の効果に加えて、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
(第3実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した塗布装置10と共通する部分についての説明は割愛する。本実施形態では、第2実施形態と同様にノズル部20と保持部60とがネジ結合される。
【0058】
本実施形態において
図16に示すように、塗布装置10は、洗浄液400を供給する洗浄液供給部100を備える。ノズル部20は、洗浄液400が供給される洗浄液供給孔36を有する。洗浄液供給孔36は、側壁28に形成される。
【0059】
洗浄液供給部100は、洗浄液供給管102と、図示しない洗浄液送り部と、を有する。洗浄液供給管102は、X方向に沿って形成される略円筒形状とされ、第1供給管42と異なる位置で、側壁28に接触して配置される。洗浄液供給管102は、保持部60と一体に形成される。ノズル部20の回転により、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36の連通、非連通が選択される。
【0060】
制御部50は、ノズル部20が目的吐出量の塗布材200を塗布したあと、ノズル部20を回転させることにより、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36を連通させる。次に、洗浄液供給部100は、洗浄液供給管102から洗浄液供給孔36を介して内部空間26に洗浄液400を供給する。内部空間26に供給された洗浄液400は、吐出孔24から洗浄液400吐出される。
【0061】
これによれば、簡単な構成でノズル部20の内部空間26を洗浄することができ、ノズル部20が使い捨てにされることを抑制することができる。したがって、新たなノズル部20を用いるコストを抑制することができる。
【0062】
本実施形態において、ノズル部20の回転により、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36の連通、非連通が選択される構成としたが、これに限定するものではない。第2実施形態の第1供給管42及び塗布材供給孔22と同様に、洗浄液供給管102及び洗浄液供給孔36が、連通された状態で互いに固定される構成を採用することもできる。
【0063】
本実施形態では、ノズル部20と保持部60とがネジ結合される構成を示したが、これに限定するものではない。保持部60は、ノズル部20を回転可能に保持する構成であれば採用することができる。例えば第1実施形態と同様に、ノズル部20の第1突出部30及び保持部60の溝部62が嵌合する構成でもよい。
【0064】
(第4実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した塗布装置10と共通する部分についての説明は割愛する。本実施形態では、第2実施形態と同様にノズル部20と保持部60とがネジ結合される。
【0065】
図17に示すように塗布装置10は、図示しないエアを供給するエア供給部110を備える。
図18〜
図21に示すようにノズル部20は、エアが供給されるエア供給孔38を有する。エア供給孔38は、側壁28に形成される。エア供給孔38は、XY平面において塗布材供給孔22から正回転方向側に90度の間隔を設けて側壁28に形成される。
【0066】
エア供給部110は、図示しないエア送り部と、第2供給管112と、を有し、ノズル部20にエアを供給することで内部空間26の圧力を調整する。エア送り部は、エアを第2供給管112に送るものであって、例えばレギュレータを採用する。第2供給管112は、X方向に沿って形成される略円筒形状とされ、ノズル部20における第1供給管42と異なる位置に配置される。本実施形態において第2供給管112は、ノズル部20における第1供給管42と反対側で、第2供給管112の一端面が側壁28に接するように形成される。第2供給管112の内径と、エア供給孔38の径とは、互いに等しくされる。第2供給管112は、保持部60と一体に形成される。
【0067】
図18及び
図19に示すように、第2供給管112は、エア供給孔38と連通可能とされる。以下、エア供給孔38及び第2供給管112が連通される状態を第2連通状態と示す。第2連通状態の場合に、第2供給管112における側壁28側の開口と、エア供給孔38と、が丁度重なる。
【0068】
第2連通状態からノズル部20を回転させると、
図20及び
図21に示すように、エア供給孔38及び第2供給管112の連通を遮断することができる。以下、エア供給孔38及び第2供給管112の連通が遮断された状態を第2非連通状態と示す。本実施形態において、
図19に示す第2連通状態から、ノズル部20を逆回転方向に90度回転させると、
図21に示す第1連通状態となる。同様に、第1連通状態の場合、ノズル部20を正回転方向に90度回転させると、第2連通状態となる。本実施形態において、第1連通状態の場合は第2非連通状態となり、第2連通状態の場合は第1非連通状態となる。
【0069】
制御部50は、第1連通状態の場合に所定量の塗布材200を内部に供給すると、ノズル部20を正回転方向に90度回転させ、第2連通状態とする。第2連通状態とされると、制御部50がエア送り部に制御信号を出力して、内部空間26の圧力を調整する。所定量のエアが内部空間26に供給されることにより、目的吐出量の塗布材200が吐出孔24から吐出する。
【0070】
本実施形態において、内部空間26の塗布材200は、エアの供給がない限り吐出孔24から吐出されないように、吐出孔24の径、及び、塗布材200の粘性が調整される。すなわち、第2連通状態の場合にのみ、塗布材200が吐出孔24から吐出される。
【0071】
制御部50は、所定量のエアが内部空間26に供給されたことに応じて、ノズル部20を逆回転方向に90度回転させ、第2非連通状態かつ第1連通状態とする。この回転により、塗布材200の糸引きを抑制する。上記手順を繰り返すことで、連続して塗布材200を塗布する。
【0072】
本実施形態によれば、エア供給部110が、ノズル部20にエアを供給して、吐出孔24から塗布材200を吐出させることができる。したがって、ノズル部20が吐出する塗布材200の吐出量の精度低下を抑制することができる。
【0073】
ノズル部20に供給されたエアが、第1供給管42に流れ込むと、塗布材供給部40における塗布材200の供給を抑制する虞がある。また、エアが第1供給管42に流れ込むと、エア供給部110からノズル部20に供給するエアの供給量をコントロールし難い虞がある。本実施形態によれば、エア供給部110は、第1非連通状態の場合にのみ第2連通状態となり、エアをノズル部20に供給する。これによれば、エア供給部110からノズル部20に供給されたエアが、第1供給管42に流れ込むことを抑制することができる。したがって、ノズル部20が吐出する塗布材200の吐出量の精度低下を抑制することができる。
【0074】
本実施形態によれば、制御部50は、ノズル部20に目的供給量のエアが供給されたことに応じてノズル部20を回転させて、第2非連通状態とする。そのため、ノズル部20に過剰にエアを供給すること、及び、エアが第2供給管112へ逆流することを抑制することができる。したがって、ノズル部20が吐出する塗布材200の吐出量の精度低下を抑制することができる。電磁弁を用いて、ノズル部20へのエアの供給を遮断する構成も考えられる。これに対し上記構成によれば、電磁弁を用いることなく、ノズル部20へのエアの供給を遮断することができるため、コストアップを抑制することができる。
【0075】
本実施形態では、ノズル部20の回転に応じて第2連通状態及び第2非連通状態が選択される構成としたが、これに限定するものではない。第2実施形態の第1供給管42及び塗布材供給孔22と同様に、第2供給管112及びエア供給孔38が、第2連通状態で互いに固定される構成を採用することもできる。
【0076】
本実施形態では、ノズル部20と保持部60とがネジ結合される構成を示したが、これに限定するものではない。保持部60は、ノズル部20を回転可能に保持する構成であれば採用することができる。例えば第1実施形態と同様に、ノズル部20の第1突出部30及び保持部60の溝部62が嵌合する構成でもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0078】
上記実施形態において、塗布装置10が、保持部60、回転抑制部70、モータ80、対象物駆動部90を有する構成を示したが、これに限定するものではない。塗布装置10は、少なくともノズル部20、塗布材供給部40、制御部50を有し、塗布材200を塗布対象物300に塗布するものであれば採用することができる。
【0079】
上記実施形態において、ノズル部20が、内部空間26及び側壁28を有する構成を示したが、これに限定するものではない。ノズル部20は、少なくとも塗布材供給孔22と吐出孔24とを有し、塗布材200を吐出孔24から吐出するとともに、吐出方向を軸として、軸周りに回転可能であれば採用することができる。
【0080】
上記実施形態において、塗布材供給孔22が、側壁28に形成される構成を示したが、これに限定するものではない。塗布材供給孔22は、第1供給管42と連通可能であり、第1供給管42から塗布材200が供給されるものであれば採用することができる。
【0081】
上記実施形態において、保持部60が、第1供給管42及び回転抑制部70と一体に形成される構成を示したが、これに限定するものではない。保持部60、第1供給管42、回転抑制部70が、別体で形成されてもよい。また、上記実施形態において、ノズル部20の回転角度を30度等のように具体的に示したが、これに限定するものではない。
【0082】
上記実施形態では、ノズル部20を2段階で回転させた。詳しくは、第1連通状態から第1非連通状態とするために回転させ、さらに、塗布材200の糸引きを抑制するために回転させた。しかしながら、これに限定するものではない。例えば、エア供給部110がノズル部20にエアを供給する構成であれば、ノズル部20の回転を1回とすることもできる。
【0083】
詳しくは、塗布材供給部40が所定量の塗布材200をノズル部20に供給すると同時に、エア供給部110はノズル部20にエアを供給して目的吐出量の塗布材200を吐出させる。これによれば、制御部50は、ノズル部20を回転させることにより、第1連通状態から第1非連通状態とするとともに、糸引きを抑制することができる。