特許第6233205号(P6233205)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233205
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】害虫防除用水性組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/02 20060101AFI20171113BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20171113BHJP
   A01N 53/02 20060101ALI20171113BHJP
   A01N 53/06 20060101ALI20171113BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A01N25/02
   A01P7/02
   A01N53/00 502C
   A01N53/00 506Z
   A01P7/04
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-130028(P2014-130028)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-28004(P2015-28004A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-133587(P2013-133587)
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】竹本 友紀恵
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−176947(JP,A)
【文献】 特開2012−176946(JP,A)
【文献】 国際公開第12/105424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/02
A01N 53/02
A01N 53/06
A01P 7/02
A01P 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.01〜2重量%のピレスロイド化合物;
b)1〜40重量%の、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル及びトリプロピレングリコールモノプロピルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であるポリプロピレングリコールモノプロピルエーテル;
c)5〜40重量%の、炭素数7以下のグリコールモノアルキルエーテル及び炭素数9以下のグリコールからなる群より選ばれる1種以上である水溶性有機溶剤;
d)20〜80重量%の水;、及び、
e)5重量%以下の製剤助剤
からなる害虫防除用水性組成物。
【請求項2】
a)0.05〜1重量%のピレスロイド化合物;
b)10〜30重量%の、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル及びトリプロピレングリコールモノプロピルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であるポリプロピレングリコールモノプロピルエーテル;
c)10〜35重量%の、炭素数7以下のグリコールモノアルキルエーテル及び炭素数9以下のグリコールからなる群より選ばれる1種以上である水溶性有機溶剤;
d)40〜65重量%の水;及び、
e)2重量%以下の製剤助剤
からなる害虫防除用水性組成物。
【請求項3】
c)水溶性有機溶剤が
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、
トリプロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、
プロピレングリコール、
ジエチレングリコール及び
トリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上である請求項1または2記載の害虫防除用水性組成物。
【請求項4】
a)0.05〜1重量%のピレスロイド化合物;
b)15〜25重量%のジプロピレングリコールモノプロピルエーテル;
c)15〜35重量%の、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上である水溶性有機溶剤;
d)45〜55重量%の水;及び、
e)2重量%以下の製剤助剤
からなる害虫防除用水性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピレスロイド化合物を含有する害虫防除用水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ピレスロイド化合物を含有する液体の害虫防除組成物が知られている。更に、溶剤として飽和炭化水素系有機溶剤や芳香族炭化水素系有機溶剤等を実質的に含有しない害虫防除用水性組成物も知られている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−6773号公報
【特許文献2】特開2010−77074号公報
【特許文献3】特開2012−176946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピレスロイド化合物を有効成分として含有する、少なくとも水を溶剤として含む水性の害虫防除組成物の用途としては、液体蚊取りや手押しポンプスプレー用の製剤等の形態が知られている。該害虫防除組成物の容器としては美観上から透明容器が使用され得るが、その際は該組成物の透明性が良好であることが好ましい。
ピレスロイド化合物は水に対する溶解性が低い為、少なくとも水を溶剤として含む組成物中ではピレスロイド化合物(又はピレスロイド化合物が有機溶剤の溶解した液体)は微小液滴として水性溶媒中に乳化(分散)している。長期保存後に当該微小液滴の粒径が大きくなったりした場合、該組成物は外観上やや濁ったような状態を呈する場合があり、透明性の良好な害虫防除組成物が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、ピレスロイド化合物を含有する害虫防除用水性組成物について鋭意検討した結果、下記の組成の害虫防除用水性組成物は長期保存安定性に優れ、且つ、透明性が良好であることを見出し、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
a)0.01〜2重量%のピレスロイド化合物;
b)1〜40重量%の、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル及びトリプロピレングリコールモノプロピルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であるポリプロピレングリコールモノプロピルエーテル(以下、本プロピルエーテルと記す);
c)5〜40重量%の、炭素数7以下のグリコールモノアルキルエーテル及び炭素数9以下のグリコールからなる群より選ばれる1種以上である水溶性有機溶剤(以下、本水溶性有機溶剤と記す);
d)20〜80重量%の水;及び、
e)5重量%以下の製剤助剤
からなる害虫防除用水性組成物(以下、本発明組成物と記す)。
[発明2]
a)0.05〜1重量%のピレスロイド化合物;
b)10〜30重量%の本プロピルエーテル;
c)10〜35重量%の本水溶性有機溶剤;
d)40〜65重量%の水;及び、
e)2重量%以下の製剤助剤
からなる害虫防除用水性組成物。
[発明3]
c)水溶性有機溶剤がジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上である発明1または2記載の害虫防除用水性組成物。
[発明4]
a)0.05〜1重量%のピレスロイド化合物;
b)15〜25重量%のジプロピレングリコールモノプロピルエーテル;
c)15〜35重量%の、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上である水溶性有機溶剤;
d)45〜55重量%の水;及び、
e)2重量%以下の製剤助剤
からなる害虫防除用水性組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明組成物は長期保存安定性に優れ、且つ、透明性が良好であり、液体蚊取りや手押しポンプスプレー用の製剤等の透明容器に充填された形態での使用に適する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明組成物は、a)ピレスロイド化合物、b)ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル及びトリプロピレングリコールモノプロピルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であるポリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、c)炭素数7以下のグリコールモノアルキルエーテル及び炭素数9以下のグリコールからなる群より選ばれる1種以上である水溶性有機溶剤、d)水、及び、e)製剤助剤からなる害虫防除用水性組成物であって、a成分が0.01〜2重量%、b成分が1〜40重量%、c成分が5〜40重量%、d成分が20〜80重量%、且つ、e成分が5重量%以下である。
【0009】
本発明に用いられるピレスロイド化合物は、市販品または公知の方法により製造したピレスロイド化合物を用いることができる。
ピレスロイド化合物としては、例えばアクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ベータ−シフルトリン(beta−cyfluthrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、エンペントリン(empenthrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルフェンプロックス(flufenoprox)、フルメトリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)、ペルメトリン(permethrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シグマ−サイパーメトリン(sigma−cypermethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、フェノトリン(phenothrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、アルファシペルメトリン(alpha−cypermethrin)、ゼータシペルメトリン(zeta−cypermethrin)、ラムダシハロトリン(lambda−cyhalothrin)、ガンマシハロトリン(gamma−cyhalothrin)、フラメトリン(furamethrin)、タウフルバリネート(tau−fluvalinate)、メトフルトリン(metofluthrin)、メパフルトリン(meperfluthrin)、ジメフルトリン(dimefluthrin)、プロフルトリン(profluthrin)、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル=2,2−ジメチル−3−[(1Z)−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル]シクロプロパンカルボキシレート)(ヘプタフルトリン:heptafluthrin)、及び
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)ベンジル=2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、及び、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(2−プロピニル)ベンジル=2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレートが挙げられる。
本発明組成物においては、ピレスロイド化合物は1種以上含有していてもよい。
【0010】
本発明組成物において、ピレスロイド化合物の含有量は0.01〜2重量%であるが、好ましくは0.05〜1重量%である。
【0011】
本発明に用いられるジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(以下、DPGPEと記す)及びトリプロピレングリコールモノプロピルエーテル(以下、TPGPEと記す)は、市販品または公知の方法により製造したものを用いることができる。本発明組成物において、DPGPE及びTPGPEの混合物を使用することもできる。
本発明組成物において、本プロピルエーテルの含有量1〜40重量%であるが、好ましくは10〜30重量%であり、更に好ましくは15〜25重量%である。
【0012】
本発明に用いられる本水溶性有機溶剤は、市販品または公知の方法により製造したものを用いることができる。
本発明において、グリコールモノアルキルエーテルは一般式HO−(L−O)n−Rで示される化合物であり、グリコールは一般式HO−(L−O)n−Hで示される化合物である(一般式において、Lは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは1〜10の整数のいずれかを表す)。
本発明において炭素数7以下のグリコールモノアルキルエーテルとしては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、DPGMEと記す)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(以下、PGEEと記す)及びジエチレングリコールモノプロピルエーテル(以下、DEGPEと記す)等が挙げられ、炭素数9以下のグリコールとしてはトリプロピレングリコール(以下、TPGと記す)、ジプロピレングリコール(以下、DPGと記す)、プロピレングリコール(以下、PGと記す)、ジエチレングリコール(以下、DEGと記す)及びトリエチレングリコール(以下、TEGと記す)等が挙げられる。本発明組成物において、本水溶性有機溶剤は1種以上でもよい。
本発明組成物において、本水溶性有機溶剤の含有量は5〜40重量%であるが、好ましくは10〜35重量%、更に好ましくは15〜35重量%である。
【0013】
本発明に用いられる水は、蒸留水、イオン交換水等の水を使用することができる。本発明組成物において、水の含有量は20〜80重量%であるが、好ましくは40〜65重量%、更に好ましくは45〜55重量%である。
【0014】
本発明組成物は、5重量%以下、好ましくは2重量%以下の製剤助剤を含有していてもよい。本発明において含有していてもよい製剤助剤は、本発明組成物の均一性を損なわない範囲にて使用される。
本発明において使用することのできる製剤助剤としては、例えば増粘剤、安定化剤、香料、防腐剤、共力剤等が挙げられる。
増粘剤としては、ザンタンガム、ラムザンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ウエラントガム等の天然多糖類、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子、カルボキシメチルセルロース等の半合成高分子が挙げられる。
安定化剤としては、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−t−ブチル−4−メトキシフェノールと3−t−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、ビタミンC、カテキン等が挙げられる。
香料としては、天然香料、合成香料及び抽出香料が挙げられる。
防腐剤としては、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキ安息香酸ブチル、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、過酸化水素水、グルコン酸クロルヘキシジン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ジンクピリチオン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアオリン−3−オン等のイソチアゾリン誘導体、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、及びサリチル酸誘導体が挙げられる。具体的には、例えばバイオホープL(ケイ・アイ化成株式会社製)、プロキセルGXL(登録商標)(アビシア株式会社製)が挙げられる。
共力剤としては、例えばピペロニルブトキサイド(piperonyl butoxide)、セサメックス(sesamex)、スルホキシド(sulfoxide)、N−(2−エチルへキシル)−8,9,10−トリノルボルン−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(MGK 264)、N−デクリイミダゾール(N−declyimidazole)、WARF−アンチレジスタント(WARF−antiresistant)、TBPT、TPP、IBP、PSCP、ヨウ化メチル(CH3I)、t−フェニルブテノン(t−phenylbutenone)、ジエチルマレエート(diethylmaleate)、DMC、FDMC、ETP、ETN及びd−リモネンが挙げられる。
【0015】
本発明組成物の製造方法としては、a成分、b成分、c成分、d成分及びe成分を攪拌装置を有する容器中で適宜混合することにより、製造することができる。
【0016】
本発明組成物は、例えば、液体蚊取り等の加熱蒸散装置用の製剤として用いることができる。また、超音波霧化装置、ポンプスプレー等の散布型装置用の製剤としても用いることができる。
本発明組成物は、特に、加熱蒸散剤もしくは超音波霧化装置用組成物の形態で用いることが好ましい。
【0017】
本発明組成物により防除できる害虫としては、例えば昆虫やダニ等の節足動物が挙げられ、具体的には例えば以下の害虫等が挙げられる。
【0018】
鱗翅目害虫:ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫(Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp.)、ヘリオティス属害虫(Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等
双翅目害虫:アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ、ガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等
網翅目害虫:チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、コワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
膜翅目害虫:アリ類、ハチ類(フタモンアシナガバチ、トガリフタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、キボシアシナガバチ、コアシナガバチ、ヤマトアシナガバチ等のアシナガバチ類、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、クロスズメバチ、シダクロスズメバチ、キオビホオナガスズメバチ等のスズメバチ類、アリガタバチ類、クマバチ、ベッコウバチ、ジガバチ、ドロバチ等)
隠翅目害虫:イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等
シラミ目害虫:ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等
等翅目害虫:ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
半翅目害虫:ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類、トコジラミ類等
鞘翅目害虫:ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
直翅目害虫:ケラ、バッタ等
ダニ類:コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類。
【0019】
本発明の害虫防除方法は通常、本発明組成物を害虫又は害虫の生息場所に施用することにより行われる。
本発明組成物の施用方法としては、例えば以下の方法が挙げられ、本発明組成物の形態、使用場所等に応じて適宜選択できる。
(1) 本発明組成物を加熱蒸散剤の形態で用いて、害虫の生息場所で本発明組成物を蒸散させる方法。
(2) 本発明組成物を超音波霧化装置、エアゾール及びポンプスプレー等の散布型装置を用いて、害虫又は害虫の生息場所に本発明組成物を噴霧する方法。
この場合、本化合物の施用量、施用濃度はいずれも本発明組成物の形態、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害状況等に応じて適宜定めることができる。
【0020】
本発明の害虫防除方法において、本発明組成物を加熱蒸散剤の形態で用いて、本発明組成物を施用する方法としては、例えば、本発明組成物中に多孔質吸液芯の一部を浸漬して、該芯に該組成物を吸液させ、該芯の上部を加熱することにより吸液された該組成物を蒸散させる方法が挙げられる。なお、この方法に用いられる加熱蒸散型殺虫装置としては、当技術分野で周知のものを使用することができ、例えば特公平2−25885号公報等に記載の加熱蒸散型殺虫装置を使用することができる。
吸液芯の材質である多孔質材としては、例えばクレー、タルク、カオリン、珪藻土、石膏、パーライト、ベントナイト、酸性白土、グラスファイバー、石綿等の無機粉末をカルボキシメチルセルロース、澱粉、アラビアガム、ゼラチン、ポリビニルアルコール等の糊剤にて粘結、成形したものや、クレー、タルク、ベントナイト、アルミナ、シリカ等の無機物質を芯状に固めて焼成したものや、樹脂を芯状に成型加工したものや、ガラス繊維等を束ねたものなどが用いられる。
【0021】
本発明の害虫防除方法において、本発明組成物を超音波霧化装置を用いて施用する場合の本発明組成物の施用方法としては、例えば、本発明組成物を超音波霧化装置により噴霧する方法が挙げられる。なお、この場合、本発明組成物は超音波により霧化され、噴霧される。なお、この方法に用いられる超音波霧化装置としては、例えば特開2009−118792号公報に記載の超音波霧化装置を用いることができる。
【0022】
本発明の害虫防除方法において、本発明組成物をポンプスプレーを用いて施用する場合の本発明組成物の施用方法としては、例えば、本発明組成物を充填したポンプスプレー(噴射剤を必要とせず、ポンプの動作により噴射する噴霧器)を用いて、該組成物を噴霧する方法が挙げられる。なお、この方法に用いられるポンプスプレーとしては、当技術分野で周知のものを使用することができ、例えば特開平8−295359号公報に記載のポンプスプレーや、特開2002−233798号公報に記載のトリガー式ポンプスプレーを使用することができる。
【実施例】
【0023】
次に、製剤例及び試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
まず、本発明組成物の製剤例を示す。尚、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
【0024】
製剤例1
プラレトリン0.6重量部、DPGPE19.4重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例2
プロフルトリン0.6重量部、DPGPE19.4重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例3
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE19.7重量部、PGEE30.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例4
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE19.7重量部、DEGPE20.0重量部、及び、水60.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例5
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE19.7重量部、TPG30.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例6
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE19.7重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例7
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE19.7重量部、TEG10.0重量部、DPGME20.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例8
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE19.7重量部、TEG15.0重量部、DPGME15.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例9
メパフルトリン0.6重量部、DPGPE19.4重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
【0025】
製剤例10
プラレトリン0.6重量部、DPGPE19.4重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、ピペロニルブトキサイド0.3重量部、及び、水49.7重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得る。
製剤例11
プラレトリン0.6重量部、DPGPE19.4重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、BHT0.1重量部、及び、水49.9重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得る。
製剤例12
ジメフルトリン0.6重量部、DPGPE19.4重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、ピペロニルブトキサイド0.3重量部、及び、水49.7重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得る。
製剤例13
メパフルトリン0.6重量部、DPGPE19.4重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、ピペロニルブトキサイド0.3重量部、及び、水49.7重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得る。
【0026】
製剤例14
ジメフルトリン0.4重量部、DPGPE19.6重量部、TEG10.0重量部、PGEE20.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例15
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE29.7重量部、TPG20.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例16
ジメフルトリン0.3重量部、TPGPE19.7重量部、PGEE30.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例17
ジメフルトリン0.3重量部、TPGPE19.7重量部、TPG30.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例18
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE10.7重量部、PGEE39.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例19
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE10.7重量部、DEGPE29.0重量部、及び、水60.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例20
ジメフルトリン0.3重量部、DPGPE10.7重量部、TEG10.0重量部、PGEE29重量部及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例21
ジメフルトリン0.3重量部、TPGPE10.7重量部、PGEE39.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例22
ジメフルトリン0.3重量部、TPGPE10.7重量部、TEG10.0重量部、PGEE29.0重量部及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
製剤例22
ジメフルトリン0.3重量部、TPGPE14.7重量部、TEG10.0重量部、PGEE25.0重量部及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
【0027】
次に、本発明組成物とは異なる害虫防除用水性組成物の製剤例を以下に示す。
比較製剤例1
プラレトリン0.6重量部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(以下、PGPEと記す)29.4重量部、TEG15.0重量部、及び、水55.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
比較製剤例2
プラレトリン0.6重量部、PGPE34.2重量部、TEG15.0重量部、及び、水50.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
比較製剤例3
プロフルトリン0.6重量部、PGPE29.4重量部、TEG15.0重量部、及び、水55.0重量部を十分に攪拌・混合し、害虫防除用水性組成物を得た。
【0028】
次に、本発明組成物が保存安定性に優れ、且つ、透明性が良好であることを確認する為、25℃及び54℃にて害虫防除用水性組成物を3時間保存後に、外観の状況を観察した。
結果を表1に記す。
【0029】
【表1】
【0030】
次に、本発明組成物が保存安定性に優れ、且つ、透明性が良好であることを確認する為、害虫防除用水性組成物を25℃にて1年、40℃にて6か月保存後、外観の状況を観察した。
結果を表2に記す。
【0031】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明組成物は、長期保存安定性に優れ、且つ、透明性が良好であり、製剤が透明容器に充填された形態等での使用に適し、有用である。