(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。また、下記の実施形態の説明で用いる符号を特許請求の範囲にも適宜使用しているが、これは本発明の理解を容易にする目的で使用しており、本発明の技術的範囲を限定する意図ではない。
【0016】
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
第1実施形態の車両1は、
図1に示すように、ドアロックセンサ101、ドア開閉センサ102、窓開閉センサ103、ヘッドライトスイッチ104、スモールライトスイッチ105、ハザードランプスイッチ106、イグニッションスイッチ107、ドアロックアクチュエータ108、ボデーECU11、スマートキー通信部12、照合ECU13、車載装置15及びアンテナ16を備える。ボデーECU11、照合ECU13及び車載装置15は、共通のバス14に接続され、これらは例えばCAN(Controller Area Network)プロトコル等に従った相互通信を行う。
【0017】
ドアロックセンサ101及びドア開閉センサ102は、車両1に設けられたドア(本実施形態では、運転席ドア、助手席ドア、後部座席ドア及びバックドア)のそれぞれに設けられている。ドアロックセンサ101は、各ドアの施錠開錠状態を検出する。ドア開閉センサ102は、各ドアの開閉状態を検出する。
【0018】
窓開閉センサ103は、運転席ドア、助手席ドア及び後部座席ドアに設けられており、各ドアに備えられた窓の開閉状態を検出する。
ヘッドライトスイッチ104は、車両1に設けられたヘッドライトの作動(点灯及び消灯)を制御する。スモールライトスイッチ105は、車両1に設けられたスモールライトの作動(点灯及び消灯)を制御する。ハザードランプスイッチ106は、車両1に設けられたハザードランプの作動(点滅及び消灯)を制御する。イグニッションスイッチ107は、車両1に設けられたイグニッションの作動(オン及びオフ)を制御する。
【0019】
ボデーECU11は、CPU、ROM及びRAMを中心とする周知のマイクロコンピュータを備え、各種センサ・スイッチ101〜107により検出された情報を取得する。なお、ECUとは、電子制御装置を意味する。
【0020】
ドアロックアクチュエータ108は、運転席ドア、助手席ドア、後部座席ドア及びバックドアの各ドアに設けられており、ボデーECU11からの指示に基づき、各ドアの施錠及び開錠を行う。
【0021】
スマートキー通信部12は、車両1内に定期的にポーリング信号を無線送信し、ポーリング信号を受信した携帯キー(スマートキー)から返送信号として無線送信されるIDコードを受信する。
【0022】
照合ECU13は、CPU、ROM及びRAMを中心とする周知のマイクロコンピュータを備え、スマートキー通信部12からIDコードを取得する。照合ECU13は、スマートキー通信部12によりIDコードが受信されている状態を、スマートキーが車両1内に存在する状態として検出する
車載装置15は、通信部151及び制御部152を備える。
【0023】
通信部151は、近距離無線通信規格の一つであるBluetooth(登録商標、以下、BTと記載する)にて無線通信を行うBT通信機能を備え、BT通信機能を有する携帯装置2とアンテナ16を介して無線通信を行う。なお、BT通信機能を有する携帯装置2としては、例えば、携帯電話やスマートフォンなどが挙げられる。また、通信部151は、携帯装置2から送信された無線信号の信号強度の値(RSSI値)を測定する。
【0024】
制御部152は、CPU、ROM及びRAMを中心とする周知のマイクロコンピュータを備え、通信部151からRSSI値を取得する。
制御部152は、ボデーECU11から、車両1の各ドアの施錠開錠状態を表す情報、車両1の各ドアの開閉状態を表す情報、車両1の各窓の開閉状態を表す情報、並びに、車両1のヘッドライト及びスモールライトの点灯消灯状態を表す情報を取得する。また、制御部152は、ボデーECU11から、車両1のハザードランプの点滅消灯状態を表す情報、及び、車両1のイグニッションスイッチ107のオンオフ状態を表す情報を取得する。
【0025】
さらに、制御部152は、照合ECU13から、スマートキーが車両1内に存在するか否かの情報を取得する。なお、以下では、制御部152がボデーECU11及び照合ECU13から取得する上記の情報を総じて「車両情報」と記載する。
【0026】
また、制御部152は、後述する情報送信処理(
図3)を実行することにより、通信部151を介して、RSSI値及び車両情報を携帯装置2へ定期的に送信する。
一方、第1実施形態の携帯装置2は、
図1に示されるように、加速度センサ21、通信部22、アンテナ23、表示部24及び制御部25を備える。
【0027】
加速度センサ21は、携帯装置2の加速度を測定する。例えば、運転者等の使用者3(
図2参照)が携帯装置2を携帯した状態で歩くと、使用者3の動きに伴い携帯装置2が振動し、振動による加速度が加速度センサ21により測定される。
【0028】
通信部22は、BT通信機能を備え、アンテナ23を介して車載装置15と無線通信を行う。
表示部24は、表示画面を備え、制御部25からの指示に従い画像(文字等を含む)を表示する。
【0029】
制御部25は、CPU、ROM及びRAMを中心とする周知のマイクロコンピュータを備える。制御部25は、加速度センサ21から加速度を取得し、車載装置1から送信されたRSSI値及び車両情報を通信部22を介して取得する。また、制御部25は、加速度、RSSI値及び車両情報に基づき、後述する車両情報報知処理(
図4)を実行する。
【0030】
[1−2.処理]
次に、車載装置15の制御部152が行う情報送信処理を
図3を用いて説明する。なお、情報送信処理は、車両情報報知処理(
図4)が実行されることにより実行される。すなわち、車両情報報知処理が開始されると、携帯装置2と車載装置15との間に無線通信のリンクが確立され、リンクが確立された後に、情報送信処理が開始される。
【0031】
まず、制御部152は、S101(Sはステップを表す)にてリンクロス(電波環境変化等に伴うリンクの切断)があるか否かを判定する。制御部152は、リンクロスがあると判定した場合は(S101:YES)、情報送信処理を終了する。
【0032】
一方、制御部152は、リンクロスはないと判定した場合には(S101:NO)、通信部151からRSSI値を取得し、ボデーECU11及び照合ECU13の各種ECUから車両情報を取得する(S102)。そして、制御部152は、取得したRSSI値と車両情報とを通信部151を介して携帯装置2へ送信する(S103)。
【0033】
続いて、制御部152は、S104にてリンクロスがあるか否かを判定し、リンクロスがあると判定した場合には(S104:YES)、情報送信処理を終了する。また、制御部152は、リンクロスはないと判定した場合には(S104:NO)、携帯装置2から送信されたリンク切断命令を通信部151が受信したか否かを判定する(S105)。ここでいうリンク切断命令は、携帯装置2から送信される情報であってリンクの切断を命じる旨の情報であり、携帯装置2の制御部25が後述の車両情報報知処理(
図4)を実行することにより送信される。
【0034】
制御部152は、通信部151がリンク切断命令を受信したと判定した場合には(S105:YES)、リンクを切断し(S106)、情報送信処理を終了する。
一方、制御部152は、通信部151がリンク切断命令を受信していないと判定した場合は(S105:NO)、S102に戻り、前述したS102以降の処理を繰り返す。したがって、リンクロスが生じず、通信部151がリンク切断命令を受信しない限りは、RSSI値及び車両情報が車載装置15から携帯装置2へ定期的に送信される。
【0035】
次に、携帯装置2の制御部25が行う車両情報報知処理を
図4を用いて説明する。車両情報報知処理は、携帯装置2において、専用のアプリケーションが起動されることにより開始される。なお、上記アプリケーションは、使用者3が車両1に乗車してから降車する前までに起動することが想定されている。制御部25は、上記アプリケーションが起動している間は、加速度センサ21から取得した加速度に基づき、使用者3の移動量の積算値(使用者3の移動した歩数)を常時カウントする。
【0036】
まず、制御部25は、報知フラグを0にセットする(S201)。ここで、報知フラグとは、後述する報知(S208)が行われているか否かを表すフラグである。報知フラグが1であることは報知中であることを表し、報知フラグが0であることは報知中でないことを表す。
【0037】
次に、制御部25は、リンクロスがあるか否かを判定し(S202)、リンクロスがないと判定した場合は(S202:NO)、車載装置15から送信されたRSSI値及び車両情報を通信部22を介して取得する(S203)。
【0038】
続いて、制御部25は、リンクロスがあるか否かを判定する(S204)。制御部25は、リンクロスがないと判定した場合は(S204:NO)、後述する判定ロジック(
図5)に基づき、携帯装置2(延いては使用者3)が車両1を中心とする判定エリア4(
図2参照)内に存在するか否かを判定する(S205)。
【0039】
制御部25は、S205にて携帯装置2が判定エリア4内に存在すると判定した場合は(S205:YES)、S203に戻り、前述したS203以降の処理を繰り返す。
一方、制御部25は、携帯装置2が判定エリア4内に存在しないと判定した場合、すなわち、使用者3が判定エリア4内から判定エリア4の外へ出たと判定した場合は(S205:NO)、報知要因があるか否かを判定する(S206)。ここでいう報知要因とは、車両1を乗員が降車する際に行うべき操作が忘れられていること、例えばドアロックのし忘れやドアの閉め忘れ等の「し忘れ」のことである。報知要因があるか否かの判定は、S203にて取得された車両情報に基づいて行われる。
【0040】
また、制御部25は、S202にてリンクロスがあると判定した場合は(S202:YES)、S203〜S205の処理を飛ばし、S206の処理を行う。同様に、制御部25は、S204にてリンクロスがあると判定した場合は(S204:YES)、S205の処理を飛ばし、S206の処理を行う。したがって、制御部25は、携帯装置2が判定エリア4内に存在するときにリンクロスが生じた場合であっても、S206以降の処理を行う。
【0041】
制御部25は、S206で報知要因があると判定した場合は(S206:YES)、報知フラグが1であるか否かを判定する(S207)。制御部25は、報知フラグが1でないと判定した場合は(S207:NO)、表示部24に報知要因がある旨を表示する等により、報知を行う(S208)。つまり、判定エリア4は、「し忘れ」の報知を行うタイミング、換言すれば、使用者3が降車して車両1から離れたタイミングを判定するためのエリアである。なお、上記報知は後述するS212にて報知解除が行われるまで実行され続ける。また、制御部25は、報知開始後に報知フラグを1にセットする(S209)。
【0042】
続いて、制御部25は、リンクロスがあるか否かを判定し(S210)、リンクロスがあると判定した場合は(S210:YES)、車両情報報知処理を終了する。
一方、制御部25は、リンクロスがないと判定した場合は(S210:NO)、S203に戻り、前述したS203以降の処理を繰り返す。
【0043】
なお、制御部25は、報知開始後から再度S206の処理が行われるまでに報知要因が解消されていない場合は、S206にて再度報知要因があると判定する(S206:YES)。その場合、制御部25は、S207にて報知フラグが1である、すなわち、報知が既に行われていると判定し(S207:YES)、S203に戻り、前述したS203以降の処理を繰り返す。
【0044】
一方、制御部25は、S206で報知要因がないと判定した場合には(S206:NO)、報知フラグが1であるか否か、すなわち、報知が行われているか否かを判定する(S211)。なお、報知要因がない場合には、もともと報知要因がない場合と報知開始後に報知要因が除去された場合とが含まれる。
【0045】
制御部25は、S211にて報知フラグが1であると判定した場合、つまり、報知開始後に報知要因が除去されたと判定した場合は(S211:YES)、報知を解除し(S212)、報知フラグを0にセットする(S213)。そして、制御部25は、リンクを切断し、リンク切断命令を車載装置15へ通信部22を介して送信する(S214)。その後、制御部25は、車両情報報知処理を終了する。
【0046】
一方、制御部25は、S211にて報知フラグが1でないと判定した場合、つまり、もともと報知要因がないと判定した場合は(S211:NO)、S212〜S213の処理を飛ばし、S214の処理を行った後、車両情報報知処理を終了する。
【0047】
次に、S205で実行される判定ロジックを
図5を用いて説明する。
まず、制御部25は、S203にて取得された車両情報に含まれるイグニッションスイッチ107のオンオフを表す情報に基づき、車両1のイグニッションスイッチ107がオフであるか否かを判定する(S301)。制御部25は、イグニッションスイッチ107がオフでない(つまりオンである)と判定した場合は(S301:NO)、携帯装置2(延いては使用者3)は判定エリア4内に存在すると判定する。
【0048】
一方、制御部25は、S301にてイグニッションスイッチ107がオフであると判定した場合は(S301:YES)、カウントリセット条件が満たされたか否かを判定する(S302)。なお、制御部25は、S203にて取得された車両情報に含まれる車両1の各ドア(運転席ドア、助手席ドア、後部座席ドア及びバックドア)の開閉状態を表す開閉情報に基づき、いずれかのドアが開閉されたと判定した場合は、カウントリセット条件が満たされたと判定する。ここでいう開閉とは、閉状態から開状態への変化、及び、開状態から閉状態への変化、のいずれも含まれる。例えば、運転席ドアの閉状態を表す開閉情報が取得された後に運転席ドアの開状態を表す開閉情報が取得された場合は、運転席ドアは開閉されたと判定され、カウントリセット条件が満たされたと判定される。
【0049】
制御部25は、S302でカウントリセット条件が満たされたと判定した場合は(S302:YES)、使用者3の移動量の積算値(使用者3の移動した歩数)をリセットする(S303)。なお、カウントリセット条件は、少なくとも使用者3が降車の契機となる所定の動作を行ったとき(すなわち、使用者3が車両1を降りる際にドアを開閉したとき)に満たされるため、歩数は、少なくとも使用者3の降車時にリセットされる。
【0050】
続いて、制御部25は、最後のリセット以降にカウントされた歩数(つまり現在のカウント値)が所定のしきい値Th1以上であるか否かを判定する(S304)。しきい値Th1は、例えば、降車してから判定エリア4の外へ出るために必要な最低限の歩数を目安に設定される。なお、制御部25は、S302にてカウントリセット条件が満たされていないと判定した場合は(S302:NO)、S303の処理を飛ばし、S304の処理を実行する。
【0051】
制御部25は、S304で歩数がしきい値Th1以上であると判定した場合は(S304:YES)、S203にて取得された最新のRSSI値が所定のしきい値Th2以下であるか否かを判定する(S305)。しきい値Th2は、例えば、車載装置15と携帯装置2との間に使用者3の体等の遮蔽物がない場合での、判定エリア4の中と外の境目上に位置する携帯装置2から送信された無線信号のRSSI値を目安に設定される。制御部25は、RSSI値が所定のしきい値Th2以下であると判定した場合は(S305:YES)、携帯装置2は判定エリア4外に存在すると判定し、
図5の判定ロジックを終了する。
【0052】
一方、制御部25は、S304で歩数がしきい値Th1以上でないと判定した場合(S304:NO)、又は、S305でRSSI値がしきい値Th2以下でないと判定した場合は(S305:NO)、携帯装置2は判定エリア4内に存在すると判定し、
図5の判定ロジックを終了する。
【0053】
[1−3.効果]
以上、詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
第1実施形態の携帯装置2は、車両1に搭載された車載装置15と無線通信を行うことで、当該携帯装置2(延いては使用者3)が判定エリア4内から判定エリア4の外へ出たか否かを判定する。そして、携帯装置2は、当該携帯装置2が判定エリア4の外へ出たと判定した場合に、車載装置15から送信された車両情報に基づき、車両1の状態が、ドアロックのし忘れや窓の閉め忘れ等の「し忘れ」(報知要因)がない状態であるか否かを判定する。また、携帯装置2は、車両1の状態が報知要因がある状態であると判定した場合は、使用者3に報知する。
【0054】
車載装置15の測定するRSSI値は、人体等の遮蔽物により、携帯装置2が判定エリア4内に存在する場合であっても、しきい値Th2以下になることがある。そのような場合、RSSI値のみに基づいて携帯装置2が判定エリア4内から判定エリア4の外へ出たか否かの判定を行うと、実際には携帯装置2が判定エリア4内に存在するにもかかわらず、携帯装置2が判定エリア4の外へ出たとの誤判定が行われる。したがって、報知されるタイミング(車両からの離れ度合い)のばらつきが大きくなってしまう。
【0055】
一方、第1実施形態の携帯装置2は、RSSI値に加えて、携帯装置2の加速度(延いては、加速度に基づいてカウントされる歩数)に基づき、携帯装置2が判定エリア4の外へ出たか否かの判定を行う。
【0056】
したがって、携帯装置2は、人体等の遮蔽物によりRSSI値がしきい値Th2以下になったとしても、歩数がしきい値Th1以上でない場合は、携帯装置2が判定エリア4の外へ出たとの誤判定を抑制することができる。その結果、携帯装置2が判定エリア4内から判定エリア4の外へ出たと判定されるタイミングと、実際に携帯装置2が判定エリア4の外へ出たタイミングと、のばらつきを抑える(判定精度を高くする)ことができる。
【0057】
また、携帯装置2は、車載装置15から送信された車両1の各ドアの開閉状態を表す開閉情報に基づき、車両1のドアのいずれかが開閉されたと判定した場合に、カウントされた歩数をリセットする。そのため、例えば、使用者3が降車後、バックドアを開閉して車両1後部から荷物を降ろした後に車両1を離れる場合であっても、降車してから車両1後部に行くまでの移動の歩数はリセットされ、正味、車両1を離れる移動の歩数のみをカウントすることができる。
【0058】
なお、第1実施形態では、車載装置15及び携帯装置2を備えるシステムが位置検出システムの一例に相当する。また、S203が取得手段としての処理の一例に相当し、加速度センサ21が第一の測定手段の一例に相当する。また、S205が第一の判定手段としての処理の一例に相当する。また、車両1のドアを開閉することが降車の契機となる所定の動作の一例に相当し、車載装置から送信される一連の開閉情報が動作情報の一例に相当する。また、S206が第二の判定手段及び第三の判定手段としての処理の一例に相当する。また、車両情報が状態情報の一例に相当し、報知要因がない状態が乗員が存在しない場合に実現されるべき所定の状態の一例に相当する。また、S208が第一の報知手段としての処理の一例に相当し、S212が第二の報知手段としての処理の一例に相当する。また、S103が動作情報送信手段、開閉情報送信手段、信号強度送信手段及び状態情報送信手段としての処理の一例に相当し、通信部151が第三の測定手段の一例に相当する。
【0059】
[2.第2実施形態]
[2−1.構成]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。また、共通する構成には同一の符号を用いる。
【0060】
第2実施形態の車両1が備える構成は、第1実施形態と同一である。
一方、第2実施形態の携帯装置5は、
図6に示されるように、加速度センサ21、通信部22、アンテナ23、表示部24、ジャイロセンサ51及び制御部52を備える。つまり、第2実施形態の携帯装置5は、ジャイロセンサ51を更に備える点で、第1実施形態の携帯装置2と相違する。第2実施形態の制御部52は、第1実施形態の制御部25とハードウェア構成は同じであるが、実行する車両情報報知処理が制御部25のものと異なる。
【0061】
ジャイロセンサ51は、携帯装置5の角速度を測定する。例えば、使用者3が携帯装置5を携帯した状態で歩くと、使用者3の動きに伴い携帯装置5の角速度が変化し得る。このように変化し得る角速度がジャイロセンサ51により測定される。
【0062】
制御部52は、第1実施形態の制御部25と同様な機能に加え、ジャイロセンサ51から角速度を取得する機能を備える。また、制御部52は、取得した角速度を積分することで、比較的短い所定時間(例えば100ms)当たりの携帯装置5の角度変化を測定する。制御部52は、加速度、RSSI値、車両情報及び角度変化に基づき、後述する車両情報報知処理を実行する。
【0063】
[2−2.処理]
次に、携帯装置5の制御部52が実行する車両情報報知処理について説明する。制御部52が実行する車両情報報知処理は、第1実施形態の車両情報報知処理(
図4)と判定ロジック(S205)を除き同一である。そのため、以下では、第2実施形態の判定ロジックのみを
図7を用いて説明する。
【0064】
図7におけるS401〜S404及びS406は、
図5におけるS301〜S305と同様な処理である。つまり、第2実施形態の判定ロジック(
図7)は、S405の処理が追加されている点で、第1実施形態の判定ロジック(
図5)と相違する。したがって、S401〜S404については、その説明を省略する。
【0065】
制御部52は、S404で歩数がしきい値Th1以上であると判定した場合は(S404:YES)、測定された最新の角度変化がしきい値Th3以下であるか否かを判定する(S405)。しきい値Th3は、例えば、携帯装置5を携帯した使用者3が、方向を変えて移動している場合、換言すれば、直進していない場合にとり得る角度変化を目安に設定される。
【0066】
制御部52は、角度変化がしきい値Th3以下であると判定した場合には(S405:YES)、RSSI値がしきい値Th2以下であるか否かを判定する(S406)。制御部52は、RSSI値がしきい値Th2以下であると判定した場合には(S406:YES)、携帯装置5は判定エリア4の外に存在すると判定し、
図7の判定ロジックを終了する。
【0067】
一方、制御部52は、歩数がしきい値Th1以上でないと判定した場合(S404:NO)、又は、角度変化がしきい値Th3以下でないと判定した場合(S405:NO)は、携帯装置5は判定エリア4内に存在すると判定し、
図7の判定ロジックを終了する。同様に、制御部52は、RSSI値がしきい値Th2以下でないと判定した場合(S406:NO)は、携帯装置5は判定エリア4内に存在すると判定し、
図7の判定ロジックを終了する。
【0068】
[2−3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0069】
第2実施形態の携帯装置5は、RSSI値と歩数とに加え、携帯装置5の角度変化に基づいて、携帯装置5が判定エリア4内から判定エリア4の外へ出たか否かの判定を行う。
歩数は、使用者3が車両1を離れない場合であっても、歩いていれば加算される。そのため、使用者3が降車後、判定エリア4の外へ向かって真っ直ぐ歩くのではなく、車両周辺をうろうろするような場合には、判定エリア4内において歩数がしきい値Th1以上になることがある。
【0070】
また、その際、人体等の遮蔽物によりRSSI値がしきい値Th2以下になると、携帯装置5が判定エリア4内に存在するにもかかわらず、歩数がしきい値Th1以上になり、RSSI値がしきい値Th2以下になる。
【0071】
しかしながら、第2実施形態の携帯装置5は、上記のような場合でも、角度変化がしきい値Th3以下でない場合(すなわち、使用者3がうろうろし進行方向を頻繁に変える場合)は、当該携帯装置5が判定エリア4内に存在すると判定する。したがって、携帯装置5は、上記のような場合であっても角度変化がしきい値Th3以下でない場合は、当該携帯装置5が判定エリア4の外へ出たとの誤判定を抑制することができる。
【0072】
なお、第2実施形態中の構成であって第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同様に請求項の構成に相当する。また、第2実施形態では、車載装置15及び携帯装置5を備えるシステムが位置検出システムの一例に相当し、ジャイロセンサ51及び制御部52が第二の測定手段の一例に相当する。
【0073】
[3.第3実施形態]
[3−1.構成]
第3実施形態のハードウェア構成は、第1実施形態と同一である。すなわち、第3実施形態の車両1が備えるハードウェア構成及び携帯装置2のハードウェア構成は、第1実施形態と同一である。ただし、第3実施形態において実行される車両情報送信処理及び情報送信処理は、第1実施形態のものと異なる。そのため、以下では第3実施形態の車両情報送信処理及び情報送信処理のみを説明する。
【0074】
[3−2.処理]
まず、携帯装置2の制御部25が行う車両情報報知処理を
図8を用いて説明する。
図8におけるS501〜S514は、
図4におけるS201〜S214と同様である。つまり、第3実施形態の車両情報報知処理(
図8)は、S515〜S516の処理が追加されている点で、第1実施形態の車両情報報知処理(
図4)と相違する。したがって、S501〜S514については、その説明は省略する。
【0075】
制御部25は、S510にてリンクロスがないと判定すると(S510:NO)、報知要因の中にドアロックのし忘れがあるか否かを判定する(S515)。
制御部25は、S515にてドアロックのし忘れがあると判定した場合は(S515:YES)、ドアを施錠する旨の施錠命令を通信部22を介して車載装置15へ送信する(S516)。制御部25は、施錠命令を送信した後、又は、S515にてドアロックのし忘れがないと判定した場合(S515:NO)は、S503に戻り、S503以降の処理を繰り返す。
【0076】
次に、車載装置15の制御部152が実行する情報送信処理を
図9を用いて説明する。
図9におけるS601〜S606は、
図3におけるS101〜S106と同様である。つまり、第3実施形態の情報送信処理(
図9)は、S607〜S608の処理が追加されている点で、第1実施形態の情報送信処理(
図3)と相違する。したがって、S601〜S606については、その説明は省略する。
【0077】
制御部152は、S604でリンクロスがないと判定した場合は(S604:NO)、通信部151が施錠命令を受信したか否かを判定する(S607)。制御部152は、通信部151が施錠命令を受信したと判定した場合は(S607:YES)、施錠されていないドアの施錠をドアロックアクチュエータ108に行わせる(S608)。制御部152はS608にてドアを施錠すると、S602に戻り、S602以降の処理を繰り返す。
【0078】
なお、S608にてドアが施錠されると、S603で送信される車両情報の内容が変わる。すなわち、車両情報の中の車両1の各ドアの施錠開錠状態を表す情報は、各ドアが施錠されていることを表す。また、報知要因がドアロックのし忘れだけである場合は、携帯装置2が車両情報を受信すると、車両情報報知処理(
図8)のS506にて報知要因はないと判定されるため、報知は解除される(S512)。
【0079】
一方、制御部152は、S607にて通信部151が施錠命令を受信していないと判定した場合は(S607:NO)、S605の処理を実行する。
[3−3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0080】
第3実施形態では、報知要因がある場合、携帯装置2は、車両1が報知要因が除去された状態、つまり、「し忘れ」が解消された状態へ自動的に遷移可能であるか否かを判定する。なお、上記判定は、ドアロックのし忘れがあるか否かの判定(S515)に対応する。また、携帯装置2は、車両1が報知要因が除去された状態へ自動的に遷移可能であると判定した場合、つまり、ドアロックのし忘れがあると判定した場合は、報知要因が除去された状態への遷移を命じる旨の遷移命令情報(施錠命令)を車両1へ無線送信する。
【0081】
そして、施錠命令を受信した車両1は、施錠されていないドアを施錠する。したがって、第3実施形態では、使用者3が車両1へ戻ることなく、車両1は自動的に報知要因が除去された状態へと遷移することができる。
【0082】
なお、第3実施形態中の構成であって第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同様に請求項の構成に相当する。また、第3実施形態では、S503が取得手段としての処理の一例に相当し、S505が第一の判定手段としての処理の一例に相当する。また、S506が第二の判定手段及び第三の判定手段としての処理の一例に相当し、S508が第一の報知手段としての処理の一例に相当する。また、S512が第二の報知手段としての処理の一例に相当し、S603が動作情報送信手段、開閉情報送信手段、信号強度送信手段及び状態情報送信手段としての処理の一例に相当する。また、S515が第四の判定手段としての処理の一例に相当し、S516が遷移命令送信手段としての処理の一例に相当し、S608が遷移処理手段としての処理の一例に相当する。
【0083】
[4.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0084】
上記各実施形態では、制御部25,52が車載装置15との間の無線通信の信号強度を取得するに当たり、車載装置15が信号強度を測定し、測定された信号強度を携帯装置2,5へ送信したが、信号強度の測定は携帯装置2,5で直接行ってもよい。例えば、通信部22が信号強度を測定し、制御部25,52が通信部22から信号強度を取得してもよい。
【0085】
上記各実施形態では、携帯装置2,5が行う車両情報報知処理は、携帯装置2,5において、専用のアプリケーションが起動されることにより開始されたが、上記アプリケーションはバックグラウンドで作動していてもよい。また、使用者3が上記アプリケーションを起動させるための起動操作をしなくても、上記アプリケーションが起動するようにしてもよい。例えば、携帯装置2,5のオペレーティングシステムが起動されることにより起動されてもよい。
【0086】
また、上記各実施形態では、携帯装置2,5の加速度に基づいて携帯装置2,5と車両1との間の距離が推定されるに当たり、使用者3の歩数が用いられたが、加速度に基づく量であって歩数以外の量を用いて距離が推定されてもよい。
【0087】
また、上記各実施形態では、使用者3の降車の契機となる所定の動作は、使用者3が車両1を降りる際に車両1のドアを開閉する動作であったが、上記所定の動作は、これに限定されるものではない。例えば、上記所定の動作は、使用者3が降車時に運転席を立つ動作であってもよい。その場合、運転席は着座センサを備え、運転席を立つ動作は着座センサにより検出されてもよい。
【0088】
また、上記第2実施形態の判定ロジック(
図7)では、角度変化の瞬時値(測定された最新の角度変化)が用いられたが、角度変化の積算値が用いられてもよい。角度変化の積算値としては、例えば、使用者3が車両1を降車してからの積算値が考えられる。
【0089】
また、第2実施形態の判定ロジック(
図7)の変形例は、例えば、角度変化に応じて歩数のしきい値Th1が変化するといった要件を備える判定ロジックや角度変化に応じてカウントされた歩数が減少又はリセットされるといった要件を備える判定ロジックであってもよい。
【0090】
また、上記第3実施形態では、報知要因の中にドアロックのし忘れがあるか否かの判定(S515)は携帯装置2側で行われたが、上記判定は車両1側で行われてもよい。すなわち、制御部152が上記判定を行い、ドアロックのし忘れがあると判定した場合はドアロックアクチュエータ108に施錠させてもよい。なお、この場合、ドアロックのし忘れ以外にも報知要因があるときは、制御部152は、報知要因がある旨の情報を通信部151を介して携帯装置2へ無線送信する。
【0091】
また、上記第3実施形態では、車両1側で自動的に除去可能な報知要因はドアロックのし忘れとしたが、報知要因はこれに限定されない。例えば、ドアロックのし忘れに代えて、又は、ドアロックのし忘れに加えて、窓の閉め忘れも自動的に除去されるようにしてもよい。
【0092】
また、上記第2実施形態において、報知要因の中に車両1側で自動的に除去可能な報知要因がある場合は車両1に報知要因を除去させてもよい。すなわち、第2実施形態において、車載装置15の制御部152が行う
図3の情報送信処理を
図9の情報送信処理に変更し、携帯装置5の制御部52が行う
図4の車両情報報知処理を
図8の車両情報報知処理に変更してもよい。なお、この場合、車両情報報知処理の判定ロジック(S505)は、
図7の判定ロジックである。
【0093】
また、上記各実施形態では、携帯装置2,5は、全ての報知要因が除去された場合には報知を解除すること、すなわち、報知形態を変化させることにより車両1が報知要因のない状態になったことを使用者3に報知した。しかし、携帯装置2,5は、例えば、報知要因が解消された旨を文字等の画像として表示部24に表示すること等により車両1が報知要因のない状態になったことを使用者3に報知してもよい。
【0094】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。