特許第6233202号(P6233202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233202
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】画像形成装置、ジョブ実行方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/362 20060101AFI20171113BHJP
   G06F 13/28 20060101ALI20171113BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171113BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G06F13/362 510E
   G06F13/28 310Y
   H04N1/00 C
   B41J29/38 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-126843(P2014-126843)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-6558(P2016-6558A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】田尾 幸三
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−227929(JP,A)
【文献】 特開2011−065359(JP,A)
【文献】 特開平11−265266(JP,A)
【文献】 特開2002−229750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/362
B41J 29/38
G06F 13/28
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線網を介してファクス通信を行うファクスジョブ及び前記電話回線網を除く通信ネットワークを介して受信する画像データを印刷するプリントジョブを含む複数のジョブを並行して実行可能なプロセッサーと、
前記プロセッサーの作業領域として使用されるメモリーと、
前記通信ネットワークを介して受信する前記画像データを前記メモリーに記憶させるデータ受信部と、
前記プロセッサー及び前記データ受信部を含む複数のモジュールと前記メモリーとを接続するバスと、
前記プロセッサーにより前記プリントジョブが前記ファクスジョブと並行して実行される場合は前記プリントジョブが前記ファクスジョブを除く他の前記ジョブと並行して実行される場合と比較して前記データ受信部から前記メモリーへの前記バスを介したデータ伝送量を低減させる伝送量制御部と、
複数の前記モジュール間で前記バスを介した前記メモリーへのアクセスが競合する場合に、前記モジュールごとに予め設定された優先度に応じて単位時間当たりの前記バスの使用回数の比率を割り当てる調停部と、
を備え
前記ファクスジョブが、前記電話回線網を介して前記画像データを受信する受信処理と前記受信処理で受信された前記画像データを印刷する印刷処理とを含むファクス受信ジョブを含み、
前記伝送量制御部が、前記プリントジョブが前記ファクス受信ジョブと並行して実行される場合に、前記受信処理が終了するまでの間だけ前記データ受信部に対応する前記優先度を低くし、又は前記受信処理が終了するまでの間だけ前記データ受信部から前記メモリーへの前記バスを介した単位時間当たりのデータ伝送量の上限値を制限する画像形成装置。
【請求項2】
前記ファクスジョブが、前記電話回線網を介して前記画像データを送信するファクス送信ジョブを含み、
前記プロセッサーが、前記プリントジョブの実行中に前記ファクス送信ジョブの実行が開始される場合に、前記データ受信部から伝送されて前記メモリーに記憶されている未処理の前記画像データについての画像処理が終了するまでの間、前記ファクス送信ジョブを待機させる請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
電話回線網を介してファクス通信を行うファクスジョブ及び前記電話回線網を除く通信ネットワークを介して受信する画像データを印刷するプリントジョブを含む複数のジョブを並行して実行可能なプロセッサーと、前記プロセッサーの作業領域として使用されるメモリーと、前記通信ネットワークを介して受信する前記画像データを前記メモリーに記憶させるデータ受信部と、前記プロセッサー及び前記データ受信部を含む複数のモジュールと前記メモリーとを接続するバスと、複数の前記モジュール間で前記バスを介した前記メモリーへのアクセスが競合する場合に、前記モジュールごとに予め設定された優先度に応じて単位時間当たりの前記バスの使用回数の比率を割り当てる調停部とを備える画像形成装置で実行されるジョブ実行方法であって、
前記プロセッサーによる前記プリントジョブ及び前記ファクスジョブの並行処理を検出する第1ステップと、
前記第1ステップにより前記プリントジョブ及び前記ファクスジョブの並行処理が検出された場合は前記プリントジョブが前記ファクスジョブを除く他の前記ジョブと並行して実行される場合と比較して前記データ受信部から前記メモリーへの前記バスを介したデータ伝送量を低減させる第2ステップと、
を含み、
前記ファクスジョブが、前記電話回線網を介して前記画像データを受信する受信処理と前記受信処理で受信された前記画像データを印刷する印刷処理とを含むファクス受信ジョブを含み、
前記第2ステップでは、前記プリントジョブ及び前記ファクス受信ジョブの平行処理が検出された場合に、前記受信処理が終了するまでの間だけ前記データ受信部に対応する前記優先度が低くされ、又は前記受信処理が終了するまでの間だけ前記データ受信部から前記メモリーへの前記バスを介した単位時間当たりのデータ伝送量の上限値が制限されるジョブ実行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のジョブを並行して実行可能な画像形成装置及びジョブ実行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電話回線網を介してファクス通信を行うファクスジョブ及び電話回線網を除く通信ネットワークを介して受信する画像データを印刷するプリントジョブを含む複数のジョブを並行して実行可能な複合機のような画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−26367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置において、一つのプロセッサーにより複数のジョブが並行して実行されることがある。このような構成において、ファクスジョブがプリントジョブと並行して実行される場合には、ファクスジョブが他のジョブと並行して実行される場合と比較してファクスジョブの処理が遅延し、電話回線網の利用料金が増大することがある。具体的に、プリントジョブで実行されるレンダリング処理などの画像処理は他のジョブで実行される画像処理と比較してプロセッサーに対する処理負荷が大きく、ファクスジョブの処理に遅延を生じさせやすい。
【0005】
本発明の目的は、一つのプロセッサーによりファクスジョブの遅延を抑制しつつファクスジョブ及びプリントジョブを並行して実行することができる画像形成装置及びジョブ実行方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、プロセッサーと、メモリーと、データ受信部と、バスと、伝送量制御部とを備える。前記プロセッサーは、電話回線網を介してファクス通信を行うファクスジョブ及び前記電話回線網を除く通信ネットワークを介して受信する画像データを印刷するプリントジョブを含む複数のジョブを並行して実行可能である。前記メモリーは、前記プロセッサーの作業領域として使用される。前記データ受信部は、前記通信ネットワークを介して受信する前記画像データを前記メモリーに記憶させる。前記バスは、前記プロセッサー及び前記データ受信部を含む複数のモジュールと前記メモリーとを接続する。前記伝送量制御部は、前記プロセッサーにより前記プリントジョブが前記ファクスジョブと並行して実行される場合は前記プリントジョブが前記ファクスジョブを除く他の前記ジョブと並行して実行される場合と比較して前記データ受信部から前記メモリーへの前記バスを介したデータ伝送量を低減させる。
【0007】
本発明の他の局面に係るジョブ実行方法は、電話回線網を介してファクス通信を行うファクスジョブ及び前記電話回線網を除く通信ネットワークを介して受信する画像データを印刷するプリントジョブを含む複数のジョブを並行して実行可能なプロセッサーと、前記プロセッサーの作業領域として使用されるメモリーと、前記通信ネットワークを介して受信する前記画像データを前記メモリーに記憶させるデータ受信部と、前記プロセッサー及び前記データ受信部を含む複数のモジュールと前記メモリーとを接続するバスとを備える画像形成装置で実行され、以下の第1ステップ及び第2ステップを備える。前記第1ステップは、前記プロセッサーによる前記ファクスジョブ及び前記プリントジョブの並行処理を検出する。前記第2ステップは、前記第1ステップにより前記プリントジョブ及び前記ファクスジョブの並行処理が検出された場合は前記プリントジョブが前記ファクスジョブを除く他の前記ジョブと並行して実行される場合と比較して前記データ受信部から前記メモリーへの前記バスを介したデータ伝送量を低減させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一つのプロセッサーによりファクスジョブの遅延を抑制しつつファクスジョブ及びプリントジョブを並行して実行することができる画像形成装置及びジョブ実行方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のモジュールに設定される優先度の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
[画像形成装置10の概略構成]
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。ここで、図1は、前記画像形成装置10の断面模式図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、前記画像形成装置10は、ADF1、画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、操作表示部7、及び記憶部8を備える。前記画像形成装置10は、画像データに基づいて画像を形成するプリンター機能と共に、スキャン機能、ファクシミリ機能、又はコピー機能などの複数の機能を有する複合機である。また、本発明は、プリンター装置、ファクシミリ装置、コピー機などの画像形成装置に適用可能である。
【0013】
前記ADF1は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備え、前記画像読取部2によって読み取られる原稿を搬送する自動原稿搬送装置である。前記画像読取部2は、原稿台、読取ユニット、複数のミラー、光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)を備え、原稿から画像データを読み取る画像読取処理を実行可能である。
【0014】
前記画像形成部3は、前記画像読取部2で読み取られた画像データ又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて、電子写真方式で画像を形成する画像形成処理を実行可能である。具体的に、前記画像形成部3は、感光体ドラム、帯電装置、光走査装置(LSU)、現像装置、転写ローラー、クリーニング装置、定着ローラー、加圧ローラー、及び排紙トレイを備える。そして、前記画像形成部3では、前記給紙部4から供給されるシートに画像が形成されて、画像形成後の前記シートが前記排紙トレイに排出される。なお、前記シートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。
【0015】
前記操作表示部7は、前記制御部5からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて前記制御部5に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。前記記憶部8は、SSD(ソリッドステートドライブ)又はHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置である。前記記憶部8には、前記画像読取部2で読み取られた画像データなどが記憶される。
【0016】
次に、図3を参照しつつ、前記制御部5について説明する。
【0017】
前記制御部5は、前記画像形成装置10の各構成を統括的に制御する。具体的に、前記制御部5は、図3に示すように、画像入力部51、画像出力部52、ネットワークI/F53、ファクスI/F54、USBI/F55、メモリーコントローラー56、メモリー57、調停部58、CPU59、及びROM60を備える。また、前記制御部5において、前記画像入力部51、前記画像出力部52、前記ネットワークI/F53、前記ファクスI/F54、前記USBI/F55、前記メモリーコントローラー56、前記調停部58、及び前記CPU59は、バス50を介して相互に通信可能に接続されている。ここに、前記バス50を介して前記メモリー57に接続される前記画像入力部51、前記画像出力部52、前記ネットワークI/F53、前記ファクスI/F54、前記USBI/F55、及び前記CPU59が、本発明における複数のモジュールの一例であり、以下、これらを区別する必要がない場合にはこれらをモジュール5Xと呼称する。
【0018】
前記画像入力部51は、前記画像読取部2の前記CCDから入力される画像データに対してシェーディング補正処理、ガンマ補正処理などの画像処理を実行し、画像処理後の画像データを前記メモリー57又は前記記憶部8に記憶させる。
【0019】
前記画像出力部52は、前記メモリー57から画像データを読み出して、スクリーン処理などの画像処理を実行し、画像処理後の画像データを前記画像形成部3の前記光走査装置に出力する。
【0020】
前記ネットワークI/F53は、電話回線網を除く通信ネットワークを介して接続される外部の情報処理装置との間で通信を行うインターフェイスである。例えば、前記ネットワークI/F53は、前記通信ネットワークを介して前記外部の情報処理装置から送信される画像データを受信して前記メモリー57に記憶させる。ここに、前記ネットワークI/F53が、本発明におけるデータ受信部の一例である。
【0021】
前記ファクスI/F54は、電話回線網を介して接続される外部のファクス通信装置との間でファクス通信を行うインターフェイスである。例えば、前記ファクスI/F54は、前記バス50で伝送されるデジタル信号と前記電話回線網で伝送されるアナログ信号とを相互に変換可能なモデムを有する。
【0022】
前記USBI/F55は、USB規格に基づいてデータの入出力が可能な外部の電子機器が接続されるUSB接続端子を有する。例えば、前記USBI/F55には、USB規格に基づいてデータの書き込み及び読み出しが可能なUSBメモリーが接続される。
【0023】
前記メモリーコントローラー56は、前記モジュール5X各々からの前記メモリー57へのアクセス要求に応じて、前記メモリー57に対する画像データの書き込み処理及び読み出し処理を実行する。
【0024】
前記メモリー57は、前記CPU59が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される記憶装置である。例えば、前記メモリー57には、DDR−SDRAMが用いられる。
【0025】
前記調停部58は、複数の前記モジュール5X間で前記バスを介した前記メモリー57へのアクセスが競合する場合に、前記モジュール5Xごとに予め設定された優先度に応じて前記バス50の使用帯域を割り当てる。
【0026】
例えば、前記画像形成装置10では、前記モジュール5X各々に5段階の前記優先度が設定される。そして、前記調停部58は、前記モジュール5X各々に設定された前記優先度を記憶するレジスタ581を有する。ここで、図4に前記レジスタ581に記憶される前記モジュール5X各々に設定された前記優先度の一例を示す。図4において、前記優先度として設定された値が高い前記モジュール5Xほど、前記メモリー57へのアクセスが優先される。例えば、前記調停部58は、優先度5の前記画像入力部51及び優先度3の前記ネットワークI/F53の前記メモリー57へのアクセスが競合した場合に、前記画像入力部51及び前記ネットワークI/F53の前記バス50を用いた単位時間当たりのデータ伝送回数が5対3の比率となるよう、前記バス50の使用帯域を割り当てる。なお、前記優先度の設定内容及び前記調停部58による前記バス50の使用帯域の割り当て方法は、以上と異なるものであってもよい。
【0027】
ところで、前記画像読取部2で前記画像読取処理が実行される場合、前記CCDから前記画像入力部51に原稿1ページ分の画像データが連続して入力される。ここで、前記CCDからの前記画像入力部51に対する画像データの入力速度が、前記画像入力部51からの前記メモリー57に対する画像データの伝送速度を超える場合には、前記画像読取部2によって読み取られる画像データの一部が前記メモリー57に記憶されない所謂オーバーフローが発生することがある。また、前記画像形成部3で前記画像形成処理が実行される場合、前記画像出力部52からの前記光走査装置に対する画像データの出力速度が、前記メモリー57からの前記画像出力部52に対する画像データの伝送速度を超える場合には、前記画像形成部3で異常画像が形成される所謂オーバーランが発生することがある。そのため、前記モジュール5X各々のうち、前記画像入力部51及び前記画像出力部52については、他の前記モジュール5Xより高い前記優先度が設定されることが望ましい。
【0028】
前記CPU59は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。また、前記ROM60は、前記CPU59に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶装置である。前記CPU59は、前記ROM60に予め記憶された各種の制御プログラムを実行することにより、前記画像形成装置10を統括的に制御する。ここに、前記CPU59が、本発明におけるプロセッサーの一例である。
【0029】
そして、前記CPU59は、前記制御プログラムを実行することにより、図2に示すように、ジョブ実行部61として機能する。
【0030】
前記ジョブ実行部61は、前記モジュール5X各々を制御して画像処理に関するジョブを実行する。具体的に、前記画像形成装置10では、スキャンジョブ、コピージョブ、プリントジョブ、ファクスジョブを含む複数の前記ジョブが実行可能である。また、前記ジョブ実行部61は、複数の前記ジョブを並行して実行可能である。
【0031】
前記スキャンジョブは、前記画像読取部2によって読み取られた原稿の画像データを前記通信ネットワークを介して接続される外部の情報処理装置に送信するジョブである。また、前記スキャンジョブでは、読み取られた画像データを前記記憶部8又は前記USBI/F55に接続されるUSBメモリー等に記憶させることも可能である。具体的に、前記ジョブ実行部61は、前記画像読取部2、前記画像入力部51、及び前記ネットワークI/F53等を制御して前記スキャンジョブを実行する。また、前記ジョブ実行部61は、ユーザーにより予め設定された前記スキャンジョブの実行条件に基づいて、前記メモリー57に記憶される画像データに対して圧縮伸張処理、回転処理、変倍処理等の画像処理を実行する。
【0032】
前記コピージョブは、前記画像読取部2によって読み取られた原稿の画像データを前記画像形成部3に印刷させるジョブである。具体的に、前記ジョブ実行部61は、前記画像読取部2、前記画像形成部3、前記画像入力部51、及び前記画像出力部52を制御して前記コピージョブを実行する。また、前記ジョブ実行部61は、ユーザーにより予め設定された前記コピージョブの実行条件に基づいて、前記メモリー57に記憶される画像データに対して圧縮伸張処理、回転処理、変倍処理等の画像処理を実行する。
【0033】
前記プリントジョブは、前記通信ネットワークを介して接続される前記外部の情報処理通信装置から受信する画像データを前記画像形成部3に印刷させるジョブである。具体的に、前記ジョブ実行部61は、前記画像形成部3、前記画像出力部52、及び前記ネットワークI/F53を制御して前記プリントジョブを実行する。また、前記ジョブ実行部61は、前記プリントジョブの実行の際に前記外部の情報処理装置との間で通信処理を実行する。更に、前記ジョブ実行部61は、前記外部の情報処理装置から指定された前記プリントジョブの実行条件に基づいて、前記メモリー57に記憶される画像データに対して圧縮伸張処理、レンダリング処理、回転処理、変倍処理等の画像処理を実行する。
【0034】
前記ファクスジョブは、前記電話回線網を介してファクス通信を行うジョブであって、ファクス送信ジョブ及びファクス受信ジョブを含む。
【0035】
前記ファクス送信ジョブは、前記画像形成部2によって読み取られた原稿の画像データを前記電話回線網を介して接続される前記外部のファクス通信装置に送信するジョブである。また、前記ファクス送信ジョブでは、前記記憶部8等に記憶されている画像データを前記外部のファクス通信装置に送信することも可能である。具体的に、前記ジョブ実行部61は、前記画像読取部2、前記画像入力部51、及び前記ファクスI/F54等を制御して前記ファクス送信ジョブを実行する。また、前記ジョブ実行部61は、前記ファクス送信ジョブの実行の際に前記外部のファクス通信装置との間でファクス通信処理を実行する。更に、前記ジョブ実行部61は、前記外部のファクス通信装置との間で決定された前記ファクス送信ジョブの実行条件に基づいて、前記メモリー57に記憶される画像データに対して圧縮伸張処理、回転処理、変倍処理等の画像処理を実行する。
【0036】
前記ファクス受信ジョブは、前記電話回線網を介して接続される前記外部のファクス通信装置から画像データを受信する受信処理及び前記受信処理で受信された画像データを前記画像形成部3に印刷させる印刷処理を含むジョブである。また、前記ファクス受信ジョブでは、前記受信処理により受信した画像データを前記記憶部8等に記憶させることも可能である。具体的に、前記ジョブ実行部61は、前記画像形成部3、前記画像出力部52、及び前記ファクスI/F54等を制御して前記ファクス受信ジョブを実行する。また、前記ジョブ実行部61は、前記受信処理の実行の際に前記外部のファクス通信装置との間でファクス通信処理を実行する。更に、前記ジョブ実行部61は、前記受信処理の実行の際に、前記メモリー57に記憶される画像データに対して圧縮伸張処理等の画像処理を実行する。
【0037】
ところで、前記画像形成装置10において、前記CPU59により前記ファクスジョブが前記プリントジョブと並行して実行される場合には、前記ファクスジョブが他の前記ジョブと並行して実行される場合と比較して前記ファクスジョブの処理が遅延し、前記電話回線網の利用料金が増大することがある。具体的に、前記プリントジョブで実行される前記レンダリング処理などの画像処理は他の前記ジョブで実行される画像処理と比較して前記CPU59に対する処理負荷が大きく、前記ファクスジョブの処理に遅延を生じさせやすい。これに対し、前記画像形成装置10では、以下に説明するように、前記ファクスジョブの遅延を抑制しつつ前記ファクスジョブ及び前記プリントジョブを並行して実行することが可能である。
【0038】
具体的に、前記画像形成装置10では、前記調停部58が、処理検出部582及び伝送量制御部583を含む。例えば、前記調停部58において、前記処理検出部582及び前記伝送量制御部583は、予め定められた処理を実行可能に構成された電子回路により構成される。
【0039】
前記処理検出部582は、前記ジョブ実行部61による前記プリントジョブ及び前記ファクスジョブの並行処理を検出する。例えば、前記処理検出部582は、前記モジュール5X各々からの前記調停部58への前記バス50の使用許可要求を解析することで、前記プリントジョブ及び前記ファクスジョブの並行処理を検出する。ここに、前記処理検出部582による処理が、本発明の第1ステップの一例である。
【0040】
前記伝送量制御部583は、前記処理検出部582により前記プリントジョブ及び前記ファクスジョブの並行処理が検出された場合に、前記プリントジョブが前記ファクスジョブを除く他の前記ジョブと並行して実行される場合と比較して前記ネットワークI/F53から前記メモリー57への前記バス50を介したデータ伝送量を低減させる。これにより、前記レンダリング処理の対象となる画像データのデータ量が低減されて、結果的に前記CPU59の処理負荷が軽減される。従って、前記ファクスジョブで実行される画像処理の遅延が抑制される。ここに、前記伝送量制御部583による処理が、本発明の第2ステップの一例である。
【0041】
具体的に、前記伝送量制御部583は、前記レジスタ581に記憶されている前記ネットワークI/F53の前記優先度の内容を書き換えることで、前記ネットワークI/F53に対応する前記優先度を低くする。例えば、図4に示した例において、前記ネットワークI/F53の前記優先度を1に設定することが考えられる。また、前記伝送量制御部583が、前記ネットワークI/F53の前記バス50を介した単位時間当たりのデータ伝送量の上限値を制限することで、前記ネットワークI/F53から前記メモリー57へのデータ伝送量を低減させることも考えられる。なお、前記ネットワークI/F53から前記メモリー57へのデータ伝送量の低減の度合いは、前記プリントジョブ及び前記ファクスジョブが並行して実行される場合の前記ファクスジョブで実行される画像処理の遅延の程度を考慮して適宜設定されるものであってよい。
【0042】
また、前記伝送量制御部583は、前記処理検出部582により前記プリントジョブ及び前記ファクス受信ジョブの並行処理が検出された場合に、前記ファクス受信ジョブの前記受信処理が終了するまでの間だけ、前記ネットワークI/F53から前記メモリー57への前記バス50を介したデータ伝送量を低減させる。これにより、前記電話回線網の利用料金が生じる前記受信処理の間のみ前記ファクス受信ジョブの実行を優先させることが可能となる。
【0043】
一方、前記CPU59は、前記制御プログラムを実行することにより、図2に示すように、ジョブ制御部62としても機能する。
【0044】
前記ジョブ制御部62は、前記ジョブ実行部61により前記プリントジョブの実行中に前記ファクス送信ジョブの実行が開始される場合に、前記ネットワークI/F53から伝送されて前記メモリー57に記憶されている未処理の画像データについての画像処理が終了するまでの間、前記ジョブ実行部61による前記ファクス送信ジョブの実行を待機させる。これにより、前記CPU59の処理能力が、前記ファクス送信ジョブの実行が開始される際に前記メモリー57に記憶されている未処理の画像データについての前記レンダリング処理に占有されて、前記ファクス送信ジョブで実行される画像処理が遅延することが抑制される。
【0045】
このように、前記画像形成装置10では、前記プリントジョブと前記ファクスジョブが並行して実行される場合に、前記ネットワークI/F53から前記メモリー57への前記バス50を介したデータ伝送量が低減されることで、結果的に前記レンダリング処理の実行による前記CPU59の処理負荷が軽減される。そのため、一つのプロセッサーによりファクスジョブの遅延を抑制しつつファクスジョブ及びプリントジョブを並行して実行することが可能である。
【0046】
また、前記画像形成装置10では、前記調停部58が、前記プリントジョブと前記ファクスジョブの並行処理を検出して、前記ネットワークI/F53から前記メモリー57への前記バス50を介したデータ伝送量を低減させる。これにより、前記CPU59に追加的な処理負担を課すことなく本発明を実施可能であると共に、本発明の実施に当たり前記CPU59の処理内容を変更する必要もない。なお、前記画像形成装置10において、前記CPU59が前記制御プログラムを実行することにより前記処理検出部582及び前記伝送量制御部583として機能する構成が、他の実施形態として考えられる。
【符号の説明】
【0047】
1 :ADF
2 :画像読取部
3 :画像形成部
4 :給紙部
5 :制御部
50:バス
51:画像入力部
52:画像出力部
53:ネットワークI/F
54:ファクスI/F
55:USBI/F
56:メモリーコントローラー
57:メモリー
58:調停部
581:レジスタ
582:処理検出部
583:伝送量制御部
59:CPU
60:ROM
61:ジョブ実行部
62:ジョブ制御部
7 :操作表示部
8 :記憶部
10:画像形成装置
図1
図2
図3
図4