(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正負両極のいずれをも共有しない互いに独立した第1直流電源、第2直流電源及び第3直流電源から入力される直流電力を交流電力に変換して三相交流系統に供給する電力変換装置であって、
前記第1直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の中性点に対する第1相に、第1リアクトルを介して交流電力を供給する第1相変換装置と、
前記第2直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の前記中性点に対する第2相に、第2リアクトルを介して交流電力を供給する第2相変換装置と、
前記第3直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の前記中性点に対する第3相に、第3リアクトルを介して交流電力を供給する第3相変換装置と、
前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置を制御する制御部と、を備え、
前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置の各々は、前記直流電力の直流入力電圧値を昇圧する昇圧回路及び、単相インバータ回路、並びに、前記昇圧回路と前記単相インバータ回路の間に設けられた平滑コンデンサを含み、
前記制御部は、前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置の各々について、出力すべき交流波形として基本波に3次高調波を重畳した電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を上回るときは前記昇圧回路を昇圧動作させて前記電圧目標値の絶対値を生成するとともに前記単相インバータ回路は必要な極性反転のみを行う状態とし、また、前記電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を下回るときは前記昇圧回路の昇圧動作を停止させるとともに前記単相インバータ回路を動作させて前記電圧目標値を生成し、
前記制御部は、
前記直流電力の入力電力値及び前記三相交流系統の各相の電圧値に基づいて出力電流目標値を求め、当該出力電流目標値に基づいて前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値を求めて前記単相インバータ回路を制御するとともに、
前記単相インバータ回路と共通の電流目標値及び電圧目標値、並びに、前記直流入力電圧値に基づいて、前記昇圧回路の電流目標値を求めて前記昇圧回路を制御することにより、前記交流電力の出力を制御し、また、
前記制御部は、前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値に基づく電力目標値に、前記平滑コンデンサを通過する無効電力を加味した値と、前記直流入力電圧値とに基づいて、前記昇圧回路の電流目標値を求める、電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
【0015】
(1)これは、正負両極のいずれをも共有しない互いに独立した第1直流電源、第2直流電源及び第3直流電源から入力される直流電力を交流電力に変換して三相交流系統に供給する電力変換装置であって、前記第1直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の中性点に対する第1相に、第1リアクトルを介して交流電力を供給する第1相変換装置と、前記第2直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の前記中性点に対する第2相に、第2リアクトルを介して交流電力を供給する第2相変換装置と、前記第3直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の前記中性点に対する第3相に、第3リアクトルを介して交流電力を供給する第3相変換装置と、前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置を制御する制御部と、を備え、
前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置の各々は、前記直流電力の直流入力電圧値を昇圧する昇圧回路及び、単相インバータ回路を含み、前記制御部は、前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置の各々について、出力すべき交流波形として基本波に3次高調波を重畳した電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を上回るときは前記昇圧回路を昇圧動作させて前記電圧目標値の絶対値を生成するとともに前記単相インバータ回路は必要な極性反転のみを行う状態とし、また、前記電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を下回るときは前記昇圧回路の昇圧動作を停止させるとともに前記単相インバータ回路を動作させて前記電圧目標値を生成するものである。
【0016】
上記のように構成された電力変換装置では、変換装置(第1,第2,第3)が相ごとに設けられ、相電圧を出力するので、三相交流系統における系統電圧の(1/√3)が変換装置の出力すべき電圧V
AC(実効値)となる。また、各変換装置においては以下の動作となる。
(i)電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を上回るとき:
昇圧回路:動作状態、
単相インバータ回路:高周波スイッチングは停止し、必要な極性反転のみを行う状態
(ii)電圧目標値の瞬時値の絶対値が、入力される直流電圧を下回るとき:
昇圧回路:停止状態(
図2のQaがオン、Qbがオフ)、
単相インバータ回路:動作状態
【0017】
すなわち、昇圧回路と単相インバータ回路とは、高周波スイッチングに関しては交互に動作し、一方が高周波スイッチング動作しているときは、他方は高周波スイッチングを停止している。この場合、DCバスの電圧のピーク値V
Bは、電圧V
ACの波高値であれば足り、V
B=√2・V
AC、となる。
この結果、系統電圧(線間電圧)を単一の三相インバータで供給する場合と比べて、DCバスの電圧が低減される。また、3次高調波の重畳による波高値の低減効果により、さらにDCバスの電圧が低減される。
【0018】
DCバスの電圧低減は、以下の利点をもたらす。
(a)スイッチング素子のスイッチング損失が低下する。
(b)リアクトル(直流・交流(第1,第2,第3))の鉄損が小さくなる。
(c)DCバスに接続されるスイッチング素子及び平滑用のコンデンサは、耐電圧性能の低いものでも使用できるようになる。スイッチング素子は耐電圧性能が低い方が、オン抵抗が低いため、導通損を低減することができる。
【0019】
また、上記(i)、(ii)交互の運転動作は、以下の利点をもたらす。
(d)全体としてスイッチング素子のスイッチングの回数が低減され、その分、スイッチング損失が大幅に低減される。
(e)リアクトル(直流・交流)の鉄損が小さくなる。
(f)上記コンデンサは、系統周波数の3倍の低周波交流成分の平滑作用を必要としなくなり、従って、低容量のコンデンサを使用することができる。
【0020】
(2)また、(1)の電力変換装置において、前記制御部は、前記直流電力の入力電力値及び前記三相交流系統の各相の電圧値に基づいて出力電流目標値を求め、当該出力電流目標値に基づいて前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値を求めて前記単相インバータ回路を制御するとともに、前記単相インバータ回路と共通の電流目標値及び電圧目標値、並びに、前記直流入力電圧値に基づいて、前記昇圧回路の電流目標値を求めて前記昇圧回路を制御することにより、前記交流電力の出力を制御することが好ましい。
【0021】
上記(2)の場合、電力変換装置は、常に、単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値に基づいた出力を各リアクトルに対して提供することができる。制御部は、三相交流系統の電圧値に直接依存するのではなく電力変換装置側で目標値を定め、これに基づいて昇圧回路及び単相インバータ回路に所望の動作をさせることができる。従って、制御部は、三相交流系統の相電圧の電圧位相よりも数度進相した電圧位相とされた交流電力を各変換装置に出力させるように制御することができる。
つまり、各変換装置が出力する交流電力の電圧位相を三相交流系統の電圧位相よりも、それぞれ数度進相させるので、各リアクトル(第1,第2,第3)の両端電圧の位相を、三相交流系統の電圧位相に対してほぼ90度進んだ位相とすることができる。各リアクトルの電流位相は、その電圧位相に対して90度遅延するので、各リアクトルを通して出力される交流電力の電流位相は、三相交流系統の相電圧の位相に対してほぼ同期することとなる。
この結果、三相交流系統の各相電圧に対して電流位相がほぼ同位相の交流電力を出力することができるので、当該交流電力の力率が低下するのを抑制することができる。
【0022】
なお、前記(2)の電力変換装置は、例えば、以下の(3)〜(10)に列記する具体的な態様を有し得る。
【0023】
(3)例えば前記(2)の電力変換装置において、前記昇圧回路と前記単相インバータ回路との間に平滑コンデンサが設けられており、前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値に基づく電力目標値に、前記平滑コンデンサを通過する無効電力を加味した値と、前記直流入力電圧値とに基づいて、前記昇圧回路の電流目標値を求めるようにしてもよい。
この場合、単相インバータ回路の電力目標値のほか、無効電力を考慮して、より正確に昇圧回路の電流目標値を定めることができる。
【0024】
(4)また、前記(2)の電力変換装置において、前記昇圧回路と前記単相インバータ回路との間に平滑コンデンサが設けられており、前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値に基づく電力目標値に、前記平滑コンデンサを通過する無効電力及び当該電力変換装置における電力損失を加味した値と、前記直流入力電圧値とに基づいて、前記昇圧回路の電流目標値を求めるようにしてもよい。
この場合、インバータ回路の電力目標値のほか、無効電力を考慮及び電力損失を考慮して、より厳密に昇圧回路の電流目標値を定めることができる。
【0025】
(5)また、前記(2)の電力変換装置において例えば、前記第1リアクトル、前記第2リアクトル及び前記第3リアクトルの各々の後段に出力平滑コンデンサが設けられており、
前記出力電流目標値をIa*、
前記昇圧回路の電流目標値をIin*、
前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値をそれぞれ、Iinv*及びVinv*、
前記出力平滑コンデンサの静電容量をCa、
前記三相交流系統の各相の電圧値をVa、
前記直流入力電圧値をVg、とするとき、
Iin*=(Iinv* × Vinv*) / Vg
であり、
Iinv*=Ia* + Ca×(d Va/dt)
である。
この場合、出力平滑コンデンサに流れる電流を考慮して単相インバータ回路の電流目標値及び昇圧回路の電流目標値を定めることができる。
【0026】
(6)また、前記(2)の電力変換装置において例えば、前記第1リアクトル、前記第2リアクトル及び前記第3リアクトルの各々の後段に出力平滑コンデンサが設けられており、
前記出力電流目標値をIa*、
前記昇圧回路の電流目標値をIin*、
前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値をそれぞれ、Iinv*及びVinv*、
前記三相交流系統の各相の電圧値をVa、
前記直流入力電圧値をVg、
前記出力平滑コンデンサに流れる電流をIca、とするとき、
Iin*=(Iinv* × Vinv*) / Vg
であり、
Iinv*=Ia* + Ica
である。
この場合、出力平滑コンデンサに流れる電流を考慮して単相インバータ回路の電流目標値及び昇圧回路の電流目標値を定めることができる。
【0027】
(7)また、前記(3)の電力変換装置において例えば、
前記昇圧回路の電流目標値をIin*、
前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値をそれぞれ、Iinv*及びVinv*、
前記平滑コンデンサの静電容量をC、
前記昇圧回路の電圧目標値をVo*、
前記直流入力電圧値をVg、とするとき、
Iin*=
{(Iinv* × Vinv*) + C×(d Vo*/dt)×Vo*} / Vg
である。
【0028】
(8)また、前記(3)の電力変換装置において例えば、
前記昇圧回路の電流目標値をIin*、
前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値をそれぞれ、Iinv*及びVinv*、
前記昇圧回路の電圧目標値をVo*、
前記直流入力電圧値をVg、
前記平滑コンデンサに流れる電流をIc、とするとき、
Iin*={(Iinv* × Vinv*) + Ic×Vo*} / Vg
である。
【0029】
(9)また、前記(4)の電力変換装置において例えば、
前記昇圧回路の電流目標値をIin*、
前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値をそれぞれ、Iinv*及びVinv*、
前記平滑コンデンサの静電容量をC、
前記昇圧回路の電圧目標値をVo*、
前記直流入力電圧値をVg、
当該電力変換装置の電力損失をP
LOSS、とするとき、
Iin*=
{(Iinv* × Vinv*) + C×(d Vo*/dt)×Vo* + P
LOSS} / Vg
である。
【0030】
(10)また、前記(4)の電力変換装置において例えば、
前記昇圧回路の電流目標値をIin*、
前記単相インバータ回路の電流目標値及び電圧目標値をそれぞれ、Iinv*及びVinv*、
前記昇圧回路の電圧目標値をVo*、
前記直流入力電圧値をVg、
前記平滑コンデンサに流れる電流をIc、
当該電力変換装置の電力損失をP
LOSS、とするとき、
Iin*=
{(Iinv* × Vinv*) + Ic×Vo* + P
LOSS} / Vg
である。
【0031】
(11)また、前記(5)〜(10)のいずれかの電力変換装置において、前記制御部は、前記昇圧回路の電圧目標値として、前記単相インバータ回路の電圧目標値Vinv*を、
Vinv*=Va + La(d Iinv*/dt)
により求めることもできる。ここで、Laは前記第1リアクトル、前記第2リアクトル及び前記第3リアクトルに共通のインダクタンスである。
この場合、昇圧回路及び単相インバータ回路は、共に制御部が設定した電流目標値Iinv*に基づいて動作するため、両回路の高周波スイッチング期間が交互に切り替わるように動作を行っても、各変換装置から出力される交流電流に位相ずれや歪が生じるのを抑制することができる。
【0032】
(12)また、前記(1)〜(11)のいずれかの電力変換装置において、前記三相交流系統から受電し、直流電力を前記第1直流電源、前記第2直流電源及び前記第3直流電源に出力することも可能である。すなわち、単相インバータ回路の電流目標値(Iinv*)と電圧目標値(Vinv*)との間で互いに位相を180度ずらすと、同じ電流目標値(Iin*)の制御で三相交流系統から各直流電源への逆方向の出力も可能である。
【0033】
(13)一方、これは、三相交流系統に接続される三相交流電源装置であって、正負両極のいずれをも共有しない互いに独立した第1直流電源、第2直流電源及び第3直流電源と、前記第1直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の中性点に対する第1相に、第1リアクトルを介して交流電力を供給する第1相変換装置と、前記第2直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の前記中性点に対する第2相に、第2リアクトルを介して交流電力を供給する第2相変換装置と、前記第3直流電源から入力される直流電力に基づき、前記三相交流系統の前記中性点に対する第3相に、第3リアクトルを介して交流電力を供給する第3相変換装置と、前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置を制御する制御部と、を備え、
前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置の各々は、前記直流電力の直流入力電圧値を昇圧する昇圧回路及び、単相インバータ回路を含み、前記制御部は、前記第1相変換装置、前記第2相変換装置及び前記第3相変換装置の各々について、出力すべき交流波形として基本波に3次高調波を重畳した電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を上回るときは前記昇圧回路を昇圧動作させて前記電圧目標値の絶対値を生成するとともに前記単相インバータ回路は必要な極性反転のみを行う状態とし、また、前記電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を下回るときは前記昇圧回路の昇圧動作を停止させるとともに前記単相インバータ回路を動作させて前記電圧目標値を生成するものである。
【0034】
上記の三相交流電源装置は、(1)の電力変換装置と同じ作用効果を奏する。
【0035】
(14)また、(13)の三相交流電源装置において、前記第1直流電源、前記第2直流電源及び前記第3直流電源は、それぞれ、太陽を追尾するように動作する集光型太陽光発電パネルであってもよい。
この場合、電力損失を抑制しながら、日中は、比較的安定した高出力の発電を行うことができる。
【0036】
[実施形態の詳細]
以下、発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、本明細書及び図面において、「指令値」という文言と、「目標値」という文言とがあるが、それらの意味するところは同じである。
【0037】
《三相交流電源装置としての構成》
図1は、三相交流系統3に接続される三相交流電源装置100を示す回路図である。三相交流電源装置100は、電力変換装置1Pと、直流電源(第1直流電源、第2直流電源、第3直流電源)として例えば3組の太陽光発電パネル2とを備えている。3組の太陽光発電パネル2は、正負両極のいずれをも共有しない互いに独立した関係にある。
【0038】
電力変換装置1Pは、三相交流の各相に対応して設けられた3組の変換装置(第1相変換装置、第2相変換装置、第3相変換装置)1によって構成されている。変換装置1は、太陽光発電パネル2から入力される直流電力を交流電力に変換して、三相交流系統3に供給する。また、3組の変換装置1は、三相交流系統3の中性点Nに対する各相3p(第1相u、第2相v、第3相w)に、それぞれ相電圧で、交流電力を供給する。
【0039】
三相交流系統3の線間電圧を400Vとすると、相電圧は約231V(400V/√3)である。この相電圧を出力する各変換装置1には、DCバスL
Bの電圧として、約327V((400V/√3)×√2)が必要となる。これは、三相交流系統3の線間電圧(400V)を単一の三相インバータで供給する場合と比べて、DCバスL
Bの電圧が低減(566V→327V)されることを意味する。従って、スイッチング素子その他の電子デバイスの耐電圧性能は、1200Vも必要ではなくなり、600V程度で足りる。
【0040】
《変換装置》
図2は、
図1における1つの変換装置1の内部回路を、より詳細に示す図である。図において、変換装置1の入力端には、直流電源としての太陽光発電パネル2が接続され、出力端には、系統相電源3p(三相交流の相電圧)が接続されている。この変換装置1は、太陽光発電パネル2が発電する直流電力を交流電力に変換し、系統相電源3pに出力する系統連系運転を行う。
変換装置1は、太陽光発電パネル2が出力する直流電力が与えられる昇圧回路10と、昇圧回路10から与えられる電力を交流電力に変換して系統相電源3pに出力する単相インバータ回路11とを備えている。昇圧回路10及び単相インバータ回路11は、制御部12により制御される。制御部12は、3組の変換装置1のいずれをも制御することができる。
【0041】
昇圧回路10は、DCリアクトル15と、例えばFET(Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子Qa,Qbとを備えており、昇圧チョッパ回路を構成している。
昇圧回路10の入力側には、第1電圧センサ17、第1電流センサ18、及び平滑化のためのコンデンサ26が設けられている。
【0042】
第1電圧センサ17は、太陽光発電パネル2が出力し、昇圧回路10に入力される直流電力の直流入力電圧検出値Vg(直流入力電圧値)を検出し、制御部12に出力する。第1電流センサ18は、DCリアクトル15に流れる電流である昇圧回路電流検出値Iin(直流入力電流値)を検出し、制御部12に出力する。なお、直流入力電流検出値Igを検出するために、コンデンサ26の前段に、さらに電流センサを設けてもよい。
制御部12は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pinを演算し、太陽光発電パネル2に対するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を行う機能を有している。
【0043】
また、昇圧回路10のスイッチング素子Qa,Qbは、昇圧動作中には高周波のPWM制御により、交互にオンになる。昇圧動作を停止しているときは、スイッチング素子Qaがオンで、Qbがオフとする。さらに、昇圧回路10が動作しているか停止しているかという観点で見ると、後述するように、単相インバータ回路11との間で高周波スイッチング動作を行う期間が交互に切り替わるように制御される。よって、昇圧回路10は、スイッチング動作を行っている期間は、昇圧された電圧で電力を単相インバータ回路11に出力し、スイッチング動作を停止している期間は、太陽光発電パネル2が出力して昇圧回路10に入力される直流電力の電圧を昇圧することなく単相インバータ回路11に出力する。
【0044】
昇圧回路10と、単相インバータ回路11との間には、平滑用のコンデンサ19(平滑コンデンサ)が接続されている。
単相インバータ回路11は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)からなるスイッチング素子Q1〜Q4を備えている。これらスイッチング素子Q1〜Q4は、フルブリッジ回路を構成している。
各スイッチング素子Q1〜Q4は、制御部12に接続されており、制御部12により制御可能とされている。制御部12は、各スイッチング素子Q1〜Q4の動作をPWM制御する。これにより、単相インバータ回路11は、昇圧回路10から与えられる電力を交流電力に変換する。
【0045】
変換装置1は、単相インバータ回路11と、系統相電源3pとの間にフィルタ回路21を備えている。
フィルタ回路21は、ACリアクトル22と、ACリアクトル22の後段に設けられたコンデンサ23(出力平滑コンデンサ)とを備えて構成されている。フィルタ回路21は、単相インバータ回路11から出力される交流電力に含まれる高周波成分を除去する機能を有している。フィルタ回路21により高周波成分が除去された交流電力は、系統相電源3pに与えられる。
【0046】
このように、昇圧回路10及び単相インバータ回路11は、太陽光発電パネル2が出力する直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を、フィルタ回路21を介して系統相電源3pへ出力する。
【0047】
また、フィルタ回路21には、単相インバータ回路11による出力の電流値であるインバータ電流検出値Iinv(ACリアクトル22に流れる電流)を検出するための第2電流センサ24が接続されている。さらに、フィルタ回路21と、系統相電源3pとの間には、系統相電源3p側の電圧値(系統電圧検出値Va)を検出するための第2電圧センサ25が接続されている。
【0048】
第2電流センサ24及び第2電圧センサ25は、検出した系統電圧検出値Va(交流系統の電圧値)及びインバータ電流検出値Iinvを制御部12に出力する。なお、第2電流センサ24は、図のように、コンデンサ23の前段でもよいが、コンデンサ23の後段に設けてもよい。
制御部12は、これら系統電圧検出値Va及びインバータ電流検出値Iinvと、上述の直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iinに基づいて、昇圧回路10及び単相インバータ回路11を制御する。
【0049】
前述のように、
図1の回路構成によれば、系統電圧(線間電圧)を単一の三相インバータで供給する場合と比べて、DCバスL
Bの電圧が低減される。DCバスL
Bの電圧低減により、スイッチング素子Q1〜Q4,Qaのスイッチング損失が低下する。また、変換装置1内のリアクトル(DCリアクトル15,ACリアクトル22)の鉄損が小さくなる。さらに、DCバスL
Bに接続されるスイッチング素子Q1〜Q4,Qa,Qb及び平滑用のコンデンサ19は、耐電圧性能の低いものでも使用できるようになる。スイッチング素子は耐電圧性能が低い方が、オン抵抗が低いため、導通損を低減することができる。
【0050】
(波形の第1例)
図14は、変換装置1における出力波形(第1例)の指令値の作り方を示すグラフである。横軸が時間、縦軸が電圧を表している。指令値の波形は、(a)に示す波高値327Vで商用周波数(50Hz、0.02秒/1周期)の正弦波を基本波とすると、これに、その3倍の周波数を持つ3次高調波を重畳させて得られる。3次高調波の振幅は、例えば、基本波の振幅の10%である。2つの波形を重ねると、(b)に示すような3次高調波を含む交流波形が得られる。この交流波形は、その波形のため、ピーク値(波高値)が(a)の基本波より下がり、327×√3/2=283[V]となる。すなわち、3次高調波の重畳による波高値の低減効果により、さらにDCバスの電圧が低減される。このような交流波形を、変換装置1が出力すべき交流の電圧目標値とすることができる。
【0051】
(波形の第2例)
また、
図15は、変換装置1における出力波形(第2例)の指令値の作り方を示すグラフである。横軸が時間、縦軸が電圧を表している。指令値の波形は、(a)に示す波高値327Vで商用周波数(50Hz、0.02秒/1周期)の正弦波を基本波とすると、これに、その3倍の周波数を持つ3次高調波を重畳させて得られる。3次高調波の振幅は、例えば、基本波の振幅の20%である。2つの波形を重ねると、(b)に示すような3次高調波を含む交流波形が得られる。この交流波形は、その波形のため、ピーク値(波高値)が(a)の基本波より下がり、327×√3/2=283[V]となる。すなわち、3次高調波の重畳による波高値の低減効果により、さらにDCバスの電圧が低減される。このような交流波形を、変換装置1が出力すべき交流の電圧目標値とすることができる。
【0052】
《電力変換装置における最小変調方式》
(波形の第1例)
次に、
図16及び
図17は、出力すべき交流の電圧目標値が
図14に示す波形である場合の、変換装置1の動作の特徴を簡略に示す波形図である。
図16,
図17は互いに同じ内容を示しているが、
図16は特に、直流入力から交流出力までの振幅の関係が見やすいように表示し、
図17は特に、制御のタイミングが見やすいように表示している。
図16の上段及び
図17の左欄はそれぞれ、比較のために、最小変調方式ではない従来の変換装置の動作を表す波形図である。また、
図16の下段及び
図17の右欄はそれぞれ、最小変調方式の変換装置1(
図2)の動作を示す波形図である。
【0053】
まず、
図16の上段(又は
図17の左欄)において、従来の変換装置では、直流入力V
DCに対する昇圧回路の出力(
図2で言えば、スイッチング素子Qa,Qb及びDCリアクトル15の相互接続点に現れる電圧)は、V
DCよりも高い値の等間隔のパルス列状である。なお、図は便宜上、細い縦縞でパルス列を表している(以下同様。)。この出力は平滑化され、DCバスL
Bに、電圧V
Bとして現れる。これに対して単相インバータ回路は、PWM制御されたスイッチングを半周期で極性反転しながら行う。この結果、フィルタ回路による平滑を経て、交流出力としての正弦波の交流電圧V
ACが得られる。
【0054】
次に、
図16の下段の最小変調方式では、交流波形の電圧目標値V
ACの絶対値と、直流入力V
DCとの比較結果に応じて、
図2の昇圧回路10と単相インバータ回路11とが動作する。すなわち、電圧目標値の絶対値においてV
AC<V
DC(又はV
AC≦V
DC)のときは、昇圧回路10は停止し(図中の「ST」)、V
AC≧V
DC(又はV
AC>V
DC)のときは、昇圧回路10が、電圧目標値の絶対値を出力するように昇圧動作を行う(図中の「OP」)。昇圧回路10の出力はコンデンサ19(
図2)により高周波成分が平滑化され、DCバスL
Bに、図示の電圧V
Bとして現れる。
【0055】
これに対して単相インバータ回路11は、電圧目標値V
ACの絶対値と、直流入力V
DCとの比較結果に応じて、V
AC<V
DC(又はV
AC≦V
DC)のときは、高周波スイッチングを行い(図中の「OP」)、V
AC≧V
DC(又はV
AC>V
DC)のときは、高周波スイッチングを停止する(図中の「ST」)。高周波スイッチングを停止しているときの単相インバータ回路11は、スイッチング素子Q1,Q4がオン、Q2,Q3がオフの状態と、スイッチング素子Q1,Q4がオフ、Q2,Q3がオンの状態のいずれかを選択することにより、必要な極性反転のみを行う。単相インバータ回路11の出力はフィルタ回路21により平滑化され、所望の交流出力が得られる。
【0056】
ここで、
図17の右欄に示すように、昇圧回路10と単相インバータ回路11とは、交互に高周波スイッチングの動作をしており、昇圧回路10が昇圧の動作をしているときは、単相インバータ回路11は高周波スイッチングを停止し、DCバスL
Bの電圧に対して必要な極性反転のみを行っている。逆に、単相インバータ回路11が高周波スイッチング動作するときは、昇圧回路10は停止して、電路L
in(
図2)の電圧を素通りさせている。
【0057】
上記のような、昇圧回路10と単相インバータ回路11との交互の高周波スイッチング動作を行うことにより、全体としてスイッチング素子Q1〜Q4,Qa,Qbのスイッチングの回数が低減され、その分、スイッチング損失が大幅に低減される。なお、高周波スイッチングの周波数は例えば20kHzであるのに対して、単相インバータ回路11における極性反転のスイッチングは商用周波数の2倍の、100Hz又は120Hzである。すなわち、極性反転の周波数は高周波スイッチングの周波数に比べると非常に小さく、従って、スイッチング損失も少ない。
【0058】
また、昇圧回路10と単相インバータ回路11との交互の高周波スイッチング動作を行うことにより、リアクトル(DCリアクトル15、ACリアクトル22)の鉄損が小さくなる。
また、3次高調波の重畳による波高値の低減効果(327V→283V)により、さらにDCバスの電圧が低減されている。このことが、スイッチング損失の低減及びリアクトルの鉄損の低減にさらに寄与する。
また、コンデンサ19は、スイッチングの高周波を平滑化する程度で足りるため、系統周波数の3倍の低周波交流成分の平滑作用を必要としなくなる。従って、低容量(例えば10μFや22μF)のコンデンサを使用することができる。
【0059】
図18の(a)は、電力変換装置1Pから出力されるU,V,Wの相電圧を示す波形図であり、また、(b)は、三相交流系統3に対するU−V,V−W,W−Uの線間電圧を示す波形図である。
制御部
12は、各相の変換装置1を、これらが出力する交流波形の位相が相互に(2/3)πずれるように制御する。相電圧に3次高調波が含まれていても、線間電圧では3次高調波が打ち消され、通常の正弦波の相電圧の場合と同様に、位相が相互に(2/3)πずれた波高値566V(=400×√2=283×2)の3相の線間電圧が得られる。
【0060】
(波形の第2例)
同様に、
図19及び
図20は、出力すべき交流の電圧目標値が
図15に示す波形である場合の、変換装置1の動作の特徴を簡略に示す波形図である。
図19,
図20は互いに同じ内容を示しているが、
図19は特に、直流入力から交流出力までの振幅の関係が見やすいように表示し、
図20は特に、制御のタイミングが見やすいように表示している。
図19の上段及び
図20の左欄はそれぞれ、比較のために、最小変調方式ではない従来の変換装置の動作を表す波形図である。また、
図19の下段及び
図20の右欄はそれぞれ、最小変調方式の変換装置1(
図2)の動作を示す波形図である。
図19の上段又は
図20の左欄における従来の変換装置の動作は、
図16,
図17に関して既に説明したとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0061】
図19の下段の最小変調方式では、交流波形の電圧目標値V
ACの絶対値と、直流入力V
DCとの比較結果に応じて、
図2の昇圧回路10と単相インバータ回路11とが動作する。すなわち、電圧目標値の絶対値においてV
AC<V
DC(又はV
AC≦V
DC)のときは、昇圧回路10は停止し(図中の「ST」)、V
AC≧V
DC(又はV
AC>V
DC)のときは、昇圧回路10が、電圧目標値の絶対値を出力するように昇圧動作を行う(図中の「OP」)。昇圧回路10の出力はコンデンサ19(
図2)により高周波成分が平滑化され、DCバスL
Bに、図示の電圧V
Bとして現れる。
【0062】
これに対して単相インバータ回路11は、電圧目標値V
ACの絶対値と、直流入力V
DCとの比較結果に応じて、V
AC<V
DC(又はV
AC≦V
DC)のときは、高周波スイッチングを行い(図中の「OP」)、V
AC≧V
DC(又はV
AC>V
DC)のときは、高周波スイッチングを停止する(図中の「ST」)。高周波スイッチングを停止しているときの単相インバータ回路11は、スイッチング素子Q1,Q4がオン、Q2,Q3がオフの状態と、スイッチング素子Q1,Q4がオフ、Q2,Q3がオンの状態のいずれかを選択することにより、必要な極性反転のみを行う。単相インバータ回路11の出力はフィルタ回路21により平滑化され、所望の交流出力が得られる。
【0063】
ここで、
図20の右欄に示すように、昇圧回路10と単相インバータ回路11とは、交互に高周波スイッチングの動作をしており、昇圧回路10が昇圧の動作をしているときは、単相インバータ回路11は高周波スイッチングを停止し、DCバスL
Bの電圧に対して必要な極性反転のみを行っている。逆に、単相インバータ回路11が高周波スイッチング動作するときは、昇圧回路10は停止して、電路L
in(
図2)の電圧を素通りさせている。
【0064】
上記のような、昇圧回路10と単相インバータ回路11との交互の高周波スイッチング動作を行うことにより、全体としてスイッチング素子Q1〜Q4,Qa,Qbのスイッチングの回数が低減され、その分、スイッチング損失が大幅に低減される。なお、高周波スイッチングの周波数は例えば20kHzであるのに対して、単相インバータ回路11における極性反転のスイッチングは商用周波数の2倍の、100Hz又は120Hzである。すなわち、極性反転の周波数は高周波スイッチングの周波数に比べると非常に小さく、従って、スイッチング損失も少ない。
【0065】
また、昇圧回路10と単相インバータ回路11との交互の高周波スイッチング動作を行うことにより、リアクトル(DCリアクトル15、ACリアクトル22)の鉄損が小さくなる。
また、3次高調波の重畳による波高値の低減効果(327V→283V)により、さらにDCバスの電圧が低減されている。このことが、スイッチング損失の低減及びリアクトルの鉄損の低減にさらに寄与する。
また、コンデンサ19は、スイッチングの高周波を平滑化する程度で足りるため、系統周波数の3倍の低周波交流成分の平滑作用を必要としなくなる。従って、低容量(例えば10μFや22μF)のコンデンサを使用することができる。
【0066】
図21の(a)は、電力変換装置1Pから出力されるU,V,Wの相電圧を示す波形図であり、また、(b)は、三相交流系統3に対するU−V,V−W,W−Uの線間電圧を示す波形図である。
制御部
12は、各相の変換装置1を、これらが出力する交流波形の位相が相互に(2/3)πずれるように制御する。相電圧に3次高調波が含まれていても、線間電圧では3次高調波が打ち消され、通常の正弦波の相電圧の場合と同様に、位相が相互に(2/3)πずれた波高値566V(=400×√2=283×2)の3相の線間電圧が得られる。
【0067】
(まとめ)
以上のように、昇圧回路10と単相インバータ回路11とは、高周波スイッチングに関しては交互に動作し、一方が高周波スイッチング動作しているときは、他方は高周波スイッチングを停止している。この場合、DCバスL
Bの電圧のピーク値V
Bは、電圧V
ACの波高値であれば足り、V
B=√2・V
AC、となる。
この結果、系統電圧(線間電圧)を単一の三相インバータで供給する場合と比べて、DCバスL
Bの電圧が低減される。また、3次高調波の重畳による波高値の低減効果により、さらにDCバスL
Bの電圧が低減される。
【0068】
DCバスL
Bの電圧低減により、以下の利点が生じる。まず、スイッチング素子(Q1〜Q4,Qa,Qb)のスイッチング損失が低下する。また、リアクトル(DCリアクトル15,ACリアクトル22)の鉄損が小さくなる。さらに、DCバスL
Bに接続されるスイッチング素子及び平滑用のコンデンサ19は、耐電圧性能の低いものでも使用できるようになる。スイッチング素子は耐電圧性能が低い方が、オン抵抗が低いため、導通損を低減することができる。
【0069】
また、昇圧回路10と単相インバータ回路11との、交互の高周波スイッチング動作により、全体としてスイッチング素子のスイッチングの回数が低減され、その分、スイッチング損失が大幅に低減される。また、リアクトル(DCリアクトル15,ACリアクトル22)の鉄損が小さくなる。さらに、コンデンサ19は、系統周波数の3倍の低周波交流成分の平滑作用を必要としなくなり、従って、低容量のコンデンサを使用することができる。
【0070】
《電力変換装置の系統連系》
以下、電力変換装置1Pの系統連系について詳細に説明する。
系統連系を行うためには、各相の変換装置1が、力率1の状態で三相交流系統3へ電力を送り込むように、出力する電流位相を制御する必要がある。すなわち、系統相電源3pの電圧位相と一致する電圧を出力するだけでなく、系統相電源3pの電圧位相と、対応する変換装置1の出力する電流位相とが、互いに一致する必要がある。
【0071】
〔1.1 制御部について〕
図3は、制御部12のブロック図である。制御部12は、
図3に示すように、制御処理部30と、昇圧回路制御部32と、インバータ回路制御部33と、平均化処理部34とを機能的に有している。
制御部12の各機能は、その一部又は全部がハードウェア回路によって構成されてもよいし、その一部又は全部が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータによって実行させることで実現されていてもよい。制御部12の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータの記憶装置(図示省略)に格納される。
【0072】
昇圧回路制御部32は、制御処理部30から与えられる指令値及び検出値に基づいて、昇圧回路10のスイッチング素子Qa,Qbを制御し、前記指令値に応じた電流の電力を昇圧回路10に出力させる。
また、インバータ回路制御部33は、制御処理部30から与えられる指令値及び検出値に基づいて、
単相インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御し、前記指令値に応じた電流の電力を
単相インバータ回路11に出力させる。
【0073】
制御処理部30には、直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iin、系統電圧検出値Va及びインバータ電流検出値Iinvが与えられる。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pin及びその平均値〈Pin〉を演算する。
制御処理部30は、入力電力平均値〈Pin〉に基づいて、直流入力電流指令値Ig*(後に説明する)を設定して太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行うとともに、昇圧回路10及び単相インバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
【0074】
直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinは、平均化処理部34、及び制御処理部30に与えられる。
平均化処理部34は、第1電圧センサ17及び第1電流センサ18から与えられる直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを、予め設定された所定の時間間隔ごとにサンプリングし、それぞれの平均値を求め、平均化された直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを制御処理部30に与える機能を有している。
【0075】
図4は、直流入力電圧検出値Vg、及び昇圧回路電流検出値Iinの経時変化をシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。
また、直流入力電流検出値Igは、コンデンサ26よりも入力側で検出される電流値である。
図4に示すように、直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iin、及び直流入力電流検出値Igは、系統電圧の1/2の周期で変動していることが判る。
【0076】
図4に示すように、直流入力電圧検出値Vg、及び直流入力電流検出値Igが周期的に変動する理由は、次の通りである。すなわち、昇圧回路電流検出値Iinは、昇圧回路10、及び単相インバータ回路11の動作に応じて、交流周期の1/2周期でほぼ0Aからピーク値まで大きく変動する。そのため、コンデンサ26で変動成分を完全に取り除くことができず、直流入力電流検出値Igは、交流周期の1/2周期で変動する成分を含む脈流となる。一方、太陽光発電パネルは出力電流によって出力電圧が変化する。
このため、直流入力電圧検出値Vgに生じる周期的な変動は、変換装置1が出力する交流電力の1/2周期となっている。
平均化処理部34は、上述の周期的変動による影響を抑制するために、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを平均化する。
【0077】
図5は、平均化処理部34が行う、直流入力電圧検出値Vgを平均化する際の態様を示す図である。
平均化処理部34は、あるタイミングt1から、タイミングt2までの間の期間Lにおいて、予め設定された所定の時間間隔Δtごとに、与えられる直流入力電圧検出値Vgについて複数回サンプリング(図中、黒点のタイミング)を行い、得られた複数の直流入力電圧検出値Vgの平均値を求める。
【0078】
ここで、平均化処理部34は、期間Lを系統相電源3pの周期長さの1/2の長さに設定する。また、平均化処理部34は、時間間隔Δtを、系統相電源3pの1/2周期の長さよりも十分短い期間に設定する。
これにより、平均化処理部34は、系統相電源3pの周期と同期して周期的に変動する、直流入力電圧検出値Vgの平均値を、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、精度よく求めることができる。
なお、サンプリングの時間間隔Δtは、例えば、系統相電源3pの周期の1/100〜1/1000、或いは、20マイクロ秒〜200マイクロ秒等に設定することができる。
【0079】
なお、平均化処理部34は、期間Lを予め記憶しておくこともできるし、第2電圧センサ25から系統電圧検出値Vaを取得して系統相電源3pの周期に基づいて期間Lを設定することもできる。
また、ここでは、期間Lを系統相電源3pの周期長さの1/2の長さに設定したが、期間Lは、少なくとも、系統相電源3pの1/2周期に設定すれば、直流入力電圧検出値Vgの平均値を精度よく求めることができる。直流入力電圧検出値Vgは、上述のように、昇圧回路10、および単相インバータ回路11の動作によって、系統相電源3pの周期長さの1/2の長さで周期的に変動するからである。
よって、期間Lをより長く設定する必要がある場合、系統相電源3pの1/2周期の3倍や4倍といったように、期間Lを系統相電源3pの1/2周期の整数倍に設定すればよい。これによって、周期単位で電圧変動を把握できる。
【0080】
上述したように、昇圧回路電流検出値Iinも、直流入力電圧検出値Vgと同様、系統相電源3pの1/2周期で周期的に変動する。
よって、平均化処理部34は、
図5に示した直流入力電圧検出値Vgと同様の方法によって、昇圧回路電流検出値Iinの平均値も求める。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vgの平均値及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値をそれぞれ、期間Lごとに逐次求める。
平均化処理部34は、求めた直流入力電圧検出値Vgの平均値及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値を制御処理部30に与える。
【0081】
本例では、上述のように、平均化処理部34が、直流入力電圧検出値Vgの平均値(直流入力電圧平均値〈Vg〉)及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値(昇圧回路電流平均値〈Iin〉)を求め、制御処理部30は、これら値を用いて、太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行いつつ、昇圧回路10及び単相インバータ回路11を制御するので、太陽光発電パネル2による直流電流が変動し不安定な場合にも、制御部12は、太陽光発電パネル2からの出力を、変換装置1の動作による変動成分を取り除いた直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉として精度よく得ることができる。この結果、MPPT制御を好適に行うことができ、太陽光発電パネル2の発電効率が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0082】
また、上述したように、変換装置1の動作によって、太陽光発電パネル2が出力する直流電力の電圧(直流入力電圧検出値Vg)や電流(昇圧回路電流検出値Iin)に変動が生じる場合、その変動周期は、単相インバータ回路11が出力する交流電力の1/2周期(系統相電源3pの1/2周期)と一致する。
この点、本例では、系統相電源3pの周期長さの1/2の長さに設定された期間Lの間に、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinのそれぞれについて、交流系統の1/2周期よりも短い時間間隔Δtで複数回サンプリングし、その結果から直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を求めたので、直流電流の電圧及び電流が周期的に変動したとしても、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を精度よく求めることができる。
【0083】
制御処理部30は、上述の入力電力平均値〈Pin〉に基づいて、直流入力電流指令値Ig*を設定し、この設定した直流入力電流指令値Ig*や、上記値に基づいて、昇圧回路10及び単相インバータ回路11それぞれに対する指令値を求める。
制御処理部30は、求めた指令値を昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33に与え、昇圧回路10及び単相インバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
【0084】
図6は、制御処理部30による昇圧回路10、及び単相インバータ回路11のフィードバック制御を説明するための制御ブロック図である。
制御処理部30は、単相インバータ回路11の制御を行うための機能部として、第1演算部41、第1加算器42、補償器43、及び第2加算器44を有している。
また、制御処理部30は、昇圧回路10の制御を行うための機能部として、第2演算部51、第3加算器52、補償器53、及び第4加算器54を有している。
【0085】
図7は、昇圧回路10及び単相インバータ回路11の制御処理を示すフローチャートである。
図6に示す各機能部は、
図7に示すフローチャートに示す処理を実行することで、昇圧回路10及び単相インバータ回路11を制御する。
以下、
図7に従って、昇圧回路10及び単相インバータ回路11の制御処理を説明する。
【0086】
まず、制御処理部30は、現状の入力電力平均値〈Pin〉を求め(ステップS9)、前回演算時の入力電力平均値〈Pin〉と比較して、直流入力電流指令値Ig*を設定する(ステップS1)。なお、入力電力平均値〈Pin〉は、下記式(1)に基づいて求められる。
入力電力平均値〈Pin〉=〈Iin×Vg〉 ・・・(1)
【0087】
なお、式(1)中、Iinは昇圧回路電流検出値、Vgは直流入力電圧検出値(直流入力電圧値)であり、平均化処理部34によって平均化された値である直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉が用いられる。
また、式(1)以外の以下に示す制御に関する各式においては、昇圧回路電流検出値Iin、及び直流入力電圧検出値Vgは、平均化されていない瞬時値が用いられる。
また、「〈 〉」は、括弧内の値の平均値を示している。以下同じである。
【0088】
制御処理部30は、設定した直流入力電流指令値Ig*を、第1演算部41に与える。
第1演算部41には、直流入力電流指令値Ig*の他、直流入力電圧検出値Vg、系統電圧検出値Vaも与えられる。
第1演算部41は、下記式(2)に基づいて、変換装置1としての出力電流指令値の平均値〈Ia*〉を演算する。
出力電流指令値の平均値〈Ia*〉=〈Ig*×Vg〉/〈Va〉 ・・・(2)
【0089】
さらに、第1演算部41は、下記式(3)に基づいて、出力電流指令値Ia*(出力電流目標値)を求める(ステップS2)。
ここで、第1演算部41は、出力電流指令値Ia*を系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求める。
出力電流指令値Ia*=(√2)×〈Ia*〉×sinωt ・・・(3)
【0090】
以上のように、第1演算部41は、入力電力平均値〈Pin〉(直流電力の入力電力値)及び系統電圧検出値Vaに基づいて出力電流指令値Ia*を求める。
次いで、第1演算部41は、下記式(4)に示すように、単相インバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流指令値Iinv*(単相インバータ回路の電流目標値)を演算する(ステップS3)。
インバータ電流指令値Iinv*=Ia*+s CaVa ・・・(4)
【0091】
ただし、式(4)中、Caは、コンデンサ23(出力平滑コンデンサ)の静電容量、sはラプラス演算子である。
上記式(4)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iinv*=Ia* + Ca×(d Va/dt) ・・・(4a)
となる。また、コンデンサ23に流れる電流を検出してこれをIcaとすれば、
Iinv*=Ia* + Ica ・・・(4b)
となる。
式(4),(4a),
(4b)中、右辺第2項は、フィルタ回路21のコンデンサ23に流れる電流を考慮して加算した値である。
なお、出力電流指令値Ia*は、上記式(3)に示すように、系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求められる。つまり、制御処理部30は、変換装置1が出力する交流電力の電流Ia(出力電流)が系統電圧(系統電圧検出値Va)と同位相となるように単相インバータ回路11を制御する。
【0092】
第1演算部41は、インバータ電流指令値Iinv*を求めると、このインバータ電流指令値Iinv*を第1加算器42に与える。
単相インバータ回路11は、このインバータ電流指令値Iinv*によって、フィードバック制御される。
【0093】
第1加算器42には、インバータ電流指令値Iinv*の他、現状のインバータ電流検出値Iinvが与えられる。
第1加算器42は、インバータ電流指令値Iinv*と、現状のインバータ電流検出値Iinvとの差分を演算し、その演算結果を補償器43に与える。
【0094】
補償器43は、上記差分が与えられると、比例係数等に基づいて、この差分を収束させインバータ電流検出値Iinvをインバータ電流指令値Iinv*とし得るインバータ電圧参照値Vinv#を求める。補償器43は、このインバータ電圧参照値Vinv#をインバータ回路制御部33に与えることで、単相インバータ回路11に、インバータ電圧参照値Vinv#に従った電圧Vinvで電力を出力させる。
単相インバータ回路11が出力した電力は、第2加算器44によって系統電圧検出値Vaで減算された上でACリアクトル22に与えられ、新たなインバータ電流検出値Iinvとしてフィードバックされる。そして、第1加算器42によってインバータ電流指令値Iinv*とインバータ電流検出値Iinvとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいて単相インバータ回路11が制御される。
【0095】
以上のようにして、単相インバータ回路11は、インバータ電流指令値Iinv*と、インバータ電流検出値Iinvとによって、フィードバック制御される(ステップS4)。
【0096】
一方、第2演算部51には、直流入力電圧検出値Vg、系統電圧検出値Vaの他、第1演算部41が演算したインバータ電流指令値Iinv*が与えられる。
第2演算部51は、下記式(5)に基づいて、インバータ出力電圧指令値Vinv*(単相インバータ回路の電圧目標値)を演算する(ステップS5)。
インバータ出力電圧指令値Vinv*=Va+s LaIinv* ・・・(5)
【0097】
ただし、式(5)中、Laは、ACリアクトルのインダクタンス、sはラプラス演算子である。
上記式(5)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vinv*=Va + La× (d Iinv*/dt) ・・・(5a)
となる。
式(5),(5a)中、右辺第2項は、ACリアクトル22の両端に発生する電圧を考慮して加算した値である。
このように、本例では、単相インバータ回路11が出力する交流電力の電流位相が系統電圧検出値Vaと同位相となるように単相インバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流指令値Iinv*に基づいてインバータ出力電圧指令値Vinv*(電圧目標値)を設定する。
【0098】
なお、式(5)におけるインダクタンスLaは、3相のACリアクトル22に共通のインダクタンスであることが好ましい。上記のようなインバータ出力電圧指令値Vinv*の設定により、昇圧回路10及び単相インバータ回路11は、共に制御部12が設定した電流目標値Iinv*に基づいて動作するため、両回路の高周波スイッチング期間が交互に切り替わるように動作を行っても、各変換装置1から出力される交流電流に位相ずれや歪が生じるのを抑制することができる。
【0099】
インバータ出力電圧指令値Vinv*を求めると、下記式(6)に示すように、第2演算部51は、直流入力電圧検出値Vgと、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値とを比較して、大きい方を昇圧回路電圧目標値Vo*に決定する(ステップS6)。
昇圧回路電圧目標値Vo*=Max(Vg,Vinv*の絶対値) ・・・(6)
【0100】
さらに、第2演算部51は、下記式(7)に基づいて、昇圧回路電流指令値Iin*を演算する(ステップS7)。
昇圧回路電流指令値Iin*=
{(Iinv*×Vinv*)+(s C Vo*)×Vo*}/Vg ・・・(7)
【0101】
ただし、式(7)中、Cは、コンデンサ19(平滑コンデンサ)の静電容量、sはラプラス演算子である。
上記式(7)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +C×(d Vo*/dt)×Vo*} / Vg
・・・(7a)
となる。また、コンデンサ19に流れる電流を検出してこれをIcとすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +Ic×Vo*} / Vg ・・・(7b)
となる。
【0102】
式(7),(7a),(7b)中、インバータ電流指令値Iinv*と、インバータ出力電圧指令値Vinv*との積の絶対値に加算されている項は、コンデンサ19を通過する無効電力を考慮した値である。すなわち、
単相インバータ回路11の電力目標値に加えて、無効電力を考慮することにより、より正確にIin*の値を求めることができる。
【0103】
さらに、予め電力変換装置1Pの電力損失P
LOSSを測定しておけば、上記式(7a)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) + C×(d Vo*/dt)×Vo* + P
LOSS}/Vg ・・・(7c)
同様に、上記式(7b)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +Ic×Vo* + P
LOSS} / Vg
・・・(7d)
この場合、
単相インバータ回路11の電力目標値に加えて、無効電力及び電力損失P
LOSSを考慮することにより、より厳密にIin*の値を求めることができる。
【0104】
なお、コンデンサ19の静電容量C及び電力損失P
LOSSが、(Iinv*×Vinv*)に比べて十分小さい場合、下記式(8)が成立する。この式(8)によれば、演算処理を簡素化でき、演算時間を短縮できる。
昇圧回路電流指令値Iin*=(Iinv*×Vinv*)/Vg・・・(8)
【0105】
第2演算部51は、昇圧回路電流指令値Iin*を求めると、この昇圧回路電流指令値Iin*を第3加算器52に与える。
昇圧回路10は、この昇圧回路電流指令値Iin*によって、フィードバック制御される。
第3加算器52には、昇圧回路電流指令値Iin*の他、現状の昇圧回路電流検出値Iinが与えられる。
第3加算器52は、昇圧回路電流指令値Iin*と、現状の昇圧回路電流検出値Iinとの差分を演算し、その演算結果を補償器53に与える。
【0106】
補償器53は、上記差分が与えられると、比例係数等に基づいて、この差分を収束させ昇圧回路電流検出値Iinを昇圧回路電流指令値Iin*とし得る昇圧回路電圧参照値Vbc#を求める。補償器53は、この昇圧回路電圧参照値Vbc#を昇圧回路制御部32に与えることで、昇圧回路10に、昇圧回路電圧参照値Vbc#に従った電圧Voで電力を出力させる。
昇圧回路10が出力した電力は、第4加算器54によって直流入力電圧検出値Vgで減算された上でDCリアクトル15に与えられ、新たな昇圧回路電流検出値Iinとしてフィードバックされる。そして、第3加算器52によって昇圧回路電流指令値Iin*と昇圧回路電流検出値Iinとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいて昇圧回路10が制御される。
【0107】
以上のようにして、昇圧回路10は、昇圧回路電流指令値Iin*と、昇圧回路電流検出値Iinとによって、フィードバック制御される(ステップS8)。
上記ステップS8の後、制御処理部30は、上記式(1)に基づいて、現状の入力電力平均値〈Pin〉を求める(ステップS9)。
【0108】
制御処理部30は、前回演算時の入力電力平均値〈Pin〉と比較して、入力電力平均値〈Pin〉が最大値となるように(最大電力点に追従するように)、直流入力電流指令値Ig*を設定する。
【0109】
以上によって、制御処理部30は、太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行いつつ、昇圧回路10及び単相インバータ回路11を制御する。
【0110】
制御処理部30は、上述したように、単相インバータ回路11及び昇圧回路10を電流指令値によってフィードバック制御する。
図8の(a)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電流指令値Iin*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電流検出値Iinをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフであり、(b)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電圧目標値Vo*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電圧検出値Voをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。
【0111】
図8の(a)に示すように、昇圧回路電流検出値Iinは、制御処理部30によって、昇圧回路電流指令値Iin*に沿って制御されていることが判る。
また、
図8の(b)に示すように、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上記式(6)によって求められるため、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間では、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。
昇圧回路電圧検出値Voは、制御処理部30によって、昇圧回路電圧目標値Vo*に沿って制御されていることが判る。
【0112】
図9は、インバータ出力電圧指令値Vinv*の一例を示す図である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。破線は、系統相電源3pの電圧波形を示しており、実線は、インバータ出力電圧指令値Vinv*の波形を示している。
変換装置1は、
図7のフローチャートに従った制御によって、
図9に示すインバータ出力電圧指令値Vinv*を電圧目標値として電力を出力する。
よって、変換装置1は、
図9に示すインバータ出力電圧指令値Vinv*の波形に従った電圧の電力を出力する。
【0113】
図に示すように、両波は、電圧値及び周波数は互いにほぼ同じであるが、インバータ出力電圧指令値Vinv*の位相の方が、系統相電源3pの電圧位相に対して数度進相している。
【0114】
本例の制御処理部30は、上述のように、昇圧回路10及び単相インバータ回路11のフィードバック制御を実行する中で、インバータ出力電圧指令値Vinv*の位相を、系統相電源3pの電圧位相に対して約3度進相させている。
インバータ出力電圧指令値Vinv*の位相を系統相電源3pの電圧位相に対して進相させる角度は、数度であればよく、後述するように、系統相電源3pの電圧波形との間で差分を求めたときに得られる電圧波形が、系統相電源3pの電圧波形に対してほぼ90度進んだ位相となる範囲で設定される。例えば、0度より大きくかつ10度より小さい値の範囲で設定される。
【0115】
上記進相させる角度は、上記式(5)に示すように、系統電圧検出値Va、ACリアクトル22のインダクタンスLa、及びインバータ電流指令値Iinv*によって定まる。この内、系統電圧検出値Va、ACリアクトル22のインダクタンスLaは、制御対象外の固定値なので、進相させる角度は、インバータ電流指令値Iinv*によって定まる。
インバータ電流指令値Iinv*は、上記式(4)に示すように、出力電流指令値Ia*によって定まる。この出力電流指令値Ia*が大きくなるほど、インバータ電流指令値Iinv*における進相した成分が増加し、インバータ出力電圧指令値Vinv*の進み角(進相させる角度)が大きくなる。
【0116】
出力電流指令値Ia*は、上記式(2)から求められるため、上記進相させる角度は、直流入力電流指令値Ig*によって調整される。
本例の制御処理部30は、上述のように、インバータ出力電圧指令値Vinv*の位相が、系統相電源3pの電圧位相に対して約3度進相するように、直流入力電流指令値Ig*を設定している。
【0117】
〔1.2 昇圧回路及び単相インバータ回路の制御について〕
昇圧回路制御部32は、昇圧回路10のスイッチング素子Qa,Qbを制御する。また、インバータ回路制御部33は、単相インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御する。
【0118】
昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33は、それぞれ昇圧回路用搬送波及びインバータ回路用搬送波を生成し、これら搬送波を制御処理部30から与えられる指令値である昇圧回路電圧参照値Vbc#、及びインバータ電圧参照値Vinv#で変調し、各スイッチング素子を駆動するための駆動波形を生成する。
【0119】
昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33は、上記駆動波形に基づいて各スイッチング素子を制御することで、昇圧回路電流指令値Iin*、及びインバータ電流指令値Iinv*に近似した電流波形の交流電力を昇圧回路10及び単相インバータ回路11に出力させる。
【0120】
図10の(a)は、昇圧回路用搬送波と、昇圧回路電圧参照値Vbc#の波形とを比較したグラフである。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。なお、
図10の(a)では、理解容易とするために、昇圧回路用搬送波の波長を実際よりも長くして示している。
昇圧回路制御部32が生成する昇圧回路用搬送波は、極小値が「0」である三角波であり、振幅A1が制御処理部30から与えられる昇圧回路電圧目標値Vo*とされている。
また、昇圧回路用搬送波の周波数は、制御処理部30による制御命令によって、所定のディーティ比となるように、昇圧回路制御部32によって設定される。
【0121】
なお、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上述したように、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1では、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。よって、昇圧回路用搬送波の振幅A1も昇圧回路電圧目標値Vo*に応じて変化している。
【0122】
昇圧回路電圧参照値Vbc#の波形(以下、昇圧回路用参照波Vbc#ともいう)は、制御処理部30が昇圧回路電流指令値Iin*に基づいて求める値であり、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が直流入力電圧検出値Vgよりも大きな期間W1において、正の値となっている。昇圧回路用参照波Vbc#は、期間
W1では、昇圧回路電圧目標値Vo*が成す波形状と近似するような波形となっており、昇圧回路用搬送波に対して交差している。
【0123】
昇圧回路制御部32は、昇圧回路用搬送波と昇圧回路用参照波Vbc#とを比較し、DCリアクトル15の両端電圧の目標値である昇圧回路用参照波Vbc#が昇圧回路用搬送波以上となる部分でオン、搬送波以下となる部分でオフとなるように、スイッチング素子Qbを駆動するための駆動波形を生成する。
【0124】
図10の(b)は、昇圧回路制御部32が生成したスイッチング素子Qbを駆動するための駆動波形である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間である。横軸は、
図10の(a)の横軸と一致するように示している。
この駆動波形は、スイッチング素子Qbのスイッチング動作を示しており、スイッチング素子Qbに与えることで、当該駆動波形に従ったスイッチング動作を実行させることができる。駆動波形は、電圧が0ボルトでスイッチング素子のスイッチをオフ、電圧がプラス電圧でスイッチング素子のスイッチをオンとする制御命令を構成している。
【0125】
昇圧回路制御部32は、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、直流入力電圧検出値Vg以下の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Qbを制御する。
また、各パルス幅は、三角波である昇圧回路用搬送波の切片によって定まる。よって、電圧が高い部分ほどパルス幅が大きくなっている。
【0126】
以上のように、昇圧回路制御部32は、昇圧回路用搬送波を昇圧回路用参照波Vbc#で変調し、スイッチングのためのパルス幅を表した駆動波形を生成する。昇圧回路制御部32は、生成した駆動波形に基づいて昇圧回路10のスイッチング素子QbをPWM制御する。
【0127】
スイッチング素子Qaには、スイッチング素子Qbの駆動波形と反転した駆動波形を用いる。ただし、スイッチング素子Qbとスイッチング素子Qaが同時に導通することを防ぐため、スイッチング素子Qaの駆動パルスがオフからオンに移行するときに1マイクロ秒程度のデッドタイムを設ける。
【0128】
図11の(a)は、インバータ回路用搬送波と、インバータ電圧参照値Vinv#の波形とを比較したグラフである。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。なお、
図11の(a)においても、理解容易とするために、インバータ回路用搬送波の波長を実際よりも長くして示している。
【0129】
インバータ回路制御部33が生成するインバータ回路用搬送波は、振幅中央が0ボルトの三角波であり、その片側振幅が、昇圧回路電圧目標値Vo*(コンデンサ23の電圧目標値)に設定されている。よって、インバータ回路用搬送波の振幅A2は、直流入力電圧検出値Vgの2倍の期間と、系統相電源3pの電圧の2倍の期間とを有している。
また、周波数は、制御処理部30による制御命令等によって、所定のデューティ比となるように、インバータ回路制御部33によって設定される。
【0130】
なお、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上述したように、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1では、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間である期間W2では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。よって、インバータ回路用搬送波の振幅A2も昇圧回路電圧目標値Vo*に応じて変化している。
【0131】
インバータ電圧参照値Vinv#の波形(以下、インバータ回路用参照波Vinv#ともいう)は、制御処理部30がインバータ電流指令値Iinv*に基づいて求める値であり、概ね系統相電源3pの電圧振幅と同じに設定されている。よって、インバータ回路用参照波Vinv#は、電圧値が−Vg〜+Vgの範囲の部分で、
インバータ回路用搬送波に対して交差している。
【0132】
インバータ回路制御部33は、インバータ回路用搬送波とインバータ回路用参照波Vinv#とを比較し、電圧目標値であるインバータ回路用参照波Vinv#がインバータ回路用搬送波以上となる部分でオン、搬送波以下となる部分でオフとなるように、スイッチング素子Q1〜4を駆動するための駆動波形を生成する。
【0133】
図11の(b)は、インバータ回路制御部33が生成したスイッチング素子Q1を駆動するための駆動波形である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間である。横軸は、
図11の(a)の横軸と一致するように示している。
インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#の電圧が−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q1を制御する。
【0134】
図11の(c)は、インバータ回路制御部33が生成したスイッチング素子Q3を駆動するための駆動波形である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間である。
インバータ回路制御部33は、スイッチング素子Q3については、図中破線で示しているインバータ回路用参照波Vinv#の反転波と、搬送波とを比較して駆動波形を生成する。
この場合も、インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#(の反転波)の電圧が、−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q3を制御する。
【0135】
なお、インバータ回路制御部33は、スイッチング素子Q2の駆動波形については、スイッチング素子Q1の駆動波形を反転させたものを生成し、スイッチング素子Q4の駆動波形については、スイッチング素子Q3の駆動波形を反転させたものを生成する。
【0136】
以上のように、インバータ回路制御部33は、インバータ回路用搬送波をインバータ回路用参照波Vinv#で変調し、スイッチングのためのパルス幅を表した駆動波形を生成する。インバータ回路制御部33は、生成した駆動波形に基づいて単相インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4をPWM制御する。
【0137】
本例の昇圧回路制御部32は、DCリアクトル15に流れる電流が昇圧回路電流指令値Iin*に一致するように電力を出力させる。この結果、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1(
図10)で昇圧回路10にスイッチング動作を行わせる。昇圧回路10は、期間W1で直流入力電圧検出値Vg以上の電圧をインバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値に近似するように電力を出力する。一方、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が概ね直流入力電圧検出値Vg以下の期間では、昇圧回路制御部32は、昇圧回路10のスイッチング動作を停止させる。よって、直流入力電圧検出値Vg以下の期間では、昇圧回路10は、太陽光発電パネル2が出力する直流電力を昇圧することなく単相インバータ回路11に出力する。
【0138】
また、本例のインバータ回路制御部33は、ACリアクトル22に流れる電流が、インバータ電流指令値Iinv*に一致するように電力を出力させる。この結果、インバータ出力電圧指令値Vinv*が概ね−Vg〜+Vgの期間W2(
図11)で単相インバータ回路11にスイッチング動作を行わせる。つまり、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が直流入力電圧検出値Vg以下の期間で単相インバータ回路11にスイッチング動作を行わせる。
よって、単相インバータ回路11は、昇圧回路10がスイッチング動作を停止している間、スイッチング動作を行い、インバータ出力電圧指令値Vinv*に近似する交流電力を出力する。
なお、インバータ回路用参照波Vinv#と、インバータ出力電圧指令値Vinv*とは近似するので、
図11(a)においては重複している。
【0139】
一方、インバータ出力電圧指令値Vinv*の電圧が概ね−Vg〜+Vgの期間W2以外の期間では、インバータ回路制御部33は、単相インバータ回路11のスイッチング動作を停止させる。この間、単相インバータ回路11には、昇圧回路10により昇圧された電力が与えられる。よって、スイッチング動作を停止している単相インバータ回路11は、昇圧回路10から与えられる電力を降圧することなく出力する。
【0140】
つまり、本例の変換装置1は、昇圧回路10と単相インバータ回路11とを交互に切り替わるようにスイッチング動作させ、それぞれが出力する電力を重ね合わせることで、インバータ出力電圧指令値Vinv*に近似した電圧波形の交流電力を出力する。
【0141】
このように、本例では、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が、直流入力電圧検出値Vgよりも高い部分の電圧を出力する際には昇圧回路10を動作させ、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が、直流入力電圧検出値Vgよりも低い部分の電圧を出力する際には単相インバータ回路11を動作させるように制御される。よって、単相インバータ回路11が、昇圧回路10によって昇圧された電力を降圧することがないので、電圧を降圧する際の電位差を低く抑えることができるため、昇圧回路のスイッチングによる損失を低減し、より高効率で交流電力を出力することができる。
さらに、昇圧回路10及び単相インバータ回路11は、共に制御部12が設定したインバータ出力電圧指令値Vinv*(電圧目標値)に基づいて動作するため、交互に切り替わるように出力される昇圧回路の電力と、単相インバータ回路の電力との間で、ずれや歪が生じるのを抑制することができる。
【0142】
図12は、参照波、及びスイッチング素子の駆動波形の一例とともに、変換装置1が出力する交流電力の電流波形の一例を示した図である。
図12において、最上段から順に、単相インバータ回路の参照波Vinv#及び搬送波、スイッチング素子Q1の駆動波形、昇圧回路の参照波Vbc#及び搬送波、スイッチング素子Qbの駆動波形、及び変換装置1が出力する交流電力の電流波形の指令値及び実測値を示すグラフを表している。これら各グラフの横軸は、時間を示しており、互いに一致するように示している。
【0143】
図に示すように、出力電流の実測値Iaは指令値Ia*と一致するように制御されていることが判る。
また、昇圧回路10のスイッチング素子Qbのスイッチング動作の期間と、単相インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作の期間とは、概ね互いに交互に切り替わるように制御されていることが判る。
【0144】
また、本例では、
図8(a)に示すように、上記式(7)に基づいて求められる昇圧回路はDCリアクトル15を流れる電流が電流指令値Iin*に一致するように制御される。この結果、昇圧回路と単相インバータ回路の電圧が、
図8の(b)に示す波形となり、昇圧回路10、および単相インバータ回路11の高周波スイッチング動作にそれぞれ停止期間があり、概ね交互にスイッチング動作を行う運転が可能になる。
【0145】
〔1.3 出力される交流電力の電流位相について〕
本例の昇圧回路10及び単相インバータ回路11は、制御部12による制御によって、インバータ出力電圧指令値Vinv*に近似した電圧波形の交流電力を、その後段に接続されたフィルタ回路21に出力する。変換装置1は、フィルタ回路21を介して系統相電源3pに交流電力を出力する。
【0146】
ここで、インバータ出力電圧指令値Vinv*は、上述したように、制御処理部30によって系統相電源3pの電圧位相に対して数度進相した電圧位相として生成される。
従って、昇圧回路10及び単相インバータ回路11が出力する交流電圧も、系統相電源3pの電圧位相に対して数度進相した電圧位相とされる。
【0147】
すると、フィルタ回路21のACリアクトル22(
図2)の両端には、一方が昇圧回路10及び単相インバータ回路11の交流電圧、他方が系統相電源3pと、互いに数度電圧位相がずれた電圧がかかることなる。
【0148】
図13の(a)は、単相インバータ回路11から出力された交流電圧、系統相電源3p、及びACリアクトル22の両端電圧、それぞれの電圧波形を示したグラフである。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。
図に示すように、ACリアクトル22の両端が互いに数度電圧位相がずれた電圧がかかると、ACリアクトル22の両端電圧は、ACリアクトル22の両端にかかる互いに数度電圧位相がずれた電圧同士の差分となる。
【0149】
よって、図に示すように、ACリアクトル22の両端電圧の位相は、系統相電源3pの電圧位相に対して90度進んだ位相となる。
【0150】
図13の(b)は、ACリアクトル22に流れる電流波形を示したグラフである。図中、縦軸は電流、横軸は時間を示している。横軸は、
図13の(a)の横軸と一致するように示している。
ACリアクトル22の電流位相は、その電圧位相に対して90度遅延する。よって、図に示すように、ACリアクトル22を通して出力される交流電力の電流位相は、系統相電源3pの相電圧の位相に対して同期することとなる。
【0151】
従って、単相インバータ回路11が出力する電圧位相は、系統相電源3pに対して数度進相しているが、電流位相は、系統相電源3pの相電圧の位相に対して一致する。
よって、
図12の最下段に示すグラフのように、変換装置1が出力する電流波形は、系統相電源3pの電圧位相と一致したものとなる。
【0152】
この結果、系統相電源3pの電圧と同位相の交流電流を出力することができるので、当該交流電力の力率が低下するのを抑制することができる。
【0153】
《太陽光発電パネルとの組み合わせの例》
さて、
図22は、例えば各相について5基、合計15基の集光型太陽光発電(CPV:Concentrator Photovoltaic)パネル2Cを用いた三相交流電源装置100を示す、概略の接続図である。集光型太陽光発電パネル2Cは、マトリックス状に多数並べたフレネルレンズ等の光学系を用いて、太陽光を、対応する太陽電池セルに集め、発電するものである。また、集光型太陽光発電パネル2Cは、背面側に図示しない追尾駆動装置を有しており、集光型太陽光発電パネル2Cが、日中は、常に太陽の方角を向くように構成されている。
【0154】
各集光型太陽光発電パネル2Cにはそれぞれ、変換装置1(パワーコンディショナ)が設けられている。変換装置1の出力を各相で並列接続して、大きな発電出力を得て三相交流系統3との系統連系を実現すれば、太陽光発電所とすることができる。かかる発電所は、電力損失を抑制しながら、日中は、比較的安定した高出力の発電を行うことができる。
【0155】
《その他》
なお、上記三相交流電源装置100の実施形態では、直流電源として太陽光発電パネルを用いた例を示したが、直流電源はこれに限定されるものではない。例えば、直流電源として蓄電池を用いたり、または、太陽光発電と蓄電池とを併用したりすることもできる。蓄電池を併用する場合は、太陽光発電パネルの出力で蓄電池を充電し、昼間は太陽光発電パネルから、そして夜間には蓄電池から、それぞれ、三相交流系統へ電力を供給することができる。
【0156】
また、上記変換装置1(電力変換装置1P)において、太陽光発電パネル2に代えて蓄電池を使用すれば、三相交流系統3から受電し、直流電力を第1直流電源、第2直流電源及び第3直流電源に出力することも可能である。すなわち、単相インバータ回路11の電流目標値(Iinv*)と電圧目標値(Vinv*)との間で互いに位相を180度ずらすと、同じ電流目標値(Iin*)の制御で三相交流系統3から各直流電源への逆方向の出力も可能である。
【0157】
なお、上記実施形態における各シミュレーションについては、実機を用いた検証によっても同様の結果が得られることが確認されている。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。