(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233168
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
H01M2/10 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-86854(P2014-86854)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-207427(P2015-207427A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大石 英史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
【審査官】
佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−207114(JP,A)
【文献】
特開平7−317907(JP,A)
【文献】
特開2003−120815(JP,A)
【文献】
米国特許第06352267(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
H01M 2/04
H01M 2/08
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケース本体と、
前記ケース本体に固定されて、前記開口部を閉塞する蓋体と、
前記ケース本体の開口部を囲む端面と前記蓋体との間に挟持され、前記開口部の形状に沿って屈曲された弾性力を有する棒状で且つ有端のシール材と、を備えたケースに電池セルを収容した電池パックであって、
前記シール材は、
内側重なり部と、
前記内側重なり部と重なり合うとともに前記内側重なり部よりも前記ケースの外側に位置する外側重なり部と、
前記内側重なり部が前記外側重なり部に押しつけられるように前記内側重なり部に復元力を作用させる内側屈曲部と、を有する電池パック。
【請求項2】
前記シール材は、前記外側重なり部が前記内側重なり部に押しつけられるように前記外側重なり部に復元力を作用させる外側屈曲部を有する請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記内側重なり部と、前記外側重なり部とは、鉛直方向での最上部に設けられている請求項1又は請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記外側重なり部は、前記内側屈曲部を覆う請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記ケースは、前記ケースの内側に向けて凹み、前記電池セルに電気的に接続されるコネクタが配設される領域を前記ケースの外部に区画する凹部を有し、
前記凹部を区画する前記ケースの壁部のうち、前記コネクタが設けられる壁部とは異なる壁部の前記端面に前記内側重なり部と、前記外側重なり部とが設けられている請求項1又は請求項2に記載の電池パック。
【請求項6】
前記シール材は、前記外側重なり部に前記ケースの外側に向けた復元力を作用させる外側屈曲部を有し、
前記内側重なり部は、前記内側屈曲部から鉛直方向上側に延び、前記外側重なり部は、前記外側屈曲部から鉛直方向下方に延びるように設けられており、前記外側重なり部には、前記シール部材の端部が位置している請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに電池セルを収容した電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池セルをケースに収容した電池パックとしては、例えば、特許文献1に記載の電池モジュールが挙げられる。特許文献1に記載の電池モジュールは、モジュールケース(ケース)に複数の単電池(電池セル)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−251352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ケース内に水などの液体や、ほこりなどが侵入すると、電池セルの短絡の原因となり、電池セルが故障するおそれがある。このため、電池セルが収容されるケースのシール性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、ケースのシール性を向上させることができる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電池パックは、開口部を有するケース本体と、前記ケース本体に固定されて、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記ケース本体の開口部を囲む端面と前記蓋体との間に挟持され、前記開口部の形状に沿って屈曲され
た弾性力を有する
棒状で且つ有端のシール材と、を備えたケースに電池セルを収容した電池パックであって、前記シール材は、内側重なり部と、前記内側重なり部と重なり合うとともに前記内側重なり部よりも前記ケースの外側に位置する外側重なり部と、前記内側重なり部が前記外側重なり部に押しつけられるように前記内側重なり部に復元力を作用させる内側屈曲部と、を有する。
【0007】
長尺状のシール材を屈曲させてケース本体と蓋体との間のシール性を確保する場合、シール材の一部を重ね合わせて隙間なくシール材を設ける必要がある。このとき、内側重なり部と、外側重なり部との間に隙間が生じていると、ケースのシール性が確保できないおそれがあるが、内側重なり部に作用する復元力によって内側重なり部が外側重なり部に押しつけられることで、密着性が向上される。このため、内側重なり部と、外側重なり部との間に隙間が生じにくく、ケース本体と、蓋体との間のシール性、すなわち、ケースのシール性が向上する。
【0008】
上記電池パックについて、前記シール材は、前記外側重なり部が前記内側重なり部に押しつけられるように前記外側重なり部に復元力を作用させる外側屈曲部を有することが好ましい。
【0009】
これによれば、内側重なり部と、外側重なり部には、互いに近付く方向に復元力が作用する。このため、内側重なり部と、外側重なり部との密着性が向上し、ケース本体と蓋体との間のシール性が更に向上する。
【0010】
上記電池パックについて、前記内側重なり部と、前記外側重なり部とは、鉛直方向での最上部に設けられていることが好ましい。これによれば、電池パックの鉛直方向下方からの液体の侵入を抑止することができる。
【0011】
上記電池パックについて、前記外側重なり部は、前記内側屈曲部を覆うことが好ましい。これによれば、内側重なり部と、外側重なり部との継ぎ目から液体や、ほこりがケース内に侵入することを抑止することができる。
【0012】
上記電池パックについて、前記ケースは、前記ケースの内側に向けて凹み、前記電池セルに電気的に接続されるコネクタが配設される領域を前記ケースの外部に区画する凹部を有し、前記凹部を区画する前記ケースの壁部のうち、前記コネクタが設けられる壁部とは異なる壁部の前記端面に前記内側重なり部と、前記外側重なり部とが設けられていることが好ましい。
【0013】
内側重なり部と、外側重なり部が設けられる部分は、シール材によって占有される端面の面積が増加する。このため、端面の面積を確保するために、壁部を厚くする場合があるが、壁部を厚くすると、電池パック以外の部材の配設を阻害するおそれがある。凹部を区画する壁部と、コネクタとの間には壁部とコネクタとの接触を抑止するため、空隙が設けられているため、この空隙を利用して壁部を厚くすることで、電池パック以外の部材の配設の阻害を抑制しつつ壁部を厚くすることができる。
【0014】
上記電池パックについて、
前記シール材は、前記外側重なり部に前記ケースの外側に向けた復元力を作用させる外側屈曲部を有し、前記内側重なり部は、前記内側屈曲部から鉛直方向上側に延び、前記外側重なり部は、
前記外側屈曲部から鉛直方向下方に延びるように設けられて
おり、前記外側重なり部には、前記シール部材の端部が位置していることが好ましい。
これによれば、内側重なり部と、外側重なり部との継ぎ目が鉛直方向上側を向かないため、継ぎ目から液体やほこりが侵入しにくい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ケースのシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】実施形態の内側重なり部と、外側重なり部とを拡大して示す図。
【
図4】変形例の内側重なり部と、外側重なり部とを拡大して示す図。
【
図5】変形例の内側重なり部と、外側重なり部とを拡大して示す図。
【
図6】変形例の内側重なり部と、外側重なり部とを拡大して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電池パックの一実施形態について説明する。
図1に示すように、電池パック10はケース11を有している。ケース11には、複数の電池セル12が収容されている。
【0018】
ケース11は、有底筒状のケース本体21と、平板状の蓋体13と、ケース本体21と蓋体13との間に設けられたシール材40とを有している。ケース本体21は、平板状の基部22と、基部22の周縁から基部22の厚み方向に延びる矩形平板状の複数の壁部23〜28とを有している。以下、詳細に説明を行う。
【0019】
図2に示すように、複数の壁部23〜28のうち、下壁部23の長手方向両端には、下壁部23の厚み方向に延設する第1の側壁部24と、第2の側壁部25とがそれぞれ設けられている。第1の側壁部24は、第2の側壁部25に比べて延設方向(長手方向)の寸法が長い。第1の側壁部24の延設方向(長手方向)の端部のうち、下壁部23が設けられた端部とは反対側の端部には、第1の側壁部24の厚み方向に延設された上壁部26が設けられている。下壁部23と、上壁部26とは、互いに厚み方向に対向している。上壁部26は、下壁部23に比べて延設方向(長手方向)の寸法が短い。第2の側壁部25の延設方向の端部のうち、下壁部23とは反対側の端部には、第1の側壁部24及び上壁部26に近付くように傾斜する傾斜壁部27が設けられている。そして、傾斜壁部27と、上壁部26とは、第3の側壁部28によって繋がれて、各壁部23〜28は枠状に繋がれている。第2の側壁部25及び第3の側壁部28と、第1の側壁部24とは、互いに厚み方向に対向している。上記のように構成されたケース11は、下壁部23が鉛直方向下方に位置し、上壁部26が鉛直方向上方に位置するように配設される。
【0020】
第3の側壁部28には、ケース11の外部に向けて突出するコネクタ29が設けられている。コネクタ29は、図示しないハーネスなどによって電池セル12と電気的に接続されている。第3の側壁部28は、第2の側壁部25よりも第1の側壁部24側に位置しており、第3の側壁部28と、傾斜壁部27によってケース11の内側に向けて凹む凹部30を形成している。これにより、傾斜壁部27と、第3の側壁部28とに囲まれる位置にコネクタ29が設けられる領域が区画されている。
【0021】
ケース本体21は、各壁部23〜28に囲まれる開口部31を有している。各壁部23〜28の開口部31を囲む端面23a〜28aには、シール材40が設けられている。シール材40は、ゴムや樹脂系のスポンジなどの弾性力を有する材料で製造されている。シール材40は、1つの長尺状の棒材であり、開口部31の形状に沿って屈曲されている。シール材40は、開口部31を囲んでいる。各壁部23〜28には、ケース本体21の開口部31を閉塞する蓋体13が固定されている。シール材40は、端面23a〜28aに貼り付けられる。そして、シール材40は、各壁部23〜28の端面23a〜28aと、蓋体13との間に挟持されることで潰れて、ケース本体21と蓋体13との間のシール性、すなわち、ケース11のシール性を確保している。
【0022】
シール材40は各壁部23〜28が交わる角C1〜C6に合わせて曲げられた屈曲部41〜46を有している。シール材40は、上壁部26と第3の側壁部28とが交わる角C1で曲げられた第1の屈曲部41と、第3の側壁部28と傾斜壁部27とが交わる角C2で曲げられた第2の屈曲部42と、傾斜壁部27と第2の側壁部25とが交わる角C3で曲げられた第3の屈曲部43とを有している。更に、シール材40は、第2の側壁部25と下壁部23とが交わる角C4で曲げられた第4の屈曲部44と、下壁部23と第1の側壁部24とが交わる角C5で曲げられた第5の屈曲部45と、第1の側壁部24と上壁部26とが交わる角C6で曲げられた第6の屈曲部46とを有している。
【0023】
長尺状のシール材40の第1端部40a(シール材40の長手方向両端のうち第1の屈曲部41側の端部)と第1の屈曲部41との間の上部51は、上壁部26の端面26aに沿って設けられており、第1の屈曲部41と第2の屈曲部42との間の側部52は、第3の側壁部28の端面28aに沿って設けられている。第2の屈曲部42と第3の屈曲部43との間の傾斜部53は、傾斜壁部27の端面27aに沿って設けられており、第3の屈曲部43と第4の屈曲部44との間の側部54は、第2の側壁部25の端面25aに沿って設けられている。第4の屈曲部44と第5の屈曲部45との間の下部55は、下壁部23の端面23aに沿って設けられており、第5の屈曲部45と第6の屈曲部46との間の側部56は、第1の側壁部24の端面24aに沿って設けられている。
【0024】
図3に示すように、第6の屈曲部46とシール材40の第2端部40bとの間の内側重なり部57は、上壁部26の端面26aに沿って設けられている。内側重なり部57は、上部51よりもケース11の内側に位置している。内側重なり部57は、上部51に比べて短い。内側重なり部57は、上部51の一部と密着している。そして、上部51において、上壁部26の端面26aに沿う方向に内側重なり部57に重なり合う部分が、外側重なり部58となっている。外側重なり部58は、内側重なり部57よりもケース11の外側に位置している。また、外側重なり部58は、第6の屈曲部46を鉛直方向で覆っている。上記したように、内側重なり部57と、外側重なり部58とは、上壁部26の端面26aに設けられている。すなわち、各壁部23〜28の端面23a〜28aのうち鉛直方向での最上部の端面26aに設けられている。
【0025】
シール材40は、弾性力を有している。このため、シール材40を屈曲させると、シール材40は弾性範囲内で元の形状に復元しようとし、シール材40に復元力が作用する。内側重なり部57に作用する復元力F1は、最も近い屈曲部である第6の屈曲部46に依存している。第6の屈曲部46は、第1の側壁部24の端面24aから上壁部26の端面26aに向けて屈曲されており、内側重なり部57には、側部56と一直線状になろうとしてケース11の外側(上側)に向けた復元力F1が作用する。すなわち、内側重なり部57には、外側重なり部58に向けた復元力F1が作用する。したがって、内側重なり部57が外側重なり部58に押しつけられるように内側重なり部57に復元力F1を作用させる内側屈曲部は、第6の屈曲部46となる。
【0026】
また、外側重なり部58には、外側重なり部58を含む上部51に最も近い屈曲部である第1の屈曲部41に依存した復元力F2が作用する。外側重なり部58には、側部52と一直線状になろうとしてケース11の外側(上側)に向けた復元力F2が作用する。すなわち、内側重なり部57と、外側重なり部58とは、同一方向に復元力が作用し、外側重なり部58には内側重なり部57から離れる方向に復元力F2が作用する。
【0027】
シール材40に作用する復元力は、各屈曲部41〜46からの距離に依存しており、各屈曲部41〜46からの距離が近い部分ほど作用している復元力は大きい。内側重なり部57に作用する復元力F1の大きさは、第6の屈曲部46からの距離に依存している。外側重なり部58に作用する復元力F2の大きさは、第1の屈曲部41からの距離に依存している。第1の屈曲部41から外側重なり部58までの距離は、第6の屈曲部46から内側重なり部57までの距離に比べて長い。このため、外側重なり部58に作用する復元力F2は、内側重なり部57に作用する復元力F1に比べて小さい。したがって、内側重なり部57と、外側重なり部58に作用する復元力の方向が同一方向であっても、内側重なり部57は、外側重なり部58に向けて押しつけられることになる。
【0028】
次に、本実施形態の電池パック10の作用について説明する。
長尺状のシール材40を屈曲させてケース本体21と蓋体13とのシールを行う場合、シール材40が隙間なく開口部31を囲めるように、互いに重なり合う内側重なり部57と、外側重なり部58とを設ける。このとき、内側重なり部57と、外側重なり部58との間に隙間があると、シール性が確保できないおそれがある。
【0029】
本実施形態では、内側重なり部57に外側重なり部58に向けた復元力F1を作用させることで、内側重なり部57が外側重なり部58に押しつけられ、内側重なり部57と、外側重なり部58との密着性が向上する。このため、内側重なり部57と、外側重なり部58との間に隙間が生じにくく、ケース本体21と、蓋体13との間のシール性が向上する。
【0030】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)内側重なり部57には、外側重なり部58に向けた復元力F1が作用しているため、内側重なり部57と、外側重なり部58との密着性が向上し、ケース11のシール性が向上している。このため、ケース11内には、外部から液体や、ほこりなどが侵入しにくく、電池セル12が短絡することが抑止される。
【0031】
(2)内側重なり部57と、外側重なり部58とは、最上部で重なり合っている。電池パック10は、車両などの収容部に収容されるが、収容部の下部に液体が滞留している場合、内側重なり部57と、外側重なり部58とが下方に設けられていると、液体が侵入しやすくなる。内側重なり部57と、外側重なり部58とを最上部に設けることで、収容部に液体が滞留した場合であっても、ケース11に液体が侵入しにくい。
【0032】
(3)外側重なり部58は、第6の屈曲部46を鉛直方向で覆っている。外側重なり部58が、第6の屈曲部46を覆っていない場合、第6の屈曲部46と内側重なり部57との間に液体が滞留するおそれがあり、内側重なり部57と、外側重なり部58の継ぎ目から液体が侵入するおそれがある。第6の屈曲部46を覆うまで外側重なり部58を延ばすことで、内側重なり部57と、外側重なり部58との継ぎ目付近での液体の滞留を抑止して、ケース11内への液体の侵入を抑止することができる。
【0033】
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
○
図4に示すように、傾斜壁部27の端面27aに内側重なり部61と、外側重なり部62とが設けられていてもよい。内側重なり部61には、角C3で曲げられた内側屈曲部63によって、ケース11の外側に向けた復元力F3が作用している。外側重なり部62には、角C2で曲げられた外側屈曲部64によってケース11の内側に向けた復元力F4が作用している。すなわち、内側重なり部61と、外側重なり部62とには、互いに近づく方向に復元力が作用している。このため、内側重なり部61と、外側重なり部62の密着性が向上し、ケース11のシール性が更に向上している。
【0034】
また、傾斜壁部27は、凹部30を区画する壁部のうち、コネクタ29が設けられていない壁部である。内側重なり部61と、外側重なり部62を設ける部分は、シール材40が二重で設けられるため、端面の面積を広く確保する必要がある。端面の面積を広くするために、壁部を厚くする場合があるが、電池パック10以外の他の部材の配設を阻害するおそれがあり、壁部を厚くすることができない場合がある。コネクタ29が設けられる凹部30を区画する壁部は、コネクタ29との接触を抑止するために、コネクタ29との間に空隙を有しており、この空隙には他の部材も設けられないため、壁部を厚くしやすい。このため、内側重なり部61と、外側重なり部62を設けるために傾斜壁部27を厚くしても、他の部材の配設を阻害しにくい。
【0035】
○
図5に示すように、内側重なり部71と、外側重なり部72とは、第1の側壁部24に設けられていてもよい。内側重なり部71には、角C5で曲げられた内側屈曲部73によって、ケース11の外側に向けた復元力F5が作用しているため、内側重なり部71と、外側重なり部72の密着性が向上し、ケース11のシール性が更に向上している。この場合、内側重なり部71が鉛直方向上方の延びるように設けられ、外側重なり部72が鉛直方向下方に延びるように設けられることが好ましい。内側重なり部71が鉛直方向下側に延び、外側重なり部72が鉛直方向上側に延びている場合、内側重なり部71と、外側重なり部72の継ぎ目が鉛直方向上側に露出する。液体は、鉛直方向上側から鉛直方向下側に向けて移動するため、継ぎ目が鉛直方向上側に露出していると、継ぎ目から液体が侵入しやすい。内側重なり部71を鉛直方向上方に延びるようにし、外側重なり部72を鉛直方向下方に延びるようにすることで、内側重なり部71と、外側重なり部72の継ぎ目が鉛直方向上方に露出せず、ケース11内への液体の侵入を抑止することができる。
【0036】
○
図6に示すように、第3の側壁部28に内側重なり部81と、外側重なり部82とを設けてもよい。この場合も、内側重なり部81と、外側重なり部82とには、互いに近付く方向に復元力F6,F7が作用するため、内側重なり部81と、外側重なり部82との密着性が向上する。
【0037】
○第2の側壁部25や、下壁部23に内側重なり部57と、外側重なり部58とを設けてもよい。すなわち、内側重なり部57と、外側重なり部58とは、開口部31を囲む端面23a〜28aに設けられていれば、どのような位置に設けられていてもよい。
【0038】
○開口部31の形状は、四角形や五角形など、どのような形状であってもよい。
○実施形態では、一つのシール材40を屈曲させているが、複数のシール材40を用いてもよい。この場合、それぞれのシール材40が重なり合う部分が内側重なり部57及び外側重なり部58となり、シール材40の数が増すにつれ、内側重なり部57と、外側重なり部58との数も増えていく。
【符号の説明】
【0039】
10…電池パック、11…ケース、12…電池セル、13…蓋体、21…ケース本体、23〜28…壁部、23a〜28a…端面、31…開口部、40…シール材、46…第6の屈曲部、57…内側重なり部、58…外側重なり部。