(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数および量などに限定されない。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0020】
[実施の形態1]
図1および
図2を参照して、本実施の形態におけるウィンドウパネル1について説明する。
図1は、ウィンドウパネル1を備えた車両2を示す斜視図である。
図2は、
図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。
図1に示すように、車両2は開口3を有する。開口3は、車両2のボディの屋根部に設けられる。ウィンドウパネル1は、開口3を塞ぐように配置される。
【0021】
(本体部30および保護層40)
図2に示すように、ウィンドウパネル1は、本体部30および保護層40を備える。本体部30は、樹脂材を用いて板状に形成される。本体部30は、外表面31、内表面32および外表面31と内表面32とを接続する外周側面33を含む。詳細は後述されるが、本体部30は、透明樹脂部10および有色樹脂部20を有している。外表面31および内表面32は、本体部30の表裏面を構成し、互いに対向する位置関係を有する。保護層40は、第1被覆部41および第2被覆部42を含み、外表面31と、外周側面33の一部とを覆っている。保護層40は、ハードコートとして機能し、ウィンドウパネル1の耐傷付性や耐候性を向上させる。
【0022】
具体的には、本体部30の外表面31は、本体部30の表面のうちの車外の側に位置する部分であり、外表面31の全体が保護層40の第1被覆部41によって覆われている。本体部30の内表面32は、本体部30の表面のうちの車室の側に位置する部分であり、内表面32の一部には接着剤50が設けられる。接着剤50によって、ウィンドウパネル1はボディの開口3の周辺に形成された図示しない支持部に接合固定される。接着剤50としては、たとえば両面テープやウレタン樹脂等を用いることができる。
【0023】
本体部30の外周側面33は、本体部30の表面のうちの外周に位置する部分であり、外表面31と内表面32とを接続する形状を有する。外周側面33とは、たとえば、板状の本体部30が延在している方向(
図2における左右方向)に対して略平行な方向に沿って本体部30を側方から見た場合に(矢印DR1参照)、本体部30のうちの視認可能な範囲内に位置する部分である。本実施の形態における外周側面33は、本体部30(後述する透明樹脂部10)の表面のうちの点P1から点P3までの範囲内に位置する部分である。外周側面33は、非露出部34および露出部35を有している。
【0024】
非露出部34は、外表面31の側(外表面31に近い側)に形成される。非露出部34は、本体部30(後述する透明樹脂部10)の表面のうちの点P1から点P2までの範囲内に位置する部分であり、保護層40の第2被覆部42によって覆われている。本体部30(外周側面33)の非露出部34は、第2被覆部42に覆われることにより、露出していない。
【0025】
露出部35は、非露出部34よりも内表面32の側(内表面32に近い側)に形成される。露出部35は、本体部30(後述する透明樹脂部10)の表面のうちの点P2から点P3までの範囲内に位置する部分であり、保護層40に覆われていない。本体部30(外周側面33)の露出部35は、露出している。詳細は後述されるが、露出部35は、本体部30に連接して設けられていた部位(
図9における延出部18)が除去される(切り離される)ことによって形成される。
【0026】
非露出部34と露出部35との間の境界部分(点P2)においては、非露出部34と露出部35とは面一の関係を有している。換言すると、非露出部34と露出部35とは、点P2において共通の外接線が描かれるような関係を有している。非露出部34と露出部35とが面一の関係を有していない場合とは、たとえば
図15(後述する)に示すような状態である。延出部18(後述)の根元部分が残存するような形で延出部18が除去された場合には、非露出部34と露出部35とは面一の関係を有していないこととなる。
【0027】
(透明樹脂部10および有色樹脂部20)
上述のとおり、本実施の形態における本体部30は、透明樹脂部10と、透明樹脂部10よりも低い透明性を有する有色樹脂部20とを有している。有色樹脂部20は、透明樹脂部10よりも内表面32の側に位置する。有色樹脂部20は、環状(枠状)の形状を有し、本体部30の周縁に沿って設けられる(
図1参照)。透明樹脂部10および有色樹脂部20は、二色成形によって互いに一体的に形成される。透明樹脂部10は、ポリカーボネート等の樹脂材を用いて作製される。有色樹脂部20は、ポリカーボネート等の樹脂材に着色剤を混ぜたものを用いて作製される。
【0028】
透明樹脂部10は、表面11〜16を有する。表面11は、本体部30の外表面31を形成している。表面12は、表面11に連続し、本体部30の外周側面33のうちの非露出部34を形成している。表面13は、表面12に連続し、本体部30の外周側面33のうちの露出部35を形成している。表面14は、表面13に連続し、本体部30の内表面32の一部を形成している。表面15は、表面14に連続し、表面12の車室側に形成される。表面16は、表面15に連続し、表面11の車室側に形成される。表面15,16は、二色成形によって有色樹脂部20を形成する際に、樹脂材を受け入れる空間を形成する部位である。表面15,16は、有色樹脂部20がこれらの内側に形成されることによって、露出していない。
【0029】
有色樹脂部20は、表面21〜23を有する。表面21は、透明樹脂部10の表面16に対応する部分に形成される。表面22は、透明樹脂部10の表面16に対応する部分に形成される。表面22は、表面21に連続し、有色樹脂部20の外周縁に位置する。表面23は、表面22に連続し、透明樹脂部10の表面14とともに、本体部30の内表面32を形成している。
【0030】
本実施の形態においては、透明樹脂部10のうちの表面13〜15を構成している部位は、外表面31(表面11)が位置している側から内表面32が位置している側に向かって、有色樹脂部20の外周縁(表面22)を覆うように延びる形状を有している。透明樹脂部10の表面14は、本体部30の裏面側(接着剤50が設けられる面側)に到達しており、内表面32の一部を形成している。
【0031】
ここで、外表面31の中央部に近い側(矢印AR1に示す方向の側)を内側とし、外表面31のうちの外周側面33に近い側(矢印AR2に示す方向の側)を外側とする。非露出部34のうちの外表面31との境界部分(点P1に示す部分)は、非露出部34のうちの露出部35との境界部分(点P2に示す部分)よりも内側に位置している。非露出部34のうちの外表面31の側に位置する部分(非露出部34のうちの点P1に近い部分)は、非露出部34のうちの露出部35の側に位置する部分(非露出部34のうちの点P2に近い部分)よりも内側に位置している。
【0032】
換言すると、表面12のうちの外表面31の側に位置する部分(表面12のうちの点P1に近い部分)は、表面12のうちの表面13の側に位置する部分(表面12のうちの点P2に近い部分)よりも内側に位置している。本実施の形態においては、非露出部34のうちの外表面31の側に位置する部分(表面12のうちの点P1に近い部分)は、湾曲面の形状を有している。ウィンドウパネル1の厚み方向について、露出部35の厚みは、非露出部34の厚みよりも薄い。
【0033】
(製造方法)
図3〜
図9を参照して、以上のようにして構成されるウィンドウパネル1の製造方法について説明する。
【0034】
図3に示すように、金型60,70が準備される。金型60は、成形面61〜63を有する。成形面61は、透明樹脂部10(
図2)の表面11に対応する形状を有する。成形面62は、成形面61に連続し、透明樹脂部10の表面12に対応する形状を有する。成形面63は、成形面62に連続し、外側(矢印AR2に示す方向)に向かって延びる形状を有する。成形面63は、後述する延出部18(
図4,
図5,
図7〜
図9参照)を形成するための部位である。
【0035】
金型70は、成形面71〜74を有する。成形面71は、透明樹脂部10(
図2)の表面16に対応する形状を有する。成形面72は、成形面71に連続し、透明樹脂部10の表面15に対応する形状を有する。成形面73は、成形面72に連続し、外側(矢印AR2に示す方向)に向かって延びる形状を有する。成形面74は、成形面73に連続し、成形面73に対して直交する形状を有する。成形面73,74は、金型60の成形面63とともに、後述する延出部18(
図4,
図5,
図7〜
図9参照)を形成するための部位である。金型60,70の間に形成されたキャビティの中に、図示しないゲートを通して樹脂材が供給される。この樹脂材としては、たとえばポリカーボネートが用いられる。
【0036】
図4を参照して、樹脂材が硬化することによって、延出部18を有する透明樹脂部10Mが形成される。透明樹脂部10Mが形成されたのち、金型70(
図3)の代わりに金型80が用いられる。透明樹脂部10Mは、透明樹脂部10(
図8および
図9参照)のいわゆる前身(前躯体)を構成する部材である。延出部18は、透明樹脂部10Mのうちの点P2よりも外側(矢印AR2に示す方向の側)に形成された部分である。後述されるが、点P2は延出部18の基端部の位置に対応しており、点P2を通る面にて透明樹脂部10Mが切断されることによって、延出部18は透明樹脂部10Mから除去され、透明樹脂部10Mは透明樹脂部10を構成する(
図9参照)。
【0037】
金型80は、成形面81,82を有する。成形面81は、有色樹脂部20(
図2,
図5)の表面22に対応する形状を有する。成形面82は、成形面81に連続し、成形面81に対して直交する形状を有する。成形面81,82によってL字状に形成された部分の内側に、延出部18が位置している。金型60,80の間に形成されたキャビティの中に、図示しないゲートを通して樹脂材が供給される。この樹脂材としては、たとえば、ポリカーボネートの樹脂材に着色剤を混ぜたものが用いられる。
【0038】
図5を参照して、樹脂材が硬化することによって、有色樹脂部20が透明樹脂部10Mと一体的に形成され、板状の本体部30Mが得られる。本体部30Mは、ウィンドウパネル1の本体部30(
図8および
図9参照)のいわゆる前身(前躯体)を構成する部材である。本体部30Mは、透明樹脂部10Mおよび有色樹脂部20を含む。
【0039】
本体部30Mは、外表面31、内表面32および外周側面33を有する。外表面31および内表面32は、本体部30Mの表裏面を構成し、互いに対向する位置関係を有する。外周側面33は、本体部30Mの表面のうちの外周に位置する部分であり、外表面31と内表面32とを接続する形状を有する。
【0040】
延出部18は、外周側面33のうちの内表面32の側(内表面32に近い側)に位置しており、外方(たとえば矢印AR2に示す方向)に向かって延出する形状を有する。詳細は後述されるが、点P2を通る面にて本体部30Mが切断されることによって、延出部18は本体部30Mから除去され、本体部30Mは本体部30を構成する(
図9参照)。
【0041】
図6を参照して、次にノズル90が準備される。ノズル90は、保護層40(
図8)を形成するための塗料91を吐出する。本体部30Mは、たとえば鉛直方向に沿うように支持される。この状態で、ノズル90は、外表面31の側から本体部30Mに向かって塗料91を塗布する(いわゆるフローコート法)。
【0042】
図7は、
図6中のVII−VII線に沿った矢視断面図である。本実施の形態においては、
図7の紙面に対して垂直な方向がほぼ鉛直方向に相当している。延出部18の存在によって、内表面32のうちの接着剤50を設けることが予定されている領域(
図7中の点線で示す領域)は、延出部18の外側端部18Eから離れている。外表面31の側から本体部30Mに向かって塗料91を塗布する際、塗料91は、延出部18の存在によって内表面32の側に回り込むことが抑制される。接着剤50を設けることが予定されている領域に塗料91が到達することはほとんどないため、後工程を効率良く実施することが可能となる。
【0043】
図8を参照して、塗料91の塗布が完了すると、保護層40が形成される。保護層40は、第1被覆部41、第2被覆部42および第3被覆部43を含む。第1被覆部41は、本体部30Mの外表面31を覆う。第2被覆部42および第3被覆部43は、本体部30Mの外周側面33を覆う。具体的には、第2被覆部42は、透明樹脂部10Mの表面12(
図9における非露出部34に相当する部分)を覆っており、第3被覆部43は、延出部18の表面の一部を取り囲むように覆っている。次に、点P2を通る面LNにて透明樹脂部10Mが切断されることによって、延出部18は透明樹脂部10Mから除去され(切り離され)、透明樹脂部10Mは透明樹脂部10(
図9)を構成する。同時に、本体部30Mは本体部30(
図9)を構成する。
【0044】
図9に示すように、延出部18を除去する工程が完了した後の外周側面33は、非露出部34および露出部35を有する。非露出部34は、外表面31の側(外表面31に近い側)に位置する。本体部30(外周側面33)の非露出部34は、第2被覆部42に覆われることにより、露出していない。露出部35は、非露出部34よりも内表面32の側(内表面32に近い側)に位置する。露出部35は、透明樹脂部10の外周端面により形成されており、保護層40に覆われていない。本体部30(外周側面33)の露出部35は、露出している。
【0045】
図8および
図9を参照して、面LNよりも内側(矢印A1方向に示す側)の部位が、ウィンドウパネル1(
図9)を構成する。面LNよりも外側(矢印A2方向に示す側)の部位は、回収され再利用などに供される。ウィンドウパネル1は、透明樹脂部10および有色樹脂部20を含む本体部30と、保護層40とを備える。ウィンドウパネル1は、接着剤50によって図示しない支持部材に接合され、車両2(
図1)に搭載される。
【0046】
(作用および効果)
ウィンドウパネルを樹脂材を用いて製造する場合、ウィンドウパネルが製品として完成するまでに使用される樹脂材の量を減らすことが求められる。本実施の形態におけるウィンドウパネル1は、これを実現している。以下、比較例に基づきその作用を説明する。
【0047】
[比較例]
図10は、比較例における本体部30Pに塗料91を塗布している際の様子を示す断面図であり、上述の実施の形態1における
図7に対応している。本体部30Pは、外表面31P、内表面32Pおよび外周側面33Pを有する。本体部30Pは、延出部18(
図7)を有していない。透明樹脂部10Pの外周端面10Eと、有色樹脂部20Pの外周端面20Eとによって、本体部30Pの外周側面33Pが構成されている。
【0048】
本体部30Pの外側部分18Q(面LNよりも矢印A2に示す側の部分)の存在によって、接着剤50を設けることが予定されている領域(
図10中の点線で示す領域)は、外周側面33Pから離れている。塗料91は、内表面32Pの側に回り込むことが抑制される。面LNにて本体部30Pが切断されることによって、透明樹脂部10Pは透明樹脂部10Q(
図11)を構成し、有色樹脂部20Pは有色樹脂部20Qを構成し、同時に、本体部30Pは本体部30Q(
図11)を構成する。
図11に示すウィンドウパネル1Zが得られる。
【0049】
図11を参照して、外側部分18Qを除去する工程が完了した後の外周側面33は、表面13および表面24を有する。表面13は、外表面31の側(外表面31に近い側)に位置し、透明樹脂部10Qの外周端面によって形成される。表面24は、表面13よりも内表面32の側(内表面32に近い側)に位置し、有色樹脂部20Qの外周端面によって形成される。表面13,24のいずれもが、保護層40に覆われていない。本体部30Q外周側面33は、その全部が露出している。
【0050】
図11および
図7を参照して、ウィンドウパネルが製品として完成するまでに使用される樹脂材の量を比較する。比較例の場合は、実施の形態1の場合に比べて、おおよそ
図11(
図10も参照)中の点線で囲まれる領域R1に相当する部分だけ樹脂材の使用量が多い。面LNよりも外側(矢印A2方向に示す側)に位置する部分としては、比較例の外側部分18Qに比べて、実施の形態1の延出部18の方が小さい。一方で、塗料91が内表面の側に回り込むことを抑制するという機能に関しては、延出部18と比較例の外側部分18Qとで同様である。
【0051】
したがって上述の実施の形態1によれば、保護層40の形成時(塗料91の塗布時)に塗料91が内表面の側に回り込むことを抑制しつつ、ウィンドウパネルが製品として完成するまでに使用される樹脂材の量を比較例の場合に比べて少なくすることができると言える。本実施の形態では、ウィンドウパネル1の厚み方向について(
図2参照)、露出部35の厚みは、非露出部34の厚みよりも薄い。露出部35の厚みが非露出部34の厚みよりも厚い場合に比べて、除去する部分を小さくすることができる。
【0052】
図12は、ウィンドウパネル1Zが車両2の開口3に取り付けられた際の様子を示す断面図である。ウィンドウパネル1Zのうちの外表面31と外周側面33との間の部分は、鋭角を形成しているため、この部分を覆うモール38を設ける必要がある。一方で、上述の実施の形態1のウィンドウパネル1(
図2)は、非露出部34のうちの外表面31の側に位置する部分(表面12のうちの点P1に近い部分)が、湾曲面の形状を有している。モール38を設けることを必ずしも必要としていないという点で、メリットがあるといえる。
【0053】
(その他の比較例)
図13は、その他の比較例における本体部30Rに塗料91を塗布している際の様子を示す断面図であり、上述の実施の形態1における
図7に対応している。本体部30Rは、透明樹脂部10Rおよび有色樹脂部20Rを有し、有色樹脂部20Rの外側(矢印AR2に示す方向の側)にはリブ28が設けられている。リブ28を設ける場合、上述の比較例(
図10)の場合に比べて、塗料91が内表面の側に回り込むことを抑制可能となる。ウィンドウパネルが製品として完成するまでに使用される樹脂材の量を比較すると、
図13中の点線で囲まれる領域R2は、上述の比較例の場合の領域R1(
図10)に比べて小さくできる。
【0054】
しかしながら、
図13に示すその他の比較例の場合であっても、面LNにて本体部30Rが切断された後には、本体部の外周側面は保護層(図示せず)に覆われず、本体部の外周側面は、その全部が露出する。外表面と外周側面との間の部分は鋭角を形成するため、この部分を覆うモール38(
図12)を設ける必要がある。
【0055】
[実施の形態2]
図14および
図15を参照して、実施の形態2について説明する。
図14および
図15は、実施の形態1における
図8および
図9にそれぞれ対応している。実施の形態1(
図8参照)の場合には、非露出部34のうちの外表面31との境界部分(点P1に示す部分)は、非露出部34のうちの露出部35との境界部分(点P2に示す部分)よりも内側に位置している。透明樹脂部10Mの表面12のうちの外表面31(点P1)に近い部分は、湾曲面の形状を有している。一方で、
図14に示す実施の形態2では、透明樹脂部10Mの表面11と表面12とが互いに(たとえば90°の角度を持って)交差する形状を有する。
【0056】
図15を参照して、面LNにて本体部30M(
図14)が切断されることによって、ウィンドウパネル1A(
図15)が得られる。本実施の形態の場合であっても、保護層40の形成時(塗料91の塗布時)に塗料91が内表面の側に回り込むことを抑制しつつ、ウィンドウパネルが製品として完成するまでに使用される樹脂材の量を上述の比較例の場合に比べて少なくすることができる。
【0057】
面LNにて本体部30M(
図14)を切断する際、保護層40の第2被覆部42が除去されないように、延出部18の根元部分(基端部)が残存するような形で延出部18が除去されるとよい。この場合には、外周側面33の非露出部34と露出部35とは面一の関係を有しなくなる。なお図中では、説明上の便宜のため第2被覆部42を模式的に描いているが、実際の第2被覆部42の厚さは数十μmである。したがって、面LNにて本体部30Mを切断したとしても、延出部18の根元部分として残存するのはごく僅かの長さ分であり、外周側面33の非露出部34と露出部35とは実質的に面一の関係を有することとなる。
【0058】
一方で、点P2(
図14)を基点として、点P2から斜め内側方向(
図14紙面内の左斜め下方向)に向かうような切断面で延出部18を切り離してもよい。延出部18の根元部分が残存することはほとんどなくなり、外周側面33の非露出部34と露出部35とは面一の関係を有することとなる。
【0059】
[実施の形態3]
図16を参照して、実施の形態3では、外表面31と外周側面33の表面12とが互いに鈍角を持って交差する形状を有する。換言すると、透明樹脂部10の表面11と表面12とが互いに鈍角を持って交差する形状を有する。本実施の形態のウィンドウパネル1Bにおいても、上述の実施の形態1(湾曲面)の場合と同様に、非露出部34のうちの外表面31との境界部分(点P1に示す部分)は、非露出部34のうちの露出部35との境界部分(点P2に示す部分)よりも内側に位置している。非露出部34のうちの外表面31の側に位置する部分(非露出部34のうちの点P1に近い部分)は、非露出部34のうちの露出部35の側に位置する部分(非露出部34のうちの点P2に近い部分)よりも内側に位置している。
【0060】
本実施の形態の場合であっても、保護層40の形成時(塗料91の塗布時)に塗料91が内表面の側に回り込むことを抑制しつつ、ウィンドウパネルが製品として完成するまでに使用される樹脂材の量を上述の比較例の場合に比べて少なくすることができる。外表面31と外周側面33(非露出部34)との間の部分は鋭角を形成していないため、この部分を覆うモール38(
図12)を設けることは必ずしも必要ではない。
【0061】
[実施の形態4]
図17を参照して、実施の形態4について説明する。
図17は、実施の形態1における
図7に対応している。外表面31が位置している側を表側とし、内表面32が位置している側を裏側とする。
図17に示すように、延出部18は、外方に向かうにつれて(矢印AR2の側に向かうにつれて)、表側の方に向かって斜めに延びる形状を有していてもよい。
【0062】
[実施の形態5]
図18を参照して、実施の形態5について説明する。
図18は、実施の形態1における
図7に対応している。外表面31が位置している側を表側とし、内表面32が位置している側を裏側とする。
図18に示すように、延出部18は、外方に向かうにつれて(矢印AR2の側に向かうにつれて)、裏側の方に向かって斜めに延びる形状を有していてもよい。
【0063】
[実施の形態6]
図19を参照して、上述の各実施の形態における本体部30は、透明樹脂部10および有色樹脂部20を含む。
図19に示すウィンドウパネル1Cのように、本体部30は、透明樹脂部10の1層構造を形成していてもよい。当該構成であっても、上述と同様の作用および効果を得ることができる。
【0064】
[その他の実施の形態]
上述の各実施の形態(
図1参照)は、いわゆる固定式のウィンドウパネル1に基づき説明した。上述のウィンドウパネル1は、ボディの屋根部に設けられた開口3を塞ぐように設けられる。上述の各実施の形態で開示した思想は、ボディの屋根部に設けられるウィンドウパネルに限られず、車両のフロントウィンドウ、リアウィンドウ、およびサイドウィンドウ等にも適用できる。車両におけるいずれのウィンドウであっても、上記の思想が適用されることによって、ウィンドウ(ウィンドウパネル)が製品として完成するまでに使用される樹脂材の量を少なくすることができる。また、上記の思想は、固定式のウィンドウパネルに限られず、可動式(スライド式)のウィンドウパネルにも適用できる。可動式のウィンドウパネルの一例としては、サイドウィンドウが挙げられる。
【0065】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。