(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帯電性パラメーターは環境湿度の計測値を含み、前記環境湿度の計測値が低い場合よりも高い場合の方が、前記現像剤がより帯電しにくい状態であることを示す、請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0015】
[画像形成装置10の概略構成]
本発明の実施形態に係る前記画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置である。
図1が示すように、前記画像形成装置10は、筐体100内にシート供給部2、シート搬送部3、画像形成部4、光走査部5、定着部6、温度センサー801、湿度センサー802および制御部8などを備える。
【0016】
なお、前記画像形成装置10は、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリーまたは複合機などである。前記複合機は、前記プリンターの機能および前記コピー機の機能などを併せ持つ。
【0017】
前記シート供給部2は、シート受部21およびシート送出部22を備えている。前記シート受部21は、複数の記録シート9を重ねて載置可能に構成されている。前記記録シート9は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、およびOHPシートなどのシート状の画像形成媒体である。
【0018】
前記シート送出部22は、前記記録シート9に接して回転することにより前記記録シート9を前記シート受部21から搬送路30へ向けて送り出す。
【0019】
前記シート搬送部3は、搬送ローラー31を備える。前記搬送ローラー31は、前記シート供給部2から供給される前記記録シート9を前記画像形成部4へ向けて搬送し、さらに、画像形成後の前記記録シート9を前記搬送路30の排出口から排出トレイ101上へ排出する。
【0020】
前記画像形成部4は、前記シート送出部22から供給されて前記搬送路30を移動中の前記記録シート9の表面に画像を形成する。前記画像形成部4は、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43、転写装置45およびクリーニング装置47などを備える。なお、前記感光体41は像担持体の一例である。
【0021】
前記感光体41が回転し、前記帯電装置42が前記感光体41の表面を一様に帯電させる。さらに、前記光走査部5がレーザー光を走査することにより帯電した前記感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0022】
前記現像装置43は、前記感光体41に現像剤を供給することにより、前記静電潜像を現像する。前記現像装置43は、現像剤供給部11、中間ホッパー部12および現像部13を備える。前記現像剤は、例えば磁性を有するキャリアおよびトナーを含む2成分現像剤である。例えば、前記キャリアは、磁性を有するフェライト粒子とその表面のコーティング樹脂とを含む。また、前記現像剤が前記キャリアを含まないトナーであることも考えられる。
【0023】
前記現像剤供給部11と前記中間ホッパー部12との間には、前記現像剤の通路をなす第1補給部140が設けられている。前記中間ホッパー部12と前記現像部13との間には、前記現像剤の通路をなす第2補給部150が設けられている。以下、前記第1補給部140の通路のことを第1通路14と称し、前記第2補給部150の通路のことを第2通路15と称する。
【0024】
前記現像装置43は、前記第2通路15に設けられた第2通路制限部17をさらに備える。また、本実施形態における前記現像装置43は、前記第1通路14に設けられた第1通路制限部16も備える。
【0025】
図2が示すように、前記現像剤供給部11は、現像剤コンテナ111、第1撹拌部材112、第1搬送部材113および現像剤供給駆動部114を備える。
【0026】
前記現像剤コンテナ111は、前記現像剤を収容する第1収容空間110が内部に形成された容器である。前記現像剤コンテナ111は、前記画像形成装置10の前記筐体100(本体)に対して取り外し可能に装着されている。前記第1撹拌部材112は、前記現像剤コンテナ111内に配置されている。前記第1搬送部材113は、一部が外部に露出する状態で前記現像剤コンテナ111内に配置されている。従って、前記現像剤コンテナ111の装着および取り外しに伴って、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113も前記筐体100(本体)に対する装着および取り外しがなされる。
【0027】
前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113は、それぞれ回転することによって前記現像剤コンテナ111内の前記現像剤を撹拌しつつ搬送する部材である。前記第1撹拌部材112は、主に前記現像剤を撹拌する役割を果たす。同時に、前記第1撹拌部材112は、前記現像剤を前記第1収容空間110における前記第1搬送部材113寄りの位置へ搬送する。
【0028】
前記第1搬送部材113は、前記現像剤コンテナ111内において前記現像剤を撹拌しつつ前記第1通路14へ搬送する。前記現像剤コンテナ111には、前記第1通路14に連通する第1排出口1111が形成されている。前記第1搬送部材113によって搬送される前記現像剤は、前記第1排出口1111から前記第1通路14を通って落下する。
【0029】
前記現像剤供給駆動部114は、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113を回転駆動する機構である。また、本実施形態において、前記現像剤供給駆動部114は、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113の駆動速度を調節可能である。例えば、前記現像剤供給駆動部114は、不図示のモーターおよびそのモーターの回転力を前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113へ伝達するギア機構などを有している。さらに、前記現像剤供給駆動部114は、駆動速度の調節のための周知の変速機構も備えている。
【0030】
前記中間ホッパー部12は、中間収容部121、第2撹拌部材122、第2搬送部材123および中間ホッパー駆動部124を備える。前記中間収容部121には、前記第1通路14および前記第1排出口1111に連通する第1供給口1210が形成されている。
【0031】
前記中間収容部121は、前記現像剤を収容する第2収容空間120が内部に形成された容器である。前記中間収容部121は、前記現像剤供給部11から前記第1通路14を経て供給される前記現像剤を一時収容する。前記第2撹拌部材122は、前記中間収容部121内に配置されている。前記第2搬送部材123は、一部が外部に露出する状態で前記中間収容部121内に配置されている。
【0032】
前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123は、それぞれ回転することによって前記中間収容部121内の前記現像剤を撹拌しつつ搬送する部材である。前記第2撹拌部材122は、主に前記現像剤を撹拌する役割を果たす。同時に、前記第2撹拌部材122は、前記現像剤を前記第2収容空間120における前記第2搬送部材123寄りの位置へ搬送する。
【0033】
前記第2搬送部材123は、前記中間収容部121内において前記現像剤を撹拌しつつ前記第2通路15へ搬送する。前記中間収容部121には、前記第2通路15に連通する第2排出口1211が形成されている。前記第2搬送部材123によって搬送される前記現像剤は、前記第2排出口1211から前記第2通路15を通って落下する。
【0034】
前記中間ホッパー駆動部124は、前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123を回転駆動する機構である。また、本実施形態において、前記中間ホッパー駆動部124は、前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123の駆動速度を調節可能である。例えば、前記中間ホッパー駆動部124は、不図示のモーターおよびそのモーターの回転力を前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123へ伝達するギア機構などを有している。さらに、前記中間ホッパー駆動部124は、駆動速度の調節のための周知の変速機構も備えている。
【0035】
前記現像部13は、現像槽131、第3搬送部材132、現像ローラー133および現像駆動部134を備える。前記現像槽131には、前記第2通路15および前記第2排出口1211に連通する第2供給口1310が形成されている。
【0036】
前記現像槽131は、前記現像剤を収容する第3収容空間130が内部に形成された容器である。前記現像槽131は、前記中間ホッパー部12から前記第2通路15を経て供給される前記現像剤を一時収容する。前記第3搬送部材132は、前記現像槽131内に配置されている。前記現像ローラー133は、一部が外部に露出する状態で前記現像槽131内に配置されている。
【0037】
前記第3搬送部材132は、回転することによって前記現像槽131内の前記現像剤を撹拌しつつ前記現像ローラー133寄りの位置へ搬送する。前記現像ローラー133は、回転することによって前記現像剤を前記感光体41の表面へ供給する。これにより、前記感光体41表面の静電潜像が前記現像剤によって顕像化する。なお、前記現像ローラー133は、現像スリーブと称される場合もある。
【0038】
前記現像駆動部134は、前記第3搬送部材132および前記現像ローラー133を回転駆動する機構である。例えば、前記現像駆動部134は、不図示のモーターおよびそのモーターの回転力を前記第3搬送部材132および前記現像ローラー133へ伝達するギア機構などを有している。
【0039】
前記第1搬送部材113、前記第2搬送部材123および前記第3搬送部材132は、例えば、回転軸部およびその回転軸部の周囲に形成された螺旋状の羽根部を有するスクリュー型搬送部材である。
【0040】
前記第2通路制限部17は、前記第2通路15において前記現像剤の通過を制限する制限状態からその制限をしない非制限状態までに亘る範囲で動作可能な機構である。前記第2通路制限部17は、回転可能に支持された第2遮蔽部材171と第2遮蔽部材駆動部172とを備える。
【0041】
前記第2遮蔽部材171の一部には、前記第2通路15の断面の輪郭以上の範囲を占める開口部170が形成されている。前記第2遮蔽部材駆動部172は、前記第2遮蔽部材171を回転駆動し、前記第1遮蔽部材161を複数の向き(回転角度)各々で保持する機構である。
【0042】
図3〜5は、前記第2通路制限部17の複数の状態各々の概略平面図である。
図3は、前記第2通路15の断面全体が前記第2遮蔽部材171の前記開口部170内に収まっている状態を示す。この状態は、前記第2通路15において前記現像剤の通過を制限しない前記非制限状態である。
【0043】
図4,5は、前記第2通路15の断面の一部が前記第2遮蔽部材171と重なっている状態を示す。これらの状態は、前記第2通路15において前記現像剤の通過を制限する前記制限状態である。
図4は、前記第2通路15における前記現像剤の通過の制限度合いが比較的小さな第1制限状態であり、
図5は、前記第2通路15における前記現像剤の通過の制限度合いが比較的大きな第2制限状態である。
【0044】
前記第2遮蔽部材駆動部172は、前記制御部8からの制御信号に従って、前記第2遮蔽部材171を前記非制限状態から前記第2制限状態に亘る範囲で位置決めする。
【0045】
前記第1通路制限部16は、前記第1通路14において前記現像剤の通過を制限する前記制限状態からその制限を解除する前記非制限状態までに亘る範囲で動作可能な機構である。前記第1通路制限部16も前記第2通路制限部17と同様の構成を有している。即ち、前記第1通路制限部16は、回転可能に支持された第1遮蔽部材161と第1遮蔽部材駆動部162とを備える。
【0046】
前記第1遮蔽部材161の一部には、前記第1通路14の断面の輪郭以上の範囲を占める開口160が形成されている。前記第1遮蔽部材駆動部162は、前記第1遮蔽部材161を回転駆動し、前記第1遮蔽部材161を複数の向き(回転角度)各々で保持する機構である。
【0047】
前記第1遮蔽部材駆動部162は、前記制御部8からの制御信号に従って、前記第1遮蔽部材161を前記非制限状態から前記第2制限状態に亘る範囲で位置決めする。
【0048】
前記転写装置45は、前記感光体41表面の画像(現像剤の像)を、前記搬送路30を移動中の前記記録シート9に転写する。最後に、前記クリーニング装置47が前記感光体41表面に残存する前記現像剤を除去する。
【0049】
前記定着部6は、ハロゲンヒーターなどのヒーター610を内包する定着ローラー61と加圧ローラー62との間に画像が形成された前記記録シート9を挟み込み、後工程へ送り出す。これにより、前記定着部6は、前記記録シート9上の前記現像剤の像を加熱し、前記記録シート9上に画像を定着させる。
【0050】
前記温度センサー801および前記湿度センサー802は、それぞれ前記現像装置43が配置されている環境の温度および湿度を計測するセンサーである。前記温度センサー801および前記湿度センサー802は、前記筐体100内または前記筐体100に沿う位置に配置されている。
【0051】
例えば、前記温度センサー801および前記湿度センサー802は、前記制御部8の位置またはその周辺の位置に取り付けられている。また、前記温度センサー801および前記湿度センサー802が、前記現像装置43により近い位置に配置されることも考えられる。
【0052】
前記温度センサー801は、例えばサーミスターなどである。また、前記湿度センサー802は、例えば高分子容量式湿度センサーまたは高分子抵抗式湿度センサーなどである。また、前記温度センサー801および前記湿度センサー802が一体化された温湿度センサーが採用されることも考えられる。
【0053】
前記制御部8は、前記画像形成装置10が備える各種の機器を制御する。例えば、前記制御部8は、前記湿度センサー802の計測結果に応じて前記現像剤供給駆動部、前記中間ホッパー駆動部124、前記第1遮蔽部材駆動部162および前記第2遮蔽部材駆動部172を制御する。
【0054】
図6が示すように、前記制御部8は、MPU(Micro Processor Unit)81、メモリー82、信号インターフェイス83および駆動回路84などを備えている。
【0055】
前記MPU81は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記メモリー82は、前記MPU81に各種の処理を実行させるための制御プログラムPr1,Pr2,Pr3,Pr4などの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。さらに、前記メモリー82は、前記MPU81による各種情報の読み書きが可能な記憶部でもある。
【0056】
前記制御部8は、前記MPU81が前記メモリー82に予め記憶された各種の制御プログラムPr1,Pr2,Pr3を実行することにより前記画像形成装置10を統括的に制御する。
【0057】
前記信号インターフェイス83は、前記MPU81とセンサーおよび制御対象機器との間の信号の受け渡しを中継するインターフェイス回路である。前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を介して前記温度センサー801、前記湿度センサー802およびその他のセンサーの検出信号(計測信号)を入力する。さらに、前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を通じて前記駆動回路84に制御信号を出力することにより、前記現像剤供給駆動部114、前記中間ホッパー駆動部124、前記現像駆動部134、前記第1遮蔽部材駆動部162および前記第2遮蔽部材駆動部172などを制御する。
【0058】
前記駆動回路84は、前記MPU81からの制御信号に従って、前記現像剤供給駆動部114、前記中間ホッパー駆動部124、前記現像駆動部134、前記第1遮蔽部材駆動部162および前記第2遮蔽部材駆動部172の各々へ駆動信号を出力する回路である。前記現像剤供給駆動部114、前記中間ホッパー駆動部124、前記現像駆動部134、前記第1遮蔽部材駆動部162および前記第2遮蔽部材駆動部172の各々は、前記駆動信号に従って動作する。
【0059】
本実施形態に係る前記現像装置43は、前記現像剤供給部11、前記中間ホッパー部12および前記現像部13に加え、前記制御部8の一部も含む。即ち、前記制御部8における、前記現像剤供給駆動部114、前記中間ホッパー駆動部124、前記現像駆動部134、前記第1遮蔽部材駆動部162および前記第2遮蔽部材駆動部172を制御する部分は、本実施形態に係る前記現像装置43の一部を成している。
【0060】
ところで、前記現像剤の帯電量が不足すると、現像不良が生じやすいことが知られている。前記現像剤の帯電を促進するために、前記現像槽131内の前記第3搬送部材132の動作速度が速められた場合、前記現像ローラー133に対して前記現像剤が過剰に供給されるおそれがある。また、前記中間収容部121内の前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123の動作速度が速められた場合も同様である。
【0061】
一方、後述する制御を実行する前記現像装置43によれば、前記現像剤が前記現像ローラー133へ過剰供給されることを防止しつつ、環境変化に応じて現像剤の帯電を促進することによって前記現像剤の帯電量の変動を抑制することが可能になる。
【0062】
[現像装置制御方法]
続いて、
図7〜10を参照しつつ、前記現像装置43の制御方法の一例について説明する。
図7は、前記制御部8が実行する前記現像装置43の制御工程の一例を示すフローチャートである。前記制御部8は、前記画像形成部4が動作するときに
図7が示す前記制御工程を実行する。
【0063】
例えば、前記制御部8は、前記画像形成部4による画像形成のジョブが発生したときなどに、
図7が示す前記制御工程を実行する。以下の説明において、S1,S2,・・・は、処理手順の識別符号を表す。なお、以下に示される前記制御部8の処理は、前記MPU81が前記メモリー82に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。
【0064】
<工程S1>
まず、前記制御部8は、前記温度センサー801および前記湿度センサー802の計測結果を入力する。この工程S1は、前記MPU81が入力プログラムPr1を実行する工程であり、入力工程の一例である。以下の説明において、前記温度センサー801の計測結果のことを計測温度と称し、前記湿度センサー802の計測結果のことを計測湿度と称する。
【0065】
一般に、前記現像剤は、環境の湿度が低い場合よりも高い場合の方がより帯電しにくい状態であることが知られている。従って、前記計測湿度は、前記現像剤の帯電性を表す帯電性パラメーターの一例である。前記帯電性は、撹拌されたときに帯電しやすい性質または帯電しにくい性質である。
【0066】
一般的な画像形成装置は、前記湿度センサー802を備える場合が多い。そのため、前記湿度センサーの計測結果が前記帯電性パラメーターとして用いられる場合、前記帯電性パラメーターを得るための新たなセンサーの追加は不要である。
【0067】
<工程S2>
次に、前記制御部8は、工程S1で得た計測結果を用いて、その計測結果が得られた環境下における前記現像剤の帯電性を推定する。この工程S2は、前記MPU81が帯電性推定プログラムPr2を実行する工程である。
【0068】
工程S2において、前記制御部8は、前記計測湿度(環境湿度の計測値)が低い場合よりも高い場合の方が、前記現像剤の帯電性が悪い(帯電しにくい)状態であると推定する。
【0069】
一般に、前記計測湿度(相対湿度)が同等の場合、前記計測温度が高い場合よりも前記計測温度が低い場合の方が前記現像剤の帯電性が悪い(帯電しにくい)という傾向が見られる。そのため、例えば、前記計測湿度を前記計測温度で補正し、補正後の推定用湿度Hmを前記現像剤の帯電性の推定に用いるパラメーターとすることが考えられる。この場合、前記推定用湿度Hmは、前記計測温度が低いほど大きくなる係数を前記計測湿度に対して加算または乗算することなどによって得られる。
【0070】
図8は、前記推定用湿度Hmから前記現像剤の帯電性指標値Ivを推定するルールの一例を示す図である。例えば、前記制御部8は、
図8が示すような前記推定用湿度Hmと前記帯電性指標値Ivとの関係を表す換算式またはルックアップテーブルなどの推定ルールデータを参照し、その内容に従って前記帯電性指標値Ivを推定する。前記推定ルールデータは、予め前記メモリー82に記録される。なお、
図8の例において、前記帯電性指標値Ivが"1"であるとき、前記現像剤の帯電性は標準的な状態である。
【0071】
<工程S3>
前記制御部8は、工程S2で得た前記帯電性指標値Ivに応じて前記第1遮蔽部材駆動部162および前記現像剤供給駆動部114を制御する。ここで、前記帯電性指標値Ivが予め定められた状態からそれより前記現像剤の帯電性が悪いことを示す状態へ変化する場合がある。その場合、前記制御部8は、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113を前記第3搬送部材132の動作速度に対してより速い速度比で動作させる。それと並行して、前記制御部8は、前記第1通路制限部16を前記非制限状態から前記制限状態へ動作させる。この工程S3は、前記MPU81が上流側帯電促進制御プログラムPr3を実行する帯電促進制御の工程(帯電促進工程)の一例である。
【0072】
<工程S4>
同様に、前記制御部8は、工程S2で得た前記帯電性指標値Ivに応じて前記第2遮蔽部材駆動部172および前記中間ホッパー駆動部124を制御する。ここで、前記帯電性指標値Ivが予め定められた状態からそれより前記現像剤の帯電性が悪いことを示す状態へ変化する場合がある。その場合、前記制御部8は、前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123を前記第3搬送部材132の動作速度に対してより速い速度比で動作させる。それと並行して、前記制御部8は、前記第2通路制限部17を前記非制限状態から前記制限状態へ動作させる。この工程S4は、前記MPU81が下流側帯電促進制御プログラムPr4を実行する前記帯電促進制御の工程(前記帯電促進工程)の一例である。
【0073】
図9は、前記制御部8が工程S3,S4において用いる搬送動作速度補正ルールの一例を示す図である。例えば、前記制御部8は、
図9が示すような前記帯電性指標値Ivと動作速度補正係数Rvとの関係を表す換算式またはルックアップテーブルなどの動作速度補正ルールデータを参照し、その内容に従って前記動作速度補正係数Rvを設定する。
【0074】
前記動作速度補正係数Rvは、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113の基準動作速度と、前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123の基準動作速度との各々に対して適用される補正係数である。前記基準動作速度は、前記第3搬送部材132の動作速度に対して予め定められた一定の比を成す速度である。但し、前記第1撹拌部材112、前記第1搬送部材113、前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123各々の前記基準動作速度は同一であるとは限らない。
【0075】
例えば、前記制御部8は、前記現像装置43を動作させる際、前記帯電性指標値Iv(帯電性パラメーター)に関わらず、前記現像部13における前記第3搬送部材132および前記現像ローラー133を一定の速度で動作させる。この場合、前記基準動作速度は予め定められた一定の速度である。
【0076】
なお、
図9が示す例では、前記動作速度補正係数Rvは、前記基準動作速度に対して乗算される補正係数である。しかしながら、前記動作速度補正係数Rvが、前記基準動作速度に対して加算もしくは減算される補正係数であることも考えられる。
【0077】
図9が示す例では、前記制御部8は、前記帯電性指標値Ivが予め定められた基準指標値Ivx以下であるときに前記動作速度補正係数Rvを1に設定する。さらに、前記制御部8は、前記帯電性指標値Ivが前記基準指標値Ivxを超えている場合、前記動作速度補正係数Rvを1よりも大きな値に設定する。さらに、前記制御部8は、前記帯電性指標値Ivが前記基準指標値Ivxに対してより大きくなるほど、前記動作速度補正係数Rvをより大きな値に設定する。
【0078】
そして、前記制御部8は、前記動作速度補正係数Rvに応じて前記現像剤供給駆動部114および前記中間ホッパー駆動部124の駆動速度を補正する。より具体的には、前記制御部8は、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113を、それらについての前記基準動作速度に対して前記動作速度補正係数Rvを適用して得られる補正後の速度で動作させる。
【0079】
図10は、前記制御部8が工程S3,S4において用いる現像剤通路制限ルールの一例を示す図である。例えば、前記制御部8は、
図10が示すような前記帯電性指標値Ivと通路開口係数Roとの関係を表す換算式またはルックアップテーブルなどの通路制限ルールデータを参照し、その内容に従って前記通路開口係数Roを設定する。
【0080】
前記通路開口係数Roは、前記第1通路14および前記第2通路15の各々の開口率に相当する。前記通路開口係数Roが"1"であることは、前記第1通路14および前記第2通路15の各々の開口率を100%にすることを意味する。即ち、前記通路開口係数Roが"1"に設定された場合、前記制御部8は、前記第1通路制限部16および前記第2通路制限部17の各々を、前記現像剤の通過を制限しない前記非制限状態に調節する(
図3参照)。
【0081】
一方、前記通路開口係数Roが"1"より小さい値に設定された場合、前記制御部8は、前記第1通路制限部16および前記第2通路制限部17の各々を、前記現像剤の通過を制限する前記制限状態に調節する(
図4,5参照)。但し、前記第1通路制限部16用の前記通路開口係数Roと、前記第2通路制限部17用の前記通路開口係数Roとが同一であるとは限らない。
【0082】
なお、
図10が示す例では、前記通路開口係数Roは、前記現像剤の通路の開口率に相当するが、前記通路開口係数Roが、予め定められた基準の開口率に対して加算もしくは減算される補正係数であることも考えられる。
【0083】
図10が示す例では、前記制御部8は、前記帯電性指標値Ivが予め定められた前記基準指標値Ivx以下であるときに前記通路開口係数Roを1に設定する。さらに、前記制御部8は、前記帯電性指標値Ivが前記基準指標値Ivxを超えている場合、前記通路開口係数Roを1よりも小さな値に設定する。さらに、前記制御部8は、前記帯電性指標値Ivが前記基準指標値Ivxに対してより大きくなるほど、前記通路開口係数Roをより小さな値に設定する。
【0084】
そして、前記制御部8は、前記通路開口係数Roに応じて前記第1遮蔽部材駆動部162および前記第2遮蔽部材駆動部172を調節する。より具体的には、前記制御部8は、前記第1通路14および前記第2通路15の各々が前記通路開口係数Roに相当する開口率で開口するように、前記第1遮蔽部材161および前記第2遮蔽部材171の向き(回転角度)を設定する。
【0085】
即ち、工程S3において、前記制御部8は、前記計測湿度(帯電性パラメーター)が予め定められた状態からそれより前記帯電性が悪いことを示す状態へ変化した場合に、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113を前記第3搬送部材132の動作速度に対してより速い速度比で動作させるとともに、前記第1通路制限部16を前記非制限状態から前記制限状態へ動作させる。
【0086】
同様に、工程S4において、前記制御部8は、前記計測湿度(帯電性パラメーター)が予め定められた状態からそれより前記帯電性が悪いことを示す状態へ変化した場合に、前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123を前記第3搬送部材132の動作速度に対してより速い速度比で動作させるとともに、前記第2通路制限部17を前記非制限状態から前記制限状態へ動作させる。なお、工程S3,S4は、帯電促進工程の一例である。
【0087】
以上に示したように、前記現像剤の帯電性が悪化する環境下においては、前記中間収容部121内の前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123の動作速度が速められる(S4)。これにより、前記現像剤の帯電が促進され、前記現像剤の帯電量が適切に維持される。その結果、前記現像剤の帯電不足に起因する現像不良が防止される。
【0088】
また、本実施形態においては、前記現像剤の帯電性が悪化する環境下において、前記現像剤コンテナ111内の前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113の動作速度も速められる(S3)。これにより、前記現像剤の帯電がさらに促進され、前記現像剤の帯電量がより確実に適切な状態に維持される。
【0089】
また、前記第2撹拌部材122および前記第2搬送部材123の動作速度が速められた際に、前記第2通路制限部17が、前記第2通路15における前記現像剤の通過を制限する。これにより、前記現像ローラー133に対して前記現像剤が過剰に供給されることが防がれる。
【0090】
同様に、前記第1撹拌部材112および前記第1搬送部材113の動作速度が速められた際に、前記第1通路制限部16が、前記第1通路14における前記現像剤の通過を制限する。これにより、前記第1搬送部材113の動作速度の変化に応じて前記中間収容部121内への前記現像剤の供給速度が変動することを防止でき、ひいては前記現像ローラー133への前記現像剤の供給速度が変動することを防止できる。
【0091】
[その他の応用例]
図9が示す例によれば、前記帯電性指標値Ivが前記基準指標値Ivxを超えている場合、前記第1搬送部材113および前記第2搬送部材123の動作速度は、前記帯電性指標値Ivの変化に応じて連続的に変更される。しかしながら、前記第1搬送部材113および前記第2搬送部材123の動作速度が、前記帯電性指標値Ivに応じて2段階または3段階以上で段階的に変更されることも考えられる。
【0092】
また、
図10が示す例によれば、前記帯電性指標値Ivが前記基準指標値Ivxを超えている場合、前記第1通路14および前記第2通路15における前記現像剤の通過の制限度合い(通路の開口率)は、前記帯電性指標値Ivの変化に応じて連続的に変更される。しかしながら、前記第1通路14および前記第2通路15における前記現像剤の通過の制限度合いが、前記帯電性指標値Ivに応じて2段階または3段階以上で段階的に変更されることも考えられる。
【0093】
前記現像装置43の制御において、前記計測湿度がそのまま前記帯電性指標値Ivとして用いられることも考えられる。また、前記現像剤の帯電性を表す前記帯電性パラメーターとして、前記計測湿度以外のパラメーターが用いられることも考えられる。
【0094】
例えば、前記画像形成部4が、前記感光体41上の画像(現像剤の像)の濃度を計測する画像濃度センサーを備え、前記画像形成部4が前記感光体41上において予め定められたテスト画像の現像を行うことが考えられる。この場合、前記画像濃度センサーによって計測された前記テスト画像の濃度が、前記帯電性パラメーターとして用いられることが考えられる。前記テスト画像の濃度が薄いことは、前記現像剤の帯電性が悪いことを表す。
【0095】
例えば、前記テスト画像が、前記感光体41の表面における前記記録シート9の通過領域の外側の領域に形成されることが考えられる。また、前記テスト画像の現像が、前記記録シート9への画像形成のタイミングと異なるタイミングで行われることも考えられる。
【0096】
前記テスト画像の濃度は、前記現像剤の帯電性の悪化が現像不良として現れる状況を直接示すパラメーターである。そのようなパラメーターに基づいて前記帯電促進制御が行われれば、より確実に現像不良を防止することが可能となる。
【0097】
なお、本発明に係る現像装置、画像形成装置および現像装置の制御方法は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。